2024年5月19日

 

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 ■ 試合データ

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米国時間:2024年5月18日

日本時間:2024年5月19日(日曜日)

10時10分開始

ロサンゼルス・ドジャース

対シンシナティ・レッズ

@ドジャースタジアム

 

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【MLB.JP 戦評】

 日本時間5月19日、ナ・リーグ西地区の首位を快走するドジャースは本拠地ドジャー・スタジアムでのレッズ4連戦の3戦目を迎え、4投手による3安打完封リレーを完成させて4対0で勝利。4連戦の3戦目を終え、対戦成績はドジャースの2勝1敗となった。ドジャース先発のウォーカー・ビューラーは6回3安打無失点の好投を見せ、2022年5月24日(現地時間)のナショナルズ戦以来2年ぶりとなる勝利投手に(今季1勝1敗)。レッズ先発のグラハム・アッシュクラフトは5回3安打3失点で3敗目(3勝)を喫した。

 

 リードオフマンのムーキー・ベッツが今季初めて休養を与えられ、2番・大谷翔平以降の打順を1つずつ繰り上げる形で打線を組んだドジャースは、4回裏一死1・2塁からアンディ・パヘスが放ったチーム初安打がタイムリーとなり、1点を先制。次打者ギャビン・ラックスの内野ゴロの間に2点目を奪った。5回裏にフレディ・フリーマンのタイムリーで3対0とリードを広げると、先発のビューラーは6回78球を投げて被安打3、奪三振7、与四球0、失点0の好投。8回裏にテオスカー・ヘルナンデスのタイムリーでダメ押しの4点目を奪い、7回以降は3人のリリーバーがレッズ打線を打者9人でパーフェクトに封じた。

 

 ベッツ欠場で今季初めて「1番・DH」に入ったドジャースの大谷は、初回先頭の第1打席でサードゴロ、3回裏二死3塁の第2打席でセカンドゴロ、5回裏一死2塁の第3打席でレフトフライ、7回裏二死走者なしの第4打席でファーストゴロに倒れ、4打数ノーヒット。今季の打撃成績は打率.350、出塁率.418、OPS1.079となった。なお、13本塁打は依然としてナ・リーグ単独トップだが、ガナー・ヘンダーソン(オリオールズ)がマリナーズ戦で14号アーチを放ったため、メジャー全体では2位タイに後退している。

 

 

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 ■ 今日の大谷翔平(関連NEWS)

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【スタメン】

1番DH

 

【出場成績/打者】

4打数 0安打

通算打率・350

OPS1・079

 

◆第1打席:

(結果)サードゴロ

(状況)1回無死走者なし

(投手)グレアム・アシュクラフト右

※97・9マイル(約157・5キロ)カットボールを打って三ゴロ。

 

◆第2打席:

(結果)セカンドゴロ

(状況)3回2死3塁

(投手)グレアム・アシュクラフト右

※先頭のヘルナンデスが四球で出塁すると、バッテリーエラーで二塁へ進んだ。バルガスは見逃し三振に倒れ、ロハスの二ゴロ間に三塁へ進んだ。2死三塁となって大歓声に迎えられながら打席に入った大谷。初球の内角カットボールをスイングしたが、自打球となって右足に当たり「あいたっ!!」と叫んだ。徹底してインサイドを突かれカウント1-2。最後は内角に食い込んでくるボールを捉え損ねての二ゴロ。先制機を逸した。

 

◆第3打席:

(結果)レフトフライ

(状況)5回1死2塁

(投手)グレアム・アシュクラフト右

※カウント1―2からの内寄りのスライダーを打ち損じて左飛に倒れた。

 

◆第4打席:

(結果)ファーストゴロ

(状況)7回2死走者なし

(投手)カーソン・スピアーズ右

※カウント1―1からチェンジアップにタイミングを外されて一ゴロに倒れた。

 

 

【コメント】

なし

 

【NEWS情報】

◯ 落合博満氏が19日、TBSの情報番組「サンデーモーニング」スポーツコーナーにご意見番として生出演。大谷について言及。

 

「(好調の要因は)センター方向に打球が飛んでいるということなんだろうと思います。無理して引っ張り込みにいかないということなんだろうと思うのでね。それが野球の基本ですから。基本に忠実に打っている」

 

「(三冠王の可能性は)あるけども、まだ話題にするには早すぎるでしょう。まだまだ。2番を打っている以上はそんなに打点というのは稼げない。一番そこがネックになってくるんだろうと思います」

 

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 ■ 試合情報(ドジャース関連NEWS)

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【コメント】

デーブ・ロバーツ監督:

(試合前)

「(ベッツの休養)5日前からプランをしていた。13連戦の真ん中あたりで休ませたいと思っていたからね。彼は毎日プレーしたがるが、13日間は長い。今日はデーゲームの前のナイターの試合だし、明日(先発に)戻るのだから、彼にはここでリチャージしてほしい。彼のバッテリーが切れたと言っているわけではないが、彼には常に強くいてほしいから今夜は試合を見ていてほしい」

 

「休みは以前から決まっていたことだ。オフはどの選手にもリセットになる。彼の守備は素晴らしい。彼は自身の設定レベルが他よりも高いのだ。それが彼をグレートな選手にしているのだが、彼は自分に厳しいだけ」

 

「(大谷が1番に入ったこの日の打順について)みんなを少しずつ上にあげた」

 

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 ■ 注目記事&コラム

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◆ 大谷翔平、「プロの打者」へ変化 ボール球を振る確率が減少し醸成される「王者」への機運

奥田英樹氏/情報:webSportiva)

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ロサンゼルス・ドジャースには、シーズン序盤からチームのケミストリー(親和性)を醸成している要素が多く見受けられる。打撃面で注目を集めるベッツやマンシーは現ポジションでの経験の浅さを補うべく、自主的に守備練習に励み、大谷翔平はその打撃に磨きをかけると同時にチームの方針に従い、休養欠場も受け入れている。

 

 ドジャースが世界一に向けた準備をいかに進めているのか、大谷はどのような考えでチームに適応しているのか。地元メディアのドジャース番記者、メジャーリーグ経験豊富なフロントらに現地で話を聞いた。

 

 ロサンゼルス・ドジャースを現地取材するなかで驚かされるのは、ほぼ毎日、内野手たちが試合開始5時間くらい前からフィールドに出て練習に励んでいることだ。メジャーリーグにおいて、こんなチームは過去のドジャースも含めて見たことがない。

 

 遊撃手のムーキー・ベッツ、三塁手のマックス・マンシー、二塁手のギャビン・ラックスのレギュラーを中心に、メジャーを代表する守備の名手のベテラン、ミゲル・ロハスも練習に付き添う。

 

「今までこんなチームにいたことは一度もない。メジャーに限らず、野球人生のなかでもね。毎日、ホームも遠征も、みんなで可能な限りベストの守備陣を作り上げようとしている」

 

 ロハスはそう教えてくれた。

 

 ドジャースの内野守備については、遊撃手と三塁手に疑問符がつけられている。ベッツはメジャー11年目で初の正遊撃手だし、マンシーは主に三塁を守るようになったのが2022年以降であるため、世界一を目指すチームの不安要素のひとつとなっている。

 

 そんな外野からの声に対し、彼らは黙々と練習を続ける。ロハスはいつもベッツと一緒だ。

 

「別に教えているわけではないよ。付き添っているだけさ。16年間、プロで遊撃手をプレーしてきた経験があるから(最初の6年間はマイナーリーグ)、ムーキーが前日の試合のプレーで疑問が生じたり、質問が出てくれば、一緒に身体を動かしながら答えている。今の私は毎日、試合に出ているわけではないから、そこはチームメートとして力になりたい。実際、これを続けることで本当に試合に出る準備をしているようにも感じる」

 

 別に監督やコーチに命じられたわけではない。あくまで選手たちの自主的な行動が習慣化されたに過ぎないと、ロハスは説明する。

 

「ひとり、ふたりと始めたら、みんなが参加するようになった。これだけ続ければ、9回のプレッシャーのかかる場面でもしっかり守れる。毎日コツコツとルーティンを積み重ねれば、成果は必ず現れる。自分もこの仲間に入れてうれしいね」

 

【序盤戦に休養欠場を受け入れた意味】

 

『ロサンゼルス・タイムズ』紙のドジャース担当、ジャック・ハリス記者は、ドジャースの現状を高く評価している。

 

「開幕前の予想より、彼らはうまくプレーできている。特にムーキーはミスをしたら、また同じ失敗を絶対に繰り返さないように真剣そのもの。心配なのは、こんなに練習して長いシーズン体力が持つのかということだが、今のところムーキーは打撃成績も良いし、影響は出ていない」

 

 取材を通じて感じるのは、ドジャースのまとまりのよさだ。世界一という大きな目標のために、みんなで力を出し合い、いい雰囲気を醸し出している。

 

「チームの絆はシーズンを通して育んでいくものだから、良い悪いを決めるのは早いけど、気づくのは大谷や山本由伸が自然にチームに受け入れられていること。水原一平・元通訳のスキャンダルもあったのに、頻繁に冗談を言い合ったり、笑ったり、溶け込んでいる。これはよい兆候。チーム側にとっても、ふたりにとっても、互いにね」(ハリス記者)

 

 チームに大きな目標がある点が、ロサンゼルス・エンゼルス時代とはまったく違うところだろう。エンゼルスももちろん勝つことを目指していたが、世界一は現実的ではなかった。

 

 大谷自身もドジャースの一員としてアジャスト(適応)している。それが見えたのは、5月12日のサンディエゴ・パドレス戦だった。前日の試合で腰に張りが出て、大谷自身は試合に出るつもりだったが、ロバーツ監督が休ませた。注目を集めたパドレスのダルビッシュ有との対戦が流れた。

 

 ロバーツ監督は「13連戦が始まったばかりで、どこかで一度は休まないといけない。我々は翔平に長いシーズンを通して健康でいてほしい。今は無理をさせる時ではない。理解すべきは、我々には究極のゴールがあるということ。10月まで、常にプレーする準備ができていないといけない」と説く。

 

 エンゼルス時代の昨季、7月27日に行なわれたダブルヘッダーのデトロイト・タイガース戦で大谷は1試合目に先発して完封、2試合目に2本塁打と野球史に残るパフォーマンスを見せた。だが、その後故障し、9月3日でシーズンを終えた。同じ轍を踏むわけにはいかない。

 

 大谷は、「疲れはあまりない」と言う。しかしながらチームの方向性に合わせている。試合後に筆者が投げかけた質問に、こう答えている。

 

「今年に関してはDHだけなので、身体的にすごくしんどい日がある感じはしない。どちらかというと、キャッチャーのウィル(・スミス)だったり、ベッツ選手もそうですけど、そういう選手(時に守備の負担を減らすためのDH起用)との兼ね合いだったりとか。連戦で必ず入るオフをどういう風に入れていくかは監督が考えていくことなので、そこは言われたところで取るべきではないかなと思います」

 

【真の『プロの打者』に近づく適応力】

 

 打撃のアプローチでも変化が見える。身体が大きく腕も長い大谷は、アウトサイドのボール球でもバットが届くし、長打も打てる。実際、昨季は7本、ボール球をさく越えにしていた。しかしボール球に手を出し続ける打者は、敵側から見れば必ずしも一番怖い打者ではない。ドジャースのGM特別補佐で、かつてはミルウォーキー・ブルワーズ、ボストン・レッドソックスの監督を務めたロン・レネキーが12日の試合の前にこう教えてくれた。

 

「球界では、『プロフェッショナルな打者』と呼ぶ。もちろんメジャーリーガーはみんなプロなんだけど、状況に応じてチームが求めるバッティングができるのが、『プロ』という意味だ。

 

 松井秀喜やボビー・アブレーユは、そういうタイプだった。それ以上に傑出してすごかったのは、レッドソックスのマニー・ラミレスとデビッド・オルティスの3、4番打者で、当時みんなが本物のプロと恐れていた。理由はボール球をまったく振ってくれないから。追い込んでボールになるブレーキングボールを投げても手を出さない。彼らを打ち取るにはストライクを投げるしかない。でもストライクだとヒットになる確率は高まる。こういう打者は本当に厄介なんだ」

 

 大谷はアグレッシブな打者であり、それが持ち味でもあるが、少しずつ、レネキー氏が意味する「プロの打撃」にアジャストしているように見える。今季ボール球を振る確率は2023年の29.7%から26.3%に減り、空振り率も32.3%から26%に激減している。三振率は19.4%とメジャー平均を下回った。ちなみに2021年は29.6%だった。

 

 15日、敵地オラクル・パークでのサンフランシコ・ジャイアンツ戦。2度も見逃しの三振を喫した。3回の第2打席は1ボール2ストライクからボールになる低めのスイーパーを見送ったが、球審はストライク判定。首を振りながら苦笑いでベンチに戻った。7回の第4打席も同じ1ボール2ストライクから外角高めのボール球の直球を見送ったが、またしてもストライク判定。ここでも、不満そうな表情でベンチに戻った。

 

 2度の見逃し三振。大谷のアプローチをどう思うかという筆者の質問に、ロバーツ監督は「あれでよかったと思う」と大谷の判断を評価している。

 

「ストライクにも、ボールにもなり得るコースだった。自分のアプローチを信じて、ボーダーラインの判定で不利になることもあるが、今日はほかの打席では2本ヒットを打って、四球も選んでいる。翔平の今日の打席のクォリティはすばらしかった。ジャイアンツとの3連戦はすべてよかった」

 

 1番ベッツ、3番フレディ・フリーマン、4番スミスらとともにみんなで相手先発投手が嫌がるプロの上位打線を形成しているのである。

 

 14日のジャイアンツ戦後、『オレンジカウンティレジスター』紙のビル・プランケット記者が「フィールド内外でいろんな対応が必要とされたなか、それを乗り越えて打者として開幕からよい成績残している」と水原スキャンダルの影響に絡んだ質問を大谷に投げかけると、「最初のほうはいろいろあったので、ちょっと睡眠が足りてない日が続いていたんですけど、最近は時間にもだいぶ余裕が出てるので、いい睡眠を取って1日1日大事にプレーできているかなと思います」と説明した。

 

「いつからそうなれたのか?」と重ねて問われると「物事が進展して、いろいろ新しいことがわかって、自分のやるべきことも出して(捜査への協力)、いったん解決した段階では、僕のほうからやることはなくなったので、その段階で、かな」とつけ加えた。

 

 大谷は昨年12月の入団会見で「一番大事なのは全員が勝ちに、同じ方向を向いていること。オーナーグループ、フロント、チームメート、みんながそこに向かっていけるかだ」と話した。大谷もドジャースも着々と、そういう形になっている。

 

奥田秀樹●取材・文 text by Okuda Hideki

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 ■ NOTE

 

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