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2023年11月29日

 

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 ■ 今日の大谷翔平(関連NEWS)

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◯ 今季までパドレスで指揮を執っていたボブ・メルビンを新監督に迎えたジャイアンツは、今オフの移籍市場でチームの看板となるスーパースターを獲得することを最重要課題に掲げている。そんななか、ジャイアンツは獲得を狙う最重要ターゲットを2人に絞り込んでいるようだ。「MLBネットワーク」のジョン・ポール・モロシ記者「ジャイアンツにとって、大谷翔平と山本由伸が最優先だ。ほかのどんな選択肢よりも優先される」とリポート。また、モロシ記者は「ウィンター・ミーティングで注目すべきチーム」にジャイアンツを挙げている。

 

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 ■ ロサンゼルス・エンゼルス情報

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◯ エンゼルスのブルペンコーチにメジャー通算357試合登板のスティーブ・カーセイ氏(51)が就任すると、米メディア「ジ・アスレチック」のサム・ブラム記者が28日、Xで伝えた。カーセイ氏は現役時代、アスレチックス、インディアンス、ブレーブス、ヤンキース、レンジャーズなどで活躍。通算357試合に登板し、32勝39敗、41セーブ、52ホールドをマークした。02年のヤ軍時代には故障したマリアノ・リベラに代わり、守護神を務めた経験もある。引退後は19~21年までブルワーズでコーチを務めた。エンゼルス救援陣の今季防御率は4.88と30球団中25位と悪く、カーセイ氏には建て直しが期待される。

 

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 ■ 注目記事&コラム

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◆ 気候条件やデーゲームの多さ、チームの戦力...総額6億ドルを用意しているカブスは大谷翔平にとって最適解」のチームなのか?<SLUGGER>

ナガオ勝司氏/情報:THE DIGEST)

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 シカゴ郊外に住んでいる関係で、近所のカブスファンからやたらと「カブスは本当に、Shohei=大谷翔平を獲得できると思う?」と訊かれる今日この頃である。

 今さら言うまでもないことだが、大谷は今オフのフリー・エージェント(FA)市場で最も重要な選手だ。Baseball-Referenceによると、これまでの通算成績を162試合換算した場合の本塁打数とOPS(出塁率+長打率)は以下の通りで、今オフFAとなった他の有力選手たちと比較しても突出している。来季、「打者」のみの出場に限定されてもなお、いかに価値のある選手であるのかが分かる。

大谷翔平(前エンジェルス)      40本塁打 OPS.922
JD・マルティネス(前ドジャース)  33本塁打 OPS.874
リース・ホスキンス(前フィリーズ) 36本塁打 OPS.846
コディ・ベリンジャー(前カブス)  33本塁打 OPS.829

 では、大谷にとって果たしてカブスは「最適解」のチームなのだろうか?

 とてもカジュアルな部分から考えていくと、まず、4月になっても雪がチラつくほど寒いシカゴの気候への適応は、ロサンゼルス近郊の温暖な気候に慣れた大谷にとって簡単なことではないのではないか?

 と思ったが、彼は元々、岩手県出身である。北国でのプレーがハンデになるとは思えないし、摂氏-5度前後にまで下がる冬は試合がないので、それほど大きな問題ではないだろう。カブス所属選手の圧倒的多数は、オフになるとロサンゼルスやアリゾナで過ごすのが普通で、シカゴを「仕事場」と捉えればいいだけのことだ。

 日本文化の有無についてはどうか?


 西海岸のロサンゼルスやサンフランシスコ、シアトルに比べれば、中西部のシカゴやその周辺地域は、日本人の比率が少ない地域ではある。それでも、郊外に日系企業の拠点がいくつかあることから、日本の食材を多く揃える大型の日系スーパーや韓国や中国系のスーパーも存在する。日系企業の駐在員や出張者が愛好する日系レストランも多く、自炊するにしてもUber Eatsを頼むしても、まったく問題はない。

 目立つ場所に顔を出さなければプライバシーを侵害されることはないし、西海岸やニューヨークのような日系人の人口密度が多い場所よりも、気楽に過ごせると思う。経験上、それらの都市より、ダウンタウンで日系人を見かけるのは希なので、MVP会見で有名になった愛犬を連れて町中をうろついていたところで、そんなに気づかれないのではないか。

 では、シカゴでプレーする利点についてはどうだろう? 

 シカゴ、というより中地区でプレーするメリットは、西海岸の球団に比べて遠征の移動距離がかなり少なくなることだ。昨季、MLB30球団の年間移動距離(公式戦のみ)は、長かった順にアスレティックス(51,527マイル)、マリナーズ(49,036)、ジャイアンツ(46,158)、エンジェルス(43,942)、マーリンズ(41,742)、ドジャース(41,698)となっていて、西地区のチームが圧倒的多数だった。

 一方、ナ・リーグ中地区で最も移動距離が多かったのは、カーディナルス(35,524マイル)の13位。カブス(31,805)は21位と例年より多かったが、それはカーディナルスとロンドンで公式戦を行った影響だ。事実、24年はカブス(27,180)が28位、カーディナルス(26,647)は29位となる予定で、6位のエンジェルス(43,004)と比較すると移動距離は約3分の2で済む。
 

 もっとも、そんな利点がある半面、カブスの本拠地リグリー・フィールドは他球団に比べるとデーゲームが多く、これが結構、選手への負担になると言われている。特に、ナイトゲーム翌日のデーゲームは調整が難しいとされる。

 デーゲームが多いのは、リグリーが住宅街のど真ん中に位置していて、試合開催時は飲酒した観客の無軌道な行動などの問題を抱えているためで、近隣住民グループやシカゴ市との合意で。ナイトゲームの開催数が年間43試合程度しか開催できない決まりになっている。他の本拠地が年平均で55試合前後のナイトゲームを行なうのに比べるとかなり少ない。

 例えば、今年の9月4日~8日までの5日間は毎日、デーゲームとナイトゲームが交互に開催されていた。DH専任ならさほど問題はないだろうが、投手を兼任する再来年以降は登板間の調整などで悪影響が出るかもしれない。

 もっとも、大谷を獲得するからには、カブスも「投打二刀流」のアドバンテージを最大限に生かすために全力を尽くすだろう。先発間の投球練習日がナイトゲーム明けのデーゲームになった時には、ノースロー調整を含む選択肢を用意するだろうし、シカゴは試合が雨天中止になるのも珍しくないので、そういう時にはローテーションの「前倒し」よりも、「普段よりも1日多い休み」が与えるなど、柔軟性を持って対処すると思われる。

 最も大事な問いは、カブスが「9月になってもヒリヒリした戦い」ができるチームかどうかだろう。

 カブスは今季、残り1試合=161試合目までプレーオフを懸けて戦った。その原動力となったのは、冒頭に挙げたベリンジャー(26本塁打、OPS.881、20盗塁)で、彼がこのままFAで流出すれば、大きな穴が開くことになる。


 一方で、鈴木はリーグ15位のOPS.842を記録するなど、さらなる飛躍を予感させながらシーズンを終えたし、ともにゴールドグラブを受賞したニコ・ホーナー(9本塁打、OPS.729、43盗塁)とダンズビー・スワンソン(22本塁打、OPS.744、9盗塁)の二遊間コンビは、来季も攻守の柱となる。

 ベリンジャーが抜けた場合、センターには若手有望株の「PCA」ことピート・クロウ=アームストロングが入る見込み。今季はメジャー14打席で無安打に終わったものの、マイナー2階級で20本塁打、OPS.876、37盗塁と潜在能力は十分。2年目を迎える彼が期待通りにブレイクすれば、貴重な左打者イアン・ハップ(21本塁打、OPS.791、14盗塁)や前出の鈴木、ホーナー、スワンソンらとともに「機動力も備えた強力打線」を形成することになる。

 ベリンジャー流出でもう一つ、穴埋めしなければならないのが一塁だが、こちらは内野でも外野でも守備に難があり、DHとして起用されることが多かったクリストファー・モレル(26本塁打、OPS.821)が埋めるという(現在、冬季リーグで一塁に挑戦中だ)。モレルや他の有望株を「トレード要員」として、メッツのピート・アロンゾ(46本塁打、OPS.821)を獲得するのでは? という都合の良い噂話も飛び交っていて、それはもう一つの懸案事項である三塁にブルージェイズのボー・ビシェット遊撃手をコンバートさせるという妄想と一緒で、「なくもない話」に過ぎない。

 補強が必要なのは、打線だけではない。

 先発陣では、マーカス・ストローマン(10勝9敗、防御率3.95)がオプトアウト(≒契約解除】条項を発動してFAとなった。現時点での先発ローテはサイ・ヤング賞候補にもなった左腕ジャスティン・スティール(16勝5敗、防御率3.06)、今季は不調だったジェームソン・タイオン(8勝10敗、防御率4.84)、ベテラン技巧派のカイル・ヘンドリックス(6勝8敗、防御率3.74)、WBCメキシコ代表ハビア・アサード(5勝3敗、防御率3.05)、左腕のドリュー・スマイリー(11勝11敗、防御率5.00)の5人となる。

 

 頭数は揃っているが、実態はエンジェルスがここ数年、生温い補強で構築した投手陣と大差ない。球団は「ストローマン以上」を求め、FA市場でサイ・ヤング賞投手のブレイク・スネル(14勝9敗、防御率2.25)のような大物獲得か、トレードでレイズのタイラー・グラスノー(10勝7敗、防御率3.53)級の投手獲得を模索中だ。

 補強が必要なのは救援陣も同じで、左腕ジョシュ・ヘイダー(33セーブ、防御率1.28)のような大物を狙うのか、昨オフFAで獲得しながらも期待に応えられなかったマイケル・フルマー(2セーブ、防御率4.42)のような投手を獲得するギャンブルに出るのか注目される。

 補強ポイントの多さを考えると、「エンジェルスと同じじゃないか」とため息が出そうだが、カブスのチーム作りは曖昧な経営判断のエンジェルスとは一線を画しており、比較的鮮明に近未来を予測できる。

 トム・リケッツ最高責任者を筆頭とする経営陣は09年にチームを買収すると、その2年後にレッドソックスとの契約を1年残していたセオ・エプスティーンを編成総責任者として5年契約で招聘し、当時低迷中のチーム再建を全面的に託した。

 エプスティーンは就任直後からベテランや中堅の主力選手を次々とトレードで放出し、他球団の有望株を獲得したり、ドラフトの上位順位指名を確保しながら再建を進めた。有望株が成長する過程で「育成を継続する選手」と「トレード要員」を選別し、今度は他球団の主力を獲得したり、FA市場で補強を展開した結果、15年からの6年間で108年ぶりのワールドシリーズ制覇を含む5回のプレーオフ進出という「プチ黄金期」を築いた。

 エプスティーンの右腕だったジェド・ホイヤーが跡を継ぐと、エンジェルスがアルバート・プーホルスやマイク・トラウト、アンソニー・レンドーンらコストパフォーマンスに低くなったスター選手を保有し続けたのとは対照的に、16年MVPのクリス・ブライアントやアンソニー・リゾーら世界一をもたらした主力を放出し、「プチ黄金期」を解体。戦力再編成期を経て、現在はもう一度コンテンダーにのし上がる最後の仕上げを施すタイミングとなっている。


 このオフは前ブルワーズのクレイグ・カウンセル新監督を迎え入れ、「最後の切り札」大谷獲得のために10年総額6億ドル級の超大型契約を用意しているという。

 10年6億ドルも払ったら、他のポジションの補強も含めれば、ぜいたく税を含め赤字になるのではないかと危惧する向きもあるが、どの球団の地元記者も、大谷獲得時の恩恵として日系企業を含むスポンサー収入の増収で賄えると見ている。カブスの場合、チームが毎年のようにプレーオフ進出を果たすようになれば、スポンサー収入はもちろん、観客動員数も、MLB全体で9位(277万5149人/1試合平均3万4261人)だった今季よりさらに増えるだろう。

 これは、健全な球団経営にはとても大事なことだ。観客動員数MLB13位のエンジェルス(264万0575人/1試合平均3万2599人)が決して人気球団ではないにもかかわらず、前年から10%近く動員を伸ばしたことを考えると、「全米屈指の人気球団で強くなくても客が入る」カブスなら、大谷加入でさらに大きな経済的効果を見込めるのではないか。

 もちろん、それはカブスを上回る人気球団であるヤンキースなども同じなのだが、地区優勝の常連ドジャースやスーパースター軍団のヤンキースではなく、スーパースター不在にもかかわらず、地区優勝に手が届くポジションにいるカブスだからこそ、大谷は「最後の切り札」としてより輝けるのではないか? とリアルに思えてしまうのである――。

文●ナガオ勝司

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◆ 大谷翔平と山本由伸、ジャイアンツが狙う待ったなしの理由 「どの他の選手獲得より優先事項だ」米報道

(情報:中日スポーツ)

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 大リーグ、ジャイアンツが今オフ、大谷翔平選手、もしくは山本由伸投手の獲得に全力を注ぐ。MLBネットワークのジョン・モロシ記者は28日、「ジャイアンツはどの他の選手獲得より、大谷もしくは山本の獲得が優先事項だ」と同局の番組で語った。

 ジャイアンツが今オフ、2人を狙うのには待ったなしの状況がある。一つはスター選手不在による人気の低迷だ。かつてはプラチナ・チケットだったスタジアムの観客数は年々減少。バスター・ポージー引退後の近年は看板選手が不在で、チームの魅力を失っているとの声もある。

 フロントは何とかスターを獲得しようと、フィリーズのハーパーやヤンキースのジャッジ、ツインズのコレア獲得に奔走したが、立て続けに失敗。ファンの批判は渦巻いており、今回は是が非でも大谷、もしくは山本のどちらかを獲得して、ファンの留飲を下げたい。

 もう一つはチームの成績不振だ。2010年からの5シーズンで3度ワールドシリーズ制覇と栄華を極めたが、17年以降はプレーオフ進出はわずか1回。ライバルのドジャースに後塵(こうじん)を拝している。中軸にどっかりと座る打者や先発の柱がそろわず、今季もプレーオフを逃した。

 オラクル・パークは右翼のフェンスが高く、右中間も広く、左打者に不利と言われる。そのため、大谷移籍に疑問符をつける見方があるが、ザイディGMは今月初旬のGMミーティングで「左打者が不利? バリー・ボンズがいたじゃないか。われわれは今までもいい左打者がいた」と反論した。

 早くも、地元メディアでは獲得に懐疑的な見方も出ている。代理人、球団関係者が一堂に会するウインターミーティングが来月の4日に迫る中、名門マサチューセッツ工科大出身のエリートGMに、日本が誇る大物獲得への秘策はあるのか。

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◆ 「オオタニはクレイジーだよ」エ軍元同僚が告白! 感銘を受けた大谷翔平の独自な姿に感嘆「僕にはできない」

(情報:THE DIGEST)

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 今オフ、ロサンゼルス・エンジェルスからフリーエージェント(FA)となった大谷翔平。現在同じロサンゼルスを本拠地に置くドジャースをはじめ、サンフランシスコ・ジャイアンツ、シアトル・マリナーズ、サンディエゴ・パドレスなど、多くの球団がスーパースター獲得へ躍起になっているが、その去就動向には、元同僚からの視線も熱く注がれている。

 二刀流スターの存在について熱弁しているのは、クリーブランド・ガーディアンズからFAとなったルーカス・ジオリトだ。今年7月にトレード移籍し、約1か月間チームメイトだった29歳の実力派右腕は、現地11月28日に米人気ポッドキャスト番組『Foul Territory』に出演。エンジェルス時代を回想した。
 
 まず大谷との会話について、「英語もスペイン語もそれなりに知っている」と話し始めたジオリトは、大谷の通訳を務める水原一平氏の名前を挙げながら、「ときどき会話がうまくいかない時は、いつもイッペイが助けてくれる。彼も最高にクールだ」と言及。「オオタニは明らかにハイスペックな才能があり、投打両面で活躍する」と断言。あらためて偉才のスキルを称賛した。

 さらに、ジオリトが大谷から感銘を受けているのは、試合に向けての『準備』だという。「彼はいつもiPadを手に持っていた」と話し、その印象的な姿を振り返る。さらに大谷からもうひとつ学んだこととして、『睡眠』を挙げた。「彼は14時間くらい寝るらしい。これは僕にはできない。クレイジーだよ」と感嘆のコメントを寄せている。

 その後も、「自慢できることは、彼が私のインスタグラムをフォローしてくれたこと」と嬉しそうに話したジオリト。「もしかしたら同じチームと契約するかもしれないし、そうなったら最高にクールだね」と続け、「オオタニはいいチームメイトだった。彼はワールドシリーズで勝ちたいと思っているはず。幸運を祈る」とエールを送っていた。

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◆ 藤浪晋太郎を目覚めさせたアスレチックス守護神の熱き説得「フジはなぜ自分を信じないんだ?」

佐井陽介氏/情報:日刊スポーツ)

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<藤浪を追って(3)>

 激動の大リーグ1年目を終えた藤浪晋太郎投手(29)に7カ月間、密着し続けた男がいた。

 関西テレビの服部優陽(ゆうひ)アナウンサー(30)はなぜ休職してまで太平洋を渡ったのか。間近で見続けた“戦友”だけが知る藤浪メジャー挑戦の舞台裏に5回連載で迫った。

    ◇   ◇   ◇

 5月12日は当初、アスレチックス藤浪にとって「ノースローデー」となるはずだった。中継ぎ登板した2日前の10日ヤンキース戦で2回1/3を投げており、首脳陣からも前日までに「登板は多分ないよ」と聞かされていた。

 当日は本拠地ナイターのレンジャーズ戦。藤浪は練習前の午前中、サンフランシスコ近郊に位置するディアブロ山まで車を走らせていた。気分転換も兼ねて、ネーティブアメリカンの聖地として知られる名峰を満喫。同行した服部アナウンサーは頂上に立った時、5・12が記念日になるとは夢にも想像しなかった。

 「自分も球場に行くのをやめようかと迷ったぐらいの試合だったのに、同点に追いついた8回に晋太郎が外野フェンスで壁当てを始めて…。『えっ、まさか投げる気?』と驚きました」

 藤浪は結局、タイブレークで2点を勝ち越された直後の延長10回1死一、二塁から緊急登板し、2/3回を無失点と好投。10回裏に味方の逆転サヨナラ3ランが飛び出し、予期せぬ形でメジャー初勝利を手にした。

 アスレチックスのコッツェー監督は試合後、「8回にフジが外野の壁にボールをぶつけている姿を見て『今夜も投げられるのか』と確かめたんだ」と内情を明かしている。服部はその夜、藤浪本人から舞台裏の心情をあらためて聞かされて「『野球の神様』って本当にいるんだな」と妙に納得した。

 「晋太郎は『準備しろ』とは言われていなかった。それなのに『少しでも勝つための選択肢になれるのなら』と考えて壁当てを始めた、と。大阪桐蔭時代から変わらない献身性が報われたんだなと感じて、すごくうれしくなったんです」

 実はこの日、右腕はアスレチックスの守護神トレバー・メイから貴重なきっかけも授かっていた。当初登板予定がなかったことで、練習中に「ピッチトンネル」について話し込む機会に恵まれたのだ。複数の球種を似た軌道から変化させ、打者の見極めを難しくする。メジャー主流の考え方は後に、藤浪の復調を力強く支えた。

 「フジの中で今、一番使える球種は何?」

 「ストレートとスプリット、カットボールかな」

 「じゃあ多分、捕手のミットを真ん中高めに構えさせた方がいいと思うよ」

 助言を素直に受け入れた頃から、大器の逆襲劇は一気にスピードアップした。

 当時33歳だったメイからは同時に、精神面についても熱く説得された。

 「俺はもうスピードだけでは抑えられないから、フジがうらやましい。なのに、フジはなぜ自分を信じないんだ?このチームで一番フジを信じていない選手はフジじゃないか?」

 メンタルコーチにダルビッシュ有、そして同僚…。温かいサポートの数々にも助けられ、藤浪は徐々に心技体で自信を取り戻した。

 5月下旬からは2段モーションにも近い新フォームを確立。無四球投球を続け、6月下旬から7月上旬には6戦連続無失点も記録した。手応えを胸に球宴ブレークに入った7月中旬、代理人のスコット・ボラス氏はすでに「運命の1日」に向け、水面下で動きを本格化させていた。【佐井陽介】(つづく)

 ◆服部優陽(はっとり・ゆうひ)1993年(平5)8月25日生まれ、埼玉・さいたま市出身。早大時代に東京ドームでボールボーイを経験したことでスポーツアナウンサーを志し、16年4月に関西テレビ入社。スポーツキャスターとして活躍し、17年に第33回FNSアナウンス大賞で新人奨励賞、22年には第38回同大賞でスポーツ実況部門を最年少受賞。23年4月1日から休職して渡米し、同年11月より復職。168センチ。

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