2024年6月12日

 

-------------------------------------------------------------

 ■ 試合データ

-------------------------------------------------------------

 

米国時間:2024年6月11日

日本時間:2024年6月12日(水曜日)

時分開始

ロサンゼルス・ドジャース

対テキサス・レンジャーズ

@ドジャースタジアム

 

image

 

【MLB.JP 戦評】

 日本時間6月12日、ドジャースは本拠地ドジャー・スタジアムで昨季王者レンジャーズとの3連戦がスタート。その初戦は打線が5本塁打を含む14安打15得点と爆発し、15対2で大勝を収めた。ドジャース先発のジェームス・パクストンは打線の援護を受けながら6回2安打1失点の好投を見せ、6勝目(1敗)をマーク。レンジャーズ先発のデーン・ダニングは初回に先制3ランを浴びるなど、4回途中4安打6失点でマウンドを降り、5敗目(4勝)を喫した。

 初回にウィル・スミスの10号3ランで先制したドジャースは、2回表に1点を返されたが、4回裏二死満塁からムーキー・ベッツが走者一掃のタイムリー二塁打を放ち、3点を追加。5回裏にはギャビン・ラックスのタイムリーで7対1とリードを広げた。6回裏には大谷翔平の16号2ランを合図として打線が爆発。フレディ・フリーマンが二者連発の9号ソロを放つと、その後もテオスカー・ヘルナンデスが17号2ラン、ジェイソン・ヘイワードも3号2ランを放ち、4本塁打の一発攻勢で一挙7得点のビッグイニングを作った。7回表にエゼキエル・デュランの2号ソロで1点を返されたものの、7回裏にはミゲル・バルガスの犠飛で15点目。15対2の大勝を収め、昨季王者との3連戦の初戦を制した。

 ドジャースの大谷は「2番・DH」でスタメン出場し、初回の第1打席は四球で出塁。今季15個目の盗塁を決め、15本塁打&15盗塁の達成は今季メジャー一番乗りとなった。第2打席も四球を選び、第3打席は空振り三振を喫したが、第4打席で16号2ラン。第5打席は死球で出塁し、2打数1安打2打点3四死球1盗塁で4度出塁する活躍だった。連続試合安打を3に伸ばし、今季の打撃成績は打率.312、出塁率.384、OPS.965となっている。

 

image

 

-------------------------------------------------------------

 ■ 今日の大谷翔平(関連NEWS)

-------------------------------------------------------------

 

【スタメン】

2番DH

 

【出場成績/打者】

2打数 1安打 2打点 3得点 1三振 2四球 1死球 1盗塁(15個) 1本塁打(16号)

通算打率・312

OPS・965

 

◆第1打席:

(結果)四球

(状況)1回1死走者なし

(投手)デーン・ダニング右

※1回1死、右腕ダニングと対戦。フルカウントから低めのチェンジアップを見極め、四球で出塁した。続くフリーマンへの4球目でスタートを切り、悠々と二盗を成功させた。これが今季15個目、メジャー通算101個目の盗塁となった。

 

 

◆第2打席:

(結果)四球

(状況)3回1死走者なし

(投手)デーン・ダニング右

※カウント3-1から外角低めのカットボールを見極め、2打席連続の四球で出塁した。

 

◆第3打席:

(結果)空振り三振

(状況)4回2死2塁

(投手)ジョナサン・ヘルナンデス右

※低めの変化球で攻められ、カウント1-2から内角低めのスライダーにバットが空を切った。

 

◆第4打席:

(結果)ホームラン

(状況)6回1死1塁

(投手)グラント・アンダーソン右

※カウント2―2からの6球目、真ん中高めの92・2マイル(約149キロ)のフォーシームを捉えて振り抜いた。バットが破壊音を発すると大谷は確信歩き、ドジャー・スタジアムも大歓声に包まれた。角度23度、打球速度114・2マイル(約183・8キロ)で夜空に伸びるとあっという間に右中間席へ着弾。5試合ぶりの16号2ラン。飛距離433フィート(約132メートル)の特大弾。

 

 

 

◆第5打席:

(結果)死球

(状況)7回1死走者なし

(投手)ヘスス・ティノコ右

※2打席連続弾の期待がかかった7回1死走者なしの5打席目は左足つま先への死球だった。最初はボール判定だったが、チャレンジをアピールし、リプレー判定で死球と判定が覆った。

 

【コメント】

試合後テレビインタビュー

ーー昨季ワールドチャンピオンのレンジャーズに完勝した
「(エンゼルス時代に)数多く同地区でやってきてはいるので、特別な感じはしなかったですけど。全体的にいい試合ができて、強いチームを相手にいいゲームだったなと思います。

ーー16号2ランを振り返って
「甘い球を最後しっかりといい形で打てたので。その他の打席も基本的にはいい打席だったので。今日は良かったんじゃないかなと思います。」

ーー打撃の調子は
「休みを挟んで今日は新たな気持ちで、またいい感触だったと思うので。これをまず継続していきたいなと思ってます。」

ーーチームの状況は
「カードの初戦っていうのは、やっぱりどこのチーム相手でも大事だと思うので。そういう意味では今日勝ったのも、ヤンキースタジアムで勝ち越したのも大きいですし。また明日、勝ち越しをまず決められるように頑張りたいなと思います。」
 

 

【NEWS情報】

◯ 大谷は試合前の練習中には、グラウンドに姿を見せて、約20メートルの距離で70球のキャッチボールをして調整。クラブハウスに引き上げる際には、ベンチ前に集まっていたファンにサインを書くサービスを見せていた。

 

imageimage

 

◯ 大谷は今季これまで白を基調としたスパイクを着用していたが、この日は鮮やかなブルーが際立つスパイクで臨んだ。

 

 

 16号ボールをゲットしたのは、球場近くに住むスケーターのエンジェル・オロスさん(28)。ホームランボールを幸運にもゲットし「とても興奮しているよ。とてもクールだ。ボールが来てジャンプして捕ったんだ」とニンマリ。名前はエンゼルながら「ここで生まれ育った」と根っからのドジャースファン。それでも「翔平はエンゼルスにいる時からファンだったよ。彼は男だね」と明かした。本塁打ボールは「僕がキープするつもりだ。僕のお土産だね」ときっぱり。転売するつもりはなく、手元に置くと答えた。

 

◯ 大谷、ロバーツ監督らが前カードのヤンキース戦中に出張散髪のサービスを受けた。ニューヨークにある理容室「ジョーダン」から球場に理容師が派遣され、試合前に球場で散髪するというもの。野球選手御用達でヤンキースのジャッジ、ソト、ブルージェイズのゲレーロJr.などトッププレーヤー達も手がけていると紹介されており、サイン入りユニホームも見られる。椅子に座り、理容師とともにニッコリと笑みを浮かべる大谷。さらにロバーツ監督やベッツ、T・ヘルナンデスらもサービスを受けた。ハードな日程を消化するMLBでは各球団も出張散髪を利用しており、他にも球場で洗車を受けられる日もあるという。

image
 

-------------------------------------------------------------

 ■ 試合情報(ドジャース関連NEWS)

-------------------------------------------------------------

 

【コメント】

デーブ・ロバーツ監督:

ーー大谷の打撃の調子があまり良くなかったか

「そんなことはない!彼はポーカー(フェイス)プレーヤーだからね。安堵や感情をあまり出さない」

ーー5試合ぶりの一発に加え3四死球に

「彼がボールを捉え本塁打し、いくつか四球も選んだことはいい感じだ。久しくやっていなかったことだと思ったし、高めの球を捉え、それをなんとかすることができた。彼は低めの球を追いかけている時よりも高めの球を捉えている時の方がずっといい」

 

ーー大谷から誕生日にもらった岡山産のウイスキーを飲んだか

「まだ飲んでないんだよ」

 

-------------------------------------------------------------

 ■ 注目記事&コラム

-------------------------------------------------------------

 

◆ 大谷翔平が「豪邸報道」に猛激怒していた…!日テレとフジが「出禁」になった「深刻すぎる理由」

(情報:週刊現代)

###

大谷が激怒したワケ

 「ロサンゼルス・ドジャース」で活躍する大谷翔平(29歳)から、日本テレビとフジテレビが「出禁処分」を下されていたことが、週刊現代の取材でわかった。

【写真】美しすぎる…大谷の妻・真美子さんの「美貌」に世界が驚愕!

 「日テレとフジは、ドジャースから貸与されている『取材パス』を凍結されてしまったのです。さらに、大谷選手のマネジメントなどを行っている会社からも、『大谷の過去素材を使用しないよう』通達された。

 これにより、日テレは6月9日放送のスポーツ特番に関しても映像の差し替えを余儀なくされました。局内は蜂の巣をつついたよう騒ぎになっています」(日テレ関係者)

 日テレとフジは、なぜそこまで大谷を怒らせてしまったのか。

 「日テレとフジは先月、大谷選手がロスに12億円の豪邸を購入したことを詳細に報じました。空撮映像や自宅前からのレポート、近所へのインタビューなどワイドショー取材のような映像を流した。まるでお祭り騒ぎでした。

 大谷選手はこれらの報道に怒ったそうです。米国では、セレブの自宅に強盗が入ったり、家族が誘拐され多額の身代金を要求される事件が頻発している。スーパースターである大谷選手も、狙われる可能性は大いにあるのです。

 そのなかで、日テレとフジは見れば誰でも大谷選手の自宅住所を特定できてしまうような映像を流した。妻の真美子さんに危険が及ぶかもしれないだけに、大谷選手は看過できなかったのでしょう」(現地テレビ局駐在員)

水原事件で深まった日本メディアへの不信感

 日テレとフジの言い分は、「現地メディアや地元テレビ局が報じた内容をなぞったものを放送した」というもの。現在、両社は何とか「出禁」を解いてもらおうと、代理人を通じてドジャースやマネジメント会社と折衝を続けているが、大谷の怒りは収まりそうにないという。

 「以前の大谷選手は日本人のテレビクルーや記者を見つけると、自ら進んで取材を受けるほど友好的でした。しかし、元通訳の水原一平氏の事件以来、日本メディアへの不信感を強めるようになってしまった。“大谷選手も野球賭博に加担していたのではないか”という根も葉もない情報が出たことが原因だそうです。

 また、妻である真美子さんの素性をこぞって調べあげたことも、不信感を強めることになった。『出禁』は今回の『豪邸報道』だけが理由ではないのです」(同前)

 大谷の映像を流せるかどうかは、テレビ局にとって死活問題。大谷を取り上げた企画は軒並み好視聴率を記録するからだ。

 「ホームランを打った場面はもちろんですが、プライベートな映像も視聴率を急騰させます。大谷選手が番組平均視聴率を2~3%押し上げることもある」(フジテレビ関係者)

 

日テレとフジテレビの回答


 ドジャースから取材パスを凍結され、マネジメント会社からも「映像の使用禁止」を通達されたのは事実か。「現代ビジネス」が質問書を送ると、日テレとフジテレビはそれぞれ次のように回答した。

 「本日いただきましたご質問に関して、大変恐縮ですが、取材に関するご質問については一切お答えしておりません。ご理解のほどよろしくお願いいたします」(日本テレビ広報部)

 「特に回答することはございません」(フジテレビ企業広報部)

 日テレとフジの焦りは大きく、両社の上層部は頭を抱えているという。

 ・・・・・

###

 

◆ 「オオタニは彼らとは違うんだよ…」ドジャース大谷翔平にヤンキース球場職員が放った“皮肉”のワケ…徹底的なブーイングのウラに「複雑な心境」

笹田幸嗣氏/情報:NumberWEB)
###

 8年ぶりにニューヨークで行われたドジャースとヤンキースの戦い。歴史ある東西の雄がともに地区首位を走り激突した3連戦はすべて全米で映像視聴が可能となった。まさにポストシーズン並みの扱い。『ワールドシリーズ前哨戦』と呼ばれるには理由があった。結果はドジャースの2勝1敗。見応えのあるシリーズとなった。

 その中でブロンクスのファンは3連戦を通じ大谷翔平へ徹底的に「ブーイング」を浴びせかけた。全戦、全打席。Boo!  の熱量が冷めることはなかった。

 ニューヨークのファンにとって大谷は『叶わぬ恋の相手』だ。17年オフも昨オフもヤンキースは大谷サイドに熱烈オファーを投げかけた。しかし、返答はけんもほろろ。彼らにとってみれば、恋心を抱き、言葉を投げかけても、見向きもしてくれない。そんなつれない相手、それが大谷翔平だ。その思いがブーイングにあらわれ、球場で働くスタッフも同じ思いを持っていた。

ヤンキース球場職員、オオタニへの複雑な心境


 ヤンキースタジアムには新旧を含め取材で多く通った。03年から06年は旧スタジアムに松井秀喜番として、12年途中から15年までは新スタジアムでイチロー、黒田博樹、田中将大の取材をした。球場職員はその当時から働いているスタッフが多く、今でも顔見知りが残っている。そのうちの2人が声をかけてきた。

「久しぶりだね。ドジャースをフォローしているのか?  ロサンゼルスから日本へは飛行機でどれくらいの時間がかかるんだ」

 およそ10時間と答えた。

「ニューヨークよりはるかに近いな。ここから日本は18時間もかかる(*実際は14時間ほど)。ニューヨークは遠すぎるんだ。ロサンゼルスは日本に近くていい。だから最近の日本の選手はみんな西海岸へ行くんだ」

 彼らなりに大谷がニューヨークへ来ない理由を見つけだし、心を納得させようとしているように感じた。

 もうひとりのスタッフが話し出した。

「ニューヨークと違いロサンゼルスは(ファンやメディアからの)プレッシャーが少ないからな。プレーするのが楽なんだよ。松井、イチロー、黒田、田中はこの街とともに戦ってきた。彼らはプレッシャーにも負けず、素晴らしい選手だった。彼らと大谷は違うんだよ」

 

ヤンキースにチャンスが訪れるタイミング


 無理もない。恋焦がれ、相手にされなかった相手だ。だが、彼らには誤解もあると感じた。私見ではあるが、なぜ大谷がロサンゼルスの球団を選んできたのか。彼らに説明した。

「二刀流選手にとって気候は重要なポイントだと思う。ニューヨークを含めた東海岸は天候が安定しない。雨での中止や中断がたくさんある。これは二刀流の選手がプレーするには難しい条件になる。スケジュールが一定しないからね。これは大谷にはコントロールできない問題だ。だからどうしても東海岸のチームはチャンスが少なくなってしまうんだと思うよ」

 彼らは黙って聞いていた。そして、こんな言葉を投げかけてきた。

「ニューヨークをホームタウンとしてプレーする可能性はないということだな」

 ドジャースと10年契約があることは理解した上で返した。

「二刀流をやっている限りは難しいと思うよ。でも、もし彼が打者に専念するときがくれば、気候の問題は関係なくなる。ヤンキースにもチャンスは生まれるかもしれないね」

 彼らがようやく笑った。

大谷へのブーイングの裏にある“ヤンキース魂”


 ヤンキースには今季パドレスから25歳のスーパースター、フアン・ソトが加入した。アーロン・ジャッジとのコンビはドジャースのベッツ、大谷、フリーマンのMVPトリオに匹敵するほど他球団にとっては脅威の存在だ。ドラフト1位で獲得した伸び盛りの23歳の遊撃手、アンソニー・ボルピも台頭著しい。そして、投手では100マイル近い速球を武器にする26歳のルイス・ヒルがトミー・ジョン手術を経てエース級の働きを見せている。大谷への思いもおさまり、今のヤンキースに満足しているのではないか。だが彼らは違った。『欲しい選手は必ず獲る』。球場職員の立場でも、ヤンキース魂をしっかりと持っていた。

 ワールドシリーズ出場40回、優勝27回のヤンキースに対し、ドジャースは出場21回、優勝7回。1958年のロサンゼルス移転前はマンハッタンの対岸の街、ブルックリンに本拠を置いていた背景もあり両球団は特別な関係であり歴史がある。4カ月後の10月にこの伝統球団同士の第120回ワールドシリーズは実現するのか。となれば、ブロンクスのファンは大谷へ大きなブーイングを送り続けるだろう。だが、それは彼らなりの『Love Call』の裏返し。実現を楽しみに待ちたい。

(「メジャーリーグPRESS」笹田幸嗣 = 文)

###

 

◆ NHK解説者が思わず「え?」ドジャース大谷翔平、1つだけの“懸念点”…武田一浩が語る「審判の“微妙判定”が…」「でも今季はレベルが違う」

沼澤典史氏/情報:NumberWEB)

###

 ドジャース移籍1年目の大谷翔平。今や彼の一挙手一投足は日本中が注目している。そんな大谷は5月終了時点で打率.326、ホームラン14本、盗塁13という成績を残し、ドジャースも地区1位と順調な滑り出しを見せている。

 5月だけの成績に限ると大谷は打率.312、7本塁打、8盗塁を記録。大谷の場合、多くの人が期待しているのはホームランだが、現地時間5月4日~6日までは4本と固め打ち。14日と17日にも1本ずつ放っているが、その次の快音(29日)まで9試合空いた。その9試合中4試合は無安打に終わっており、月初のハイペースぶりから見れば、やや尻すぼみ感を覚えたファンも少なくないだろう。

 そんな5月までの大谷の活躍について、NHKで長らくMLB中継の解説を務める武田一浩氏(元日ハム、ダイエー、中日、巨人)は「いやいや、期待通りでしょう」と述べる。

「みんな、大谷への期待値が上がりすぎているんですよ。今シーズンは、エンゼルス時代のように、一気に調子が悪くなって、からっきし打てないというゲームもないし、打率も3割を超えていますから、期待通りです。エンゼルス時代の打率は2割台後半が多かったですが、今年は打者に専念していることもあり、3、4分も上がっているんですよ。去年までとは、打者としてのレベルが全然違います。しかも、大谷に対しては各チーム、左ピッチャーを投げさせるなど対策をしていますから、そのなかで3割を維持しているのはすごいことです。本人も、目標はワールドシリーズ制覇と語っているので、チームのためにも打率をあげようという気持ちが強いのではないでしょうか」

「外野手が追わないホームランが多い」


 ホームランについても今年の大谷の打球は格段にレベルアップしているという。

「今年は、完璧に捉えて、打った瞬間ホームランだとわかる打球が増えました。外野手が一歩も動かないホームランも多いので、それほど完璧な当たりだということです。特に、センターからライト方向の打球は外野手が追わないケースが多いですね」

 このような大谷を象徴するようなホームランは4月21日のメッツ戦での1発だと武田氏は言う。これは、松井秀喜を超え、日本人のMLB最多記録となった大谷のMLB通算176本目のホームランである。

「打ったのは131キロのスライダー。打った瞬間、ピッチャーとキャッチャーはガクッとうなだれ、ライトは一歩も動かず、後ろを振り向きもしませんでした。打球速度も177キロ、飛距離129メートルと完璧な当たりでしたね。こういうホームランが今シーズンは増えてきています」

 

NHK解説で思わず「え?」


 まだシーズンは始まったばかりだが、大谷は毎年6月から調子が上がり、ホームランを量産する傾向にある。武田氏も「ピッチャーもバテてくるから、数を稼ぐと思う」と予想するが、ひとつだけ懸念点があるという。

「中継を見ていると、大谷の打席では審判のストライクゾーンが広くなっています。大谷が余裕で見送っている低めのボールが、ストライクを宣告されることもありますね。MLBのアウトコースは日本と比べて広いことは有名ですが、それにしても特に左ピッチャーのときは広いと感じますね。僕も解説で『え? 』と言ってしまうときがありますから」

 例えば5月15日のジャイアンツ戦で大谷は、低めと外の明らかなボール球をストライク判定されていた。特に低めの1球は、低めから低めに外れる変化球であった。あまり深く詮索はしたくないが、審判は誰にでも公平とは限らないのだろう。ちなみに、この判定に対し、大谷は首を傾げる仕草をするなど不満をあらわに。疑惑の判定の影響もあるのかは不明だが、大谷の変化を武田氏は指摘する。

「最近、取材後のインタビューで表情を出すようになりましたね。打てない時とかに、ちょっと怒っている感じ。ただ、そういう環境を乗り越えて今までも打ってきたので、大谷にとって大きなハードルにはならないでしょうけど」

今季予想「40~50本は打つ」


 それでは、現状を見るに、大谷は最終的にどれほどの成績を残すのだろうか。

「今シーズンは40~50本は打つと思います。残り100試合近くあって、(年間40本ならあと)25本なので軽く打つでしょうね。盗塁も40はします。大谷は年々成長しているので、見ている側にとってもワクワク感が半端じゃないですよ。大体の野球選手は30歳頃で成長が止まるんですが、大谷は止まらないし、成長の限界が予想できない。バリー・ボンズが記録したMLB最多73本塁打も抜いてくれそうなスケールがありますね。先発が比較的長いイニングを投げていた当時と違って、現在はショートイニングを投げるピッチャーが増えました。そのなかで70本打ったら、本当にすごいです」

 

今永昇太がなかなか勝てなかった理由


 一方、今シーズン大谷と並んで注目される日本人選手はカブスの今永昇太だろう。今永は開幕から無傷の5連勝を飾り、防御率も0点台という驚異的な数字を残していた。

 しかし、その後なかなか勝ち星を挙げることはできずにいる(※6月9日のレッズ戦で6勝目を挙げた)。今永について武田氏はこう指摘する。

「さすがに疲れがでたのでしょう。5勝目までは中5日での登板でしたが、途中で雨でスライドして中10日になりましたね。あれで、張り詰めていた気持ちも抜けたんだと思います。試合感覚も鈍っていたでしょうし。そういうときのピッチャーは2登板くらい内容が悪くなってしまうものです。事実、低めを狙ったボールが高めにいって、打たれていました。なので、今永については次の登板でいかに修正するか。また、現状真っ直ぐとスプリットの2球種で抑えていますが、他のスライダーやカットボールをいかに使っていくか。おそらく、スライダーなどはMLBのボールに合わず、曲がり方がしっくりきていないのではないでしょうか。今後、さらに勝ち星を挙げるには、そこのアジャストをして、投球の幅を広げられるかどうかでしょうね」

 大谷も今永も6月に、どこまで数字が伸びるか楽しみにしたい。武田氏には6月終了時点で、再び彼らの総評を行なってもらう。

(「メジャーリーグPRESS」沼澤典史 = 文)

###

 

-------------------------------------------------------------

 ■ NOTE

 

imageimage