2024年5月14日

 

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 ■ 試合データ

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米国時間:2024年5月13日

日本時間:2024年5月14日(火曜日)

10時45分開始

ロサンゼルス・ドジャース

対サンフランシスコ・ジャイアンツ

@オラクル・パーク

 

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【MLB.JP 戦評】

 日本時間5月14日、ナ・リーグ西地区の首位を快走するドジャースは敵地オラクル・パークでのジャイアンツ3連戦がスタート。その初戦は4対4の同点で迎えた10回表にウィル・スミスのタイムリー二塁打で2点を勝ち越して6対4で勝利を収めた。ドジャース5番手のブレイク・トライネンが今季初勝利(0敗)を挙げ、6番手のJ・P・ファイアライゼンは今季初セーブを記録。ジャイアンツ6番手のテイラー・ロジャースは10回表に勝ち越し打を浴び、2敗目(1勝)を喫した。

 

 ドジャースは初回にムーキー・ベッツの通算50本目となる先頭打者アーチ(今季7号)で先制。しかし、先発の山本由伸が2回裏に一死1・2塁のピンチを招くと、ルイス・マトスに投じた初球のカーブが高く浮き、1号逆転3ランを浴びた。5回表二死3塁から大谷翔平のタイムリーで1点を返し、6回表にはギャビン・ラックスのタイムリー二塁打で追いついたドジャースだが、山本は6回裏に2つの四球でピンチを招き、エリオット・ラモスに勝ち越しタイムリーを浴びて降板。6回裏二死まで84球を投げ、被安打5(うち被本塁打1)、奪三振6、与四球2、失点4という内容で、5試合ぶりに6イニングを投げ切れなかった。

 

 ドジャースは勝ち越された直後の7回裏、代打キケ・ヘルナンデスが2号ソロを放ち、4対4の同点に。試合はそのまま延長タイブレークに突入し、10回表一死1・2塁からスミスのタイムリー二塁打で2点を勝ち越したドジャースが勝利した。山本は2敗目を回避し、今季の防御率は3.21に。2試合ぶりのスタメン復帰となった大谷は「2番・DH」で5打数2安打1打点を記録し、今季の打撃成績を打率.354、出塁率.422、OPS1.081とした。なお、2位パドレスが最下位ロッキーズに敗れたため、ドジャースは2位とのゲーム差を6.5に広げている。

 

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 ■ 今日の大谷翔平(関連NEWS)

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【スタメン】

2番DH

 

【出場成績/打者】

5打数 2安打 1打点 2三振

通算打率・354

OPS1・081

 

◆第1打席:

(結果)ライト前ヒット

(状況)1回無死走者なし

(投手)ジョーダン・ヒックス右

※相手先発は右腕ヒックス。敵地オラクル・パークは通算8打数無安打、2四球とメジャーの本拠地で唯一、ノーヒットと相性が悪い。初回、先頭ベッツの通算50本目の先頭打者弾に続いて打席に入ると、ブーイングを浴びせられた。初球の内角低めの95マイル(約152・9キロ)のシンカーを強打。打球速度106マイル(約170・6キロ)の弾丸ライナーは右前ではずみ、11打席目で初安打となった。

 

 

◆第2打席:

(結果)セカンドゴロ

(状況)3回1死1塁

(投手)ジョーダン・ヒックス右

※打球速度109・5マイル(約176・2キロ)の弾丸二ゴロに倒れるも併殺崩れで一塁に残った。フリーマンの打席で二盗を試みるもけん制で誘い出された形になったが、一塁手から遊撃手への送球が悪送球となり、三塁へ進んだ。一塁手の失策と盗塁死が記録された。今季10度目の盗塁で初の失敗となった。

 

 

◆第3打席:

(結果)セカンド内野安打

(状況)5回2死2塁(暴騰3塁)

(投手)ジョーダン・ヒックス右

※フルカウントからの6球目、外角高めの98・6マイル(約158・7キロ)のシンカーを引っ張るもボテボテの二ゴロ。快足を飛ばして一塁を駆け抜けて適時内野安打となった。

 

 

◆第4打席:

(結果)空振り三振

(状況)7回1死走者なし

(投手)エリック・ミラー左

※フルカウントからの6球目、外角に大きく逃げる83・9マイル(約135キロ)のスライダーにバットは空を切った。

 

◆第5打席:

(結果)空振り三振

(状況)10回無死2塁

(投手)テーラー・ロジャーズ左

※6番手の左腕Ta・ロジャーズと対戦。4月5日に本拠地での対戦で7回に移籍初アーチを放った相手。カウント2-1からのアウトローギリギリの変化球をストライクと判定され、思わず首を振って感情をあらわにした大谷。タイムをとって仕切り直したが、5球目のインサイドの78・8マイル(約126・8キロ)のスイーパーにバットは空を切った。厳しい表情を浮かべ、何かをつぶやきながらベンチへ戻った大谷。絶好の勝ち越し機を生かすことができなかった。

 

【コメント】

なし

 

【NEWS情報】

◯ 大谷が、ジャイアンツ戦の試合前練習でキャッチボールを行った。外野で5球投げた後、ブルペンに場所を移動。傾斜は使わず、約15メートルの距離で66球を投げた。11日のパドレス戦では腰の張りで途中交代。12日の同戦は欠場し状態が心配されたが、通常通りに投球のメニューを消化した。

 

 

◯ 試合後、試合を中継する「スポーツネットLA」はこの二塁内野安打に注目。二塁へのボテボテのゴロで安打になる確率はわずか12%だったと伝え、大谷が30feet/sec(時速32.9キロ)のスピードで走り、打席から一塁までの到達タイムは4.1秒だったと伝えた。この脅威のスピードに現地実況も「飛んでいる」と驚嘆。

 

◯ MLBが13日、公式データ解析システム「スタットキャスト」で新たなデータを公開すると発表した。打者のバットスピードを解析するもので、MLBのデータサイト「ベースボールサバント」でランキングを公表。打球速度やバレル率など多くの指標でメジャートップにいる大谷は、バットスピードではトップ10入りならず、平均75・4マイル(約121キロ)で両リーグ18位にランクされた。両リーグ1位はヤンキースのジアンカルロ・スタントン外野手(34)で80・6マイル(約130キロ)と圧倒的。

 

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 ■ 試合情報(ドジャース関連NEWS)

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【コメント】

デーブ・ロバーツ監督:

(試合前)

「(大谷の腰の状態について)腰の問題は完全に解決したと思う。しかしながら今回も急にそうなったので注意していく」

 

「昨日も彼は出場したい思いはあったし、準備はできている。(休養は)全体として正しいことだったと思うし、彼はエキサイトしている」

 

「(大谷がこのオラクル・パークでまだ本塁打がないが)この球場は右中間が深いし、ボールも飛ばない。しかしながら彼についてはしっかり打てば関係ない。シリーズを変えると思う」

 

(試合後)

「(大谷の活躍について)翔平についてはもう驚かない。彼がそういう選手だとわかっているから。打っては誰よりも遠くに飛ばし、健康な時は投げる球でも誰にも負けない。フィールドでも誰よりも速く走れる。彼にできないことはない」

 

「(5回2死三塁から二塁へ適時内野安打を放った場面)2死から内野安打で得点できたのはうちにとっては良かった。翔平はいろんな方法で相手を負かすことができる」

 

 

山本由伸投手:

「個人的な内容としては良くなかったですけど、逆転してもらってチームが勝てたのでそこは良かったかなと思います」

 

「いいボールも多かったですけど、失投してしまった球、抑えないといけない場面でホームランが出たり、タイムリーヒット打たれたり、大事なところで抑えきれなかった」

 

「(2回にマトスに浴びた3ラン)やっぱりカーブだったりが抜けると、ああいう長打につながるので、もっと精度を高めて、また来週に向けて頑張りたいです」

 

「(試合序盤に球審からグラブを確認される場面も見られたが)なんか、ロゴ?のことか何か言ってたんですけど、多分問題なくて」

 

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 ■ 球界情報

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今永昇太投手:

◯ カブス今永が、強敵相手にまたも快投した。13日、敵地でのブレーブス戦に先発。5回を7安打8三振で無失点に抑えたが、味方の援護がなく勝敗はつかなかった。これで防御率は0・96と、両リーグ唯一となる0点台に突入。けん制で2度走者を刺すなど、新たな引き出しも披露した。

 

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 ■ 注目記事&コラム

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◆ 打球も足も速い!速い!ドジャース・大谷翔平、腰の不安吹き飛ばした全力疾走

丹羽政善氏/情報:サンスポ)

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【サンフランシスコ(米カリフォルニア州)13日(日本時間14日)=丹羽政善通信員】米大リーグ、ドジャースの大谷翔平投手(29)はジャイアンツ戦に「2番・DH」で出場し、腰の張りから2試合ぶりにスタメン復帰。五回に全力疾走で二塁への適時内野安打をマークし、不安を払拭した。5打数2安打1打点で、今季18度目のマルチ(複数)安打を記録。試合は延長十回、6-4で勝った。

 

大谷が打席に立つたびに、ドジャースファンの歓声とジャイアンツファンのブーイングが交錯した。ジャイアンツからもドジャースと同じ総額7億ドル(約1015億円=当時の為替レート)の契約で獲得オファーを出され、昨年12月にサンフランシスコを訪れていた。スター選手の加入を夢見た相手チームのファンからのブーイングを、スピードで黙らせた。

 

「2死から内野ゴロをセーフにし、三塁走者をかえしてくれた。翔平はいろんな方法で相手を負かすことができる」

 

取材対応のなかった大谷に代わり、ロバーツ監督が不安を払拭する激走をたたえた。

 

2点を追う五回2死三塁、二塁へのゆるいゴロに全力疾走。セーフになって適時内野安打とすると、言葉にならない声を上げ、右拳を握った。一塁への到達タイムはMLBで6位に入る平均4・13秒。腰の張りで12日(日本時間13日)は大事を取って欠場したが、休養を経て躍動した。

 

「翔平は誰よりも遠くへ飛ばせるし、腕に問題がなければ、投手としても最高の一人だ。誰よりも(球速が)速い。できないことが何もない」

 

指揮官は大谷の才能を絶賛するからこそ、長期離脱を未然に防ごうと細心の注意を払う。大谷も「(12日は)出られるかなという感じだったが、早い段階で長引かないように先手先手(で休養すること)が大事」と語っていた。

 

一回に右前打を放ち、試合前まで8打数無安打だった敵地オラクル・パークで初安打をマーク。打率・3537はナ・リーグ2位で、トップのコントレラス(ブルワーズ)を3毛差で追う。

 

走者二塁でスタートする延長十回は先頭で打席に立ち、空振り三振。右翼場外のマッコビー湾に飛び込む日本勢初の「スプラッシュ・ヒット」はお預けとなったが、正捕手スミスの中越え二塁打で2点を勝ち越し、大谷も勝利のハイタッチに加わった。

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◆ 大谷翔平起用で…化粧品の売上が約20倍に! スポンサー収入MLBダントツ1位、大谷翔平「本当の広告価値」を考える

内野宗治氏/情報:NumberWEB)

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 連日のように試合での活躍が報じられるドジャース・大谷翔平。その活躍に呼応するようにシーズン中にもかかわらず、多くの日本企業がスポンサーの名乗りをあげたことも話題となっている。一体、大谷翔平が広告に出演することの価値とはどれほどのものなのか。4月24日に発売された『大谷翔平の社会学』(扶桑社新書)より、大谷の出演広告について考察したパートを抜粋して紹介する。(全3回の第1回/第2回、第3回も配信中)

 

大谷、大谷、大谷…

 2023年3月、東京。

 

 約1400万人がマスクで顔を隠して暮らす異様な大都市に、日本で最も有名な「顔」が舞い降りた。大谷翔平、言わずと知れた野球界のスーパースターだ。第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で「侍ジャパン」の中心選手となった大谷は、大会MVPに輝く大活躍で日本を熱狂の渦に包んだ。メディアは大谷の一挙手一投足を追いかけ、連日トップニュースで報じた。

 

 テレビの報道番組はもちろん、ヤフー! ニュースのヘッドラインも、コンビニに並ぶスポーツ紙の一面も、野球ファンのツイッター(現・X)も大谷一色。JR渋谷駅には大谷がパートナーシップ契約を結ぶニューバランスの巨大広告が登場し、地下鉄車内や駅構内は大谷が出演するJALや化粧品メーカーコーセーのCM映像がひっきりなしに流れる。どこに行っても大谷、大谷。まるでジョージ・オーウェルのディストピア小説『1984』で描かれた「ビッグ・ブラザー」のごとく、街中の至るところに大谷の顔があり、そのクールだが優しげな眼差しでこちらを見ている……。

 

「史上最強の侍ジャパン」と称されたこのチームにおいて、大谷は別格の存在感を放っていた。メディアやファンは大谷を、まるで神のごとく絶対的な存在として崇めた。

 

控えめに言って「日本最高のセレブリティ」

 もっとも、日本における大谷フィーバーは今に始まったものではない。高校時代から160kmの剛速球を投げ、特大のホームランを連発していた大谷は、18歳で北海道日本ハムファイターズに入団してプロ野球選手になって以降、常に注目を集め続けてきた。日本プロ野球機構(NPB)でプレーした5年間にはパシフィックリーグのMVPに輝く大活躍を見せ、23歳でアメリカに渡ると、メジャー1年目に新人王を獲得。そして4年目にはアメリカンリーグのMVPを受賞し、メジャーリーグ(MLB)全体で7年ぶりとなるコミッショナー特別表彰を受けた。大谷の今日に至るまでの華々しいキャリアは、まさに生きる伝説として常に日本ではトップニュースとなってきた。

 

 日本における大谷のプレゼンスは、もはやスポーツ選手の域をはるかに越えており、控えめに言って「日本最高のセレブリティ」になっている。このことは、大谷への破格のスポンサー料を見れば一目瞭然だ。

 

破格のスポンサー料

 2023年3月にアメリカの経済誌『フォーブス』が発表した「世界で最も稼いでいるアスリート」ランキングによると、2023年の大谷の推定年収は約6500万ドル(当時のレートで約85億円)で、MLBの選手としてはトップだった。その内訳は、約3000万ドル(約40億円)が選手としての年俸で、残りの3500万ドル(約45億円)がスポンサー料などフィールド外での収入となっていた。

 

 MLBの選手として大谷に次いでスポンサー収入が多かったニューヨーク・ヤンキースの主砲、アーロン・ジャッジのスポンサー収入が450万ドル(約6億円)だから、大谷のスポンサー収入は文字通りケタ違いだ。この背景には、大谷が「日本市場での圧倒的なプレゼンス」というアドバンテージを有していることがある。大谷への莫大なスポンサー料を支払っている企業の多くは日本企業であり、そして日本国内には大谷に匹敵するだけの人気や知名度を誇るアスリートはいない。一方のジャッジの場合、たとえばバスケットボール(NBA)のレブロン・ジエームズら、他競技のスター選手が強力なライバルとして存在している。

 

 ちなみに、このランキングで総合1位に輝いたサッカー選手、リオネル・メッシの推定年収は1億3000万ドルで、うち5500万ドルがスポンサー収入だった。サッカーが(野球と違って)世界中でプレーされているスポーツであり、メッシが正真正銘のグローバルアイコンであることを考えると、大谷がほぼ日本とアメリカだけで、メッシの半額以上のスポンサー収入を得ている事実は驚きに値する。ちなみに大谷のスポンサー収入は2024年には、さらに額が増えて5000万ドル(約72億円)に達するとみられている。

 

大谷は「文化的アイコン」

 2023年1月、大谷とパートナーシップ契約を結んだニューバランスのチーフ・マーケティング・オフィサーのクリス・デービスはこう表現している。

 

「日本での彼(大谷)は、まず第一に″culturalicon″(文化的アイコン)であり、第二に野球選手なのだ」

 

 文化的アイコンである大谷に企業が莫大な投資をする理由は、それだけの経済的リターンを見込めると考えているからだ。たとえばコーセーのスキンケアブランド「コスメデコルテ」は、WBC開催中の2023年3月に大谷を起用した広告を展開し、その翌日には百貨店での新規購入数が通常の3.6倍、公式オンラインブティックでの販売個数が通常の約20倍という数字を叩き出した。コーセーが大谷にいくら支払っているのかは不明だが、すさまじい「大谷効果」と言えよう。

 

大谷広告の影響力

 では、なぜ人々は「大谷が広告に出ている」というだけで、それまでは買わなかった化粧品を買うのか? 

 

 単純に、話題性のある広告によって商品の認知度が上がり、それまで商品を知らなかった人たちにも知ってもらえた、ということもあるだろう。しかしそれ以上に重要なのは、高度に情報化した現代社会において、もはや商品の「機能」で差別化を図ることは難しく、商品が持つブランドイメージや物語性こそが消費者心理に影響を与えるということだ。たとえば化粧品なら「その製品にどんな成分が入っているか」という素人にはわかりにくく目に見えない情報よりも、洗練されたデザインのパッケージや百貨店における優雅な店構え、そして芸能人やアスリートを起用した広告などが消費者の購買意欲を刺激する。消費者は、たとえ大谷が広告に登場したからといって製品の中身が変わらないことはわかっている。それでも買うのは、大谷翔平というアイコンに付随するイメージ、あるいはメッセージ性に魅せられているからだろう。

 

 もっとも、そのイメージやメッセージ性というのは多くの場合、マスメディアによって半ば恣意的につくられたものであって、必ずしも大谷翔平という生身の人間に備わったものではない。大半の人は大谷と話したこともなければ会ったこともないが、テレビやインターネットを通して「大谷翔平」のイメージを日々膨らませ、それを消費しているにすぎない。マスメディアは人々が期待する「大谷翔平」像を創出し、それに便乗した企業が人々の消費をあおる。それこそが、スマートフォンの画面から街中のデジタルサイネージに至るまで、生活のありとあらゆるシーンを広告が支配する現代資本主義の姿だ。

 

 いずれにしても大谷は、単なるトップアスリートにとどまらず日本最高のセレブリティ、さらには日本という国の文化的アイコンとして、日本人の生活や消費行動にまで影響を与える存在になっている。

 

<つづく>

 

(「Number Ex」内野宗治 = 文)

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 ■ NOTE

 

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