2023年10月14日

 

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 ■ 今日の大谷翔平(関連NEWS)

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 ■ 注目記事&コラム

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◆ 大谷ロスを痛感した社会人「どれほど救われたか…」そこで訪ねた大谷翔平の小学校“まるでポツンと一軒家”だった話「この静けさが怪物を生む?」

Yuko氏/情報:NumberWEB)

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 メジャーで日本人初のホームラン王に輝くなど、歴史的な2023年シーズンを終えた大谷翔平。WBC優勝に魅せられて以来、野球漬けの日々を送ってきた私(地方在住社会人)は、シーズン中、いかに大谷さんの活躍に励まされてきたかを痛感している。そこで、ある行動に出ることにした。前回のメジャー生観戦アメリカ旅につづき、今回はルーツを訪ねて岩手へ。世界的スターを生んだ地元はさぞ熱狂しているかと思いきや……?  「大谷さんの小学校、完全にポツンと一軒家だった」編。〈全3回の#1/#2、#3へ〉

 

 岩手に行ってみようかな。

 

 ふと旅行を思いついた。大谷翔平選手のルーツをたどる旅。ホームラン王の記念旅。さいわい大谷選手の地元の水沢市(現:奥州市)は、車で3時間ほどで行ける距離だ。水沢市出身で今は青森に住む友人が同行してくれるという。この友人(以下、水沢女子)、地元愛から大谷選手を応援してはいるが、野球のルールはほぼ知らない。でもMLBはいつか観に行きたいのだという。

 

「水沢って、ここが本当にオオタニさんの地元かって思うくらい、なんにも飾ってないんですよ。あるとすれば<手>くらいで……」

 

 水沢女子は自信なさげである。でも、その<手>は見たいし、こちらも行きたい場所は何個か調査済みだ。

 

花巻東高へ…野球部員「おはようございます!」

 

 秋晴れの3連休。オオタニさんが打席に向かうときの歴代登場曲をかけながら、いざ岩手へと出発。

 

「The Greatest Showって、『ショウ』にちなんで選んだってことかぁ」

 

 今さらながら気づく。Whoa Whoa Whoa Whoa~♪ 自然とアドレナリンが湧き出てくるカッコいい曲だ。オオタニさんの登場曲プレイリストは、野球だけにストイックな人とは思えないほど(失礼)、洗練されていた。

 

 そうこうして、まず到着したのは花巻東高校。ホームページには「練習日:火、水、木、金、土、日」「活動時間:平日16時~20時、土日7時~18時」と、しっかり明記してある。土日の練習量、半端ではない。来場者をモニュメントに導く看板が立っているので、それに沿ってグラウンド方向へと歩く。途中、野球部員たちから「おはようございます!」と挨拶される。

 

モニュメントはバックネット裏に…

 

 モニュメントは、バックネット裏にあった。菊池雄星選手と大谷選手が同時にオールスターゲームに選ばれた時の記念碑である。

 

 花巻東高校といえば、大谷選手もさることながら、菊池選手を抜きにしては語れない。東北に高校野球の優勝旗がわたるかもしれないと、東北人に強く予感させてくれたのがユウセイ選手だ。2009年の甲子園準決勝、わずか11球で降板して敗退したあと「一生野球できなくてもいいから……人生最後の試合だと思って……投げ切ろうと」と泣き崩れるシーンは、いつ見てももらい泣きする。ケガをするほどピッチャーを酷使してはならないという指導が定着した今、これを名シーンと言っていいかはわからないが、高校野球のスピリットを象徴するシーンであるとは思う。

 

 グラウンドには、甲子園出場年を記す紫色のペナントがたくさん飾られていた。校舎には大きな垂れ幕が飾られている。本塁打王を祝う垂れ幕も、近いうち追加されるのだろうか。

 

新花巻駅、そして「名前の由来」の地へ

 

 続いて新幹線の「新花巻駅」を訪れた。花巻は宮沢賢治の出身地のため、作品にちなんだモニュメントがあちこちに建っていて素敵だ。

 

 駅構内には、入口に「ゆ」「花巻温泉郷」の文字が掲げられたコーナーがあり、花巻を代表する野球選手らの品々が多く展示されている。ユウセイ選手のユニフォームとか、オオタニさんのグローブとかシューズとか……。すごく立派なプチミュージアムだ。と、同時に思った。ぜんぜん「ゆ」じゃない! 

 

 さらに足を延ばし、岩手南部の平泉に向かった。知る人ぞ知る知識かもしれないが、大谷選手の「翔平」という名前は平泉からとられた。「翔」は源義経が(八艘の船を飛び移って)飛ぶように戦った逸話から。「平」は「平泉」からとられたものだ。

 

 平泉一帯は現在、世界文化遺産に指定されており、連休ということもあってたくさんの人でごった返していた。私たちは比較的静かな「高館義経堂」を訪れた。

 

 雄大な北上川を一望できるこの場所は、松尾芭蕉がかの有名な句を読んだとされる地だ。

 

 夏くれば つわものどもの 夢球宴 

 

 帰りに社務所で「義経勝守」を買った。「困難を乗り越え、勝負に己に勝ちますように」と書いてある。気のせいか、義経はオオタニさんに似ていた。

 

小学校へ…「完全にポツンと一軒家じゃないか!」

 

 平泉をあとにし、故郷の水沢に向かった。車で20分ほどで着く。小学校と中学校を見に行きましょう、ということになった。まず中学校。休日なのでひと気はなくがらんとしている。ここがオオタニさんの母校であるという形跡は、まったくなかった。ある意味すごいと思った。つづいて小学校へ。驚くべきことに、田んぼのど真ん中にある。

 

「水沢のなかでも、そこまで田舎じゃないほうですよ」と水沢女子。

 

 ほんと? 完全にポツンと一軒家じゃないかこれ。

 

 でも、少年時代の原風景がここであるとすれば、それは大谷選手の強みかと思う。電灯もまばらな暗闇と、遠くで聞こえる自動車の音。少年時代は今よりもっと眠ることを徹底できていたのではないか。睡眠は成長ホルモンの分泌を促す。その結果、今につながる高身長を生んだ――。

 

 思えば、菊池選手も今季、左僧帽筋の違和感から緊急降板したことがあった。試合後にその理由について「11時間くらいしか寝れなかったこと」を一因に挙げ、現地メディアを驚かせたという報道を目にした。

 

 少々強引な仮説かもしれないが、東北に「怪物」が誕生しやすい背景には、闇と静けさがあるのかもしれないなあ。

 

 そして、もし今後チームを移籍するとしても、この原風景をもつ大谷選手なら、テキサスだろうとアリゾナだろうとロッキー山脈だろうと、どこへ行っても違和感はない。そう確信した! 

 

〈つづく〉

 

(「メジャーリーグPRESS」Yuko = 文)

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◆ 「大谷は岩手県外では有名じゃないんでしょ?」まさかの反応…大谷翔平に“熱狂はしない”地元民「あの頃は普通の野球少年に見えてたけどなあ」

Yuko氏/情報:NumberWEB)

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 メジャーで日本人初のホームラン王に輝くなど、歴史的な2023年シーズンを終えた大谷翔平。WBC優勝に魅せられて以来、野球漬けの日々を送ってきた私(地方在住社会人)は、シーズン中、いかに大谷さんの活躍に励まされてきたかを痛感している。そこで、ある行動に出ることにした。前回のメジャー生観戦アメリカ旅につづき、今回は岩手へ。世界的スターを生んだ地元はさぞ熱狂しているかと思いきや……?  「余る“新聞の号外”・控えめな横断幕」編。〈全3回の#2/#1、#3へ〉

 

 花巻東高校、新花巻駅、平泉、水沢の小中学校をめぐり、夕方に「プラザイン水沢」にチェックインした。ここは、大谷翔平選手が栗山英樹監督(当時)とともに日本ハムへの入団会見を行ったホテル。つまり、プロ野球人生のスタート地点ともいえる場所だ。

 

「ああ、そういう関係があるんですか」

 

 野球に興味がない水沢出身の旅仲間(以下、水沢女子)が言う。そしてひとり合点したように続けた。

 

「この前ですね、その栗山さん? が水沢に講演に来て行列ができてたんですけど、WBCの監督さんがなんでここに来るのか不思議だったんですよ」

 

ホームラン王の「号外」が余っていた…

 

 ホテルのロビーにはオオタニさんにまつわる色々な展示が並んでいた。栗山監督との握手写真とか、2023年にメジャーで使ったバットとか。だが、何より目に飛び込んできたのは、フロントデスクに積んである新聞だ。ホテルのスタッフに聞いてみる。

 

「これってもしかして、このあいだの号外ですか?」

 

「はい、そうです。ホームラン王獲った時の。よろしければどうぞ。1部で足りますか?お知り合い用にもう1部どうぞ」

 

 なんと。号外を2部ももらってしまった。というより、「号外」が余ることってあるのか……! 都会だとたぶん取り合いになるはずだ。

 

 図らずも号外をもらえた満足感でその晩はぐっすり寝た。

 

大谷少年を知るスポーツ用品店へ

 

 翌10月9日はスポーツの日。市内のスポーツ用品店「オイカワスポーツ 原中店」へ行ってみることにした。

 

 このお店は、水沢女子が小学校から高校まで同級生だった「オイカワ君」の実家である。オイカワ君は当時甲子園を狙えるチームだった市内M高校のエースピッチャー。今は県外で働いていてお店にはいなかったが、店主のお父さんがいろいろ教えてくれた。

 

「うちではね、みんな野球をやってたけど、あの子がね、いちばんセンスがあったんですよ」

 

 水沢女子も強くうなずいている。

 

「大学に進んでからも野球やって。でもね、今はやめちゃったの……」

 

 そうなんですか。お父さんは寂しそうである。でも、野球少年全員がプロ野球選手を目指すわけではないし、それが普通……とも思うが、M高時代のオイカワ君がさぞかし誇らしかったのだろう。

 

 お父さんは、野球少年らが写っている一枚の集合写真を見せてくれた。

 

「これは水沢リトルで撮った写真で、この眼鏡をかけているのがうちの孫、この背の高いのが大谷君ですよ」

 

「あの頃は、普通の野球少年に見えてたけどなあ」

 

 ええっ? ! 改めてまじまじと写真を見せてもらう。たしかにこれ、大谷君だ。聞けば店主は、何十年もの間、毎日水沢リトルの早朝練習に出かけ、少年たちの見守りや時には審判などもやりながら、チームをサポートしてきたのだという。少年時代の大谷君を間近で見ていた人物なのである。

 

「あの頃は、普通の野球少年に見えてたけどなあ」と笑っていた。

 

 大谷モデルのグローブと地元野球チームのキャップを買って(2つで3千円でいいよ、とざっくりした値段で売ってくれた)、私たちは店を出た。

 

 帰り際、「大谷は地元では有名だけど、県外ではそうでもないんでしょう?」と控えめな店主が言うので、

 

「いやいやいや、めちゃくちゃ有名ですよ! 世界的に!!」とお伝えした。

 

7つ作られた“大谷さんの手”のナゾ

 

 それから、例のものを見に向かった。水沢女子が「ここが本当にオオタニさんの地元かって思うくらい、なんにも飾ってないんですよ。あるとすれば……」と語っていた、あの<手>である。聞くところによれば、奥州市役所と「伝統産業会館」にあるらしい。

 

 まず市役所へ行ってみた。お願いしたわけでもないのに、なぜか<手>のところまで連れて行ってくれる、ご親切な市役所職員。

 

 そして……あった。黄金の手だ! 

 

 この<手>は、日ハム時代の鎌ケ谷スタジアムで、大谷選手に実際に握手のポーズをとってもらい、型どりをして作ったもの。もちろん実物大だ。握手をしてみたが、手のサイズは予想よりも小さい。

 

「そうおっしゃる方、けっこういるんですよ」と職員さん。

 

 この手であのスライダーを投げ、ホームランをかっ飛ばしてきた。そう思うと、しみじみ感慨深い。

 

 「水沢江刺駅」前の伝統産業会館にも行ってみた。水沢は南部鉄器(水沢鋳物)の発祥地。その鋳型の技術を活かして、オオタニさんの<手>は作られた。

 

 ところで、事前調査によるとこの<手>は7つ作られたようなのだ。市役所職員さんからは、市役所内に展示品とイベント用と2つあると教えてもらった。産業会館の職員さんによると「ここと花巻東高校、姉体小、あと日ハムさんにありますよ」とのこと。それで6つ。えっと、あと1つはどこへ? 

 

 産業会館の向かいの水沢江刺駅に行くと、大谷選手の展示コーナーと併設して、ミュージシャン大瀧詠一さんのレコードや年譜の展示コーナーがあった。稀代のメロディメーカー、大瀧さんは江刺郡(現:奥州市)の出身。オオタニさんとオオタキさんを生んだ町、かっこいいぜ! 

 

 新幹線の発車音が「♪想い出は モノクローム 色を点けてくれ~」(「君は天然色」)なので、旅の途上で聴くと、きっとテンションが上がりまくるはず。

 

 こうしてオオタニさんのルーツをたどる旅は終わった。

 

オオタニさんが育った“ゆるい”街

 

 水沢女子が言うように、花巻と比べると、故郷の水沢のほうは大きな垂れ幕やモニュメントは飾っておらず、ぱっと見は地味に思える。でも一歩建物やお店に足をふみ入れると、オオタニさんを静かに熱く応援する、地元の人たちの気持ちが伝わってくる。

 

 水沢の人は商売上手ではないかもしれないなあ、とも思った。号外は余ってるし、市役所の横断幕は小さめだし、野球用品を値札の値段と関係なく売ってくれる。自慢の<手>は、1つ行方不明だ。オオタニさんは、そういう環境で育った。それがわかって、なぜか不思議とうれしかった。

 

 この記事を書いているさなかに、「ディズニーが大谷選手へのインタビューを実現、11月17日からディズニープラスで独占配信!」というニュースが飛び込んできた。大谷選手自身も「貴重な経験でした」と語る、6時間にわたるロングインタビュー。なんだそれ、早く観たい。

 

 でも、このいっぷう地味な記事も、パッションではディズニーに負けないぞと思っている。負けることはわかっているけど、負けないように一生懸命がんばる。それが東北魂だ。「勝守」も買ったしね! 

 

 来季どこへ行こうとも、東北の地からGreatest Showmanを力強く応援します! 

 

〈つづく〉

 

(「メジャーリーグPRESS」Yuko = 文)

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◆ 大谷翔平が絶賛のヨーグルトが「1kg単位」でスーパーに売られていた…現地調査“おいしい乳製品だらけ”の岩手グルメ「だから身長が伸びるのか?」

Yuko氏/情報:NumberWEB)

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 メジャーで日本人初のホームラン王に輝くなど、歴史的な2023年シーズンを終えた大谷翔平。WBC優勝に魅せられて以来、野球漬けの日々を送ってきた私(地方在住社会人)は、シーズン中、いかに大谷さんの活躍に励まされてきたかを痛感している。そこで、ある行動に出ることにした。前回のメジャー生観戦アメリカ旅につづき、今回は岩手へ。「オオタニさんゆかりのグルメ」編。〈全3回の#3/#1、#2へ〉

 

 ここからは、花巻・奥州旅行中に立ち寄った、オオタニさんゆかりのグルメを紹介する。

 

大谷が絶賛「世界一おいしい」

 

 まずは「岩泉ヨーグルト」。メジャーに行ってからの大谷選手は、なかなか自分のプライベートな話をしないように思う。そんな中、あるインタビューで「好きな食べ物は?」と聞かれ、「岩泉ヨーグルト。世界一おいしいと思います」とはっきり答えている。

 

 野球に興味がない岩手・水沢出身の旅仲間(以下、水沢女子)は、「それ、知りませんでしたー」とのこと。

 

 花巻市、奥州市のスーパーを5~6店舗まわると、どのスーパーにも「1kg」サイズの岩泉ヨーグルトが売っていた。けれど旅行中に1kgは食べられないので、さらに探しまわってようやく「イトーヨーカドー花巻店」に小さいサイズがあるのを発見! 食べてみると、やや硬めのもちっとした食感が特徴。すごくおいしい。

 

 岩手のホテルでは、朝食に出てくることが多いとのことで、「プラザイン水沢」でも食べられた。

 

大谷が佐々木朗希に「福田パン、知ってる?」

 

 つづいては「福田パン」。盛岡周辺に数店舗を構える総菜パンのお店だ。

 

 このパン、今年3月に大谷選手がWBCのため帰国し、佐々木朗希投手と初対面した際に「福田パン、知ってる?」と話しかけたというエピソードが知られている。同郷の者どうしの共通の話題になるほど、県内では有名なパンなのだ。

 

 わたしが訪れたのは、花巻東高校から比較的近い「福田パン矢巾店」。早朝7時から待ち列ができていた。店内の冷蔵庫には、ちょうどよく「岩泉のむヨーグルト」の販売も。たくさんの総菜パンやデザートパンがあるので悩むが、「渋皮マロン」とお店イチオシの「エビカツパン」をチョイス。プリプリのエビ、おいしかったです。福田パンは、新幹線の盛岡駅でも買えるのでぜひどうぞ。

 

 花巻市内のマルカンビル大食堂も、はずせないスポットだ。

 

「土日は混んでるかもですね~」

 

 行ってみると、その予想をはるかに上まわる激混み! 長い列に並んでレジで注文してから着席する人が多いが、テーブルにQRコードが用意されているので、まず着席し、その後テーブルのQRコードで注文、電子決済するのが圧倒的に楽かつスマート。

 

 ここの名物は、10段ソフトクリーム。これを「お箸」で食べるのがマルカン流。意外とぜんぶ食べられる。そして注文し忘れてはならないのが、大谷選手の好きだった「チョコバナナクレープ」。元チームメートの話では、試合に勝った時に学校近くのお店のバナナ入りクレープを食べていたのだという。そのお店が閉店し、2023年からはここマルカンビル食堂で同じ材料を使って出しているのだ。クレープの味は、わりと普通であった。

 

水沢の小学校給食で出る「こがねパン」

 

 水沢女子のおすすめは、「こがねパン」だ。水沢市内の小学校の給食に出てくるパン屋さんだという。

 

「数年前までは人気店とはいえ普通に買えていたんですが、今年あたりから異常ともいえる行列っぷりなんです。午前中に行ったほうがいいですよ」とのこと。

 

 行ってみてこのパン屋さんの人気の理由がわかった。素朴でかわいらしい見た目と、値段の安さだ。今どき100円未満のパンがたくさん並んでいる。「ずんだパン」を買って食べました。

 

おいしい乳製品にあふれた街

 

 もう一つのオススメは「岩谷堂羊羹」。300年の歴史を誇る、岩手を代表する銘菓だ。「オオタニさんも食べたことはあるんじゃないでしょうか」と水沢女子。小豆の味がぎっしり詰まっている。旅行のお土産にぴったり。

 

 わたしの個人的なオススメは、水沢の焼肉屋さん「龍園」。岩手県内外に知られ、某グルメサイトでも全国の上位にランクインする有名店だ。この「ホームラン王記念旅」を計画したとき、ホテルより何より真っ先に予約したのがこのお店である。前沢牛上カルビ(2200円)はほぼ噛まなくてよい柔らかさ。ホルモンはチェーン焼き肉店と同じくらいの破格。それらをモクモクと煙が上がるガスコンロで、ビールを飲みながら食す。最高ですね! 

 

 オオタニさんが来たという情報はないが、昔からやっている地元のお店なので来ていてもおかしくない。むしろ来たことがないなら来た方がいいですよ、とお伝えしたい。

 

 ヨーグルト、パン、ソフトクリーム、クレープ、そして焼肉。岩手のグルメは総じて酪農が盛んな土地柄に関係している。もしかすると、これら乳製品(とお肉)の摂取が、岩手出身の「怪物」たちを生んできたのかもしれない。ふとそう思った。

 

(「メジャーリーグPRESS」Yuko = 文)

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◆ メジャーの「顔」、大谷翔平の未来やいかに?

志村朋哉氏/情報:時事通信)

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けがの影響は?

 

 大谷翔平の2023年シーズンが終わった。3年連続となる二刀流での圧倒的な活躍を見せたものの、右肘の損傷、2度目の手術という衝撃の形で幕を閉じた。気になるのは、エンゼルスとの契約が切れるこのオフシーズンに、どのチームでプレーすることを選ぶかだ。今季の大谷の成績や意外な移籍先候補などについて現地の見方を解説する。

 

 米時間8月23日、本拠地でのシンシナティ・レッズ戦に先発登板した大谷翔平は、自ら第44号2ランを放って先制した。

 

 左腕アンドリュー・アボットの甘く入った92.9マイル(149.5キロ)のストレートを初球からフルスイング。乾いた音が晴天に響き渡り、打球は弾丸ライナーでライトスタンドに突き刺さった。アトランタ・ブレーブスのマット・オルソンと並んでいた本塁打数でも、メジャー単独トップに抜き出る一撃だった。

 

 だが、直後の2回表、投手・大谷は制球が定まらず球速も落ちていた。1死一塁の場面で、26球目となる94.2マイル(151.6キロ)のストレートを投げた後、マウンドにやってきたフィル・ネビン監督と言葉を交わし降板となった。球団側は、単なる腕の疲労だと発表した。

 

 同じ日に行われた第2試合に大谷は、何事もなかったのように指名打者としてスタメン出場。二塁打を放った大谷に、レッズのスーパースター候補、エリー・デラクルーズ内野手が近寄り、笑顔で会話する場面も見られた。

 

 しかし、試合後の会見で、大谷が右肘靱帯(じんたい)を損傷していたという衝撃の事実をペリー・ミナシアンGMが明かした。ダブルヘッダーの合間に受けた検査で判明したという。つまり、大谷は自らのキャリアを大きく左右するけがについて知らされた直後に、試合に出場したということだ。大谷らしいとしか言いようがない。

 

 大谷が再び肘を痛めたというニュースは、SNSで瞬く間に広まり、米球界を震撼させた。18年と同じくトミー・ジョン(靭帯再建)手術をするのか、投手を諦めて打者に専念するのかなどさまざまな疑問や憶測を、記者やファンがネットで書き立てた。「現役最高選手」と称され、今やアメリカでも球界の顔となった大谷の存在の大きさを物語っている。

 

 今オフにFA権を取得し、好きな球団と契約できるようになる大谷。ここ3年間の圧倒的な活躍を受けて、総額5億ドル(750億円)以上の契約になるのは確実だろうとみられていた。

 

 だが、故障したことで各球団が以前より慎重になるのは間違いない。手術を受けた大谷は、打者としては来季開幕に間に合うと代理人が発表したが、投手としての復帰は25年になる予定だ。以前のような投球ができる保証もない。

 

 それでも、契約は5億ドル規模になるだろうと予想する専門家は多い。というのも、投手としての先行きは不透明でも、大谷は打撃だけでそれだけの価値があると考えるからだ。それほどまでに、ここ3年間の評価はうなぎのぼりなのである。

 

MVPはほぼ確実

 

初めて二刀流でフルシーズンを過ごした21年には、満票でアメリカン・リーグのMVPに選出された。翌22年にも、それを上回らんばかりの活躍。特に投球に磨きがかかり、サイ・ヤング(最優秀投手)賞争いで4位に入った。

 

 そして今季は、最後の1カ月を欠場したにもかかわらずMVP受賞を確実視されるほどの圧倒ぶりだった。11月16日(日本時間17日)に発表予定のMVPで、史上初となる2度目の満票での受賞が期待されている。

 

 どれだけすごかったのか、数字を見てみよう。

【打撃成績】

試合数135

打席数599

本塁打44(メジャー4位)

打点95

打率.304(9位)

出塁率.412(2位)

長打率.654(1位)

OPS1.066(1位)

盗塁20、失敗6

【投球成績】

先発登板23

投球回132.0

10勝5敗

奪三振167

与四球55

防御率3.14

WHIP1.06

 

 打撃面の活躍を物語るのが出塁率と長打率を足し合わせたOPSだ。アウトにならず、さらには二塁打や三塁打、ホームランなどの長打を打てるという、現代のメジャーで重要視される能力を反映し、打撃力のわかりやすい物差しとして重宝されている。

 

 大谷本人も、打撃ではホームラン数よりもOPSを重視していると述べている。フォアボールを選びつつ甘い球を長打にして、出塁率4割以上、長打率.600以上でOPSが1.000を超えるという自身が語っていた理想の形で、初のメジャー1位に輝いた。実質的には、首位打者や本塁打王などのタイトルよりも価値がある。

 

 それに加えて、マウンドでもエース級の活躍だった。昨年に比べると若干、精彩に欠け、けがで規定投球回に達しなかったが、それでも21年と遜色ない結果だ。

 

 公式年間賞で最も価値のあるMVP は記者の投票によって決まる。その記者たちが参考にするのが、打撃、走塁、守備、投球を全て足し合わせて、どれだけ個人がチームに貢献したかを示すWAR(Wins Above Replacement)という指標だ。具体的には、控えレベルの選手に比べて、どれだけ勝利数を上積みしたかを計算する。データサイトのFanGraphsとBaseball Referenceによる算出が有名だ。

 

 その両サイトで大谷は1位を記録した。

FanGraphs

1)大谷翔平 9.0

2)ロナルド・アクーニャ 8.3

3)ムーキー・ベッツ 8.3

4)フレディー・フリーマン 7.9

5)マット・オルソン 6.7

Baseball Reference

1)大谷翔平 10.0

2)ムーキー・ベッツ 8.4

3)ロナルド・アクーニャ 8.1

4)ゲリット・コール 7.5

5)マット・オルソン 7.4

 

本塁打王の価値

 

 通常、スタメンレベルの選手だと出場が増えるほどWARの値は高くなる。最後の1カ月を欠場したにもかかわらず1位というのは、けがをするまでの大谷がいかに飛び抜けていたかを物語っている。しかも、フル出場した21年、22年の自身の数字を上回っている。一時は、あまりの圧倒ぶりに、ア・リーグMVP争いに関する賭けで、いくつかのオッズメーカーが新規の受け付けを締め切ったほどだ。

 

 レンジャーズのコーリー・シーガー内野手が、チームのプレーオフ進出に貢献したという理由で何人かの記者からMVP 票を集める可能性はあるが、大谷の受賞はほぼ間違いないだろう。

 

 大谷は、すでに野球専門誌ベースボール・アメリカの年間最優秀選手にも選ばれている。こちらは両リーグ合わせて1人しか選ばれない。

 

 「すでに球界屈指の才能を発揮してきた大谷だが、またもや自身を向上させる方法を見出した」とカイル・グレーザー記者は選出理由をつづった。「彼は球界で最も危険な打者であると同時に、最も打たれにくい投手でもあり、これまで以上の無双ぶりだった」(10月2日配信)

 

 日本国内では、日本人初ということもあって「本塁打王獲得」で大きく沸いたが、現地では全く話題にならなかった。

 

 大谷は確かにア・リーグでは本塁打数1位だが、メジャー全体では4位である。ア・リーグとナショナル・リーグの違いがほぼなくなった現在のメジャーで、リーグ別のタイトル(首位打者や本塁打王、打点王など)というのは注目されなくなっている。試しに野球好きの友人にも聞いてみたが、メジャー全体の本塁打数1位がマット・オルソンだとは知っていたが、ア・リーグのトップについては「分からない」と答えた。

 

 私自身も日本での盛り上がりには違和感を感じた。というのも、今やメジャー最高打者の一人である大谷が、本塁打王になったところで、何の驚きもないからだ。むしろ必然だとすら感じる。

 

 「外国人にパワーで劣る」と感じる日本人が、「パワーの象徴」である本塁打で大谷が1位になったことに誇らしさを感じる気持ちは分かる。ただし、本塁打王獲得によって現地の評価が上がったということはない。逆に、なれていなかったとしても、価値が下がるということもなかっただろう。

 

 大谷は、「日本人初の本塁打王」よりも、はるかに価値ある偉業を成し遂げてきている。投打のそれぞれでメジャー最高クラスの活躍を続けるなんて、日本人どころかメジャー史上でも大谷しかいないということを忘れてはならない。

 

意外な移籍先候補

 

 現地ファンや専門家のほとんどが、大谷がエンゼルスを去ると考えている。「ヒリヒリするような9月を過ごしたい」と勝利に飢える大谷の期待に、チームが応えられなかったからだ。

 

 14年以降、ポストシーズンに進出できていないエンゼルス。勝つ意欲を示して何とか大谷を引き留めようと、7月末には若手有望株を手放してまで積極的な補強をした。その努力も虚しく、73勝89敗で勝率.451(30球団中25位)と、不甲斐ない成績に終わった。大谷の無双ぶりとは、あまりに対照的である。エンゼルスは、長期にかけて活躍が見込める有望な若手が育っていないという慢性的な問題を抱えている。これは付け焼き刃でどうにかなることではない。

 

 エンゼルス残留の可能性はゼロではないと思う。打者として出場しながら手術のリハビリを行うのに、慣れ親しんだエンゼルスの環境なら不確定要素は少ない。復帰を果たすまでの間、短期契約を結ぶというのも一つの手ではある。しかし、今季終盤の失速ぶりとア・リーグの層の厚さを考慮すると、このチームでプレーオフ進出するのは困難だと大谷が感じてもおかしくはない。肉体的ピークを迎えているであろう29歳の大谷は、その最盛期を無駄にはしたくないはずだ。

 

 現地で有力候補と見られているのが、ドジャース、マリナーズ、ジャイアンツ、パドレス、メッツといった、戦力と潤沢な資金に恵まれた球団だ。特に最有力と目されるのがドジャースで、高校卒業時とメジャー移籍時にも大谷獲得を狙っていた。昨オフは、大谷獲得に備えて補強を控えたとも言われている。

 

 スポーツメディアThe Athleticが現役選手に行ったアンケートでは、「大谷翔平は来季、どのチームでプレーしているか」という質問に対して、6割近くが「ドジャース」と回答。(6月20日配信)。ドジャースファンと話していると、大谷獲得は確実かのような自信さえ感じるほどだ。

 

 しかし、21年からThe Athleticのエンゼルス番記者を務めるサム・ブラムに意見を求めると、意外なチームを候補に挙げた。

 

 「誰もがドジャースに行くと思っています。条件的にも最適だからです。でも私としては、あまりに理にかないすぎた選択肢であるがゆえに、大谷が選ばないんじゃないかと感じています。大谷は、自分の力でチームを勝たせたいと考える人間です。頭の切れる大谷は、ドジャースで優勝しても、自分が理由で勝ったとは思えないのではないでしょうか」

 

 「私がダークホースとして挙げるのは、レンジャースです。資金があって戦力も充実してきているけど、まだ大きな結果を残せていない。打者としてもレンジャースの球場でよく打っている印象がある」

 

 ドジャースの地元紙ロサンゼルス・タイムズでコラムニストを務めるディラン・ヘルナンデスも、大谷の性格を考えるとドジャースを選ばない可能性があると言う。

 

 「みんなドジャースに行くべきだと言っているから、逆に行かない気がします。反抗期を迎えている娘に『食器を洗って』と言ったら、『やろうと思っていたけど、あなたに言われたからもうやらない』と言い返され、『ああ、大谷もこんな感じなんだろうな』と思いました」

 

 ヘルナンデスは、ドジャース関係者も警戒しているというレッドソックスを候補に挙げた。

 

 確かに、大谷は勝って当たり前のチームで優勝することは望まない気がする。高校卒業後に直接メジャーに行く道を希望したり、前例のない二刀流に挑戦したりと、あえて人とは違う道を選んできた。

 

 誰もが力を認めざるを得ない状況でこそ本領を発揮するのが大谷という人間だ。今年のWBCで日本代表を牽引して、決勝戦でアメリカ代表を倒したときのように。そういうドラマチックな展開が似合う大谷が、果たして来季にどのユニフォームを着てプレーしているのか。楽しみでならない。

(在米ジャーナリスト 志村朋哉)

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花巻東・麟太郎の野球が上手くなかった世界線を思い描く

柳内遼平氏/情報:スポニチ)

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 怪物がついに決断した。26日のドラフト会議で1位候補に挙がっていた花巻東(岩手)の佐々木麟太郎内野手(18)が10日にプロ志望届を提出せずに米国の大学に留学することを表明した。国体1回戦の履正社(大阪)戦で敗退し、高校での公式戦が終了。史上最多高校通算140本塁打のスラッガーが、将来のメジャー挑戦の夢を胸に米国で勝負をかける。

 

 納得の選択だった。昨年5月、岩手県九戸郡にあるライジング・サン・スタジアムでの思い出。春季東北大会の試合後取材で麟太郎は「メジャーの上の世界で戦うことを目標に自分はやっている」と本音を漏らした。そのコメントを聞いていたのは私を含めて関東から出張していた2人の記者だけだった。「どんなルートでも麟太郎はメジャーでプレーすることを逆算するに違いない」と確信。だが、その時点では米国の大学に留学するなんて予想もしていなかった。

 

 高校通算最多の140本塁打。記者のイチオシは昨年5月24日に春季岩手県大会準々決勝の盛岡四戦で打った67号。逆方向の左中間フェンスを越え、後方にある駐車場まで飛んでいった推定飛距離125メートル弾。まるで右打者が引っ張ったような強烈な一撃。まるで花巻東OBの大谷翔平(エンゼルス)のように逆方向にも軽々とアーチを描く。これが他の高校生スラッガーとの違いだった。

 

 佐々木は昨春の選抜で甲子園初出場。初戦では無安打に終わり、チームを勝利に導けず。その時、自らの実力を「センスがない」と言った。記者はそれは逆だと思った。

 

 取材においては己の影響力を考え、感情を抑え、しっかり考えをまとめた上で言葉を紡ぐ。その姿勢は高校生とは思えないほど大人だった。試合では闘志むき出しのプレーを見せ、ベンチからも大きな声で味方を鼓舞する。佐々木は常に野球に真っすぐだった。なぜか、その姿を見る度に記者の中で言葉にならないモヤモヤがたまった。

 

 中学時代、金ケ崎リトルシニアで佐々木を指導した大谷徹氏がその「モヤモヤ」を解決してくれた。昨年の選抜前に取材した際、中学時代の麟太郎をこう振り返った。

 

 「子どもは親(佐々木洋監督)を見て育つというけれど、何がすばらしいか、というと人間性。プレーでチームに貢献することはもちろん、自分のことだけじゃなくて周りを見ることができるし、鼓舞して応援する。チームをまとめることももちろんやっていた。麟太郎が主将をやっている時は監督がいらないんじゃないかと思いました」

 

 そうだ、佐々木は監督向きなのだ。これほど野球が上手くなければ、指導者の道に進んでいたに違いない。記者は無意識のうちに指導者としての適正を感じていたのだ。

 

 「センスがない」は逆だ。恵まれた野球センスに努力が加わりドラフト1位候補にまで成長した。真っすぐに指導者への道は歩めなくなったかもしれないが、いつかその「適正」を見せてほしい。(記者コラム・柳内 遼平)

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