2024年5月1日
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■ 試合データ
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米国時間:2024年4月30日
日本時間:2024年5月1日(水曜日)
10時40分開始
ロサンゼルス・ドジャース
対アリゾナ・ダイヤモンドバックス
@チェイス・フィールド
【MLB.JP 戦評】
日本時間5月1日、ドジャースは敵地チェイス・フィールドでダイヤモンドバックスとの同地区対決3連戦の2戦目を迎えたが、バックネットに蜂が大量発生し、試合開始が1時間55分も遅れる事態に。延長戦の末、10回裏に逆転サヨナラ2ランを浴び、ドジャースは3対4で敗れた。ダイヤモンドバックス7番手のスコット・マクガフは10回表に勝ち越し点を献上したが、逆転サヨナラ弾に救われ、今季初勝利(3敗)をマーク。ドジャース5番手のナビル・クリスマットは逆転サヨナラ弾を浴び、今季初黒星(1勝)を喫した。
蜂の大量発生で開始遅延となった一戦は、蜂の駆除を担当したマット・ヒルトンさんが始球式に登場。ドジャースは予定通りにランドン・ナックが先発したが、ダイヤモンドバックスはジョーダン・モンゴメリーがウォーミングアップを100%終えたあとに2時間近く試合開始が遅れたため、先発回避となり、ブルペンゲームで試合に臨んだ。
ドジャースは4回裏にクリスチャン・ウォーカーの6号ソロで先制されたものの、5回表に相手投手の暴投で追いつき、6回表には相手投手のボークで勝ち越しに成功。しかし、4番手のダニエル・ハドソンが8回裏にガブリエル・モレノに同点タイムリーを浴び、試合は2対2の同点で延長タイブレークに突入した。ドジャースは10回表一死満塁からウィル・スミスの犠飛で1点を勝ち越したが、10回裏先頭のウォーカーに7号2ランを浴び、3対4で逆転サヨナラ負け。ウォーカーは2本塁打を含む3安打3打点の大活躍だった。
ドジャースの大谷翔平は「2番・DH」でスタメン出場し、1回表一死走者なしの第1打席でセンター前ヒット。しかし、4回表先頭の第2打席は見逃し三振、5回表一死2・3塁の第3打席は空振り三振、7回表二死走者なしの第4打席も空振り三振、10回表無死1・2塁の第5打席はセカンドゴロに倒れ、5打数1安打3三振だった。今季の打撃成績は打率.336、出塁率.399、OPS1.017となっている。なお、あす行われる3連戦の最終戦には山本由伸(ドジャース)が先発予定だ。
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■ 今日の大谷翔平(関連NEWS)
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【スタメン】
2番DH
【出場成績/打者】
5打数 1安打 3三振
通算打率・336
OPS1・017
◆第1打席:
(結果)センター前ヒット
(状況)1回1死走者なし
(投手)ブランドン・ヒューズ左
※初回一死無走者はフルカウントからの6球目、外角高めの82・9マイル(約133・4キロ)のスライダーに少し泳がされるもされるもバットの先で拾うとしっかり振り切った。痛烈な当たりではなかったが、ゴロは中前へ抜けた。
◆第2打席:
(結果)見逃し三振
(状況)4回無死走者なし
(投手)ブライス・ジャービス右
※2番手の右腕ジャービスと対戦。カウント1―2からの4球目、ほぼ真ん中の88・3マイル(約142キロ)のカットボールに反応することなく見逃し三振に倒れた。この打席では1度もバットを振らなかった。
◆第3打席:
(結果)空振り三振
(状況)5回1死満塁(暴投後2、3塁)
(投手)ジョセフ・マンティプリー左
※1点を追う5回一死満塁で回って来た。マウンドは4番手の左腕マンティプライ。1ボールからの2球目が暴投となり、三塁走者が生還して1―1の同点に。しかし、フルカウントからの6球目、外角低めの89・1マイル(約143・4キロ)のシンカーにバットは空を切った。
◆第4打席:
(結果)空振り三振
(状況)7回2死走者なし
(投手)ライアン・トンプソン右
※5番手の右腕トンプソンのシンカーに合わなかった。カウント2―2からの5球目、内角高めの91マイル(約146・5キロ)のシンカーにバットが空を切った。1試合3三振は今季初だ。
◆第5打席:
(結果)セカンドゴロ
(状況)10回無死1、2塁
(投手)スコット・マクガフ右
※2―2の延長10回無死一、二塁は2019年から4年間ヤクルトでプレーした右腕マクガフと対戦。カウント3―1からの5球目、外角高めの93・7マイル(約1508キロ)のフォーシームを強引に引っ張って二ゴロ。
【コメント】
◯ なし
【NEWS情報】
◯ なし
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■ 試合情報(ドジャース関連NEWS)
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【コメント】
デーブ・ロバーツ監督:
「クレイジーな日だった。オフェンス面ではチャンスはあったが、それを生かせなかった。ついてない日だったから、リセットし、明日のために立て直したい。(蜂による遅延は)あんなのはこれまでに見たことがない。試合ができてよかった。負けたのは残念だが、クレイジーな状況だった。ダイヤモンドバックスと業者はタイムリーな形でいい仕事をした。(試合中止の)話もあったが、日程面で議論があり、(試合をする方が)理にかなっていた。ハチではなくとも、天候によるディレイはよくあることだ」
「明日は山本が先発だから、気分はいい。シリーズ勝利を目指すよ」
【NEWS情報】
ゲーム開始遅延:
◯ この試合は蜂(ハチ)の大群がバックネット裏に集まったため、試合開始が遅れる珍事が発生。駆除業者がハチの大群を取り除き、1時間55分遅れで試合が開始となった。米ロサンゼルス・タイムズのジャック・ハリス記者は、自身のX(旧ツイッター)で、蜂駆除に関する重要な情報を投稿した。「重要な説明」とし、「ミツバチは殺されなかった。殺虫剤を含まない溶液で処理され、現場から運び出された」とつづった。蜂の駆除を行ったマット・ヒルトンさんはリフトに乗って蜂の大群に接近し、溶液と掃除機のようなもので蜂を吸い取った。その後、ヒルトンさんは始球式も務めて大観衆を浴びていた。
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■ 球界情報
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マイク・トラウト外野手:
◯ エンゼルスの主砲、トラウトが、5日に左膝半月板損傷の手術を受けることが決まった。ミナシアンGMが4月30日、発表した。復帰時期は未定だが、今季中に復帰できる見通しだという。前日の試合後にMRI検査で損傷が発覚した。「いつ故障したのか分からない。何かにぶつかったんだろう。気づかなかっただけかもしれない。(前日の)試合後、治療を受けると本当に痛かった。昨夜は寝るのがつらかった。一晩中ずっと痛んでいた」。フィリーズ戦後、トラウトは涙をこぼして明かした。今季は29試合で両リーグトップタイの10本塁打、14打点、6盗塁、打率2割2分、OPS・866と好調だった。大谷が抜けたエ軍は11勝18敗。首位と5ゲーム差のア・リーグ西地区4位につけているが、レンドンに続いて主力が長期離脱となった。
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■ 注目記事&コラム
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◆ 大谷翔平、得点圏苦戦も歴史的4月 8部門で自己ベスト、打者専念で止まらぬ“進化”
(川村虎大氏/情報:フルカウント)
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ドジャース・大谷翔平投手は30日(日本時間5月1日)、敵地・ダイヤモンドバックス戦に「2番・指名打者」で出場し、5打数1安打だった。今季初の3三振でチャンスで2度凡退。得点圏では打率.184と苦しんでいるが、4月の成績を見ると、キャリアハイの数字となっている。
一足早い3月20日に韓国・ソウルで開幕した今季、ここまで全試合に「2番・指名打者」で出場中。4月のみの成績でみると、37安打、12二塁打、1三塁打、7本塁打、17打点、4盗塁、打率.352、出塁率.420、長打率.686、OPS1.106となっている。4月では安打、二塁打、長打数、塁打、打率、出塁率、長打率、OPSの8部門でキャリアハイとなっている。
さらに月間11度のマルチ安打は2019年6月に並び自己最多。12二塁打は月間最多、37安打は2023年6月の41安打に続き自己2番目に多い数字となっている。
水原一平容疑者の騒動もありながら、ここまで歴史的好結果を残している。米全国紙USAトゥデイのボブ・ナイチンゲール記者も「(大谷は)精神的に強いから、(水原問題は)払拭された。彼のメンタルは凄いと思う」と感嘆していた。
一方、課題とされる得点圏は38打数7安打で打率.184。30日のダイヤモンドバックス戦でも2度の好機で凡退し、チームはサヨナラ負けを喫した。今季は満塁と二、三塁の場面で無安打になっている。
打者専念のシーズンはメジャーに入ってから2度目。一度目の2019年とは「膝の方がその期間は不安が多かったので、そこが前回とは一番違う」と手ごたえも感じていた。それでも得点圏の指摘が多いのは、7億ドル(約1100億円)契約の宿命か。
川村虎大 / Kodai Kawamura
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◆ 大谷選手はなぜ「ハワイ島」を選んだか 楽園の島のプライベートリゾート事情
(岩瀬英介氏/情報:Forbes Japan)
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大谷翔平が動くと、メディアも動く。その一挙手一投足が話題を生むあたり、プレー以上にメディアへの影響力はパワフルだ。
よくハワイのホテルを、Wi-Fiやパーキング、有料の水など「何か動くたびにチャリンチャリンと課金される」と揶揄する観光客がいたが、何かするたびに世界中が騒ぐのも大変なことだろう。
大谷選手の話題でいま真っ盛りなのが、ハワイ島のリゾートに別荘を購入したこと。場所はハワイ島の西側、マウナケアリゾート内に新たに開発されるハプナエステーツというエリアだ。
別荘自体は米ドルで1700万ドル(日本円で約26億円)とのことで、ドジャースと10年で約1000億円の契約をした大谷選手からすると、ごくごく一部の出費なのかもしれないが、その価格と併せて連日報道が喧しい。
米メディア「ウォール・ストリート・ジャーナル」が不動産購入を報じたのが皮切りとなったようだが、それによれば大谷選手は開発を手がけるカリフォルニア州の不動産会社と、宣伝・販売の際には名前と肖像を使用できる契約を締結したそうだ。また購入したハプナエステーツでは最初の契約者だったために、一等地を占有できたとも報じられている。
ハワイの現地でもそこそこ地元メディアで報道されてはいるが、その反応はやや冷ややか。というのも、ハワイでは「派手な別荘購入話」はあふれていて、マーク・ザッカーバーグがカウアイ島に1億ドル(約156億円)以上を投じて広大な土地を購入した、ジェフ・ベゾスがマウイ島に7800万ドル(約122億円)の豪邸を購入した、などなど枚挙にいとまがない。
オラクル創業者のラリー・エリソンに至っては、ラナイ島の98パーセントを所有している。世界中のセレブたちが巨額なハワイの不動産を購入して、プライベートジェットで乗りつけるのが日常茶飯事となったいまでは、それほど驚くような話題ではないのだろう。
■プライバシーが守られる「ゲーテッド」
大谷選手によれば、2つの完璧なビーチ、2つの素晴らしいゴルフコースがあるこのマウナケアリゾートは、冬の間を過ごす自宅になるとのこと。
公式ウェブサイトによれば、「パラダイスを見つけました」とまるで使い古された宣伝文句のような感想を大谷選手は漏らしているが、雪を頂くマウナケア山の頂上から、ハプナビーチの綿のように柔らかい砂浜、コバルトブルーの太平洋まで、遮るもののない眺望と、多彩なアメニティを楽しめる。
テニスやウォータースポーツを楽しめる施設に、オーシャンビューのレストランが8つ。 プールやフィットネス施設、スパなども完備され、会員しか立ち入ることができない。
空港への送迎、自動車のバレーパーキングサービス(鍵を預けるとポーターが車を運んでくれるサービス)、到着前に冷蔵庫に食料品を買い揃えておいてくれるサービスなどもあり、全ては専門のコンシェルジュチームが対応する。
治安の面で安心感
大谷選手が購入した別荘のある地区「ヴィスタ」はリゾート内でも標高の高い一等地に位置し、14の別荘区画を擁するゲーテッドコミュニティ。「ゲーテッドコミュニティ」とは、その名の通りゲートで閉じられたコミュニティで住人しかエリア内に立ち入ることができない。
治安の面で安心感を得られるのでアメリカ本土で多く見られ、ハワイでもオアフ島の「ハワイロアリッジ」など珍しくない。ゲート内の警備にかかる費用は管理費として住人が支払うことになる。
ヴィスタ地区では、大谷選手の別荘が最初に建築される予定で、住居とトレーニング施設の設計が現在進行中。大谷選手の住居を含む4つのレジデンスがまず建設されるようだ。
販促ウェブサイトの説明を見ると、各レジデンスは、通常のように1家族で購入し所有することもできるが、最大4家族で共同所有することもできる。価格帯は1700万ドル(約26億円)~2200万ドル(約34億円)ということで、大谷選手の別荘はコミュニティのなかではベーシックな価格らしい。
敷地は約5778平方メートル、建設予定の邸宅の床面積は650平方メートル前後になる予定。気になる管理費は、年間で1軒につき1万9000ドル(約294万円)~4万8000ドル(約744万円)というから、100平方メートル程度のコンドミニアムで月3000ドル(約47万円)を超える管理費も珍しくないハワイでは常識の範囲内と言える。
■ハワイ島の「ウルトラエクスクルーシブ」
ここで筆者がふと疑問に思うのが、なぜハワイ島なのか? ということだ。もともとアメリカ人にはマウイ島がハワイ人気の定番だし、「ハワイ=マウイ島」と思っているアメリカ人も少なくない。
一方で「ハワイ=オアフ島」と考えている代表格が日本人で、その証拠にオアフ島で外国人の不動産購入額の第1位は日本人だ。一方、アメリカ人やカナダ人は、マウイ島やカウアイ島の不動産をよく買っている。
ハワイ島といえば、ハワイ州の主要7島のなかで最大の面積を持ち、島の中心部はほぼ溶岩で覆われている。けれど、その大きさゆえか、雄大でゆったりした時間が流れており、オアフ島とは空気感がまるで違う。ハワイ島に行くとオアフ島よりもっとホッとした感覚になるのは筆者だけではないと思う。
そして、実はあまり知られていないが、このハワイ島には知る人ぞ知るウルトラ高級な会員制リゾートがあるのだ。富裕層は何よりプライバシーを気にする。それに最適なのが、最近増えている会員限定のリゾート。大規模邸宅や高級コンドミニアムは「ウルトララグジュアリー」と呼ばれるが、こうした会員制でプライバシーが守られる超高級施設は「ウルトラエクスクルーシブ」と呼ばれるそうだ。
ハワイ島には主な高級会員制リゾートが4つある。「フアラライ」「ホクリア」「コハナイキ」「クキオ」で、それぞれオーシャンビューの絶景と、専用ゴルフコースをはじめとする豪華施設を備える。
共通するのは、そのリゾート内に不動産物件を所有するのが会員になる条件ということ。不動産を所有したうえで、審査を経てメンバーになれば、リゾート内の施設を利用できるようになる。
この4つのなかでも抜きん出て高級で世界中のセレブが集まっているのが、クキオ。次点がコハナイキとなる。ということで、この2つの「ウルトラエクスクルーシブ」を紹介しよう。
大ざっぱに言うと、ハワイ島西のコナ国際空港の南に位置するのがコハナイキ、北にあるのがクキオだ。
コハナイキから説明すると、コナ空港から南へ車で約10分、カイルア・コナからは車で約10分のところに位置するハワイ島では比較的新しいプライベートリゾートだ。
映画館とボーリング場も完備
海沿いのオーシャンビューを堪能できる邸宅が並び、中心に位置する約620平方メートルのクラブハウスには、スパやプール、フィットネスジム、テニスコートなどが揃い、プールもある。またこの施設の特徴としては、映画館とボーリング場も完備されていること。レストランも多くあり、ちょっとしたショッピングモールのようだ。
専用ゴルフコースもメンバー専用で、予約しなくても回れるくらい空いている。筆者も一度見学したことがあるのだが、コース内にいくつか設置されている休憩施設には、食事だけでなく各種カクテルやアルコールも揃い、ゆったり飲みながらプレーを楽しめる。
クラブ内でのキャッシュのやり取りはなく、まとめてメンバーに請求される方式。やはりメンバーになる条件は、リゾート内に不動産を所有していることで、土地の価格は460万ドル(約7億円)~550万ドル(約8億5000万円)で、会員権が20万ドル(約3100万円)、年会費が4万7000ドル(約728万円)だそうだ。
■元ZOZO前澤氏も購入した最高級リゾート
現在、ハワイ島で最上級の会員制リゾートとされるのが、クキオだ。正式名称は「クキオ・ゴルフ&ビーチクラブ」。コナ空港から北へ車で約10分、フアラライ・リゾートに隣接する、かつてはハワイ王族の土地だった場所にある。
世界中から富豪たちがプライベートジェットで訪れることでも知られ、厳格なプライバシー管理も特徴。すべての施設がリゾートの不動産オーナーであるメンバーのみしか利用できない。ゲストもメンバー同伴でないと何もできない。
実は一度、筆者はこのリゾートの知人を訪ねたことがあるのだが、メンバーが来ないとロビーにさえ入れてもらえなかった。メンバーになるには、不動産購入だけでなく厳正な審査もあり、ハリウッドの某有名人が入会を断られたという話も聞いた。メンバーには、デル創業者もマイケル・デルや、俳優のジョージ・クルーニー、キャメロン・ディアスなどの名前も挙がっている。
メンバー専用のゴルフコースはトム・ファジオの設計で、チャンピオンシップゴルフコース(山側の18ホール)とショートコース(10ホール)の2つ、メンバーは500名以下に限定しているそうで、この人数だと予約も必要なし。好きなときにいつでも回れる。
リゾート内は溶岩の景色をうまく取り込んでおり、独特なムードを醸し出している。クラブハウスにはスパやフィットネスジム、プールがあり、ダイニングやバーも完備。希望するオーシャンスポーツがあれば、スタッフがアレンジしてくれる。長期滞在者向けに、スパでは米国本土の有名美容師がヘアスタイリングしてくれるサービスもあるそうだ。
桁が違いすぎるクキオの不動産物件
このクキオに現在、大豪邸を建設中なのが、元ZOZOの前澤友作氏だ。リゾート内でもかなり良い条件の土地に、独創的な邸宅を建設中らしい。筆者は、このリゾート内に住む老夫婦を訪ねたことがある。米国本土の事業で成功した人で、門からしばらく車で進んで玄関に着くと、玄関前の噴水広場にフィットネスジムがあった。
ゆうに1000平方メートル以上はある自宅には、美術館かと思うほどの工芸品がそこかしこに陳列され、見事にライトアップされたインフォニティプールとジャクジーの向こうにはハワイ島コナの美しい海が一望できる。体育館のようなキッチンの奥から旦那さまがワインを持って出てきて「僕ら夫婦だけだから、少し広すぎて」と笑ったときには、目まいがした。
桁が違いすぎるクキオの不動産物件は、2024年4月現在ウェブサイトの掲示では、戸建てが2750万ドル(約42億6000万円)~、土地が345万ドル(約5億3400万円)~2000万ドル(約31億円)といったところ。戸建てには、リゾートらしく駐車場だけでなくゴルフカート置き場もあるそうだ。クキオ全体でこれまで累計で5000億円以上の不動産が売れたそうだ。
これら不動産を購入したうえで、40万ドル(約6200万円)で会員権を購入し、ゴルフ&ビーチクラブフィー年間6万6000ドル(約1023万円)、管理費年間2万3500ドル(約364万円)でメンバーになれる。
大谷選手のハワイ島別荘購入で、「ハワイ島の不動産価格が上がるのでは」「ホテル代が上がるのでは」なんていう心配の声も聞かれる。とはいえ、すでにハワイ島は世界中から注目を集めるリゾートとしてセレブの間では有名な存在で、これらウルトラエクスクルーシブクラブの価格を見る限り、大谷選手が1700万ドルの不動産を購入したというニュースには、現地ではそれほどの驚きはないようだ。もちろん、筆者も含め庶民のため息はたくさん聞こえるが(苦笑)。
岩瀬英介
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◆ 現役最後の打席で浴びたブーイング 「MLB通算175ホームラン」松井秀喜“最後の1年”は逆境の連続だった…それでもアメリカで愛された人柄
(笹田幸嗣氏/情報:NumberWEB)
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長いあいだ野球記者をしていると、カレンダーを見て思い起こすことがある。
今から12年前の2012年5月1日。タンパベイ・レイズの本拠地トロピカーナフィールドでは松井秀喜の入団会見が行われていた。巨人、ヤンキースと日米の伝統球団でプレーし、数えきれないほどの勲章を手にしてきたエリート選手は切実な思いを語っていた。
「ただプレーがしたい。野球がしたい。またプレーするチャンスをいただいたレイズに対する感謝の気持ちでいっぱいです。あとはメジャーに上がって頑張るだけです」
アスレチックスからFAになった前年10月以降、松井の元へは契約オファーがなかなか届かなかった。本人は愛着あるヤンキースとの再契約を求めたものの、獲得リストにその名はあったが具体的オファーまでには至らなかった。キャンプイン、開幕を迎えてもオファーがない。1カ月遅れでようやく届いた唯一のオファーがレイズからのマイナー契約。メジャーでプレーできる保証はなかった。
現役最後の打席で浴びた、地元ファンからのブーイング
5月29日にメジャー昇格を果たし、いきなり本塁打を放った。誰もが“ゴジラ復活”を喜び、今まで通りの活躍を期待した。しかし後が続かなかった。38歳を迎えた彼の左膝の状態は思わしくなく、出場わずか34試合、与えられた打席数103、最後は18打席ノーヒットが続いた。メジャー10年目の成績は打率.147、2本塁打、7打点。戦力外通告を受けたのは7月24日、ボルチモアでのことだった。
現役最後の出場となったのは7月22日のマリナーズ戦だった。1対2で迎えた9回2死一、二塁。代打として『背番号35』の松井の名が告げられた。
長打が出れば逆転。松井起用には最良の場面だったが、ここまでの不振が影響し地元ファンからはブーイングが起こった。結果は遊飛でゲームセット。ブーイングは更に大きくなった。
試合後のクラブハウスは重苦しい空気に包まれていた。“クビ宣告”はあるのか。松井を追う報道陣は戦々恐々としていた。
記者が驚いた気遣い「なんか話があるから来たんでしょ。どうぞ」
その一方で松井はいつもとまったく同じのマイペース。シャワーを浴びた後は遠征地ボルチモアへと向かう旅準備をしていた。
当時、筆者はマリナーズ・イチロー取材の日々で、松井に会うのは冒頭の入団会見以来だった。すると彼の方から話しかけてくれた。
「久しぶりだね。なんか話があるから来たんでしょ。どうぞ」
この状況で気遣いをしてくれることに驚いた。彼が1992年オフに巨人に入団した当時、番記者を務めていた。03年のヤンキース移籍後も彼を追いかけた。常々、彼の懐の大きさには感謝してきたが、この日ばかりはこの展開を予想できなかった。「元気ないじゃん」と声をかけると松井は笑いながら答えた。
「この状況で元気だったら、その方がおかしいでしょう」
既に彼は現状を受け入れていた。私は更に会話を続けた。
「こういうときもあるよ。いつまでも今の状態が続くわけないでしょ」
松井は言った。
「だといいんだけどね」
表情が少し曇った気がした。
現地メディア讃えた“松井の誠実な人柄”
ヤンキース1年目の03年オフ。松井はニューヨークの野球記者が制定した「Good Guy Award」(いいやつ賞)なるものを受賞した。野球の成績でなく、日々の立ち振る舞いを評価する賞があること自体に驚いたが、厳しいジャーナリズムの精神を持つニューヨークの記者たちにとって、松井は模範たる選手であった。
試合前のクラブハウス。日本からやってきた本塁打王に米国人記者たちは入れ替わりで話を聞きに行った。開幕から2カ月がすぎても打率は.250前後、3本塁打に低迷していたこともあり、厳しい質問は続いた。それでも彼はその都度椅子から立ち上がり、通訳を通しながらではあったが、質問者の目を見ながらひとつひとつの質問に誠実に答えた。
“なかなかできることではない”と、ニューヨークのメディアが彼の人柄を讃えるようになるのに時間はかからなかった。
大都市ニューヨークで「日本人の模範」になるまで
6月以降、打撃でも適応を果たし、目の肥えたメディアを満足させるプレーが目立つようになった。何よりも彼らを唸らせたのは、状況を理解した的確な打撃アプローチとその結果を導く力だった。進塁打、犠飛はもちろんのこと、タイムリーが欲しい場面では期待に応えた。いつしか「Ground Ball King」(ゴロキング)と呼ばれていた男は「Mr. Clutch」(勝負強い男)、「RBI Machine」(打点マシン)へと評価を変え、その人柄とともに大都市ニューヨークで「日本人の模範」と讃えられるようになった。現役生活を通し終始一貫、彼の紳士たる振る舞いは変わらなかった。
松井は「敬う」という言葉が好きだ。たとえどんな相手であっても敬意を払い接する。多くのことを彼から教えてもらったが、相手を敬う心の大切さは彼から学んだ大切なことだった。5月1日を迎え、再び心に刻んだ。
(「メジャーリーグPRESS」笹田幸嗣 = 文)
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