2024年2月10日

 

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 ■ 今日の大谷翔平(関連NEWS)

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◯ 大谷が移籍後1年目のキャンプ初日を迎えた。この日は、室内でのトレーニングのみでフィールドには姿を見せなかった。約200人ほどのファンも駆けつける中、大谷は現地午前8時30分頃に球団施設に訪れ、日米合同の囲み取材に対応。

 

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球団施設に入った大谷はその後、外に出ることはなし。通訳の水原一平氏が山本由伸に同行してブルペンに行く姿が見られたが、水原通訳が戻り、12時30分頃に球団施設を後にした。

 

 

――リハビリがあり大変なオフだった。

「新しいチームですので。1年目のつもりで。まずは環境に慣れるのが最優先かなと思います」

 

――リハビリの方は。

「強度は100に近いので。あとはマシンだったりだとか、実際の投手の球を打つ段階だと思います」

 

――チームについては。

「まずはお互いに知ることからかなと思うので。僕のバッティングの感覚だったり、どういう風にバッティングのプロセスを、チームとして進めていくのかを理解しながら。まずはそこからかと思います」

 

――チームメートとは。

「今のところいい人ですし、話しやすい人たちばかりかなと思います。あったことない人たちもまだいるので。挨拶をたくさんの人にするので。そこからですけど。今のところは楽しくやれているのかなと思います」

 

――投手としてのリハビリは。

「初めてではないので。2019年も同じような感じではやっていますし、ある程度プロセスは理解しているので。前回よりもスムーズにいくんじゃないかなと思います」

 

――関係者とのコミュニケーションは。

「自ら行きますね。基本的には自ら行きます。結構いろんな人にあいさつするので。2回目のあいさつに行かないように(笑)。一発目で覚えられるように。もし(2回目のあいさつに)行ったときは勘弁してほしいなと思います」

 

――会うの楽しみにしていた選手は。

「(ウォーカー・)ビューラー選手と(ギャビン・)ラックス選手は1か月前からずっと一緒にやっていたりしていたので。楽しみにしていたというよりは、最初にあった2人が凄い楽かなと」

 

――バッティングはもう一段階あるか。

「バッティングはそうですね。1段階とは言わず、まだまだあると思っているので。入る打線によってやることはもちろん変わってきますし。ただ、自分の技術だったりは変わらないので。そこは先があるのかなと思います」

 

――シーズン中のバッティングルーティンは変わるか。

「変わらないですね」

 

――スプリングトレーニングでは何を大事にしたいか。

「まずは環境になれるのが一番かなと思うので。チームメート、コーチ、スタッフとコミュニケーションが先かなと思いますし、その先は毎年キャンプでやることは変わらないので。ただ、投げることは2か月くらい先なので。そこは考えずに、まずバッティングのことだけ考えて。怪我をせずにしっかりと今シーズン乗り切れるように」

 

――施設の印象は。

「まとまっているなと。コンパクトに。必要なものがまとまっていて使いやすいなと。今のところは使っているところが限られていて、グラウンドも使っていないので。そういう印象かなと思います」

 

――環境で前と違うところは。

「大きくは変わりはしないと思いますけど。トレーニングに関しては一緒にやるスタッフによって多少、毛色がちがかったりはするので。そこはコミュニケーションですよね。自分がどういうトレーニングを優先したいのか、その人がどういうトレーニングを推奨しているのか。そこも話し合いながらやりたいなと思います」

 

――例年のようなトレーニングできなかった分どう時間を補ったか。

「バッティングは去年かなりいい感じをつかめていたので。基本的にはそれを継続するところと、微妙に変えにいくところかなと思うので。今のところは大きく変えていないですし、必要なところで調整しながら。キャンプ中に直していければと思います」

 

――去年は軸になるものが見つかった。

「というよりは、何をすればいい状態が維持しやすいのか。調整法も含めてなんでこうなっているのかを理解すれば、好調を維持したりとか不調を早く脱したりとかしやすいのかなと思うので。そこは去年よかったのかなと思います」

 

――山本由伸の存在は。

「今ですか。チームメートですね(笑)」

 

――どういう風にチームを支えていきたいか。

「日本人だから日本語でコミュニケーションを取りやすいのかなと思いますけど。そこはチームメートの一人。向こうもそうかと思いますけど、日本人だからと関係なく。全員がチームメートとして。ただ、ロッカーは隣なので話す機会は多くなりますけど。1年目なので分からないことあれば、僕の方が知っている部分はあると思いますけど、そういうところは一緒にやっていければと思います」

 

――グラブ贈呈、子どもたちへの伝えたいことは。

「伝えたいことはないですかね。シーズン前のやるべきことをやるべき場所かと思うので。当然メディアの方の前で話す機会は、オフシーズンより増えてきますけど。それはそれとしてやることは変わらず、まずはシーズンに向けて準備する大事な期間かと思います」

 

――ロッカーが隣のベッツ、山本らとの会話は。

「ムーキ―はこの間、ファンフェスの時にあったくらいで。こっちではあってないので。由伸は昨日会って、さっき新しい通訳さんとも話しましたけど、これからかと思いいます」

 

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◯ 大谷と山本由伸はロッカーが隣り同士に。貴重な内部を激写した画像をチームカメラマンが公開した。パーカー姿の大谷は椅子に腰かけ、グラブを手にしている。座っていることもあり、大きな太ももが露わに。視線の先にいるのは山本だった。画像をインスタグラムに公開したのはドジャースでチームカメラマンを務めるジョン・スーホー氏。文面で「スーホーのスクラップブック『新入りたち(New Guys)』」と紹介した。貴重な様子が早くも公となった形だ。

 

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◯ エンゼルス時代に1年目の大谷を指導したディノ・イブル三塁ベースコーチが、3月20日の開幕戦での打者復帰を期待。入団会見から数日後、ドジャースタジアムで再会を果たした際に「思いっきりハグして、彼の顔を見ても、とてもうれしそうだった」と明かした。手術した右肘のリハビリと打者調整を並行する大谷については「個人的には、開幕で彼は準備できていると思っている」と話した。

 

 

◯ 大谷が10日、アンバサダーを務めるポルシェ・ジャパンのインスタグラムに登場。電気自動車「タイカン」を背にポーズを決め「次の夢に向かって、新たな章の始まり。Driven by Dreams. A new chapter begins.」とつづられた。青い照明の中にたたずむブルーの「タイカン」の写真が2枚目につけられた。

 

 

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 ■ ロサンゼルス・ドジャース情報

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◯ アンドリュー・フリードマン編成本部長(47)がメディア対応。

 

「このオフについては幸運だったと感じている。重要なステップを踏めた。ただこれまで多くのチームが、俗に言う『オフの勝者』になったと言われてきた。極めて重大なのはこれから公式戦にはいるまでの6週間だ」

 

「もともと才能ある選手が集まっていたけど、さらに才能ある選手を加えることができた。選手層は厚くなったし、ファームシステムも強力だ。今後については良い感触を持っている」

 

「(大谷について)良かったのはオフの間、ドジャースタジアムの施設を選手に開放していたこと。メジャーリーガーもマイナーリーガーもたくさん練習できた。翔平も来て、早く環境に慣れて、新しいチームメートに会うこともできた。彼にとって良い経験だった。我々は彼の野球に向かう姿勢が一流であることは知ってた。だが実際に見るまでは全てはわからない。彼は何をやっても、意図的に計画的に動いていた。トレーニングスタッフも、手術から戻ってきて何をやるにしても、ひとつひとつ意図がはっきりしている。こんな選手は見たことがないと話していた。ケージに入る時も、大抵の選手は最初は何気なくバットを振るだけだが、1回1回のスイングに意図があった。それはウエイトルームでもフィールドに出ても同じだった」

 

 

◯ ドジャースは9日(日本時間10日)、リハビリ組とバッテリー組のキャンプ初日を迎え、デーブ・ロバーツ監督がメディア対応。

 

――大谷の適応について。

「翔平は今オフ、ドジャースタジアムで多くの時間を費やしている。球場、運転、自宅周辺などに慣れているところだ。また、(キャンプ地の球団施設にも)早く来て、時間を過ごしている。彼を見ていると、すべてのことに意図を持ってやっているのがわかる。それはすごいことだが、驚きではない。今では多くのチームメートたちが彼がどのように動いているのかなどを観察し、学ぼうとしている。時間はかかるし、会話も必要だ。ただ、今でも彼がドジャースのユニホームを着ている姿を見て、(本当のことだと確認するために)自分(の頬)をつねらないといけない」

 

――総額7億ドルという契約のことばかりが騒がれず、チームに溶け込むことは重要か。

「彼がどれだけ凄い選手であるか、そして契約のことなども無視はできないが、結局のところ彼はただ単に勝ちたいだけだと思う。ドジャースの一員として勝ちたいんだ。だからこそドジャースを選んだ。組織のみんなの気持ちを代弁すると、我々はこれ以上ないほどエキサイトしている。彼は溶け込もうとしていて、私たちもそれを望んでいる。言葉でいうほど簡単ではないのかもしれないが、それが目標だ」

 

――大谷とどのくらい話したか。

「少し話をした。そんなに長くしたわけではない。彼は自分を厳しく統制している。毎分が大事なんだ。ただのんびりして、話しているわけではない。彼にはスケジュールがあり、それをこなしている。私もそれをリスペクトしている。ただ、長く話す時がこれから先に来るだろう」

 

――大谷の英語力は会話するに十分か。

「上手だ。上手だよ。彼が私にそう言ってほしくはないだろうが、私はそう思う。さっきも言った通り、まだ長い話はしていないが。私はイチローといい友人同士となったが、イチは英語を話せる。(大谷の)英語力がどれだけかまだわからないが、イッペイ(水原一平通訳)が周りにいる方が、まだ彼は落ち着くんだと思う」

 

――大谷はあなたにお辞儀をするのか。

「今朝、私たちはおはようと言い、彼は帽子を取ったから私もそうした。お互いの間にはリスペクトが存在するんだ」

 

――大谷がどんな人間かを感じられるか。

「私の長所の1つはそれぞれがどんな人間かを感じられることだ。(大谷には)素晴らしく謙虚なところと親切さがある。そして、彼の中にはライオンがいる。私にとっては完璧なコンビネーションだ」

 

――大谷がメディアにあまり喋らないことで、他の選手が対応することになる。そのことについて他選手と話すつもりか。

「私はバリー・ボンズと一緒にプレーした。(大谷、ボンズという)2人を比較するつもりはないが、ホームラン記録の最中、私はそれを望まない選手もいる中で多くの質問に答えた。だから(一部の選手と)話はするだろう。私たちは翔平が特別な選手だと気づいている。山本も加わり、ヨシ(山本)も関心をもたれている。結論を言えば、(大谷は)私たちをより良いチームにしてくれる。だから(何人かの選手と)話しておかなければならない」

 

――(大谷のメディア対応がない時に)日本メディアが話に行くべき選手は。

「ジェイソン・ヘイワードのところに行って質問しよう。それが私の希望だ。私はジェイソンが大好きだ。日本メディアはジェイソン・ヘイワードのところにいってくれ(笑)」

 

――ファンフェスタの際、フリーマン、ベッツ、大谷と打順について話すと言っていたが、その後、ファンに尋ねていた。

「まだはっきり決まっていないが、ファンの気持ちを聞きたかった(笑)。それは私の判断にも影響する。ムーキー、フレディはまだ来ていないが、翔平はいる。彼らが来たら話し合うことになる」

 

――ファンはどんな打順を望んでいたのか。

「ファンはムーキー、フレディ、翔平を希望した」

 

 

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 ■ 注目記事&コラム

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◆ 大谷番が見た「変化」 エンゼルス1年目と比較しても、米7年目の余裕にじませるドジャース一歩目

柳原直之氏/情報:スポニチ)

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 【ヤナギ タイムズ】日本ハム時代の13年12月から大谷を本格取材し、TBS系情報番組「ひるおび」、「ゴゴスマ」に随時出演するスポニチ本紙MLB担当・柳原直之記者(38)が、連載コラム「ヤナギタイムズ」をスタートする。第1回のテーマは「変化」。大谷自身や周囲の環境はどのように変わったのか。6年前の18年エンゼルス1年目のキャンプも含めて密着し続けた視点から、メジャー第2章の一歩目を追った。

 

 「ロッカーで隣のベッツ、山本とはどんな会話をしているか?」。キャンプ地で行われた大谷の会見。日米約80人のメディアが集結する中、せんえつながら私が質問の“トリ”を務めた。

 

 「ムーキー(ベッツ)とはファンフェスの時にちょこっと会った。由伸は昨日も会って、新しい通訳さんとも話した。(具体的な会話は)これからかなと思う」

 

 無邪気な笑顔で懐に入るうまさは天下一品。2人とも既にファーストネームで呼び「新しいチームなので1年目のつもり」と語ったが、表情には米7年目の余裕がにじんだ。

 

 エンゼルス1年目の18年キャンプは初日からフリー打撃に参加し、短い距離から速いテンポで投げるメジャー式に悪戦苦闘していた。米メディアはまだ投打二刀流に懐疑的な見方が大半。「今日初めてやったスタイルだったので、それ(周囲の視線)を気にする余裕はなかった」と初々しかったが、中堅左への135メートル弾で周囲の見る目が変わり始めた。

 

 この日は会見後はグラウンドには姿を見せず室内で調整した。右肘手術からの復帰段階ということを差し引いても、初日からアピールする必要性は皆無で、新天地でも自分のペースで過ごせている証だろう。

 

 ロサンゼルス・タイムズ紙のドジャース担当ホルヘ・カスティーヨ記者は「翔平は史上最高の選手。メディアの数、ファンの数、全てが完全に変わる」と語った。

 

 監督やチームメート、チームの顔であるカーショーさえも、周囲の見る目、口にする言葉がその存在感を大きく映す。昨年3月のWBC決勝前、大谷はベッツの名前を挙げて「彼らに憧れるのをやめましょう」と呼びかけたが、今や大谷こそがメジャー全体から憧れのまなざしを注がれる存在となった。(柳原 直之)

 

 ◇柳原 直之(やなぎはら・なおゆき)1985年(昭60)9月11日生まれ、兵庫県西宮市出身の38歳。関学大では準硬式野球部に所属。3年半のメガバンク勤務を経て、12年スポニチ入社。遊軍、日本ハム担当を経て18年からMLB担当。

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◆ 大谷翔平流のコミュニケーション術、ドジャースの一員として『自ら行く』 孤立とは無縁なスーパースター

阿部太郎氏/情報:中日スポーツ)

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◇番記者が見た

 

◇9日 ドジャース春季キャンプ(グレンデール=米アリゾナ州)

 

 大谷流コミュニケーション術が発揮される時だ。ドジャースの一員として迎える初のキャンプが9日に始まった。大谷は「1年目のつもりで、まずは環境に慣れることが最優先」と語った。

 

 新たなチームメート、監督、コーチ、スタッフ、広報など。大谷はこの時期、いろんな人とあいさつをしながら、コミュニケーションを深める必要がある。

 

 大谷が心がけるのは「自ら(コミュニケーションを取りに)行く」ことだ。「まずは2回目あいさつ行かないように。一発目で(名前や特徴を)覚えられるように、もし行った時は勘弁してほしいな」と笑わせたが、自らが動いて積極的に溶け込みにいく姿勢を示した。

 

 昨年の侍ジャパンの時もそうだった。自分から後輩にあいさつをして名前を聞いたり、年齢を聞きながら距離をつめる。その後も会話したり、時にいじったりしながら、いつの間にか大谷ワールドを浸透させた。

 

 エンゼルス時代もメジャーのスーパースターでありながら、孤立とは無縁だった。仲間にちょっかいを出したり、笑い話をしたり。そういうコミュニケーションの取り方も、大谷の特別な才能だ。

 

 キャンプが終わる頃には、大谷を慕う後輩や仲間とじゃれ合う姿が想像できる。あの甲高い笑い声がドジャースのクラブハウスやグラウンドで聞こえるだろう。青のユニホームをずっと着ていたかのように。(阿部太郎)

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◆ 大谷翔平“対話ファースト”で土台作り「どういうトレーニングを優先したいとか」相互理解求める

斎藤庸裕氏/情報:日刊スポーツ)

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 【グレンデール(米アリゾナ州)9日(日本時間10日)=斎藤庸裕】メジャー7年目のドジャース大谷翔平投手(29)が、新天地で初キャンプを迎えた。昨年9月19日に右肘の手術を行い、今季は打者専念。3月20日の開幕戦(韓国・ソウル)で打者復帰が期待される。キャンプでは、積極的なあいさつと対話を最優先に“大谷流”の土台を作る。打撃練習でのスイング強度は100%に近い状態と明かしたが、この日はメディア対応以外で姿を見せず、軽めの調整で終え、さっそうと施設を後にした。

 

   ◇  ◇  ◇

 

 移籍しても、大谷のユニークさは変わらずだった。3・20の開幕戦まで40日。打者復帰に向け、キャンプ初日から打撃練習を行うのかと思いきや、むしろ軽めの調整で終えて、昼過ぎに早々と引き揚げた。練習施設の警備員は「大谷はどこ? 今日、ここに来ているの?」と、肩すかしを食らった様子。歴史的なFA移籍で注目度は高まる一方だが、リハビリと打者調整を並行する大谷本人は、マイペースに、静かに初日を終えた。

 

 もっとも、気持ちはフレッシュ。新1年生のように臨む。青空の下でメディアに対応し「新しいチームなので本当に1年目のつもりで、まずは環境に慣れる、チームメートにも慣れることが最優先。コミュニケーションを取りたい」と言った。この日、帽子をとってあいさつを交わしたロバーツ監督を始め、コーチ陣、同僚との対話を重視し、積極的に動く。「基本的に自ら行きますけど、いろんな人にあいさつするので、(同じ人に)2回あいさつに行かないように、へへっ」と照れ笑い。「1発目で覚えられるように。もし行った時は勘弁して欲しいなと思います」と、ちゃめっ気たっぷりに“先手”を打った。

 

 “対話ファースト”は、調整法が独特な大谷とチームの融合に不可欠だ。エンゼルス時代も密なコミュニケーションから“大谷流”を生み出し、4年目から開花した。ド軍のロバーツ監督は「より深い会話はこれからだが、(やり方を)尊重する」と調整を本人に一任する意向。大谷からすれば、チーム方針を踏まえて調整法を決める必要があるため「まずはお互いに知ることから。僕のバッティングの感覚だったり、どういうプロセスで進めていくか、チームとしてどういうプロセスで進めていくのか。まずはそこから」と、相互理解を求めた。

 

 キャンプ初日。大谷の調整メニューについて、球団広報の1人は、いったんは「彼は打撃ケージで練習していた」と話したが、確信がなく、結局は謎に包まれた。唯一無二の投打二刀流で、最適な調整法やリハビリスケジュールは、もはや大谷にしか分からない。「自分がどういうトレーニングを優先したいのかとか、普段はどういうトレーニングをしているとか、話し合いながらやりたい」。対話を重ね、“大谷流”の土台を作る。

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◆ 打者に専念する今シーズンも大谷翔平に期待がかかる“史上初”の快挙

菊地慶剛氏/情報:スポナビ)

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【日米メディアが集結する中でキャンプインしたドジャース】

 

 3月に実施される韓国での開幕シリーズを控え、全30チームの先陣を切ってキャンプインしたドジャースの施設には、日本メディアに止まらずケン・ローゼンタール記者をはじめとする多数のMLB敏腕記者たちが集結していたようだ。

 

 キャンプインがドジャースだけだったという側面もあるが、それ以上に今オフに巨額を投じ大型補強を断行し続けたドジャースが、今シーズン最大の関心事になっているからに他ならない。

 

 中でもプロスポーツ史上最高額となる10年総額7億ドルでFA移籍してきた大谷翔平選手と、MLB未経験ながら投手としてMLB史上最高額の12年総額3億2500万ドルの大型契約を獲得した山本由伸投手の日本人コンビは、米メディアの注目を浴び続けることになりそうだ。

 

 さらに大谷選手に関しては、つい先日ドジャースと再契約したクレイトン・カーショー投手が「ショウヘイは24/7(英語の慣用句で「週7日24時間」を意味し「四六時中」的なニュアンスで使用される)で注目を集めることになるだろうし、彼もそれにしっかり対応してくれると思う」と話しているように、早くも“ドジャースの顔”としてチームに寄せられる関心、期待を一身に背負う存在になっている。

 

【MLB公式サイトが打者専念でもMVP有力候補に】

 

 今更説明する必要はないが、大谷選手が史上初めて2度にわたりMVPを満票受賞したのは、二刀流として類い稀な活躍をしてきたからだ。そうしたMLBでは唯一無二ともいえる二刀流の価値が認められたからこそ、7億ドルという大型契約を獲得できた。

 

 だからといって打者に専念することになる今シーズンにおいて、大谷選手に対する期待が薄まることはあり得ないし、むしろ打者に専念することで、これまで以上の成績を求められることになるように思う。

 

 それを裏づけるかのように、MLB公式サイトでつい先日公開された「今シーズンのMVP有力候補リスト」に、ナ・リーグではムーキー・ベッツ選手、ロナルド・アクーニャJr.選手に続き第3位にランクされている。

 

【DH選手がMVP受賞すれば史上初の快挙】

 

 ちなみに大谷選手が今シーズンもMVPを受賞するようなことになれば、これまた史上初の快挙を達成することになる。全米野球記者協会による記者投票でMVPが決定するようになって以降、DH選手がMVPを受賞したことが一度もないのだ。

 

 しかも2年連続MVP受賞となれば、2012、2013年と連続受賞したミギュエル・カブレラ選手以来史上14人目、15度目の快挙も同時達成することになる(バリー・ボンズ選手が2度達成)。

 

 さらにナ・リーグ、ア・リーグ2つのリーグでMVP受賞となると、1961年のレッズ在籍時と1966年のオリオールズ在籍時にMVPを受賞したフランク・ロンビンソン選手以来史上2人目の快挙でもある。

 

 両リーグMVP受賞に関しては、2018年のレッドソックス在籍時にMVPを受賞しているチームメイトのベッツ選手も達成できる可能性があり、チーム内で激しいタイトル争いが期待できそうだ。

 

 ちなみにMLBのデータ専門サイト「Fan Graphs」がまとめている選手の貢献度を示す「WAR」指標によれば、昨シーズンの大谷選手は135試合の出場に止まった打者のみのWARでも6.6を残しており、MLB全体でも5位に入る高数値となっている(投手のWAR2.4を加えた9.0はMLBトップ)。

 

 仮に大谷選手が打者として昨シーズン並みの成績を残し、ケガなくシーズンを乗り切れれば、さらに高いWARを残すことが可能にとなり、間違いなくMVP争いに加われるだろう。

 

 MLB公式サイトでも「DH選手がMVPを獲得できないという壁を打ち破れるとすれば、それはオオタニだろう」と多大な期待を寄せている。

 

【多少気になるナ・リーグ投手との対戦成績】

 

 ただDH選手のMVP受賞は、決して容易なことではない。

 

 これまでDH選手によるMVP投票の最高位は、1993年のポール・モリター選手、2000年のフランク・トーマス選手、2005年のデビッド・オルティス選手の2位だ。ちなみにトーマス選手は2度のMVP受賞経験があるが、その当時はDHではなく主に一塁手としてプレーしていたので対象外にしている。

 

 またオルティス選手は、2005年に打点のタイトルを獲得しMVP投票2位に入っているのだが、翌2006年には打点と本塁打の二冠王に輝きながら投票3位に終わっている。それほどDH選手にとってMVPというタイトルは遠い存在なのだ。

 

 しかも大谷選手は、ナ・リーグ投手との対戦成績があまり芳しくない。過去6年間の交流戦での打席成績をみると、打率.269、16本塁打、49打点、OPS(出塁率と長打率を足した数値).848に止まっている。

 

 ただ2020年までナ・リーグではDH制が採用されておらず、2022年まで交流戦も限定的に実施されたいたこともあり、対戦機会が極端に少なかった面が影響していると考えられる。

 

 そのため30チーム総当たり制に変更された昨シーズンだけをみれば、打率.283、8本塁打、19打点、OPS.923と好成績を残している。それでも昨シーズン全体の成績と比較すれば、やや物足りなさを感じてしまう。この点をどこまで改善できるかが、今シーズンの成否のカギを握っているように思う。

 

 いずれにせよ、打者に専念する今シーズンも大谷選手には史上初の快挙が期待されているというわけだ。注目せずにはいられないだろう。

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ジェーソン・ヘイワードの献身的な姿勢にチームが信頼、絶対的リーダー/世界一へ共闘する仲間たち

四竈衞氏/情報:日刊スポーツ)

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<大谷と由伸の相棒たち>

 

 大谷翔平投手(29)と山本由伸投手(25)が今季から名門ドジャースに加わった。世界一を目指し、共闘する仲間たちを紹介する。

 

     ◇    ◇    ◇ 

 

 メジャー15年目を迎えても、大ベテランのチームに対する献身的な姿勢は変わっていない。昨季終了後、ドジャースがジェーソン・ヘイワード外野手(34)と再契約したのも、純粋な戦力としてだけでなく、絶対的なクラブハウスリーダーとして評価しているからに他ならない。米球界では、いかに総合力が抜きんでても、過酷なポストシーズンを勝ち抜くためには、経験豊富なベテランのリーダーが不可欠と言われる。今季のドジャースで、その役割を務めるのがヘイワードと言っていい。

 

 ブレーブス時代の10年。デビュー戦となった開幕戦の第1打席で、いきなり3ランを放ち、走攻守を兼ね備えた「5ツールプレーヤー」として活躍してきた。15年オフには、8年総額1億8400万ドル(当時レートで約221億円)でカブスへ移籍。16年には、世界一にも大きく貢献した。インディアンス(現ガーディアンズ)とのワールドシリーズ第7戦では、降雨中断中に選手だけのミーティングを行い、自ら先頭に立ってスピーチ。「我々は依然としてベストのチーム。この試合に勝てる」と同僚を鼓舞し、相手へ傾きそうだった流れを取り戻し、勝利の原動力になったと言われる。

 

 その一方で、近年は衰えを指摘する声も多く聞かれた。22年は、故障にも苦しみ、48試合でわずか1本塁打。出場機会が激減し、8月途中には、実質的な「戦力外」となりチームから離脱。オフには、契約を1年残しながら自由契約となり退団した。

 

 だが、まだあきらめてはいなかった。昨オフ、ドジャースとマイナー契約を交わし、春季キャンプには招待選手として参加。オープン戦で状態の良さをアピールし、開幕メジャーをつかみ取った。その結果、124試合に出場し、打率2割6分9厘、15本塁打と完全復活を果たした。ゴールドグラブ4回の名手は「どんな役割であっても、僕は準備する」と、外野すべてのポジションだけでなく、一塁もこなすなど、チーム事情を理解したうえでプレーした。

 

 今季は、これまで主に右翼を守っていたベッツが二塁に専念することもあり、ヘイワードへの期待値も高い。12年に自己最多の27本塁打を記録した長打力にも、依然として陰りは見えていない。大谷、山本が本来の実力を発揮してポストシーズンへ進出した時、大ベテランのヘイワードが先頭に立って、世界一への案内役を務めるに違いない。【四竈衛】

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 ■ NOTE