2024年3月22日

 

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 ■ 今日の大谷翔平(関連NEWS)

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◯ 韓国・ソウルでのパドレスと開幕2連戦を行ったドジャースナインを乗せたチャーター便が米西部時間21日午後9時30分ごろに本拠ロサンゼルスに到着。現地情報によると、選手たちはメディアの前に姿を見せることなく、空港を後にした。ドジャースは現地24日から同じロサンゼルスを本拠にするエンゼルスとフリーウェーシリーズ3連戦のオープン戦を行った後、28日本拠でのカージナルスとの米国開幕戦を迎える。

 

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 ■ ロサンゼルス・ドジャース情報

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◯ 日本時間3月22日、MLB公式サイトのアンソニー・カストロビンス記者は今季の最強打線トップ10を選出する特集記事を公開した。昨季はブレーブス打線が歴代最多タイの307本塁打を記録するなど猛威を振るったが、カストロビンス記者は今季の最強打線にブレーブスではなくドジャースを選出。その理由として「もともと強力だった打線に、J・D・マルティネスの後釜として大谷翔平、デービッド・ペラルタの後釜としてテオスカー・ヘルナンデスが加わり、攻撃力がアップした」ことを挙げている。ブレーブスはドジャースに次ぐ2位となった。

 

 

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 ■ 球界情報

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◯ レンジャーズが昨季ノーヒッターを達成したマイケル・ロレンゼン投手と1年450万ドル(約6億8000万円)の1年契約に合意した、と米大リーグ公式サイトのファインサンド記者が21日(日本時間22日)伝えた。32歳の右腕ロレンゼンは昨年タイガースでオールスター戦選出。移籍したフィリーズでは8月9日のナショナルズ戦でノーヒットノーランを達成。シーズン9勝9敗、防御率4・18でオフにFAになっていた。昨季の覇者レンジャーズは主軸のデグロム、シャーザーが故障で前半戦絶望になっており、先発投手の補強が急務だった。

 

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 ■ 注目記事&コラム

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◆ 【記者の目】水原一平氏の顔は今春、こけたように痩せていた…通訳以上に深い大谷翔平との関係性

斎藤庸裕氏/情報:日刊スポーツ)

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 大谷が相棒を失った。通訳だけでなく、あらゆる面でサポートを担ってきた水原通訳。投打の二刀流で驚異的な活躍を見せていた過去3年間、キャッチボール相手、壁当てルーティンのサポート、投球やスイング強度の測定など、欠かせない練習パートナーでもあった。初のMVPを獲得した21年11月15日、日本記者クラブでの会見で大谷は「お世話になったのはやっぱり一平さんですかね。常に一緒に仕事もしてますし」と感謝の気持ちを示した。

 

 メジャー挑戦から間もない頃、日本食店で外食をともにし、同僚とともに食事に出かけることもあった。懸命に支える水原氏の姿にファンからも人気を集めたが、同氏はかつて「第一には野球に集中してもらえるような環境を整える。ゲームとかも一緒にしますし、友達感覚じゃないですけど(関係を)言葉にするのは難しいですね」と語り、野球最優先を心がけていた。

 

 4年目、初のオールスターとホームランダービーに出場した大谷は、水原氏を捕手役に指名。年を重ねるにつれて、絆は強くなっていたようだった。「ちょこっとだけ信頼してます」とからかいながら関係性を表現するのも、逆に信頼が厚い証でもあった。だが、米報道によれば二刀流でブレークした頃、水原氏の歯車は狂い始めたという。

 

 囲み取材の質疑応答ではまれに大谷の回答を忘れることもあり、今年2月29日の結婚会見でもど忘れする珍事があった。それを大谷が笑う。緊張がほぐれ、和やかなムードになる。一方で、今春キャンプでの水原氏は顔がこけたように痩せていた。新天地での大谷の新章は始まったばかり。華々しいデビューから一転、悲しすぎる衝撃的ニュースとなってしまった。過去6年間の代役を担える適任は、そう簡単には見つからないだろう。“一平ショック”の影響は計り知れない。【MLB担当=斎藤庸裕】

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◆ 水原一平通訳の解雇パニック…現地記者が見た「張りつめた空気のロッカー」「猛追及する米メディア」ドジャース大谷翔平から“消えた笑顔”

佐藤春佳氏/情報:NumberWEB)

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 前夜と変わらぬドジャースのロッカールームの風景。しかし、そこに“彼”だけがいなかった。

 

試合後ロッカー「張り詰めた空気、いない水原通訳」

 

 3時間42分のロングゲームの末に、11-15でパドレスに敗れた開幕第2戦。韓国・ソウルでの戦いを終え安堵感が満ちたロッカーで、大谷翔平は静かに着替えていた。35人ほどの報道陣が遠巻きに囲み、固唾を飲んでその様子を見守る。張り詰めた空気を気にするそぶりも見せず、シャワーを浴びた大谷は顔と体にクリームを塗り、グレーのスウェットを身につけていった。

 

 ロッカーの前の大きなスポーツバッグの中には丁寧に整頓された大谷の荷物。いつもならそのそばに水原一平通訳が付き添っていたはずだ。この日は2人の広報担当者が報道陣の前に立ち、厳しい表情で「今日はショウヘイの対応はなしだ」と説明。キャップを被り、リュックを背負った大谷は、「お疲れさまです」、「お疲れっした」と記者たちに声をかけてわずかに微笑みを浮かべ、ひとり立ち去っていった。

 

早朝の報道から試合終了まで…現地ウラ側

 

 両チーム合わせて33安打が飛び交った壮絶な打撃戦以上に、あまりにも衝撃的な一日だった。ソウルの夜明けとともに、アメリカ発のニュースが飛び込んできた。ロサンゼルス・タイムズとスポーツ専門局ESPNの第一報をきっかけに、複数のメディアが、大谷の通訳である水原一平氏が違法賭博に関与し、「巨額の窃盗をした疑い」でドジャースを解雇されたと報じたのだ。

 

 最も詳細に伝えた米メディア「ESPN」によると、水原氏はカリフォルニア州のブックメーカーにスポーツ賭博で借金を作り、その穴埋めのために大谷の銀行口座から「少なくとも450万ドル(約6億8000万円)」を送金したという。報道を受けてドジャースも水原氏の解雇を認める声明を発表。この時点で水原氏はチームを離れており、前日の試合後にはデーブ・ロバーツ監督や大谷を含めた選手たちの前で謝罪し、チームを去っていたというショッキングな詳細まで伝わってきた。

 

 想像もしなかった事態に上を下への大騒ぎとなったのは報道陣だ。状況が不透明なだけに朝から各社“ドジャース番”の記者に加え、テレビ局のクルーもソウル市内にあるドジャースの宿泊先ホテルに駆けつけて事の推移を見守っていたという。試合前の球場では、公式会見に現れたロバーツ監督に対し主にアメリカのメディアから水原氏関連の質問が殺到した。

 

米メディア猛追及…質問制する広報

 

「その件については申し上げられません」とかわす指揮官に対して、試合への影響や水原氏はまだ韓国国内にとどまっているのかなどの質問が続き、MLBの広報担当者が「今は野球に関する質問だけにしてください」と制する場面も。現地アメリカでは単なるスポーツニュースではなく、大きな社会問題として報じられているだけにメディアもそう簡単には引き下がらない。

 

 前日には試合が行われる高尺スカイドームに爆破予告もあり、連日のトラブルに見舞われたチームについてさらに質問が飛ぶと、ロバーツ監督は「われわれはここに野球の試合をするために来た。昨日も問題はあったけれどいいゲームができた。今日も同じこと」と自らに言い聞かせるように言葉を繋いだ。この日はメジャーデビュー戦となる山本由伸のために水原氏がベンチ入りして通訳を務める予定だった。不測の事態となり、代役として編成部選手育成・能力開発主任を務めるウィル・アイアトン氏が当面通訳を兼任することがアナウンスされた。

 

距離感探る通訳…「“不在”を感じた瞬間」

 

「この韓国シリーズは呪われているんじゃないか」

 

 報道陣から思わず、ため息が漏れる。大谷はグラウンドでの試合前練習には姿を現さなかったが、ベンチ裏ではトレーナーから入念に治療を受ける姿が見られた。もちろん、その近くに水原氏の姿はない。日本ハム時代からの縁で、2018年のメジャー挑戦からその傍らに常に寄り添っていた“相棒”。阿吽の呼吸で二刀流を支えてきた存在が突然姿を消したという現実は、試合が始まるとさらに色濃く映った。

 

 1回の第一打席。一死無走者で打席に立った大谷に、一際大きな声援が飛ぶ。スタンドのコンコースにはファンが鈴なりとなってスマートフォンのカメラを向ける熱狂の中で、大谷はパドレス先発のジョー・マスグローブの初球をいきなりライト前へ。集中力を研ぎ澄まして、騒然とした空気を吹き飛ばした。3番のフレディ・フリーマンが四球を選び一、二塁とし、ウィル・スミスのタイムリー二塁打で生還。泰然とした主役の一打が、山本の乱調で初回に5点を失っていたチームに冷静さを取り戻した。

 

 しかし、ベンチに戻ると出迎えのハイタッチの列に水原氏の笑顔はない。球種や相手投手の特徴について話しかけるチームメートに対しては、通訳を挟まずにやりとりをしている。2回には大谷の犠飛で2点目を追加し、2-9となり迎えた3回は連打を足がかりに反撃を開始。3点目、4点目と加え打席が近づいてくる大谷は、選手やコーチともほぼ直接会話をしながら準備を進めており、アイアトン通訳は話しかけて良いものかどうか距離感を探っているように見えた。

 

思い出すWBC「翔平の状態はいつも、一平に…」

 

 メジャー7年目の大谷にとって、実際には試合中のやりとりに関して“言葉の壁”はほぼないのだろう。監督やメディアとの間で正確に思いを伝えるという役目は重要だったにせよ、水原通訳の存在は、単に言語を翻訳するという業務を超えたところにあったはずだ。時に敏腕マネージャーであり、時にデータ分析官。何より、人並外れた存在である大谷の感情の機微を察知し、時に集中力を高める「オン」の手伝いを、時には緊張を緩和する「オフ」の役割を担っていた。

 

 昨春のWBCで栗山英樹監督を支えた城石憲之コーチは大会後、「翔平は“疲れている”とか“交代したい”ということを自分からは絶対に言わない。だから翔平の本当の状態はいつも、一平にたずねていた」と明かしていた。スーパースターが本音を明かせる数少ない戦友でもあった水原通訳。その存在を挟んでベンチでチームメートとふざけ合うような光景はもう見られない。得点機が多かったドジャースのベンチでも、この日の大谷は笑顔が少なかったように見えた。

 

 ソウルでの開幕シリーズは1勝1敗。スポーツ史上最高額となる10年7億ドル(約1015億円)で移籍したドジャースでの第一歩となった2試合は波乱のうちに幕を閉じた。“爆破予告”から始まり、ダルビッシュ有との初対戦、松井裕樹や山本のデビュー、そして最後にチームを揺るがせた衝撃的な事件……。唯一無二の信頼関係で結ばれていた“相棒”の突然の喪失という深い傷を残したまま、大谷の新しい1年が始まった。

 

(「メジャーリーグPRESS」佐藤春佳 = 文)

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◆ 「大谷翔平は成長しなければならない」水原一平氏解雇でロサンゼルス・タイムズ紙が指摘「大谷の沈黙が臆測招く」

(情報:中日スポーツ)

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 ドジャースは20日(日本時間21日)、大谷翔平選手の通訳を務めた水原一平氏を解雇。米複数メディアが、違法なスポーツ賭博に関与していたと報じた。米連邦捜査局(FBI)の捜査により、大谷の口座から違法ブックメーカーへの資金流出が判明。大谷の弁護士は、口座から数百万ドルに及ぶ資金が盗まれたと主張している。

 

 地元紙ロサンゼルス・タイムズのディラン・ヘルナンデス記者は21日、「水原一平の暴露を経て、大谷翔平は成長しなければならない」との見出しでコラムを寄稿。「大谷はこれまでのように他人に頼るのではなく、成長して状況をコントロールする必要がある」と説いた。

 

 「少なくとも、矛盾する談話はチームの広報担当の問題を生んだ。アスレチックスのダラス・ブレーデン解説者が『ひょっとしてギャンブルをしていたのは大谷自身で、水原氏は『いけにえ』だったのではないか』と思うほどに、状況は悪かった。大谷の沈黙が臆測を招いたのだ」

 

 「矛盾する談話」とは、米スポーツ専門局ESPNによる水原氏のインタビューだ。19日は「(大谷に昨秋)借金返済を依頼すると、大谷自身がパソコンを操作し、ブックメーカーに送金した」「もちろん、彼(大谷)はハッピーじゃなかった。『手助けするけど、もう二度としないように』と言われた」と語った。

 

 だが、大谷サイドはこれらのコメントを否定。翌20日になると、水原氏は「自分がうそをついていた。大谷は自分のギャンブルや借金、その返済について何も知らなかった」と前日の発言を完全に撤回した。

 

 また、前出のブレーデン解説者は20日、X(旧ツイッター)で2つの可能性を示していた。「シナリオ1。一平は下手なギャンブラーで、大谷との関係があった幸運から大金の支払いが必要になったときも大丈夫だった。大谷は兄弟分の借金をきれいにすることで違法行為に限りなく近づき、その結果、弁護士が大谷を守るために割って入った」

 

 「シナリオ2。一平は大谷とブックメーカーの仲介者だった。一平に賭けの指示をし、一平を使ってギャンブルをした。大負けすると大谷自身がブックメーカーに支払うのは完全にアウトだから、一平を泥棒に仕立て上げなければならなかった。ということは、われわれが調べなきゃならないのは、一平か他の誰かが大谷の口座にアクセスできたのかどうかだ。一平は『いけにえ』になった」

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◆ 「僕は金を盗まれたんだ」大谷翔平 水原通訳〝裏切り〟聞いた第一声…LA敏腕記者明かす

(情報:東スポ)

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 大谷翔平投手の元通訳・水原一平氏の疑惑について第一報の記事を担当したロサンゼルスタイムズ、ディラン・ヘルナンデス記者が22日、MBSテレビ「よんチャンTV」に取材先の韓国からリモート出演。大谷報道の内幕とその余波について赤裸々に語った。

 

 以前から情報をつかんでいたのか?についてヘルナンデス氏は「韓国に着いた時点でオレンジカウンティに住んでいるブックメーカーに関するFBIの捜査があったことは知っていて、その捜査中に『大谷選手の名前が出てきた』というのは分かった」と説明。

 

 ブックメーカーのクライアントのリストの中になぜ大谷の名前があるか?については1週間近く取材していたそうで「正直それまでは大谷選手が直接絡んでいるのかな?という感じだった。しかし最後には結局、大谷選手が賭けをしていたのではなくて、水原通訳が賭けをしていたのかなという感じになった」と語った。

 

 ドジャースのセキュリティーに変化はあったか?については「きのうは試合後にロッカールームで広報が2人ついて、その1人が報道陣が近づかないようにしていたので、きのうは『絶対に何が何でも話さない』という姿勢でしたよね」と回想。

 

 水原氏は直前まで通訳をしていたが、どの時点で解雇されると知ったのか?と質問されると、ヘルナンデス氏は「開幕戦の試合後に水原通訳がチームに話をしたみたいで、その時の話はESPNに最初に言った『借金ができて大谷選手が払った』というような雰囲気の話だったみたいなんです。そういう意味では『クビになるような雰囲気ではなかった』とそのスピーチを聞いた人たちは言っている」と明かした。

 

 しかし続けて「球団の状況に詳しい人によると、そのスピーチを大谷選手が聞いて『あれ? なんかおかしいな』と思ったと。そこから水原通訳がチームと話をして『いや、これはおかしい』となり、そこから(大谷が)『僕は金を盗まれたんだ』と言っているみたいなんです。表ではまだ何も言ってないですけど」と証言した。

 

 事件についてアメリカではどう捉えられているか?については「大谷選手は、野球少年が野球を楽しんでやってるような、いつも笑顔あふれるプレーをしているっていうのが、一番の魅力のポイントなんではないかと僕は思う。そういう環境づくりを手伝っていたのが水原通訳なので、笑顔あふれるプレーをいつもする大谷選手が消えるんじゃないか?っていう心配もちょっとあると思うので、そういう意味ではみんな残念だなと思ってると思う」と指摘した。

 

 大谷が捜査を受ける可能性については「それはあると思いますよ。でも正直、そこまで(大谷への)影響はないと思う」ときっぱり。

 

 ヘルナンデス氏は米国ではスポーツ賭博が合法の州の方が多いことを踏まえ「法律違反だとしても、世間にすごく責められることはないと思う。前にESPNに出たように水原通訳が借金をしていて、大谷がそれを払ってくれたという、それが例えば事実だとしたら、ほとんどのアメリカ人は多分、大谷選手は『すばらしい友達だな』という形になると思う」と分析していた。

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◆ 《大谷翔平本人への余波は…》「真相を追及しても誰もハッピーにならない」水原通訳の違法賭博疑惑で、MLBが「全力でオオタニを守る」スタンスを貫く巨大な理由

木嶋昇氏/情報:文春オンライン)

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 ドジャースとパドレスがメジャーリーグ初の韓国開幕を成功させた余韻がさめない3月21日早朝、ドジャースの大谷翔平(29)の通訳を務めてきた水原一平氏(39)の違法賭博疑惑がロサンゼルス・タイムズなど複数の米メディアで報じられた。

 

 水原氏は違法なブックメーカー(賭け屋)に負け分の総額450万ドル(約6億8000万円)もの借金を抱え、その返済が大谷の口座から送金されたという。ドジャース球団は水原氏を解雇、大谷の代理人弁護士の所属事務所は「翔平が大規模な窃盗の被害に遭っていることが判明した」との声明発表に至った。

 

 女性問題をはじめ、これまで無縁だったスキャンダルに巻き込まれた大谷。しかも渡米以来、二人三脚で二刀流を完成させた名コンビであり家族同然の人物の衝撃的な不祥事だ。

 

 水原氏は捜査対象となり、かつて野球賭博に関与してメジャーから永久追放されたピート・ローズ氏まで引き合いに出されている。

 

「大谷のために一平が身代わりになったのではないか」という憶測も…

 そして最大の焦点は「大谷本人に問題が波及するか」である。昨オフにスポーツ選手史上最高額の7億ドル(約1050億円)の10年契約を結び、名実ともに世界一のアスリートになった直後の騒動を世界中が固唾を飲んで見守っている。

 

 水原氏の疑惑が発覚し、開幕2戦目を控えた21日の午後、試合会場ソウルの高尺スカイドーム周辺では、MLBの指示でチームのバスに報道陣が近づけなくなるなど物々しい雰囲気が漂っていた。

 

 その時点では一部の米球界関係者の間で「違法賭博をした大谷のために一平が身代わりになったのではないか」という臆測さえ流れていたのだ。

 

 その後、即座に「MLBは大谷を処分対象にしていない」という報道がなされた背景について、とあるメジャー球団関係者はこう推測する。

 

「MLBの『全力でオオタニを守る』というスタンスがはっきりと出ていました。大谷は処分対象でも違法賭博の協力者でもない、ましてや当事者などでもない。大谷は被害者であり、守られるべき存在だという方向で意思統一がなされたようです」

 

 AP通信によると、違法ブックメーカーが連絡を取っていたのは水原氏のみで、大谷との接触は電話などを含め一切ないという。さらに水原氏が賭けていた対象にはメジャーリーグは含まれず、永久追放には至らないと見られている。

 

 水原氏は賭博の違法性について「これが違法だとは知らなかった」と語っているが、この発言の信憑性はいかほどだろうか。

 

「水原氏が違法だと認識していなかった可能性は十分にあると思います。スポーツ賭博が禁じられているのはカリフォルニアなど一部の州で、アメリカの多くの州で認められています。通訳ですから英語は堪能で、ブックメーカーの説明を誤解したとも考えづらく、メジャー球団は毎年キャンプ中に賭け事に対する注意喚起の講習を行っており、水原氏も大谷選手と一緒に受けていて警戒心はあったはず。

 

 ただ違法ブックメーカーは、時には女性を使うなどしてセレブやその周辺の人物を誘惑すると聞きます。相手が(水原氏より)一枚も二枚も上手だったということでしょう」(米大手マネジメント会社の代理人)

 

 水原氏に違法性の認識がなければ、大谷についてもその点は争点にならない。

 

「全て自分の責任」という水原氏の発言の裏側は…

 しかしアメリカで2人に対する風当りが強まりつつある理由として、ESPNのインタビューでの発言を水原氏が後に180度翻したことは大きい。

 

 当初19日(現地時間)には大谷にギャンブルの借金の肩代わりを依頼し、「明らかに彼(大谷)は不満そうだった。私が二度とこのようなことをしないと確認した上で、助けてくれると言った」と語り、水原氏の目の前で大谷がパソコンからブックメーカーに送金したと話した。しかし翌20日には、「大谷は何も知らなかった」と主張を変えたのだ。

 

「インタビュー後に内容を知った大谷の弁護士事務所が『待った』をかけたと見るべきでしょう。当初の証言通りだと、大谷も水原氏の賭博を認識していたことになってしまうので、撤回を求めたことは容易に想像できます。水原氏の『全て自分の責任。あらゆる結果に直面する覚悟はできている』との言葉に全てが表れているのではないでしょうか」(同前)

 

 ESPNの記者はもちろん水原氏に発言を覆した理由を問いただしたが、「発言は虚偽だった」という回答だった。

 

 しかし、パソコンにログインしての送金などの水原氏の証言は生々しく、大谷が送金に関与したかどうかは今後の捜査を待つしかない。大谷が関わっていないとすれば、水原氏は大谷の口座から巨額の資金をどのようにブックメーカーに送ったのか。そして大谷の代理人弁護士の表現する「窃盗」ならば、賭博よりはるかに重い罪に問われる可能性もある。

 

「大谷サイドは水原氏とは意思疎通を取りながら整合性にほころびが出ないようにしていくと思います。水原氏のギャンブル依存症という個人の問題にとどめると思います。大谷は米球界待望のスーパースターなんです。MLBも大谷に火の粉を飛ばすわけにはいかないでしょうから…」(MLB西海岸球団関係者)

 

「賭博問題の真相を追及しても誰もハッピーにならない」

 MLBはかねて人気面でアメフトやバスケットボールに後れを取っている状況で、大谷は復活のための起爆剤だった。このことは2021年のオールスター戦で、二刀流でプレーさせるために、投手と指名打者の同時先発が可能な特別ルールまで導入したことからもわかる。翌年には公式戦にも導入され、メジャーでは「大谷ルール」と呼ばれている。

 

 さらに、ロンドンや中米で公式戦を開催し、2025年には日本で開幕戦を行いドジャースが来日するプランもあると言われる。

 

 MLBが描く国際戦略の中で、大谷は決して欠くことができない象徴的な存在なのだ。それは今回の騒動への対応でも揺らぐことはなさそうだ。

 

「今回の賭博問題の真相を追及しても誰もハッピーにならないことはMLB、ドジャース、スポンサーを含めた利害関係者全ての一致した認識だと思います。大谷を守ることが第一で、それは水原氏自身もよくわかっていることでしょう。今後よほど大谷に不利な事実が発覚しない限り、イメージダウンしないようMLBは全力で擁護していくと思います」(同前)

 

 一点の曇りもない二刀流が再び見られる日が早く来ることを祈るほかない。

 

木嶋 昇

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◆ 水原ショック渦中の大谷翔平だが…恒例の“高精度な成績予想”2024年版「MVPトリオのドジャース打線」なら狙える“史上4人目の快挙”とは

広尾晃氏/情報:NumberWEB)

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 波乱の幕開けとなった2024シーズン、大谷翔平はドジャース1年目にどんな結果を残すか。スタッツ、最新データ分析事情に明るく「ここ3年の予想精度」が高いライター広尾晃氏に毎年恒例の「2024年成績予想」をしてもらった。

 

 シーズンが開幕した直後に大谷翔平の通訳・水原一平が、違法賭博に関与したとしてチームを解雇されるというショッキングな事件があった。

 

 大谷自身も平静ではいられないだろうが、大谷は、身体能力以上にレジリエンス(困難をしなやかに乗り越えていく能力)が群を抜いて素晴らしい。彼はこの事件の状況をしっかり理解して、乗り越えていくだろうと信じたい。

 

2021年以降の「大谷シーズン成績予想」を見直すと…

 

 韓国・高尺スカイドームで2024年のMLBペナントレースが始まったが、本格的な開幕は3月28日になる。筆者は毎年、大谷翔平の成績を予想してきた。アメリカ本国での開幕を前に、恒例の「2024年・成績予想」をしていこう。

 

 筆者はここ3年、大谷の成績を予想してきた。以下、参考に掲載する。

 

【2021年】

<投手成績>

予想:23登板8勝4敗127回13被本塁打70与四球160奪三振 防御率4.00

結果:23登板9勝2敗130.1回15被本塁打44与四球156奪三振 防御率3.18

<打者成績>

予想:140試合608打数180安打35本塁打80打点15盗塁60四球 打率.296

結果:158試合537打数138安打46本塁打100打点26盗塁96四球 打率.257

 

【2022年】

<投手成績>

予想:27登板15勝3敗172回22被本塁打22与四球179奪三振 防御率2.85

結果:28登板15勝9敗166回14被本塁打44与四球219奪三振 防御率2.33

<打者成績>

予想:150試合506打数135安打35本塁打79打点30盗塁120四球 打率.267

結果:157試合586打数160安打34本塁打95打点11盗塁72四球 打率.273

 

【2023年】

<投手成績>

予想:28登板18勝6敗172回17被本塁打47与四球230奪三振 防御率3.15

結果:23登板10勝5敗132回18被本塁打55与四球167奪三振 防御率3.14

<打者成績>

予想:155試合580打数180安打40本塁打100打点25盗塁74四球 打率.310

結果:135試合497打数151安打44本塁打95打点20盗塁91四球 打率.304

 

23年おさらい:投手でスイーパー、打者としての進化は?

 

 昨年は、肘の違和感のため投手としては8月23日の登板が最後、打者としても9月3日の出場が最後になったため、成績的には寸足らずになってしまったが、WBCでMVP獲得した大奮闘の疲労を感じさせることなく、大活躍し2度目のMVPを満票で獲得した。

 

 投手としては新球種スイーパーを駆使し、カットボールも活用するなど配球をガラッと変えて2年連続2ケタ勝利。しかし右肘靭帯を損傷し、昨年9月19日に手術を受けた。投手としては今季全休となる。昨年から導入された「ピッチクロック」の影響なども取りざたされている。

 

 打者としては、MLB公式サイトのスタットキャストによればMAXの打球速度は、2023年は全選手中4位の118.6MPH(190.9km/h)、2022年は119.1MPH(191.7km/h)で3位だったから、依然、トップクラスの打球速度を維持している。その打球速度があるから「バレル角度」が拡大し、本塁打を広角に打つことができ、日本人選手初の本塁打王になった。

 

 昨年のエンゼルスは、マイク・トラウトが故障でフルシーズン働くことができず。さらにアンソニー・レンドーンも稼働しない期間が長く、大谷1人にプレッシャーがかかっていた。四球が19も増え、前年より89打数も少ない中で44本塁打は素晴らしい。これはミスショットが減ったという証拠で、予想以上の要素だった。そして「極端な守備シフト」が禁止されたことで打率が上がることが予想されたが、果たして昨年、大谷は初めて3割打者になった。

 

昨季の大谷は、ナ・リーグ相手にどれだけ打っている?

 

 さて、今年の大谷は打者1本である。また、環境は大きく変わった。3つの要素をあげると……。

 

 1.チームがエンゼルスからドジャースに変わった

 2.リーグがアメリカン・リーグからナショナル・リーグに変わった

 3.結婚などプライベート、野球以外の環境も大きく変わった

 

 この変化は小さなものではない。彼のキャリアは今年、明確に「折り返し点」にいるといえよう。

 

 彼が置かれた環境の変化を詳細に検討しよう。

 

〈2023年:ア・ナリーグ別の大谷の打撃成績〉

 ア:91試合338打数106安打36本塁打76打点10盗塁60四球 打率.313

 ナ:44試合159打数45安打8本塁打19打点10盗塁31四球 打率.283

 

 一昨年からナショナル・リーグでもDH制が導入され、ア・ナ両リーグは実質的に競技環境の差がなくなった。また昨年からインターリーグで対戦するチーム数が増えたためにより多くのチームと対戦するようになった。

 

 初見の投手との対戦が多いナ・リーグのほうが打率が低く、本塁打も少ない。しかし対戦試合数が増えれば数字は上がっていくだろう。一方で、ナ・リーグとの試合では、四球をよく選んでいる。打席での冷静さが見て取れる。

 

エンゼルスとドジャースで大きく違う「前後の打者」

 

 昨年と今年で大きく違うのが「前後の打者」である。エンゼルスの上位打線と、ドジャースの上位打線に大谷を加えた打線の比較。成績は2023年。

 

【エンゼルス】

1番 レンヒーフォ394打数104安打16本塁打51打点6盗塁41四球 打率.264

2番 大谷翔平497打数151安打44本塁打95打点20盗塁91四球 打率.304

3番 トラウト308打数81安打18本塁打44打点2盗塁45四球 打率.263

4番 レンフロー459打数111安打19本塁打56打点0盗塁39四球 打率.242

 

【ドジャース】

1番 ベッツ584打数179安打39本塁打107打点14盗塁96四球 打率.307

2番 大谷翔平497打数151安打44本塁打95打点20盗塁91四球 打率.304

3番 フリーマン637打数211安打29本塁打102打点23盗塁72四球 打率.331

4番 スミス464打数121安打19本塁打76打点3盗塁63四球 打率.261

 

 大谷を挟む打者の成績が、あまりにも違うことに息をのむ思いだ。「大谷1強」のエンゼルスでは他の打者は平凡な成績だったために、勝負されることが少なかった。敬遠四球(IBB)はMLB2位の「21」にも上っていた。

 

 しかし今年のドジャースは、ベッツ、フリーマンという超強力な「MVP打者」が大谷をサンドイッチしている。他球団の投手はこの3枚の「高い壁」と対峙するゆえ、大谷1人をマークするわけにはいかない。IBBは大幅に減るだろう。

 

 スタットキャストによれば、エンゼルスの至宝、マイク・トラウトのMAXの打球速度は2019年には全選手中10位の116.6MPH(187.6km/h)を記録していた。しかし昨年は39位の114.3MPH(183.9km/h)まで落ちている。今年33歳になり、ピークを過ぎたとみるべきだろう。

 

成績予想:盗塁はさらにしやすく、打線も活発なので…

 さて、大谷翔平の今季成績予想である。

 

 分厚い打線にいることで、IBBは減ることが予想される。しかしだからと言って大谷の選球眼が衰えることはないだろう。

 

 またMLBでは牽制球の制限が厳しくなり、盗塁がしやすい環境がさらに進む。エンゼルスタジアムとドジャースタジアムのパークファクター(本塁打の出やすさ)はそれほどの差がない。しかしリーグが変わることで初見の投手との対戦が増えるのは間違いないところだ。

 

 またドジャースのほうがチーム出塁率が高い(昨年のエンゼルスは.317、ドジャースは.340)ので、塁上に走者を置いて打席に立つ機会が増えるはずなので、打点は増えるだろう。さらに今季は故障なく、DHでフル出場できるものとする。

 

 これらを加味して、2024年の成績を予想すると――このようになる。

 

 2023年:135試合497打数151安打44本塁打95打点20盗塁91四球 打率.304

 2024年:150試合542打数161安打40本塁打116打点32盗塁90四球 打率.297

 

 とした。リーグの投打バランスによるが、本塁打王、打点王のチャンスがあるのではないか。ア・ナ両リーグで本塁打王となれば、史上4人目になる。

 

「史上30人目のトリプルスリー」もありえる

 MLBでは同一シーズンに30本塁打、30盗塁を記録した打者を「30-30」として称揚している。

 

 順調に行けば、MLB史上46人しか達成していないこの記録を達成するのではないか。指名打者として達成すれば史上初。ドジャースではラウル・モンデシー(2回)、マット・ケンプ以来4回目となる。ちなみに2012年にはマイク・トラウトが30本塁打49盗塁で達成している。

 

 また、MLBではあまり取り上げられることはないが「史上30人目のトリプルスリー(3割30本塁打30盗塁)」の可能性もあるだろう。

 

 韓国・高尺スカイドームでのパドレスとの第2戦は打撃戦となった。大谷は1安打1打点と活躍したが〈何かが欠けている〉ような違和感があった。それだけ水原一平の存在は大きかったとも言える。後追いで、大谷にも処分が科せられる可能性があるとの報道もある。とはいえ――グラウンド外のことは、ひとまず考慮に入れないでおこう。

 

 伴侶とともに新しい環境で一歩を歩み始めた大谷翔平を変わらず応援したい。

 

(「酒の肴に野球の記録」広尾晃 = 文)

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