2024年4月26日

 

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 ■ 試合データ

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米国時間:2024年4月25日

日本時間:2024年4月26日(金曜日)

5時05分開始

ロサンゼルス・ドジャース

対ワシントン・ナショナルズ

@ナショナル・パーク

 

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【MLB.JP 戦評】

 

 

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 ■ 今日の大谷翔平(関連NEWS)

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【スタメン】

2番DH

 

【出場成績/打者】

4打数 0安打 2三振

通算打率・358

OPS1・089

 

◆第1打席:

(結果)空振り三振

(状況)1回1死走者なし

(投手)マッケンジー・ゴア左

※98・3マイル(約158キロ)直球で3球三振に倒れた。

 

 

◆第2打席:

(結果)空振り三振

(状況)3回無死2塁

(投手)マッケンジー・ゴア左

※カウント2ー2から97・4マイル(約157キロ)直球で2打席連続の空振り三振だった。

 

◆第3打席:

(結果)セカンドゴロ・併殺

(状況)5回1死1、3塁

(投手)マッケンジー・ゴア左

※初球のスライダーに手を出しニゴロ併殺で好機をつぶした。

 

◆第4打席:

(結果)サードフライ

(状況)8回無死1塁(盗塁後2塁)

(投手)ジョーダン・ウェームス右

※6球目の内角高めフォーシームに詰まり、サードライナーに打ち取られた。

 

 

【コメント】

なし

 

【NEWS情報】

◯ 大谷は3月25日に術後初めてキャッチボールを行って以降、中1日や中2日でキャッチボールを継続。この日も、順調な回復ぶりを見せた。さらにキャッチボールの後、そのままレフトの位置に残り、打球捕。ベッツやテーラーのフリー打撃の打球を追って守備もこなし、6つのゴロと1つのフライを処理した。

 

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〇 ドジャースは試合後、球団公式インスタグラムを更新。次の遠征地、カナダ・トロントへ向かう大谷らの姿を公開した。

 

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◯ 花巻温泉郷観光推進協議会から同校に26日、昨季にOBのブルージェイズ菊池雄星が11勝、エンゼルス大谷が10勝と、同時に2桁勝利を挙げたことを記念したモニュメントが贈呈された。同モニュメントは同校野球場のバックネット裏に設置。誰でも見ることが可能で、隣に設置されている21年のMLBオールスターゲームに2人そろって出場したことを記念したモニュメントは、多い日は1日に300人超が訪れるほどの名所となった。同協議会の高田貞一会長は「(モニュメントを見て)2人の活躍を応援していただきたい。またこのグラウンドで練習して世界に羽ばたいたことを感じ取っていただければ」。新たな観光名所に、また花巻の町が活気にあふれそうだ。

 

 

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 ■ 試合情報(ドジャース関連NEWS)

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【コメント】

デーブ・ロバーツ監督:

「山本は速球を両方のコースに効果的に投げ分けていた。制球がとても良く、初球のストライクを多く取り、カウントを先行した。三振を多く取り、長いイニングを投げてくれた。変化球はカーブ、スプリットが良かった。おそらく総合的にはこれまでで最高の投球。最近の2登板はとても良かった。カーブ、スプリットはどちらも上質だった。それも速球次第。投球の半分以上が速球なのだから、制球しなければいけない。今日はそれをやり、結果はご覧の通りだ」

 

山本由伸投手:
――登板を振り返って。
「コントロールの部分はすごく気を付けて、また変化球もストライクゾーンに投げられていたので、ストレートもその分、良いコースを狙ってピッチングできました」

――ピッチャー返しの瞬間は。
「もう・・・気付いたらボールが目の前にあったので、たまたま反応できました(笑い)。ビックリしましたけど、ビックリする間もなくボールが来てたので、たまたまグラブが反応できるところだったので運が良かったです」

――6回無失点。ドジャースに来てから今日が一番の内容か。
「そうですね、ここまでの中では一番自分らしいピッチングだったかなと思います」

――直球の出来は。
「空振り取れるストレートもありましたし、そこまで良くないストレートもありましたけど、とにかく良いコースに投げられていたのでファウルも沢山取れましたし、基本的に良いボールが今日は多かったかなと思います」

――直球が良かった要因は。
「いい力感でいいフォームで投げていけたから良かったのかなと思います」

――技術的な部分だったのか。
「いや、特に変えたところはないんですけど、いい力感でいいバランスで自分が心がけていることをうまくできた投球だったかなと思います」

――結果的に三塁を踏ませなかった。
「コントロール良く、変化球もここまであんまりストライクを取れてない登板が多かったんですけど、今日は割とストライクゾーンに行きましたし、とにかく落ちついてピッチングができた」

――直球の質がメジャーで登板して大事と感じるか。
「質の部分もすごく大事だなと感じますし、やっぱりコントロールの部分も大事だなと思いますし、とにかくコントロールもストレートもピッチングの基本の部分になってくると思うので、そこは大事にしていけたらなと思います」

――開幕から約1カ月。日米の打者で違いを感じるところは。
「やっぱり(メジャーの打者は)スイングが強いなと思いますし、日本のバッターは当てるのが上手というか、ちょっとタイプが違うなとは感じますし、良いバッターがたくさんいるので、また練習して次の登板に備えていきたいです」

――イメージしてる投球は日本の時と基本的に同じなのか。目指すピッチングは変わるのか。
「基本はそこまで変わりはないです」

――1カ月で大リーガーとして慣れてきたか。
「いや?どうでしょう(笑い)。でも、この生活というか例えば野球も多少違いはあるので、そういった部分も徐々に慣れてきてるなと感じる部分もあるし、意外と気にしてなかったつもりが、多少意識はしてたのかなとか、そういったところもあります」

――心もほぐれてきたのでは。
「そうですね。本当にサポートをたくさんドジャースがしてくれているので、本当にすごく助かってます」

 

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ウィル・スミス捕手:

(試合中継中)

「昨日打ったライナーは115マイルだっけ。125マイルぐらいだと思ったよ。いや、待てよ、その前の夜のホームランはもっと速かったんだって。彼がやっていることは信じられないよ。彼の仕事ぶりは信じられない。彼の練習態度から学ぶことができる。試合への挑み方、準備などは学ぶことができる。私たちは125マイルの打球を打つことはできないけど、ケージでは彼のように(練習)できる」

 

【NEWS情報】

ジャック・カグリオーン内野手:

◯ “大谷翔平2世”として注目を浴びているフロリダ大の二刀流左腕、ジャック・カグリオーン内野手が、また衝撃のパワーを披露した。23日(日本時間24日)のステッソン大戦に「2番・一塁」で先発し、2本塁打の大暴れ。これで直近11試合で11本塁打となり、「アンビリーバボー!」「彼は大学野球史上最高の選手」と日米ファンも唖然としている。今年のMLBドラフト1巡目有力候補とされ、MLB公式が24日(日本時間25日)に公開したドラフト候補トップ150では全体3位に入った。今後も活躍を続け、上位指名を勝ち取るのか。今後も注目が集まる。

 

プレーヤーズ・ウィークエンド:

◯ 2017年から2019年にかけて開催され好評を博した「プレーヤーズ・ウィークエンド」が5年ぶりに復活することになった。今年は日本時間8月17~19日の3日間にかけて行われ、選手の個性や関心、さらには選手たちが支援している慈善活動をフィーチャーするような内容になっている。フィールド上での選手たちの活躍だけでなく、フィールド外のストーリーを若い野球ファンやライト層に紹介し、野球ファンの拡大につなげることを目指しているようだ。

 

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 ■ 球界情報

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藤浪晋太郎投手:

◯ メッツ傘下3Aシラキュースの藤浪が25日、本拠での3Aコロンバス・クリッパーズ戦(ガーディアンズ傘下)に登板も1死しか奪えず、6失点した。8回から4番手でマウンドに上がった藤浪は、先頭から3者連続四球を与え満塁のピンチを招いた。4人目の打者を中飛に打ち取ったが、次打者の打球を二塁手が失策。これがタイムリーエラーとなり失点した。さらに6人目の打者に適時打を浴びると、7人目の打者をまたしても四球で歩かせたところで降板。後を継いだ投手も適時三塁打を浴び、藤浪の登板結果は1/3を1安打4四球、6失点となった。今季成績は7試合で防御率13・50。

 

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 ■ 注目記事&コラム

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◆ 上沢直之、悩んだRソックス入り 「早くメジャーで投げるため」 昇格の鍵はホットタブ、スプリット

上沢直之投手/情報:スポニチ)

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 レッドソックス傘下3Aウースターでプレーする上沢直之投手(30)がメジャー昇格を目指し、奮闘している。米1年目の戦いを語る連載コラム「Uwasawa’s Journey」第2回は、開幕直前の3月27日にレイズからレッドソックスに金銭トレードで移籍した経緯や決断理由について語り、新天地での生活ぶりを紹介する。(取材・構成=柳原 直之)

 

 開幕直前にレイズとの契約内に含まれていたオプション(譲渡条項)を行使し、獲得オファーを頂いたレッドソックスに移籍しました。行使して、他球団から打診があれば、レイズは僕を40人枠に入れる選択権があり、そこに入れない場合は移籍となる条項でした。

 

 行使する時は凄く悩みました。レイズで成長できると思い入団した経緯もあり、行使せずにそのままプレーする選択肢も頭にありました。ただ、レイズとしては開幕時点での先発陣に不調や故障があった場合、優先順位が高い投手が僕ではないという方針になり、40人枠に入れる決断をしなかったのだと思います。メジャーで投げるために米国に来ました。悩みましたが、代理人や家族と相談し、どう進めれば早くメジャーで投げられるのかを2、3日話し合い決めました。

 

 移籍したレッドソックス傘下3Aの本拠地ウースターは、ボストンから西に70キロほどの町です。10日ほど前から球団が借りたアパートで1人暮らししています。到着日は少しトラブルがあり、レッドソックスのキャンプ地フォートマイヤーズからの飛行機が3時間ほど遅延し、到着は深夜2時。管理人は既に帰宅していて、キーボックスまでたどり着けず、ぼうぜんとしました。

 

 しかも雪が降っていて、気温も氷点下でかなり寒かったです。テラ(寺嶋大賜通訳)に緊急連絡先に電話してもらい、スペアキーが隠された場所を案内され、何とか解決しましたが、翌日はダブルヘッダー。2試合ともベンチで見て、今が何時なのかよく分からなかったです(笑い)。

 

 マイナーはトレーナーが少なく、メジャーやNPBのように1時間かけて治療を受けるのは難しいです。そのため、ストレッチは起床後すぐにして、ビジターなら球場入り前、ホームなら球場入り後のホットタブ(風呂)に15分くらい入り、その後にまたストレッチして、就寝前にもう一回しています。アパートの部屋もバスタブが付いていますが、最高で39、40度くらいまでしか熱くなりません。ホームのホットタブは熱めで温まりやすいです。

 

 16日のダーラム戦で5回4失点で初勝利を挙げましたが、まだ課題があります。現在、投手コーチから課されているテーマの一つが、スプリットの投球割合を増やすこと。米国はスプリットを投げる投手が少ないので、より抑える確率を上げるためということです。直球の割合が確実に減りますが、まずはそこにコミットしてやっていきたいと思います。(レッドソックス傘下3A投手)

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◆ 大谷翔平と真っ向勝負できるブルージェイズ先発陣 菊池雄星との花巻東高「先輩後輩対決」筆頭にすべてが見どころに

奥田秀樹氏/情報:webSportiva)

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 ロサンゼルス・ドジャースが4月26日(日本時間27日)から敵地で迎える3連戦、今季初対決となるトロント・ブルージェイズは大谷翔平にとって、手強い先発投手陣が顔を揃えている。大谷の花巻東高の先輩で、現在はメジャートップクラスの左腕となった菊池雄星をはじめ、ナ・リーグ首位打者をひた走る大谷相手にどのようなピッチングを見せるのか? 大いに注目だ。

 

【大谷が最も苦手とする右腕バジット】

 

 トロント・ブルージェイズの先発投手陣は、昨シーズンは30球団中3位の防御率3.85を誇り、今季も好調でチームを牽引している。

 

 特に調子がよいのは、現在4連勝、防御率0.85の右腕ホセ・べリオス(29歳)。実は大谷翔平はべリオスに対して22打席で本塁打3本、二塁打4本、長打率は1.167と"カモ"にしている。もっとも、今季最初のシリーズ(4月26日・日本時間27日からの3連戦)ではローテーションの巡り合わせで当たらない。

 

 代わって対戦するのは、手ごわい3人だ。

 

 4月26日(日本時間27日)の第1戦は右腕クリス・バジット(35歳)で、大谷がメジャーで最も苦手な右腕なのかもしれない。大谷が一番多く三振を喫しているのは、ヒューストン・アストロズの左腕フラムバー・バルデスで12個だが、それに次ぐ11個。ただしバルデスは41打席で12奪三振だから,三振率は29%。バジットは27打席で11奪三振だ(40.7%)である。

 

 サイヤング賞(最優秀投手賞)投票の対象になったことは3度あるが、最高でも8位と決して大投手とは呼べない。速球も目一杯投げると95マイル(152km)を超すが、平均だと92~93マイルと速くない。三振奪取率も22.1%でほぼメジャー平均。にもかかわらず、大谷からは40%の三振奪取率を誇り、通算打率も2割に抑えており、大谷に対して分がいい投手といえる。

 

 初対戦は、バジットがオークランド・アスレチックス時代の2019年5月27日。大谷はカーブに二ゴロ、チェンジアップに投ゴロ、フォーシームに空振り三振だった。同年6月、大谷は2試合目の対戦でカーブを中越え本塁打としたが、2020年は3試合で対戦し6打数0安打1四球、フォーシームに2三振、シンカーに1三振を喫した。2021年もフォーシームに3三振だった。

 

 グラブを持つ左手は高く上げたまま、左足を高く上げてから右ひざを折り曲げ、196cmの身体を沈み込ませるフォームで、低いリリース位置から高めを狙ってフォーシームを投げる。それが大谷に対して効果を発揮する。それを、縦に大きく割れるカーブと併用するため、速球が得意な大谷がタイミングを合わせられない。

 

 大谷が対バジットで唯一複数安打を記録したのは、2021年5月22日の試合。高めのフォーシーム、低めのカーブに2打席連続空振り三振のあと、3打席目はフォーシームにバットを折られたが、68.5マイル(110km)の打球は二遊間を抜け、右中間の芝生の上を弱々しく転がっていった。大谷はそれを見て一塁ベース付近から加速、瞬く間に二塁ベースに到達した。

 

 4打席目は外角カーブに身体が泳ぎながら打球はセンターの頭上を越え、再び快足で駆使して三塁ベースへ。バジットは、大谷の(走塁における)ワープ速度に舌を巻き、試合後、自身のSNSで、次のようなユーモラスな文面を投稿した。

 

「親愛なる米国宇宙軍(U.S. Space Force)へ、エンゼルスの背番号17を調査してくれませんか? 調べてください、よろしくお願いします」

 

 そのうえ、画像のキャプションには「エイリアン(地球外生命体)だと言っているわけじゃないけど、あれはエイリアンだった」と添えている。

 

 バジットは2023年からブルージェイズに移籍し、昨年4月に再び対決。大谷は、シンカーとスプリッターで2打席連続の見逃し三振を喫したあと、3打席目は初球カーブをとらえ右前打だった。これまで大谷が打っているのは、ほとんどがカーブである。

 

 10試合目の対決で、今度こそバジットの速球を芯でとらえヒットにできるのだろうか?

 

【メジャートップクラスの左腕・菊池雄星】

 

 4月27日(日本時間28日)の第2戦は花巻東高校の先輩、菊池雄星(32歳)と対峙する。大谷はメジャー7年目で圧倒的なメジャーの看板選手だが、菊池も渡米から数年間、悪戦苦闘した末、6年目でリーグを代表する左のパワーピッチャーに成長した。その進化は称えられるべきだと思う。昨季は32試合に先発し、11勝6敗、防御率3.86。今季は5試合に先発し2勝1敗、防御率2.28である。

 

 今の菊池はすでにニューヨーク・ヤンキース相手に2試合好投しているように、アーロン・ジャッジやフアン・ソトのようなメジャーのトップ打者であっても圧倒できる力がある。本人も「メジャーで6年目ですが、これだけ自信を持って投げられているのは初めてです」と手応えを口にしている。

 

 大谷のvs.菊池の通算成績は20打数6安打1四球、6三振。3本塁打、1二塁打、打率は3割だ。

 

 初めて対戦したのは2019年の6月8日。スライダーを二塁内野安打、カーブを一ゴロの後、75マイル(120km)のカーブを左中間本塁打とした。この年はほかに2試合対戦したが4打数1安打1四球だった。

 

 とはいえ、当時の菊池は大谷との勝負云々ではなく、メジャーで果たして先発投手を続けられるのかどうか、疑問符がつくレベルだった。1年目は6勝11敗、防御率5.46で、36本塁打を浴びたからだ。2年目も2勝4敗で防御率は5.17。とはいえ、菊池は菊池なりに進化をしていた。例えばフォーシームの平均球速は1年目の92.5マイル(148km)から2年目は95マイル(152km)に上がった。

 

 そして3年目の2021年は、フォーシーム、スライダー、チェンジアップで空振り率が30%を超え、前半は6勝4敗、防御率3.48の好成績でオールスターに選出された。大谷とは6月5日に対戦。真ん中に入る94マイル(150km)のカッターを左中間本塁打とされたが、2打席目はスライダーで空振り三振。7月17日の対戦でもスライダーで遊飛、フォーシームで見逃し三振、スライダーで空振り三振と抑えた。後半は成績を落とし、防御率は4点台に下降したが菊池なりにステップアップはしていた。

 

【ブルージェイズ移籍後に開眼】

 

 2022年からブルージェイズに移籍。このチームの投手コーチには、元横浜DeNAベイスターズのピート・ウォーカーがいて、他球団で活躍できなかった投手を再生させることで有名。菊池についても潜在力を買い、3年契約を与えた。この年はその第一段階で途中からローテーションを外れることになったが、結果的にそれが転機となった。

 

 菊池にはマウンド上で考え過ぎる悪癖があった。投球フォームに違和感を覚えると、打者よりそちらに気を取られる。だが、リリーフ投手だと同じようにはいかない。

 

「先発投手だと登板の準備に1時間から2時間もかけられる。ところがリリーフ投手だとブルペンで10球投げただけで、試合に出ないといけないことも何度かあった。でも少ない準備でも試合で同じような球を投げられた」

 

 菊池がこう振り蹴ったように、リリーフ登板した12試合では、18.3イニングで33奪三振と圧倒した。

 

 対大谷も悪くなかった。90マイル(144km)の高速スライダーが有効で、5月28日の対戦はスライダーに二ゴロ、空振り三振、フォーシームに中飛。8月26日はスライダーに一ゴロ、二ゴロだった。メジャーの看板選手となった後輩に、先輩の意地を見せた。

 

 2023年、先発ローテーションに復帰。MLBは新ルール、ピッチクロックを導入したが、これも菊池には都合がよかった。時間が限られているから、余計なことを考えずポンポン投げ込む。自らのフォーシームの威力を信じ、ストライクゾーンを攻めた。捕手もミットをコーナーに構えるのではなく、ゾーンの中に据えた。

 

 大谷との対戦は4月9日、シーズン2試合目の登板だった。この時は後輩にリベンジされた。1打席目はスライダーで一ゴロに仕留め、この時点では10打席連続で討ち取っていたが、2打席目は大谷がインコースのスライダーを狙い打ち。センター左のスタンドに運んだ。3打席目も内角高めのスライダーを中前打とした。試合後、菊池は「肩口から入ってくるボールで一番飛ぶところ。もう少し外に投げきらなければいけなかった、失投ですけどそこを見逃さずホームランにするというところでレベルの高さを感じました」と称えた。

 

 過去との違いを感じたかという質問には「当然毎年レベルアップはしている。僕自身も彼に負けないというよりも、このリーグで勝つために自分を磨き続けているので、今日は打たれましたけどまた次頑張りたいなと思います」と語った。

 

 この試合の菊池は5回途中まで投げ6失点と散々な出来だった。しかし4月、ほかの4試合はトータル3失点でヤンキース、タンパベイ・レイズを倒すなど勝利投手になった。

 

 その勢いに乗り、2023年は前述の好成績となった。そして今回、メジャーのトップ選手同士として真っ向勝負に臨む。

 

【復調気配のガウスマンも手強い相手】

 

 4月28日の第3戦はケビン・ガウスマン(33歳)だ。2023年はサイヤング賞投票で3位、237奪三振はア・リーグトップだった。メジャーリーグきってのスプリッターの使い手で、フォーシームとスプリッターのリリースポイントも軌道も、ボールの回転軸もほぼ同じ。ゆえに打者は見分けがつかない。速度差は約10マイル(16km)、途中からフォーシームより60cm近く落ちるが、途中でバットは止められない。

 

 大谷は過去3度対峙している。2度目の対戦となった2021年6月23日の試合、大谷は二刀流での出場で、投手では6回を6安打1失点、9奪三振と好投したが、打席ではガウスマンのスプリッターに一ゴロ、空振り三振、空振り三振と完全に抑えられた。

 

「すばらしい打者だから、自分のベストの投球を心掛けた。投手有利なカウントに持っていくことができ、いいボールを投げることができた」

 

 試合後に笑みを浮かべながら振り返ったガウスマンは、2022年からブルージェイズに移籍すると、2023年7月28日に再対決。第1打席、初球低目のフォーシームを完ぺきにとらえ右越え本塁打、2打席目はスプリッターに空振り三振、3打席目は外角低めボールになるスプリッターに手を伸ばし、左前に落とした。ふたりの対戦成績は通算で9打数2安打、5三振、打率.222だ。

 

 ガウスマンは今年、春季トレーニング中に肩の疲労が出て調整不足。開幕から最初の3試合は防御率11.57の不振だった。しかし4試合目のヤンキース戦は5回1失点、5試合目のカンザスシティ・ロイヤルズ戦も7回途中まで3失点(自責0)と、今季0勝3敗ながら調子を上げてきている。

 

 大谷との4度目の対決は、いかに?

 

奥田秀樹●取材・文 text by Okuda Hideki

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◆ 菊池雄星、大谷翔平の母校に新たな記念モニュメント

佐々木亨氏/情報:スポナビ)

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 メジャーリーガーを輩出する岩手県の花巻東高には、そのモニュメントを一目見ようと多くの人々が集い、多い日には300人以上が訪れる日もあるのだという。同校の野球部グラウンドのバックネット裏にある“一つ目”のモニュメントは、2022年4月に建てられたものだ。当時はシアトル・マリナーズに所属した菊池雄星、同じくロサンゼルス・エンゼルスでプレーした大谷翔平、その花巻東高出身の2人がメジャーリーグのオールスターゲームにそろって選出された快挙を記念して建てられた。刻印された2人の手形に自らの手を重ね合わせながら記念撮影に興じる人々。訊けば「関西から来ました」と言う団体に実際に会ったことがあるのだが、今では人気スポットにして観光ルートの一つになっている。

 

 そして、一昨年に続いて新たなモニュメントが登場した。昨年2023年シーズン、菊池と大谷が共に2桁以上の勝利を手にした快挙を祝うものだ。縦2メートル40センチ、幅1メートルの板状のモニュメントには、菊池の11勝と大谷の10勝、それぞれの勝利数と直筆サインが刻まれている。また、菊池の日米通算100勝と1500奪三振、大谷のア・リーグMVPと日本選手初となるホームラン王の記録なども記されている。『菊池雄星選手・大谷翔平選手 同時2桁勝利達成記念モニュメント贈呈式』が4月26日に行われ、寄贈した花巻温泉郷観光推進協議会の高田貞一会長は笑顔とともにこう言った。

 

「菊池雄星選手、大谷翔平選手の2人は花巻の名前を全国はもとより、世界に広めてくれました。感謝して贈呈させていただきました」

 

 野球部員が練習に励むグラウンドの脇に建つ2つのモニュメントは、一般の人たちも自由に立ち寄って見ることができる。高田会長はこうも言うのだ。

 

「2人がこのグラウンドで練習して世界に羽ばたいていったことを、モニュメントから感じ取ってもらえれば、と」

 

 菊池は今シーズンもトロント・ブルージェイズで進化を続ける。大谷もまた、ロサンゼルス・ドジャースのユニフォームに袖を通し、新たな頂を目指している。花巻東高出身のメジャーリーガーの活躍は、同校はもとより、花巻市や岩手県という地元の大きな誇りであり、励みとなっている。輝かしい軌跡が刻まれた記念モニュメントには、春の温かな日差しがたっぷりと降り注いでいた。

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 ■ NOTE