2024年3月26日

 

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 ■ 今日の大谷翔平(関連NEWS)

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◯ 大谷の通訳を解雇された水原一平氏が違法賭博に関与した問題について、大谷自ら日本時間26日午前6時45分から取材に応じた。

 

【大谷選手の全発言】

 

「えーまず皆さん、来ていただいてありがとうございます。僕も話したかったのでうれしく思ってますし、チームの関係者の皆さん、僕自身もそうですけどファンの皆さんもこの1週間ぐらいですかね、厳しい1週間だと思うんですけどメディアの皆さんも含めて我慢とご理解をして頂いたのはすごくありがたいなと思っています。

 

えーまず、僕自身も信頼していた方の過ちというのを悲しくというかショックですし、いまはそういう風に感じています。現在進行中の調査もありますので、きょう話せることにまず限りがあるというのもご理解いただきたいなということと、また今日ここに詳細をまとめた、わかりやすく皆さんにお伝えするためにまとめたメモがありますので、そちらの方に従って何があったのかというのをまず、説明させて頂きたいなと思います。

 

まず初めに、僕自身は、何かに賭けたりとか、誰かに代わってスポーツイベントに賭けたりとか、それをまた頼んだり、ということはないですし、僕の口座からブックメーカーに対して、誰かに送金を依頼したこともまったくありません。

 

本当に数日前まで、彼がそういうことをしていたっていうのも、全く知りませんでした。

 

結論から言うと彼が僕の口座からお金を盗んで、なおかつ、僕の周りのみんなにウソついていたというのが結論から言うとそういうことになります。

 

まず初めに言うと、先週末韓国ですね、僕の代理人に対してメディアの方から、私が違法なブックメーカーに関与しているのではないかという、スポーツ賭博について関与しているのではないかという連絡がありました。

 

一平さんは、僕にこういった取材の依頼があるということをまず僕には話していなかったし、僕の方にそういう連絡はまず来ていなかったということと、まず初めに代理人には、一平さんは僕と話して分かったのは、一平さんにではなく某友人の借金の肩代わりとして支払ったという風に僕の代理人も含めて、みんなに話していました。

 

その翌日に更に尋問で、一平さんは僕たちの代理人に対して借金は自分のもの、つまり一平さん自身が作ったものだということを説明しました。それを僕が肩代わりしたという話をその時に代理人に話しました。そして、これらは全くすべてがうそだったということです。

 

一平さんは、取材以来のことも僕にはもちろんそのとき伝えていなかったですし、代理人の人たちに対しても僕は既に彼と話していると話してコミュニケーションを取っていたということをうそついていました。

 

そして僕が、このギャンブルに関しての問題を初めて知ったのは、韓国で第1戦が終わったあとに行われたチームミーティング。試合のあとのチームミーティングの時です。

 

そのミーティングで、彼は全部英語で話していたので、僕にもちろん通訳がついていなくて、すべて英語で話していたので、完全には理解できていなくて何となくこういう内容であるなっていうのは恐らく、理解はできていましたけど何となく違和感を感じていました。

 

その時、彼は僕に対してホテルに帰ったあとで2人でより詳しい事を話したいので、今は待ってくれという風に言っていたので、僕はまずそのときはホテルまで待つことにしました。

 

僕は、一平さんがそのときに、ミーティンの時に、ギャンブルの依存症だというのは僕はもちろん知らなかったですし、彼が借金をしていることもそのときは、もちろん知りませんでした。

 

僕は、彼の借金返済にももちろんそのときも同意してませんし、ブックメーカーに対して彼に送金してくれって頼んだことももちろん許可したこともないです。

 

その後、試合後ホテルに戻って、一平さんと初めてそこで話をして、彼に巨額の借金があることをその時知りました。彼はその時私に、僕の口座に勝手にアクセスしてブックメーカーに送金していたということを僕に伝えました。

 

僕はやっぱりおかしいな、これはおかしいなと思って代理人に話したいということで、代理人たちを呼んでそこで話し合いました。

 

話終わってこれを聞いて、僕の代理人にもやっぱり彼にうそをつかれていたということを初めて知って、すぐにドジャースの皆さんと弁護士の人たちにその時に連絡しました。

 

ドジャースの皆さんも、代理人の人たちも彼らもその時に初めて、また自分たちもうそをつかれていたということをそのときに知りました。

 

そして弁護士の人たちは、は窃盗と詐欺のことなのでこれを警察の当局に引き渡すという報告をしました。これがそこまでの流れなので僕はもちろんスポーツ賭博には関与していないですし、さっき言いましたけどブックメーカーに送金をしていたという事実は全くありません。

 

ショックという言葉が正しいとは思わないですし、それ以上のうまく言葉には表せないような感覚で、この1週間ぐらいは、ずっと過ごしてきたので、いまはそれをうまく言葉にするのは、難しいなと思っています。

 

ただもうシーズンも本格的にスタートするので、ここからは弁護士の方々にもお任せしますし、僕自身も警察当局の捜査に全面的に協力したいなと思っています。

 

なので、気持ちを切り替えるのは、難しいですけどもシーズンに向けて、またスタートしたいですし、きょうまずお話しできてよかったなと思っているので、今日は質疑応答は、これが今お話しできる全てなので質疑応答はしませんが、これからさらに進んでいくと思います。

 

以上です。ありがとうございました」

 

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◯ 米スポーツ専門局「ESPN」のアルデン・ゴンサレス記者は自身のXで「オオタニが語ったことで一番印象的だったことは?」という質問に対し、こう答えている。「最後、彼は下(台本)を全く見ずに、真っすぐカメラを見ていた。そして彼はこれらすべてがどれだけ困難で、彼の親友である通訳のイッペイ・ミズハラを告発することが、苦痛であるかを語った。ショウヘイ・オオタニの発言によると、彼から金を盗んだと。シーズンに向けて準備をしていく必要があるが、できる限りあらゆる調査に協力すると語った。そして彼はこの困難を言葉にするのが難しいと言っていた。この瞬間、感情的になっているのが見えた」

 

◯ 各局が朝から〝翔タイム〟。元通訳・水原一平氏の違法賭博問題について米大リーグ、ドジャースの大谷による声明発表が日本時間26日、テレビ各局のレギュラー番組内で生中継された。開始の日本時間午前6時45分を前に、同43分からフジテレビ系「めざましテレビ」、NHK総合「おはよう日本」、TBS系「THE TIME,」と次々に画面が現地ロサンゼルスのドジャー・スタジアム内に切り替わった。日本テレビ系「ZIP!」とテレビ朝日系「グッド!モーニング」も続き、定刻少し前にMLBネットワークによる生映像が流れた。メディアによる個別撮影は禁じられていた。

 

◯ 記者会見には、日米報道陣約73人のほか、フリードマン編成本部長、ゴームスGM、ロバーツ監督らのほか、同僚のケリー、キケ・ヘルナンデスらも駆け付け、静かに聞き入った。

 

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◯ 大谷は会見後、本拠地・ドジャースタジアムで昨年9月の右肘手術後初めてキャッチボールを行った。球団スタッフを相手に約50球を投げた。キャッチボールは2セットに分けて行った。1回目は20メートルほどの距離、2回目は10メートルほどの距離をとった。全力投球ではなかったものの、久々の感触を楽しむようにじっくりと投球。暴投したボールには思わず笑顔を見せた。キャッチボール後、クラブハウスへ引き上げる際にはエンゼルス放送局バリースポーツ・ウエストの名物解説マーク・グビザ氏とハグする場面もあった。

 

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◯ 大谷翔平投手は25日、本拠地で行われたエンゼルスとのオープン戦に「2番・指名打者」で先発出場。2打数無安打1四球でオープン戦は打率.423、OPS1.300となった。相手先発は左腕デトマーズで、初回1死は三ゴロに倒れた。3回無死からはセンター返しの打球を放ったが、遊撃ネトへのゴロとなった。5回2死はフルカウントから顔スレスレの厳しい攻めにあって四球。8回の第4打席は代打が送られて交代。2試合連続無安打となった。ベンチ裏へと戻る際に、近くに座った子供ファンにサインをする珍しいシーンが見られた。

 

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◯ エンゼルスのリード・デトマーズ投手は、敵地で行われたドジャースとのオープン戦に先発し、5回3安打無失点の好投を見せた。オープン戦は防御率2.45。昨季までチームメートだった大谷との直接対決。「正直言って、少し奇妙だった。もちろんショウヘイは信じられない選手なので、アウトを奪うことが難しいよ」。5回2死ではフルカウントからの94.7マイル(約152.4キロ)が抜けた。顔スレスレを襲うビーンボール。「コントロールが少し乱れたよ。ショウヘイは笑っていたけど、彼に『ごめん』と言ったよ」。“危険球”とならずにホッと一安心した様子だった。

 

◯ ロバーツ監督が会見について言及。「ショウヘイはとても正直だったと思う。そして、何が起こったのか、彼の見解を述べた。彼が何を知っていて、何を知らなかったのかということに関しては、多くの質問に答えてくれた。みんな、ショウヘイを見守って、寄り添おうとしていたと思う。彼が自分の考えを整理して、正直に、率直に、とても傷つきやすかったことを話してくれたことは、本当に大きかったと思う。私は聞きたいこと全てを聞くことができたし、選手たちも同じ気持ちだと思う。彼がここ(同じ会見場)に座って、自分の見解を述べたことを誇りに思う。そして、私はただ前に進み、この件は当局に任せて野球に集中することを楽しみにしている」とうなずいた。

 

声明の場にはジョー・ケリー投手とエンリケ・ヘルナンデス内野手も同席。ロバーツ監督は「ジョーとキケ(ヘルナンデス)はサポートしたかったんだろう」と、同僚らの胸中を思いやった。重苦しい雰囲気が漂う中、球団幹部とともにケリーとヘルナンデスが会見場に入室。チームメートの気遣いが大谷の背中を押していた。

 

◯ マックス・マンシーは、大谷がナイン一人ひとりに対して騒動について説明したと告白。そのうえで「俺たちチームは全員がショウヘイの味方だ」と断言。さらに、「俺は彼を100%信じるし、彼をサポートする」と力強く後押しを宣言した。

 

◯ 米公式サイト「MLB.com」ではスプリング・トレーニングの期間中、各球団のビートライター(番記者)たちがクラブハウスで選手たちに様々な質問を投げかけ、選手アンケートを実施した。100人を優に超える選手が匿名を条件にアンケートに参加し、「MLB.com」ではその結果を集計して発表。アンケートは8つの項目で行われており、「最高の選手」部門では大谷翔平(ドジャース)が圧倒的支持を集めて1位に選ばれた。「MLB.com」によると、アンケートに参加した選手の3分の2近くが「最高の選手」として大谷の名前を挙げたようだ。

 

 

◯ 元日本ハム投手の斎藤佑樹氏が26日、キャスターを務める日本テレビ系情報番組「news every.」に生出演。大谷の会見について語った。「まず、彼のプレースタイルですけれども、誠実で野球に対して真面目に取り組む選手です」と大谷の人間性について触れた。その上で「今日の会見もそうでしたが、話せないことが特に多い中で、時折メモを見てましたが、彼自身の言葉でちゃんと話している姿が、彼の誠実な姿を…僕は印象を受けましたね」と、大谷の変わらぬ姿勢を評価した。

 

◯ 元バドミントン日本代表で、現役時代は大谷の母親とも対戦経験があるという陣内貴美子氏は「自分が何年も信頼している人のことを、こういう公の場で、こういう形で言わなければいけなかった心の内っていうか、苦しさとかつらさっていうのは、淡々と話してる中で、逆に伝わってきましたよね。苦しいんだろうなと思いました」と、大谷の心境を慮った。

 

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 ■ ロサンゼルス・ドジャース情報

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◯ オープン戦 ドジャース0-6エンゼルス(2024年3月25日 ドジャースタジアム)試合は大谷と昨季までバッテリーを組んだエンゼルス・オハピーが2回に3ラン。6回にはシャヌエルが2点打を放つと、先発・デトマーズも5回無失点と快投。投打がかみ合ったエンゼルスが快勝した。ドジャースは26日日のエンゼルスとのオープン戦を終えると、28日に本拠開幕戦となるカージナルス戦で本格的なシーズンが始まる。

 

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 ■ 球界情報

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◯ パドレスが25日(日本時間26日)、球団のXで28日(同29日)の本拠でのジャイアンツとの開幕戦の先発投手がダルビッシュ有と発表した。ダルビッシュは日米通算200勝にあと4勝と迫っている。

 

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◯ カブスの鈴木誠也が25日(日本時間26日)、カージナルスとのオープン戦に『2番・右翼』で先発出場し、2本の本塁打を放ち、打撃絶好調。鈴木は初回の第1打席、左腕のマッツが2ボール2ストライクから投じた5球目を左中間スタンドに放り込むオープン戦第5号ソロを放つと、3回の第2打席は四球を選び、5回の第3打席は3ボール2ストライクからマッツのインコースを捉え、打球はレフトスタンドへ。この日2本目となるオープン戦第6号本塁打を放った。鈴木はオープン戦15試合に出場して、打率.459、6本塁打、12打点、OPSは.1.593だ。

 

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 ■ 注目記事&コラム

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◆ 大谷翔平会見に見えた感情の揺れ…一瞬、声が詰まりそうになる光景も 米国開幕へ“リセット”

四竈衛氏/情報:日刊スポーツ)

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 【ロサンゼルス(米カリフォルニア州)25日(日本時間26日)=四竈衛】元通訳の水原一平氏(39)による違法賭博問題に関して、ドジャース大谷翔平投手(29)が、ドジャースタジアムで事件発覚後初めて記者会見を行い、賭博や負債送金などへの関与を全面的に否定した。今回の事件を「悲しいというか、ショック」と受け止めつつ、11分に渡って自らの意思で胸中を明かし、28日(同29日)の米国一斉開幕へ向け“リセット”した。

 

   ◇  ◇  ◇

 

 はた目にはいつもと変わらず、落ち着いた表情で、大谷はここ数日間の複雑な胸の内を実直な言葉で紡いだ。米国時間の20日(日本時間21日)に遠征中の韓国で事件が明るみに出て以来、球団広報らに徹底ガードされたこともあり、沈黙を保ってきた。グラウンド上で屈託のない笑顔を振りまく一方で、メジャー挑戦以来、公私にわたって最も信頼してきた相棒の裏切りに「悲しいというか、ショック」という思いをグッと胸にしまい込み、日々を過ごしてきた。

 

 ただ、このまま、黙っておくわけにもいかない。28日に米国開幕を控え、ファンに対してだけでなく、大谷自身にとっても、明確に“リセット”する機会が必要だった。会見の冒頭で「僕も話したかった」と切り出したのは、紛れもない本音だ。

 

 球団側からは、事前に「会見は質疑応答なし。写真、動画撮影は禁止で、大谷からのステートメント(声明)のみ」と告知されていた。それでも、大谷はあらかじめ用意された文言を棒読みするのではなく、メモ書きされた項目を確認しながら、事件の経緯と事実関係を丁寧に明かした。韓国での開幕戦後のチームミーティング、ホテルへ帰った後の水原氏との1対1の話し合い、代理人との事実確認など、これまでメディア先行だった断片的な情報を、通訳を挟みながら、ほぼ時系列でたどった。

 

 一方で、微妙な感情の揺れものぞかせた。当初「信頼していた方」との呼称は、途中で「彼」となり、後半は日頃と同じ「一平さん」に変わった。いつになく、少しずつ早口になり、「正直、ショックという言葉が正しいとは思わないですし…」と口にすると、一瞬、声が詰まりそうになる光景も。「言葉にするのが難しいなと思っています」。的確な表現が思い付かないほど、複雑な思いが交錯していた。

 

 今後、MLBなどの調査が進められるため、現時点で処遇は明確になっていない。送金に使われた口座や水原氏の手口など詳細については、当局の捜査を待って、今後、明らかになっていくものとみられる。だが、大谷がすべてのスポーツ賭博への関与、ブックメーカーへの送金許可などを全面的に否定したことで、大谷自身が「厳しい1週間」と表現した騒動は、ひとまず収束に向かう見込みだ。「今日は、まずお話しできて良かったと思っています」。会見を締めくくった誠実な言葉に、苦悩の日々と人間性がにじみ出ていた。

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◆ 大谷翔平が水原氏を「一平さん」と呼ぶのをやめた“ある瞬間” 会見を分析した臨床心理士が気づいた“痛切な心理状態”とは…

岡村美奈氏/情報:文春オンライン)

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 ドジャースの大谷翔平選手が25日、ついに記者会見を開いた。すでに解雇された元専属通訳の水原一平氏の違法賭博疑惑を受け、自ら声明を発表したのだ。

 

 水原氏の突然の解雇が発表されて以降、大谷選手が公の場で話すのは初めて。会見冒頭「僕も話したかったので、嬉しく思います」と切り出した大谷選手は、「まず、僕自身も信頼していた方の過ちというのは悲しく、ショックですし」と話した。いつもより話し方のピッチが速い印象を受ける。

 

 水原氏のことを「信頼していた方」と過去形で呼んだ大谷選手。彼の中ではもう水原氏に対する信頼は過去のものになっているのではないだろうか。

 

  それは会見中に6度も「嘘」という言葉を使ったことからも透けて見える。

 

「皆に嘘をついていたというのが結論」

「すべてが嘘だった」

「代理人に対しても僕はすでに彼と話して、コミュニケーションをとっていたと嘘をついていました」

「チームにも、僕とコミュニケーションをとっていたと嘘をついていました」

「話が終わって、代理人も彼に嘘をつかれていたと初めて知り」

「彼らも初めて嘘をつかれていたとその時知りました」

 

まばたきが増え、口元をきつく結んでいた心理状態は…

 

 実際、水原氏の嘘は1つではなかった。某友人の借金を肩代わりしていた、借金を大谷選手が肩代わりした、大谷選手とコミュニケーションをとっていた、など、嘘に嘘を重ねていたのだ。

 

 チームの前で自身をギャンブル依存症だと告白し、嘘を重ねた水原氏の言動について話すとき、大谷選手はまばたきが増え、口元をきつく結んでいた。

 

 ネガティブな出来事に直面してマイナス感情や緊張が強くなると、人はまばたきが多くなったり、口元をきつく結ぶといわれる。大谷選手にとって、水原氏の裏切りのダメージがどれほど大きかったかがわかる。

 

 いくつかのメディアが、大谷選手が会見の冒頭で水原氏のことを名前ではなく「彼」と呼び、途中から「一平さん」と呼び方が変化したことに言及していた。たしかに、呼び方の変化は聞いていて気になるものだ。大谷選手が公私ともに信頼をよせ、パートナーとして彼を支えてきた水原氏の姿を知っているだけに、聞いていて辛くなるファンもいただろう。

 

 呼び方が変わったのが意識してのことなのか、無意識だったのかはわからない。だが会見中、大谷選手は自分の言葉で話しているように見えたので、呼び方が変わったのは無意識だろう。

 

「一平さん」という呼び方を使わなくなった“タイミング”

 

 ではなぜ、呼び方が変わったのか。愛情がまだあるから、という説は、冒頭の「信頼していた方」という過去形を踏まえると微妙だ。

 

 しかし、大谷選手が「一平さん」という呼び方を使わなくなったのは、話が“ある場面”に至ったタイミングだとしたらどうだろう。

 

 大谷選手が水原氏を「一平さん」と呼んだのは、大谷選手がまだ水原氏の賭博について何も知らなかった時期について話していた時だけだ。

 

 チームミーティングを経て、水原氏と2人で話して信頼していた人間に想像すらできないほどの大きな嘘をつかれていたことを知る場面について話した以降は、「一平さん」と名前を呼ぶことは一度もなかった。

 

 会見では、代理人やチームメイトへの心苦しさが垣間見える場面もあった。水原氏が嘘の報告を「僕の代理人を含めみんなに話していた」ことについて話すとき、大谷選手は右手を前に出して何度かふり、“みんな”が嘘をつかれていたことを強調した。口元は唇が消えるほど引き締められ、口角はぐっと下がっていた。

 

 自分の元通訳が代理人やチームメイトに嘘をつき、周囲にもストレスをかけてしまったということについて、非常に強いストレスを感じたのだろう。

 

会見場に同席したチームメイトたちの存在を強調?

 

 その後も大谷選手は「チームも、代理の人たちも」と関係者それぞれの存在を強調する仕草を見せている。

 

 会見の場には通訳のウィル・アイアトン氏だけではなく、スタン・カステン球団社長やデイブ・ロバーツ監督らに加え、ジョー・ケリー投手やエンリケ・ヘルナンデス内野手らも同席して大谷選手を見守っていたので、彼らを仲間として信頼している様子が伝わって来た。

 

 そして会見中、大谷選手は通訳される自分の言葉を、何度も何度も頷きながら聞いていた。これは事実なのだと無意識のうちに強調していたように見える。

 

「ショックという言葉が正しいとは思わない」「うまく言葉にするのは難しい」と率直な心情を吐露し、警察当局の捜査にも全面的に協力すると話すと、まるで襟を正すようにドジャースのパーカーの首元をグッと掴んで持ち上げた。

 

 会見の最後に大谷選手は、「シーズンに向けてまたスタートしたいですし、お話しできてよかったと思っているので」と再び言うと背筋を伸ばした。大谷選手自身も、自分の言葉で説明する機会を心待ちにしていたのかもしれない。

 

岡村 美奈

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◆ 大谷翔平の怒りと寂しさ「信頼していた方」「一平さん」「彼」すでに過去の人に

安藤宏太氏/情報:スポーツ報知)

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 ドジャース・大谷翔平投手(29)と通訳を務めていた水原一平氏との6年間の蜜月関係に終止符が打たれた。大谷の声明からにじみ出た水原氏への思いと葛藤をMLB担当の安藤宏太記者が「見た」。

 

 ハキハキと、淡々と、少し早口で話す大谷の口調に、強い決意を感じられた。11分38秒。事前に広報から質疑応答がないことを伝えられ、その時点ではここまで詳細を語るとは予想できなかった。

 

 大谷の口からおそらく初めて出る「ブックメーカー」、「賭博」、「借金」、「ギャンブル」、「窃盗」、「詐欺」、「警察」などという信じられないような言葉の数々。その口調には怒り、憤りを感じたが、6年間タッグを組んで支えられた水原氏への思いも胸の奥底にはあったのだろう。「正直ショックという…言葉が…まぁ…正しいとは思わないですし…、それ以上の…言葉で表せないような…感覚でこの1週間ぐらいはずっと過ごしてきた」と何度か言葉を詰まらせた。

 

 呼び方にもさみしさがあった。これまでと変わらぬ「一平さん」が8度あったが、「彼」という距離の感じる表現が11度、「信頼していた方」とも言った。大谷の心の中ではすでに“過去の人”となっていることは明らかだった。開幕戦の20日。クラブハウスでの囲み取材を終え、2人で並んで歩いてバスに向かった際に見た背中が最後になるとは夢にも思わなかった。

 

 一方で、これまでと変わらない、大谷らしい面もあった。本拠地開幕まで、この日で残り3日。「もうシーズンも本格的にスタートするので、ここからは弁護士の方々にお任せします」。シーズンに向けて気持ちを切り替えることを宣言。会見終了の約10分後にはグラウンドでキャッチボールを行い、笑顔も見せた。試合になればいつも通りの集中した目つき。やっぱり大谷にはグラウンドでの活躍が似合うと再確認させられた。

 

 誰よりも長い時間を過ごした“最側近”だった水原氏に裏切られたショックの大きさは、想像以上だろう。決して弱みを見せない大谷の姿に、改めて強さを感じた。(安藤 宏太)

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 ■ NOTE