2023年12月6日

 

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 ■ 今日の大谷翔平(関連NEWS)

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◯ ドジャースのロバーツ監督が米テネシー州ナッシュビルで行われているウィンターミーティング2日目の5日(日本時間6日)、取材に応じて、大谷と数日前に対面したことを明かした。これまで大谷と交渉や対面をしたことを認めた監督、GMはいなかったが、ロバーツ監督は「数日前にドジャースタジアムでショウヘイと会った」と明かした。交渉時間は2、3時間だったようで「うまくいったと思う」と手応えも口にした。各球団の幹部は足並みをそろえたように口が重く、交渉状況を明かした球団はこれまではなかった。現地の一部報道ではバレロ代理人ら大谷サイドからかん口令が敷かれているともされている。

 

ドジャース・ロバーツ監督:

 

――この24時間、特に動きは

「いろいろは話をして、24時間前より、前に進んでいる。みんな、大谷がどうするか気にしていると思うが、われわれは、どうチームを編成するか、気にしている。とにかく最高の形を作ろうとしている」

 

――大谷と会ったと言えるか

「それについて言えるかって? まあ、可能性はあるだろうね。そうだね、会ったよ。正直にいうけど、彼に会って話をした。いいミーティングだった。でも、最終的には彼が、どこでプレーするのがいいのか、彼が決めることだ」

 

――どこで

「ドジャースタジアムだ」

 

――いつ

「2、3日前かな」

 

――どんな感じで

「特別な何かはない。まずは、お互いを知ろうと。彼はいろいろ質問があり(チームの考え方など)全体像を知りたかったみたいだ。でも、彼もメジャーに6年いるから、ドジャースがどんなチームか分かっていると思う。(ロサンゼルス近郊の)街のことなんかも。彼との時間は楽しかった」

 

――(大谷が日本ハムからメジャー移籍を目指した)2017年との違いは

「前回は、国のこと、街のこと、組織のこと。彼の役割などについて話をした。だから前回に比べれば、彼は一般的なことではなく、もっと細かいことについて知りたかったようだ。特にセールストークは必要なかった。感覚的な部分で訴えた」

 

――今回、ドジャースの選手は同席した

「いや、していない」

 

――どんな感じだった? プレッシャーは感じていた

「いや、そんなことはなかった。リラックスして会話ができた。われわれのこと、チームの勝利の話とか、そんなこと。なにも隠し事はしていない。彼が、ドジャースにフィットすると感じてくれたらうれしい」

 

――自信はあるか

「いい感じだった。でも、彼が決めること。どう結論を下しても、リスペクトするよ」

 

――次にいつ会うか

「それは分からない」

 

――彼のプライベートジェットの動きは気にしている

「いや、していない」

 

――気にしている人がいる

「まあ、誰かしているだろうね。でも、それは自分ではない」

 

――彼の起用について話をした

「そこまで踏み込んだ話はしていない。でもいずれ、そうなればすることになる。でも現時点では、そういう話ができるようになるといいな、ということかな。現時点では、分からない」

 

――彼はハッピーだったか

「彼は、ポーカーフェースだった。胸の内では笑っていたかもしれないけど。少なくとも彼といい時間を過ごせて、楽しかった。みんなそうだった」

 

――面談した時間は2~3時間

「そのくらいかな」

 

――ここまで明かした理由は

「別に噓はつきたくないし、聞かれたことに、正直に状況を伝えたまでだ。これまで明かしていなかったけど、いずれ、分かる。自分も含めて、組織の誰も噓を付きたいとは思っていない」

 

――でも、通常のFA選手よりも(発言には)慎重になる

「そうかもしれないね。こっちとしても、大谷、ネズ(バレロ氏=代理人)の意向を尊重したい。もちろん、すべてを共有できないけど、自分が素直になる必要があるかどうか。みんながその情報を知る権利があるかどうか次第だ」

 

――彼を裏口から球場に入れた

「そこまで言う必要はないだろう。会う機会があった。それを両方が望んでいた。あとは、彼の決断次第だ」

 

――大谷の決断を待ちながら、他のことをやる難しさは

「確かに、フロントオフィス(球団幹部)は大変で、さまざまなシナリオを考えていると思う。でも、大谷との契約がわれわれの最優先事項なので、そのためにみんな、精力的に動いている」

 

――大谷の右肘の手術は心配ないか

「全く心配していない。医師が執刀したのだから、われわれは自信を持っている。そもそも、これだけの期間、金額を投資するのも、そこに自信があるから。われわれは、それだけの投資にエキサイトしているし、できれば(入団の)実現を望んでいる」

 

――他のチームは、一切(大谷をはじめFA選手との交渉過程を)明かさない

「もちろん、プライバシーも大切だ。ゲームマンシップということではないけれど、まともな質問を受けて、そのことを知っていて、噓をつくことは難しい。だからこそは、翔平に対して失礼なことではないと考える。詳細までは語れないけど、彼との獲得が優先事項なことは明らかなので」

 

――どのくらいの噂を聞いている

「いままで聞いたことがないくらい。彼はそれだけ特別な選手だから」

 

――いつ決断すると思う

「それは分からない。間もなくだと思うけど、分からない」

 

――もし、大谷を取れなかったら、他のビッグネーム獲得に動く

「そうかもしれないね」

 

――DHは専任が良い

「翔平がそうなったら、理にかなっている。でも、そういう選手を取れなければ、必ずしもその必要はない。(DH枠の起用方法は)柔軟であっても良い」

 

 

◯ ドジャースは、ロバーツ監督の約1時間後に行われたゴームズGMの会見では「話すことは出来ない」と口を閉ざし、ロバーツ監督の発言には「驚いた」と正直な胸の内を明かした。場合によっては、指揮官の“ポロリ”が大谷の交渉に影響を及ぼすこともありそうだ。

 

 

◯ 大谷がフロリダ州ダンイーデンにあるブルージェイズの球団施設を訪れたとの報道が出た件について、同球団のロス・アトキンスGMは5日(日本時間6日)、具体的なコメントを避けた。米専門テレビ局スポーツネットのベン・ニコルソン・スミス記者によると、球団施設で会ったかどうかには答えず「大きな補強をする可能性については、自信を持っている」とだけ話したという。また大谷が球団を決定する時期について問われると「そのことについては、話すことを遠慮したい。我々が候補の1つに入っていることは幸せなことだ」と話したという。

 

◯ 大谷争奪戦で、獲得候補だったカブスが後退したとUSAトゥデイ紙のボブ・ナイチンゲール記者が伝えた。大谷争奪戦については、ドジャースが最有力候補に上がり、ジャイアンツ、エンゼルス、ブルージェイズが獲得候補に挙げられている。ナイチンゲール記者は、ある球団幹部の話として「カブスのオオタニ獲得は今や大きく薄れており、ドジャース、ブルージェイズ、エンゼルス、ジャイアンツが最終候補となる可能性が高い」と自身のX(旧ツイッター)に綴った。

 

◯ カブスのクレイグ・カウンセル監督(53)が5日(日本時間6日)、ウインターミーティングの会場で公式会見に応じ、エンゼルスからFAとなった大谷翔平投手(29)とは「これまでに会っていない」と明かした。カブスは「大谷争奪戦」の最終候補5球団に残っていたものの、この日までに直接交渉は行われておらず、撤退方向であることが明らかになっていた。

 

◯ ジャイアンツのボブ・メルビン新監督が、米テネシー州ナッシュビルで行われているウィンターミーティング2日目の5日(日本時間6日)、取材に応じて大谷と交渉状況について明かすことはなかった。有力候補のひとつとされているジャイアンツ。数日前には地元紙が大谷がサンフランシスコを訪れて球団幹部と接触したうわさがあると報じていた。だが、メルビン監督も対面した可能性もあるが「会ったともなかったとも言えない。それについてはノーコメント」と話すにとどめ、明言を避けた。

 

◯ エンゼルス・ミナシアンGMは、大谷翔平との交渉に関して口を閉ざした。前日、ワシントン新監督も「胸のうちにとどめておきたい。それについては漏らしたくない」と自身の見解を示したことに、同GMは笑顔で「彼を知れば、それは理解できる」と語った。シーズン中から大谷の残留へ尽力しているが、「何もお知らせすることはない」と話すにとどめた。

 

◯ 大谷が5日(日本時間6日)、インスタグラムのストーリーを更新し、エンゼルスで女房役だったローガン・オハピー捕手(23)の「ファミリー」入りを歓迎した。オハピーはこの日、大谷と同じ代理人事務所であるCAAと契約したことが同社から発表された。大谷はインスタグラムのストーリーに、同社の「ローガン・オハピー、CAAファミリーへようこそ」の発表画像を投稿し、同じ事務所の所属になったことを歓迎した。

 

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 ■ ロサンゼルス・エンゼルス情報

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◯ 米国テネシー州ナッシュビルで行われているメジャーリーグのウインターミーティング中の5日(日本時間6日)、ペリー・ミナシアンGMがメディア対応。その場でマイク・トラウト外野手のトレードの可能性について問われ、ミナシアンGMは「100%(ない)」と完全否定した。

 

◯ 21年に大谷翔平のチームメートだったホセ・イグレシアス遊撃手(33)がメッツとマイナー契約を結んだ。米移籍サイト「トレード・ルーマーズ」が5日(日本時間6日)に報じた。メジャーキャンプに招待される。22年ロッキーズで118試合にプレーしたイグレシアスは、23年は春のキャンプはマーリンズの招待選手で開幕メジャーはならず、4月20日にオプトアウトして、他球団でのチャンスを求めた。以後パドレスなどでマイナー契約を結んだが、一度もメジャーの試合に出られなかった。

 

◯ エンゼルスはパドレスからFAとなっていた救援右腕ルイス・ガルシアと1年425万ドルの契約を結ぶことで合意に至ったようだ。2021年から3年連続で2ケタホールドを記録するなど、11年間のメジャー生活で通算93ホールドをマークしているガルシア。クローザーのカルロス・エステベスにつなぐセットアッパーとして起用される可能性もありそうだ。現在36歳のガルシアは今季パドレスで61試合に登板して59回2/3を投げ、2勝3敗、10ホールド、防御率4.07、53奪三振を記録。前半戦は33試合で防御率5.58と精彩を欠いたが、後半戦は28試合で防御率2.48と盛り返した。特に8月以降の22登板では防御率1.96の好成績を残し、9月以降に20勝7敗と怒涛の追い上げを見せたチームの快進撃に貢献した。

 

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 ■ 注目記事&コラム

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◆ 大谷翔平と「LAで会った」 獲得宣言か焦りか…ド軍監督の“禁断の暴露”に現場騒然

小谷真弥氏/情報:Full-Count)

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 完勝宣言とみるか、焦りのラブコールとみるか――。ドジャースのデーブ・ロバーツ監督は5日(日本時間6日)、テネシー州ナッシュビルで行われているウインターミーティングで公式会見に臨み、大谷翔平投手(エンゼルスFA)と数日前にドジャースタジアムで面談したことを明らかに。日米韓台のメディア約50人を騒然とさせた。

 

 異様な熱気に包まれた。巨大なホテルの一部屋を使って行われた30球団監督の公式会見。大谷の話題を振られると、ロバーツ監督の言葉は熱を帯びていった。

 

「私たちは彼に会った。正直でありたいんだ。ショウヘイと会って話をした。うまくいったと思う。でも最終的に決断するのは、彼で、彼にとってベストな決断を下す。一番居心地がいい場所を選ぶ」

 

「ロサンゼルスで会った。ドジャースタジアムでだ。数日前に。口説くというよりも、もっと親しくなろうと。彼もイメージがクリアになるように、私たちに質問を用意していた。すでにドジャースはどういうチームかよく分かっていた。彼に会えたことが光栄だった」

 

 大谷獲りへロバーツ監督は声を弾ませたが、周囲は騒然となった。メジャー史上最高額、6億ドル(約880億円)とも言われる争奪戦。代理人を務めるネズ・バレロ氏が各球団に緘口令を敷き、獲得候補に挙がるジャイアンツやブルージェイズ、古巣のエンゼルスまでもコメントをしてこなかった。地元紙オレンジカウンティ・レジスター紙で番記者を務めるビル・プランケット氏には「サプライズ」でしかなかったようだ。

 

「オオタニがドジャースと会ったこと自体は誰も驚かないが、デーブ(ロバーツ)がそれを教えてくれたことには驚いた。ドジャースはすべてに関してとても用心深く、行動を隠してきたからね。だから、あれは興味深かった」

 

 高校時代から縁があり、メジャー随一の資金力を誇る常勝軍団。誰にどう聞いてもドジャースが大谷獲得の最有力だ。編成トップのアンドリュー・フリードマン編成本部長とは常に密なコミュニケーションを取っている。今回の“交渉暴露”だって何かの計算に違いない。

 

 メディアを騒然とさせた“ロバーツの乱”で、ドジャースの獲得確率は低くなったのか。前日にド軍入り確率を「60%」と予想していたプランケット記者は「同じだ。変わらないと思う。カブス、ジャイアンツに行くとは一度も思わなかった。エンゼルスに戻るとも思わない。今はドジャースとブルージェイズに絞られている感じだと思う」と首を横に振った。「ドジャースがどれだけ自信があるのかの印だと思う。それだけ自信があるのだ」と続けた。

 

 ロバーツ監督も今後の見通しについて、「いい感じだと思う。でも彼は自分の考えを持っている人だから、そのことを私たちはリスペクトしたい」と自信を見せた。大谷サイドの機嫌を損ねる結果にならなければいいが……。

 

小谷真弥 / Masaya Kotani

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◆ ドジャース・ロバーツ監督の『直球発言』は大谷翔平の決断に影響を与えるのか!?…「交渉過程を話したら、そのチームは厳しい」との声も

阿部太郎氏/情報:中日スポーツ)

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◆番記者が見た

 

 ドジャースのデーブ・ロバーツ監督が5日、FAとなった大谷翔平との面会とその内容を隠さずに明らかにした。大谷の代理人ネズ・バレロ氏が獲得を狙う球団に「かん口令」を敷き、ブルージェイズやジャイアンツ、エンゼルスなどが「ノーコメント」を貫く中での異例の発言。その裏には何があったのか。

 

 テネシー州ナッシュビルのウインターミーティングの会場で行われたドジャースの会見。その2問目、地元紙の記者が「大谷に会ったといえるか」との問いに、「正直にいうと、会ったよ。うまくいったと思う」。前の会見者だったブルージェイズのシュナイダー監督は徹底して大谷のコメントを避けたが、ロバーツ監督は全く違った。

 

 関係者によれば、ロバーツ監督は意図的ではなく、素直に自分の気持ちを話したという。駆け引きなどは全くなかったようだ。「自分はうそをつきたくない。明らかに我々のトッププライオリティ。自分としては質問を受けてうそをつくのは難しい。翔平に失礼になるとは思わない」と熱い気持ちを語り続けた。

 

 この発言は、編成には寝耳に水だった可能性が高いが、本命のドジャースの指揮官が発した言葉はどのように影響するか。地元紙の記者の一人は「公にしたからといって、大谷が意中の球団を変えるとは思わない。彼がドジャースでプレーしたいなら、絶対にドジャースだと決断する」と語った。

 

 一方で、球界関係者は「メディアに交渉過程を話したら、そのチームは厳しい」という見方を語った。大谷の交渉を巡っては代理人のバレロ氏が秘密裏で交渉を続け、球団幹部は一様に口が重かった。ブルージェイズはフロリダ州のキャンプ施設で会ったという報道が出たが、関係者は誰も認めなかった。

 

 日本の沖縄で生まれ、母親が日本人のロバーツ監督の大谷に対する思いは格別だ。大谷サイドは、この「直球発言」をどう捉えるのか。沈黙を守る球団にはどう映るのか。(阿部太郎)

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◆ 【こんな人】大谷翔平との面談公表のドジャース・ロバーツ監督は沖縄生まれ、根底に流れる道徳心

四竈衛氏/情報:日刊スポーツ)

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<こんな人>

 

 【ナッシュビル(米テネシー州)5日(日本時間6日)=四竈衛、斎藤庸裕】大本命が堂々と沈黙を破った。ドジャースのデーブ・ロバーツ監督(51)が、エンゼルスからFAとなっている大谷翔平投手(29)と数日前にドジャースタジアムで面談を行い、大谷獲得が「トップ・プライオリティ」であることを明言した。歴史的FAの争奪戦で大本命とみられているド軍だが、大谷サイドから情報漏えい禁止のかん口令を敷かれる中で大々的に公表。ベールに包まれてきた各球団との交渉の状況に、一石を投じた。 

 

    ◇   ◇   ◇

 

 16年にドジャースの監督に就任して以来、過去8年間で7回の地区優勝、20年世界一の実績を残しても、ロバーツ監督が、偉そうな態度を取ることはまず見たことがない。答えにくい質問でも、たどたどしい英語でも嫌な顔ひとつせず、丁寧に応答する。親切な態度、柔和で謙虚な姿勢は、アフリカ系米国人で元米国海兵隊勤務の父ウェイモンさんと沖縄出身の母栄子さんの両親譲りに違いない。

 

 沖縄・那覇市生まれのロバーツ監督は、父の転勤で複数の基地を転々とした後、サンディエゴに定住。文武両道の優等生として育ち、名門UCLA卒業後、メジャー入りした。母栄子さんによると、幼い頃はカレーライスとおにぎりが大好物だった。就任直後には前田健太が入団。ロバーツ監督自身は日本語が話せないだけに、栄子さんは「私がもっとしっかり教えておけばよかった」と悔やんでいたが、持ち前のコミュニケーション力でチームをまとめ上げ、常勝軍団を築き上げた。

 

 厳格だった父と心優しい母のDNAを受け継ぐロバーツ監督。不要な忖度(そんたく)はせず、「ウソをつきたくない」と、現状を明かした潔さと日本人本来の道徳心を結びつけるのは、少しばかり強引だろうか。【MLB担当=四竈衛】

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◆ 大谷翔平の大争奪戦が「無情なものに」 陣営の“沈黙”に米記者が指摘「大きな損失」

(情報:Full-Count)

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 エンゼルスからFAとなった大谷翔平投手の去就を巡っては、代理人を務めるネズ・バレロ氏が各球団に緘口令を敷き、情報が錯綜している。メジャー史上最高額となる6億ドル(約880億円)とも言われる争奪戦が予想されているが大谷自身は姿を現さず、沈黙を貫く。米放送局「FOXスポーツ」のアナリストを務めるジェイク・ミンツ記者は「オオタニの退屈なFAはMLBにとって大きな損失だ」と私見を述べた。

 

「球界で最大の関心事はお化けのようだ。近いうちに米国のスポーツ史上最大の契約を手にするショウヘイ・オオタニは、自身のFAを活気のない、無情なものにしてしまった」と同局は指摘する。

 

 大谷サイドのこの“秘密主義”が「スポーツ界で最も人の心をつかんで離さない話題を、無価値で眠くなるようなことにしてしまった。オオタニは今まで市場に登場した選手で最もワクワクさせる選手なのに、彼のFAは全くもって退屈なものになってしまった」というのだ。

 

 さらに「代理人は契約交渉になると一定のプライバシーを保つが、(同時に)世の中に一定のざわつきも許す。クライアントの人気が保たれるからだ。人気は力で、力は影響力で、影響力は金だ。しかしオオタニは非常に人気があるため、バレロ代理人はクライアントの望みや交渉状況を開示した方がいいという動機は起きない。理解できることだけど、残念なことだ。結局のところ、エンターテイメントだからだ」と分析した。

 

 一方で「オオタニはこのスポーツに対して“借り”はない。野球界の成長に必要以上に貢献してきた。FAの話題を少ないものにしたいのなら、それは彼の権利だ。そして彼はお金を必要にしていない。何が起きようと、雇用主から大金を受け取るのは間違いない」と大谷側の考えにも理解を示した。

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◆ 大谷翔平争奪戦、ブルージェイズが大きく前進か…トロントへ好印象明かす?「大都市より落ち着いていて静かなところが特に気に入った」

(情報:中日スポーツ)

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 大リーグのストーブリーグは依然として大谷翔平選手(エンゼルスからFA)の去就が話題の中心となっている中、当初は『ダークホース』とみられていたブルージェイズが、獲得レースで大きく前進したようだ。

 

 大谷サイドは、Bジェイズ首脳陣とフロリダ州ダンイーデンのキャンプ施設で面談を済ませたと報じられたが、大谷自身がその場で本拠地トロントへの好印象を語っていた。球団地元紙トロントサンが5日(日本時間6日)、球団首脳の話として報じた。

 

 「面談の場で、大谷はトロントへの好印象を明かし、『ロサンゼルスを含むアメリカの多くの大都市より落ち着いていて静かなところが特に気に入った』と語っていた」

 

 同首脳によれば、Bジェイズは大谷の獲得に「全身全霊を注いでいる」と同時に「できるだけ大谷側にいい印象を与えようとしている」。さらに「いまはわれわれが選ばれるかどうかを待っている」と話した。

 

 米紙USAトゥデーは「Bジェイズがドジャースと並ぶ本命に浮上した」と報道。米紙ニューヨークポストのジョン・ヘイマン記者も同日、「大谷が今回のフロリダでのBジェイズとの面談よりも以前に、トロントへの好印象を周囲に語っていたのは間違いない(また、ドジャースなど他の都市や球団への好印象も口にしていた)。Bジェイズを軽く見てはならない」とX(旧ツイッター)で伝えた。

 

 獲得レースの先頭を走るのは変わらずドジャースとされ、こちらもロバーツ監督が面談を行ったことを明らかにした。他にもBジェイズ、ジャイアンツ、古巣エンゼルスが最終候補に残っていると米メディアでは伝えられている。また、同様に候補とされていたカブスは、この日レースから脱落したと報じられた。

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◆ 大谷翔平の緻密な目標に松井秀喜が驚き ドキュメンタリー映画を撮った時川徹監督が明かす制作秘話

白鳥純一氏/情報:webSportiva)

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大谷翔平ドキュメンタリー映画

 

時川徹監督インタビュー 前編

 

 FA権を取得し、シーズンオフの移籍市場でも注目を集める大谷翔平に密着したドキュメンタリー映画『Shohei Ohtani - Beyond the Dream』が、動画配信サービス『ディズニープラス』で独占配信されている。大谷本人や関連が深い人々のインタビューを中心に構成された本作では、幼少期からメジャーリーグで活躍を続ける今までの歩み、大谷の本音に迫る内容になっている。

 

 本作の監督を務めた時川徹氏に、制作の経緯や大谷の印象、ペドロ・マルティネズ氏や松井秀喜氏などの取材などから見えた大谷の人物像について聞いた。

 

【大谷が持つ"映画スター"の要素】

 

――まずは、『Shohei Ohtani - Beyond the Dream』を撮影することになった経緯を聞かせてください。

 

「大谷選手とはコロナ禍になる前から面識があり、普段のお話の中で撮影させていただく流れになりました。今年も2度目のア・リーグMVPやアジア人初の本塁打王を獲得するなど、アメリカでも目覚ましい活躍を見せる姿を『映画のようなドキュメンタリー映像として残したい』と思い、FA権を取得してキャリアの節目を迎える今のタイミングで発表できるように準備を進めました」

 

――大谷選手の印象は?

 

「野球における活躍はみなさんご存知でしょうが、お会いした時に感じるオーラ、カメラのフレーム越しに見る姿も圧倒的で、"映画スター"の要素も備わっているんだと思いました。エネルギーに満ち溢れているはずなのに、普段の過ごし方は至って自然体で、『地に足がついた素晴らしい方だな』と驚かされたことを覚えています」

 

――あらためて、大谷選手を題材に映像を制作しようと思った理由は?

 

「スポーツ選手、役者さんには『身体ひとつで勝負している』という共通点があります。いずれも人間としての身体の動きや美しさ、力強さを備えていますし、『身体の限界に挑み続ける人間の姿を描く』という点では、大谷選手はこの上ない"役者"でもありました。『大谷選手が秘めるエネルギッシュな部分を、多くの方に感じ取ってもらいたい』という思いが、今作の制作に繋がりました」

 

【ダルビッシュ有、松井秀喜、ペドロ・マルティネズも登場】

 

――撮影で苦労した点はありますか?

 

「野球などのスポーツは、少しでも目を離すと奇跡的な瞬間を撮影できなくなってしまうことがあるので、一瞬たりとも気を抜けません。なので、フォトジェニックで感動的な場面を撮るための試行錯誤がありました。

 

 そんな我々に対して、普段からスタジアムで取材されているスポーツカメラマンのみなさんが本当にいろんなことを教えてくださった。"部外者"である我々を温かく迎え入れ、さまざまな形でサポートしていただけたことを本当に感謝しています」

 

――時川監督が気に入っているシーンはありますか?

 

「試合のシーンもそうですが、『予想以上に素晴らしい映像が撮影できた』と思ったのは、大谷選手の故郷・岩手県水沢市(現・奥州市)の豊かな自然の風景です。美しい場所であることは事前にわかっていましたが、実際に太陽の光が降り注ぐ景色を目にすると、その素晴らしさに圧倒されてしまって。大谷選手が幼少期にプレーしたグラウンドの素晴らしい画も撮れましたし、個人的には満足度の高い仕上がりになりました」

 

――ダルビッシュ有投手や松井秀喜さんなど、豪華な共演者も目を引きました。

 

「そうですね。このドキュメンタリー映画を撮るにあたって、僕は『これまでに世に出ている大谷選手に関する記事のほぼすべてに目を通した』と言ってもいいくらい、多くの記事を読みました。その中で、大谷選手が子供の頃に憧れていた方や、野球人生において繋がりの深い方を中心に選ばせていただきました」

 

――大谷選手をはじめ、スター選手や大物の取材はスケジュールを確保するのも大変だったんじゃないでしょうか。

 

「大谷選手の撮影は『時間が取れる時にお願いする』という感じだったので、直前で撮影の予定が組まれたり、時には撮影がなくなることもありましたが、そこは覚悟していました。ペドロ・マルティネズさんにインタビューした翌日に、急遽ダルビッシュ投手の撮影が決まって、アメリカから宮崎に出向くことになったり、台風の影響で岩手の空港に着陸できずに足止めされたり......それでも、"出たところ勝負"の状況を楽しみながら撮影できました」

 

――撮影中の不測な事態が、作品の仕上がりに影響を与えている点はありますか?

 

「映像の撮り方は監督によってさまざまなスタイルがありますが、僕の場合は行き当たりばったりの制作とはいえ、『使うかわからないけど、とりあえずカメラを回しておく』といった方法ではなく、思い描いた映像を完成させることを軸にして撮影に臨みました。もちろん予想外の映像が撮れることもありますが、『このふたつのシーンを繋ぎ合わせたら、よりいいシーンになるかもしれない』と、完成後の映像をイメージしながら制作しています」

 

――ペドロ・マルティネズさんは、大谷選手のことを「器用さを学んだ選手」と紹介しています。幼少期の大谷選手が、あまり長身でないペドロ・マルティネズさんの細かな工夫に気づき、自身に取り入れようとしていたところにも驚かされました。

 

「そうですね。大谷選手は野球に対して本当に研究熱心ですし、子供の頃からさまざまなことを実践できていたことも素晴らしいです」

 

――2009年のワールドシリーズで、当時フィリーズのペドロ・マルティネズさんから本塁打を放ち、世界一とMVPを手にした松井さん(当時ヤンキース)の活躍について、大谷選手は「テレビで見ていた」そうですね。

 

「大谷選手が生まれ育った岩手県水沢市(現・奥州市)は、どちらかというと地方と言われるようなエリアですが、幼少期からMLBの試合やワールドシリーズを見ることができたのは、インターネットが発達したおかげ。かつては書籍やDVDを購入しないと触れられなかった情報に簡単にアクセスできるようになったことが、大谷選手の野球観に大きな影響を与え、夢を育むきっかけになったんでしょう」

 

【松井が「今の高校生でこれができる選手はいない」と驚き】

 

――作中には、高校1年生の大谷選手が目標を記した表が登場し、それを見た松井さんが驚いているシーンもありました。

 

「高校生の時点であれだけ緻密な目標を設定できるのもすごいですが、僕が驚かされたのは大谷選手の『気負いのなさ』です。高校生くらいの男の子なら『そんなに必死になったらカッコ悪いかも......』という気持ちが湧き上がってきても不思議じゃないのに、高校時代の大谷選手からは、そういったものを微塵も感じないんです。本人は『ただ思いつきで書いただけです』と話していましたけど、日頃から目標にじっくり向き合っていないと、絶対に書けないようなものだと思います。

 

 松井さんは『今の高校生でこれができる選手はいない』とコメントされていましたが、その言葉が指しているのは、大谷選手の思考の深さと、周囲を気にせずにやるべきことを実行できる素直さに対する驚きなのではないかな、と僕は解釈しています」

 

――撮影中、大谷選手の「聡明さ」を感じることはありましたか?

 

「大谷選手はとても知的で、カメラの前に座って話す言葉の端々に輝くものを感じましたが、彼はそれを他人にひけらかすことは決してありません。素晴らしい言葉の数々と、本人の自然な振る舞いのギャップが強く印象に残っています」

 

――大谷選手はこのオフにFA権を取得し、来季はさまざまな環境の変化がありそうです。WBCの様子を収めたシーンでは、大谷選手の「勝利に対する渇望」も描かれていますが、時川監督の大谷選手に対する思いや、今後に期待することを聞かせてください。

 

「『勝ちたいチームに行きたい』というのも判断材料のひとつだと思いますが、水が高いところから低いところに流れていくように、大谷選手が心から信じた場所に導かれていくことが理想的なんじゃないかなと。大谷選手がどのような決断を下すかわかりませんが、来季以降も身体に気をつけながら、自然体のままで頑張ってほしいです」

 

(後編:地方から規格外スターが生まれた理由「都心だとスケールダウンにつながるリスクもあった」>>)

 

◆大谷翔平のドキュメンタリー映画『Shohei Ohtani - Beyond the Dream』

 

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◆ 大谷翔平のドキュメンタリー映画の監督が感じた、地方から規格外スターが生まれた理由「都心だとスケールダウンにつながるリスクもあった」

白鳥純一氏/情報:webSportiva)

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【規格外のメジャーリーガーが誕生した理由】

 

――大谷選手が生まれた岩手県は、菊池雄星投手(ブルージェイズ)、佐々木朗希投手(ロッテ)など、球界を代表する逸材を輩出してきた地域でもあります。時川監督がロケで感じた岩手県の印象や、多くのスター選手が誕生している理由などを聞かせてください。

 

「作中で大谷選手が『普通の人になりたい』という目標を書いていましたが、地元の方いわく、『とにかく普通でいたい』と思っている人が多いと聞く岩手の県民性も影響しているそうなんです。"普通"でいることが美徳とされる地域で、なぜ規格外のメジャーリーガーが誕生したのか。その理由を僕なりに考えてみた結果、『大谷選手が自由にのびのびと過ごせる環境が整っていたことが大きいのではないか』という結論に至りました。

 

"地方"だからこそ、やりたいことをやれたのではないかと。長年の伝統や厳しい上下関係が重視されるような都会のマンモス校に通っていたら、大谷選手は二刀流に挑戦できなかったかもしれない。都心部でレールに乗っかったような人生を送らなかったからこそ、スケールの大きな選手になれたんじゃないかと僕は思っています。

 

 今作に登場するマイク・トラウト選手やペドロ・マルティネズ投手、石川県出身の松井秀喜さんも都会ではないエリアで生まれ育ち、スターへの道を歩んでいます。穏やかで伸び伸び過ごせる"地方"で、自分のやりたいことを突き詰めることによって育まれる才能もあると思いますし、岩手から大谷選手をはじめとするさまざまな有力選手が誕生する一つの理由になっているんじゃないでしょうか」

 

――作中で紹介されている、高校1年生の大谷選手が書いた「8球団からドラフト1位指名を受ける」という夢にもスケールの大きさを感じました。

 

「よくも悪くも、まだ現実を知らなかったからこそ、自由な夢が見られた部分はあるのかなと思いました。先ほどの話につながりますが、プロ野球などの情報も多く入ってくるだろう都心の名門校に通っていたら、周囲に対する遠慮や恐れの気持ちが芽生えて、スケールダウンにつながるリスクもあったと思います。思い描いた夢をそのままの形で実現させていくすごさや、未来の可能性を信じることの大切さは、僕も作品作りを通して感じた部分です」

 

――大谷選手は大きな夢を描く一方で、幼少期から野球の基本を大切にしてきた印象もあります。

 

「そうですね。野球を始めた時から、『何事も一生懸命やる』とか『打ったら全力で1塁まで走る』というところを意識していたのがわかりました。そのあたりも、野球に対して真摯に向き合っていることの現れなのかなと思います」

 

――日本ハム時代に背番号11を譲り受ける形になったダルビッシュ有投手(パドレス)との対談では、国籍などに言及する場面もありましたね。

 

「ダルビッシュ投手はイランにルーツがあるので、幼い頃からさまざまなことを経験してきたことも大きいでしょうが、踏み込んだ発言を聞いた時に『勇気があるな』と思いました。MLBはさまざまな国籍の選手たちが活躍しているように見えますが、アジア人選手の割合はたった数%にすぎません。

 

 彼らが直面する可能性があるのは、露骨な人種差別というよりは、日本でも話題になることがある"体育会系の悪ノリ"に近いんじゃないかと。アメリカだけの問題ではなく、日本にも同様に存在しているものだと思います」

 

――対談の際、会話のトピックはどのように決めていったんですか?

 

「僕が事前に聞きたいトピックを提示して、その後は流れに任せて進めていきました。前振りはほとんどなく、2人の会話のキャッチボールがそのまま収められています。とにかく、アットホームでリラックスできる環境を整えることに腐心しました」

 

【当たり前のことを、当たり前にできる天才】

 

――日本ハム時代の監督である栗山英樹氏に、大谷選手が「本当に二刀流ができると思っていましたか?」と、問いかける場面もありました。栗山氏との出会いは「二刀流」の実現に欠かせなかったように思うのですが、2人のやりとりをどのように見ていましたか?

 

「これは僕の憶測にすぎませんが、どんな指揮官の下でも大谷選手は二刀流に挑戦し、素晴らしい結果を残せたんじゃないかと思います。二刀流を実現できた一番の要因は、やはり大谷選手自身が『二刀流を成し遂げられる』と信じていたことにあると思います。

 

 ただ、栗山さんも『オートマシーンの歯車』という例えをしていましたが、大谷選手の『二刀流に挑戦したい』という気持ちを汲み取り、実現させるまでの道のりを整えていった栗山さんとの出会いは重要だったと思いますね」

 

――満票でア・リーグMVPを獲得した2021年には、キャンプイン当初に「二刀流のラストチャンス」という声もありましたが、それをはねのけて見事に結果を残しましたね。

 

「おそらく、厳しい状況を乗り越えることさえも、大谷選手にとっては"普通"のことにすぎないのでしょう。僕から見て、大谷選手は"当たり前のことを、当たり前にできる天才"に映りました。他の人にとっては特別なことであっても、大谷選手にとっては自然なことにすぎない。『特別なことをしている』という感覚はあまりないんじゃないかなと思いました」

 

――「将来は大谷翔平選手のようになりたい」と思う子供たちが多いと思いますが、周囲の大人たちはそれをどのように見守るべきだと思いますか?

 

「現在の大谷選手の目覚ましい活躍は、本人の強靭な意志と努力、栗山さんをはじめとする周囲の方々が大谷選手の性格に合った方法を取り入れて、挑戦を全力でサポートしたことによるものだと思います。きっと『その子の個性に合った育て方』があると思うので、それを見極めながら、できる限り大人は型にはめようとせずに、そっと見守りつつ、適度に放っておくくらいが丁度いいんじゃないかと思います」

 

◆大谷翔平のドキュメンタリー映画『Shohei Ohtani - Beyond the Dream』

 

白鳥純一

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