2024年4月15日
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■ 試合データ
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米国時間:2024年4月14日
日本時間:2024年4月15日(月曜日)
8時10分開始
ロサンゼルス・ドジャース
対サンディエゴ・パドレス
@ドジャースタジアム
【MLB.JP 戦評】
日本時間4月15日、「サンデーナイト・ベースボール」として行われた一戦でドジャースとパドレスが対戦し、6対3でパドレスが逆転勝利。敵地でのドジャース3連戦を2勝1敗の勝ち越しで終えた。パドレス3番手の松井裕樹が打者4人をパーフェクトに抑える好リリーフで2勝目(0敗、防御率0.93)を挙げ、5番手のロベルト・スアレスは5セーブ目を記録。ドジャース3番手のJ・P・ファイアライゼンは7回表に勝ち越し打を浴び、今季初黒星(0勝)を喫した。
ダルビッシュ有(パドレス)とジェームス・パクストン(ドジャース)の投げ合いとなった一戦は、悪天候で試合開始が30分以上遅れ、4回表にマニー・マチャドの4号ソロでパドレスが先制。しかし、直後の4回裏にドジャースがウィル・スミスのタイムリーで同点とし、マックス・マンシーの4号2ランでリードを奪った。パドレスは6回表に無死満塁の大チャンスを迎え、遊撃ムーキー・ベッツの悪送球もあって3対3の同点に。7回表には一死満塁からジュリクソン・プロファーが走者一掃のタイムリー二塁打を放ち、6対3でドジャースを破った。
パドレス先発のダルビッシュは5回92球を投げて被安打4、奪三振2、与四球2、失点3で降板し、勝ち負けつかず。今季の防御率は4.18となった。パドレス3番手の松井は打者4人をパーフェクトに抑え、2勝目をマーク。ドジャースの大谷翔平は「2番・DH」でスタメン出場し、ダルビッシュと対戦した3打席は空振り三振、サードフライ、空振り三振に終わったが、8回裏の第4打席で2試合ぶりのヒットを放ち、4打数1安打だった。今季の打撃成績は打率.338、出塁率.386、OPS1.048となっている。
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■ 今日の大谷翔平(関連NEWS)
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【スタメン】
2番DH
【出場成績/打者】
4打数 1安打 2三振
通算打率・338
OPS1・048
◆第1打席:
(結果)空振り三振
(状況)1回無死1塁
(投手)ダルビッシュ有 右
※注目する対決は初回無死一塁で実現した。その後、ベッツが二盗に成功し、一打先制のチャンスだ。スイーパー、スプリットを意識させられてカウント1―2からの7球目、内角低めのカットボールにバットは空を切った。
◆第2打席:
(結果)サードフライ
(状況)3回2死走者なし
(投手)ダルビッシュ有 右
※3回二死無走者もスイーパー、スプリットに曲がりの小さいスライダーで低めを攻められた。しかし、カウント3―1から5球目、一転して外角高めの94マイルのフォーシームをファウル。6球目の外角スプリットはタイミングを外されて当てただけの三飛。
◆第3打席:
(結果)空振り三振
(状況)5回1死走者なし
(投手)ダルビッシュ有 右
※初球から外角低めスイパーは見逃してストライク、内角低めのスライダーを空振りして2球で追い込まれると、真ん中高めのフォーシーム、外角低めのスプリットを続けてファウルして迎えた5球目、外角低めのカットボールにバットはかすりもしなかった。
◆第4打席:
(結果)センター前ヒット
(状況)8回無死走者なし
(投手)ワンディ・ペラルタ左
※4番手の左腕ペラルタと対戦。初球、内角低めのチェンジアップを打球速度108・6マイル(約174・8キロ)の弾丸ライナーで中前へ。遊撃・金河成(キム・ハソン)のグラブをはじき飛ばす強烈な打球だった。
【コメント】
◯ なし
【NEWS情報】
◯ 大谷翔平が14日、パドレス戦前に外野手用のグラブを使ってキャッチボールを行った。昨年9月に受けた右肘手術からのリハビリとして3月25日に投球プログラムを再開。2、3日に1度のペースでキャッチボールを行っているが、投手用以外のグラブを使用したのは初めてで、約12メートルの距離で投げ込んだ。投手での復帰は来季になる見通しだが、シーズン終盤に守備に就く可能性はある。大谷はキャンプ中に外野グラブと一塁ミットを新調した際に「そういうこともあるかも。事前の準
◯ 第4打席に立つ直前、大谷自身が「オリジナルスパイク」について英語で語る映像が流れ、その英語力が反響を呼んでいる。ニューバランス社のオリジナルスパイクについて英語で解説した大谷。まずはロゴである青色の「N」を示した。「白とドジャーブルーという感じで」と英語で配色を説明。続けてスパイクの裏をみせて「フラットで心地よい」とコメント。ユニフォーム(ズボン)をめくると、かかとに大谷自身のイラストと、スパイクであるニューバランスのロゴが描かれている。これを示すと、照れくさそうに笑った。
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■ 試合情報(ドジャース関連NEWS)
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【コメント】
デーブ・ロバーツ監督:
「(14四球は球団62年ぶり4度目の屈辱的記録)四球の記録に関しては知らなかったが、確かに今シーズンは多い。四球と三振の比率は逆転している」
「全く出塁を許さないことはない。最大限の努力はしていた。毎イニング毎イニング、針に糸を通すような完璧な野球をする、狙い通りの打球を打たせる。そんな気持ちではプレーは続かない。昨日はストーンが長いイニング(6回2/3)を投げてくれたが、今日も投げられない投手が複数いた。思い通りの継投はできなかったが、それでも戦わなければならない」
「パクストンのことは信頼しているし、実績が物語っている。良くを言えば5、6回は投げて欲しい。四球は良くないし、見るのはつらい。全体的にはポジティブに考えている。統計、データ的に四球を与えれば失点する可能性が高まる。ここまで完璧な試合をできたのはおそらく3、4試合。それでも負けより勝っている方が多い」
ダルビッシュ有投手:
――今日の感覚は?
「ブルペンがあんまり良くなかったですね。もうずっと試合を通じていい球もなかったですし。中でも最後まできっかけはつかむことなく終わったかなっていう感じでした」
――試合はつくった。
「結果的にもチーム勝てましたし、やっぱりこのドジャースタジアムで、しかもこうやって逆転で勝って、勝ち越したっていうのがすごく大きいと思うので。チームの雰囲気もいいですし、ほんとにそれはよかったです」
――マンシーのホームランも良いボールだった。
「ね。でもホームラン打たれたら、それは今の自分の状態を表してるというか、いい時だとなかなか打たれる球ではないと思うんですけど、そういうとこですね」
――大谷だけ記念球でボールが違った。
「そうだったんすよ。1回見たら、なんか数字書いてて、アルファベットと。なんだこれ、ドジャースなんかやってんじゃないかって変なことって思ったんですけど、なんか最後の方にちょっと聞いたらそうみたいで。それもわかってますし。だからこそ、思いっきり勝負したかったですけど。2打席目終わった後に僕の横通っていた時にも、“ちょっとボールばっかりで申し訳ない”って言ったんですけど。もっと気持ちよくストライクゾーンにどんどんいきたかったですね」
――奪った三振2つが全て大谷で、最速を記録したのも大谷だった。
「そうですね。だから、ずっと今までなんかドジャース、ドジャースって思ってたところが、やっぱり大谷くんと対戦するところであったりとか、すごくモチベーションを感じてるところなので。それがこう結果になっちゃうっていうところだと思います」
――初勝利がほしい。
「あんまり勝ちは基本的には気にしないですけど、やっぱり勝った方が気持ちはいいので、勝てるようにちゃんと練習したいと思います」
――雨の影響でマウンド状態が難しかった。相手投手も苦しんでいた。
「気持ち分かるなと思ってましたね。マウンドもここのドジャースの土がそもそもちょっと独特なので。雨で投げたことあんまないんですけど、スパイクついて取れないですし。ずっと滑るところで投げなきゃいけないっていうところと、あと、ボールもやっぱりつんつんしますから。やっぱりなかなか難しかったですね」
――大谷と対戦するときはオーラが違った。
「とにかくフォアボールだけは嫌だっていうところだったので、それがスリーボールになって、ボール球を振ってくれて。わざとだと思うんですけど。でも、なるべくストライクを投げるようにってことだけ集中はしました」
――昨日は山本と大谷と15分くらい話していた。
「楽しかったですね。大谷くんも結婚されて、多分いろいろ肩の荷が下りたじゃないけど、多分隠さなくていいところが増えたと思う。だからすごく明るい感じもしますし、いろんなこと、今ね、あると思いますけれども、その中でも野球に集中して。笑顔で 前向きにやってるのを見ると自分も元気になる。山本くんもそうですけれども、話せてよかったです」
――雨で開始が遅れ、アップに出て1回戻ったりと難しかった。
「遅れる可能性は高いっていうことは聞いてたんですけど、遅れない可能性もあったので一応アップに出たっていうところだったんですけど、帰ってきてすぐレインディレイ(雨天遅延)って言われた。でも、寒さはちょっと思っていたのと違ったので、そこは難しいとこありました」
――相手打線の研究、今年はどんなパターンか?
「今日は基本的に自分で勉強してますけど、(捕手の)カンプサノが基本的にはコールして、それに従って基本的に投げてる感じですかね。よっぽどちょっとそれ違うだろうと思ったら僕やりますけど」
――個々の対決へのこだわりは?
「今までなかったですね、基本的には。日本の時とかありましたけど、アメリカに来るとやっぱりそういう機会があんまないですし、対戦機会も少ないですから、そういう感情っていうのはなかったです。けど、やっぱり大谷くんが来ると日本にいた時をちょっと思い出すというか、そういう個々の対決の楽しさっていうのは、そういうのは思い出させてくれてるかなっていう風に思いますね」
――日本時代で一番ワクワクしたバッターは?
「誰だろうな。でもいっぱいいますけどね。川崎宗則さんとかは仲良かったし。あと西武の中村(剛也)さんとか中島裕之さんとかもそうですし。結構仲良くさせていただいたっていうのもありましたから。そういう意味で思いっきり楽しんでましたね」
――ドジャース打線は投げにくいか?
「正直、マンシーとかヘルナンデスとかはそうでもないんですけど。スミスは今年は長打を狙いに来るスイングをしてくれないっていうところが嫌で、ずっとこうコンタクト、コンタクトで初球からやるから。ベッツ、大谷くん、フリーマンってきて、4番がバンバン振り回してくれるんだったらいいんだけど、そこでコンタクトになる。わざとやってんのかどうかわかんないですけど、あれがほんとに嫌だなと思いました」
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■ 注目記事&コラム
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◆ 大谷翔平にまつわるハプニング「我々サイドに説明するべきだった」パドレス監督試合後「理解した」
(斎藤庸裕氏/情報:日刊スポーツ)
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【ロサンゼルス(米カリフォルニア州)14日(日本時間15日)=斎藤庸裕】ドジャース大谷翔平投手(29)が、2試合連続でノーアーチに終わり、日本人最多となるメジャー通算176号は持ち越された。
パドレス戦に「2番DH」で出場し、4打数1安打。強烈なライナー性の安打を放った第4打席では、大谷の記念球に関連するハプニングが発生した。パ軍先発のダルビッシュ有投手(37)との再戦では3打数無安打。2三振を喫し、完敗した。
◇ ◇ ◇
大谷は第4打席の初球、甘く入ってきたチェンジアップを確実に捉えた。打球は上がらなかったが、108・6マイル(約175キロ)の高速ライナーでクリーンヒット。ボールは中堅手から左腕ペラルタに返ってきた。通常ならこのまま試合続行。だがタイムがかけられ、返球となった。同投手の困惑顔にパ軍のシルト監督もベンチから出て審判団と何やら協議。その後は、通常通りに試合が進んだ。
日本人の歴史を塗り替えようとしている大谷にまつわるハプニングだった。第4打席に入る直前、ペラルタがマウンドで投球の準備を始めると突如、球審がボールを変更。不満げだったペラルタはやむなく了承したが、大谷に甘く入った初球を捉えられた。シルト監督は試合後、「オオタニのためにボールを記念にとっておきたいのは私は理解した」とコメント。大谷が本塁打を打てば、松井秀喜氏を抜いてメジャーで日本人最多の本塁打数となる。記念球の保管と偽物が出回らないようにする目的もあるのか、大谷の毎打席で、刻印されたボールを使用しているようだ。
先発のダルビッシュも大谷と対戦時のボールについて「見たらなんか数字書いてて、アルファベットと。なんだこれって。ドジャースなんかやってんじゃない変なことって思ったんですけど(笑い)」と冗談交じりに明かした。日本人ならまだしも、今回の記録を日本人以外の相手投手が把握しているとは考えにくい。シルト監督は意図に理解を示しながらも「我々サイドに説明するべきだった」と試合に影響しないよう、公平性を求めた。
大谷は12日のパドレス戦で今季4号ソロを放ち、日本人メジャーの記録に並んだ。その時もボールには「S」と「1」の文字が刻まれていた。今や大谷のホームランボールは希少価値がある上に、次の1発は新たな日本人の歴史に関わる。2試合連続でノーアーチ。日を追うごとに記録更新の期待が膨らんでいる。【斎藤庸裕】
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(氏/情報:)
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◆ 「被害者はMLBのスター大谷翔平」米司法省が水原一平容疑者の起訴状を迅速に公開したウラ事情「ここまで細かく出すとは…」との驚きも!
(及川彩子氏/情報:NumberWEB)
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ドジャースの大谷翔平選手の元通訳・水原一平容疑者が銀行詐欺容疑で訴追された。大谷選手の口座から本人に無断で1600万ドル(約24億5000万円)以上を不正に送金していたという。37ページにも及ぶ起訴状には“驚きの事実”が記されていたーー。なぜ、米司法省はこれほど詳細かつ膨大な文書を迅速に公表したのか。起訴状から読み取れる水原氏の“驚きの言動”と大谷選手への影響を考察する。<全2回の前編/後編へ>
迅速かつ詳細だった起訴状「ここまで細く出すとは…」
米司法省が先日、水原一平氏を銀行詐欺容疑で訴追した。
提出された起訴状は37ページにも及んだ。水原氏が大谷選手から盗んだ金額やその方法に加えて、今回の件に対しての迅速さと内容の詳細さにも米国の野球関係者から驚きの声が上がっている。
事件が発覚したのはドジャースがパドレスとの開幕シリーズ第1戦が行われた3月20日の試合後で、わずか3週間弱で水原氏、そして大谷選手の提供したデジタル機器の情報解析(Digital Forensics)が終わっている。
迅速かつ詳細だったのにはいくつか理由が挙げられる。
起訴状とは別に、司法省が出したプレスリリースに「“Victim A,” who in fact is MLB star Shohei Ohtani.(被害者はメジャーリーグのスター、大谷翔平)」と書かれていたように、元通訳による違法賭博、それに伴う巨額窃盗という米国でも注目度の高いケースだったため、内国歳入庁の刑事捜査班と国土安全保障省が威信をかけて取り組んだのだろう。
起訴状には水原氏と胴元とのやりとり、大谷選手の銀行口座にどのように不正アクセスをしたのか、また不正送金の金額などが時系列に克明に記されていた。
米国の野球関係者や報道陣から「ここまで細かく出すとは」という声があったが、「大谷選手も送金に関わっていたのではないか」「大谷選手も賭博をしていたのではないか」「水原が濡れ衣を着せられている」などの声に対して、大谷選手が被害者である根拠をはっきりと示すために詳細な情報開示をしているように思われる。
大谷選手と水原氏の2020年から2024年までの9700ページにも及ぶテキストのやりとりは国土安全保障省の日本人捜査官が行ったと書かれていた。大谷選手の賭博や送金への無関与を裏付ける大事な捜査だが、入念にそして綿密に行われ、大谷選手の潔白が証明された。
大リーグ機構からの調査依頼があった?
大谷選手への配慮は他にも見られた。
「野球への賭博に関する記録はなかった」
この一文を何気なく読んだ人も多いかもしれない。
これは大リーグ機構からの調査依頼も受けての記載だったはずだ。
野球賭博の有無は今回の窃盗や銀行詐欺には関係ないが、大リーグ機構の規則では野球賭博は禁じられており、関与した場合は資格停止などの処分が下される。
これまでのケースでは大リーグ機構が自ら調査を行ったが、水原氏はすでにドジャースから解雇されているため、大リーグ機構の調査に協力する義務はない。そのため捜査当局に協力を仰いでいる。
37ページの起訴状は、世間の反響や反応を意識し、被害者である大谷選手への誹謗中傷、これ以上の詮索を避けるために最大限の配慮がされていた。
米国では大リーグ機構は大谷選手を守って、何が何でも無実にするはずだ、というような陰謀論を語る人もいた。
しかし内国歳入庁や国土安全保障省には、一外国人の大谷選手に忖度し、事実を捻じ曲げたりして、キャリアを棒に振るような捜査官はいない。
「大谷選手は被害者」というのは捜査による事実だ。
大谷が奮闘している時もギャンブルを
起訴状には賭博の胴元からの支払いの督促、水原氏の支払いがスムーズにいかない言い訳や賭け金の制限を上げる懇願など生々しいやりとりが時系列に並んでいた。その内容に愕然とした人も多いと思うが、金額や不正アクセスした時期などに加えて、シーズン中も頻繁に賭博業者と接触していた点が気になった。
水原氏が今回の違法賭博サイトへのアクセス許可をもらったのは2021年9月8日でそこから、9月24日までに賭博を何度か行った。
これは大谷選手が本塁打王を争っていた時期だ。
そして二刀流による疲労もあったと思うが、2021年9月、結果は芳しくない。
投手としては4試合に登板して1勝3敗で、結局この年は9勝2敗で二桁勝利に届かず幕を閉じた。
特に9月10日のアストロズ戦では3回1/3で6失点で降板するなど精彩に欠いた登板となった。
本塁打王争いでも、大谷選手は9月以降4本(9月4日、10日、21日、10月3日)で合計46本で、9月以降に本塁打数を伸ばして48本を打ったゲレロジュニア、ペレスに及ばなかった。
プレーオフ進出も絶望的だったエンゼルスは、9月に6連敗をするなど大不振で、さらに大谷選手はこの月だけで9つの敬遠をされるなど、本塁打王、二桁勝利を目標に気持ちを維持するのは大変だったはずだ。
支払いを迫られた水原氏が平常心で業務を行っていたのか、それともイライラしたり、逆に明るく振る舞ったりしていたのか。もし行動に少しでもおかしな部分があったなら、大谷選手のパフォーマンスに影響することはなかったのか。
因果関係があったかどうか確認する術はない。
だが、しかし、水原氏が胴元と頻繁にやりとりをしている日付と大谷選手の成績を見比べ、成績が振るわなかった時が一致すると、どうしても影響していたのではないかと考えてしまう。
2021年10月27日に水原氏は大谷選手の銀行口座に不正アクセスしたものの送金に手間取り、11月15日までの間に、水原氏は賭博の胴元から支払いの催促を頻繁に受けている。
大谷選手がアメリカンリーグのMVPを受賞したのは11月18日のことだ。
2023年はギャンブル依存症の行動
大谷選手の口座に不正アクセスできたことが引き金になったのか、2022年以降は胴元と水原氏のやりとりは、さらに頻繁になる。
起訴状には事実が淡々と書かれているのだが、それゆえに水原氏と胴元のテキストメッセージの生々しさ、異常さが浮き彫りになっている。
2023年の5月、6月のやりとりは目を覆いたくなる内容だった。
<後編へ続く>
(「メジャーリーグPRESS」及川彩子 = 文)
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◆ 「本当に最後なので、もう1回だけ…」“ギャンブル依存症”水原容疑者の懇願、そのとき大谷翔平は…何故もう一歩踏み込まなかったのか?
(及川彩子氏/情報:NumberWEB)
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ドジャースの大谷翔平選手の元通訳・水原一平容疑者が銀行詐欺の疑いで訴追された。大谷選手の口座から本人に無断で1600万ドル(約24億5000万円)以上を不正に送金していたという。37ページにも及ぶ起訴状には“驚きの事実”が記されていたーー。なぜ、米司法省はこれほど詳細かつ膨大な文書を迅速に公表したのか。起訴状から読み取れる水原氏の“驚きの言動”と大谷選手への影響を考察する。<全2回の後編/前編から読む>
◆◆◆
(前編の内容からの続き)
大谷選手の口座に不正アクセスできたことが引き金になったのか、2022年以降は胴元と水原氏のやりとりは、さらに頻繁になる。起訴状には事実が淡々と書かれているのだが、それゆえに水原氏と胴元のテキストメッセージの生々しさ、異常さが浮き彫りになっている。2023年の5月、6月のやりとりは目を覆いたくなる内容だった。
◆◆◆
「500送れ」「1000送れ」という言葉が並ぶが、これは500ドル、1000ドルではなく、50万ドル(約7500万円)、100万ドル(約1億5000万円)を指し、彼らの金銭感覚が麻痺していることが窺える。
水原氏は2021年12月から2024年1月まで1万9000回の賭博を行っているが、1日平均25回という計算になる。
前述したように、支払いを迫られた水原氏の言動や行動に変化があったかは分からない。しかし起訴状に記載されている日程と試合結果を見比べると、ため息が出る。
水原氏が胴元に500(50万ドル/約7500万円)送金した5月16日、17日のオリオールズ戦で大谷選手は無安打に終わっている。
5月20日に胴元から6月1日までに少なくとも200万ドル(約3億円)を送金するようにとメッセージが届き、6月20日に水原氏が再び胴元に500(50万ドル/約7500万円)を送金したが、6月20日、21日のドジャース戦で大谷選手は無安打、先発した21日も負け投手になっている。
水原氏の懇願「本当にこれが最後なので、もう1回だけ…」
支払い後に賭博サイトへのアクセスが可能になると、6月22日、23日、24日には胴元に賭け金の枠の引き上げを懇願している。
「最後にもう一回だけ。もう一回だけでいいのでお願いします」
「本当にこれが最後なので、もう一回だけお願いします」
こういった懇願はギャンブル依存症者特有のものなのだろうか。一方で胴元の返信は水原氏を弄び、手のひらで転がすようなものだ。
この一連のやりとりが、大谷が球場で奮闘している裏で行われていたのだ。
昨季の前半、大谷選手はチームの柱として投打で大活躍をしていた。エンゼルスでなんとかプレーオフに進出を果たしたいという気迫がこもった姿を見せていた。
しかしオールスター後の7月末に脇腹を、8月23日には右肘内側側副靭帯を痛め、9月3日の試合を最後にシーズンを終了するという残念な結果に終わっている。
二人三脚で戦っているように思われたが、見ている景色、目指していた場所は違っていたように思えてならない。
大谷は変わらないといけないのか
この事件が発覚してから、何度となく「大谷は成長しないといけない」「もっと英語を勉強しろ」というような記事や意見を目にした。
果たしてそうなのだろうか。
まず水原氏がアクセスしていた大谷選手の口座は、エンゼルスからの給与受け取りに使われていたが、入団した2018年から2021年10月27日までオンラインで口座にアクセスした形跡は残っていない、と起訴状に書かれてあった。
一般人からすると「せめて1年に一度くらいアクセスした方がいいのでは」と思わなくもないが、大谷選手の性格上、「特に使っていないので確認する必要がない」という姿勢だったのだろう。
なぜもう一歩踏み込まなかったのか?
責められるべきは長年にわたって巧妙に嘘をつき、窃盗していた水原氏であり、あえて責任を問うのであれば、バレロ代理人や会計士、財務アドバイザーだろう。
もちろん彼らも水原氏に嘘をつかれていたわけだが、税金申告などの際に口座の確認は必要だったはずで、なぜもう一歩踏み込まなかったのか、と全員が悔やんでいるはずだ。
大谷選手が水原氏に頼りすぎた、通訳以上の業務で酷使していたのではという意見も見られた。しかし起訴状にも書かれている通り、水原氏は球団との雇用契約に加え、大谷選手個人とも雇用契約を結んでいる。
シーズン中は体力的にもきつく、多忙でストレスが溜まったり、満たされないものがあったのかもしれない。しかし業務に不満があったなら改善を要求したり、辞職という方法はあったはずだ。
そうしなかったのは自らへの利益を計算していたからに他ならない。さらに言うと、言葉の壁と立場を悪用し、大谷選手を騙し続けていた。
水原氏が解雇された後、ドジャースのロバーツ監督が「翔平とのコミュニケーションに障壁がなくなった(風通しが良くなった)」と話しているが、水原氏がこれまで必要以上に大谷選手をガードしていたのは、大谷選手のためではなく、むしろ英語をブラッシュアップさせないように、自分に依存させるように仕向けていたようにも感じられる。
今回の件を機に、代理人や会計士などのサポートスタッフは、今後、大谷選手と踏み込んだ関係性を築いたり、時に応じて通訳を2人用意するなどの対応が必要かもしれないが、大谷選手が極端に何かを変える必要はないように思う。
英語やコミュニケーションの必要性を感じれば、周囲の力を借りて細かな言い回しなどを覚えていくはずだ。だが、英語の勉強や財務管理に必要以上に時間を割く必要はないと思う。
大谷の興味や関心があるのは野球で、それを突き詰めているからこそ、メジャーリーグという世界最高峰の舞台で2刀流ができているのだから。
(「メジャーリーグPRESS」及川彩子 = 文)
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■ NOTE