2024年4月3日

 

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 ■ 試合データ

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米国時間:2024年4月2日

日本時間:2024年4月3日(水曜日)

11時10分開始

ロサンゼルス・ドジャース

対サンフランシスコ・ジャイアンツ

@ドジャースタジアム

 

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【MLB.JP 戦評】

 ジャイアンツ3連戦の初戦を制したドジャースは日本時間4月3日、3連戦の2戦目にも勝利。4回裏に3点を勝ち越したあと、6回表に2点を返されたが、5対4で接戦を制し、連勝を3に伸ばした。ドジャース2番手のライアン・ヤーブローが4回1/3を7安打4失点で今季初勝利(0敗)をマーク。5番手のエバン・フィリップスが3セーブ目を挙げ、ジャイアンツ先発のローガン・ウェブは4回途中7安打5失点で今季初黒星(0勝)を喫した。

 

 ドジャースは初回にフレディ・フリーマンのタイムリーで先制。2回表にニック・アーメッドのタイムリーで追いつかれ、3回表にマイケル・コンフォートのタイムリーで勝ち越しを許したが、3回裏にムーキー・ベッツの5号ソロで追いつき、4回裏にはギャビン・ラックスとキケ・ヘルナンデスのタイムリーで3点を勝ち越した。6回表にホルヘ・ソレアの1号ソロなどで2点を返され、1点差に迫られたが、5対4で逃げ切り。最後はクローザーのフィリップスが締めくくった。

 

 ドジャースの大谷翔平は「2番・DH」でスタメン出場し、1回裏無死1塁の第1打席は見逃し三振、3回裏一死走者なしの第2打席はセンターフライ、4回裏二死1塁の第3打席はストレートの四球、6回裏二死1・2塁の第4打席はセカンドゴロに倒れた。今日も移籍後初アーチは出ず、3打数ノーヒット1四球。今季の打率は.242、OPSは.630となっている。

 

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 ■ 今日の大谷翔平(関連NEWS)

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【スタメン】

2番DH

 

【出場成績/打者】

3打数 0安打 1三振 1四球

通算打率・242

OPS・630

 

◆第1打席:

(結果)見逃し三振

(状況)1回無死1塁

(投手)ローガン・ウェブ右

※3ボールからシンカーを外角低め、内角高めと内外、高低を投げ分けられてフルカウントとなった。そして6球目、外角低めのボールゾーンからストライクゾーンに入ってくるバックドアの84・1マイル(約135・3キロ)のスライダーに手が出ず見逃し三振に倒れた。

 

 

◆第2打席:

(結果)センターフライ

(状況)3回1死走者なし

(投手)ローガン・ウェブ右

※ベッツの5号ソロで同点に追いついた直後の3回無死無走者で回ってきた。1ストライクからの2球目、ほぼ真ん中の91・3マイル(約146・9キロ)のシンカーにバットを振り抜いた。高々と中堅上空へ打球が上がると大歓声。しかし、失速して中飛だった。

 

◆第3打席:

(結果)四球

(状況)4回2死1塁

(投手)ローガン・ウェブ右

※ストレートの四球。勝負を避けられた。

 

◆第4打席:

(結果)セカンドゴロ

(状況)6回2死1、2塁

(投手)テーラー・ロジャーズ

※5―4と追い上げられた6回二死一、二塁は3番手の左腕Ta・ロジャーズと対戦。初球、外角高めの92・7マイル(約149・2キロ)のシンカーを引っ掛けて二ゴロ。観客席からタメ息がもれた。これで自己ワーストを更新する開幕から8試合、37打席ノーアーチとなった

 

【コメント】

なし

 

【NEWS情報】

 

◯ 大谷がブランドアンバサダーを務めるヒューゴボスジャパン株式会社は3日、BOSSのブランドアンバサダーである大谷の「BOSS×SHOHEI OHTANI」新カプセルコレクションを発表した。

 

「BOSSxSHOHEI OHTANIカプセルは、フィールドの内外を問わず、インスピレーションを与えるアスリートの意欲、決意、そしてスタイルを表現しています。時代を超越した野球の美学へのオマージュとして、全13アイテムにスマートカジュアルな着やすさと野球にインスパイアされたテイストが盛り込まれています。どのアイテムもオフフィールドの必需品で、アクティブでパフォーマンス重視のデザインは大谷選手の常に即戦力であることを物語っています。大谷選手にふさわしい上質な素材を使用し、洗練されつつもリラックスしたルックの本コレクションは、モダンなBOSSスタイル表現されています。クラシックなベースボールストライプのような、さりげなくも印象的なデザイン要素によってオフセットされたクリーンなルックが特徴です」

 

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 ■ 試合情報(ドジャース関連NEWS)

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【コメント】

デーブ・ロバーツ監督:

「(大谷の打撃は)タイミングの問題だと思う。しっかり捉えないといけない球もあるが、単に仕留め損なっている。彼はしっかり練習しているし、そのうちカチッとハマるだろう。打撃は難しい。そのうちタイミングも合う。投手陣も攻撃陣も素晴らしい仕事をした。ベッツは勝利に貢献する貴重な安打を打った。きっと翔平もそうなる」

 

【その他情報】

清水隆行氏:

「あれだけの打者だから当然の話だが、大谷は相手バッテリーにかなりマークされている。インハイに強い球を厳しく投げ込まれ、アウトローに変化球と、ベース板を広く使われて慎重に攻められている。

 

 第4打席では二ゴロに倒れたが、外寄りのシンカーを引っかけるような形になった。本来、内側からバットを出していくところが若干、外から入ってしまっている時によく起こる事象だ。いい状態の時ならば、これをセンター方向へ強い打球を飛ばせる選手。このところ、見送った球をストライクと判定され、首をかしげるシーンも見られたが、内角に強い球を集められ、そこを意識することで外角の球の見え方にわずかなズレはあるのだろう。

 

 今残っている数字が物語るように本来の形ではないと思うが、ただ、年間通して誰しも必ず調子の波はある。誰も通ったことのない二刀流という道を駆け抜け、メジャーで日本人初の本塁打王を獲得したほどの選手だ。体調に問題さえなければ、微修正を重ねて必ず成績は上がってくる」

 

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 ■ 注目記事&コラム

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◆ ドジャース・大谷が不発の3大理由 新フォーム未完、狙われた…

柳原直之氏/情報:スポニチ)

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 【ヤナギタイムズ】ドジャース・大谷翔平投手(29)は2日(日本時間3日)、ジャイアンツ戦で3打数無安打。自己ワーストを更新する開幕から37打席本塁打なしとなった。1890年のナ・リーグ加入から135年目、球団初の開幕8試合連続5得点以上という好調な打線の中、打率・242、本塁打なしと低空飛行。日本ハム時代の13年12月から本格取材する本紙MLB担当・柳原直之記者(38)が、3つの要因を挙げた。

 

 わずかにブーイングの声も聞こえた。6回2死一、二塁。大谷は左腕Ta・ロジャーズのシンカーで二ゴロ。開幕から37打席連続本塁打なし、8試合連続も自己ワーストを更新した。昨季44本塁打で日本選手初の本塁打王を獲得した大谷から、消えた快音。3つの要因があるとみている。

 

 (1)新フォームの対応 昨季の右肩が本塁方向に傾く構えを、今季は背筋を伸ばして肩をほぼ水平にし、バットも垂直に立てるようにした。2本塁打したオープン戦はまずまずも、開幕後は33打数8安打で打率・242。完全に対応できていないのが現状だ。安打も全8安打中、7安打が右方向。同じく引っ張り傾向だった22年開幕直後は「(バットの)軌道がずれているからかな」と自己分析していた。この日もベンチで、座りながらバットを持ち何度も構えを確認していた。

 

 (2)徹底した変化球攻め 21、23年のMVPに対し、相手の配球も変化した。顕著なのが直球の割合で、昨季の29%が今季は22%に。昨季の直球打率・402も念頭に、変化球中心になった。しかも今季は直球での安打なし。一般的にバットを立てて構えると、振り出しが遅れ直球への対応は難しくなる。また、昨季打率・237のスライダーは今季、11%も多い33%に増加。数少ない“弱点”を徹底的に突かれている。今季のスライダー打率は・125だ。

 

 (3)新天地での気負い 1度目の右肘手術後、打者専念した19年は打率・286、18本塁打。「打者として(のみで)出続ける難しさはある」と語っていた。今季はさらに移籍で環境が激変。18年MVPの1番ベッツ、20年MVPの3番フリーマンら上位打線が好調で、2人に挟まれる中でこれまで以上に強振が目立ち、無用な力みがある印象だ。昨年3月のWBCでは、大谷の後ろを打つ村上(ヤクルト)が不振に陥った。開幕直後の元通訳・水原一平氏の違法賭博問題での、精神的動揺もあるだろう。この日は塁上でせき込む姿もあり、体調面は気になっている。

 

 ただ、前夜の左飛、この日の第2打席の左中間への中飛は角度がついた打球だった。フォーム変更での必要な対応も、大谷は織り込み済みのはず。デーブ・ロバーツ監督の「ちょっとしたタイミングの問題。すぐに波に乗ってくれるはず」という言葉を信じている。

 

 ≪昨季8・23最後に快音なし≫大谷の開幕に限らない連続本塁打なしのワースト記録は、22年の22試合&93打席連続。その年の34本塁打目を放った9月11日のアストロズ戦の第1打席の後、シーズン最終戦だった10月5日のアスレチックス戦まで本塁打なしに終わった。また、昨季の最後の本塁打は8月23日のレッズ戦の第1打席での44号となっている。

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◆ 「盛大にブーイングされるかも」大谷翔平の騒動をNY記者はどう見てる?「オオタニが嘘をつくとは考えにくい」が「質疑応答は必要だった」

杉浦大介氏/情報:NumberWEB)

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 大谷翔平の専属通訳を務めていた水原一平氏が違法賭博に関わっていたとされる問題は、アメリカでも依然として大きな関心を引き付けている。それはロサンゼルス・ドジャースが本拠地を置くアメリカ西海岸に限った話ではないのだろう。

 

 アメリカ東海岸の記者がスキャンダラスな事件をどう見ているのかを知るため、ニューヨークの地元紙『ニューズデイ』のコラムニスト、デビッド・レノン氏に意見を求めた。1995年からMLBを取材する大ベテラン、レノン記者ももちろん大谷問題に注目しているという。その言葉から、アメリカの一部のファン、関係者がこの件によって受けた衝撃の大きさが伝わってくる。以下、レノン氏の一人語り。

 

「東海岸でも大きなニュースになっている」

 大谷翔平は現在、米球界最大のビッグネームであり、アメリカのスポーツ界でも屈指の大物だ。それほどのスーパースターがこんな事件に巻き込まれたわけだから、アメリカ東海岸でももちろん大きなニュースになっている。

 

 巨大なストーリーであり、大谷が3月25日(現地時間)に記者会見を行った後、私もニューズデイ紙にコラムを書いた。スポーツファンなら誰もが今後、この件がどんな方向に進んでいくかを興味深く見守っている。

 

 MLBに加え、国税当局も調査にかかわっているのなら、大谷自身はもうこの件に関しては話さないだろうし、一時的に情報はほとんど出てこなくなるのかもしれない。それでも多くの人々が次の一報を待っており、全米の野球関係者の中だけでなく、社会的な話題になっていると思う。

 

 最初にこの話を知った際、私ももちろん驚かされた。とはいえ、現在のアメリカではスポーツ賭博が急成長しており、ギャンブルが多くの人々の生活に急速に浸透している。その点を考えれば、直後のショックが落ち着いたあと、実際には最初に思ったほどにクレイジーな事件ではないように思えてきたのも事実ではある。

 

 事件に巻き込まれた形の大谷が、スポーツ賭博に手を染めていたとは思わない。そんなことをすれば失うものはあまりにも多く、彼がそこまで愚かだとは考えられない。水原は大谷のことを長い間知っていて、とても親しかったのだろうから、銀行口座などにアクセスできても驚かない。だから大谷が会見の場で言っていたことを信じることはできる。

 

 ただ、詳細がはっきりするには疑問点はまだまだ残り、他の多くの球界関係者、メディア同様、私もすべてを理解し切るのは難しいと思っていることは否定しない。“友人のギャンブルによる負債を肩代わりした”という説明のままであれば、受け入れるのはより簡単だった。よくある話であり、大谷は同情も得られただろう。ところがそのストーリーが、“自身の知らないところでお金を盗まれた”というふうにたった一日で変わった。これほどの急展開となれば、怪訝に思う人が多いのは仕方がないことだ。

 

大谷会見「いろいろしっくりこない」の声

 会見で大谷が言ったことを聞いても、不明点は残ったままだ。水原が巨額を引き出せたとして、なぜ大谷はこれほどの長期にわたってその事実に気づかなかったのか。また、水原がそこまでの巨額を盗んだのであれば、深刻な犯罪であるにもかかわらず、なぜ逮捕するという動きにならないのか。今後、詳細が明るみに出るのを待たねばならず、それまでは様々な人がそれぞれのセオリーを語るのは避けられない。

 

 私がコラムを書いた後も、ニューヨークの多くの読者からE-Mailが届き、その内容は「いろいろとしっくりこない」といったものがほとんどだった。それは自然の流れであり、今のままではドジャースがニューヨークのヤンキー・スタジアム、シティ・フィールドを訪れたら、大谷は盛大にブーイングされるのかもしれない。

 

 振り返ってみれば、会見を開いた際、大谷はやはり質問にも可能な限りの形で答えるべきだったと思う。調査中なのであれば、質疑応答は避けたいというのはもちろんわかる。会見で話したことは記録に残るわけで、そこで話したことが真実ではなかったとしたら、いずれ明るみに出てしまうはずだから、彼が事実以外を言っていたとは思っていない。すぐに明らかになるような嘘を大谷がつくとは到底考え難い。

 

 ただ、たとえそうだとしても、一方的に自身の見方を話すだけでなく、疑問点への質問に少しでも対応していたら、受け取る側の印象も変わっていたのではないかと思う。それをしなかったがゆえに、アメリカでは懐疑的な人が増えてしまったという印象もある。すべての真実が明るみに出るまで、その状態は続くのではないか。

 

スーパースターにスキャンダルは関係ない?

 これから先、大谷の一挙一同がこれまで以上に注目されるが、私は今回の件がパフォーマンスに影響するとは考えていない。最高レベルのスーパースターというのは何か大きなスキャンダルがあったとしても、フィールド上では集中し、結果が出せるものだ。外側からのノイズをシャットアウトできるのも一流選手の特徴だといっていい。

 

 大谷はこれまでも莫大なプレッシャーをはねのけ、常に好結果を出してきた。もともとそれほど頻繁にメディア対応する選手ではなく、メディアとの緊迫したやりとりが障害になることもないだろう。優れたプレイヤーになることに人生を通じて集中し、歩んできた選手だから、雑音への対処も心得ているはずだ。大谷は今後もベースボールにフォーカスし、優れた成績を残し続けるだろうと思う。

 

(「メジャーリーグPRESS」杉浦大介 = 文)

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◆ 水原一平氏の通訳能力、米でのリアル評はどうだった? 在米プロ通訳者が分析「水原氏は憑依型」「並の通訳ではない」後任との最大の違いは…

奥窪優木氏/情報:NumberWEB)

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 ドジャース・大谷翔平の元通訳、水原一平氏に突然浮上した違法賭博・不正送金問題による衝撃から、今なお世界の野球ファンは抜け出せずにいる。水原氏は現在、アメリカの複数の機関による捜査の対象となっていると伝えられているほか、ギャンブルによる未払いの借金が存在する可能性も指摘されるなど、疑惑が燻り続けている。

 

 そうした大騒動のなか、皮肉にも改めて注目が集まったのがふたりの関係の深さである。

 

 水原氏は、大谷の口座から複数回にわたり、合計6億円以上を無断で送金し、ブックメーカーへの負債の返済に充てていたとされている。手口の詳細こそ明らかにされていないが、水原氏が通訳という立場を超えて、大谷の資産管理まで任されていた可能性がある。

 

「話すことは仕事の10%程度です」

 

「妻と一緒にいるよりも長い時間、ほとんど毎日一緒にいるわけですから、個人的なレベルで仲が良くないと厳しい」

 

 水原氏自身、昨年夏の米雑誌『The Athletic』の取材にそう答えている。

 

「スポーツ界における通訳者の仕事ぶりは、記者会見やインタビューなどのマスコミ対応ばかりが注目されがちだが、それは仕事のごく一部。試合や練習の際には、監督やチームメイトとの円滑な意思疎通をはかるほか、契約交渉の場での通訳ももちろん、選手にチーズバーガーを買ってくるよう頼まれることもある」

 

アジア人選手と通訳の絆が強固になるワケは…?

 そう話すのは、長年プロスポーツを取材するフリーランスの米国人記者だ。しかし、なかでもMLBのアジア選手とその通訳は、特に強固な絆で結ばれる傾向にあるという。

 

「2016年以降、MLBの全球団はスペイン語の通訳を2名以上常勤させることが義務付けられている。背景には、MLBに中南米からの外国人選手が多いことがある。それに比べ、日本や韓国、台湾などからの外国人選手はまだまだ少数派であることから、それぞれの言語の通訳を常駐させる必要はなく、必要に応じて雇用される場合がほとんどだ」

 

 また、選手が専属通訳を連れて入団することも多いという。

 

「大谷がエンゼルス入団の際に、北海道日本ハムファイターズで英語選手の通訳を務めていた水原氏を指名したのもその一例であり、レッドソックスの吉田正尚やパドレスのキム・ハソン選手の通訳も同様です。一方、通訳の側としても、選手が球団を去るようなことになれば、自身も仕事を失うことになるので、通訳業務を超えて献身的に選手を支える。ある意味、両者は一心同体に近い」(前出・米国人記者)

 

 とはいえ、水原氏が得ていた報酬は破格だったようだ。

 

「米スポーツ局『ESPN』の報道によると、水原氏は年俸30万ドル~50万ドル(約4500万円~約7500万円)を受け取ることになっていたとされています。これは私が知る限り、プロスポーツ通訳者の報酬の最高額。担当する大谷の破格ぶりに応じた金額になっていたのかもしれません」(同前)

 

 もちろん、彼が過去6年以上にわたって大谷の信任を得てきた背景には、たぐい稀な通訳センスがあったことも事実だ。

 

 その一例として、ニューヨーク州公認不動産エージェントで通訳者としても活動する木城祐氏が挙げるのが、ドジャース入団直後に地元TV局『SportsNet LA』のリポーターのキルステン・ワトソン氏のインタビューに応じた際の一幕だ。

 

水原氏のたぐい稀な「通訳センス」

 ワトソン氏は大谷に「一度入団を断ったドジャースに今回入団した理由は?」と質問。これに大谷は日本語でこう答えた。

 

「何て言うんですかね。それがあっても今回まあ全力でこう来ていただきましたし、そういう、何て言うんですかね、球団の姿勢であったりだとか、共感する部分ってのが大きかったのかと思います」

 

 本心からの率直な言葉に違いないのだろうが、聞き手からしてみれば少し曖昧だ。しかしこれを水原氏はこう訳している。

 

「As you said I have turned it down in the past one time but even though that happened they still came back strong and believed in me had all the faith and, that kind of meant a lot to me. So that’s the part of the reasons.」

 

「おっしゃる通り私は一度断りましたが、それでも彼らは諦めずに私の能力を信じてくれて、全幅の信頼をもって再び声をかけてくれた。それが理由の一部です」

 

 木城氏はこの訳出について「大谷のパーソナリティをそのまま伝えつつ、より具体性を持たせた内容になっている点が素晴らしい」と絶賛する。

 

WBCでは「並の通訳ではなかなかできない芸当」も

 さらに木城氏は、「英語の質問を大谷選手に伝える際も、大谷選手の周波数で見事に言葉を選んでいる点は特筆すべき」とも指摘する。

 

 例えば、WBCで日本がアメリカを下して優勝した直後のインタビュー。元レッドソックスのデビッド・オルティーズが大谷に、アメリカチームのラストバッターで、当時はエンゼルスのチームメイトでもあったマイク・トラウトに対して投じたボールについて尋ねたときのことだ。

 

「Why you gotta get so nasty on him?」

 

「これは直訳すると、『なんでトラウトに対してそんなに意地悪だったの? 』となります。しかし水原氏は大谷に対し、これを『なんでトラウトにそんなにエグい球を投げたのですか? 』と訳しました。オルティーズが試合中のどのシーンを指して質問しているかを瞬時に判断し、最適な言葉を選んで訳出する。しかもWBCという大舞台です。これは並の通訳ではなかなかできない芸当です」

 

 一方、彼が解雇されたのちに臨時通訳を任せられたドジャース編成部選手育成・能力開発主任のウィル・アイアトン氏の通訳スタイルは、「憑依型」ともいえる水原氏と比べ対照的だという。

 

 翻訳会社ゆあねっと所属で、スポーツ界の通訳も手がける中川宣隆氏が話す。

 

「日本時間3月26日に行われた大谷選手の会見で、本人が『数日前まで彼がこういうことをしていたのも全く知りませんでした』と発言した部分をアイアトン氏は『Up until couple days ago I didn’t know this was happening』と翻訳しました。つまり、『こういうこと』という部分もほぼそのままに訳出しています。これは大谷選手をはじめ日本人が使いがちな婉曲表現ですが、英語に直訳すると曖昧さが拭えません。水原流の翻訳であれば、おそらく『スポーツ賭博をしていたのも全く知りませんでした』と補足すると思います」

 

 同会見では、アイアトン氏が大谷の発言を省略して通訳したという点が、ネットなどで話題となった。

 

「大谷選手が終盤で発言した『これが今お話しできる全てなので質疑応答はしませんが』という点をアイアトン氏は訳出しませんでした。ただ、あのような記者会見では、質疑応答がない場合はその旨を事前にメディアに説明しているはずなので、不要と言えば不要です。しかし、大谷選手の態度を正確に伝えるという意味においては、押さえておかなければといけないポイントだったと感じます」

 

 ただ、中川氏は「スポーツ通訳としての真価が問われるのはインタビューなどの質疑応答のシーン」とも付け加える。今後、大谷の通訳を誰が務めることになるのか現時点で不明だが、世界の大谷ファンは彼のパーソナリティをありのままに感じたいと願っているはずだ。

 

あと1、2年もすれば「通訳なし」でこなせる?

 そこで指摘されるのは大谷が「ひとり立ち」する可能性だ。前出の木城氏が話す。

 

「大谷選手は相当の時間を割いて英語を勉強されていると思います。メディアから英語で質問されても、通訳される前にすでに理解している様子もしばしば見受けられます。印象に残っているのが、2023年のアメリカン・リーグMVP受賞の際のスピーチです。

 

 あれだけの長さを非母国語でこなすだけでも大したものですし、終始落ちついた態度で話していて、語学のセンスも感じました。あと1、2年もすれば、選手としての活動を通訳なしでこなせるようになるのでは」

 

 これは大袈裟な話ではない。現在パドレスに所属するダルビッシュ有投手は、メジャー8年目のカブス在籍時、メディア対応や契約交渉にいたるまで、通訳なしでこなしていた。

 

 大谷が、投打に加え英語力の「3刀流」となる日も近い? 

 

(「メジャーリーグPRESS」奥窪優木 = 文)

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◆ 大谷翔平がホームランを打ちやすい球種は? 大好物はシンカー、苦手な変化球は...

宇根夏樹氏/情報:webSportiva)

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数字で見る大谷翔平の「得手・不得手」球種編

 

 大谷翔平(ロサンゼルス・ドジャース)は、ロサンゼルス・エンゼルス時代の2018~2023年に、計171本のホームランを打っている。右投手から127本(13.3打数/本)と、左投手から44本(17.9打数/本)だ。

 

 大谷が外野フェンスの向こうまで打ち返した球を、スタットキャストの分類に従って球種ごとに分けてみた。

 

 右投手が大谷に対して投げて、ホームランとされた127球は、フォーシーム=44球、シンカー(ツーシーム)=22球、チェンジアップ=15球、スライダー=14球、カーブ=11球、カッター=9球、スウィーパー=6球、スプリッター=4球、スラーブとナックル・カーブ=1球ずつとなる。

 

 左投手の44球は、スライダー=14球、フォーシーム=10球、シンカーとカッター=7球ずつ、カーブ=3球、チェンジアップ=2球、スウィーパー=1球だ。

 

 それぞれの球種のホームランの本数は、球数自体の違いにもよる。たとえば、最もホームランが多い右投手のフォーシームは538打数で44本を打っているので、ホームランのペースは12.2打数/本(538÷44)と計算できる。右投手全体の13.3打数/本とそれほど違わない。

 

 右投手の球種のなかでは、スウィーパーが4.5打数/本、シンカーが7.5打数/本と、ハイペースでホームランを記録している。それぞれ、27球中6球と165球中22球だ。

 

 ちなみに、大谷が最も多くのホームランを打っている右投手の相手はフランキー・モンタス(現シンシナティ・レッズ)。彼から打ったホームラン4本は、最初の3本がいずれもシンカーだった。球速もほとんど同じ。95.5マイル、95.3マイル、95.9マイル。4本目はスプリッターだが、映像で確認すると、落ちきっていないように見える。

 

【大谷の打率が下がってしまう球種ワースト3は?】

 

 右投手からのナックル・カーブは53.0打数/本(53球中1球)とローペース。チェンジアップとスプリッターも、大谷の水準からするとペースは少し鈍く、ホームラン1本当たりの打数は20を超えている。チェンジアップは23.9打数/本(359球中15球)、スプリッターは20.5打数/本(82球中4球)だ。

 

 一方で左投手の球種は、カッターが10.9打数/本(76球中7球)であるのに対し、スウィーパーは40.0打数/本(40球中1球)。チェンジアップも29.0打数/本(58球中2球)だ。

 

 対左投手のホームランは、菊池雄星(現トロント・ブルージェイズ)からの3本が最も多い。こちらはすべて球種が違い、カーブ、カッター、スライダーを捉えている。

 

 また、左投手のナックル・カーブは、打数の最後になった12球ともホームランにはなっていない。10球以上で0本塁打の球種は投手の左右を問わず、ほかにはない。

 

 今度はホームランの本数とペースではなく、球種ごとの打率で見ていく。まず、比較対象となる「全体の打率」だ。対右投手は.284、対左投手は.253を記録している。ほかのデータと同じく、今シーズンのスタッツは含めていない。

 

 右投手の球種(打数の最後が10球以上)のうち、打率のベスト3は、シンカーの打率.388(165打数64安打)、ナックル・カーブの打率.321(53打数17安打)、フォーシームの打率.307(538打数165安打)。

 

 対してワースト3は、スラーブの打率.091(11打数1安打)、スプリッターの打率.195(82打数16安打)、スライダーの打率.246(211打数52安打)。打率.300以上と打率.250未満が3球種ずつだ。

 

 左投手の球種は、ナックル・カーブの打率.417(12打数5安打)が最も高い。それに次ぐのは、フォーシームの打率.286(189打数54安打)とシンカーの打率.268(142打数38安打)。打率.250未満は2球種。チェンジアップ=打率.172(58打数10安打)、スライダー=打率.222(198打数44安打)となっている。

 

【投げ損なったスプリッターを高確率でホームラン】

 

 ホームランのペース(打数/本)と打率のどちらにおいても、大谷が優れた数値を記録しているのは、右投手のシンカーだ。7.5打数/本と打率.388。ホームラン1本当たりの打数が10に満たず、打率も.300以上はこの球種しかない。

 

 右投手のシンカーとは対照的に、左投手のチェンジアップは29.0打数/本と打率.172。ホームラン1本当たりの打数が25を超え、打率も.200未満はこの球種だけだ。

 

 なかには、一方の数値が高く、もう一方が低い球種もある。右投手のスプリッターは、ホームランが4.5打数/本だが、打率は.195。映像を見るとモンタスから打ったものを含め、この球種のホームランは4本とも落差が小さい、あるいは落ちていない。大谷は投手が投げ損なったスプリッターをホームランにしている。

 

 反対に、左投手のナックル・カーブは打率こそ.417と高いものの、5安打のなかにホームランは皆無だ。二塁打と三塁打もなく、すべて単打。しかも、そのうちの2本は内野安打だった。

 

 もちろん、球種だけでなく、コースやそこに至るまでの配球とカウントなどにより、結果は変わってくる。また同じ球種でも、各投手の球速や曲がり方などは異なる。ただ、こうして見てくると、球種ごとの結果にはかなりの違いがある。

 

 なお、今シーズンはマウンドに上がらないが、2018年と2020年~2023年に大谷が投げた各球種の結果は、以下のとおりだ。

 

対右打者の被打率は、低い順に、スプリッター=被打率.084(131打数11安打)、スウィーパー=被打率.144(396打数57安打)、カーブ=被打率.154(26打数4安打)、シンカー=被打率.226(31打数7安打)、フォーシーム=被打率.276(232打数64安打)、カッター=被打率.280(75打数21安打)。

 

 対左打者は、スプリッター=被打率.116(199打数23安打)、スライダー=被打率.118(17打数2安打)、スウィーパー=被打率.208(173打数36安打)、カーブ=被打率.208(48打数10安打)、フォーシーム=被打率.267(311打数83安打)、カッター=被打率.300(90打数27安打)だ。

 

 20打数未満に1本のペースでホームランを打たれているのは、対左打者のカッターと対左打者のスウィーパーだけ。数値は、15.0打数/本(6本)と17.3打数/本(10本)だ。対右打者のスプリッター、対右打者のシンカー、対左打者のスライダーは、ホームランを打たれていない。

 

 大谷翔平がバッターボックスに立つと、その一挙手一投足に注目が集まる。警戒を強める相手ピッチャーが投げてくるさまざまな球種を、大谷は今シーズン、何本スタンドに放り込むだろうか。

 

宇根夏樹●取材・文 text by Une Natsuki

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