2023年12月18日

 

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 ■ 今日の大谷翔平(関連NEWS)

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◯ 先週末、ロサンゼルス・ドジャースへの入団会見を行った大谷翔平。早速、ドジャースタジアムで練習をする様子が地元メディアで報じられた。通訳の水原一平さんも見守る中、青いTシャツに短パン姿でランニングやストレッチを行うなど、来シーズンに向けた準備は着々と進んでいるもよう。

 

◯ 大谷の壁画が本拠地のロサンゼルス近郊に早速登場した。ドジャースタジアムから車で40分ほど南下した「ハーモサビーチ」の住宅街には1番打者のベッツと並んでドジャースのユニホーム姿の大谷の壁画が並んでいる。制作者で壁画アーティストのグスタボ・ゼルメノ・ジュニアさん(36)は「ドジャースと契約を結んだと知って、家主(店舗)に許可をもらって描いている。ワールドシリーズ優勝に導いて欲しいと願いを込めている」と笑みを浮かべた。ガールフレンドと友人の3人で作業中で、最終完成まであと6日ほどかかる予定。ここ数日は日米問わずドジャースファンが頻繁に写真を撮りに来るなど“観光地化”しているという。その他にもダウンタウンにドジャースのユニホーム姿でバットを持つ大谷と「SHO―TIME」と描いた壁画が登場。ロサンゼルスの熱狂的なファンが大谷の来季の活躍を今か今かと待ちわびている。

 

 

◯ 大谷翔平がドジャースと契約したことで、3月28日にドジャーススタジアムで行われるカージナルスとの本拠地開幕戦チケットの値段が高騰している。USAトゥディ紙のボブ・ナイチンゲール記者が17日(日本時間18日)に報じた。流通市場での平均の値段は390ドル(約5万5000円)だったのが983ドル(約14万円)にまで急上昇した。特に高額のダグアウトクラブのチケットは9893ドル(約141万円)と1万ドルに近づいているという。一方で、大谷のいないエンゼルスのホーム開幕戦(4月5日の対レッドソックス)は安いものなら36ドル(約5120円)で手に入るだろうとしている。

 

◯ 巨人・岡本和真内野手が18日、ドジャースに10年7億ドルで加入した大谷に仰天した。「ひと1人が稼ぐ金額じゃないでしょ。大企業。社員が何万人もいるような。ほんますごいなって思います。えげつないなって思います」と話した。「やばいやん。大企業ですもん。ほんまの企業でしょ?1000億稼ぐって。そんなことあるんですね。すごいです。そんな人と一緒に野球やったんだな…と思います」とぼう然とした表情。この日はジャイアンツ球場で練習した。

 

◯ スピードスケート女子で22年北京五輪金メダリストの高木美帆(29)=TOKIOインカラミ=が18日、欧州遠征を終えて帰国し、羽田空港で取材に応じた。このほど、同学年の米大リーガー・大谷翔平(29)がドジャースに移籍することが決定。今年3月のWBCでは東京ドームで現地観戦もしていた高木は「同世代の方が新しい場所で大きな挑戦をまた始めるのは、私も刺激をもらうことがたくさんあって、私ももっと頑張ろうって思える。すごいなっていうのが一番の感想」と語り、「契約の中に大谷選手の真意が現れていたという記事を読んだりして、そういうところでも素晴らしい選手なんだなと感じた。私も(独立して新チームをつくった)この環境を大事にして、さらに強くなるためにチャレンジすることを忘れないでいきたい」と実感を込めた。

 

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 ■ 注目記事&コラム

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◆ 大谷翔平が自宅で告げた「ドジャース入り」の決断…エンゼルスと大谷はなぜ別れることになったのか? 移籍で明らかになった“29歳の価値観”

笹田幸嗣氏/情報:NumberWEB)

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 大谷翔平はドジャース入り決断の理由をシンプルに語った。

 

「野球選手として、あとどれだけできるかっていうのは、正直誰もわからないですし、勝つことっていうのが、僕にとって『今、一番大事』なことかなと思います」

 

大谷は最後までエンゼルスと交渉を続けていた

 このオフ、大谷と代理人のネズ・バレロ氏が隠密交渉を貫いたことで、大谷の価値観がどこにあるのか、情報は錯綜を極めた。

 

 これまでの大谷の生き様を考えれば、二刀流をともに育んできた愛着あるエンゼルスと再契約し、盟友マイク・トラウトとともにエンゼルス再建を目指すのではないか。そんな決断も想像したが、選手生命には限りがある。『今』を重視したことは、選手として当然のことといえる。

 

 とはいえ、大谷は誰も経験したことのない未知なる世界を自ら切り開き、実現不能、漫画の世界とも思われたリアル二刀流をメジャーリーグという球界最高峰の場で現実のものとしてきた。己を信じ、固定観念にとらわれず、後へと続く者に新たな道を残す。それが彼のレガシーだと信じてきた。だからであろう。彼にとってエンゼルスはやはり特別なチームだった。ネズ・バレロ代理人は最後までエンゼルスと交渉を続けた事実をドジャースタジアムでの入団会見で明かした。

 

「ペリー(・ミナシアンGM)を通してエンゼルスとは話してきた。最後まで彼とは何度か会話をした。そして、結局はうまくいかなかった。それでドジャースに行くことにしたんだ。最後までエンゼルスとはコンタクトをとっていたよ」

 

エンゼルスの返答は、大谷が期待したものではなかった

 

 話は12月8日午前に遡る。バレロ代理人はドジャースのアンドリュー・フリードマン編成本部長に10年総額7億ドル(約1015億円)のうち97%に当たる6億8000万ドル(約986億円)の後払い契約を受け入れるのかを最終確認したという。答えは「YES」。その回答を持ちあらためてエンゼルスに連絡を入れた。

 

「エンゼルスはスペシャルだ。だから少なくとも最後にディスカッションする権利があると思っていた。そして、それを私は行使した。なぜなら彼(翔平)はそこでプレーするのが本当に好きだった。そこにいる人をすべて愛していた。だから私は彼らに機会を与えるアイディアを逃したくなかった」

 

 大谷の思いを汲んだ代理人のエンゼルスへの誠意。だが、返答は彼らが期待したものではなかった。

 

自宅で伝えた「ドジャース入りの決断」

 

 ロサンゼルス・タイムズ紙をはじめ複数の米メディアが伝えたところによると、アート・モレノオーナーは契約総額、年数、後払い等、同じ条件でのオファーには応じなかったという。過去にエンゼルスとしての事例がないということがモレノオーナーの決断理由だったとされている。

 

 この返答は大谷の決断を迅速にさせた。後払い方式は自らのアイディアによるものであったからだ。

 

「もともと後払いというのは、どの選手も大型契約にはつくものではあるので、そのパーセンテージについては選手に一任するというところではありますし、そこを含めて自分が今、受け取れる金額を我慢して、ペイロールに柔軟性を持たせるのであれば、僕は全然後払いでいいです」

 

 そして8日午後5時、バレロ代理人は動いた。USAトゥデーのボブ・ナイチンゲール記者によれば、エンゼルスの返答を持ち大谷の自宅を訪ねた。大谷はそこでドジャース入り決断の意思を伝えたという。それでも最後まで大谷はエンゼルスへの思いを口にした。

 

「私にメジャーリーガーとして最初のチャンスを与えてくれたエンゼルスのみなさん。今、振り返っても素晴らしく大切で忘れられない6年間を、そんな思い出をありがとうございました」

 

「来るということは去るチームもある。日本でいえばファイターズ、今回はエンゼルスを去りましたけど、そこの寂しさというのも心の中にあるのは事実と思います」

 

たとえエンゼルスがドジャースと同じ条件を提示しても…

 

 エンゼルスのモレノオーナーが同じ条件を受け入れたとしても、結果がどうなっていたかはわからない。答えは大谷のみぞ知るということになる。だが、今回の一大騒動、顛末を振り返り思うことがある。

 

 大谷が「今、勝ちたい」という思いを優先させた事実だ。9頭身とも言われる格好よさ、お肌ツルツルの美貌、永遠の野球少年のような爽やかな笑顔。若々しい姿とプレースタイルにはまるで万年青年のような印象を持つ。だがその彼もすでに29歳。野球選手で考えれば、先が見え出した中堅どころとなる。

 

 確かに一意専心に野球と向き合う大谷であれば、この先15年プレーすることも可能だろう。だが、大谷の言葉にもあるように「野球選手としてあとどれくらいできるかは誰もわからない」。高校時代に作った目標達成シートの中でスケジュールが遅れているのも「ワールドシリーズ制覇」の項目。と考えれば、たとえエンゼルスがドジャースと同じ条件を提示しても、結論は同じだったのかもしれない。

 

 何から何まで異次元、スペシャルと捉えられる大谷も来年7月には30歳を迎える。今を重視する決断は、彼も生身の選手だということを物語っている。

 

(「メジャーリーグPRESS」笹田幸嗣 = 文)

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◆ 大谷翔平トロント騒動記者を入団会見現場で直撃! ひとり元気なくつぶやいて…

青池奈津子氏/情報:東スポ)

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【元局アナ青池奈津子のメジャー通信】

 

「彼が(会見の)ステージに上がる時に流れていた音楽が気になった。ビリー・ホリデーの『ラヴァー・マン』。どんなムードを演出しようとしているんだ? キャンドルやコニャックが必要じゃないか?と思ったよ」

 

 このように独特でウイットに富んだコメントを口にしたのは、12月からドジャース専門サイト「ドジャーネイション」に転職したばかりのJ.P.ホーンストラ記者(以下J.P.)だ。

 

 14日(現地時間)に行われた大谷翔平投手(29)のドジャース入団会見の現場で10人ぐらいに感想を聞いて回ったが、音楽のことを口にしたのはJ.P.だけだった。

 

 そんな独自の視点を強みに活躍する彼が、あの“大谷トロント騒動”を巻き起こす張本人となってしまった。大谷本人によるドジャース入団発表の前日13日に「MLBネットワーク」のジョン・モロシ記者とともに、J.P.が「ブルージェイズと契約することになりそうだ」などと発信した速報によって大谷がブルージェイズと契約すると確信した人が続出。実は全然関係のない実業家が搭乗していたアナハイム発トロント行きのチャーター便に世界中の目が注がれるという珍現象が発生した挙げ句、他のビートライターから「大谷は家にいる」と突っ込まれ、数日後には謝罪動画を出すハメになった。

 

 終わってみればドジャース・大谷の誕生で「世紀の契約らしい見事なエンタメ性だったね」などとなじみの記者らとのんきに語り合っていたが、J.P.だけは「僕らのような速報を扱っている人間にとって間違いはあるものと覚悟しているんだけどね」とつぶやくなど元気がなかった。

 

 励ますつもりで「大谷の取材を続けられるから、ある意味良かったのでは?」と言ってみると一瞬考えた後に「いやいや…」と否定し、こう続けた。

 

「オオタニの取材がいかに意義のあるものだとしても、やはり情報が合っていてほしかったかな。自分の名前を載せているからね。今回のプロセスは間違っていないと思うけど情報源はわずか2人。ここまで大きな話題だっただけに、その反響はつらかった。正解を伝えたいと思うから、あの時は本当にトロントへ行くと信じて書いたんだ」と言った後、こうも続けた。

 

「野球以外も全て伝えなければならないのがこの仕事の最も楽しくないところ。オオタニにはインタビューできる機会が少なく、いつも期間が空いているため大勢のメディアが押しかける。最近じゃ、まるでサーカス。欲しいと思うコメントには時間が足りない。楽しいのは、彼の野球を眺めていられる時。彼がトロントに行っていたら自分は向こう10年間、史上最高の選手の野球を見逃すところだったけど確かにそれはなくなった。これからも取材を続け、子供たちが大きくなったら『お父さんはオオタニの取材をしているんだよ』と自慢できるかもしれない」

 

 まだ終わってはいないが、今オフのMLBストーブリーグは、まさに「サーカス」のようだ。「大谷サーカス御一行さま」が街にやってきて「準備中」の看板が出ているのにしびれを切らした報道陣やファンらが次々に“公演”を開始。サーカスがパレードに変わりそうなところで花火を打ち上げて終了したかのような、お祭り騒ぎだった。

 

 大谷本人は、そんな“オオタニ狂騒曲”の様子をどう見ていたのだろうか――。少し早いですが、皆さま、良いお年を! 

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◆ ドジャース編成本部長が告白 大谷翔平獲得決定の瞬間「バレロから『あなたたちは彼を手に入れた』と言われたんだ」

(情報:COCOKARA)

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 去る12月11日、ドジャースは今オフにエンゼルスからフリーエージェントとなった大谷との契約を正式に発表した。10年総額7億ドル(約1015億円)の超巨額契約に加え、全体の97%を後払いとする異例の支払い形態が世間を驚かせた。

 

 エポックメーキングな契約によって熾烈を極めた争奪戦を制したドジャース。大谷獲得が決まった瞬間は、関係者たちも「安堵した」という。

 

 12月14日に本拠地ドジャー・スタジアムで実施された入団会見後に、MLB公式ネットワーク局『MLB Network』に出演したアンドリュー・フリードマン編成本部長は、大谷の代理人であるネズ・バレロ氏から電話を受けた際のエピソードを明かしている。

 

「(移籍決定の)電話は私が受け取った。あの時はちょうどZoomで会議をしていてね。息子のサッカーの試合に向かう移動の車内で他の選手をリクルートするところだったんだ。その時に電話が鳴って、『ネズ・バレロ』と表示されたんだ。だから、『みんな、やばい! 電話が来た。出なきゃ!』と言って、Zoomを切ったんだ」

 

 さらにフリードマン編成本部長はバレロ氏との会話も克明に振り返っている。

 

「会議を抜け出し、息子の試合がやっているグラウンドに向かいながら、彼(バレロ氏)と話した。そこで『あなたたちは彼を手に入れた。インスタグラムで数分後に発表するよ。あなたたちがショウヘイ・オオタニを獲得したんだ』と言われた。どう反応したかは覚えてないよ。とにかく私はすぐにマーク・ウォルター(オーナー)とスタン・カステン(球団社長)に電話で連絡をしたよ」

 

 また、球史に残る偉才を口説き落とした秘訣としてフリードマン編成本部長は、「とにかく彼を知ることが大切だった。フロントオフィスから監督をはじめとするコーチングスタッフ、トレーナーも全員が同調することがね」と告白。そして、こう続けている。

 

「過去10年の成功をどう定義しようと、私たちの目標は次の10年をより良くすることにある。私たちにとって勝つことが全てであり、それが彼(大谷)の希望と完全に一致したんだ」

 

 異例と言われた大谷のオプトアウト(契約解除)の条件にも、解雇された場合に組み込まれているフリードマン編成本部長。2014年にレイズから引き抜かれ、“常勝軍団”を支えてきた仕事人なくして、世界を震撼させたメガディールは実現しなかったと言えよう。

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◆ 大谷翔平が移籍したドジャースがポストシーズンで勝てていない理由 短期決戦での戦い方を考察

奥田秀樹氏/情報:webSportiva)

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大谷翔平がロサンゼルス・ドジャースと10年総額7億ドル(約1015億円)という世界のプロスポーツ史上最大の契約を締結した。記者会見は、大谷とドジャースが勝利に対するあくなき渇望を再確認できる内容でもあったが、ここでは大谷とドジャースの未来を掘り下げて分析してみたい。前編はドジャースのここ数年の歩みとその背景、今日のMLBにおいて「勝つことの難しさ」について考えてみたい。

 

大谷翔平&ドジャースの未来考察 前編

 

【レギュラーシーズンに見劣りするポストシーズン】

 

 10年契約を結んだ大谷翔平の入団会見より2カ月前、ロサンゼルス・ドジャースのアンドリュー・フリードマン編成本部長はシーズン総括会見で苦悩の表情を浮かべていた。

 

 162試合ある公式戦で2年連続100勝以上を挙げながら、ポストシーズンでは前年に続いて地区シリーズで敗退したからだ。

 

「我々のゴールは10月に11勝すること(地区シリーズ3勝、リーグ優勝決定戦、ワールドシリーズ各4勝)、今年は1勝もできなかった。どうすれば結果を変えられるのか、答えを見つけないといけない。我々は今、分岐点に立たされている」と悔しがった。

 

 ドジャースは過去11年で10回の地区優勝、ワールドシリーズに3回進出し、1回世界一になった(2020年)。すばらしい成績だ。とはいえ、公式戦では勝率61.3%と圧倒的なだけに、この期間のポストシーズンの成績53勝50敗(勝率51%)は物足りない。特にこの2年は、同じナショナル・リーグ西地区でレギュラーシーズン中は圧倒していた相手にあっさり退けられた。2022年は22ゲーム差をつけ、直接対決でも14勝5敗だったサンディエゴ・パドレスに1勝3敗、2023年も16ゲーム差をつけ、8勝5敗と勝ち越していたダイヤモンドバックスに0勝3敗とスイープされた。

 

 なぜ勝てないのか。さまざまな理由が囁かれているが、特に指摘されるのは「勢いの差」だ。

 

 現行のポストシーズンフォーマットでは各リーグの第1、2シードチームはワイルドカードシリーズに出ないため、レギュラーシーズンの後5日間も休んで、地区シリーズを本拠地でスタートできる。一方で第3~6シードチームはワイルドカードシリーズ(2勝先取制)を戦わねばならないし、勝ち上がっても地区シリーズ第1戦の先発投手はエースではなく、日程上3番手か4番手になる。ドジャースは有利なはずだ。しかしながら何もできずに敗れた。22年にドジャースを破ったパドレスのボブ・メルビン監督(当時)はこう説明した。

 

「ワイルドカードのチームは公式戦の終盤からポストシーズン進出をかけた大事な試合を戦い続けているし、その結果、出られたということは、チーム状態も良くなっていたということ。しかも下のシードだから勝たなければというプレッシャーも少ない」

 

 一方で上位シードチームは5日の休みで実戦の勘がいくらか鈍ってしまっている。23年については先発投手陣が相次ぐケガと、左腕フリオ・ウリアスの家庭内暴力による逮捕などで、弱体化してしまっていた。とはいえ、自信を持っていた打撃陣もムーキー・ベッツとフレディ・フリーマンがふたり合わせて21打数1安打の不振で、3試合で6点しか取れなかった。

 

「これだけ才能ある選手が集まりながら、3試合27イニングで一度もリードを奪えなかった。その理由は解明しないといけない」と、フリードマン編成本部長は頭を抱えた。ポストシーズンで勝てないのは何か特定の原因があるのかと聞かれると、「わからない」と首を振るだけ。1年前と同じ返答だった。

 

【運の中に見出すべき必勝法】

 

 名著『マネーボール』の題材になったオークランド・アスレチックスの元GM、ビリー・ビーンも言っているように、データ分析を生かすことで、長期間のレギュラーシーズンはチームを好成績に導くことができるが、短期決戦のポストシーズンはそうはいかない。2004年にボストン・レッドソックス、2016年にシカゴ・カブスをフロントとして世界一に導いたセオ・エプスタインも「ポストシーズンは運だ」と言い切っていた。しかし今、分岐点に立つドジャースのフリードマンはそんな悠長なことは言っていられない。苛立つドジャースファンの不満に応えねばならない。

 

 12月14日、ドジャーススタジアムで背番号「17」の大谷のお披露目会見では、冒頭からフリードマンは熱弁を振るった。

 

「翔平は私の考えではこのスポーツをプレーしてきた中で、最も才能ある選手だ。我々は彼の才能を高く評価してきたし、メジャーに来てからも進化を続け、今最もダイナミックなプレーヤーになっている。これまで彼のことを遠くから見てきたが、特にワールドベースボールクラシック(WBC)で、真の力を見せつけた。緊迫した、特にプレッシャーのかかる場面で、しっかりと自分の実力を発揮することができる。大舞台であればあるほど、見事なプレーをする」

 

 ドジャースにとって幸運だったのは、勝ちたいという切迫感が大谷の心に響いたことだ。

 

 大谷は会見で「心に残っている言葉として、(球団オーナーのマーク・)ウォルターさん含めて、ドジャースが経験してきたこの10年間を全く成功と思っていないこと。それだけ勝ちたいという意志が強いんだなと」と説明した。勝利への切迫感は大谷も同様だ。

 

「野球選手として、あとどれくらいできるかは誰もわからない。ケガを重ねる度にいつ終わるんだろうっていう不安もあるし、確実に終わりに近づいているというのはある。それまでにやり残したことがないようにと思っている。勝つことが今の僕にとっては一番大事」

 

 どうすればポストシーズンでも勝てるのか。その答えを、大谷翔平とドジャースは見つけ出さねばならない。

 

◆大谷翔平&ドジャーズの未来考察・後編>>

 

奥田秀樹●取材・文 text by Okuda Hideki

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◆ 大谷翔平ドジャース入団で「MVPトリオ」誕生 B・ルースやW・メイズら超え史上最強トリオに

福島良一氏/情報:日刊スポーツ)

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 ついに、ドジャース大谷翔平投手が誕生しました。ワールドシリーズ優勝7回を誇る名門ドジャースに大谷が入団し、あの歴史と伝統あるユニホームに袖を通すとは夢のようです。また、メジャーを代表するスーパースター、オールスターの常連でもあるムーキー・ベッツ、フレディ・フリーマンと同じチームでプレーするとは、これまた夢のような出来事です。

 

 ご存じのように、ベッツはパワーとスピードを兼ね備えた球界屈指のリードオフマン。2018年レッドソックス時代に30本塁打30盗塁を達成。ア・リーグ首位打者、MVPにも輝き、チームの世界一に貢献。20年のドジャース移籍後も、いきなりチームに世界一をもたらしました。今年はナ・リーグMVP投票2位でしたが自己最多の39本塁打をマーク。また、ゴールドグラブ賞に6度も輝く外野以外に二塁、ショートを守るなど、まさに大谷も憧れるほどのオールラウンドプレーヤーです。

 

 一方、フリーマンもパワーとスピードを兼ね備えた超一流の左バッターです。20年ナ・リーグMVPに輝き、翌21年ブレーブスの世界一に貢献。今年はドジャースで2番打者として活躍し、打率3割3分1厘、球団新記録の59二塁打。そのうえ自己最多の23盗塁を決め、失敗は1つと抜群の成功率でした。ナ・リーグMVP投票ではベッツに次ぐ3位でしたが、これぞ「メジャー最強の1、2番コンビ」と言われました。

 

 その1番ベッツ、2番フリーマンのMVPコンビに、今年ア・リーグで2度目のMVPに輝いた本塁打王の大谷が加わり、夢の「MVPトリオ」が誕生しました。

 

 過去にはチームにMVP3人どころか4人、いわゆる「MVPカルテット」が誕生したチームもあります。最近ではドジャースが21年にアルバート・プホルスが移籍して来た時、コディ・ベリンジャー(現カブスFA)がまだ在籍しており、エースのクレイトン・カーショーを含め4人のMVPがいました。22年はプホルスが抜けましたが、フリーマンが加入しました。しかし、今回のベッツ、フリーマン、大谷のように、前年ア、ナ両リーグMVP投票で全員が3位以内に入り、しかもチームで1~3番打者を務めるというのは前代未聞です。

 

 米国ではドジャースのMVPトリオ誕生を受けて、現在のメジャー最強トリオが話題になっていました。それによると、1位はドジャースのベッツ、フリーマン、大谷、以下ブレーブスのロナルド・アクーニャ、マット・オルソン、オースティン・ライリー、アストロズのホセ・アルトゥーベ、ヨルダン・アルバレス、カイル・タッカー、ヤンキースのアーロン・ジャッジ、フアン・ソト、グレイバー・トーレスといった球団名と名前が挙がっていました。

 

 また、過去には1927年ヤンキースが「殺人打線」と呼ばれた時代のベーブ・ルース、ルー・ゲーリッグ、トニー・ラゼリ、60年代ジャイアンツのウイリー・メイズ、ウイリー・マッコビー、オーランド・セペダといったチームや名前が思い浮かびます。

 

 しかし、何度も言うように、過去に3人ともMVP受賞歴があり、今年ア・リーグMVPの大谷はじめ、ナ・リーグMVP投票2位のベッツ、同3位のフリーマンが同じチーム、しかも1~3番を打つというのは、まさに「史上最強のMVPトリオ」と言えます。

 

 ドジャースは、メジャーでいち早く国際化を目指したチームです。米国人のベッツ、米国とカナダ二重国籍のフリーマン、そして日本人の大谷という3人。今年3月のWBCはそれぞれ米国、カナダ、日本代表として活躍し、まさにドジャースを象徴する最強トリオとも言えます。

 

 ドジャースを率いるデーブ・ロバーツ監督は打順について「話し合いしなければいけない」とうれしい悩みを口にしていました。1番をベッツが打つにしても、2番をフリーマンと大谷どちらにするか、来シーズンの開幕ぎりぎりまで迷いそうです。いずれにせよ、パワーとスピードを兼ね備えた“ビッグ3”が1~3番を打つドジャースは、間違いなくエキサイティングで面白くなりそうです。【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)

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◆ 大谷翔平だからできた後払い 代理人が強調する“唯一無二”「今後も見ないだろう」

(情報:Full-Count)

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 ドジャースに移籍した大谷翔平投手の代理人を務めるネズ・バレロ氏が17日(日本時間18日)、MLBネットワークのラジオ番組「SiriusXM」に出演して、大谷の“後払い”契約について語った。

 

 大谷は10年総額7億ドル(約1050億円)のうち、ほとんどを後払いにしたとされており、実質の年俸は200万ドル(約2億9000万円)で来季から2033年まで臨むとされている。

 

 バレロ氏は「これほど極端な後払い契約は球界で見たことないし、おそらく今後も見ないだろう。ショウヘイは唯一無二の状況にいる。なぜなら、広告収入があるからこういう契約を結ぶことが可能だ。ぜいたく税の観点から見て、チームに競争力を持たせ続けることは、彼にとってとても大事なことだった」と説明する。

 

 さらに「誰がこんなことをするんだ? 彼しかいない。キャリアの次章で本当に優勝をしたいし、(自分のせいで)チームがトレード期限で選手を獲得できないという状況を作り出したくないと思っている」「我々は、これが正しいアプローチだと思っている。(極端な後払いを結んだことによって)将来契約を結ぶ選手にとって、これが先行的なものになるとは思わない。フィールド外で彼と同じ財政状況の選手は誰もいないからだ」と悪影響を及ぼす可能性を完全否定した。

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◆ 大谷翔平のメジャーリーグ1年目、2018年にエンジェルスでプレーした選手たちは、今どこにいるのか

宇根夏樹氏/情報:スポナビ)

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 大谷翔平(ロサンゼルス・ドジャース)は、2018年から2023年まで、ロサンゼルス・エンジェルスでプレーした。その1年目に、エンジェルスのユニフォームを着てメジャーリーグの試合に出場した選手は、大谷を含め、57人を数える。

 

 今シーズン、メジャーリーグ、傘下のマイナーリーグ、国内の独立リーグ、メキシカン・リーグ、日本プロ野球、韓国プロ野球、台湾プロ野球のいずれかでプレーしたのは、見落としがなければ、57人中27人だ。あとの30人のなかには、ENEOS野球部の田澤純一もいる。田澤は、メジャーリーグ時代の最後、2018年9月に、エンジェルスで9試合に登板した。

 

 

 マイク・トラウト、テイラー・ウォード、大谷、デビッド・フレッチャー、ハイメ・バリーアの5人は、今シーズンもエンジェルスでプレーしたが、今オフ、そこから3人が退団した。FAになった大谷は、ドジャースに入団。フレッチャーは、今月初旬のトレードで、マックス・スタッシとともにアトランタ・ブレーブスへ移った。バリーアは、10月中旬に降格を拒んでFAになることを選び、今月初めにクリーブランド・ガーディアンズとマイナーリーグ契約を交わした。現在もエンジェルスにいるのは、トラウトとウォードの2人、ということになる。

 

 移籍後のフレッチャーについては、こちらで書いた。※「エンジェルスからブレーブスへ移籍のフレッチャーが、マイナーリーグへ降格。どこで開幕を迎えるのか」

 

 また、今シーズン、カンザスシティ・ロイヤルズ傘下のマイナーリーグで投げたジャスティン・アンダーソンは、先月下旬、マイナーリーグ契約でシカゴ・ホワイトソックスに入団した。来シーズン、アンダーソンとスタッシは、5年ぶりにバッテリーを組むかもしれない。スタッシは、エンジェルスからブレーブスへ移った直後、今オフ2度目のトレードにより、ブレーブスからホワイトソックスへ移った。ちなみに、2018年にエンジェルスでプレーした57人に、スタッシは含まれない。エンジェルスに加入したのは、2019年の夏だ。

 

 エンジェルス以外の選手として、今シーズン、メジャーリーグでプレーした4人のうち、ワールドシリーズ優勝メンバーとなったアンドルー・ヒーニーは、年俸1300万ドルの選手オプションを行使し、テキサス・レンジャーズに残った。今シーズンは、147.1イニングで防御率4.15。ポストシーズンでは、先発としてもリリーフとしても登板し、ワールドシリーズの第4戦は、初回から5イニングを投げて1点しか取られなかった。上の写真は、優勝パレードの一場面だ。

 

 キーナン・ミドルトン、コール・カルフーン、マーティン・マルドナードの3人は、FA市場に出ている。ミドルトンとマルドナードの新たな球団は、遅かれ早かれ決まるだろう。今シーズン、ミドルトンは、51登板の50.2イニングで奪三振率11.37と与四球率4.09、防御率3.38を記録した。マルドナードに関しては、若い捕手のバックアップや手本、あるいは指南役として、欲しがる球団は少なくないと思われる。一方、カルフーンは、球団が見つかるにしても、マイナーリーグ契約の可能性が高そうだ。ここ3シーズンは、219試合で打率.210と出塁率.272、23本塁打、OPS.622。マルドナードより1歳下とはいえ、来シーズンの年齢は36歳だ。

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◆ 「本塁打王はこれからも数回とる」前田健太が語る大谷翔平の進化した打撃

(情報:日テレNEWS)

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MLBのツインズからタイガースへ移籍した前田健太投手が17日、日本テレビ「Going!Spors&News」に出演し、大谷翔平選手の打撃の進化について語りました。

 

今季日本人初のMLB本塁打王に輝いた大谷選手について前田投手はそのすごさについて「年々よくなっている」といいます。前田投手は日本のプロ野球とMLBの両方で打者大谷と対戦し、その進化を「本当に毎年彼のバッティングを見ているが、年々投げるところが少なくなっていく。最初はある程度投げる場所がたくさんあったが、次の年1か所減って、次の年1か所減るので、最後はピンポイントでこの辺に投げなきゃいけないデータが出ている。本当に自分の弱点や、打てないところをどんどん消していくことができている」と分析します。

 

さらに「彼は左バッターで足もある。ランナーに出したり、間を抜けても二塁打になったりもするので、エンゼルスで投げるときはトラウトよりも僕は嫌ですね」とMVP3度のスターよりも危険な存在だといいました。

 

今季、MLB最長の約150メートルの本塁打を放ったパワーについて、「(MLBのスラッガーと)そん色ないというか、普通に一番飛んでいます。アメリカの選手でもその飛距離に関しては驚いている」と話し、実際に今年のワールド・ベースボール・クラシックでの打撃練習でも、3階席の大型看板に直撃する打球を見て、ルイス・ウリアス選手(ブリュワーズ・当時)やイサーク・パレデス選手(レイズ)ら、メキシコ代表の選手たちは、笑いながら信じられないといった表情。直撃した看板を指さして、驚きを隠せない様子でした。

 

「ホームラン王をとったことは驚きではないというか、これからも多分数回とっていくであろうというバッターだと思う。ピッチャーですからね」と笑いながら話す前田投手。来季の対戦について「逆方向やセンターにも打てるしストレートも変化球も打てる。やっぱりしっかり投げていかないとなかなか打ち取ることができないバッターだと思います」とメジャー屈指の投手でも大谷投手を抑えることは難しい仕事だと語りました。

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◆ 「飼いづらい犬種」と懸念される『デコピン』と厚い信頼関係を築いた大谷翔平。米ブリーダーが称賛した場面とは?

(情報:THE DIGEST)

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 球界スーパースターの”友達”が大きな話題を集めている。現地12月14日にロサンゼルス・ドジャースと10年総額7億ドル(約1015億円)の超巨額契約を結んだ大谷翔平の愛犬「デコピン」である。

 

 偉才の相棒が、まず世間の注目を集めたのは大谷が2度目の満票MVPを受賞した11月16日だ。MLB公式番組『MLB Network』での生中継で、大谷の隣にちょこんと座っていた犬は、飼い主の2年ぶりのタイトルが決まると一緒にハイタッチを交わし、喜びを分かち合った。

 

 愛くるしい表情と可愛い仕草にファンは即座に大谷の飼い犬の虜になった。のちに犬種が、オランダの狩猟犬がルーツとされる「コーイケルホンディエ」だと判明。日米メディアを中心に『オオタニの犬』は大きな関心を集めた。

 

 迎えたドジャース入団会見当日。地元メディア『FOX 11 Los Angeles』のカイル・クラスカ記者は「1社につき1問」という限られた時間のなか、意を決して大谷の愛犬について質問。「リーグMVPの受賞会見で映った、ショウヘイの愛犬の名前を世界の野球ファンが知りたがっている。この場で発表してもらえないでしょうか?」と問うたのだ。

 

 すると二刀流スターは笑顔を見せながら、「名前はデコピンというんですけど」と衝撃の回答。続けて、「(アメリカ人は)発音的に難しいと思うので、もとの名前がディコイというので、こちらの人に説明する時は、呼びやすいようディコイで紹介しています」と名前の由来を説明。海外では聞き慣れない「デコピン」を呼びやすいネームで紹介する、大谷らしい気遣いを見せた。

 

 ついに公表された愛犬の名前。「デコピン」というパワーワードはSNSを中心に瞬く間に拡散。X(旧ツイッター)では「大谷の犬」に関連したワードがトレンド上位に急上昇し、日本では「デコピン」が世界1位を奪取する異例の盛り上がりを見せた。

 

 無論、大谷の愛犬は米メディアの間でも話題が沸騰している。

 

 1889年の創刊以来、経済新聞としてアメリカ最大発行部数を誇る老舗紙『The Wall Street Journal』は、「このラッキードッグ(幸運な犬)は何者か?」と銘打った見出しを打ち、「世界で最も価値のある子犬。その名はデコピン」を大特集。野球界のスーパースターが「現時点で一緒に暮らしている唯一の友達」だと評すほど、癒されている相棒にページ数を割いた。

 

記事内では、飼い犬の存在が大きな国際的ニュースとして紹介されるほど、社会的関心を集めた事実を詳細に報道した。

 

 だが一方で、希少犬種ゆえの「飼いづらさ」について同メディアは懸念を示している。

 

「専門家であるブリーダーによると、コーイケルホンディエは必ずしも、誰にでも飼えるわけではない。子犬のときは元気いっぱいで、しつけには多少の根気が必要である。しかし、性格はフレンドリーで穏やかな面を持つ。学習意欲は高く旺盛で、感情の浮き沈みはないが、かなり繊細な面もある。親しみやすい外見とは違い、飼育の難しさを感じさせる犬種である」

 

 同紙の取材を受けたブリーダーによると、「映像や写真を見る限り、ディコイはオオタニと楽しい時間を過ごしているようだ」と回答。「ディコイは彼に寄りかかっていた。犬はショウヘイを自分の友達か、それ以上の関係だと思っている」と指摘。飼育するのが難しい犬種と言われるコーイケルホンディエでさえ、スーパースターの手にかかれば、その心配は杞憂に過ぎなかった。

 

 愛犬の存在が発覚したときには、すでに厚い信頼関係を窺わせた大谷とデコピン。新天地に臨む偉才を支える大切な友達との交流は、今後も目が離せない。

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