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2024年2月13日

 

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 ■ 今日の大谷翔平(関連NEWS)

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◯ 大谷は12日(日本時間13日)、キャンプ4日目を迎え、米アリゾナ州グレンデールの球団施設に入った。現地8時50分。大谷が運転するスポーツカーが選手駐車場へ入った。前日と同じポルシェのスポーツカータイプ。屋根を開閉できるオープンカーで、2200万円超の超高級車。また、服装はレザージャケット、黒の帽子を被ってロッカールーム入りした。

 

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◯ この日、フリー打撃を行った。フリー打撃は右わき腹を痛めた昨年9月4日(日本時間5日)以来、161日ぶり。右肘手術の影響を感じさせない豪快なスイングを披露した。練習終わりの山本とグータッチを交わしてからグラウンドへ。混乱を考慮して、異例のファン非公開型で練習は行われた。抜けるような青空に快音を響かせた。21スイングで半数近い10本の柵越え。最終スイング、うめき声とともに完璧にとらえた打球は高く鋭い弧を描き、センター右へ、140メートル級の特大弾だった。

 

 

 

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◯ 練習後、報道陣の取材に応じた。

 

――フリー打撃を再開した。

「いい感じでしたし、結構強く振れていたので。打球自体も良かったんじゃないかなと思います」

 

――昨季は脇腹の怪我でシーズンを終えた。

「外で打った時にやったので、今日は初めての外だったので慎重気味に振りましたけど、その割にはよく振れていたんじゃないかと思います。中でも外でも比較的、気になるところなく振れている。全く問題ないかなと思います」

 

――毎日屋外で打つか。

「たぶん打たないと思います。キャンプ中は比較的多めには打つと思います。基本的にやることは中で。外でやるのは強度の確認がメインになる」

 

――開幕に間に合うと話していた。

「軽めに行こうと思っていましたけど、思ったより振れていたので。そこはスケジュール通りには来つつ、内容自体はいいんじゃないかと思うので。このまま順調にいけばというところだと思います」

 

――打撃のメカニックでチェックしたいところがあるのか、打撃の感覚を大事にしているのか。

「外で打つ時は、強度の確認がメインですし、中で打つ時は、どこに注意して自分でチェックポイントを探しながらというところです」

 

――強度は100に近いと話していた。去年との変化を感じたか。

「最後の2、3スイングは90ちょっとぐらいの力加減で打っているので。数字的にもそのぐらいの数値ですし、むしろちょっと高いぐらいの感じなので。いい傾向かなとは。トレーニングの成果も出ているのかなと思います」

 

――オープン戦は開幕から出るつもりか。

「どうなんですかね。トレーナーの中で、だいたい、いつぐらいに出るのかはあると思いますけど、まだ先のところまで共有されているわけではないので。2週間ぐらいのところですかね。トラッキングとライブBPに入ってみて、良かったら出るというところなので。そこはトレーナーはわかっていると思いますけど、僕の方で詳しく共有されてないかなと思います」

 

――打撃のデータで数字が思ったより出ていた。

「思ったよりは出ていましたね。ただ、アリゾナなので飛びますし、打球も少し速くなるので。そこを考慮するとイーブンぐらいかなと思います」

 

――バットを通したい軌道に出せているか。

「BP(打撃投手)のボールの球なので、そんなにズレがまだ出るという段階ではないです。スイング自体は悪くない段階かなと思います」

 

――2019年よりも順調に来ているように見える。経験が生きているか。

「もちろん焦りなく、どのくらいのペースでやっていけばいいか分かっている。あまり焦りはないですけど、傷口の回復具合、その後の伸展とか屈曲の動きとかは、単純に前回よりいいかなという感じあったので。それは今も変わらないです。あとは投げてみてからのステップは、まだ分からないですね」

 

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◯ キャンプ初のフリー打撃は、21スイングで10本の柵越えをマーク。推定140メートル弾もあった。5か月ぶりの打撃練習で本塁打率47.6%を記録。ロバート・バンスコヨック打撃コーチがコメント。

 

「球場で彼のことを知る機会があった。そして彼のリハビリの様子を見ていた。今は本当にいい状態だと思う」

 

「予定通りに進んでいる。私が見た全てから察する限り、(調整を)後退させるようなものもない。順調にやっている。スイングも動きもいい」

 

「(練習後にはタブレット端末で打撃データをチェックした)間違いなく球界でもトップの打者。だから、何が彼をいい打者にしているのかということを理解しているところだ。備わっている運動能力、スピード、そして才能。それを間近で見て本当に素晴らしかった」

 

午後12時24分帰宅!

 

◯ ムーキー・ベッツ外野手が、この日報道陣に対応。今季からチームメートとなった大谷の印象を語った。

 

「とにかくやるべきことをやらなきゃいけない。これまでも全盛期の選手がいるいいチームであり続けたけど、まだやり遂げられていない。とにかく結果を出さなければいけない」

 

「去年だっていいチームだった。私に限らず、やらなければ負けてしまうんだ」

 

「(大谷に憧れられているのはどう感じるか?)いや、何事でもないよ。この世界のみんなが彼に憧れている。私も彼も同じ人間だ。同じジャージー(ユニホーム)を着ることになって嬉しい」

 

「(ロッカーは隣だが)大谷と個人的な会話はまだない。素早い握手があっただけ(笑顔で)ご存知の通り、私は自然のままに、話したい時に話す。長い時間があるのだから」

 

「彼らがどうとかではないけど、私には関係ないよ。私は自分の仕事をやり、勝ちに貢献しようとする。彼らは彼らの、私は私のやるべきことをやるよ」

 

◯ 選手をドラフトして仮想のチームを作り、選手の実際の成績を合計して勝敗を競う「ファンタジー・ベースボール」は特にアメリカ国内で大人気のゲーム。日本時間2月12日、MLB公式サイトは成績予想システム「Steamer」による予想成績をもとに、「ファンタジー・ベースボール」用の選手ランキングを作成。トップ300を公開している。1位はロナルド・アクーニャJr.(ブレーブス)。日本人選手では、大谷の11位が筆頭。

 

 

◯ 大谷が昨季まで付けていたエンゼルスの背番号「17」について、新加入のマイナー契約選手が背負うことになった。13日までにエンゼルスのロースターが公式サイトで発表され、明らかになった。公式サイトによると、新たにエンゼルスの「17」を背負うのはハンター・ドジャー内野手(32)。昨季までロイヤルズに所属し、今季はエンゼルスとマイナー契約を結び、春季キャンプに招待選手として参加する。MLB7年間での通算成績は595試合で打率・238、73本塁打、235打点。ロイヤルズ時代も背番号「17」を背負っていた。

 

◯ 大谷が昨年からCMで起用されているコーセーのスキンケアブランド「雪肌精」の日やけ止め「雪肌精 スキンケア UV エッセンス」の「ジェル」「ミルク」の新CMが、15日より全国で放映される。新キービジュアルは昨年と同じ「大谷VS太陽」をキーメッセージに、爽やかな大谷が真っすぐと視線を向ける様子を表現している。大谷は以下のコメントを送った。

 

「カリフォルニアは、だいたいいつも晴れていて、紫外線も強烈です。なので、紫外線が肌や身体に与える影響を意識するようになりました。いいパフォーマンスをするためにも、ダメージを防ぐことはとても大切だと思っています。日やけ止めを幅広い世代へ広めていくコーセーの活動を、僕も応援しています。みなさん、日やけ止めで、未来の肌を守りましょう!」

 

 

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 ■ ロサンゼルス・ドジャース情報

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◯ デーブ・ロバーツ監督が12日(日本時間13日)、報道陣に対応。前日にキャンプ2度目のブルペン入りした山本と投球を見守った大谷についてコメントした。

 

――山本のブルペンセッションは。

「よかったよ。彼はまだコンディションを整えている最中。アリゾナの空気は乾いているから、ボールの感触も違う。(それでも)速球の制球はよかった。変化球の感触は確かめているところ。彼の意図するところを気に入っている。聡明で、効率的だ」

 

――その後の大谷との会話は。

「素晴らしかった。翔平がヨシ(山本)の投球練習を観に来たのはよかった。笑いながら、ピッチング、ベースボールについて話した。翔平は自身も投球をしてきたわけだから、投球に関しても大きなインパクトをもたらすことができる。日本から渡米し、投球し、メジャーリーグの打者を相手にどういうアジャストメントが必要かをわかっている。(その存在は山本の)助けになるはずだ」

 

――山本はどのような人間か。

「とても近づきやすい。おおらかだが、内面には炎が燃え盛っていて、人々を惹きつける。好奇心があり、よく観察する。短時間に可能な限りのことを学ぼうとしている。丹念に練習し、とても知的。楽しむのが好きだが、マウンドに上がると、ビデオで観ていても、人々の話を聞いても、最上級の勝負師になる」

 

――大谷と山本のどちらが(性格的に)面白いか。

「(大笑いしながら)まだ答えられない。ちょっと待っておいて欲しい」

 

――どちらと一緒にパーティーに行きたいか。

「それも答えられない(笑)。両方だよ」

 

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 ■ 球界情報

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◯ パドレスのダルビッシュ有が12日(日本時間13日)、バッテリー組キャンプ2日目にメディア対応した。

 

ーーメジャー13年目のキャンプイン。野茂さんを超えて日本人最長。

「まったくそれはわからなかったですけど、これだけ長くさせていただけているので。こういう環境で、自由に施設を使って野球をできるというのはすごく特別なことだと思うので感謝しています」

 

ーーキャッチボールなどを見ても状態の良さを感じる。

「いやちょっと、アリゾナに来てからあんまりよくなくて。早く1月にずっと投げていた球を投げられるようにしたいと思っているんですけど。でもだんだん良くなってきているので心配ないと思います」

 

ーー昨季終盤に痛めた肘の状態も気になる。

「リハビリ過程でも、最初の方は肘が、んっていうのはありましたけど、大体手術の後とかもそれはあるので、だんだん途中からは全く問題なく。今に関しては全然肘には違和感もないので、問題なく投げられていると思います」

 

ーー今年は日米通算200勝まであと4勝で臨む。

「それもけがをしていたら達成はできないので、ちゃんとまずは健康に、シーズンを迎えられるようにしっかり調整したいと思います」

 

ーーメジャー2000三振ももう少し。

「それも同じで、まず健康を維持するということと、1日1日を大事に感謝してやっていくということだと思います」

 

ーー韓国シリーズで投げることを周りは期待しているが、そこに向けた準備は。

「まったくそれはわからないので。監督とかいろんな方と話したりとか、監督が決めることなので、現時点では何もまだ話してないのでわからないです」

 

ーー打倒ドジャースへの思いを。

「毎年僕たちはディビジョンで負けているので。それは毎年考えていることは変わらないですね。ディビジョンで優勝したいというところがあるので。でも今回は大谷君と山本君が入ったというところで、より楽しみになったというところなので。1勝でも多く勝って、ディビジョンでも勝ちたいなというふうに思ってます」

 

ーープロとして20年目。

「やっぱ早いですね。20年って早いんだなって。大人というか、この歳になって実感できるというか。より1年1年の大事さというのは感じてきてますし、まあでも何よりこんなに長くできるというのは特別なことだと思うので、いろんな方に感謝しています」

 

ーー松井投手とはどういった思いで接しているか。

「いろいろ心配はしていたんですけど、でも本人はすごくチャレンジ精神もありますし、もっとアメリカのこと、文化だったりとか、野球のことであったりを学びたいという姿勢は前面に出しているので。自分は特に手助けする必要もなく、すごく楽しんでいるので。そういうのを見てて僕もすごくいい影響をもらっています」

 

ーー今日の練習でストレッチに割く時間が多いように見えた。

「いやキャッチボールの時とか、こっちに入ってきて1日目にいつもベッドと違うので、背中を若干寝違えてたみたいな感じで動きが悪かったので、ああいうエクササイズをして胸郭であったり、胸椎であったりとか、広背筋であったりというところの動きを出す必要があると思ったのでやっていただけで、普段はあんまりやるわけではないです」

 

ーー今後の調整は。

「明日ブルペンで2日空いてのライブBPですかね。あしたブルペンなのは確定しています」

 

ーー調整段階だが、いろんな目標を設定してやっていく感じか。

「いや、そうではないですね。毎日とにかく何かしら体が変わるので。それを自分のベストの状態に持っていくために今日は何をしようかというのを考えていく。それの積み重ねという感じです」

 

ーー今年はオープン戦が少ないが、登板数は変わりそうか。

「まだ全然わからないです。スケジュールもちゃんともらっていないので、あしたのブルペンまでは確定はしてますけど、その先は不透明というか」

 

ーーこれまでもドジャース戦は特別と話していたが、今年はよりモチベーションが上がるか。

「もちろん打者で言ったら大谷君と対戦する機会が今までなかったので。それができるっていうだけでも。よりだから打線も穴がなくなってくると思いますし、そういうところではすごく楽しみですね、どんな打撃をするんだろうとか」

 

ーーベスト体重は毎年変わるか。

「もともとベスト体重という概念はあんまりなくて、あんまり体重というよりかはその時の感覚の方が大事なので。その時が100キロで感覚がいい時と、感覚が悪い時があるので。体重はあんまりあれですけど、最近は重くなってくると動きが悪くなるかなというのは感じてますね」

 

ーー最近はいろんなデータを見れるが、それでも感覚が一番大事か。

「一番大事かは人にもよると思いますね。自分も場所、例えば肩だったら感覚の方が大事だろうし、股関節だったら数字の方が大事だろうし。その場所とか人によっても違うと思うので、これがというのは言えないですね」

 

――個人として目標設定はするか。

「基本的にはしないですね。さっきも言ったみたいに、1日1日の自分の体調を見て、その体重がベストの時に比べてどこの筋肉がどうなのかとか、それに対してどうしていくのかというのしか基本的に考えていないので。あんまりシーズンで何勝したいとか何イニング投げたいとかは考えてないですけど。なるべくけがをしないで1年間投げたいというのはあります」

 

ーー200勝など節目の数字は自分を支えるものになるか。

「基本的にそんなないです。200に関しては結構言われますし、プレッシャーも別に感じないですけど。何か自分の中では100勝とか150勝とかとは違う何かがあるなとは思いますけど」

 

ーーメジャーでは勝敗はあまり投手の能力を図る上で重要視されなくなってきた。

「自分は若い時からそこに関しては、勝ち負けというところに関しては価値を感じていない方だったので、日本の時から。これは割と僕の中では正当というかそういう感じはしています」

 

ーー松井投手が昨日英語でスピーチしたが、助言などは。

「まったく。びっくりしたんですよ。カラティニというキャッチャーから“お前より全然いいスペイン語しゃべってるじゃねーか”みたいなメッセージが来て、それを見たら英語も話していたので。それでルーベンさん(投手コーチ)が影響を受けちゃって、今日ピッチャーのミーティングがあったんですけど、僕今までみんなの前でしゃべったことがないのに英語で。しゃべれって言われて、初めてしゃべりました。めっちゃ緊張しました」

 

ーーどんなことを。

「チームとして先発ピッチャーは30分、20分前にブルペンに行って、その日の先発ピッチャーのウオーミングアップを見に行くというのが文化としてこのチームにはあるんですけど、それがどういった効果、意味があるのかというのをみんなに説明してくれというふうに言われたので、それをみんなには説明しました。緊張しました。みんな見ているので、初めてその環境でしゃべったのですごく緊張してしまって、思ってたのは話せなかったですけど、でも自分のレベルがわかったので、そこからまた改善のしようがあるじゃないですか。これはいい機会をもらったなと思いましたね」

 

――松井投手はチームに溶け込んでいるか。

「1回サンディエゴで、ピッチャーは集まって練習とかがあって、その時にも来ていたので。その時にかなり溶け込んだというか、ずっとああいう感じでニコニコしてますし、みんなもいい感じの人だなという感じだったので、もうほんとに何の違和感もなくクラブハウスにいますね」

 

 

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 ■ 注目記事&コラム

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◆ フリー打撃ですら「ショータイム」大谷翔平の存在とプレーは米記者の習性をも変えた【番記者が見た】

阿部太郎氏/情報:中日スポーツ)

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 二刀流スーパースターとして、メジャーの顔となった大谷翔平は大リーグのルールを変えた。先発投手として降板しても、打者として残ることができる、いわゆる「大谷ルール」だ。

 

 そして、その存在とプレーは米記者の習性も変えている。ドジャースで、初の屋外フリー打撃をした大谷は21本中10本の柵越え。その場には、日本メディアだけでなく、米記者も自身の携帯で映像などを撮りながら柵越えの数を数えた。

 

 基本的に、日本の記者と違って、練習を見る米記者は少ない。クラブハウスや現場で選手に取材して話を聞き、「ストーリー」に特化することが多い。

 

 もちろん、けがの選手がどの練習まで進んだのかなどを書くことはあっても、監督や選手に聞いて書くことが多く、日頃の練習に目を配ることはあまりしない。

 

 だが、大谷のフリー打撃は違う。一つの「ショータイム」で、米記者もグラウンドで大谷の一挙手一投足を見つめて記事化する。この日はけがから復帰後、初の屋外とあってなおさらのことだった。

 

 ロサンゼルス・タイムズでドジャースを長く取材するディラン・ヘルナンデスさんはこう語る。「ロサンゼルスはスターの街。とにかく、全米の顔で、今野球界で唯一と言ってもいいスターの大谷のニュースが出したい。だから、彼の練習も見にいくし、それを書く」。(阿部太郎)

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◆ 大谷翔平さすがの“超感覚”特大弾連発「90%くらいの力」の打撃感覚と打球速度データほぼ一致

斎藤庸裕氏/情報:日刊スポーツ)

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 【グレンデール(米アリゾナ州)12日(日本時間13日)=斎藤庸裕】ドジャース大谷翔平投手(29)が、キャンプイン後初のフリー打撃で特大弾を連発した。昨年9月4日に右脇腹を痛めて以来、161日ぶり。21スイングで右方向からセンターを中心に10本の柵越えを放った。打撃感覚と実際のデータもほぼ一致する“超感覚ぶり”。3月20日の開幕戦パドレス戦(韓国・ソウル)での打者復帰に向けて、順調な調整を見せた。

 

    ◇   ◇   ◇

 

 スカイブルーに向かって大谷が放った白球は、強烈だった。静けさが残る中で、破裂しそうな甲高い打球音が何度も響いた。インパクトの瞬間に力を入れ、声を上げながら21スイング。161日ぶりに屋外でのフリー打撃を終え、大谷は「いい感じでしたし、結構強く振れていたので、打球自体も良かった」と納得の様子で、「トレーニングの成果もしっかり出ている」と、充実感をにじませた。

 

 球団の映像によると、トラックマンのデータで打球速度の最速は109・4マイル(約176キロ)。「最後の2、3スイングは90(%)ちょっとくらいの力加減で振っているので、数値的にもそれくらいですし、むしろちょっと高いくらい」と振り返った。

 

 パワーだけでなく、データと数値に誤差がほとんどない緻密な感覚が、大谷の驚くべき能力の1つ。自己最速は22年シーズンで計測した119・1マイル(約192キロ)。大谷の言葉通り、9割超(91%で計算)となると108マイル前後で、ほぼ一致する。久々の屋外打撃にもかかわらず、超感覚が宿っていた。

 

 わずかな誤差を生んだのは気候だ。「思ったよりは(数字が)出てましたね。ただアリゾナなので(乾燥していて)ちょっと飛びますし、打球も速くなるので、そこを考慮するとイーブンくらいかなと思います」。19スイング目は唯一、フォロースルーが片手になって体勢を崩したが、左翼フェンスを越えた。「アリゾナショットだな」とボソリ。打球が飛びやすいことを差し引いても、打ち損じで柵越えは驚異的だった。

 

 それだけではない。手術した右肘のリハビリが続いているため、右腕には黒のサポーターを着用。完全に腕が伸びきらないように、ある程度の制限があったはず。その状態でも最後の2スイングは右方向とセンターに推定140メートルの特大弾をかました。3月20日の開幕戦で打者復帰へ「スケジュール通り、内容自体はいいんじゃないかなと思うので、このまま順調にいけば(間に合う)というところかなと思います」。フリー打撃の合間に「ハハハハハ」と大笑いする姿が、何より順調な証拠だった。

 

 ○…大谷は昨年手術を受けた右肘に保護器具をつけて打撃練習を行った。器具はドイツに本社がある「バウアーファインド社」の「スポーツエルボーブレース」で、肘の屈曲は自由にできながら、ダイヤルで調整することで肘の伸展をミリ単位で制限できる。米支社がMLBのトレーナー協会と提携しており、ダルビッシュ(パドレス)の手術も行った肘手術の権威ジェームズ・アンドルーズ医師と共同開発した。119グラムと軽く、代理店パシフィックサプライによると、日本国内では昨年6月まで2万6000円で販売されていた。

 

 ◇大谷のライブBP

 

 (1セット目)

 

 <1>左飛

 

 <2>中本

 

 <3>左中間

 

 <4>中本

 

 <5>右本

 

 <6>ファウル

 

 <7>右本

 

 <8>中本

 

 <9>右飛

 

 <10>右本

 

 <11>中直

 

 (2セット目)

 

 <1>ファウル

 

 <2>中直

 

 <3>右ゴロ

 

 <4>右直

 

 <5>右中直

 

 <6>右中本

 

 <7>右直

 

 <8>左本

 

 <9>右本

 

 <10>中本

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◆ 去就が注目されたカーショーをドジャースに残留させたもの 今季のチームが持つ最大の魅力とは

杉浦大介氏/情報:スポニチ)

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 オフの大補強でスーパースター軍団となったドジャース。もちろん大谷翔平、山本由伸といった新加入選手も注目だが、エース左腕、クレイトン・カーショー投手の復活なるかどうかからも目が離せない。ドジャース一筋のフランチャイズプレーヤーも3月で36歳。FAになったオフに左肩を手術したことで去就が注目され、引退か、あるいは故郷チームであるレンジャーズへの移籍を予測する声もあった。

 

 「これまでの人生で大きな決断はしてこなかった。ドジャースにドラフト指名され、高校時代からの彼女と結婚した。その過程でも決断は多くなかった。いくつか選択肢があったのはこのオフが初めてで、簡単ではなかった」

 

 そう語ったカーショーは結局、バッテリー組のキャンプイン直後の9日にドジャースと2年最大3750万ドル(約55億5000万円)で正式契約を結んだ。その背景にあったのは、「あのまま終わりたくなかった。チーム、私のどちらにとっても、(昨季の)終わり方は楽しいものではなかった」という思いだったという。

 

 昨季も13勝5敗、防御率2・46と健在ぶりを示したが、プレーオフのダイヤモンドバックス戦では初回、1死を取っただけで6失点降板と大炎上。ドジャースは3連敗で下位シードのチームに苦杯を喫した。通算210勝、サイ・ヤング賞3度の大投手が、その後にドジャースを去りたくなかったのは理解できる。

 

 同時に、大谷らが加わった今季のチームなら、という気持ちもあったようだ。

 

 「今オフ(の補強)は見ていても凄かった。このチームの一部になりたいと思う自分がいた。オフの勝者になっても何も意味はないが、才能ではこれまでで最高。私もその一部になれることを願っている」

 

 誰もがうらやむ充実したキャリアを過ごしてきたが、世界一の経験はパンデミックで短縮シーズンとなった2020年のみ。大谷、山本、フレディ・フリーマン、ムーキー・ベッツ、ウォーカー・ビューラー、タイラー・グラスノー、ウィル・スミスらの役者がそろった豪華メンバーのチームで、もう一度世界一になりたい。もしかしたらその時には、心置きなくフィールドを去れるのかもしれない。

 

 「(復帰は)うまくいっても夏だろう。夏の早い段階ではない。それより早くなっても遅くなってもよくないから、タイムテーブルを口にはしたくない。まだ分からないけど、7月か8月の間くらいだと思う」

 

 左腕エースがマウンドに戻ってくる時、ドジャースタジアムは万雷の拍手に包まれるに違いない。そしてその後、ポストシーズンに向けてコンディションを整えていけるのかどうか。希望のシナリオ通り、大谷らとともに2度目の世界一にたどり着けば、伝説的なキャリアの最高のクライマックスになるはずである。(記者コラム・杉浦大介通信員)

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 ■ NOTE

 

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