2023年11月26日

 

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 ■ 今日の大谷翔平(関連NEWS)

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◯ 里崎智也氏が26日、TBS系テレビ「サンデーモーニング」に御意見番として出演。移籍先が注目される大谷翔平投手についてコメント。スポーツコーナー最後に大谷の移籍の話題に。関口宏MCから「どこだと思っているんですか?」と問われた。里崎氏は「僕はエンゼルス残留なんじゃないのかなと思っています。可能性は、けっこういろんな人に取材しても残留の可能性もまだあるっていう話はしてましたけどね」と答えていた。

 

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 ■ 注目記事&コラム

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◆ 大谷翔平に密着した監督が明かす、ドキュメンタリー映画の舞台裏。最も驚いたのは「彼が本当に“普通”であること」

山崎伸子氏/情報:MOVIE WORKER)

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メジャーリーグで2度目の満票選出によるMVPという、またもや前人未到の大記録を打ち立てた“二刀流”大谷翔平選手。いまや全世界の人々を魅了してやまない大谷選手に密着したドキュメンタリー映画『Shohei Ohtani - Beyond the Dream』が、ディズニープラスで独占配信中だ。このたび本作を手掛けた時川徹監督に単独インタビューを実施し、撮影の舞台裏から、長期にわたる取材から感じた、大谷選手の底しれぬ魅力をひも解いてもらった。

※本記事は、本編の核心に触れる記述を含みます。未見の方はご注意ください。

 

■「大谷選手の一人の人間としての物語を撮りたいと思いました」

 

二刀流選手として、数々のメジャーリーグ記録を塗り替え、侍ジャパンの2023年ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)優勝にも貢献した大谷選手の活躍は枚挙にいとまがない。時川監督は「大谷選手はただただすごい人です。だからこそ、彼の歩んできた道のり、特にMLBからの足取りを、ここで一旦ちゃんと映像化しておくべきだと思いました」と感じ、本作のメガホンをとったと言う。

 

時川監督は「彼が残した野球の成績や投げる球種、バッティングフォームなど、データのうんちくを集めるのではなく、大谷選手が一人の人間としてどういう人物なのか、そして彼はこれまでどういうものを乗り越えてきたのかという物語を撮りたいと思いました」と語る。

 

「ドキュメンタリーのなかで大谷選手自身も『最初から上手くいったことなんて1つもありませんでした』と言っていますが、あのShohei Ohtaniでさえそうなのかと、きっと誰もが思うはずです。本作はもちろん大谷選手のファンが第1のターゲットですが、それだけではなく、人生につまずいたり、失敗して立ち直れないと思ったりしている人など、多くの方に観ていただきたいです。アメリカはどちらかというと、失敗してなんぼみたいなところがありますが、日本だと学校に落ちたらもう人生真っ暗、一度やらかしたら終わり、みたいな考え方の人も多い気がして。だから、たとえ失敗しても負けないで続けていくことで、自分の夢を実現できるということを、大谷選手の姿を見て、感じてもらいたいなと思いました」。

 

■「マルティネズやダルヴィッシュといった先輩たちが地ならしをしてくれていたことは、非常に大きい」

 

本作では、英語版のナレーションを米野球殿堂入りした元ボストン・レッドソックスのペドロ・マルティネズが、日本語版をニューヨーク・ヤンキースなどで活躍した松井秀喜が担当している。大谷選手について語る出演者は、この2人をはじめ、サンディエゴ・パドレスのダルビッシュ有選手、元ヤンキースのCC・サバシア選手、北海道日本ハムファイターズと侍ジャパン元監督の栗山英樹、元ロサンゼルス・エンゼルス監督のマイク・ソーシアとジョー・マドン、代理人のネズ・バロロらだが、この人選については、大谷選手と話し合って決めたそうだ。

 

「そうは言っても、事前に僕たちでかなりリサーチをしました。それで、大谷選手が学生時代に書いたものやいろいろな記事を漁ったなかで、『僕の憧れは、打撃だと松井秀喜さん、投手だとダルビッシュさん』という中学時代の記事を見つけたので、これはお2人に出てもらうしかないなと思い、アプローチしました。

 

また、ペドロ・マルティネズは、ピッチングにおいて大谷選手がずっとモデルにしていたこともありますが、決め手となったのは、2021年のオールスターでした。大谷選手が初出場された際に、MLBの放送で、大谷選手、ペドロ、一平さん(大谷選手の通訳である水原一平)が楽しそうに話しているのを見てすごくいいなと思ったので、今回お願いしました。大谷選手もペドロも地方で育ったし、野球以外のところで、両親の愛をたくさん受けて育った方です。それに彼はドミニカ共和国出身で、母国語も英語ではなくスペイン語であり、海を渡ってMLBに来たという共通点もありましたから」。

 

そういった言葉の壁や人種差別などの問題については、近年少しずつ改善されてきたようで、大谷選手の口からはまったく語られることはなかったが、それより前の世代であるダルビッシュ選手が渡米したてのころの苦労を振り返って語るシーンは、敢えて挿入したと言う時川監督。

 

「そういう先輩たちが地ならしをしてくれていたことは、非常に大きいと思います。こういうことを言うと、日本であれば『ポリコレだ』(「ポリティカル・コレクトネス」の略)とか文句を言われたりしますが、やはりMLBでマイナーから全部入れた大きな組織の総数で言うと、確かアジア人は非常に少なく、数パーセントしかいないんです。大谷選手やペドロのように、メジャーのビッグリーグで活躍する人たちが目立っているから、もっとたくさんいるように見えてしまいますが、全体の野球人口からしたらほんのひと握りで、そういう環境のなか、彼らが成績を残しているということを、もう少しわかってほしいなとも思いました」。

 

■「大谷選手は、なんの気負いもなく、なんでも普通にできちゃう人。だから彼は天才なんです」

 

今回、大谷選手に密着してみて、一番驚いたことについて尋ねると、時川監督の口から「驚きがなかったです。彼は本当に“普通”なんです。逆に言えば、そこに驚きました」という意外な答えが返ってきたが、そこには補足が必要だ。「僕の勝手な個人的意見ですが、大谷選手は“普通”のことを普通にできる人です。そこがすばらしい。一般的な男の子なら、ちょっとカッコつけたい年頃だと、こんな練習をやってるなんてバカらしいから遊んでいる方がいい、と投げ出してしまいがち。でも、野球が上手くなりたいのであれば、練習するしかないですよね。大谷選手は、なんの気負いもなく、そこを普通にできちゃう人。だから彼は天才なんです」。

 

加えて時川監督は、そういった大谷選手の気質は、岩手県民ならではのものではないかとも感じたそうだ。「今回、取材撮影のために、大谷選手の出身地である岩手にも行きましたが、岩手の人はみんなと違わず、普通であることを美徳とされている方が多い印象なんです。どこのお庭もすごくきれいに刈ってあるし、いつもピシッとされています。岩手で撮影を手伝ってくれた方に聞いても『岩手はこうです。目立ったりすることが、はしたないというか、普通にちゃんとしています』と言っていて。大谷選手もそういう点を受け継いでいるというか、育った環境は大きいなとつくづく思いました。だから彼の故郷へ行き、街並みや景色を見たり、いろんな人とお話をできて本当によかったです。大谷翔平は、こういう場所から出てきた人なんだなと大いに納得しました」。

 

時川監督は「そういう意味では、地方で大きな夢を抱いている子どもたちは、勇気を出してどんどん頑張っていってほしいです。東京の大学を出て、一部上場企業に勤め、レールに乗っかっていくだけが人生における成功ではない。地方にこそ、世界に羽ばたける大物が出る可能性がまだまだあると感じました。そもそも日本という国はそうだったと思います。明治維新でも地方出身者がすごいことをやっていきましたが、彼らはしがらみのない地方にいたことがよかったんです。英語では“Think outside the box”――“箱の外側から考える”と言われていますが、大谷選手も岩手の人だったことが功を奏したのかなと思いました」と持論を述べる。

 

また、“二刀流プレイヤー”大谷選手の育て親である栗山監督が、大谷選手について語るインタビュー映像も非常に見応えがある。なかでも、時川監督が1番印象に残ったのは、大谷が二刀流の道を進んだことについて栗山監督が「これが翔平にとってよかったのかどうか」と、真摯な表情で語るシーンだと言う。

 

「それは正直な気持ちなんだろうなと思いました。だって、彼のレベルでの二刀流なんて、誰もやったことがない道ですから。いまや大谷選手の活躍ぶりは、栗山監督の予想を遥かに超えていっていると思いますが。ほかにも栗山監督が、ご自身の役割について語ってくださったところも興味深かったです」。

 

逆に、大谷選手が栗山監督に「本当に二刀流ができると思っていましたか?」と、率直に聞くくだりもあるが「そこもちゃんと言葉にして素直に言えるところが、大谷選手のすごさかと。気負いや格好をつけたりするところがまったくないので」と言うが、確かに大谷選手の人柄が垣間見られる一幕だ。

 

劇中では、大谷選手が屈託ない笑顔を見せるオフショットも挿入されている。時川監督は「笑顔がとてもすばらしい」と絶賛したうえで「大谷選手は、映画スターのオーラをまとっています。カメラ映りが人とはまったく違い、彼を見たら『スターだ!』と感じますし、それ以外にどういう形容があるのかしらとまで思ってしまう。だけど、地に足がついていて、ごく普通なんです。だからこそ特別な存在だと思います」と興奮しながら語る。

 

■「今回のインタビューで前もって『こういう質問を投げます』と伝えたことは一切ありません」

 

話を聞いていくと“普通”というキーワードが特別な意味を持って際立ってくる。「彼にとっては、やることすべてのプロセスが普通のことなんです。ただし、彼はいつも相当、いろいろなことを考えていると思いました。そうじゃなければ、質問をされた時、あれほど端的に、自分の思っていることをわかりやすく言えないと思います。きっと彼は、普段からそういう思考プロセスを繰り返しているはず。ちなみに、今回のインタビューで前もって『こういう質問を投げます』と伝えたことは一切ありません。すべて出たとこ勝負なのに、あそこまでしっかり答えられるのはすごいことです」。

 

また、劇中ではファンにはおなじみかもしれない、高校1年生の時に書いたという野球に対する目標チャートが登場する。詳細についてはぜひ本編をチェックしていただきたいが、彼が次なる目標として、筆で書いた言葉はずばり「世界一」という言葉だった。

 

あのシーンについては時川監督も心を射抜かれたそうだ。「僕の演出としては、いままでやってきた目標シートからの脱却というか、その次へとアップグレードするという意味で、なにかわかりやすく視覚的な演出をしたいと思ったんです。それで、そのシートを裏返して、そこに新しい目標を書いてもらうという段取りまでは決まっていました。それで大谷選手に『なにかを書いてください』と言ったら、『世界一』と書いてくれました!」と言うが、なんともエモーショナルなやりとりである。やはり目指すはそこなのか!と胸が熱くなった。

 

このドキュメンタリーを観て、大谷選手がなぜ栄光をつかめたのか、いろいろな要因がわかってきたが、1つだけ確信していることは、このあと、大谷選手がどのような道を歩むにしても、常に前を向き「世界一」を目指していくということだ。彼は決して後ろを振り返らず、未来へとコマを進める冒険者だ。これからも多くの人々の心を打つプレイを見せてくれるに違いない大谷選手を、心から応援していきたい。

 

取材・文/山崎伸子

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