2023年11月18日

 

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 ■ 今日の大谷翔平(関連NEWS)

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◯ 去就が注目される大谷について、マリナーズが消極的だとMLB公式サイトのダニエル・クラマー記者が17日(日本時間18日)伝えた。同記者は「球界関係者は、オオタニ獲得はマリナーズにとって、今オフの狙いとして現実的なものではないと話している。1年前は、オオタニをアグレッシブに獲得に動くと見込まれていたが、球団は方針を転換したことが明らかになった。消極的な理由として、契約に巨額の資金が必要だが、1人の選手にかけるより他の補強をすることが優先事項であることや、たぶんオオタニはマリナーズよりも興味のある球団が他にある。マリナーズの方針転換が、大谷と代理人のネズ・バレロ氏側の対応をみて導き出した答えであるかどうかは、はっきりしない」とも伝えている。

 

◯ MVPは全米野球記者協会(BBWAA)所属の記者30人の投票で決まった。実際に投票した記者に選考基準などコメント。

 

ケネディ・ランドリー記者

MLB公式サイト・レンジャーズ担当: 
「大谷とシーガーの争いだった。2人とも一定の試合数を欠場したが、その他の選手は2人に及ばなかった。大谷はキャリアの中で投手として最高のシーズンを過ごし、打撃も比類なきものだった。

 昨年はジャッジに敗れたが、私の考えでは接戦だった。エンゼルスとは同地区だから、大谷のプレーはよく見ている。6月の4連戦で4本塁打したが、中でも14日の逆方向への本塁打は453フィート(約138メートル)も飛んでいた。驚異的だった。

 私は毎日のようにシーガーのプレーを見た。彼の活躍がチームの成功の大部分を占めているのは間違いない。ただ、大谷が故障で離脱するまで、二刀流で驚異的な活躍をしたことについて、MVPの1位票を入れないことは難しいと感じた。

 レンジャーズは大谷獲得へ、より積極的に、何らかの関心を示すべきだ。大谷のためにDHを空けることはどのチームも対処しなければならない問題だが、獲得の利益はそのリスクを上回っている」


エバン・グラント記者
ダラスモーニング・ニューズ紙・レンジャーズ担当: 
「チームへの全体的な貢献度では、シーガーの方が上ではないかと考える。彼は打撃、守備の両面でけん引し、ポストシーズンに導いた。だが、大谷は今季メジャー全体でもOPS(出塁率+長打率)1位など、最も優れた打者だった。投手でも7月27日のタイガースとのダブルヘッダー1試合目での完封など、歴史に残るようなパフォーマンスをやりそうな期待感を常に持たせてくれた。

ラリー・ストーン記者

シアトル・タイムズ紙・マリナーズ担当: 
「大谷への1位票に全くためらいはなかった。9月3日を最後に試合に出なかったが、ナ・リーグの選手を含めてもMVPだ。打者としても投手としてもエリートレベル。長い野球の歴史を見てもこんなに凄いシーズンは限られるし、大谷のキャリアの中でもベストのシーズンだったのではないか」

ポール・ホインツ記者

クリーブランド・ドットコム・ガーディアンズ担当: 
「大谷は野球を愛する人たちにとっては夢のような存在だ。投げて、打って、走って、何でもできるし、どれをとっても、他の多くの選手よりもはるかにうまくプレーできる。彼のような野球選手は見たことがなかった。一生に一度巡り合えるかどうかというレベルだ。私は21年の時も大谷に投票した。2度の満票は初めてだが、彼はそれに値する。心からおめでとうと言いたい」

 

レット・ボリンジャー記者

MLB公式サイト・エンゼルス担当:
「大谷に投票するという決断は簡単だった。二刀流選手として素晴らしい一年を過ごし、メジャー最高の選手となった。野球界で最高の打者の一人であり、右肘の故障までは投手としても好調だった。

 特に6月は、恐らく長い大リーグの歴史を振り返っても史上最高の月となった。15本塁打、打率・394、41安打、29打点で実に印象深い1カ月だった。右脇腹痛で最後数週間は欠場したが、本塁打、出塁率、長打率でリーグトップを守った。

 22年にア・リーグ新記録の62本塁打を打ったヤンキース・ジャッジのように、今の大谷からMVPを勝ち取るには特別なシーズンが必要だ。今年に限れば、大谷がケガをしていても、MVPに選ばれるのは当然だった。

 今後はドジャースに移籍する確率40%、エンゼルスに残る確率30%、その他の球団30%と予測している」


キーガン・マシソン記者

MLB公式サイト・ブルージェイズ担当:
「迷わず翔平に投票した。私はいつか記者たちが毎年彼に投票することに飽きてしまわないかと心配しているほどだ。東海岸の人間は3時間の時差があるため、夜遅い西海岸の試合はあまり見ないが、翔平は1、2打席を見るだけでも価値がある特別な選手。ブルージェイズはここ数年、かなり補強に積極的で、大谷獲得を真剣に考えるべき球団の一つだ」

アレックス・スパイヤー記者

ボストン・グローブ紙・レッドソックス担当:
「大谷が打者として残したインパクトは素晴らしく、打撃の貢献度だけでもMVPだった。ライバルのシーガーの出場試合数は大谷よりも少なかった。打者として最高級の数字を残し、投手としての貢献度も高いから文句なし。大リーグ史上最高級の二刀流パフォーマンスだった。エンゼルスのチーム成績が優れなかったことが無意味とは思わないが、大谷がリーグ全体を揺るがせた功績は無視できない」

リッチ・ダブロフ記者

ボルティモアベースボール・ドットコム・オリオールズ担当: 
「大谷の活躍は支配的だったから結論を出すのは簡単だった。投打両方の貢献度は群を抜いており、他の選手を選ぶ人がいたら衝撃的だっただろう。エンゼルスは低迷したし、終盤の大谷はケガで多くの試合を休んだが、欠場が多かったのはシーガーも同じ。コールはヤンキースがプレーオフを逸してもサイ・ヤング賞を受賞した。もちろんチームの成績は無視されるべきではなく、プラス材料にされべきだが、今季の大谷のように投打で飛び抜けた成績を残した選手ならMVPに選ばれて当然だ」

 

◯ ベースボールカードの老舗トップス社が、大谷のMVP受賞を記念して犬との2ショットを使用したカードを作成。同社のサイトには価格1243円のほか、日本時間18日12時現在で残り18時間30分と記されており、期間限定販売となっているようだ。

 

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◯ MLB公式サイトは17日、1931年以降の歴代MVP187人をランク付けし、史上初の2度目の満票受賞となった今季の大谷翔平投手(エンゼルスFA)を19位に選んだ。理由を「他の誰かと大谷を比較するのは変だ。彼がやっていることは誰もやったことがないためだ。最後の月にほとんどプレーしなかったため、初受賞にやや劣る」と説明した。初受賞の21年は「前例がない」として14位とした。1位は01年のボンズ(ジャイアンツ)で、史上最多の73本塁打を放った。

 

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 ■ 注目記事&コラム

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◆ 大谷翔平 自身の肉体を“実験台”にしていた一年 将来の二刀流のためのフル回転
柳原直之氏/情報:スポニチ)
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 【本紙担当記者が見た今季の大谷】今季の大谷は自身の限界に挑戦しているように見えた。7月から脇腹や両ふくらはぎ、右手中指のけいれんなど何度もケガの前兆があったが、休まなかった。原因について「一番は疲労」と口にしつつ、チームが低迷後も試合に出続けた。

 史上初の投打ダブル規定到達の昨季を経て二刀流フル回転は3年目。右肘じん帯損傷という最悪の結果が待っていたが、無計画だったわけではないはずだ。プレーの幅を広げることはもちろん、他の二刀流選手の台頭について「良いサンプルとして良い成績が残るように頑張りたい」と話したように、どこまでやれるか自身の肉体を“実験台”にしていたような印象だった。

 前例なき二刀流は、2年後の25年に再びスタートを切る。来年で30歳。史上最多7度のMVPを誇るボンズの記録を抜く可能性があると思っているのは私だけではないだろう。

 「去年ももちろん獲りたかったけど、ジャッジ選手も素晴らしかった。今年もシーガー選手もセミエン選手もワールドシリーズを優勝したように、素晴らしい年だったなと思うので、それに負けないくらいのシーズンにしたいなとは思ってた」。この負けん気の強さが頼もしい。自身だけでなく、野球界の未来をも見据えた大谷の挑戦はまだまだ続く。(MLB担当・柳原 直之)

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◆ 大谷MVPも…前代未聞の電話会見中止 FAの質問避けるため?「機材トラブル」理由も
(情報:スポニチ)
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 MLBネットワークの番組内で久々に姿を見せた大谷だが、慣例となっているMVP受賞の電話会見は急きょ中止になった。米東部時間午前9時開始予定で、日米の報道陣が待機していたが、30分後に突然「キャンセル」のアナウンス。大リーグ機構は「大谷のせいではない。彼のコントロールを超えたところにある」と説明した。

 ナ・リーグMVPで、母国ベネズエラに滞在中のアクーニャも直前に中止となった。「電話回線など機材のトラブル」との情報もある一方で、米メディアはFA交渉中であることが理由と指摘する。

 シアトル・タイムズ紙のラリー・ストーン記者は「突然の会見中止は記憶にない。代理人がFAの現状について大谷にコメントしてほしくないと思ったのだろう。質問はそこに集中するので」との見方を示した。大谷が報道陣に対応したのは8月9日が最後。交渉過程や移籍先希望、リハビリ状況などは、契約内容に影響を及ぼす可能性があるからだ。

 先週開催されたGM会議ではドジャースをはじめ、大谷関連の質問に口を閉ざすGMが多かった。16日付のニューヨーク・ポスト紙は「情報を漏らすと獲得の可能性が低くなると、代理人が各球団に通達している」と、ネズ・バレロ代理人が30球団にかん口令を出していると伝えた。

 大物のFA交渉では、代理人側が情報をリークして対抗馬をつくることで市場価値をつり上げるのが常とう手段だが、大谷はもはや前例が当てはまらない存在だ。

 MVPを受賞した選手が同年オフにFAになるのは5人目で、新天地への移籍を選択すれば、通算762本塁打の大リーグ記録を持つ92年のバリー・ボンズ以来、2人目となる。

 2度目の満票受賞が追い風となるのは確実で、北米プロスポーツ最高額となる総額5億ドル(約750億円)超の巨額契約が見込まれる。MLB史上最大のFA交渉は水面下で静かに進行している。
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◆ メジャーの本塁打王は夢の出来事。大谷翔平のパワーは規格外ですよ【デーブ大久保 さあ、話しましょう!】
デーブ大久保氏/情報:週刊ベースボールONLINE)
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 こんな打者がうちのチームにいてくれたらなあ。「あこがれるのをやめましょう」と言えるようなチームリーダーの要素も持ち、足も速い。そう思ってテレビを見ていたのが大谷翔平です。先日、シルバースラッガー賞を受賞しましたね。しかもア・リーグの本塁打王に輝いたのですから、すごいの一言です。

 私は、本当に自分が死ぬまで、MLBで本塁打王を獲得する日本人選手が出てくると思っていませんでした。巨人時代に一緒にプレーした松井秀喜(元ヤンキースほか)が、年間40本塁打以上打てなかったのですから……。それを大谷は一気に超えて今季44本塁打。2度目の40本超え。とんでもないバッターですよ。

 何がすごいのか、というと一番は何といっても「パワー」です。言ってしまえば技術を超越したパワーを持っているんです。完ぺきな打撃フォームで打った本塁打はそこまで多くありません。タイミングを外されて、少し泳ぎ気味だったり、少し詰まらされたりしたバッティングのときでも、パワーでスタンドまで持っていきます。あのメジャーでそれができるんですから、われわれプロ野球を経験した解説者からしても、なかなか説明できないほどです。

 しかもそのパワーが、欧米人、中南米人のそれをもはるかに超えている点です。東南アジア系の人間は、骨格的な部分で筋肉の付き方が違うので、パワーで劣るとも言われてきました。それをはね返してMLBの中でのトップ中のトップのパワーを持つ選手になっている。これは本当にすごいことなので、日本人として誇れるのです。

 そこに人柄まで付いてくるのですから、もう本当に……。先日、日本の全小学校にグラブを各3個ずつ寄贈するという報道がありました。こんなすごいことを彼は思いつくのか、と感心しました。これも大谷がやるから、何の嫌味もないのです。もし、デーブ大久保が同じことをしたら「売名行為をしてんじゃない!」なんて絶対に言われますよね。そういうタイプの人間なので(笑)。

 なぜ大谷はそういうことを言われないのか。すべては人のために動いているように見えるからです。ファンが喜ぶために、チームが勝つために、という姿勢が見てとれますよね。それだけ「徳を積んでいる」のだと思います。曼荼羅シートの件も有名ですが、日々徳を積めば、その徳が自分のところにはね返ってくるのだと思います。

 今回も、グラブ寄贈することでどれだけの小学生が喜ぶのでしょうか。その笑顔が大谷によってもたらされ、それが大谷のパワーにもなる。私が小学生のときに、もし長嶋(長嶋茂雄)さんや王(王貞治)さんから同じように寄贈されたら、もう飛んで喜びます。そういう子どもたちのパワーを、今度は大谷がもらって、また素晴らしいプレーを見せる。まさに運がループしているように見えるんです。
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◆ 「オオタニ、どこで買える?」ユニ姿の長女がシアトルで大人気、WBC打撃練習でも…「愛され大谷翔平」ナマ観戦記〈MVP発表では犬谷さん〉

AKI氏/情報:NumberWEB)

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 自身2度目となるア・リーグMVPを獲得した大谷翔平。WBCから八面六臂の活躍を見せた1年となったが……その歴史的な一戦やメモラビリアを熱烈に追う筆者が、ショウヘイ・オオタニの2023年アラカルトをまとめた。《全2回の1回目/第2回につづく》

「大谷か、トラウトか!」

 2023年3月のWBCの感動から8カ月――日本時間17日の朝、大谷翔平がア・リーグのMVPを史上初となる2度目の満票で受賞した。MVP発表番組に登場した際は自身が飼っているのだろうか――“犬谷さん”に「お手」や「ハイファイブ」をして戯れる姿は、何ともほっこりするものだった。

 今シーズンは終盤戦の約1カ月休養したものの、日本人初のホームラン王を獲得し、出塁率(.412)、長打率(.654)、OPS (1.066)でもリーグトップ。また打率も自身初の3割(.304)を達成した。一方の投手としても2年連続での規定投球回数は達成できなかったものの、2年連続の2桁勝利を達成。投打二刀流として今年も歴史的な1年になった。

 筆者は今年もテレビ観戦やメディア報道に加えて、WBCを含めた現地観戦で大谷の歴史的な1年を目の当たりにしたひとりだ。そこで、球場で出会ったファンなど様々な方の大谷愛に触れたので、MVP受賞となったこの機会にまとめてみた。

大谷のフリー打撃にメキシコ人ビックリ


★WBCで「Shohei Ohtani unbelievable」(大谷翔平は信じられない)★

 これはWBC準決勝・決勝の地マイアミで現地のファンから思わず漏れた言葉だ。試合前の打撃練習、外野で日本選手のバッティング練習を見ていた。

「次打つのは誰だ?」

 スマホを構え出すと、隣でグラブを持つ現地ファンからそう尋ねられた。

「Shohei Ohtani(大谷だよ)」

 そう答えた時点では、彼がどこまで大谷のことを知っているのかを察するのは難しかった。ほどなく、大谷が1本、また1本とスタンドに軽々とボールを運んでくる。しかしグラブを構える彼のもとにボールは来ない。 

 それはなぜかというと……大谷から繰り出される打球は次から次へと、まるでピンポン玉のように我々の遥か上の2階席、そして看板へ飛んで行くから。その光景に、現地ファンは冒頭の言葉を漏らした。

 またメキシコ戦、決勝のアメリカ戦後はそれぞれのファンから、握手を求められ、こう声を掛けられた。

「JAPANおめでとう」
「Shoheiはやっぱりすごいな」

 自分の応援するチームが負けてもすぐに気持ちを切り替えて祝福できる姿勢に素晴らしさを感じた。さらに必ず大谷の話題も振ってくるところに、国籍を超えて大谷を応援してくれているんだな……と感慨を覚えつつ、また2026年にこの地マイアミで会おうと伝えて別れたのはいい思い出である。

 

オールスターでシアトル→イチローユニも人気絶大


 ★生で聞いたオールスターの「Come to Seattle」★

 今年のオールスターゲームは、2001年にイチローさんがデビューした年以来のシアトル開催となった。

 当時の筆者は仕事が忙しかったこともあって観戦を断念し、レプリカユニフォームの購入だけで心の隙間を埋めていたことを覚えている。

「久しぶりにアメリカに行きたい」

 6月下旬だっただろうか、夕食中に急に長女がそう言った。ちょうど大谷がア・リーグ最多の264万6307票を獲得し、指名打者(DH)で3年連続3度目の先発出場が決まったことがニュースになったタイミングだった。

「ん?  行っちゃう?」

 シアトル在住で、長くイチローさんを一緒に追い掛けてきた友人に連絡を取ってみると〈オールスター期間中、自宅に泊めてあげる〉と即答が。期限が切れた娘のパスポートの申請、フライトの予約、と弾丸での決行が決まった。 

 シアトルに到着後、早速PLAY BALL PARKのイベント会場へ。ここでは大谷のパネルやロッカーが展示され、併設のストアではオールスター関連のグッズが多数販売されていた。中でも大谷のユニフォームの販売スペースが一番大きく、WBCの優勝トロフィーも飾られるなど、大谷はここでも中心的な存在だった。

 筆者はイチローさんのユニフォーム、娘は今年のオールスター大谷のユニフォームを着ての観戦だった。シアトルでは今でもイチロー人気は絶大で、現地のファンからも「So cool (かっこいいね)」と声を掛けられた。

長女が大谷ユニフォームを着ていたら現地ファンが


 さらに大谷のユニフォームを着ている娘にも「Nice jersey!  (いいユニフォームだね)」 「Come to Seattle」(シアトルに来て)との声が。このユニフォームはどの球場のストアでも売り切れだったようで、「どこで買える?」とも聞かれ、あらためて大谷の注目度を知ることができた。

 その熱量は試合中の「Come to Seattle」(シアトルに来て)の大合唱で爆発。この「Come to XXX」は、後のテキサスなど敵地にも飛び火し、シーズン後にFAとなる大谷の争奪戦がファンの間でも行われることになったのだが――。

 なお余談だが、前述の友人は25年来のマリナーズのシーズンシートホルダーである。〈来年は大谷にシアトルに来てもらって、チーム史上初のワールドシリーズ制覇に貢献して欲しい》とも言っていた。

 ★生観戦は未来への投資になる★

 筆者だけでなく、今年もメジャーの中継を見れば大勢の日本人ファンがアナハイムや敵地を訪れて観戦している様子が映っていた。家族旅行と思われる方から、大学生、そしてシニアの方の団体旅行など層は幅広い。それぞれが思い思いの自作応援ボードを掲げ、カメラを構え、その瞬間を全力で楽しんでいる姿が毎日のように中継に抜かれていた。

 例えば大谷を観戦した小学生がいたとして、50年後……。

「大谷をアメリカで見たんだよ」「すごーい!」

 このような会話が交わされるのかもしれないと思うと、胸が熱くなる。

 円安や物価高などアメリカ観戦へのハードルは高くなる一方だが、現地観戦での感動はやはりプライスレス、見られる機会や時間があれば少しでも早く、悩む前にまず行かれることをお勧めしたい。その場にいた観客は、大谷の映像が流れる度に「ああ、ここにいたんだな……」と感動がよみがえるはずだ。

 

大谷が成し遂げた“野球ファン拡大”という業績


 ★2023年大谷が日本に届けた「元気」★

 「1日の始まりは大谷から」
 「仕事で疲れていても疲れが吹っ飛ぶ」
 「新聞や雑誌で“大谷”の文字を見つけただけでワクワクする」  

 現地観戦以外でも――筆者の周囲では、こんな声を今年はよく聞いた。

 さらに聞くと、その二刀流としての圧倒的な野球技術が生み出す魅力はもちろんなのだが、それ以上に「人間性」、そして集中した試合の中で時折見せる「無邪気な笑顔」、「相手への敬意」など、ちょっとした仕草や行為、表情に魅了されているというファンが多い。

 しかも、それまで野球に興味がなかった人たちが今回のWBCで大谷の魅力を知り、そして見るようになったという。過去、野球に対して興味がなかった層を巻き込み、そして味方だけではなく、相手チームまでも巻き込んで愛されている。大谷自身、どんな成績よりも、「一番大好きな野球、その野球ファンが自分がきっかけで増えている」という事実が一番嬉しいことなのかもしれない――とも感じた。

 そんな記録的な1年、メモラビリアとしても記憶に残したいトピックが数多くあった――。

<第2回に続く>

(「メジャーリーグPRESS」Aki = 文)

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◆ トラウトが大谷翔平と水原通訳にあげた「WBC最終決戦カード」1枚5000円、破壊した広告パネル102万円…“オオタニ名・珍品”のスゴいお値段
AKI氏/情報:NumberWEB)

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 自身2度目となるア・リーグMVPを獲得した大谷翔平。WBCから八面六臂の活躍を見せた1年となったが……その歴史的な一戦やメモラビリアを熱烈に追う筆者が、ショウヘイ・オオタニの2023年アラカルトをまとめた。《全2回の2回目/第1回からつづく》

 WBCに続いて、MLBア・リーグでも満票でMVPを獲得――今年も年間通じて大谷に沸いたが、プレーだけでなく、スポーツメモラビリアでも話題には事欠かなかった。そんな大谷関連のトピックスや出品された様々なグッズの落札額などをMVP獲得のタイミングで振り返りたい。

WBCでは大谷を筆頭にユニ争奪戦が起きたが…


 ★大谷公式ユニフォームを求めてファンが殺到したWBC★

 今年2月、WBC開幕を前に公式グッズは、大谷を筆頭にダルビッシュ有、鈴木誠也、村上宗隆、佐々木朗希らスーパースターの参加が決まったこともあって、オンライン販売開始から人気沸騰だった。

 宮崎キャンプ、さらに名古屋・大阪での壮行試合の会場では徹夜組も現れるほど(主催者側は徹夜禁止としていたが)人気で、各地で公式ユニフォームの争奪戦が繰り広げられた。

 その中で1番人気はやはり、大谷ユニフォームだった。東京ドームでの本戦開始後にはさらに過熱。公式ショップは抽選券を事前に配布、抽選に当選した人のみがショップに入場できるシステムに変更された。聞くとこの抽選券でさえ、転売品やカラーコピー品が出回り、スタッフは対応に四苦八苦していたそうだ。過去のWBCのを踏まえた想定を遥かに上回る需要が生まれた結果だと思うが――今回浮き彫りとなった課題を次回の2026年に繋げて欲しい。

大谷vsトラウトのWBCカードが注目されたワケ


 ★今年もっとも注目されたトレーディングカードは? ★

 数ある野球カードの中でも今年、日本で最も注目を集めたカードがある。

 それは米国のTopps社から24時間限定でオンライン販売された、〈WBCで大谷がマイク・トラウトから空振り三振を奪った瞬間〉のカードだ。

 今回のWBCでは1位の発行枚数(4万2273枚)だったが、更に注目度が上がったのは8月のこと。誰あろう、トラウト自身がSNSでこのカードを紹介してからだ。

 トラウト自身もコレクターとして有名なのだが、購入したカードのうち3枚に、大谷の直筆サインを依頼した。自らのサインも入れて米国大手鑑定会社PSAの鑑定を受け、大谷と通訳の水原一平氏にプレゼントしたのだ。

 

「オオタニもトレカコレクターになった!」


 受け取った大谷も自身のSNSでそのカードをアップしたことで、「大谷もトレカコレクターになった」「サインがなくても同じカードが欲しい」と、元々1枚1000円のカードが一気に5倍の5000円で取引されることとなった。

 昨今はレアな超高額カードの話題が目につくが、このカードの発行枚数が多いため、お手頃な価格で販売される可能性もある。レアではなくとも大谷とトラウトの背景やストーリーを考えると――野球ファンとしては持っておきたい1枚で、筆者もコレクションのひとつとして加えた。トレカの価値はレア度だけでは測れないものがある証左だ。

WBCユニフォーム落札額は1702万円!


 ★WBCの実使用ユニフォームやベースはオークションで高額落札★ 

 とはいえ、大谷関連グッズは高額で売買されたものが多いのも事実である。 

 まずは、MLBオークションに出品されたWBCの実使用品に注目が集まった。大谷がWBCで実際に着用したユニフォームが12万6100ドル(約1702万円:当時為替)の値段で落札された。

 なお、時期を同じくして出品された各選手の落札額は以下の通り。

 村上宗隆:1万6010ドル(約216万円)
 ラーズ・ヌートバー:1万2550ドル(約169万円)
 高橋宏斗:6020ドル(約81万円)
 大勢:6010ドル(約81万円)、
 中村悠平:3220ドル(約43万円)

 こう比べてみると、大谷は驚くべき価格となっている(筆者としては他も十分高額だが……)。

 その他にも、決勝戦で使用された一塁ベース(1~3回まで使用)が1万9010ドル(約257万円)、村上がサヨナラ安打を放った準決勝メキシコ戦で使用された一塁ベース(5~9イニングまで使用)が1万130ドル(約137万円)で落札されていた。 

オールスター使用ヘルメットは1373万円!


 ★オールスターユニフォームは今年も人気に★

 筆者が購入したのはレプリカユニフォームだが、オールスターメモラビリアの世界でも話題の中心は大谷だった。

 大谷の直筆サイン入りユニフォームが5万10ドル(約701万円)、これは今年ナ・リーグMVPを獲得したアクーニャ・ジュニアの3590ドル(約50万円)の14倍……。実使用のヘルメットも出品され、こちらは9万8010ドル(約1373万円)。これらは日本在住の方が落札したようで、これらの宝が日本にあるという事実だけでも嬉しくなる。

 ★大谷翔平は着用ユニも規格外なお値段★

 レギュラーシーズンで大谷が着用したユニフォームも――WBCのユニフォームには及ばないものの――引き続き高額で落札されている。

 最高落札価格は、ホームで先発登板し、ホームランを打った際に着用したユニフォーム(6万200ドル/約843万円)、シティコネクトユニフォーム(3万3000ドル/約462万円)、となっている。なお、実使用ユニフォームはどの試合で着用されたものなのかもコレクターとしては重要指標なので、同じユニフォームでも大きく価格の差が出る。 

 

敵地大ファールで破壊した広告パネルまで出品


 ★アメリカならではのこんな珍品も出品★

 MLBならではという珍品も出品、落札された。2023年8月26日・エンゼルスがメッツと敵地シティフィールドで対戦した試合、DHとして出場した大谷の打球は右翼ポール付近への大ファールになった。その際、着弾地点に設置された電光掲示板広告パネルを破壊してしまったのだが、その壊れたパネルが出品されたのだ。

 何でも販売してしまうMLB、そして破壊されたパネルの広告主・クアーズライトも宣伝に使用するなど、商魂の逞しさは日本も見習わなければいけないかもしれない。落札価格は7010ドル(約102万円)、この壊れたパネルをどのように飾るのか興味深いので――もし落札されたのが日本の方であれば、ぜひ見せていただきたい。

「転売」が社会問題化したことへの懸念


 ★安心・安全にスポーツメモラビリアを購入・保有できる社会に……★

 大谷のMVP獲得によって、関連メモラビリアは注目度が上がる一方だ。ただその裏側では、前述したWBC公式ユニフォーム等の「転売」が社会問題化した。不当な手段で買占めが行われているのであれば、対策の強化に乗り出す必要がある 。それと同時に偽物品・非正規品・著作権及び肖像権の侵害品がで溢れる現状は続いている。贋作品は販売する側が悪いのは当然だが、買い手側も、スポーツメモラビリアについての知識を身につけていく必要性がある。

「すべての人が安心・安全にスポーツメモラビリアを集めることができる社会を」

 健全な市場がなければ、市場の成長は続かない。筆者1人では大きすぎる課題なのは重々承知の上だが、スポーツメモラビリアコレクターとして微力ながら出来る活動を行っていきたい。同じ時代を生きる今、大谷翔平の偉業・アイテム・熱気を健全な形で後世に伝えていけるように――。

 さてMVP獲得が決まった本日以降、MVP関連のスポーツメモラビリアも多数発売されるだろう。どんな商品が出てくるのか。今年1年の歴史的な生観戦で味わった高揚感を保ちつつ、心待ちにしている。

<第1回「生観戦記」編からつづく>

(「メジャーリーグPRESS」Aki = 文)

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◆ 2023年も変わらなかった大谷翔平の「勝負の年」という思考

佐々木亨氏/情報:スポナビ)

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 大谷翔平にとっての2023年は、タフな一年だった。

 自身初出場となった3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では、体内に秘められたエネルギーと思いを全身で表現しながら、投打で躍動して世界一の瞬間を迎えた。余韻に浸る間もなく、メジャーのレギュラーシーズンに突入すると、その熱量とパフォーマンスはさらに加速していくようだった。89試合に出場した前半戦で、欠場したのはわずかに2試合。肉体的、そして精神的にも疲労が溜まる5月、6月を難なく乗り越えて投打における結果を積み重ねた。

 7月になると、さらに技術と思考は研ぎ澄まされて極上のパフォーマンスを見せる。現地7月27日に行われたタイガースとのダブルヘッダーでは、『2番投手兼DH』として出場した第1試合で被安打1の9勝目を挙げる。メジャーでは自身初となる完封勝利だった。数十分のインターバルを経て挑んだ第2試合では、『2番DH』で出場して第2打席で37号2ラン。さらに第3打席で、2打席連発となる38号ソロアーチを放つ。まさに二刀流だけが成せる業なのだが、その異次元とも言える投打の姿に多くの人々は目を丸くしたものだった。シーズン終盤は右肘手術の影響でグラウンドを離れたが、投手として二桁勝利を挙げ、打者としては44本塁打で日本選手初となる本塁打王を獲得。二刀流の輝きは、自身2度目の満票選出となるア・リーグMVPへとつながった。

挑み続ける行動力、「大事だな」と思う姿は変わらない


 大谷の技術や肉体は、年齢を重ねるごとに進化を続けている。スライダーの一種で、平均的なスライダーの曲がりよりも大きな弧を描いて曲がるスイーパーを駆使した投球術。パワーに加えて、打率3割台が示す通りに安定感が増した打撃技術。一昨年に比べて昨年、昨年に比べて今年と、間違いなく投打の質は上がっている。その一方で、彼の本質は変わらないのだろう。かつて大谷が残した言葉を思い出す。

「毎年、『大事だな』という積み重ねですね。日本でのプロ1年目も『すごく大事だな』って思いましたし。レギュラーを獲るとか、試合に安定して出るとか、結果を残すとか、次の年に向けてかなり大事な年だなって思ってプロ1年目を終えて。そして2年目も『ここが勝負の年だな』と思ってやりましたし。3年目は最多勝を獲っていろいろと受賞しましたけど、バッティングが悪かったりしたので、次の年はバッティングも頑張って、(投打)どっちも良い成績を収めたい、だからまた次の年も『勝負の年だな』と思ったし。メジャー1年目も『勝負の年』だと思ったし、バッター1本でいく2年目も、その地位を確立する『勝負の年』だと思いましたし。本当、そんな感じですね。前年より大事じゃないと思う年はないですね」

 その言葉通り、変わることなく「勝負の年」であっただろう2023年シーズンも、マウンドで、そして打席で、さらにグラウンドを離れた時間でも、常に未来を見据えて挑む姿があった。自らを「高過ぎるところを想像する性格」だと話す大谷は、現状に満足することなく突き動く。来年2024年は、右肘手術の影響で打者に専念するシーズンとなりそうだが、そこでも、たとえどんな苦境に立たされても限界を作らず、挑み続けようとする思考、つまりは大谷が持つ不変の思いが生き続けるはずだ。

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