2024年2月28日

 

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 ■ 今日の大谷翔平(関連NEWS)

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◯ 大谷は午前8時33分、キャンプ地入り。

 

◯ 試合前、デーブ・ロバーツ監督はベッツ、大谷、フリーマンという上位打線の並びに「トップ3が集まった。ラインアップに翔平が入るだけで違う。かなり興奮している」とワクワクが抑えきれない様子だ。大谷を2番に置いた理由として「翔平がフレディの前を打つことで、翔平はプロテクトされる。ストライクゾーンで勝負してもらえる可能性が高くなる」と説明。さらに「フレディの前に翔平のように足の速い選手を置くことで多くの得点が期待できる」と利点を語った。

 

◯ グラウンドに登場すると、外野付近では数人のファンにサインを行う“神対応”も忘れなかった。試合前のウオーミングアップ中には、昨季エンゼルスでチームメートだったマイク・ムスタカス内野手や、マーカス・テームズ打撃コーチ、昨年3月のWBCで対戦したイタリア代表のドミニク・フレッチャー外野手らと交流し、笑顔を見せた。

 

 

◯ 第1打席。ホワイトソックスの先発は左腕のG・クロシェット投手で、21年には2打席で対戦したが2三振を喫した天敵だった。初球はボール。2球目にはヘルメットが取れるほどの豪快なスイングも見せた。カウント1ボール、2ストライクからの4球目の100マイル(約161キロ)直球に手が出ず見逃し三振だった。

 

 

◯ 相手のホワイトソックスの捕手は昨季までエンゼルスのチームメートで、大谷とバッテリーを組んでいたマックス・スタッシだった。オフにトレードでホワイトソックスに加入。昨季、スタッシは家族の健康上の理由でシーズンを全休したが、一昨年は、大谷の登板時はほとんどマスクをかぶり、献身的に大谷を支えていた。第1打席に向かう前に、大谷はスタッシとグータッチし、再会を喜んだ。スタッシは大谷を尊敬し、大谷もまたスタッシを信頼していた。お互い今季は新天地での船出。大谷のドジャースOP戦デビューで2人が交わるのは、縁を感じさせる。

 

 

◯ 第2打席。18から20年までエンゼルスで同僚だった相手3番手・アンダーソンと対戦。3回無死一、三塁の好機で訪れたが初球の変化球に手を出し二ゴロ併殺に打ち取られ、チャンスで快音は響かなかった。

 

 

◯ 第3打席。5回2死二塁で相手5番手・リオーネにフルカウントまで粘り、6球目を左翼席へ放り込んだ。詰まったように見えたが、高く上がった打球は歓声に後押しされ、左翼席へ。デビュー戦での一発にファンも総立ちで大喜びした。飛距離377フィート(約115メートル)、打球速度102マイル(約164キロ)のアーチとなった。

 

 

◯ 試合後、メディア取材に応じた。

 

――今季初実戦でした。

「予定通りに(試合に)出られた。(予定通りに)終われたというのが1番良かったと思います」

 

――結果はホームラン。リハビリは順調か。

「打席を重ねるごとに反応も良かったかなと思うので、徐々にですけど良くなったかなと思います」

 

――入ると思ったか。

「高いかなと思ったので。アリゾナでどうかなというところかなと」

 

――ドジャースで初試合。緊張はあったか。

「緊張はなかったですね。スプリングトレーニングなので、まだその段階ではないので。自分の調整がまず1番大事かなと思います」

 

――打順2番は。

「今日、初めてなので。やること自体は変わらずに、ストライクだけしっかり自分のスイングをするというシンプルなところかなと思います」

 

――フリーマンが後ろにいてストライクが増えると思うか。

「どうなんですかね。立ってみないともちろんわからないですし……。前後でムーキーもフレディもそれ以降も良いバッターが続くので、どう変わっていくのかなということを楽しみにしています。1打席1打席、勉強しながら、対応していきたいなと思います」

 

――エンゼルスのキャンプデビュー戦と比べて。

「あの時はもう何がどういう風に進んでいくのか全くわからなかったので、その時とはまた全然違うかなと思います」

 

――たくさんのファンが来ていた。

「今日もたくさんの人に観にきてもらって、声援もすごく多かったですし、なによりもチーム関係なく、この時期にこうやってまた戻って来れて……。手術もありましたけど、順調に戻って来れてそれが今日1番良かったかなと思います」

 

――今日の3打席を振り返って。

「振ったのも良かったですし、1打席目から3打席目まで徐々に感覚も良くなってきているので。あとは見逃したコースが自分の思った通りのコースかどうかが1番大事かなと思います」

 

――9月以来の実戦。

「感覚も良かったですね。体自体の強さも良かったですし、ケージで振っている感じもこのところの中では1番良かったんじゃないかなと思うので、あとは無事に終わって良かったなというのが今の気持ちです」

 

――ドジャースブルーのユニホーム。一員の実感は。

「そうですね。まだ1試合目なので、これからかなと思いますけど。しっかりチームに貢献して、早く認めてもらえるようにと思います」

 

――フルカウントから仕留めた。強振ではなかったのか。

「どうなんですかね。普通な感じでした。長打を狙っているわけではなく、全体的に言えることですけどシンプルにゾーンを振るという感じです」

 

――手術明け。体のケアは。

「ケアは、細かい動きのチェックだったり、トレーニングだったりとかを週に何回かあって、あとはトレーナーの人に見てもらう。数週間に1回(患部を)チェックしてもらう感じかと思います」

 

――ホームランの後、選手からの声かけは。

「フレディが。フリーマンが僕が(アウトで)終わっていたら、もう1回守備に行かなければならなかったので『絶対打ってくれよ』と言われていたので、回せて良かったです。前の回の攻撃が終わった時ですね」

 

――キャンプで体幹トレーニング。意図は。

「トレーニングは一貫して、もう年単位で変えるとかではなくて、10年、20年のスパンで考えてやるものなので。今年は手術もあったので、それに適したトレーニングはしますけど、全体的なフィジカルの強化は今まで通りかなと思います」

 

――打者としての出場をするためか。

「いや、ピッチャーのリハビリもしていますね。トレーニングだったり。まだスケジュール的に、投球を再開する段階ではない。スケジュール的に、まだなだけです」

 

――クラブハウスで外野手用グラブとファーストミットを持っていた。

「そういうこともあるかもねという。みんなに言えることですけど、そうなってからでは遅いので。事前の準備がどういう時も大事かなと思います」

 

――ノックも受けられる段階か。

「そこの段階ではないかなと。もちろん、投げなければいけないですし、そこは優先事項から外れているので、トレーニングメニューの一環でランニングしたいなぁという時に入るかもしれませんが、そこまでやることはないと思います」

 

――愛犬は試合を見ているのか。

「いや、見てないんじゃないですか?」

 

――ボールの見極めは。

「3打席目はまぁまぁ良かったですかね。多分、練習しているボールとか、予想していないボールも投げていたので、そこはチェック外でしたけど。ある程度、自分が振りにいっていいボールに対してアプローチできたのかなと思います」

 

――2番は監督とも話したのか。

「僕はどこでもいいという感じだったので、前後はどう変わるかわかんなかったですし、監督がどういう風にやりたいのかというところに僕が言うことはもちろんないので、好きなようにそこに対応していければなと思います」

 

――今の打席数で満足しているか。

「ペース的には(50打席を)超えてくるとは思いますね。今の段階ではちょっと多めに入っていると思うので。十分に量自体はこなせるかなと思うので、あとは感覚次第かなと思います」

 

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◯ 試合後には日米メディアに10分以上取材に応じた大谷。米メディアの対応ではいつも通り水原通訳も隣に立っていた。この日は珍しいシーンがあった。サンフランシスコ・メディアから「ジャイアンツと契約する可能性はあったか」と、質問が飛ぶと、水原通訳は日本語に訳すことなく「その話はしないよね?」と大谷に日本語で確認。大谷は「どっちでも…」と苦笑いだったが、水原通訳は「試合のことだけでお願いします」と英語で返答して言及することはなかった。

 

◯ 第1打席に対戦した左腕ギャレット・クロシェット投手は、投球後。「あっという間だったよ。覚えていない。1球目に強振された。観客の声援が大きかったから、お互いにとってよかったと思う。いい投球ができた」と振り返った。場内の雰囲気については「(熱気があったのは)間違いない。いい意味でも、悪い意味でも意識しなかった。投球をするだけだった」と集中していたことを明かした。「彼はいい選手だから、いい球を投げないといけない。過去何回か対戦経験があるから、彼が狙っている球はなんとなくわかる。彼のパワーは(投手にとって)脅威だから、有利な状況にもっていくことを意識したよ」と話した。

 

◯ 第1号を献上したのは、昨季エンゼルスで1カ月だけチームメートだった右腕リオーネだった。右腕は一発を浴びた直後でも真摯に対応。フルカウントから強気に攻めた内角真っすぐの95マイル(約153キロ)速球を弾き返された。乾いた音とともに、放たれた打球は左翼方向に高く上がった。レオーネは「正直言って、入るとは思わなかった。レフトフライかなと。でも翔平だからね。彼のパワーと、アプローチのすごさだよ」と脱帽。「翔平は特別な男で素晴らしい人柄でもある。チームメートしても本当に素晴らしかった。一方で、僕は野球界でベストの打者と対戦したいという楽しみもあるから」。

 

◯ ロバーツ監督は試合後、大谷の復帰戦を振り返り、「とてもスペシャルだ。彼はフライボールを打ったが、それがスタンドに入った。みんながエキサイトしていたと思う。驚くべきこと。彼のキャリアにとっても、とても大きな瞬間になっているはずだ。最初のライブBPでも本塁打を放ち、実戦でも本塁打を打った。これから、もっともっと打つ、そんな感じがするね」と期待を膨らませた。

 

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◯ 注目の打順は1番からムーキー・ベッツ外野手、大谷、フレディ・フリーマン内野手となった。MVP受賞経験者が1番から並ぶ豪華オーダー。米メディアは早くもニックネームを付けた。ベッタニマンか、ベッタニフリーか、ベッタニフリ男か……。MLB公式サイトのドジャース番、ファン・トリビオ記者は「“ベッタニマン”がいいね。いい響きだね」と笑顔を見せた。

 

 

◯ 大谷が、3月1日発売の『GQ JAPAN』(コンデナスト・ジャパン発行)の表紙を飾ることが発表された。世界で最も注目を集めるアスリートの1人である大谷が、同誌の新コンセプト「TOKYO NEW GENTLEMEN」を体現する1人とし登場。アンバサダーを務めるBOSSが4月にリリースする新たなカプセルコレクション「BOSS×SHOHEI OHTANI」をまとい表紙と独占インタビューでそのスタイルを披露する。

 

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 ■ ロサンゼルス・ドジャース情報

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◯ オープン戦【ホワイトソックス6-9ドジャース】日本時間2月28日、ドジャースの大谷翔平がホワイトソックスとのオープン戦に「2番・DH」でスタメン出場し、新天地デビューを飾った。最初の2打席は凡退したものの、5回裏の第3打席で左中間への1号2ラン。大谷の一発で1点差に迫ったドジャースは、7回裏に2点、8回裏に4点を奪い、9対6で逆転勝利を収めた。これでドジャースはオープン戦5連勝。ドジャース7番手のフアン・モリーヨが勝利投手、ホワイトソックス8番手のギャレット・ショーンルが敗戦投手となった。

 

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 ■ 球界情報

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◯ パドレスのダルビッシュ有がオープン戦初登板となるロイヤルズ戦に先発し、2回を2安打無失点、3奪三振と好投した。1回は1番ガルシアを右飛、2番ウォーターズを三ゴロ、3番ベラスケスを見逃し三振。2回は4番ロフティンを見逃し三振、5番ハンプソンを空振り三振に仕留め、その後に中前打、右前打と連打されたが、2死一、二塁で8番デバニーを中飛に打ち取った。パドレスは3月20日、21日にドジャースで韓国での開幕シリーズを戦う。ダルビッシュはこのままいけば2戦目に先発することが有力視されており、そこへ向けて順調な今季実戦デビューとなった。

 

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 ■ 注目記事&コラム

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◆ 大谷 ドジャース1号!177日ぶり実戦で“芯詰まり”逆方向弾 ロバーツ監督「格が違う」

(柳原直之氏/情報:スポニチ)

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◇オープン戦 ドジャース9―6ホワイトソックス(2024年2月27日 グレンデール)

 

 デビュー戦で移籍1号だ。ドジャースの大谷翔平投手(29)が27日(日本時間28日)、ホワイトソックス戦に「2番・DH」でオープン戦初出場。昨年9月3日以来177日ぶり、移籍後初の実戦で第3打席に左越え2ランを放った。技術とパワーが融合した“芯詰まり”弾。MVPトリオが初めてそろって出場した一戦で新生ド軍打線の破壊力を早くも見せつけた。

 

 顔をしかめた。左翼へ高々と舞い上がった打球。「ちょっと(角度が)高いかなと思った。(打球が飛びやすい乾燥気候の)アリゾナでどうかなっていうところ」。大谷も半信半疑だった打球は左翼席へ着弾した。デーブ・ロバーツ監督も「レフトフライかと思った。誰もが目を奪われた。格が違う」と驚いた。SNSでも「レフトフライ」がトレンド入り。ド軍のユニホームを着た初戦で、青の衝撃を残した。

 

 2打席凡退して迎えた5回2死一塁。エンゼルスで昨年、1カ月だけ同僚だった右腕リオーネに対し、フルカウントからの95マイル(約153キロ)内角直球をこするようにかち上げた。飛距離377フィート(約115メートル)、打球速度102マイル(約164キロ)。外角攻め一転、厳しい内角球にも振り負けない。2度目の右肘手術から177日ぶりの実戦で、昨年8月23日以来188日ぶりの一発だった。

 

 技術とパワーが凝縮された。日本ハム時代の15年。2月11日の練習試合・阪神戦で今回と同じように詰まりながらも左翼席へ運び「芯詰まり」と独特の表現で解説した。芯よりやや手元から「ボールをバットで転がすイメージ」。ボールとバットの接触時間が長くなることで、より力が伝わる。打者に専念する今季。自主トレ、キャンプでは入念に体をつくり上げるなど、年々、大きくなる体に蓄えたパワーと技術を証明する逆方向弾だった。

 

 満面の笑みで生還。次打者のフリーマンも自分のことのように喜んで出迎えた。5回は3者凡退なら打席が回らず、もう一度、守備に就くはずだった3番打者。4回の攻撃後「絶対、打ってくれよ」と声をかけられ「フリーマンは僕が(アウトで)終わっていたら、もう一回守備に行かなければいけなかった。回せてよかった」と笑った。

 

 大谷が初出場し1番からベッツ、大谷、フリーマンのMVPトリオが今春初めてそろい踏み。主役のド軍1号に、6678人の観衆もスタンディングオベーションで迎えた。「前後はもちろん、それ以降もいい打者が続く。楽しみだし勉強しながら対応していきたい。順調に戻ってこられたことが一番良かった」。最強打線の第一歩で「ドジャース・大谷」が、最高のスタートを切った。(柳原 直之)

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◆ 【とっておきメモ】“普通”の振りで衝撃弾、大谷翔平の進化続ける肉体 体幹強化継続のたまもの

斎藤庸裕氏/情報:日刊スポーツ)

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<とっておきメモ>

 

 <オープン戦:ドジャース9-6ホワイトソックス>◇27日(日本時間28日)◇アリゾナ州グレンデール

 

 【グレンデール(米アリゾナ州)27日(日本時間28日)=斎藤庸裕】ドジャース大谷翔平投手(29)が、実戦復帰の移籍後初戦を衝撃の1発で飾った。ホワイトソックスとのオープン戦に「2番DH」で出場。5回2死二塁から右腕リオーネの直球を捉え、打ち上げたかと思われた打球が左翼フェンスを越えた。177日ぶりの復帰戦、かつドジャース移籍後初の実戦で、昨季リーグ本塁打王があいさつ代わりの1発。3月20日のパドレスとの開幕戦(韓国・ソウル)に向けて万全の状態を示した。

 

    ◇   ◇   ◇

 

 大谷の肉体はやはり、進化し続けている。過去には膝つき本塁打や片手打ちなど驚かされる本塁打もあったが、今キャンプでは打ち損じや軽打が本塁打になる。フリー打撃やライブBP(実戦想定の打撃練習)でも、そんな印象が強い。“普通”のスイングで逆方向に運べるパワーが身についたのは、継続的なフィジカル強化のたまものだ。

 

 移籍したドジャースでは、定期的に屋外で体幹強化のメニューに取り組んでいる。エンゼルス時代には見られなかった姿だが「トレーニングは一貫して、年単位で変えるとかではなくて、10年、20年スパンで考えてやるもの。今年は手術もあったので、それに適したトレーニングはしますけど、全体的なフィジカルの強化は例年通りかなと思います」とサラリ。肉眼でも分かるほど肩周りの筋肉は年々大きくなり、特に腹筋は、昨年と違い、6パックに割れているように見える。

 

 今キャンプ序盤、メジャー1年目から大谷を知るド軍のイブル三塁コーチは「力強いコア(体幹)が、すさまじいパワーを生み出す」と力説していた。アマチュア、日本ハム時代も含め、とどまることなく継続してきた体幹強化。その結果、レフトフライかと思われた打球がスタンドインする衝撃弾を生んだ。【MLB担当=斎藤庸裕】

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◆ 「翔平とストライクゾーンで勝負するケース増える」前後を打つMVPコンビの存在が大谷翔平の追い風に

阿部太郎氏/情報:中日スポーツ)

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 【グレンデール(米アリゾナ州)阿部太郎】米大リーグ、ドジャースの大谷翔平選手(29)が27日、当地でのホワイトソックスとのオープン戦に「2番・指名打者」で初出場。いきなり本塁打を放った。故障明けの不安を吹き飛ばすような一発で、新天地ドジャースでの第一歩を華々しく飾った。

 

 ◇   ◇   ◇

 

 これぞ大谷だ。5回2死二塁で迎えた第3打席。153キロの内角速球を乾いた打球音とともに左翼方向へはじき返した瞬間、マウンドのレオーネは「レフトフライだな」と思ったという。予想は残酷に裏切られた。高々と舞い上がった打球はそのままフェンスオーバー。規格外のパワーを誇る昨季本塁打王の驚弾にスタンドは熱狂し、6000人が総立ちで本塁へ帰還する大谷を迎えた。

 

 「別に長打を狙ったわけではない。シンプルにゾーンを振った」と冷静に振り返る大谷をよそに、ベンチのロバーツ監督は「翔平がいかにすごいか、早速学ばせてもらったよ。規格外だね」と大興奮。「彼がキャリアの節目節目で輝きを放つのは知っていたけど、オープン戦デビューでの一発は驚くべきことだ」とご満悦で語った。

 

 実戦は昨年9月3日以来。秋には右脇腹を痛め、右肘の靱帯(じんたい)再建手術(通称トミー・ジョン手術)にも踏み切った。リハビリを経て、ホワイトソックス戦が打者・大谷としての本格スタートだった。「投球がないから、精神的には次の日のことを心配する必要はない。このことが彼の心を開放するかもしれない」と語ったのはエンゼルス時代を知るエベルコーチ。今季の爆発を予感させるような一発となった。

 

 前後を打つ強打者の存在も追い風となりそうだ。ロバーツ監督は1番ベッツ、3番フリーマンの2人のMVP経験者の間に大谷を置いた。「フリーマンが後ろにいることで、相手投手は翔平とストライクゾーンで勝負するケースが増える。翔平を守ることができる」と指揮官。当面は大谷を含めてMVPトリオを3人並べる打順を固定する方針で、大谷も「前後はもちろん、それ以降もいい打者が続く。楽しみ」と歓迎モードだ。

 

 三振、二ゴロ、そして本塁打。予定の3打席を役者らしく締めくくり、デビュー戦を終えた。「感覚も、体の強さもよかった。自分が振りにいっていいボールに対して、いいアプローチができた」。常勝チームで打者に専念する2024年。期待が無限に膨らんでいく。

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◆ ド迫力オーダー!大谷翔平2番で1から3番はMVPトリオ ドジャース指揮官「しばらくこれでいくつもり」

安藤宏太氏/スポーツ報知)

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オープン戦 ドジャース9―6ホワイトソックス(27日、グレンデール・キャメルバックランチ)

 

 ドジャースのD・ロバーツ監督(51)が27日(日本時間28日)、当面は1番からM・ベッツ内野手(31)、大谷翔平投手(29)、F・フリーマン内野手(34)の順でMVPトリオを並べる考えを明かした。

 

 思わぬ形で新打線がハマった。5回2死二塁。打席の大谷の頭によぎったのは、ベンチでフリーマンに言われた言葉だった。「絶対に打ってくれよ」。フリーマンに予定されたのは3打席。大谷が凡退した場合は6回の守備にも就く必要があったため、冗談交じりに大谷にリクエストしていたのだった。一発を放って約束を果たした大谷はダイヤモンドを1周し、本塁付近で2人で笑い合った。

 

 ロバーツ監督は3日(日本時間4日)にドジャー・スタジアムで行われたファンフェスタでは1番からベッツ、フリーマン、大谷の打順にすることを明かしていた。だが、キャンプイン後に各選手と議論し、大谷が2番に入ることが決まった。

 

 指揮官は「翔平がフリーマンの前を打つと、フリーマンが翔平を守ることになる。そこに(大谷の)足の速さという能力が加わり、一塁からの得点の可能性や盗塁の脅威を高める」と大谷が簡単に勝負を避けられないようにし、走力も生かせることを理由とした。「しばらくこれでいくつもり。もしうまくいかなくても1、2週間では判断したくない」と言い切った。3月20日に韓国・ソウルで行われるパドレスとの開幕戦も、順調ならば2番デビューとなりそうだ。

 

 大谷は「僕は別にどこでもいいという感じだった。やること自体は変わらず、ストライクだけをしっかり自分のスイングをするというシンプルなところが一番かなと思います」と説明。MLB公式サイトによると、1~3番にMVP受賞歴のある選手が並べば、1983年のフィリーズ(モーガン、ローズ、シュミット)以来41年ぶりという。歴史的破壊力を誇る打線の中心に大谷が座り、脅威となる。(安藤 宏太)

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◆ 大谷翔平、ベッツ、フリーマンのドジャース上位打線の実力を解析 伝説の「殺人打線」級?

奥田秀樹氏/情報:webSportiva)

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ロサンゼルス・ドジャースのムーキー・ベッツ、大谷翔平、フレディ・フリーマンで形成される「ビッグスリー」上位打線は破壊力抜群だ。3人が初めて1番から3番に名を連ねた2月27日(日本時間28日)のオープン戦ではベッツが1安打、大谷がドジャースでの初本塁打を放つなど、早速その片りんを見せている。1920年代のニューヨーク・ヤンキースが席巻した「殺人打線」をも上回る期待も寄せられるのはなぜか? 彼らが1番から3番まで並ぶことで引き起こす打線としてのケミストリー(化学反応)を個々の特徴から紐解いてみる。

 

【ルースが7度の世界一に輝いた理由】

 

 二刀流で華々しい成績を残し、メジャーリーグの本塁打王のタイトルも獲得した大谷翔平だが、「野球の神様」ベーブ・ルースの足元にも及ばないのが優勝回数だ。

 

 ルースは10度ワールドシリーズに出て7度の世界一。それはルース自身が投手としても打者としても傑出した存在であると同時に、チームメートにも恵まれていたからだ。優秀なジェネラルマネジャー(GM)エド・バローがいたおかげでもある。

 

 1918年、バローはルースのいたボストン・レッドソックスの監督に就任。当時、第一次世界大戦で多くの選手を兵役に取られていたため、ハリー・フレイジーオーナーを説得し、フィラデルフィア・アスレチックスから4人、シンシナティ・レッズからひとり、先発クラスの選手を金銭トレードで獲得した。その年、ルースは初めて二刀流で起用され大活躍したが、このシーズン、世界一になれたのはブレット・ジョー・ブッシュ投手らを補強できたからだ。この後、フレイジーオーナーは多額の負債を抱えるようになり、逆にルースをはじめ、主力をニューヨーク・ヤンキースなどに金銭トレードで放出する。

 

 バローは1920年シーズン後に監督を辞任し、21年からヤンキースのビジネスマネジャーに転職した。そして当時は監督が行なっていた選手集めを専門の仕事とし、古巣のレッドソックスから次々に選手を引き抜いた。元監督だからどの選手が有能かは誰よりも分かっている。加えてレッドソックスのポール・クリチェルコーチをスカウトに抜擢。クリチェルは1923年にコロンビア大の学生だったルー・ゲーリッグとの契約に成功した。

 

 GM職の草分けとなったバローにより、弱小チームだったヤンキースは一転、メジャーリーグきっての強豪に変貌。1921年から1928年、ア・リーグで6回優勝、3度世界一に輝き、特に1927年は「殺人打線(Murderer's Row)」と恐れられた。3番・右翼手のルースが打率.356、60本塁打、165打点。4番・一塁手のゲーリッグが.373、47本塁打、175打点。他にも1番打者が打率.356、23三塁打と打ちまくり、5番と6番打者も100打点以上を叩き出した。シーズン成績は110勝44敗でワールドシリーズもスイープ(4連勝)。ルースとバローは16年間同じチームで働いたが、仲は良いとは言えず、むしろ確執があった。しかしながら先見の明があったバローとの巡り合いで、ルースはワールドシリーズに出続けることができたのである。

 

【昨季終盤の不振の雪辱を期すベッツ】

 

 大谷は現在メジャーリーグで最も優秀な編成本部長のひとりと見なされるアンドリュー・フリードマンのチームに入った。打線も投手陣も強力で、アトランタ・ブレーブスとともに優勝候補の筆頭に挙がっている。

 

 まず打線から見ていこう。1番にムーキー・ベッツ二塁手(2018年のア・リーグMVP)、2番と3番に大谷(2021、2023年のア・リーグMVP)、フレディ・フリーマン一塁手(2020年のナ・リーグMVP)いずれかが有力視されている。この3人が一緒になったことで、ヤンキースの「殺人打線」に近づけるのでは? と期待してしまう。

 

 野球では強打者が並ぶ効果は絶大で、例えばロサンゼルス・エンゼルスのマイク・トラウトは過去235試合、トラウトの後に大谷を配した打順では打率.291、出塁率.394、長打率.644、85本塁打だった。特に長打に関する数字が上がり、公式戦試合数の162試合に換算すると58.6本塁打である。後ろに大谷がいると、投手はトラウトを歩かせたくないから、ストライクゾーンに投げるしかない。一方で大谷は2021年と2023年、トラウトがケガで多くの試合を休んだため、四球の数も敬遠の数も増加した。ちなみにルースは1924年に28度も敬遠されたが、ゲーリッグがレギュラーになった1925年以降は、敬遠数は激減した。

 

 ベッツは昨季8月31日の時点で打率.317、38本塁打、98打点、OPS(出塁率+長打率)1.034でブレーブスのロナルド・アクーニャとナ・リーグMVP争いをしていた。盗塁数62、打率.337でアクーニャにかなわないとしても、ほかの数字では上回っていたからだ。少なくとも1位票は割れるはずだった。

 

 ところがベッツは9月にスランプに陥り、結局アクーニャが満票でMVPに選ばれた。ドジャースのデーブ・ロバーツ監督は、ベッツがMVP候補から外れた理由を「数字を追ってしまったからだ」と分析する。「40本塁打を意識してしまったんだと思う。彼は同意しないかもしれないが、野球選手が数字を追うのは自然だし、理解できる」。

 

 MVP争いに加え、40本の大台がちらつき、ベッツはスイングがおかしくなった結果、9月の本塁打はわずか1本、月間打率も.241。そのままポストシーズンに入り、地区シリーズのアリゾナ・ダイヤモンドバックス戦では11打数0安打。ベッツがポストシーズンでプレーしたのは7シーズン目だったが、安打ゼロは初の屈辱だった。「勝利に貢献できることを誇りにしてきたのに、一番大事なゲームで何もできなかった」と本人は悔しがる。ベッツはリベンジを期し、「今季は8カ月間連続で最高のムーキー・ベッツを見せる」と意気込んでいる。

 

【大谷、フリーマンはどちらが2番に?】

 

 これまでロバーツ監督のみならず、多くのファンが頭を悩ませてきたのが2番、3番を大谷、フリーマンにどの順番で打たせるかだ。どちらが、チームにとって有益になるのか?

 

 2月27日のオープン戦では2番・大谷、3番・フリーマンで大谷はドジャースでの初試合で初本塁打を放った。ロバーツ監督はこの日、「固定されたものではないが、これを動かすとしてもすぐにではない。1週間、2週間うまく行かなかっとしても変えない」と明言したことからも、大谷、フリーマンの順番で3月20日の開幕戦も戦うのだろう。

 

 近年のメジャーリーグでは最も優れた打者が2番を打つのがトレンドとなっている。ヤンキースならアーロン・ジャッジだ。しかし、大谷とフリーマンは甲乙つけがたい。

 

 フリーマンはキャリアを通して3番を打ってきたが、2023年は2番で通し、自己最多の211安打、打率.331の好成績。長打も多かった。しかも盗塁数は過去13個が最多だったのに、33歳にして23盗塁の自己ベスト、失敗も1個だけだった。

 

 パワーでは大谷のほうが上だ。2023年、平均の打球速度(時速)は大谷が94.4マイルで、フリーマンが90マイル、バレル率(本塁打になりやすい速度と角度の打球の割合)は19.6%と11.1%、ハードヒット率(速度95マイル以上の打球の確率)は54.2%と42.2%だ。

 

※1マイル=1.6km、95マイル=152km

 

 確実性ならフリーマンだ。スイートスポット率(角度8度~32度のヒットになりやすい打球)はフリーマンの46.6%に対し大谷は35.6%、ボール球に手を出してしまう確率は26.9%と29.7%、空振り率は20.4%と32.3%、三振率は16.6%と23.9%である。加えて2016年以降、フリーマンの4225個のファールは2位のフランシスコ・リンドア(ニューヨーク・メッツ)よりも400個以上多く、投手泣かせの打者ともいえる。

 

 ふたりの打順別のOPSを比較すると、フリーマンは14年のキャリアで2番は.944、3番が.905と大差ない。一方大谷は2番が1.013、3番は.856で150ポイント以上も違う。パーセンテージが三ケタに届くOPSというのは毎年ごくわずかのトップ打者しか弾き出せない。このデータから判断すれば、大谷が2番なのかもしれない。

 

 フリーマンは「これまで両方打ってきているし、個人的にはどちらでも構わない。いかにみんなの力で最高の結果を出せるかだ」と話している。

 

奥田秀樹●取材・文 text by Okuda Hideki

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◆ 大谷翔平、ベッツ、フリーマンの後続打線を分析 ドジャースは4番~9番に不安あり?

奥田秀樹氏/情報:webSportiva)

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MVP経験者トリオ(大谷翔平、ムーキー・ベッツ、フレディ・フリーマン)で構成するロサンゼルス・ドジャースの上位打線は、今季のメジャーリーグで最大の破壊力を備えていると言える。では、4番以降も含めて打線全体を見た場合は、どうだろう? ベテラン、若手とバランスの良い編成が予想されるとはいえ、盤石とまでは言い難い。果たして彼らの実力は?

 

前編:ドジャース上位打線トリオの実力は

 

【勝負のシーズンを迎える4番の捕手・スミス】

 

 ロサンゼルス・ドジャースの1番から3番を司る3人は今季もナ・リーグMVPの有力候補だが、ドジャースにとって彼らと同じくらい価値の高い選手が4番に予定されるウィル・スミス捕手だ(ちなみに背番号はドジャース時代の野茂英雄と同じ「16」)。

 

 2016年ドラフト1巡指名の生え抜き選手のスミスは、2019年にメジャーデビュー、2021年に正捕手になり、2023年にオールスター初選出。攻守に優れているが、その存在価値を如実に示すのがチーム成績だ。昨季ドジャースはスミスが先発した試合は80勝40敗、先発以外の時は20勝22敗と負け越していた。しかし、スミスは看板選手としてはスター性に欠ける。フィールド上では感情を露わにすることがなく、いつもポーカーフェイス。メディアに対しても当たり障りのないことしか言わない。ロバーツ監督も「誠実だし知的だが、面白いタイプではない」と認めている。

 

 とはいえ、今季について期するものがあるはずだ。このオフ、ドジャースは大谷らと大型契約を結んだが、スミスの契約は単年で855万ドル(約12億8500万円、1ドル=150円)。FA資格を得るまであと2年だが、3月には29歳になる。重労働の捕手では、30代になると衰えが来るのも早いと信じられているだけに、大暴れでこのオフに巨額の契約延長を勝ち取りたいところだ。少なくともウィルソン・コントレラスが1年前にセントルイス・カージナルスと結んだ5年総額8750万ドル(約131億2500万円)は抜きたいところだろう。

 

 前を打つ3人は昨季揃って出塁率4割を超えた。打席に立つ度に、複数の走者が塁にいる。彼の打撃力なら十分100打点以上を狙える。

 

【不安要素の多い5番以下の打線】

 

 さて1番から4番までは良い話ばかりだが、5番から9番の打者は不安要素が少なくない。

 

 5番のマックス・マンシー三塁手はチームのレギュラーでは最も古株。2018年以降、4度も35本塁打以上をマークし、466四球はチーム最多。だが、近年は打率が低迷し2022年は.196、2023年は.212である。さらに三振も多い。2021年の最後の試合で右ひじ側副じん帯を痛めたが、その影響が今も残っているそうだ。守備はもともと得意ではなく、2年前から三塁に回ったが、2022年は三塁で10失策、2023年はナ・リーグ三塁手でワーストの16失策である。

 

 6番はテオスカー・ヘルナンデス左翼手。指名打者を右打者のJD・マルティネスから左打者の大谷に代えることで、左投手を攻略できる右の大砲がもう一枚必要になった。ヘルナンデスは8年のメジャーキャリアで対左投手の通算OPSが.887である。とはいえ昨季のヘルナンデスはシアトル・マリナーズで打率.258、出塁率.305、長打率.435と著しく成績を落としていた。ロバーツ監督は「大事なのは周りの打者を信じて、ストライクゾーンの球に集中すること。それができれば長打は付いてくる」と期待する。性格は陽気で、ドジャースの公式X(旧ツィッター)には笑顔で大谷にスペイン語を教える様子が投稿されている。

 

 7番はジェイソン・ヘイワード右翼手。2021年、2022年はシカゴ・カブスで打率.214、.204の不振、2023年はドジャースで.269と復活したが、34歳の今年も好成績を維持できるかどうかは分からない。8番、9番はジェームズ・アウトマン中堅手とガビン・ラックス遊撃手。ともにドジャース生え抜きの若手で、うまくいけばスターになるかもしれないが、期待外れで全く活躍できないかもしれない。特にラックスは遊撃手としてシーズンを通してレギュラーでプレーするのは初めてだ。

 

【ロハスはじめ控えは充実】

 

 アンドリュー・フリードマン編成本部長の腕の見せ所は、こういった選手がスランプに陥った時に、ほかの選手で補えるようきちんと準備しておくことだ。

 

 2月26日、10年のキャリアで捕手以外はすべて経験があるスーパーユーティリティ選手のキケ・ヘルナンデスと再契約した。ほかにも6つのポジションが守れる器用なクリス・テイラーがいて、このふたりがいれば大抵のポジションで穴を埋められる。

 

 ラックスが不振の時の代役は、ミゲル・ロハスだ。メジャーの10年選手で2月24日に35歳になるが、守備は今でも抜群。2021年から2023年の遊撃手の守備防御点(DRS/defensive runs saved:同じポジションの平均的野手と比べて守備で何点防いだかを示す指標)は「32」 で全体1位だ。ロハスはキャンプが始まる時に、大谷と山本由伸のロッカーに入団を歓迎する直筆の手紙と高級ワインを置いた。ベネズエラ出身のベテランは「違う国から来て、新しいチームに加わることがどんな感じか知っている。歓迎されていると感じてもらえるようにしたかった」と説明しているように、常にチームのことを考える選手だ。昨季カンザスシティ・ロイヤルズ相手に連敗を喫したことがあったが、ミーティングで「緊迫感を持ってプレーすべき」とロハスがチーム全員を諭した。「監督が仕事をやりやすくするのも自分の役割」と話す。引退後は監督になりたいという願望があるそうだ。

 

 現時点でロナルド・アクーニャやマット・オルソンのいるブレーブス打線とドジャース打線を比較すると、ブレーブスの方が若干上に見える。だが、こればかりはふたを開けてみないと分からない。両球団の最初の直接対決は、5月3日からロサンゼルスでの3連戦。その頃には2024年の打線が機能しているかどうか、ある程度見えているだろう。

 

奥田秀樹●取材・文 text by Okuda Hideki

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◆ 大谷のHR球ゲットも価値分からず 野球は初観戦…友人は大慌て「絶対に売るな!」

小谷真弥氏/情報:Full-Count)

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 ドジャース・大谷翔平投手の記念すべき移籍初本塁打をキャッチしたのが、米アリゾナ州フェニックス在住のエリック・ウェルシュさんだ。勤務先の仲間たちと左翼芝生席で観戦中、グラブでキャッチした。「素晴らしかったよ。明日サインをもらおうと思う」と、淡々と語った。

 

 ウェルシュさんが淡々と語ったのも理由がある。地元のダイヤモンドバックスの帽子、黒のユニホーム、グラブと準備万端だったが、この日が初めての野球観戦だった。「実は野球をあまり見ないんだ。スプリングトレーニングの試合を見るのも初めてで。ソフトボールはやるけど、僕はうまくないし」と明かした。

 

 それでも、ドジャースのユニホームを着た仕事仲間から「ドジャースで打った初めての本塁打。絶対に売っちゃダメ」「ベーブ・ルースと同じ価値があるぞ」と言われて、ようやく事の重大さが分かったようだ。「じゃあプライスレスで。(本塁打球の価値は)見当もつかないよ」。ようやく笑顔に変わった。

 

 37歳の“ラッキーおじさん”は多くのメディアから代わる代わる取材を受けた。「楽しんでいるよ。素晴らしい雰囲気だね。オオタニは初めて見たけど、いい選手だ。7億ドル(約1054億円)ももらえるんだから。いい活躍をするだろうね」。大谷は一撃でそのハートをつかんだに違いない。

 

小谷真弥 / Masaya Kotani

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