2024年5月24日

 

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 ■ 今日の大谷翔平(関連NEWS)

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◯ メジャーリーグ機構は23日(日本時間24日)、大谷が記録した内野安打を相手投手の失策に変更した。20日に本拠地で行われたダイヤモンドバックス戦、初回の第1打席にセーフティバントで出塁した場面。打率.354から.348に下がったものの、メジャー1位をキープしている。1死走者なしだったが、初球からバットを寝かせた。相手先発のジョー・マンティプリー投手の意表をつき、一塁への送球が逸れて出塁。内野安打と記録されていた。マンティプリーは、メジャー7年目にして初めての失策となった。

 

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 ■ 球界情報

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WBC:

◯ メジャーリーグ機構(MLB)は23日(日本時間24日)、2026年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の開催地を発表。1次ラウンドのプールCは東京ドームで開催されることが決まった。1次ラウンドは日本の他にプールAがプエルトリコのサンフアン、プールBがアストロズの本拠地、テキサス州ヒューストンのミニッツメイドパーク、プールDがマーリンズの本拠地、フロリダ州マイアミのローンデポパークで行われる。準々決勝からは全て米国で開催。準決勝、決勝も前回大会に続き、ローンデポパークで開催が決まった。

 

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ニューヨーク・ヤンキース:

◯ 日本時間5月24日、ア・リーグ東地区の首位に立つヤンキースは本拠地ヤンキー・スタジアムでのマリナーズ4連戦の最終戦を迎え、5対0で快勝。2連敗のあとの2連勝で、4連戦を2勝2敗で終えた。ヤンキース先発の新人右腕ルイス・ヒルは7回途中まで1安打8奪三振無失点の快投を見せ、6勝目(1敗)をマーク。4番手のクレイ・ホームズが14セーブ目を挙げ、マリナーズ先発のルイス・カスティーヨは5回7安打2失点で6敗目(4勝)を喫した。

 

アーロン・ジャッジ外野手が2試合連発となる15号ソロを放った。ジャッジは1点リードの3回の第2打席で相手先発・カスティーヨのチェンジアップをかち上げると、打球は中堅右へ着弾。2試合連続本塁打となる15号でリードを広げた。15本は両リーグ最多17本を放っているアストロズ・タッカーに2差でア・リーグ3位。5月9本目でリーグこそ違うものの13本の大谷に2本差を付けた。試合はスタントンにも12号先制ソロが飛び出した。ジャッジとスタントンの大砲コンビは通算40度目(ポストシーズンも含む)となるアベック本塁打を記録。ホルヘ・ポサダ&アレックス・ロドリゲスを抜き、球団史上単独5位に浮上した。

 

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 ■ 注目記事&コラム

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◆ 番記者に聞く大谷翔平MVPの可能性 “出口調査”で本音、ベッツ超えに必要な圧倒的成績

川村虎大氏/情報:Full-Count)

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 ドジャース・大谷翔平投手は22日(日本時間23日)の時点で、打率.354、13本塁打、34打点、OPS1.068と驚異の成績を残している。いまだ5月だが、すでに今季のMVP候補としても名前があがる。ただ、現時点でライバルとなるのが同僚のムーキー・ベッツ内野手だ。

 

 エンゼルス時代の昨季、史上初となる2度目の満票MVPを獲得した大谷は今季、右肘手術の影響で打者に専念している。指名打者メインでプレーした選手で、MVPを獲得した選手はメジャーの歴史でゼロ。史上初の快挙で両リーグMVPに期待がかかっている。

 

 レースの上で一番のライバルはベッツだろう。今季から遊撃に転向し、ここまで打率.330、8本塁打、OPS.970をマークしている。22日の試合前の時点でデータサイト「ファングラフス」が算出するWARでは、大谷が「3.2」、ベッツが「3.0」でナ・リーグの1位、2位となっている。

 

 では、2人の活躍を日頃から見ているドジャースの番記者たちはどちらに入れるのか。ドジャースタジアムでMLB公式サイトのフアン・トリビオ記者、地元紙「ロサンゼルス・タイムズ」のジャック・ハリス記者、米スポーツ局「ESPN」のオールデン・ゴンザレス記者、地元紙「オレンジカウンティ・レジスター」などに寄稿するダグ・パディラ記者に出口調査。4人全員が「現時点ではベッツ」と答えた。

 

 いずれの記者が共通して話したのは、ベッツが遊撃へ本格的に転向して1年目ということ。ハリス記者は「ムーキーは守備負担の大きいポジションでプレーして、十分なレベルでこなしているし、攻撃面での数字はオオタニが彼を少し上回っているだけ」と分析。ゴンザレス記者も「議論の余地はあるかもしれないがフィールド上で最も負担の大きいポジションで成長し続け、ドジャースに大きく貢献している。さらにMVP級の打撃も見せている。彼を打ち破るのは難しい」と分析する。

 

 一方でどの記者も大谷がMVPを獲得することを否定はしなかった。トリビオ記者は「指名打者で獲るとしたら彼だろうね。本塁打、打点、打率など、信じられない数字を残している」と理由を明かす。ゴンザレス記者も「投げない、守備的な価値を見出さないとなると、打者として(成績面で他の打者と比べて)違いを際立たせる必要がある。でも今の彼はそれをやっているところ。3冠王や、もしかしたら40本塁打&40盗塁も達成する可能性がある勢いだ」と舌を巻く。

 

 では、大谷がMVPを獲るにはどうしたらいいのか。この質問には記者それぞれで反応が分かれた。ハリス記者が指摘したのは盗塁と勝負強い打撃だ。「盗塁が大きな助けになると思う。去年、ロナルド(アクーニャJr.)がMVPを獲得したのは盗塁の影響も大きかった。それと重要な場面でのタイムリーな打撃も助けになるかもしれない。今月彼はそれが(今シーズンの現在より前の時点と比べ」うまくできている」。トリビオ記者は「50本塁打のような大きな数字を残すこと」。ゴンザレス記者はベッツを打撃指標で圧倒的に差をつけることがMVP獲得の鍵とした。

 

 パディラ記者も「もしショウヘイが(今後も)中軸でいい活躍をすることができれば、チャンスはあるでしょう」とみる。そして、その後の返事は少しユニークだった。大谷が後半戦で守備に就くことや登板することでMVPの可能性が高くなることについて言及。「リスクが大きすぎる。MVP投票は2位か3位に終わるかもしれないけど、来年二刀流をして9シーズンMVPを獲得すればいいのです」。いずれにせよ、大谷への期待値が高く、さらなる高みを目指せると番記者たちも思っていることだけは、間違いなさそうだった。

 

川村虎大 / Kodai Kawamura

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◆ 大谷翔平投手の豪邸購入報道…大谷夫妻のセンスの高さと日米記者の反応の違いを米在住記者が「見た」

村山みち氏/情報:スポーツ報知)

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 ロサンゼルス・タイムズ紙が23日(日本時間24日)、大谷翔平投手がロサンゼルス(LA)に豪邸を購入したと報じた。Googleの航空写真とともに、その豪邸の写真も掲載。記事が出た数時間後、ドジャースタジアムに集まった野球記者も当然その話題で盛り上がった。

 LAで多くのセレブが住む高級住宅地といえばビバリーヒルズやその近郊が有名。でも、大谷夫妻が選んだのは、ビバリーヒルズよりもずっと静かでこじんまりとしたラ・カニャーダ・フリントリッジだった。豊かな緑に囲まれた景観の美しさと山の手の高級住宅地の品の良さを兼ね揃え、治安も学区も良く、洗練された人々が集う街。しかも、なんと言っても、渋滞が当たり前のLAで唯一と言っていいほど渋滞のない、ドジャースタジアムまで車で約20分の距離という、大谷選手にとっては理想的なエリアだ。「静かに暮らしたいセレブが好む街」を選んだ夫妻のセンスの良さは、さすがと感じた。

 ちなみにここには映画俳優のケビン・コスナーや女優のアンジェラ・バセット、歌手のマイリー・サイラスや、多くのプロスポーツ選手が住んでいる。 

 大谷夫妻の新居が当地に決まったと知った、私を含めた米国在住記者たちは、「おー、なるほど、そこがあったか」と感心したり、「ナイス・チョイス! 子供を育てるにも最適だね」と誰もが笑顔。まるで親戚の新婚夫婦が新居を購入したような祝福ムードで会話が弾んだ。

 一方、日本から出張で来ている記者たちの多くは、この報道に戸惑っているようだった。「これは個人情報だから不適切では?」と心配していた。それは確かにそうなのだが、ただ単に日米の不動産登記の情報開示システムの違いではないかと思う。自分の家の場所を報道されて喜ぶ人が少ないのは、日米同じ。ただ、米国では日本に比べて、容易に不動産の所有者など詳細を調べられる。

 

 州や市によって法律やシステムは多少異なるが、不動産を売買する際には所有権を書類にして管轄区に届け出る必要があり、届けられた書類は行政にリクエストすれば誰でも見ることができる。ロサンゼルス郡にも、容易にリクエストできる公的サイトがある。そのため、セレブだろうが一般人だろうが、不動産の所有者情報を隠すのはなかなか難しい。

 「アメリカ人は人生で最低3回、家を買い替える」と言われるように、不動産売買が頻繁に行われる米国では不動産売買のサイトもたくさんある。有名なところでは「Zillow」。ここで物件を探すと、価格はもちろん、詳細な写真やこれまでの売買歴と当時の値段、コミュニティーの雰囲気など様々な情報がわかる。私も実際にこのサイトを見ていて「これは…」という物件があったのでクリックしたら、それがまさに本日の話題の一軒だった。トイレの数はもとより、ガレージには何台まで車を駐車できるかなど情報が詳細に明記されていた。米在住の私でも「こんなに簡単に家の情報がわかってしまうのは、いかがなものか」と焦ったほどだ。

 観光都市・LAには「ビバリーヒルズのセレブ豪邸を巡るツアー」があり、世界中の多くの観光客が参加している。とはいえ、このツアーは住んでいる人たちには迷惑に違いない。この日、大谷夫妻が住む家は公開された。しかしながら、この地域がビバリーヒルズ化しないことを切に願う。そこは日本が誇る宝、大谷選手のいこいの場所なのだから。

(通信員・村山 みち)

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◆ 大谷翔平はなぜ打率1位? 克服した課題「.352」…過去6年を置き去りにする圧倒的打棒

(情報:Full-Count)

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 日本人2人目の偉業へ視界は良好だ。ドジャース・大谷翔平投手は22日(日本時間23日)、本拠地・ダイヤモンドバックス戦に「2番・指名打者」で出場。チームは今季3度目の完封負けを喫したものの、4打数1安打をマーク。打率.354とし、両リーグトップを快走している。昨年は渡米後初めて打率3割(.304)をクリアしたとはいえ、今季はさらに打率が上昇。一体何が変わったのだろうか。

 

 大きく注目したいのが「.352」という数字だ。これは大谷の今季の“変化球打率”を示している。MLB公式のデータサイト「ベースボール・サバント」は14種類の球種を系統別にファストボール(フォーシームなど3種)、オフスピード(チェンジアップ、スプリッターなど4種)、ブレイキング(カーブ、スライダーなど7種)の3カテゴリーに分けている。

 

 大谷は今季、速球以外のボールに対して打率.352をマーク。変化球を300球以上投じられた打者では、ナ・リーグトップの数字を残している。そして、過去6シーズンの数字と比べると、今季の“変化球打率”がいかに突出しているのかが一目瞭然だ。

 

2024年 打率.352/出塁率.398/長打率.693/ISO.341

2023年 打率.247/出塁率.310/長打率.556/ISO.308

2022年 打率.235/出塁率.289/長打率.461/ISO.226

2021年 打率.237/出塁率.325/長打率.565/ISO.329

2020年 打率.152/出塁率.211/長打率.258/ISO.106

2019年 打率.258/出塁率.296/長打率.412/ISO.154

2018年 打率.262/出塁率.319/長打率.444/ISO.183

 

 変化球に対して最も打率が高かったのが、渡米1年目の2018年で.262。それが今季はベストシーズンから一気に8分以上も上昇。もちろん、持ち味の長打力も健在で、長打率から打率を引いて算出されるパワーを示す指標「ISO(Isolated Power)」も、46本塁打を放った2021年(.329)、本塁打王に輝いた2023年(.308)を上回る.341と、図抜けた数字となっている。ISOは22日(同23日時点)で本塁打リーグ1位のマルセル・オズナ外野手(ブレーブス/.412)に次ぐ2位だ。

 

 サヨナラ打を放った19日(同20日)の試合後取材で、大谷は率を残せている要因について「基本的にはどの打席も、基本的なことは変わらない。ボール球を振らずにストライクを振っていくという作業自体は変わらない。その状況、状況に合ったバッティングはあると思うので、その状況に合ったバッティングをできれば必然的に率も残ってくるのではないかなと思います」と分析した。

 

 言うは易く行うは難し。実際に速球系に対しても打率.355としっかり打ち返していて、変化球系とともに打率.340以上を残しているのは両リーグを通じても大谷だけしかいない。これまでの“課題”を冷静に対処しているのが、首位打者レースを独走している要因と言えそうだ。

 

 日本人選手で首位打者のタイトルを手にしたのは、2001年と2004年のイチローしかいない。果たして大谷は2人目の快挙に手が届くのか――。進化の止まらない打棒があれば、十分に実現可能だろう。

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◆ ドジャース・大谷翔平&ベッツ、ヤンキース・ジャッジ&ソト、メジャー史上初「同一シーズンで同僚コンビ2組がOPS+175」なるか

(情報:中日スポーツ)

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 ドジャースの大谷翔平選手(29)は23日(日本時間24日)、移動日で試合がなかった。次戦は日本時間25日午前8時10分開始予定の敵地シンシナティでのレッズ戦。33勝19敗のドジャースは、ナ・リーグ西地区2位のパドレスに6・5ゲーム差をつけて首位を独走している。

 

 米ベースボールイズデッドは同日、ドジャースの「大谷翔平とムーキー・ベッツ」、そしてヤンキースの「アーロン・ジャッジとフアン・ソト」の同僚コンビ2組が、今季メジャー史上初の快挙を達成できるかに注目した。

 

 OPS(出塁率+長打率)のリーグ平均を100で換算した「OPS+」は、大谷がカイル・タッカー(アストロズ)の「203」に次ぐメジャー全体で2位の「200」、ジャッジ「177」、ベッツとソトが「175」で並んでいる。

 

 同メディアは「1900年以降の近代メジャーでOPS+が150以上(最低500打席)だった同僚コンビは3組しかいない。そして、同一シーズンに2組以上がマークしたことは一度もない」と紹介した。

 

 過去の達成コンビはヤンキースのベーブ・ルース&ルー・ゲーリッグ(6度)、1969年セネタースのフランク・ハワード&マイク・エプスタイン、89年ジャイアンツのウィル・クラークとケビン・ミッチェルとなっている。ヤンキースを球界の盟主へと押し上げた2人が傑出しているが、大谷&ベッツがこれらのレジェンドに追随できるかも注目だ。

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◆ ジャッジ、大谷翔平を圧倒する“月間メジャー9冠” 21戦9発…衝撃の69本塁打ペース

(情報:Full-Count)

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 ヤンキースのアーロン・ジャッジ外野手が、5月の個人成績でメジャー9冠を走っている。23日(日本時間24日)に本拠地で行われたマリナーズ戦で15号ソロ。21試合に出場して打率.391、9本塁打、17打点、OPS1.475と止まらない。

 

「3番・中堅」で先発出場すると、3回1死走者なしの第2打席で好投手のカスティーヨを捉えた。2ボールから真ん中に入ったチェンジアップを強振。右中間への大飛球は、ブルペンに吸い込まれた。2打数2安打2四球の大暴れだった。

 

 4月は31試合で打率.207、6本塁打、OPS.754にとどまり心配されたが、あっという間にOPSは1を超えた。ここまで52試合に出場して打率.276、15本塁打、35打点、OPS1.027。本塁打はトップと2本差に迫り、キングの座も射程圏だ。

 

 5月に限ると得点、二塁打、四球、出塁率、長打率、OPS、長打、塁打、ISOの9冠。5月の勢いをシーズン162試合に換算すると、69本塁打ペースとなる。ドジャースの大谷翔平投手はナ・リーグでは3冠だが、メジャー全体で見るとすべてジャッジに上回られて無冠。リーグは異なるが2人の争いにも注目だ。

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◆ 大谷翔平12億円豪邸購入と地元紙報道 球場から車で20分、前の持ち主は米有名コメディアン

(情報:日刊スポーツ)

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 ドジャース大谷翔平投手が、ロサンゼルスに785万ドル(約12億2000万円)の豪邸を購入したと、ロサンゼルス・タイムズ電子版が22日、伝えた。不動産売買記録と不動産関係者から確認したという。

 

 豪邸はドジャースタジアムから北へ約20キロに位置するラ・カナダ・フリントリッジ地区にある。球場への車での通勤は約20分程度となる。邸宅は同地区でも最高級クラスで、13年に建てられた。敷地は約1エーカー(約1200坪)、建物は7327平方フィート(約681平方メートル=約206坪)で3階建て。大谷の前の持ち主は、米有名コメディアンのアダム・カローラ氏だという。

 

 室内と室外にリビングがあり、映画観賞室、プール、サウナ、ジム、バスケットボールコート、2つの暖炉、4台分のガレージなどの施設が充実している。寝室が5室、バスルームが6・5カ所あり、主寝室はスイートルーム仕様でバルコニーやジェットバスがついている。リビングは中世風の豪華なインテリアになっており、キッチンも特注の豪華な造り。ラウンジからはプールとスパと庭が見渡せる。

 

 カローラ氏は米サイト「マンション・グローバル」で「この家はモダンな建築様式と家庭的な雰囲気のバランスが取れている。子供たちや友達がプールを使ったり映画を見たりして楽しんでいるのを見るのが好きだった」と話している。不動産業者コービーシのサイトによると、同地区には俳優のケビン・コスナー、通算555本塁打のマニー・ラミレスらが、かつて自宅を構えていた。

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◆ 藤浪晋太郎は〝幽霊選手〟になった…「メジャー昇格→即IL入り」が示唆する戦力外通告 鬼筆のスポ魂

植村徹也氏/情報:産経新聞)

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もはや進退窮まった米大リーグ、メッツの藤浪晋太郎投手(30)に救いの手を差し伸べるのは、古巣の阪神しかないのではないか。受け皿がどこにもない現状で、新たな動きが何もなければ、藤浪の選択肢は現役引退しかなくなってしまう気がする。

 

■3Aで防御率14.09

 

藤浪の負傷者リスト(IL)入りが発表されたのは13日(日本時間14日)。理由は右肩の張りだった。期間は通常ならば最短15日間だが、今回のケースは通常の扱いとは明らかに違う。メッツは悩める右腕を傘下の3Aシラキュースからメジャーに昇格させた上で、そのまま負傷者リストに入れたのだ。

 

3Aで9試合に登板し、防御率14・09の投手が降格ではなく、なぜかメジャーに昇格。IL入りは最長60日間だが、さまざまな手続きを踏めば今季終了まで継続の可能性もある。現時点でシーズン前半戦のうちにマウンドに戻ることは絶望的だ。

 

■大乱調なのになぜ昇格?

 

メッツは今季、藤浪と年俸335万ドル(約5億円)プラス出来高最大85万ドル(約1億3千万円)で1年契約を結んだ。昨年7月にアスレチックスからオリオールズに移籍後、日本人最速の約165キロの球速を記録するなど、リリーフで2勝2セーブ、2ホールドの活躍をみせた右腕がオフにフリーエージェント(FA)になると好条件で獲得した。

 

しかし、藤浪はオープン戦5試合で防御率12・27の大乱調。3月下旬に3Aに降格後も制球難は改善されず、マイナーでの最後の登板となった5月3日のロチェスター戦では四球連発で降板し、代わって野手がマウンドに送られた。その後、右肩の張りによるIL入りとメジャー昇格が同時発表された。

 

3Aでも〝使えない投手〟がなぜメジャー昇格なのか。大リーグ関係者は「これで藤浪は俗にいう〝幽霊選手〟になった…ということだ」と話した。

 

■メッツの真の狙い

 

大リーグはロースター(40人の登録枠)管理が厳しい。3Aにおける1チームの投手枠は約10人。制球難で敗戦処理でしか使えない投手を置いておけば、他の投手の登板間隔や頻度が窮屈になる。藤浪によるしわ寄せで投手陣に不満が募るのだ。では2Aや1Aならばどうか、といえば30歳の投手が在籍する場所ではない。将来性豊かな若手投手がしのぎを削るカテゴリーだからだ。

 

一方で、藤浪をメジャーに昇格させて「40人枠」に入れ、同時にIL入りさせればルール上、メジャーには「41人目の選手」を加えることができる。メッツにとって今の藤浪を置いておく最適の場所こそがメジャーだった。ただし、その存在は「40人枠」に入りながら事実上の戦力外。つまりは〝幽霊選手〟というわけだ。

 

■受け皿あるか

 

メッツは藤浪の代理人であるスコット・ボラス氏と去就について話し合いを行っただろう。ただ、藤浪自身が「辞める」と言わない限り、球団は解雇すれば残りの年俸を支払う義務が残る。ただ、マイナーにもメジャーにも置いておく場所はない。ボラス氏も藤浪がシーズン途中で契約解除となれば、自身の代理人としてのキャリアに傷のつく心配もある。受け皿が現れない中での途中退団は誰も得をしない。さまざまな事情の中で「メジャー昇格→即IL入り」という歪(いびつ)な現状が生まれている。

 

問題は藤浪の今後の野球人生だ。自身で退団を希望し、新天地を探さない限り、今季中にマウンドに立てる環境は生まれにくい。では、メッツとの契約が切れる今オフ、今の藤浪を獲得する球団が地球上のどこにあるのか。人情とすれば古巣、そうでなければ現役引退という可能性が現実味を帯びてくる。(金額は推定)

 

植村徹也

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 ■ NOTE