2024年4月8日

 

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 ■ 試合データ

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米国時間:2024年4月7日

日本時間:2024年4月8日(月曜日)

3時10分開始

ロサンゼルス・ドジャース

対シカゴ・カブス

@リグレー・フィールド

 

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【MLB.JP 戦評】

 日本時間4月8日、カブスは本拠地リグレー・フィールドでドジャースと対戦し、3時間近い雨天中断があったものの、8対1で快勝。強豪ドジャースとの3連戦を2勝1敗の勝ち越しで終えた。カブス先発の今永昇太は雨天中断の影響で勝利投手にはなれなかったが、4回2安打無失点の好投で防御率0.00をキープ。カブス2番手のイェンシー・アルモンテが今季初勝利(0敗)、4番手のダニエル・パレンシアが今季初セーブをマークし、ドジャース先発のギャビン・ストーンは今季初黒星(0勝)を喫した。

 メジャー2度目の登板となった今永は、初回に大谷翔平を空振り三振に仕留めるなど、走者を出しながらも2回までに3つの三振を奪って無失点。3回表と4回表はいずれも三者凡退に抑え、大谷との2度目の対戦はサードへのファウルフライに抑えた。カブスは鈴木誠也の犠飛などで4回までに7点をリードしていたため、今永には2勝目を手にするチャンスがあったが、4回裏途中に雨天中断。3時間近く中断したため、今永は5回表のマウンドには上がらず、2勝目は次回登板以降に持ち越しとなった。

 試合は6回裏にコディ・ベリンジャーの2号ソロでリードを広げたカブスが8対1で快勝。ドジャースはカブス投手陣の前にわずか4安打に終わり、8回表に大谷のタイムリー二塁打で1点を返すのが精一杯だった。「2番・DH」でスタメン出場した大谷は6回表に今季初の三塁打、8回表にタイムリー二塁打を放ち、4打数2安打1打点の活躍(打率.320、OPS.944)。一方、「2番・右翼」でスタメン出場した鈴木は2回裏に犠飛を放ち、3打数0安打1打点1死球だった(打率.286、OPS.871)。

 

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 ■ 今日の大谷翔平(関連NEWS)

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【スタメン】

2番DH

 

【出場成績/打者】

4打数 2安打 1打点 1三振

通算打率・320

OPS・944

 

◆第1打席:

(結果)空振り三振

(状況)1回1死走者なし

(投手)今永昇太 左

※大谷はヘルメットのつばを触って、1学年上の今永にペコリとお辞儀。今永も帽子を触って返した。初球は顔付近の高さの93マイル(約149・7キロ)のフォーシーム。思わずのけぞり、ファンはどよめいた。2球目は内角高めのフォーシームを強振してファウル。スイーパーを2球続けて見送りカウント3―1となった。5球目の内角高めのフォーシームを強振するも空振り。フルカウントからフォーシームを2球続けてファウル、スプリットにバットを当てた。そして勝負の9球目、内角高めの94・4マイル(約151・9キロ)のフォーシームにバットは空を切った。

 

◆第2打席:

(結果)サードファールフライ

(状況)3回2死走者なし

(投手)今永昇太 左

※初球、真ん中高めの91・3マイル(約146・9キロ)のフォーシームをファウル。2球目の内角高めの91・2マイル(約146・8キロ)のフォーシームに差し込まれて三邪飛に倒れた。メジャー初登板初勝利を挙げた1日のロッキーズ戦ではフォーシーム61%、スプリット26%の割合で、奪った空振り20のうち、スプリットが12だった。この日はフォーシームが79%でスプリットは16%と配球を変えてきたことで、読みを外されたかもしれない。

 

◆第3打席:

(結果)右中間三塁打

(状況)6回2死走者なし

(投手)マーク・ライターJr.右

※初球、真ん中低めのカーブを一呼吸置いて振り抜いた。角度16度と上がらなかったが打球速度107・9マイル(約173・6キロ)の弾丸ライナーは右中間を真っ二つに切り裂いた。右翼を守っていた鈴木誠也外野手が差し出すグラブも届かずフェンスへ。処理に戸惑う間に大谷は二塁を回ったところで加速し、三塁に達した。今季初の三塁打。

 

 

◆第4打席:

(結果)左中間二塁打

(状況)8回2死1塁

(投手)ダニエル・パレンシア右

※大敗ムードの8回二死、1番ベッツが四球で出塁。4番手の右腕パレンシアと対戦。カウント2―1からの4球目、内角の97マイル(約156キロ)のフォーシームを強打。角度20、打球速度106・8マイル(約171・9キロ)のライナーは中堅手の頭を越える適時二塁打となった。飛距離396フィート(約120・7メートル)と少し詰まった分だけ、スタンドに届かなかった。これでマルチ安打は4試合連続。チームの今季初完封負けを阻止する価値ある二塁打だった。

 

 

【コメント】

なし 

 

【NEWS情報】

 

◯ 山本が初勝利を挙げた6日の試合後、日本人メジャーリーガー御用達の焼肉店「Chicago Kalbi」(シカゴ・カルビ)を訪れたというミニタニさんが「情報ライブ ミヤネ屋」に中継で生出演。予約を入れようとしたところ、当日は「貸し切りで、夜10時以降なら」と言われ、少し早めに店に着いたという。すると、「なんとそこに、大谷選手と山本選手が来てたんです!」。ミニタニさんは「はい。ドジャースのスタッフの方々とお忍びで来られた」と説明。店に着いた時、ちょうど「大谷選手が店員の方々と写真を撮っている」と最中だったそうで、「ビックリしましたね!」と興奮を抑えきれない様子だった。

 

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 ■ 試合情報(ドジャース関連NEWS)

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【コメント】

デーブ・ロバーツ監督:

「今日、攻撃面ではあまり良いところが見られず、話す事は少ないが、それでもショウヘイが良いスイングを見せていたのはよかった。ただ今日の試合は、洗い流してしまいたいものだった」

――大谷のホットストリーク(絶好調)は、来ているように見えるか、それとももうすぐ来そうなのか
「今、まさにホットストリーク中だと思う。左腕からの難しい投球や変化球などに対しても彼は対応している。最後の打席では、彼に極めて近い内角のファストボールでそれは彼の得意ゾーン。強打し、二塁打だったけど、このシリーズで風が向かい風でなければ本塁打になっていた打球がいくつかあった。だからタイミングもばっちりでメカニックもクリーンにしたのだと思う」

――今永をどう思ったか
「彼は良かったね。今後メジャーの投手としてどのように仕事量を管理していくか興味深い。ファストボールは93、94(マイル=150~151キロ)で有効だし、チェンジアップとスプリットが彼の得意球で、時にカーブを交ぜて投げるが、彼が磨かれた投手であるのは見て分かる。あれだけコンディションが悪くてもマウンドで自信があったし、天気が悪くなければもっと長く投げられた」

 

今永昇太投手:

――今日の登板の感想は?
「結果的にといいますか、ドジャースにしっかり勝ち越せたのでまずチームが勝ってホッとしました」

――大谷の第1打席はかなりファウルで粘られた。
「本当にスイングも非常にすごいですし、バッターボックスに立つとすごく身体も大きかったですし、すごく威圧感がある選手だなと思いました」

――ホームのシリーズを終え、環境やカブスファンの感想は?
「試合前のブルペンに向かう時も凄い歓声をくれますし、スリーアウト目を取ったときのベンチに帰るときも温かく迎えてくれますし、非常に背中を押してくれるファンの方々なので、期待に応えられるようにこれから先も頑張りたいと思います」

――2回の登板で好投した
「まだ2回しか登板していないので、別に凄く手応えがあるわけでも、これからやっていく自信というものが生まれてきたわけでもないですし、これから先の登板数がたくさんあるのでケガなく1年間乗り切った後に今シーズンはどうだったかなというふうに思い返せると思うので、まだ今、現段階の2回では何とも思わないというか、そんな感じです」

――キャンプとシーズンでは違うが、最初の2度の登板から得たものは?
「やはりチームメートもみんな勝利のためにプレーしているということと、あとリグリーに詰めかけるカブスのファンの方々は素晴らしいファンの方々がたくさんいるという、その2つがわかったので、またスプリングトレーニングとは違った雰囲気だなと思いました」

――リーグ最高級のドジャース打線と対戦して。
「試合前も対戦相手のビデオを見てましたけど、本当に素晴らしいラインナップで、本当に凄い打球を飛ばしていたりとか選球眼が良かったりとか、それが9人揃っている打線なので、とにかく今日はたまたま4回で無失点でしたけど、ある程度失点も計算に入れながら投げていったので、また対戦することがあれば、いろんなことを想定して投げていければいいかなと思います」

――大谷の第1打席でファウルも多かったが。
「風がライト方向に打つには逆風だったので、ライトに大きな当たりを打たれても、大丈夫、風があるのでライトに大きなのを打たれるぶんには、まだリスクの方が低いかなと思ったので、真っ直ぐを引っ張られてもいいかなという気持ちで最後、高めに投げましたね」

――カブスの打線をどう思うか。
「非常に四球が多いなという。四球を多くとるなという印象ですし、みんな追い込まれても粘り強く、本当に相手投手からすれば非常に嫌な打線だなと自分がベンチから見ていても思いますし、そして足も絡められるし、1番から9番まですべてにおいてバランスが非常にいい打線だと思います」

 

――雨で降板となったが、今日の投球を振り返って。
「チームが勝って、勝つために投球していたので、チームが勝てて良かったです」

――ドジャース打線はどうだった?
「ホームランも打てるし、足も速いし、そこで警戒すれば四球も取れるので非常にタフな打線ですけど、なんとか自分の今できる最大限を出し切っていい結果が生まれたので良かったです」

――大谷選手との対戦は?
「豪快なスイングですし、今日も当たればホームランになる紙一重のところだった。今思い返してみても本当に凄いスイングだったなと思います」

――大谷選手との対戦は楽しめた?
「楽しめたという気持ちはないですけど、彼を抑えることがチームが勝つ1つのプロセスなので、彼を抑えた上で勝てて良かったなと思います」

――先ほどライト方向に打つには逆風があったので内角高めという話があったが、あの辺りは今永投手が強打者に対して自信を持って投げてきたボールなのでは?
「逆に低めにいってしまう真っすぐは効果をなさないと思っているので。もちろん低めをめがけてカウントを取る真っすぐもありますけど、低めを狙って投げるようなメカニズムで高めに投げるかっていうのが大事。高めを狙って高めに投げるボールは意外に空振りしてくれなかったりとか、バッターからも予想がついてしまったりというのがあると思う。僕の中では低めに投げるメカニズムで高めに投げることを大事にしている。それがコンスタントに出せればいいと思います」

――結果は三振になったが、大谷選手にスプリットを投げると拾われる感覚もあった?
「ゾーン残りの、(ストライク)ゾーンに残る変化球は大谷選手のバットの軌道からすれば、ホームランゾーンに打てるスイング軌道なので。でも、どこかしらで投げておかないと、真っすぐも変化球も両方打つ技術を持った選手なので、今投げられるボールのタイミングを見計らって、何とか一択を二択にできるように投げた感じですね」

――腕を伸ばさせないようにしている?
「あまりそこはイメージしてないです。大谷選手の場合はインコースのボール球までホームランにする技術はありますし、インコースの低めも左中間に打っている映像をたくさん見てきたので、とりあえず質のいい真っすぐをどれだけ投げ込めるかだと思う。それを最後はバッターが上回るか、上回れないかの違いだと思う。自分が今出せる最善策を選択してあとはどうなるかというところ。今日は質のいい真っすぐを投げられたのは良かった」

――真っすぐでファウルを取れてどう感じたか?
「僕がどこに投げても大谷選手は必ず自分のスイングができるなと感じたので、アウトコース低めに投げてもインコース高めに投げても、スプリットがいいところに決まったとしても、大谷選手はフォームを崩さずに打てる感覚はあったので。正直打ち損じ待ちじゃないですけども、自分がいいところに投げて彼が上回ってしまったらこっちとしてはなすすべない。初回ですし、自分のいいところを出せばいいと思って投げ込んでいきました」

――途中雨が降っても調子が上がっていったように見えたが、雨は問題なかった?
「雨が降っている時に心がけているのが、見ている人にいかにコンディションを感じさせないかが僕が大事にしているところ。雨は降っているんですけど、雨が降っているから球が滑ってボール球になるとか、手を拭いているそぶりとか、そういうのをしてしまうとわかりきっていることなんで。それをしてあまりいい効果が出たことがない。降っているんですけど、降っていない時と同じように投げることが大事。四球を出さずに投げられたことはよかったですね」

――中断になったときはもう少し投げたいなという気持ちは?
「ここ最近はリリーフ陣がものすごく奮闘してくれていたので、先発として球数が少なければ長いイニングを投げて、今日は移動日なので中継ぎ陣を休ませたい気持ちはありましたけど、こういうことになってしまってそういう意味では中継ぎ陣を休ませられなかったことに関しては残念ですね」

――大谷選手を意識しすぎないようにと試合前に言っていたが、その気持ちの持ち方はうまくいった?
「大谷選手も僕の中では試合に入ってしまえば、相手の打線のアメリカ人と同じようにと言ったらおかしいですけど、相手の選手なので。そこに関して日本人だからとかあまりそういうことは考えないようにというか、考えられないタイプなので普通通りに入っていきました」

――大谷選手の第1打席の時に3球目の後に捕手がマウンドに行ったが、あそこは何かの確認?
「サインが合わなかったところがあった。僕の不手際もあったんですけど、そこで捕手が気を利かせてくれて1つ間を取りに来てくれました」

 

【NEWS情報】

ニューヨーク・ヤンキース:

◯ 日本時間4月8日、ヤンキースは本拠地ヤンキー・スタジアムでブルージェイズと対戦し、8対3で勝利。3連戦を2勝1敗の勝ち越しで終え、開幕10試合で8勝2敗という好スタートを切った。ヤンキースは先発のルイス・ヒルが5回途中まで2安打2失点に抑え、2番手のジェイク・カズンズが今季初勝利(0敗)、5番手のデニス・サンタナが今季初セーブを記録。ブルージェイズ先発のボーデン・フランシスは3回裏に一挙5点を失い、2敗目(0勝)を喫した。

 

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 ■ 注目記事&コラム

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◆ 大谷翔平、絶好調を示す3大理由 7.5→11.1に激変…松井秀喜HR記録に到達秒読み

小谷真弥氏/情報:フルカウント)

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 ドジャース・大谷翔平投手の調子がいよいよ上がってきた。7日(日本時間8日)の敵地・カブス戦に「2番・指名打者」で先発出場し、自己最長タイとなる4試合連続マルチ安打をマークした。4打数2安打1打点で打率.320に上げた。

 開幕8戦ノーアーチだった5日前が嘘のようだ。移籍後初本塁打が出た3日(同4日)の本拠地・ジャイアンツ戦以降、17打数8安打の打率.470、2本塁打、4打点。この日は今季初の三塁打、中越え適時二塁打と2本の長打を放ち、OPSも.749から.944に上げた。

 打撃内容も好転してきた。自己ワーストの開幕33打席ノーアーチとなった1日(同2日)まで「打球角度」は7.5度だったが、この日までに11.1度まで回復。長打になりやすい打球速度と角度を組み合わせた「バレルゾーン」に入った打球は開幕7試合で3球のみだったが、移籍後初本塁打が出た3日(同4日)の本拠地・ジャイアンツ戦以降の4試合で6球と増えた。

「ヒットコース」も広がった。開幕8戦目まで全8安打のうち右翼方向7本と引っ張りの打撃が目立ったが、このカブス3連戦で記録した6安打のうちの3本は左中間二塁打、左前打、中越え適時二塁打。引っ張りの打撃ではなく、広角へ打ち返す大谷らしい打撃が戻ってきた。

 デーブ・ロバーツ監督も完全復活を確信。この日の試合後、「ショウヘイのいいスイングを見ることができてよかった。タイミングが合っている。(打撃の)メカニックをしっかり整えたと思う」と太鼓判を押した。ここまでメジャー通算173本塁打で日米通算993安打。今週中に松井秀喜氏の持つ日本人最多175本塁打、節目の1000安打に到達する可能性もありそうだ。

小谷真弥 / Masaya Kotani

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◆ 三冠王獲得がさらに現実味?!今季飛躍的に改善している大谷翔平の三振率と空振り率

菊地慶剛氏/情報:スポナビ)

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【いよいよ打撃好調状態に入った大谷翔平選手】


 ドジャースの大谷翔平選手が現地時間4月7日のカブス戦に先発出場し、雨天による2時間51分の中断をものともせず、試合再開後の2打席で三塁打、二塁打を放ち4試合連続でマルチ安打を記録している。

 同試合を中継したスポーツネットLAで解説を務めたオーレル・ハーシハイザー氏も「正式に(大谷選手のバッティングが)ホットになった」と、大谷選手が打撃好調状態に入ったことを認める発言をしている。

 この日の長打2本で大谷選手のOPS(長打率+出塁率)は通常モードの.944まで上昇(大谷選手の通算OPSは.923)。これでムーキー・ベッツ選手(1.359)とフレディ・フリーマン選手(.924)とともに、MLB最強と謳われる“ビッグ3”がいよいよ本領発揮する状況が整った。

 ちなみにここまでドジャースは12試合を戦い、すべての試合で1番ベッツ選手、2番大谷選手、3番フリーマン選手が固定される中、まだ初回に3人が3者凡退に終わったことは一度もない。果たしてこの記録がどこまで続くのかも興味深いところだ。

【大谷選手のバッティングがデータ的に大きく変化】


 大谷選手が打撃好調状態に入ったのは、やはり4月3日のジャイアンツ戦で今シーズン初本塁打を放ったことが大きかったのではないだろうか。

 北米プロスポーツ史上最大の10年総額7億ドルでドジャース入りし、しかも今シーズンは打者に専念することになり、否応なしに本塁打を量産することが義務づけられる環境に置かれた。

 ところが開幕早々に元通訳のスキャンダルに巻き込まれ、精神的なショックは計り知れなかったと思う。そんな中でようやく生まれた本塁打だけに、試合後の大谷選手の表情は明らかに安堵に包まれていた。

 もちろん今後の本塁打量産に期待したいところだが、個人的に本塁打が打てなかったシーズン開幕当初から、大谷選手のバッティングにデータ上で明確な変化が生じていることを確認しており、今シーズンは本気で三冠王を狙えるのではと考えていた。

【三振率と空振り率が飛躍的に改善される】


 大谷選手が三冠王を狙う上で、最もネックになってくるのが打率だろう。

 本塁打は状態さえ維持できれば普通にタイトル争いに加われるだろうし、打点に関しても、MLB屈指の強力打線に支えられ走者を置いた場面での打席が増えると想定され、エンジェルス時代より容易に増やせそうだ。

 だが打率は、大谷選手本人が安打を量産しない限り率を上げることができないし、過去6年間で打率3割を超えたのは昨シーズンの1回だけという厳しい現実がある。

 ところが今シーズンの大谷選手は、これまで以上に打率を上げられそうなバッティングをしている。

 本欄で何度も取り上げている、各選手の詳細データを紹介しているMLB公式サイト「savant」によると、今シーズンの大谷選手は開幕からずっとK(三振)率とWHIFF(空振り)率が飛躍的に改善されているのだ。

【これまでMLB最低レベルだったが今季は平均超え】


 実はこれまで大谷選手のK率とWHIFF率は、どのシーズンもMLB平均をかなり下回っていたのをご存じだろうか。

 例えば最初のMVPを受賞した2021年シーズンを例にとると、K率は29.0でMLB全体の下位9%に含まれ、WHIFF率35.0も下位3%に属する状態だった。

 また初めて打率3割を突破した昨シーズンにしても、K率は23.9で下位35%に属し、WHIFF率も32.3で下位12%に入っている状態だった。

 ところが今シーズンの大谷選手は、ここまでK率19.6、WHIFF率22.9と、ともにMLB平均を上回り上位49%に属している。明らかな変化が見られるのだ。

【ドジャース解説者が「80%の完璧なスイング」と絶賛】


 この大谷選手のバッティングの変化を読み解くには、今シーズン初本塁打にその秘密が隠されているように思う。

 やや高めに浮いた速球(同サイトによると93.2mphのシンカー)を捉えた打球は、打った瞬間誰もが本塁打と分かる会心の当たりだった。打球速津105.6mph、打球角度32度と文句無しの「バレル打球(打球速度が95.0mph以上で打球角度が8~32度の打球)」だった。

 だが大谷選手のスイング自体は決して強振しているわけではなく、あまり力感を感じられないものだった。

 試合後に行われたスポーツネットLAの「ポストゲームショー」で解説を務めたドントレル・ウィリス氏は、この大谷選手のスイングを「(力加減)80%で振った完璧なスイングだった」と絶賛している。

 4月5日のカブス戦で放った第2号本塁打も、明らかにフルスイングではなかったし、前述の2本の長打に関してもフルスイングというよりもミートを重視したスイングのように見える。

 それを裏づけるかのように、K率とWHIFF率が飛躍的に改善されているのだ。こうしたデータを確認してしまえば、誰もが大谷選手の打率アップに期待してしまうだろう。

 まだまだシーズンは始まったばかりだが、密かに大谷選手の三冠王獲得に期待を寄せ始めている。

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 ■ NOTE