@Dodgers

は、大谷翔平がLAと契約した時の話を語る

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2024年4月19日

 

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 ■ 今日の大谷翔平(関連NEWS)

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試合OFF(明日から本拠地メッツ戦)

 

◯ 大谷が2024年4月17日に公開された三菱UFJ銀行のYouTube動画に出演し、三菱UFJフィナンシャルグループの亀澤宏規社長と対談。対談には子供たちも参加し、大谷選手は子供たちの質問に笑顔で回答している。

 

ーー(亀澤社長から)大谷選手は私から見ると、もうトップオブトップにいらっしゃると思うんですけれども、山登りでいうと何合目ぐらいにいて、どういうところまで目指しているのか

「それで言うと、自分の山がどのくらい高いのかっていうのが予想でしか分からないので。

 

ーーまだてっぺんではないですか?

「まだてっぺんではないですね。年齢的にも今全盛期に入ってきている段階だと思っているので、そういう意味では6、7合目ぐらい」

 

ーー(亀澤社長から)この人すごいなっていう選手とか、あこがれている選手とかいますか

「それはたくさんいますね。日本の選手をテレビでも見る機会が多かったので、松井さん、イチローさん、ピッチャーだったら松坂さん、ダルビッシュさんもそうですし、野茂さん、黒田さんなどいっぱいいると思うんですけど、そういう方々を僕は小さい頃に見て、やっぱり凄いなと思っています。メジャーに挑戦してからも国籍、年齢問わず、素晴らしい選手はたくさんいる」

 

ーー(子供たちから質問コーナー)野球以外に好きなことについて

「好きなことありますね。趣味というか、犬飼ってますけど、散歩へ行ったりするのも好きです」

 

ーーカリフォルニアで一番好きなところについて

「初めて来た時は『In-N-Out Burger』を食べた時が一番おいしいなって。今はいろいろな高いお店とかも行けるようになりましたけど、一番最初に食べたのはIn-N-Out Burgerだったので、おいしいよって言われて食べてみて、おいしかったですね」

 

ーー(最後に質問する男の子が眠そうにしていると)

「眠くなっちゃったかな(笑顔)」

 

ーーどうやったらヒーローになれますか

「僕はヒーローではないので」

 

「この人って格好いいなとか、僕で言ったらそれが野球選手だっただけで、イチローさんであったりとか。そういう方が僕にとってのヒーローだったので。そういうなりたいものを何でもいいと思いますけどね。もちろん勉学の方でもいいと思いますし、いろいろな方面のそういう人たちをまずは好きになって、この人格好いいなと思ったらその人たちの真似をするのもひとつだとは思いますね」

 

ーー(最後に、未来を背負って立つ子供たちと、これから挑戦しようとしている人たちへおくるメッセージ)

「失敗した時につまらないなって思うこともあるかもしれないですけど、いつか違う道で役に立つこともあると思うので、まずは挑戦してみる。その先で超えられるものがいっぱいあるんじゃないかなと思います」

 

◯ @Dodgers公式は、大谷がドジャースと契約した時の話を語るムービーを公開。「興奮しないわけがない。世界最高の選手と契約したんだから。」

 

 

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 ■ 注目記事&コラム

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◆ 大谷翔平の他に得点圏打率0割台は何人いるのか

宇根夏樹氏/情報:スポナビ)

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 今シーズン、大谷翔平(ロサンゼルス・ドジャース)は、96打席に立ち、打率.360(86打数31安打)を記録している。ただ、二塁と三塁の一方あるいは両方に走者がいる21打席――走者が一塁にいるかどうかは問わない――に限ると、19打数1安打なので、得点圏打率は.053となる。

 

 得点圏に走者がいる打席が10以上の275人中、その場面で打率.100未満の選手は、大谷の他に19人を数える(4月17日時点)。そのうちの7人は、得点圏打率.000だ。

 

 

 昨シーズンまで大谷とチームメイトだったマイク・トラウト(ロサンゼルス・エンジェルス)も、得点圏に走者がいる場面の安打は、大谷より1本多いだけ。得点圏打率は.133(15打数2安打)だ。トラウトの2安打は、そのうちの1本がホームランだが、打点は2なので、大谷の2分の1。大谷は、打数が記録されなかった2打席とも、犠牲フライで打点を挙げている。

 

 昨シーズンの場合、開幕から3週間を終え、得点圏打率が.100未満(10打席以上)の選手は21人いた。

 

 開幕3週間で区切ったのは、昨シーズンと今シーズンのスパンを揃えている。昨シーズンは、3月30日~4月19日の3週間。今シーズンは、3月28日~4月17日の3週間に、ドジャースとサンディエゴ・パドレスの選手は、その前の3月20日~21日に韓国で行われたプラス2試合だ。

 

 昨シーズンの21人が記録した、開幕3週間とシーズン全体の得点圏打率は、以下のとおり。

 

 

 例えば、リストの1番上に位置するルイス・ガルシアJr.(ワシントン・ナショナルズ)は、開幕3週間の得点圏打率が.000(12打数0安打)、シーズン全体の得点圏打率は.253(99打数25安打)だ。開幕4週目以降は、得点圏打率.287(87打数25安打)を記録した。

 

 リストの下から2番目にいるホアン・ソト(当時パドレス/現ニューヨーク・ヤンキース)の得点圏打率は、開幕から3週間を終えた時点の.091(11打数1安打)から、シーズンが終わった時点では.299(144打数43安打)まで上昇している。最初の3週間を除くと、4週目以降の得点圏打率は.316(133打数42安打)となる。

 

 また、カイル・シュワーバー(フィラデルフィア・フィリーズ)は、昨シーズン、得点圏に走者がいる場面で15本のホームランを打った。これは、マット・オルソン(アトランタ・ブレーブス)の16本に次いで多く、13本以上は、彼らしかいなかった。シュワーバーのこの15本塁打は、開幕3週間が0本、4週目以降に15本だ。

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◆ 三振激減→リーグ最多安打に 大谷翔平、年々進化する“安定感”…イチロー以来の快挙も

小谷真弥氏/情報:Full-Count)

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 ドジャースの大谷翔平投手は19日(日本時間20日)から本拠地でメッツ3連戦に臨む。17日(同18日)の本拠地・ナショナルズ戦では4打数3安打の固め打ち。31安打は同僚のムーキー・ベッツ内野手に並びリーグ最多となった。データ解析システム「スタットキャスト」で紐解くと、打者・大谷が年々進化していることが伝わってくる。

 

 なんといっても打撃の“安定感”が今年は違う。データ解析システム・スタットキャストの指標で打率の期待値を示す「xBA」は.360。ここまでリーグ上位1%に入る数値で、2021年.266、2022年.275、2023年.295と年々成績を上げてきている。

 

 打率の期待値の向上によって、長打率の期待値「xSLG」もアップ。自己最多46本塁打を放った2021年はxSLG.612、初めて本塁打王に輝いた2023年は.638だったが、ここまで.682を記録している。こちらもリーグ上位1%に入る数値だ。

 

 アウトの内容も変わってきた。打席のうちの三振の割合を示す「K%」は18.5%に。2021年はリーグワースト7%に入る29.6%だったが、こちらも2022年24.2%、2023年23.9%と年々向上させている。さらに、ゴロ・ライナー・フライなど打球の割合は、ここまでゴロ31.3%、ライナー37.3%、フライ26.9%。昨季はゴロ42.6%、ライナー22.7%、フライ30.3%だった。ライナーの割合が増えていることから、しっかり芯で捉えていると言える。

 

 今季は開幕から自己最長の8試合、40打席本塁打が出なかった。打球に角度が出ていなかったが、今では打球角度14.2%(メジャー平均12.3%)と“回復”してきた。松井秀喜氏を超える日本人最多の通算176本塁打は5試合足踏みとなったが、デーブ・ロバーツ監督は「ファンタスティック」と称えていた。記録更新は“時間の問題”と言っていいだろう。

 

小谷真弥 / Masaya Kotani

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◆ 大谷翔平の“本当の英語力”とは? 通訳なしで「シューズについて答えたインタビュー」が話題に

山川真智子氏/情報:PEN Online)

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違法賭博事件で訴追された元通訳の水原一平氏と決別した大谷翔平選手が、英語でインタビューに答える映像がソーシャルメディアに投稿された。これまでインタビューには通訳を通してきた大谷選手だが、今後は自分の言葉による英語での発信が期待される。

 

余裕かも! シューズを英語でアピール

 

この映像は、スポーツメディアのESPNが投稿したもので、大谷選手は履いていたシューズについての説明を求められていた。映像はほんの25秒ほどの長さだったが、通訳なしで英語で答えている。

 

「白とドジャーブルー(笑)。靴底はとても平らでね、自分は平らなのが好き。このほうがより快適だ。そして(ユニフォームパンツの裾をめくって)、僕のロゴとニューバランスのロゴ」と、大谷選手は自分の言葉で説明。文法的に100点とは言えないが、自然な話し言葉でしっかり思うことを伝えていた。投稿には、「英語うまくなってる!」「ちょっとかわいい」「こういうの、もっとやったほうがいい」などの肯定的なコメントがたくさん付いていた。

 

英語は苦手? 過去には批判も

 

大谷選手が、インタビューの際に通訳を使っていることに対し、過去には厳しい批判もあった。2年前には、ESPNのステファン・A・スミス氏が、メジャーリーグベースボール(MLB)が大谷選手のユニークな二刀流を利用しきれないのは、彼がインタビューで英語を話さないからだと主張。特別な選手であることに疑いはないが、英語が話せず通訳が必要な選手では、新たなファンの獲得には不向きで、MLBの顔としての役目には適さないという見方を示した。(注:後にこのコメントについてスミス氏は謝罪している)

 

これに対し、2022年1月の男性向け雑誌GQのインタビューで、大谷選手は「もし英語が話せたら、僕は英語を話す」と答え、「もちろんそうしたい。英語ができるに越したことがないのは明らか。話せればポジティブなことしかないだろう」と述べている。さらに、日本では中高と英語は必修だが、教師はテストに合格するための英語を教えていると説明。日本の英語教育をディスりたいわけではないが、本来の英語を教えてくれないとも話していた。

 

もっとも大谷選手は、自分がアメリカに来たのは野球をするためで、自分のプレーがファンとのコミュニケーション手段だと感じているとも述べている。野球選手の本来のファンサービスは、あくまでもプレーだという信念があったようだ。

 

上達は明らか…ファンは期待!

 

大谷選手は自分の英語にあまり自信がないようだが、英語で上手にコミュニケーションを取っている映像もかなり出回っている。話している英語はどれも短い単語レベルだが、発音は自然で、英語話者に囲まれながら習得していったものであることがうかがえる。聞き取りのほうはかなりできている印象だ。これまでの通訳を介したインタビューでも、しばしば質問者の英語に頷いており、通訳を通す前に内容を理解できていたようだ。

 

最近のスピーチなどを見ていても、用意された原稿があれば、英語をスムーズに読むこともできており、「大谷は英語がしゃべれない」と思っていた人々を驚かせてもいる。スポーツ・イラストレイテッドのファン用サイト、ファンネイションは、大谷選手が英語で話すことで、野球界全体の大谷人気は高まると指摘。大谷選手のもっと英語を学び、英語で話そうという姿勢が、ファンの共感を呼ぶだろうとしている。

 

今後の課題は自分の言葉で話すことだが、常に一緒にいた水原氏がいなくなった今がチャンスとも言える。より積極的に使っていくことで、大谷選手の英語にはさらに磨きがかかるだろう。

 

文:山川真智子

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◆ アメリカ人に「大谷翔平スゴい」を言わせたい日本メディア…米記者が本音で語る“疑問”「なぜか僕は週に3度くらい日本の記事に登場する」

サム・ブラム氏+ディラン・ヘルナンデス氏/情報:NumberWEB)

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 大谷翔平を近くで取材し続けてきた「ロサンゼルス・タイムズ」記者のディラン・ヘルナンデス、「ジ・アスレチック」記者のサム・ブラム。2人が“忖度ゼロ”で明かした、日本の「大谷報道」への疑問とは? 4月12日発売の『米番記者が見た大谷翔平 メジャー史上最高選手の実像』(朝日新書)より、一部抜粋してお届けします。(全2回の1回目)※文中「トモヤ」は聞き手・訳の在米ジャーナリスト、志村朋哉氏

 

日米記者「質問の明らかな違い」

 

トモヤ サムは大谷の一挙手一投足を追う、20~30人の日本人記者たちを見たときは驚いた? 

 

サム そうでもないかな。日本でそれだけの関心を集めていると分かってはいたから。僕はレンジャーズを取材したことがあるんだけど、その時に活躍すると言われていたけどダメだった日本人投手がいた。名前は何だったっけ? 

 

ディラン 有原航平ね。

 

サム そう、彼にはそこまで多くの記者はついていなかったけど、エンゼルスが遠征に来た時に、大谷を取り巻くメディアがどんな感じなのかは見ていた。僕が一番、印象に残っているのは、日本のメディアとアメリカのメディアの人たちが、そんなにいつも交流しているわけじゃないけど、すぐに仲良くなれたこと。正直言って、大谷がエンゼルスを去って一番悲しいのは、日本の記者たちがいなくなってしまうこと。

 

 彼らに申し訳なく感じることもあった。生活の拠点をアメリカに移して、遠征地にも行って、全力で取材しているのに、大谷はほとんど話さないんだから。それでも、何とか日本の人たちにとって意義のある記事を書く術を見出していた。

 

本塁打王、最多勝…は重要ではない?

 

 僕は日本のメディアのインタビューを受けてきたけど、ディランも言っていたように、アメリカの記者がする質問とは違って興味深かった。たとえば、いつも確率を聞いてくる。大谷がMVPを受賞する確率はどれくらいかとか、本塁打王になる確率はどれくらいかとか。あと、僕らが気にしていないような記録に日本人が注目していたりする。たとえば、防御率のタイトルとか。

 

トモヤ 分かる。アメリカンリーグのホームラン王とか、最多勝とかね。

 

サム そう。選手の活躍を測る上で重視される指標が日本とアメリカで違う。面白いなと感じるよ。細かい技術的なこともよく聞かれる。ちょっとピッチングやバッティングの手の位置が変わったこととか、いつもと違うバットを使っているとか、スポンサーが変わったとか。正直、僕はそうしたことは、ほとんど気にしていない。大谷のスポンサーがニューバランスだろうと何だろうと、どうでもいいことだから。日本人選手がアメリカで、アメリカ人選手よりもはるかに優れた活躍をしていることが、日本で話題になっているのは理解できる。だから、大谷についてのあらゆる詳細が、とても重要なんだろうね。

 

日本人記者たちの「見えない努力」

 

 日本メディアは、大谷がロッカールームに入るのと出るのを確認するまで帰ろうとしないんだ。ダグアウトで日本の記者たちと話していても、大谷が歩いて出てきた途端に、「どっか行け!」という感じになるんだ。「サム、俺に話しかけるな。この男が、いつもと同じようにダグアウトに出てきて、いつもと同じように外野の壁にトレーニングボールを投げる姿を写真に収めなきゃいけないんだから」ってね(笑)。

 

 スプリングトレーニングでは、何人もの記者がトレーニング施設近くの岩山に登って、そこから彼の姿を見逃すまいとしている。夜明けから4時間もだよ。もしかしたら、大谷が早く到着するかもしれないからって。毎日、毎日、何があろうと、この小さなことを成し遂げようとする仕事への姿勢を目の当たりにして、とても感銘を受けたよ。

 

 この2年半で知り合った日本の記者たちがいなくなるのは本当に寂しい。特別な仲間たちだったから。大谷を毎日、取材できなくなるのも寂しいけど、一緒に仕事をした仲間たちとの別れほどではないな。

 

ディラン サムは、とてもポジティブな見方をしているんだな(笑)。彼らは服役囚みたいなものなんだぞ。僕は一度も日本に住みたいと思ったことはない。なぜ日本の記者たちが山の頂上で待ってなきゃいけないのか分かる? 選手たちに、自分たちも同じくらい仕事に対して真剣だと示さなきゃいけないからだ。それを選手に見てもらえるかもしれないから、あそこで待ってなきゃいけないんだ。酷い話、完全に時間の無駄だよ。

 

サム 僕は一生懸命に働いている人を貶したくないからポジティブに見ているんだ。でも、僕がそれをやれと言われたら、新しい仕事を探すと思う。

 

日本人が求める「いかに大谷が素晴らしいか」

 

ディラン サム、日本の記者が君に質問しているのは、責任を逃れるためだよ。大谷がクソみたいなプレーをしても、彼らは直接はそう言わない。「サムが言うには」と書いて記事になるんだ。「大谷はダメだ」とアメリカのメディアが言っていると。

 

トモヤ 「ディランが言うには」もね。

 

サム そういうインタビューでは、大谷について否定的なことは、ほとんど言わなかったような気がする。彼らが求めているのは、「いかに大谷が素晴らしいか」についてだと感じることもあったし。

 

トモヤ 僕もそれを感じることがある。特にテレビの取材で、「大谷は素晴らしい」の結論ありきで、質問してくる。それに合うようなコメントを欲しがっているのが伝わってくる。

 

ディラン 今は順調だけど、特に大谷の最初の3年間は、否定的なものであれば、僕らが書くのを待ってから、「現地メディアはこう言っている」って報じる。面白いことに、時々、彼らは僕にアイデアをくれて、僕がそれを書くように仕向けて、その内容を記事にするんだ。元々、彼らのアイデアだったのに。

 

サム 勉強になるなあ。

 

ディラン 黒田博樹がドジャースにいた頃(2008~2011年)、ずっと黒田に貼り付いていた記者がいた。彼と黒田は仲が良くて、毎日そこにいる唯一の記者だから、特ダネを手に入れることができたんだ。だから僕も、彼の書いた記事を読んで、それをもとに黒田に話して記事を書いた。そしたら、その記者は、私の記事を記事にするんだ。「ディランによると」って。

 

 僕が記事にしたってことが日本ではニュースになる。「アメリカのメディアは黒田について、こう報じている」ってことに日本人は興味があるんだ。僕も実は日本人なのに。でも、だからこそ、日本人がアメリカ人に従属的になっていることを少し危惧している。トランプを当選させたような国民なんだから、俺たちの言うことになんて絶対に耳を傾けちゃダメだ。

 

サム 100パーセント同意だね。

 

ディラン まだ第二次世界大戦の傷跡が残っているんだろうね。だから、アメリカの言うことは今でも奇妙なまでに重視される。

 

僕は週に3度くらい日本の記事に登場する

 

 日本の記者の誰もが、アメリカ人の誰よりも野球に詳しいにもかかわらず、なぜか僕はいつも週に3度くらいは日本の記事に登場する。いつも彼らにこう言っているんだよ。「この15年間、いつも引用してきたディラン・ヘルナンデスは、野球について何も知らないってことを記事にしろ」と。試合中は居眠りするし、パソコンでサッカーの試合を見てることもあるってことを。

 

 テレビの取材の時は、日本語でも話す自信はあるんだけど、4分の3くらいは英語で話してくれと頼まれる。それも日本語で質問してきて、英語で答えさせようとする。僕にアメリカ人ぽくしてほしいんだろうな。その方がステータスが上がるから。アメリカのどうしようもない教育を受けてきた僕の意見が、なぜか重視されるんだ。笑えるよ。理解できないし、ちょっと問題だと思う。アメリカのやり方にただ従うんじゃなくて、日本には、ある意味でもっと世界をリードするようになってほしいと願っている。話が逸れて申し訳ない。

 

トモヤ 僕も「海外の反応」を気にする傾向はやめた方がいいと思っているよ。劣等感の裏返しだし。日本のテレビ番組なんかが、エンゼルスタジアムで明らかに白人を狙ってインタビューして、彼らに「オオタニサーン」って言わせたり、大谷がいかにすごいかを語らせるのを見てると、日本人として恥ずかしくなる。僕も、ある雑誌の取材で、トム・シムラさんと記事で紹介させてもらっていいかと聞かれたことがある。志村朋哉よりアメリカ人っぽいから。

 

〈「エンゼルスで起きていた“ある騒動”…代理人バレロに苦言」編へつづく〉

 

(「メジャーリーグPRESS」サム・ブラム+ディラン・ヘルナンデス = 文)

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◆ 大谷翔平の代理人バレロに米記者が苦言「ポジティブな記事を書け、は愚かなやり方」エンゼルスで起きていた“ある騒動”…手術後の「奇妙な声明」

サム・ブラム氏+ディラン・ヘルナンデス氏/情報:NumberWEB)

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 大谷翔平を近くで取材し続けてきた「ロサンゼルス・タイムズ」記者のディラン・ヘルナンデス、「ジ・アスレチック」記者のサム・ブラム。2人が“忖度ゼロ”で明かした大谷翔平のメディア対応とネズ・バレロへの苦言とは? 4月12日発売の『米番記者が見た大谷翔平 メジャー史上最高選手の実像』(朝日新書)より、一部抜粋してお届けします。(全2回の2回目)※文中「トモヤ」は聞き手・訳の在米ジャーナリスト、志村朋哉氏

 

取材制限は異例なのか?

トモヤ エンゼルスは、大谷への取材を彼が登板した日だけに制限していた。それはやっぱり異例なことだよね。

 

ディラン とても珍しいこと。ダルビッシュもそうだったかもしれないけど、彼はドジャースに3カ月くらいしかいなかったから、よく分からない。松坂大輔の時も、非常に限られていた。言語が障壁にはなっている。たとえば、サムが彼と話すには通訳が必要だから、チームの助けが必要になる。おかしなことに、スティーブン・ストラスバーグが新人だった時、大谷と同じように登板日の短い会見だけに制限して話題になった。球団が「彼に話しかけるな」と言ったんだ。

 

 僕は何かをするなと言われると、普段は本能的にそれをしに行くんだけど、日本人が周りにいると、僕も妙に日本人らしく振る舞ってしまうところがある。トモヤも同じ問題を経験しているか分からないけど。

 

トモヤ ある、ある。日本語を話している時と、英語を話している時で性格が変わる。日本人と話していると、自然と控え目になるというか。

 

ディラン 日本の戸籍上の僕の名前は、母の旧姓と、こっちのミドルネームで、ワタナベ・オサムなんだ。日本の学校に通っていた時は、その名前を使っていた。ワタナベ・オサムは、とても静かでルールに従う人間で、日本人に囲まれていると、その自分になるんだ。そういう時は、なぜか集団からはみ出すのが難しくなって、「やってられねー」とは言えなくなる。

 

 でも日本語が使えるのは、大抵の場合は有利に働く。選手も自分を頼ってくるし。黒田も何が起きているか分からない時なんかに、僕に聞いてきた。サイン盗みの件があった時は、ダルビッシュが僕に連絡してきて、「ロサンゼルスの人に伝えたいことがあるんだけど、英語に訳してくれないか」とお願いしてきた。

 

 イチローはどうだったのか知らないけど、日本人選手へのアクセスが制限されるのは珍しいことではなかった。でも、大谷がメディアにあまり語らないことがここまでアメリカでも話題になるのは、これまでの日本人選手に比べて活躍がずば抜けているからだと思う。アメリカのメディアさえも、エンゼルスを取材するのは大谷がいるから。それだけ彼のステータスが高いってこと。

 

バレロの「奇妙な声明」

トモヤ 制限を決めているのは、エンゼルスではなく、代理人のネズ・バレロだったの? 

 

ディラン 僕はそう理解している。大谷のやっていることは、別に問題がないのに、ネズが問題を作り出しているだけな感じがする。だって、日本にいた時は、大谷は先発登板後だけじゃなくて前日にも記者に話していたんだから。日本ハムも彼へのアクセスを制限はしていたけど、エンゼルスほどではなかった。

 

サム エンゼルスが主導したわけじゃないけど、ネズの望むことを望む通りの方法でやらせてはいた。ネズは、メディアの仕事を理解しているとは思えない。彼は先日、大谷の考えていることについて、記者はポジティブな記事を書く必要があると説明し始めたんだ。公の場で、記者にポジティブな記事を書けと言うのは、愚かなやり方だよ。彼は大谷がほとんどメディアと接しないシステムを作ってしまった。賢明ではないよ。

 

 2度目の手術についてネズが声明文を出した時も、それが何という手術なのかすら書いていなかった。そればかりか、医師が「24年は打者として出場できて、25年には投手として復帰できる」と断言する奇妙なコメントが含まれていた。復帰時期を断言する医師のコメントなんて他では見たことがない。ネズはメディアを、自分のメッセージを伝える手段だと考えている。でも本来のメディアは、質問して、正確な答えを得て、それをもとに状況を分析したり評価したりすることが役割なんだ。

 

エンゼルス「発言撤回」ウラ側

 確かに、ロッカールームで大谷に制限なしに取材を許すには、記者の数が多すぎる。みんなそれは理解している。シーズンを通して限られた場面での取材機会を設けるのは理にかなっている。それを踏まえた上で、記者たちは、週に1、2度くらい、試合前に彼にプレーやそれ以外について質問できる機会を設けてほしいとネズや球団に働きかけていた。そうすれば、投手として完封した直後に、移籍について聞かなくてすむようになる。

 

 問題が表面化したのは、大谷が肘を故障した後に、一切、話す場を設けなかった時。大谷のせいというよりは、ネズの責任だと思うよ。そのせいで、大谷に何が起きているか全てを把握しているわけではない球団が、代わりに説明する羽目になった。その結果、球団は、「彼にMRIを受けさせる必要はなかった」と説明したのに、後から「大谷がMRIを拒否した」と発言を撤回しなければならなくなった。

 

 大谷がいつ、どんなことを話すかについて、もう少し球団とネズがうまくコミュニケーションをとっていれば、問題は起きなかったはず。たとえば、大谷のロッカーが突然、整理されていた時のような。大谷が記者にそれを見られることを気にしていたかどうかは分からない。でも、少なくともエンゼルスは、ロッカーが片付けられていたことを知らなかった。だから、僕ら記者は、それを見て想像をめぐらせるしかなかった。それは球団の広報チームも同じだった。「これをどう説明すればいいんだ」と。あの夜、メディアは、エンゼルスに気を遣ったと思うよ。ロッカーが片付けられていたことを報じるまで30分近く待ったんだから。球団から説明があるかもしれないから。僕らもこれが色々な憶測を呼ぶ大きなニュースになることを理解していた。

 

大谷の“周囲”を問題視

 話が脱線しているのは分かっている。ただ、この件がおおごとになる必要はなかったと思っているんだ。ネズの要求通りに、大谷をメディアの前で話させないようにしたことはエンゼルスの責任だよ。

 

 もちろん、大谷にも責任はある。29歳の大人なんだから。彼が話したければ話せばいいだけのこと。僕は別に誰に恨みもないよ。「僕たちと話さないなんて、こいつはクソだ」なんて思ってもいない。大谷には敬意を持っているし、ディランが言うように、大谷の僕らに対する態度にも敬意がある。質問にも、ちゃんと答えてくれる。誰かが質問している時に、勝手に立ち去るようなことはない。自分のミスをちゃんと認めるし、数少ないけれど、うまくいかなかった時も責任を認める。自分のミスでない時ですら責任を口にする。彼の周りの人間や球団が、大谷が自分の口で説明しないですむような環境を作ってしまったことに問題がある。エンゼルスの広報は、日米の記者にできる限りの情報を提供しようと最善を尽くしていたのは知っている。それよりも、大谷の周囲の人々によって醸成された環境だった。

 

「それがプロスポーツというもの」

 僕はアンソニー・レンドーンが記者に話さないことに批判的だった。というのも大谷とは立場が違う。怪我をして試合に出ていないし、大型契約を結んでチームの顔の一人になったわけだから。

 

 でも大谷もチームの「顔」になる存在としてドジャースと大型契約を結んだ。それによって、もう少し前面に出てくることが求められると思う。ネズも、もう少し彼に話させる必要が出てきて、大谷も自身の状況について積極的に自分の口で説明する必要が出てくる。

 

 これはメディアをなだめるためではない。大谷という選手について知りたいという、あらゆる人の欲求に応えるため。何も私生活を明かせとか、趣味や興味について話せと言ってるんじゃない。フィールド上で起きていることや、自身の怪我についてとかをきちんと自分の口で語る。それがプロスポーツというもの。そうした情報があることで、見ている人もより楽しむことができる。

 

『アメリカ人に「大谷翔平スゴい」を言わせたい日本メディア…米記者の疑問』編からつづく

 

(「メジャーリーグPRESS」サム・ブラム+ディラン・ヘルナンデス = 文)

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 ■ NOTE

 

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