2024年3月21日

 

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 ■ 試合データ

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韓国時間:2024年3月21日

日本時間:2024年3月21日(木曜日)

19時05分開始

ロサンゼルス・ドジャース

対サンディエゴ・パドレス

@高尺スカイドーム

 

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【MLB.JP 戦評】

 日本時間3月21日、パドレス対ドジャースのソウルシリーズ第2戦が行われ、壮絶な点の取り合いの末にパドレスが15対11で勝利。パドレス3番手のマイケル・キングが今季初勝利、6番手のロベルト・スアレスが今季初セーブを挙げ、ドジャース先発の山本由伸は1回4安打5失点でノックアウトされてメジャー初黒星(防御率45.00)を喫した。「2番・DH」でスタメン出場したドジャースの大谷翔平は5打数1安打1打点。パドレスの松井裕樹は4番手として登板し、大谷をライトフライに打ち取るなど2/3回を無失点に抑えた。

 

 パドレスはメジャー初登板初先発の山本に襲い掛かり、1回表に一挙5点を先制。初回に43球を要した山本は1イニングでマウンドを降りることになった。ドジャースは大谷の犠飛などで2点を返したが、パドレスは3回表に4点を追加。ドジャースは3回裏にムーキー・ベッツのタイムリー二塁打などで4点を返し、6対9と3点差まで追い上げた。

 

 5回表にパドレスが1点を追加し、リードを4点に広げたが、ドジャースは5回裏にベッツの1号2ランで反撃。しかし、パドレスは6回表と7回表に1点ずつを追加し、リードを広げていった。ドジャースは7回裏にウィル・スミスのタイムリーで1点を返し、8回裏にはベッツの2点タイムリーで1点差まで追い上げたが、パドレスは9回表に主砲マニー・マチャドが勝利を決定づける1号3ラン。8回裏の途中から登板していたスアレスが9回裏を三者凡退に抑え、パドレスは15対11で逃げ切った。

 

 なお、7回裏一死1塁の場面では松井と大谷の直接対決が実現。大谷がライト方向へ強い打球を放ったが、ライトフライに終わった。松井は連打を浴び、一塁走者を生還させたものの、自身が出したランナーは返さなかったため、2/3回を無失点。大谷はライトへのヒット、ライトへの犠飛、ピッチャーゴロ、ライトライナー、ライトフライ、ファーストゴロで5打数1安打1打点だった。

 

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 ■ 今日の大谷翔平(関連NEWS)

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【スタメン】

2番DH

 

【出場成績/打者】

5打数 1安打 1打点 1得点

通算打率・300

OPS・573

 

◆第1打席:

(結果)ライト前ヒット

(状況)1回1死走者なし

(投手)ジョー・マスグローブ右

※過去7打数無安打と苦手にしている投手の初球をフルスイングし、ライト前へ。2試合連続安打で出塁すると、フレディ・フリーマンの四球で二塁へ進み、ウィル・スミスの右越え適時二塁打で生還。反撃のホームを踏んだ。

 

 

◆第2打席:

(結果)ライトフライ犠飛

(状況)2回1死2、3塁

(投手)ジョー・マスグローブ右

※2回裏に一死二、三塁の好機で第2打席を迎えると、2球目のチェンジアップをライトフェンス際まで運び、犠牲フライ。開幕戦に続いての打点で1点を返し、3点差とした。

 

◆第3打席:

(結果)ピッチャーゴロ

(状況)3回2死2塁

(投手)トム・コスグローブ左

※3回裏、再び得点圏にランナーを置いて回ってきた第3打席は、2番手トム・コスグローブと2日連続の対戦。6球全てスライダー攻めにタイミングが合わず、当たり損ないの投ゴロ。コスグローブに対しては連日の凡退となった。

 

◆第4打席:

(結果)ライトライナー

(状況)5回1死走者なし

(投手)マイケル・キング右

※2点差に縮めた5回裏の第4打席では、過去5度の対戦で2本塁打を放っている3番手マイケル・キングと対戦。カウント1-2から外角のチェンジアップを引っ張るも、右飛に終わった。

 

◆第5打席:

(結果)ライトフライ

(状況)7回1死1塁

(投手)松井裕樹 左

※7回裏、ムーキー・ベッツが四球で出塁し、大谷の第5打席を迎えたところでパドレスはキングから松井裕樹へ交代。NPBでは2打数1安打の五分だった松井とMLBの舞台で初対決となった。松井の初球、真ん中低めのスライダーをすくい上げ、歓声が沸き上がるも、打球は右中間フェンス際で失速。この試合3度目の右飛に倒れた。

 

 

◆第6打席:

(結果)ファーストゴロ

(状況)8回2死2塁

(投手)ロベルト・スアレス右

※8回裏にはベッツの2点適時打で1点差まで迫り、一打逆転の期待がかかる場面で、この試合6度目の打席入り。パドレスの守護神ロベルト・スアレスの初球、真ん中付近のシンカーを振りぬくも、一塁手の正面を突く一ゴロに終わった。この試合の大谷はファーストストライクからフルスイングを仕掛ける積極打法で、5打数1安打、1打点。韓国での開幕シリーズは2試合連続で安打と打点をマークし、10打数3安打で打率.300、2打点、1盗塁、OPS.573としている。

 

【コメント】

なし

※試合後、クラブハウスには日米のメディアが30人以上入った。シャワーを浴びた大谷はタオルを巻いてロッカーへ。その前には広報が2人配置され、「今日は大谷は話せない」の1点張り。通常の試合ではあれば、水原通訳が寄ってきて身の回りのことなどを託すこともあるが、この日は、山本の通訳の園田芳大氏に何かをことづけたようだ。着替えが終わると、米メディアの一人が「大谷さん」と問いかけたが、広報が制し、本人は「お疲れした」とだけ言って去っていった。その後は一人で食事が用意されている部屋へ。いつもであれば、水原通訳が食事をボックスに入れて用意していることも多いが、この日は一人でバイキング形式のおかずを皿に入れていた。

 

 

【NEWS情報】

 

◯ 大谷の通訳を務めていた水原一平氏が21日、球団から解雇された。複数の米メディアによると違法賭博に関与しているとしている。球界を揺るがした大谷の通訳だった水原氏の衝撃スキャンダル。連邦捜査局(FBI)の違法賭博捜査線上に浮上した違法ブックメーカーのリストから「大谷翔平」の名前が上がり、事態は動いて疑惑が出た。

 

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スクープ記事を先駆けて報じたのはドジャースの地元紙ロサンゼルス・タイムズのエース記者、ポール・プリングル氏。社会部で、関係者によれば、「特ダネを何度も出した記者。一度つかんだ内容は徹底的に調べる」という。スポーツ専門局ESPNも、このスクープを時間をかけて追っていたようだが、ロサンゼルス・タイムズが最初に報じた。同記者をよく知る関係者は今後も続報が出るのではないかと予想。今回の報道は不透明な点が多い。ESPNの報道では、水原氏は「大谷に肩代わりをしてもらった」と話したが、一転して、前言を撤回。大谷サイドの弁護人は「大谷は資金を盗まれた」と声明を出している。ただ、米メディアでは懐疑的に見る声もある。

 

◯ 大谷は、予定通りに宿泊先のホテルを出発し、パドレスとの開幕第2戦が行われる韓国・ソウルの高尺スカイドームに入った。午後3時からクラブハウスがメディアに向けて開放されたが、再度クローズとなる3時50分まで、大谷は姿を見せなかった。ド軍ナインはその後練習のためにグラウンドに出た。そこにも大谷の姿はなかった。前日は野手組のグラウンドでのアップに参加したが、この日は練習終了まで報道陣の前には現れなかった。

 

 

◯ 試合後、ドジャースの選手夫人がグラウンドに降りて記念撮影を行った。大谷の妻・真美子夫人は笑みを浮かべて、奥さまたちとにこやかに写真に収まった。試合中は大谷の両親と一緒にゲームを観戦。韓国シリーズに向かう前に初めて写真が公開され、一気に注目を浴びた。水原通訳の解雇騒動などがありながらも普段通りに舞う様子も見て取れた。

 

 

◯ ドジャースは22日、仁川国際空港から米国・ロサンゼルスへ帰国の途についた。当初は午前0時半の出発予定だったが、試合時間が長引いたため大幅に遅延。ソウルでの開幕シリーズで移籍後初安打&初打点、日米通算100盗塁をマークした大谷は、妻の真美子さんとともに出発ロビーへ。大谷はグレーの球団ジャージに身をつつみ、真美子さんは黒のトップス姿で後ろを歩いた。

 

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◯ セイコーウォッチ株式会社は、21日から大谷の新たな広告ビジュアルを公開した。「あたらしい世界へ。」といった文字とともに、ドジャースユニホームを着用した大谷がバットを持っているデザインとなっている。同社が公開した新デザインは、6年ぶりの新機能を搭載したセイコーアストロンと大谷の“進化”が重ね合わせられている。6月21日の商品発売を前に、3月21日からセイコーブティック5店舗でセイコーアストロンの新商品を先行展示する。

 

 

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 ■ 試合情報(ドジャース関連NEWS)

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【コメント】

デーブ・ロバーツ監督:

(試合前)

――昨夜、クラブハウスでどのような話があったのか。

「皆様ご存じの問題については申し上げられない」

 

――水原氏の解雇の決定はいつか。チームにはいつ解雇について通知があったのか。

「問題については申し上げられない」

 

――驚いたか。

「この件について、いかなるコメントもするつもりはない」

 

――大谷選手はかなり影響を受けていると思うが。どのように心のコントロールを。

「大谷選手は準備ができている。打者のミーティングをしているし、本日の試合の準備はできている」

 

――誰が大谷選手の通訳をするのか。

「(現タイガースの前田健太選手の通訳を務めた)ウィル・アイアトンだ。彼が今日は大谷と山本2人の通訳を務める」

 

――今日のゲームへの影響は。

「それはない。当然、試合に臨む準備ができている。無理なく試合に臨む予定だ」

 

――大谷は今日、何か言及するのか。

「それはわからない」

 

――水原氏は韓国にいるのか。

「通訳に関する質問については私は答えられない」

 

――昨日は高尺スカイドームに対する爆破予告があり、今日は水原氏の問題があった。どのようにチームは集中しているのか。

「我々は野球の試合をするためにきた。昨日も問題があったが集中したし、良い試合をすることができた。今日も同じだ。良い試合ができるように臨む」

 

――相次いで問題が起きていることについて。

「私はこのシリーズに非常に期待しているし、韓国での経験も良かったと思っている。他の選手も同じだ。本日の試合も期待している。準備はできている」

 

――チームは初期段階としてどうか。

「今のところは楽しんでいると思う。しかし、米国に戻ってからはもっとうまくできるようにならなければならない」

 

――山本投手は今日、大リーグのデビュー戦となる。

「山本投手は全体的に集中しており、期待している。90球くらいは投げられるのではないか。投球についてはさまざまなことをトライさせてみようと思っている。60~90球くらいを見込んでいるが、どのようになるかは見守らないといけない」

 

――山本投手は大リーグのラインアップにどのような影響を受けると思うか。

「パドレスの先発陣をみても、非常に華やかなラインアップだ。投球する様子を先ほど見てきたが、うまくできるのではないかと予想している。いくつかハードルがあるかもしれないが、感情的なものについては大きな動揺はないと考えている。今日は非常に素晴らしい試合になると思う。デビュー戦なので集中するだろう。私も期待している」

 

(試合後)

「(山本について)オープン戦のときもそうだったが、制球力を失っていた。彼はこれまでずっと制球力が持ち味だった。だが制球が乱れ、カウントを悪くして、いつもの自分を失った。我々は彼の投球フォームを修正する。制球を取り戻させれば大丈夫だ。彼は立て直せる」

 

「(水原一平氏解雇の影響を問われると)我々は通常営業だ」

 

ムーキー・ベッツ内野手:

「ピッチング、オフェンス、ディフェンスの3つの側面すべてをこなせるようにならなければなりません。ベストを尽くして戦い、時には失敗もします。それが現実。ページをめくって前に進んでいかなければならない。(長距離移動や異国でのプレーは)言い訳はできない。素晴らしい経験だった。ここに来て、新しい文化を見ることができ、新しい国でプレーすることができて最高だった」

 

山本由伸投手:

ーー初登板を振り返って

「立ち上がりからコントロールがうまくできず、ピンチを広げてしまい、そこから失点してしまった。しっかりこの試合を振り返って、なるべく早く振り返って、次の試合に向かっていきたいです」

 

ーー制球が乱れた。どのように対処する

「セットポジション入ってからの投球がすごく乱れたんですけど、修正するポイントはしっかり分かってますし。ピッチングコーチにアドバイスいただきながら、次の試合に向けてやっていきたいです」

 

ーー大きなゲームで強い印象。開幕2戦目は

「やっぱり試合に負けてしまったという悔しさはすごく大きいですし、その責任も感じてます。ただ、シーズンもまだ長いですし、これからいいピッチングをして、チームに貢献していけるように頑張っていきたいと思います」

 

ーー水原一平さんの影響は

「本当、僕も今日も登板日だったので、あまり話す時間もなく、本当に情報も何も持ってなくて。ちょっとわからないです」

 

ーーピッチクロックは気になったか

「もちろん意識してのピッチングにはなりますけど、そこに問題があるわけではないです」

 

 

マイク・シルト監督:

「選手たちのタフさ、戦う姿勢が素晴らしかった。特に昨日のタフな負けの後、切り替えて戦うことができたのは大きかった。この調子で戦っていきたい。いい気分で終われた。打線はみんないい打席で、バットが振れていたし、(初回の先頭で山本から左前打を放った)ボガーツが流れを作ってくれた」

 

松井裕樹投手:

「どこに投げていくか頭に入れて、翔平さんということはそんなに意識しないようにしました。(対大谷は)打球速度も速いですし、角度も持っているので、ちょっと行ったかなと思いました。アウトに取れたので良かった。ホームランバッターですし、思ったところよりも浮いて高くいってしまったので。今日は球場が広くて助かりました。いや、もう、ホームランバッターなので、すごい“気”が出ていました」

 

【NEWS情報】

佐々木主浩氏:

(日刊スポーツ)

「ドジャース山本由伸投手は本来の姿ではなかった。球は高かったし、低く投げようとしてもボールになって、苦しい投球だった。ボール自体は走ってるようにも見えたが、甘くなれば、パドレス打線には打たれる。この日は特にスプリットの精度が悪かったが、その他にも多くの球種がある投手。何とか立て直してほしかったが、初回の5失点で首脳陣は交代を決断した。

 

 もちろん、メジャー初登板で緊張はあっただろう。ただ、私自身レッドソックス戦でメジャー初登板した時は、緊張はしたが、いい緊張感の中で投げられたし、山本クラスなら緊張で投球が大きく乱れることはないだろう。考えられるとすれば、1番のボガーツに初球の155キロの真っすぐをセンター方向にはじき返されて、ちょっと動揺する部分もあったのではないか。

 

 結果的には、オープン戦の2試合目から3試合連続で打ち込まれた。メカニックやボールがどうこうというよりも、他チームよりも開幕が早く、山本はオープン戦3試合での本番で投げ足りていなかった可能性はある。現に、状態が悪い中でも試合の中で修正できるのが山本の強みだが、それができなかったところに実戦の少なさが影響してるのではないかと感じた。

 

 もう1つ気になったのは、捕手とのコミュニケーションである。今日は真っすぐはそこまで悪くなく、なぜ、もっと投げないのかと思ったが、これがピッチクロックの怖さなのだろう。制限時間を超えれば、1ボールを取られるので投手は首を振りづらくなる。もっと自分のスタイルをわかってもらえるように、捕手と会話を重ねていくことが重要になる。

 

 今後、米国に戻ってから少し時間があるので、修正を図るだろう。次回登板に向け、どういう修正をしてくるのか非常に楽しみである。その一方で、打者に専念する大谷は全く心配なかった。少し打球が上がらないなとは思ったが、2打席目のライトへの犠牲フライを見れば、ホームランもすぐに出るだろうなと感じた」

 

松坂大輔氏:

(スポニチ)

「メジャーの舞台でのデビュー戦。難しい立ち上がりで山本投手は制球に苦しみました。

 

 初回、2番・タティスへの死球は1―2と追い込んでから、6球目のスプリットが内角高めに抜けたもの。これまであまり見ない珍しい抜け方でした。続く3番・クロネンワースからは6人連続で初球ボール。捕手のスミスも、どの球種が使えるのかを探すのに苦労している印象でした。

 

 そのクロネンワースに打たれた三塁打もスプリットが真ん中に抜けました。しっかり指にかからず、抑えが利かなかったような感じです。あの高さの「半速球」は、打者は直球のタイミングで待ったまま打ちにいけます。

 

 オープン戦の登板でもそうでしたが、山本投手はボールの「高低差」がはっきりと分けられていないと見ていました。この試合でもストライクゾーンでうまく勝負できず、らしくないと感じました。移籍1年目。開幕を迎えるに当たって登板数、イニング数、球数ともに足りていない部分はあると思います。

 

 それでも試合の中でいち早く感覚をつかみ、投げながら修正できるのも山本投手の強み。次回以降の登板ではその点にも注目したいです」

 

上原浩治氏:

(スポナビ)

「メジャーリーグの韓国シリーズ、ドジャースVSパドレスが21日、ソウル・高尺スカイドームで第2戦を迎え、ドジャースは、今季から新加入の山本由伸投手が公式戦初登板で先発マウンドに上がった。メジャーの投手では史上最高額で契約した右腕だが、この日は制球が定まらずに1回5失点。厳しいデビュー戦となったが、アメリカでの開幕までにはまだ時間がある。気持ちを切り替えて、仕切り直せばいいと思っている。

 

 この日はスプリットの制球が定まらず、捕手もカーブやカットボールなど使える球種を探る苦しい投球が続いた。

 

 私は「初球」が全てだったとみる。

 

 メジャーのデビュー戦の初球ということで、山本投手も直球を見逃してくれると思って投じたはずだ。前日の会見では初球に何を投げるかを聞かれ、「打者に狙われるから言えない」という趣旨の話をしており、実際に見逃すという決めつけはできないにしても、なんとなく初球はセレモニー的に、打者も見逃して“記念球”として手元に戻ってくると考えていても不思議ではない。

 

 その初球をいきなり中前へ運ばれた。リズムが狂ってもおかしくないだろう。繰り返すが、デビュー戦の初球だから見逃すという決まりはないものの、まさにメジャーの洗礼ともいえる。球場で見ていた私も驚いたが、マウンドの山本投手にとってはもっと予想外だったのではないだろうか。

 

 2番打者はスプリットの制球が安定せず、抜けた死球を与えてピンチを広げた。この場面で中軸を迎えると、やはり制球が甘いスプリットを打たれて、いきなり2点を失った。その後も四球を出すなど、球数がかさんだ。全体を通して、本調子には遠かった。

 

 スプリットの制球については、韓国で、しかも無風のドーム開催という点を前向きにとらえればいいのではないだろうか。もちろん、ドームは汗をかきやすく、手もしっとりしてボールを握りやすい利点はある。ただ、アメリカの気候とは違い、屋外でもない。大事なのは、アメリカで安定できるか、どうかである。今回は一長一短がある中で、アジャストできなかったという程度にとらえ、気持ちを切り替えればいいだろう。

 

 オープン戦から3試合続けて打たれているが、オープン戦の結果は関係ない。この日のマウンドは結果が出なかったが、大事なのはアメリカでの本格開幕だ。メジャーの公式戦であり、記録も全て残るが、まだまだ両チームの雰囲気とも、レギュラーシーズンという雰囲気にはなっていないようにも見えた。山本投手についても、大事なのはシーズントータルでの成績である。

 

 ただ、以前のコラムに書いたように「期待値」は高い。シーズンを通じて15~20勝しても当然の評価を得ている。アメリカに戻ってからの時間をうまく調整にあて、次の登板、次の次の登板では、結果が求められるという覚悟は必要になるだろう」

 

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 ■ 注目記事&コラム

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◆ 水原通訳は米国育ちで日本人とは異なる感覚 「メジャーの顔」を標的に近づく人間の餌食に?

柳原直之氏/情報:スポニチ)

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 【ヤナギタイムズ】日本ハム時代の13年12月からドジャースの大谷翔平投手(29)を本格取材し、TBS系情報番組「ひるおび」、「ゴゴスマ」などに随時出演する本紙MLB担当・柳原直之記者(38)の連載コラム「ヤナギタイムズ」。今回は水原一平通訳について迫った。 

 

 午前7時。ソウル市内のホテルでSNSをチェックしていると、水原通訳の名前と“massive theft(大規模な窃盗)”の文字が目に飛び込んできた。フェイクニュースだと思ったが、投稿者は著名な米記者。急いでチーム宿舎にタクシーを飛ばした。

 

 6歳まで北海道苫小牧市で過ごし、91年から和食料理人の父・英政さんの仕事の関係で米ロサンゼルスに移住。大学卒業後、岡島秀樹氏の通訳を経て、大谷入団と同じ13年に日本ハム通訳になった。 記者は14~17年に日本ハム担当としても、接してきた。米国育ちのためか、日本人とは違うギャンブルへの感覚を持っていたように思う。選手から親しまれる人柄だった一方でトランプ好きと聞いたことがあった。球団内外問わずメールや電話の折り返しは遅く、時間にルーズな一面は一部で有名。大谷が米挑戦時の通訳に指名したことは意外だったが、その後は通訳以外にもキャッチボール相手やビデオ撮影係、私生活では運転手役を務めるなど、公私にわたり不可欠な存在に。チームメートからも愛されるキャラクターだった。

 

 プロスポーツ史上最高額の10年総額7億ドル(決定時約1015億円)でド軍と契約した大谷。「メジャーの顔」を標的に近づく人間があまたに上るのは想像に難くない。スポーツ賭博で選手のコンディション情報は重要項目。水原通訳がその餌食になった可能性もあるのではないだろうか。

 

 愚行に違いはないが、水原通訳が“悪人”だと思ったことは一度もない。何よりも今回の件で最も肩を落としているのは大谷だろう。

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「超一流の攻防戦だった」大谷翔平vsダルビッシュ有を上原浩治が解説!投手心理を難しくした18秒ルール

上原浩治氏/情報:スポナビ)

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 メジャーリーグの韓国シリーズ、パドレスVSドジャースが20日、ソウル・高尺スカイドームで開幕した。パドレスの開幕投手はダルビッシュ有投手で、松井裕樹投手も中継ぎで登板して2つのアウトを奪って無失点と結果を出した。ドジャースは今季は打者に専念する大谷翔平選手が「2番・DH」で先発出場してマルチ安打に盗塁もマークして好スタートを切った。

 

 TBS系情報番組「サンデーモーニング」の仕事で現地観戦する機会に恵まれた。ダルビッシュ投手は2年ぶり4回目の開幕投手をしっかりと務めたのは、さすがの貫禄だ。本来の開幕からは10日ほど早く、「オープン戦の延長」になってもおかしくない状況で、制球にやや苦しみ、球数が増えたものの、ボールにはキレがあるように見えた。3回3分の2を2安打1失点(自責0)と堂々たる好投。72球での降板は、本来よりも開幕時期が前倒しされている現状から言えば、十分の内容だろう。

 

 大谷選手との対決は2打席あった。私は開幕前のこちらのコラムで、初球にストライクを取れるかを鍵に挙げていた。その意図は、初球がストライクなら、投手は次にきわどいボールを投げられる。逆に初球がボールになると、カウントを意識して2球目はストライクが欲しくなる。大谷選手の第1打席は初球がボールだったので、2球目を打ちにいっている。結果的にファウルになり、最後は遊ゴロに倒れたが、心理的には優位な打席になっていたはずだ。一方、第2打席は初球がファウル。ダルビッシュ投手が今度は優位に立ち、2球目はボール球を投じる余裕が生じた。3球目は特大のファウル。ダルビッシュ投手はおそらく、意図してファウルを打たせてカウントを取りにいったのだろうが、しっかりと振り切る大谷選手のスイングも力強かった。まさに超一流同士の攻防だと言えるだろう。結果的に、この打席は右前打を放って、初球に盗塁も決めた。

 

 もちろん、ダルビッシュ投手は大谷選手とだけ戦っているわけではない。大谷選手の前を打つムーキー・ベッツ選手、後ろを打つフレディ・フリーマンらを擁するドジャースの強力打線に対し、失策による最少失点のみといい流れを持ってきた。

 

 松井投手も6回1死から4番手で登板し、メジャー初三振など2つのアウトを奪って無失点で切り抜けた。ボールもすごく良かった。

 

 全体を通じて気になったのは、投球間隔制限の「ピッチクロック」違反(ボールを宣告される)が多発した点だ。ダルビッシュ投手も松井投手も違反を取られた。試合時間の短縮を狙いに昨季から導入されたが、今季は走者ありの際に20秒から18秒へ短縮(無走者の場合は15秒で変更なし)された。投手に投球間隔の短縮を求めるルールだが、この日の試合を見ていた視聴者はわかると思うが、打者が構えるまでの時間もカウントは進むため、投手はどうしても心的に負担が大きくなる。この日も違反にはなっていないが、制限ギリギリでの投球も多く、せわしない印象だった。

 

 野球から「間」のスポーツという醍醐味が消えてしまわないか。投手だけでなく、打者も一定時間内に打つ構えに入るように規定しないと、投手にとって不利なルールに思えてしまうが、どうだろうか。

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 ■ NOTE