2024年5月8日

 

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 ■ 試合データ

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米国時間:2024年5月7日

日本時間:2024年5月8日(水曜日)

11時10分開始

ロサンゼルス・ドジャース

対フロリダ・マーリンズ

@ドジャースタジアム

 

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【MLB.JP 戦評】

 日本時間5月8日、5連勝中のドジャースは本拠地ドジャー・スタジアムでのマーリンズ3連戦の2戦目を迎え、8対2で快勝。あすの最終戦を残して3連戦の勝ち越しを決め、6連勝で今季最多の貯金12となった。ドジャース先発の山本由伸は97球でメジャー移籍後最長の8イニングを投げ、被安打5、奪三振5、与四球0、失点2の好投で4勝目(1敗、防御率2.79)をマーク。マーリンズ先発のエドワード・カブレラは逆転満塁弾を浴びて2回1安打4失点で降板し、2敗目(1勝)を喫した。

 

 ジャズ・チザムJr.の5号先頭打者アーチで先制されたドジャースは、1回裏に3つの四死球で一死満塁のチャンスを迎え、マックス・マンシーの9号グランドスラムで逆転に成功。3回裏にはマーリンズ2番手のジョージ・ソリアーノを攻め、無死満塁からアンディ・パヘスの犠飛、ギャビン・ラックスの1号2ランなどで4点を追加した。山本は6回表一死からブライアン・デラクルーズに7号ソロを浴び、2点目を失ったものの、97球でメジャー移籍後最長の8イニングを投げ抜く力投。チームを8対2の快勝に導いた。

 

 ドジャースの大谷翔平は「2番・DH」でスタメン出場し、第1打席から2打席連続四球と勝負を避けられた。4回裏の第3打席はいい当たりだったものの、ライトライナーに倒れ、6回裏の第4打席はレフトフライ。2打数ノーヒット2四球で連続試合安打は6、連続試合本塁打も3でストップした。今季の打撃成績は打率.365。出塁率.435、OPS1.131となっている。

 

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 ■ 今日の大谷翔平(関連NEWS)

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【スタメン】

2番DH

 

【出場成績/打者】

2打数 0安打 1得点 2四球

通算打率・365

OPS1・131

 

◆第1打席:

(結果)四球

(状況)1回1死走者なし

(投手)エドワード・カブレラ右

※1点を追う初回一死無走者は四球。さらにフリーマン、スミスと連続四球で満塁とするとマンシーが左中間へ逆転9号満塁弾を放った。

 

◆第2打席:

(結果)四球

(状況)2回2死1塁

(投手)エドワード・カブレラ右

 

◆第3打席:

(結果)ライトライナー

(状況)4回無死走者なし

(投手)ジョージ・ソリアーノ右

※1ボールからの2球目、内角低めのチェンジアップをすくい上げと大歓声が上がったが右直だった。打球速度112・8マイル(約181・5キロ)はこの試合の最速。

 

◆第4打席:

(結果)レフトフライ

(状況)6回2死1塁

(投手)バーク・スミス右

※1ストライクからの2球目、内角のカットボールを逆方向に運ぶも左飛だった。自身初の4戦連発はならなかった。それでも打率3割6分5厘、11本塁打は依然としてメジャートップ。ボールの見極めや無理に引っ張ることもなく、5月の爆発は続きそうだ。

 

【コメント】

なし

 

【NEWS情報】

◯ 大谷が試合前にツーシームを“解禁”した。この日は、およそ2日に1度のペースで行っているキャッチボールの日。試合前練習で昨年9月の右肘手術後19度目のキャッチボールを行い、15メートル程度の距離から約60球を投じたが、ボールを投げる前にはこれまで見られなかった相手に球種を伝えるしぐさがあった。右手首を外側にクッと動かし、投げたのはツーシーム。捕手役の球団スタッフがその変化に驚きの表情を浮かべたのか、大谷はいたずらっぽい無邪気な笑顔を浮かべていた。ツーシームは5球前後投げたとみられる。

 

 

◯ 米国の老舗雑誌「ザ・ニューヨーカー」最新号の表紙に、大谷のイラストが掲載された。だが、ポケットに札束を入れて胴長短足に描かれた姿に対し、賛否が割れている。「ザ・ニューヨーカー」は1925年創刊の雑誌で、政治や文化芸術などを幅広く扱う。5月13日号の雑誌は、ユニホーム姿の大谷のイラストが表紙に登場。同誌の公式サイトには、このイラストを手がけたマーク・ウルリクセンさんの「彼はどのリーグでも最高の投手であり、打者であり、最速の走者です」とのコメントを掲載。一方で「大谷が金銭スキャンダルに巻き込まれたことも、良くも悪くも彼の注目度を高めている」とも記されている。

 

 

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 ■ 試合情報(ドジャース関連NEWS)

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【コメント】

デーブ・ロバーツ監督:

ーー由伸は今夜の試合で長いイニングを行きましたが、あなたの見解は?

「彼は素晴らしかった。初球、チザムにホームランを打たれてしまったが、またリセットしてマウンドに立っていた。最初の30球でストライクは29球を投げていたと思う。

 

先頭打者のホームランから逃げず、カウントを織り交ぜて相手のアグレッシブさを利用した。そして多くのアウトを素早く取り、ヒットを打たせなかった。さらにブルペンもリセットしてくれた。

 

今夜の由伸は球種をうまく使っていた。ストレート、カーブ、スプリット、そしてスライダー。本当によくやった。そして、ウィル(・スミス)もよくやってくれた」

 

ーー由伸のような投手をはじめとして完投はどう思うか?

「先発投手陣にとって試合を有利に進めることはいいことだと思う。ストライクを投げ、効率よく自分の投球が衰えないようにするためにね。

 

タイラーは何度かやっているし、ヨシも何度かやっている。ギャビン・ストーンも何度かやっている。(完投は)我々全員にとって本当に助かること。最も重要なことは、6回や7回になったときに、まだガソリンが残っていて、まだ効果的な投球ができると感じることだと思う」

 

ーー由伸は8回の前にマウンドへ行きたいと自ら主張していたのですか?

「行かせても問題ないと思っていた。試合を通してストレスがなかった。私の目から見ても球の質が落ちていなかった。彼はあそこに戻る権利があったし、彼(次の登板)は(移動日で)1日延長されるので仕事量の問題ではなかった。だから行ってもらった」

 

山本由伸投手:

ーー大リーグで8回まで投げきることができたのはどんな意味がある?

「いいピッチングができたことがよかったのかなと思います。少ない球数で長く投げられるのはいちばん理想的だと思っているので、こういったピッチングがチームにいい影響、勝利以上にいい影響が出るのならすごくうれしいなと思います」

 

ーー大リーグで8回まで投げきるのはレアなことだが、それをできたことは?

「テンポよく投げられたので。長いイニング投げられたと思いますし、こういったピッチングを続けていけるように頑張りたいなと思います」

 

ーー大リーグの試合に入っていく準備、コーチなどとの打ち合わせには慣れた?

「はい、慣れました」

 

ーー前の登板の時に明確にいい感覚が伝わってきてるとおっしゃっていましたが、そのあたりの感覚というのは今日の登板でも感じていた?

「そうですね。ホームラン2本打たれてしまいましたけど、いいボールも多かったですし、ストライク先行していけたので、そこが一番よかったかなと思います」

 

ーー序盤はストレートは高めに、スプリットは低めにという傾向が見えたが、配球の意図はあったのか?

「バッターによって違ったんですけど、そういった高め使いながら、スプリット使っていくという、そういったバッターも何名かいたかもしれませんね」

 

ーー本拠地で初勝利だったんですけど、気分というか、格別なものはありましたか?

「まだ本拠地初勝利してなかったので、すごくうれしく思います。長いイニング投げれたので、そこが一番よかった」

 

ーー完投というのは頭にありましたか?

「8回に上がるときに、球数がそろそろ最後かなという感じだったので、最後はしっかり出し切りました」

 

ーースライダーを前の試合から投げるようになったとのことですが、その辺の効果というのは?

「必要な場面で投げて、今日もツーシームも投げたりしたんですが、そういった感じで。相手に合った投球をしていけたらなと思います」

 

ーーツーシームは今日、メジャーで初めて?

「多分、そうですかね。もしかしたら投げてるかも知れないです。いや、分かんないっす(笑)」

 

ーー初回から19球連続ストライクだったのですが

「本当に心がけているのはいつも通りでしたけど、それがたまたまいいところに投げれてたかなって思います」

 

ーー8回終わって、ベンチで大谷さんとにこやかに話していましたが?

「三振が少なかったので、三振が取れてよかったなって言ってましたね。おちょくってましたね(笑)。投げているときは意外と話すことは少ないんですけど、登板後とかはよく声をかけていただいています」

 

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 ■ 球界情報

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ジャンカルロ・スタントン外野手:

◯ ヤンキースのスタントンが“大谷超え”の一発を放った。ヤンキースは5点リードの5回、先頭のスタントンが打席に立ち、初球、アストロズ先発のジャスティン・バーランダーが投じた低めのスライダーを捉えた打球は、左中間へ飛び込むソロホームラン。今季7号を記録した。この一発は打球速度118.8マイル(約191.2キロ)を計測。今季メジャーの本塁打では、大谷が日本時間4月24日のナショナルズ戦で放った6号ソロが打球速度118.7マイル(約191.0キロ)で打球最速の一発だったが、スタントンが0.1マイル上回り、今季最速となった。

 

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 ■ 注目記事&コラム

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◆ 大谷選手も活躍するドジャー・スタジアムに行こう! 歴史的な「お宝」も展示

Dan Schlossberg氏/情報:Forbes Japan)

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米カリフォルニア州ロサンゼルスのコンベンションセンターで5月3~7日に開催された旅行見本市IPW2024(ジャーナリスト500人を含む5700人が参加)には、10以上のメジャーリーグ球団が出展した。

 

米国を訪れる国外からの旅行客を呼び込もうと、各球団は試合のチケットだけでなく、球場を見学できるツアーも宣伝している。

 

球場の見学ツアーを最初に実施した球団の1つであるロサンゼルス・ドジャースは4日の対ブレーブス戦の前に、IPWに参加した外国のツアーオペレーターやメディア関係者ら43人に球場を案内した。

 

45分間のツアーでは、5万6000人を収容するメジャー最大の球場、ドジャー・スタジアムの内外を巡った。

 

ロサンゼルス中心部の北側に位置するチャベス渓谷に1962年に開場したこのスタジアムは、マサチューセッツ州ボストンのフェンウェイ・パーク(1912年)、イリノイ州シカゴのリグレー・フィールド(1914年)に次いでメジャーの球場で3番目に古い。だがよくメンテナンスされており、築年数よりもずっと新しく見える。

 

試合でこの球場を訪れる選手たちは、サンガブリエル山脈や有名な「HOLLYWOOD」の看板などの景色を写真に収めようと、よくカメラを持って最上階まで上がってくる。

 

ツアー料金は個人の場合50ドル(約7700円)、事前に申し込んだ団体であれば1人30ドル(約4600円)。ツアーはチケット受け取り窓口の隣にある、いつも混雑しているチームストアがある最上階からスタートする。

 

ツアー参加者は9階から入場し、エレベーターやエスカレーターで座席まで移動する。タイミングがよければ、試合前にクラブハウスに向かう選手たちと交流することができるかもしれない。

 

また、フィールド上の選手を間近で見ることもできる。4日のIPW団体のツアー時には、ドジャースのスター選手、ムーキー・ベッツが、ホームベース後方にいたツアー参加者からすぐのところの三塁ベース上で捕球の練習をしていた。

 

ほとんどのツアー参加者が同意したのだが、ドジャー・スタジアムのツアーで一番の見どころはチームと選手らに贈られた数々の賞品の展示だ。ワールドチャンピオンやサイ・ヤング賞、新人王、最優秀選手賞などのもので、ドジャースはこのようなトロフィーを数多く所有している。

 

参加者の注目を集めたものはまだある。チームのニックネームの変遷だ。ニューヨーク・ジャイアンツのファンがブルックリンっ子を揶揄した「トロリー・ドジャース」(編集注:ドジャースはかつてブルックリンを本拠地とし、トロリー=路面電車が走っていた)や、ブルックリン時代にドジャースの監督だったウィルバート・ロビンソンにちなんで名付けられた「ロビンズ」などがある。

 

「DODGER TOUR」と書かれた小さなワッペン付きの青いキャップがもらえる

その近くには、遠征や春のキャンプ時の移動で機材の運び込みに使われた多くのトランクがあった。白いLAの文字が絡み合った巨大な青いドジャースの帽子で上部が覆われた実物大のリリーフカーも、投手交代を待っているかのようにスタジアムの地下に置かれていた。

 

古い木製の座席、劣化したチケットやベースボールカード、そしてドン・ドライスデール投手の連続無失点イニングやフェルナンド・バレンズエラ投手の20歳での思いがけない活躍、カーク・ギブソン外野手のワールドシリーズでの本塁打など、球団の歴史に残る瞬間を描いた絵画も展示されていた。バレンズエラは、同じシーズンに新人王とサイ・ヤング賞を受賞した今でも唯一の選手だ。

 

ツアーではまた、ドジャースの往年のスター選手が着用し、永久欠番となった背番号入りのジャージーが展示されたところも通った。ドライスデール(背番号53)、サンディー・コーファックス投手(同32)、ジャッキー・ロビンソン内野手(同42)、デューク・スナイダー外野手(同4)、ギル・ホッジス内野手(同14)らのものだ。また、殿堂入りした監督のウォルター・オルストン(同24)とトミー・ラソーダ(同2)が着ていたユニフォーム上着もあった。

 

ツアー中、ロッカールームに向かう選手たちが通り過ぎるかもしれないと、ガイドがツアー参加者を廊下の脇に案内したシーンもあった。

 

また、67年にわたってチーム専属実況アナウンサーとして活躍した故ビン・スカリーの名前を冠した記者席のすぐそばを通ったとき、参加者は実際に何人かの記者や放送関係者を見かけた。

 

ツアー参加者の中には、名物ホットドッグ「ドジャー・ドッグ」を記念にもらえなかったのが残念と言った人もいたが、より長持ちするお土産には文句なしだった。もらったのは「DODGER TOUR(ドジャーツアー)」と書かれた小さなワッペンが横についた青いキャップだ。

 

ツアーガイドは小柄なブロンド髪の人で、野球とドジャースの歴史に精通していた。ドジャースは歴史を重視している。メジャーリーグの球団で初めて歴史を担当する職員を雇った。その主な仕事は、チームのレガシー(遺産)が選手の目につくようにし続けることだ。

 

IPWにはブレーブス、カブス、ジャイアンツ、メッツ、パドレス、レッドソックス、ヤンキース、そしてMLBコミッショナーによって設立された新組織のMLBツーリズムがブースを出した。

 

Dan Schlossberg

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◆ 《夫・大谷翔平がエスコート》真美子夫人(27)出席したド軍イベント2日前に「注文した服が届かない!」のハプニング《絶賛された全身黒コーデ誕生の舞台裏》

(情報:文春オンライン)

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 米大リーグ・ドジャースが5月2日(現地時間)に本拠地ドジャースタジアムで開催したチャリティーイベント「ブルー・ダイヤモンド・ガラ」。ひときわ耳目を集めたのが、大谷翔平(29)にエスコートされた真美子夫人(27)だ。シックな全身黒のコーディネートが絶賛された真美子さん。だが実はイベント2日前、あるハプニングに見舞われていたことが「 週刊文春 」の取材で分かった。

 

絶賛された“黒コーデ”はハプニングから生まれていた

 

 関係者が明かす。

 

「本来、真美子さんは別のブランドのドレスを着用する予定でした。しかし、店舗側の手違いで、2日前になって注文したものが届かないことが判明。そのため真美子さんは急遽、代わりのドレスを探さなければならなくなったのです」

 

 4月30日の午後4時過ぎ、真美子さんが駆け込んだのは、ドジャースタジアムから車で30分ほどの距離にある、NY発祥のブランド「Elie Tahari」の店舗。対応した女性店員のドミニクさんが振り返る。

 

「彼女からは『パーティに着用できる高級感のあるもの』ということ以外、何も要望はありませんでした。全身のコーディネートを任せてくれたんです。背が高いので、彼女の体型にフィットした黒のダブルブレストのジャケットとパンツスタイルがよく似合うと思って提案したところ、彼女は一目で気に入ってくれた」

 

 日米で絶賛された“黒コーデ”は、こんなハプニングから生まれていた――。

 

 5月8日(水)12時に配信される「 週刊文春 電子版 」ならびに9日(木)発売の「週刊文春」では、真美子さんの友人が明かした学生時代の意外な素顔やコンプレックス、大谷との交際時に親族についていた「ウソ」、真美子さんが「週刊文春」記者の前でデコピンに「NO!」と叫んでいた理由などについて詳報している。

 

「週刊文春」編集部/週刊文春 2024年5月16日号

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◆ 大谷翔平「面で捉えて」完全覚醒のクリケットバットは“Amazonでポチリ”…番記者が知る猛打ドジャースのコーチ秘伝「おもちゃ箱」とは

柳原直之氏/情報:NumberWEB)

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 日本ハム時代から長年にわたって大谷翔平の番記者を務める柳原直之氏の「テレビに映らない番記者レポート」がNumberWebでいよいよ開幕!  今回は衝撃の3戦連発など完全覚醒の打撃に一役買った「クリケットバット」秘話や、開幕直後の話題で埋め尽くされた水原一平氏について記した。(全2回の第1回/第2回も配信中)

 

 ドジャースの室内打撃ケージには通称「おもちゃ箱」と呼ばれる箱が置いてある。

 

 本拠地でも遠征先でも変わらず、その箱の中には、打撃練習用の道具が収められている。犬の遊具の軟らかいボールや、長尺バットなど用途はさまざまだ。

 

 4月7日の敵地カブス戦で2打席連続凡退後、大谷翔平が選んだのはクリケット用のバットだった。

 

「面で捉えていくというか。練習の一環として良さそうだなと思った」

 

 新たな相棒が、その後の快音連発に繋がったのは周知の通りだろう。

 

長年使い続けている「ドリル」を少し変えたもの

 

 実はこのクリケット用のバットは、ロバート・バン・スコヨック打撃コーチが「Amazon」で購入したものだという。同コーチによれば、4月下旬時点で大谷は変わらず練習に取り入れているという。

 

「長い間続けている“ドリル”を少し変えたものだ。クリケット用バットの平たい部分でボールを打つためには、バットの軌道がヒッティングゾーンに長く保たれていないといけない。もしバットの動きが不安定でコントロールされていなければ、きちんとミートできない。だから、このドリルはバットの軌道をヒッティングゾーンに長く保つために訓練するものなんだ」(バンスコヨック打撃コーチ)

 

 大谷は21年から原則、試合前に屋外フリー打撃を行わず室内ケージでの打撃練習に専念している。

 

 同年に大谷は屋外で打たない理由について「外で打つともっと飛ばしたいとなり、余分な動きが出てくる」と話したことがあり、今春のキャンプ中には「外で打つ時は強度の確認、体の確認がメイン。中で打つ時はそういう自分でチェックポイントを探しながらというところかなと思う」と語っていた。

 

アウトマンが「フォーム修正に役立つ」と語るワケ

 

 クリケット用のバットは打撃面が平たく、重量は1.3~1.4キロと野球のバットより400~500グラム重い。

 

 しかし、同じくクリケット用のバットを練習に取り入れ始めた外野手アウトマンによると「重さは通常のバットと変わらない」。通常の野球ボールを前方から投げてもらうティー打撃で主に使用し、アウトマンは「手首を返してしまっては振ることができない。自分の打撃フォームの修正に役立つ」と説明した。

 

コーチいわく「今は、より長くゾーンにとどまり…」

 

 日本時間5月7日の試合終了時点で打率.370、11本塁打、27打点、強打者の指標であるOPSは1.139と好調の大谷だが、開幕から8試合連続、40打席連続ノーアーチと苦しんだ時期があった。

 

「早く(本塁打を)打ちたいという気持ちで、どんどんいいアットバット(打撃)から懸け離れている状態だった」

 

 開幕直後に専属通訳だった水原一平氏の違法賭博問題が発覚。その後は鼻水やせきといった体調不良もあった。

 

 その後、調子が上向き、バン・スコヨック打撃コーチは「シーズン最初の数週間、バットがヒッティングゾーンに入って、すぐに出てしまっていた。しかし今は、より長くゾーンにとどまり、より多くの球をカバーできている」と好調の要因を分析した。

 

 もう1人のアーロン・ベーツ打撃コーチは、試合前は主に屋外フリー打撃を行う選手を担当している。タブレット端末で撮影した映像を見ながらよく選手と打撃論を交わしている姿が目立つ。

 

「クリケット用のバットは創造的に、選手のルーティンを多様化する目的で使っている」と語るベーツ打撃コーチは「実はMLBの他球団の打撃コーチとも話し合い、打者を手助けできる新しい道具を見つけようとしている」と続けた。

 

オオタニは「危険な打者」だよ

 

 チームの垣根を越え、必死になってより良い打撃を探る姿は、大谷もコーチも同じだ。ベーツ打撃コーチは今後の大谷の更なる活躍を予想している1人でもある。

 

「調子が悪い時はタイミングが合わなかったり、直球に遅れたりするが、ちょっとしたことでタイミングは合うもの。大谷は“危険な打者”。ア・リーグ(エンゼルス)からナ・リーグ(ドジャース)に移籍したばかり。これから慣れてくる」

 

 不振になった時にいかに短いスパンで乗り越えられるかが、自身の好成績やチームの勝利の手助けになる。ちょっとしたことでタイミングを合わせるために、今後も「おもちゃ箱」が活躍する日がありそうだ。

 

◇ ◇ ◇

 

 5月に入って完全覚醒の気配がある大谷だが、開幕直後は元通訳の水原一平氏をめぐっての報道が数多くなされた。現地取材やオンライン上で柳原記者が見たものとは――。<「番記者が知る水原氏」編につづく>

 

(「テレビに映らない大谷翔平:番記者日記」柳原直之(スポーツニッポン) = 文)

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◆ 大谷翔平の番記者が見たヘビースモーカー水原一平騒動の“生々しい記憶”「記事掲載後、彼の父からDMが」「傍聴席から見た表情は…」

柳原直之氏/情報:NumberWEB)

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 日本ハム時代から長年にわたって大谷翔平の番記者を務める柳原直之氏の「テレビに映らない番記者レポート」がNumberWebでいよいよ開幕!  今回は衝撃の3戦連発など完全覚醒の打撃に一役買った「クリケットバット」秘話や、開幕直後の話題で埋め尽くされた水原一平氏について記した。(全2回の第2回/第1回も配信中)

 

 3月23日午後8時。私のX(旧Twitter)のアカウントにダイレクトメールが届いた。ドジャース・大谷の元専属通訳だった水原一平容疑者の父・英政氏からだった。

 

「私の息子は球団内外問わず、電話やメールの返信が遅く時間にはルーズで有名だったんですね。私の知らなかった情報ありがとうございます」

 

 弁明のメッセージを送ると「私の知る限り球団内外問わずと言うのは少し違うかなと思いました。それだけです」と返信が届き、その後は連絡が取れなくなってしまった。

 

水原通訳のコラムの編集を担当したことも

 

 20日の韓国・ソウルでの開幕戦後。水原容疑者は違法賭博関与やドジャース・大谷翔平の銀行口座から不正送金した疑いが発覚し、21日朝に球団から解雇が発表された。翌22日付スポーツニッポン(以下、スポニチ)紙面で水原容疑者の人物像を表す際に、私は「球団内外問わずメールや電話の折り返しは遅く、時間にルーズな一面は一部で有名」と記述。その記事への反応が冒頭の英政氏からのメッセージだった。

 

 水原容疑者は13年に外国人選手の通訳として日本ハムに入団し18年に大谷とともに渡米した。一方の私は14年から日本ハム担当、18年から現在までMLB担当。18年開幕時~22年冬まで「水原一平通訳 IREPORT」と題した本人コラムの編集も担当し、取材者としてグラウンド内外で10年以上、間近で見てきた存在だった。

 

 その存在が「容疑者」になったからといって、“手のひら返し”すべきではないし、するつもりは毛頭ない。ただ、今回の事件がなぜ起こったのか、その原因を探ることは私の使命でもあり、避けられないことでもあった。

 

ある選手は「世間ほど驚きはなかった」という

 

 水原容疑者は日本ハム時代から選手やメディアから親しまれる人柄だったが、私が記述した「ルーズな一面」はやはり否定できなかった。日本ハム時代に球団幹部から苦言を呈されている場面を見たことがあった。エンゼルス移籍後はクラブハウスでいつもスマートフォンを握り締め、電話を頻繁にしていたが、大谷の契約スポンサーからの連絡への返信も遅かった。「“返事を返してほしい”と伝えて欲しい」と伝言を預かったことは一度や二度ではない。

 

 それでも返事がないため、現地打ち合わせできるかどうか分からないまま渡米せざるを得なかった担当者もいた。

 

 グラウンド外ではダーツやトランプが好きと聞いたこともあり、ヘビースモーカーでもあった。それが事件に直結したとはもちろん思わないが、ある選手が事件後に「ギャンブル好きだったから世間ほどこのニュースに驚きはなかった」と話しているという声を間接的に聞いた。

 

エンゼルス時代、偶然スタバで会った記憶

 

 水原容疑者は6歳だった91年に和食料理人の父・英政氏ら家族とともにカリフォルニア州ロサンゼルスに移住。同州では違法だが、多くの州でカジノや「スポーツベッティング」が合法化されており、日本育ちの人にはないギャンブルへの感覚を持っていた印象もあった。

 

 水原容疑者は今年1~3月に総額約32万5000ドル(約5000万円)で大量の野球カードを「ジェイ・ミン」という偽名で大谷の口座を不正利用し購入していたという。

 

 昨季まで、水原容疑者とエンゼルスタジアム近くのスターバックスで何度か偶然会ったことがある。

 

 注文時、店員に伝える名前はいつも「ジェイ」だった。当時は「一平だと米国の人が呼びにくいと思って…」と話していた。米国でアジア系の人々が現地の人々が発音しやすいようにアメリカンネームを使うことは一般的だが、まさかその名前が事件にも使われるとは夢にも思わなかった。

 

傍聴席から見た彼の表情は…

 

 4月12日。銀行詐欺容疑で訴追された水原一平容疑者がロサンゼルスの連邦地裁に出廷し、私も傍聴席から見守った。連邦地裁前にはテレビカメラが12台並び、60人分の傍聴席はあっという間に埋まった。

 

 午後1時46分。水原容疑者が姿を現すと、すぐに異変に気付いた。極端に歩幅が狭く、ジャラジャラと金属音が聞こえた。両足の自由を奪う「足かせ」だった。うまく歩けない中で、少し口元を緩めたようにも見えた。

 

 違法賭博関与が報じられてから、公の場に姿を現すのは初めて。黒いスーツ姿で、韓国ソウルでの開幕戦時と髪形や体形を含めて大きな変化はなかった。

 

 促されて証言台前に立ち、両手を腰の前で合わせて保釈条件を聞いた。ほそぼそとした声で「イエス」と繰り返すこと16回。閉廷間際、裁判官に小さな声で「サンキュー」と述べ、軽くお辞儀した。

 

 絶望に打ちひしがれ、憔悴しきった様子を想像していただけに、あまりにもいつも通りの水原容疑者の表情は意外で、感情が読めなかった。別の日本人記者は「反省しているようには見えなかった」と話したが、その印象は否定できなかった。

 

 水原容疑者は大谷の通訳以外にもキャッチボール相手やビデオ撮影係、私生活では運転手役を務めた。

 

 21年12月に大リーグの旧労使協定が失効したロックアウト中には、選手契約が凍結され、監督、コーチだけでなく職員も選手と連絡を取ることが許されないなど厳しいルールが敷かれていたため、エ軍を一時的に退職し、練習や生活をサポート。紛れもなく公私にわたり不可欠な存在だった。父・英政氏が「球団内外問わず」を否定したように――問題が発覚するまでは、家族や大谷とは密に連絡を取っていたのかもしれない。

 

水原一平は、どんな人物なのか分からなくなった

 

 私は同じ3月22日付のスポニチで〈愚行に違いはないが、水原通訳が“悪人”だと思ったことは一度もない。〉と記したが――その後の報道や傍聴席から見た様子を受けて、水原容疑者が本当はどんな人物なのか分からなくなった。

 

 連邦地検によると、水原容疑者は大谷選手の口座から違法賭博の胴元側に1600万ドル(約24億5000万円)以上を不正送金した疑いがあり、次の5月9日(日本時間10日)の手続きで罪状認否を行うとみられる。<第1回「大谷とドジャースのクリケットバット」編からつづく>

 

(「テレビに映らない大谷翔平:番記者日記」柳原直之(スポーツニッポン) = 文)

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 ■ NOTE