2023年10月11日

 

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 ■ 今日の大谷翔平(関連NEWS)

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◯ 米大リーグで現役最多の3度の本塁打王に輝いているのがカージナルスのノーラン・アレナード内野手。通算325本塁打の強打者は、今季ア・リーグ本塁打王となった大谷翔平をどう見ているのか聞いた。以下、コメント。

 

「長距離打者として、自分より上だ。大谷に才能があることは私が改めて言うまでもない。私は引っ張らないとスタンドまで運べない。彼は方向に関係なくフェンスを越えることができる。そこが彼の特別なところ」

 

「本塁打を打てる打者と認められ、私の野球人生は変わったと思う」

 

◯ オークション落札相場検索「オークファン」は10日、ヤフオク!などのオークションサイトで取引された大谷翔平に関するボールの平均落札額を明らかにした。対象とした期間は、メジャーデビューした2018年の4月から今年9月までの6年間で、月ごとに取引数と平均落札額を抽出。取引されたのはサインボールや節目の安打を放った際の記念球など。18年4月から9月までの6カ月間の平均落札額は2万951円だったのに対し、メジャー6年目となった今年4月から9月までは11万6450円。デビュー年から比べて約5・6倍に高騰した計算。

 

 同社によると、今年は3月のWBC効果や本塁打の量産を追い風に1カ月単位での取引数、平均落札額ともこれまでの最高値を更新。直近で最も高く落札されたボールは9月に大谷と同僚マイク・トラウトのダブルサイン入り公式サインボール(MLB認証)で49万9000円だった。本塁打王に続き、今季の大リーグで最も優れたバッターに贈られるハンク・アーロン賞や2度目のリーグMVPなどの受賞が期待されており、オークファンの担当者は「またオークションも盛り上がることが予想できます」としている。

 

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 ■ 球界情報

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◯ 米大リーグのプレーオフは10日、ア・リーグの地区シリーズ(5回戦制)第3戦が行われ、オリオールズは敵地でレンジャーズに完敗。3連敗で地区シリーズ敗退が決まった。藤浪晋太郎は地区シリーズ26人枠から外れていたため登板せず、今季が終了した。オリオールズは今季101勝を挙げ、ア・リーグ東地区で優勝。第1シードでプレーオフに進んだが、第5シードのレンジャーズに1勝もできないまま敗退となった。3戦で計21失点と投手陣が誤算だった。オリオールズ敗退により、ポストシーズンでの登板がないまま藤浪の今シーズンは終了。今季成績は64試合で7勝8敗、5ホールド、2セーブ、防御率7・18だった。試合後、藤浪は一礼してグラウンドを去った。

 

 

◯ 鹿児島国体・高校野球硬式の部1回戦 花巻東1ー9履正社(2023年10月10日 平和リース)怪物がついに決断した。26日のドラフト会議で1位候補に挙がっていた花巻東(岩手)の佐々木麟太郎内野手(18)が10日、プロ志望届を提出せずに米国の大学に留学することを表明した。国体1回戦の履正社(大阪)戦で敗退し、高校での公式戦が終了。史上最多高校通算140本塁打のスラッガーが、将来のメジャー挑戦の夢を胸に米国で勝負をかける。

 

――なぜ日本の大学ではない。

「凄く熱心に来ていただいて、いろいろな選択肢があったので1個ずつ見させていただいた。米国の大学でやると自分の意思として決めました」

 

――米国で感じた魅力。

「(海)外に出たことがなかったので、文化の違いがあってびっくりしたこともありましたし、いろいろな部分で学ぶことがあった」

 

――菊池雄星、大谷翔平とは話したか。

「詳しくは別のタイミングで。自分自身からお答えすることはできない」

 

――言語、文化の壁がある。

「英語も勉強しなければならないと思っていますし、未知のことですけど、1個ずつクリアしていきたい」

 

――高校野球をやりきった。

「たくさんの経験をさせてもらった。自分だけでここまで来たものではないと思っているので、支えてもらった皆さんに感謝したい」

 

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 ■ 注目記事&コラム

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◆ 大谷翔平の「本塁打王」米国では話題にならない理由 在米ジャーナリストが解説する現地の反応と評価

志村朋哉氏/情報:AERA)

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 今季も二刀流で大活躍した大谷翔平選手。日本人初となるア・リーグの本塁打王に輝いた。米メディアで唯一の大谷番記者を務めた、『ルポ 大谷翔平』の著書もある在米ジャーナリストが見た米社会での大谷の姿とは。AERA 2023年10月16日号より。


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 大谷翔平の2023年は、故障による離脱という思わぬ幕切れとなった。念願のポストシーズン進出も叶わなかった。

 しかし、WBC優勝という劇的スタートで始まり、公式戦でも3年連続で二刀流の大活躍。最後の1カ月は出場できなかったにもかかわらず、11月17日(日本時間)に発表される予定のMVP受賞は確実だと言われている。

 打率や本塁打数、勝ち星、奪三振数といった個々の数字を他選手と比べても、大谷がどれほど優れているのか分かりづらいかもしれない。だが、各選手が投球や打撃、守備、走塁をひっくるめてどれほどの活躍をしたのかを測るWARという指標を見ると、大谷はメジャーでダントツ1位だ。しかも、フル出場した21年、22年の自身の数字を上回っている。けがをせずに終えていれば、「史上最高のシーズン」だったという見方もあるほどだ。

 3年連続でMVP級の活躍をしたことで、チームメートのマイク・トラウトから「現役最高選手」の座を引き継いだことに異を唱える現地専門家は、ほぼいなくなった。メジャーリーグの広告写真などでは、大谷が真ん中で、他のスター選手よりも大きくフィーチャーされる。

 MLBがつい先日発表した23年のユニフォーム年間売り上げランキングでも、大谷は日本人として初の1位に輝いた。

 サッカーのリオネル・メッシのように、大谷は名実ともに世界の野球界の「顔」となったのだ。野茂英雄やイチローを含め、そこまでの地位に上り詰めた日本人はいない。

 私のプライベートの友人で、オールスターに3度選出されたことのある元メジャー投手、ダン・ヘイレンは、大谷のサインがどうしても欲しくて、直筆の手紙を添えてエンゼルスにユニフォームを送ったほどだ。残念ながら、まだ返事はないらしい。

 

 ちなみに、日本人初ということもあって、日本では本塁打王獲得が大きく報じられているが、アメリカでは話題になっていない。大谷は確かにアメリカン・リーグの本塁打数トップだが、メジャー全体では4位である。ア・リーグとナショナル・リーグの違いがほぼ無くなった現在のメジャーで、リーグ別のタイトルというのは注目されなくなっている。試しに野球好きのアメリカ人に聞いてみたところ、全体トップがマット・オルソンだとは知っていたが、ア・リーグのトップについては「分からない」と答えた。

 今やメジャー最高打者の一人である大谷が、本塁打王になったところで、何の驚きもない。現地の専門家やファンに聞いても似たような反応だ。大谷の長打力をもってすれば、必然だとすら感じる。

「外国人にパワーで劣る」と感じる日本人が、「パワーの象徴」である本塁打で大谷が1位になることに誇らしさを感じる気持ちは分かる。ただし、本塁打王獲得によって大谷の現地評価が上がったということはない。逆になれていなかったとしても、価値が下がることもない。

 大谷は、「日本人初の本塁打王」よりも、はるかに評価されるべき偉業を、この3年間で成し遂げてきている。投打のそれぞれでメジャー最高クラスの活躍を続けるなんて、日本人どころかメジャー史上でも大谷しかいないのだ。(在米ジャーナリスト・志村朋哉)

※AERA 2023年10月16日号より抜粋

志村朋哉

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◆ 「オオタニは球場に来るの?」エ軍とネビン監督は“あいまいな情報”を繰り返し…“テレビに映らない”今季ラスト2戦を番記者は見た

柳原直之氏/情報:NumberWEB)

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 大谷翔平の所属するロサンゼルス・エンゼルスはレギュラーシーズンを戦い終えた。そのラスト2試合、スタジアムに姿を現した背番号17と球団の“テレビに映らない”動静を、取材歴10年目の番記者が記した。《全2回の1回目/第2回につづく》

 

 大谷翔平は来るのか、来ないのか。話すのか、話さないのか。今季終盤のエンゼルスを取材する日本メディア、米メディアにとって、日々の大きなトピックの一つだった。

 

 大谷は右肘じん帯損傷と右脇腹痛で9月16日に負傷者リスト(IL)入り。球団からは、19日からの遠征6連戦には同行せず、25日からの本拠地6試合でチームに再び合流すると明かされていた。だが、その後の情報のアップデートは乏しく、筆者を含めて疑心暗鬼になっていたメディアが多かった。

 

「オオタニと来週には会えるだろう」のはずが

 

 大谷が9月19日にロサンゼルス市内の「カーラン・ジョーブ・クリニック」で右肘手術を受けてから4日が経過した23日、敵地ミネアポリスでのツインズ戦前でのこと。フィル・ネビン監督は、水原一平通訳を通じて大谷の状況を把握しているとし「彼は元気。自宅でゆっくりしている」と説明し、「以前にも(右肘手術を)経験しているから過程を理解している。今のところ全て予想通り。来週には会えるだろう」とも語った。

 

 翌24日に球団は30日の本拠地アスレチックス戦でチーム内のMVPと最優秀投手を表彰するセレモニーを行うと発表。同賞の選出が有力な大谷が同日にグラウンドに姿を現す可能性が高いことが、ここで初めて分かった。

 

 本拠地に戻った25日。まだ大谷は姿を現さなかった。26日、27日も来ず、オフを挟んだ29日も来なかった。手術明けは安静、静養が必須。できることも限られるため、自宅から球場に来るメリットはチームメイトやスタッフへの近況報告以外はほぼない。絶対に来なければいけない理由はないだろう。ただ、球団が「来る」と説明した以上、メディアの1人として大谷が「来る」ことを想定して、会見で「話す」ことを想定して、待つしかなかった。

 

 29日のアスレチックス戦前。ネビン監督は「私はまだ彼に会っていません。ここに来ると決まった時間はありません。彼は(チームの)多くの人に今週末、私たちに会いに来るつもりだと言っていました」と説明した。知っていて情報を伏せているのか、本当に情報を知らされていないだけなのか。球団広報部も同様の情報を繰り返すだけだった。

 

ネビン監督が口にした「私の理解では」の意味

 

 不安になるのは直近で前例があったからだった。

 

 大谷はフリー打撃で右脇腹を痛めた4日以降、11試合連続で欠場したが、この際も連日ネビン監督は試合に「出る」可能性を示唆。結局、出場しないまま今季残り試合の欠場が決まった。本当に大谷は来るのか。球団からの情報の信憑性を疑わざるを得なかった。

 

 本拠地に戻ってきた25日以降、大谷の球場入りを予測し、選手が出入りする球場外の駐車場で複数のメディアがマークを始め、筆者もそこに足を運んだ。集まっていたファンは日米含めて10人ほど。情報が明かされないなら、自らの目と足で確かめるしかない。ここまでくると、大谷が球場に現れること自体が注目度の高い「ニュース」になっていた。

 

 そして、チーム内のMVPと最優秀投手を表彰するセレモニーが行われる30日。試合前のネビン監督の会見が行われた午後4時の段階でまだ大谷は姿を見せていなかった。しびれを切らした米メディアが、再びネビン監督に問うと「(大谷が球場に現れるかは)私の理解ではイエス。会ったら彼の肘を痛めないように強くハグをしたいね」とコメントした。

 

 なぜ当日になっても“私の理解では”という言葉を使ったのかは理解できない。ファン殺到のパニックなどを恐れているなら、事前報道禁止、張り込み禁止など、他に対策はあったように思う。少なくとも年間を通して取材する日米報道陣に、約束を守れないようなモラルのない人間はいない。

 

 大谷が本当に来るのか、不安なファンは多かっただろう。ネビン監督は本当に知らなかったかもしれないが――然るべき球団関係者が何かしらメディアに説明をすべきだったのではないだろうか。

 

“来るはず”と信じた結果、水原通訳と大谷が…

 

 その後、「大谷は球場に来る?」と誰に聞いても「I hope so.(そう願っているよ)」の返事のみだった。

 

 ただ、エンゼルスを取材して6年目。チーム内のMVPと最優秀投手が表彰される恒例のこのイベントに、選手自身が出席しないイメージは湧かなかった。大谷は来る。そう信じて再び駐車場へ向かった。

 

 駐車場に到着すると、大谷を待つファンの数は日米合わせて50人ほどに増えていた。待つこと10分。いや、そこまで経っていないかもしれない。午後4時37分。ついに大谷が来た。水原通訳が運転する黒いSUV車で目の前を通過し、球場外からは死角となっているフェンスの向こう側に車は停まった。

 

 その後、大谷はすぐに水原通訳とともにボールボーイのスティーブ・パルド氏が運転するカートに乗り換え、再び目の前を通過。黄色い歓声が沸き起こる中、スマートフォンのカメラで連写した。数十秒間のあっという間の出来事だった――。

 

<第2回に続く>

 

(「メジャーリーグPRESS」柳原直之(スポーツニッポン) = 文)

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◆ 「ショウヘイから“2本目打って”」大谷翔平は最後まで仲間と笑顔だったが…番記者が気になる“憶測記事の頻発”「次の肉声はMVP、もしくは」

柳原直之氏/情報:NumberWEB)

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 大谷翔平の所属するロサンゼルス・エンゼルスはレギュラーシーズンを戦い終えた。そのラスト2試合、スタジアムに姿を現した背番号17と球団の動静を、取材歴10年目の番記者が記した。《全2回の2回目/第1回からつづく》

 

 ボールボーイのスティーブ・パルド氏が運転するカートに乗って、大谷翔平は水原一平通訳とともに姿を現した。歓声の上がる中で撮影した写真をすぐ確認すると、大谷の右腕はギプスで固定され、包帯のようなものが何重に巻かれていたのが分かった。

 

左腕の傷跡と、MVP選出での拍手

 

 注目はコーヒーカップを手にしていた左腕だ。

 

 左前腕の腱を移植した手術痕らしきものや、紫色に変色した皮下出血の痕があった。2018年の右肘じん帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)では、右手首の腱を移植したが、今後右肘を支えるための生々しい左腕の傷痕だった。

 

 最後にベンチ入りした9月17日以来13日ぶり、19日の右肘手術後初めての公の場。アスレチックス戦開始16分前の午後5時51分、赤い長袖パーカ姿の大谷はアナウンスで名前が呼ばれると、三塁ベンチからグラウンドに飛び出した。3年連続の球団MVPに選出されると、本拠地のファンの大歓声と温かな拍手に迎えられた。表彰式ではペリー・ミナシアンGMからトロフィーを受け取り、関係者と左手でグータッチを交わすなど、リラックスした表情を浮かべた。

 

 その後は同GM、ジョン・カルピーノ球団社長、フィル・ネビン監督、リーグ4位タイ31セーブでチーム最優秀投手に選ばれた守護神エステベスとともに記念撮影。場内アナウンスで再び名前が呼ばれ、スタンドの声援が大きくなると左手でトロフィーを掲げ笑顔を見せた。

 

本塁打王確定…同僚やスタッフともハグ

 

 試合をベンチで観戦した後の取材対応はなかった。正確に言えば、ネビン監督の会見後に開場するクラブハウスに入ると、大谷は既に帰路に就いた後だった。

 

 ネビン監督は、大谷について「1日中笑顔だった。元気そうだったし、チームメートと会えてうれしそうだった」と話した。7回に14号2ランを放ったオハピーは「9回の打席前に“2本目を打って”と言ってきた」と変わらない大谷の姿を明かした。ギプスで固定された右腕は曲がったままでも、大谷の笑顔はいつもと変わらなかった。

 

 今季最終戦の10月1日のアスレチックス戦も球場に姿を見せて、ベンチ入り。大谷は勝利を見届けるとグラウンドに飛び出し、左手でナインとグータッチ。その後はクラブハウスに戻り、左手にゴルフクラブのパターと黒バットを持った軽装で、バリア、グリチェク、ネトなどナイン、球団スタッフとハグや握手を交わし、別れを惜しんでいた。

 

 この日、レンジャーズ・ガルシア、ヤンキース・ジャッジらライバルは不発に終わり、日本選手初の本塁打王が確定。日本選手の主要打撃タイトル獲得は、04年に2度目の首位打者となったイチロー以来19年ぶり2人目。21年に続く2度目のア・リーグMVPも確実視されるが、パワーで世界のトップに立つ本塁打キングは、歴史的快挙だった。

 

「お疲れ様でした!」と大きな声で別れを告げて

 

 大谷は球団広報を通じ「MLBでこれまで活躍された偉大な日本人選手たちのことを考えると大変恐縮であり光栄なことです。この目標を達成するのに協力してくれたチームメイト、コーチングスタッフ、ファンに感謝します」とコメント。SNSには「打者としてリハビリから頑張ります。今までよりも強くなって戻ってこられるように、ベストを尽くしたい」と決意を記した。

 

 最後はトラウト、フィリップスとカートに乗り込んで駐車場に向かい、報道陣に向かって「お疲れ様でした!」と大きな声で別れを告げた。水原通訳が運転する車で帰路に就き、集まっていたファンからは「SHOHEI!」「(本塁打王)おめでとう!」などと歓声が飛んだ。

 

 大谷は10勝目を挙げた8月9日のジャイアンツ戦を最後に、メディアに話すことはなかった。二刀流でシーズンを完走できず、右肘の手術を決断した際の悔しさや、苦悩、葛藤は想像を絶する。メディアに話したくない心情は理解できる。再契約を目指すエンゼルスが大谷のその意向をできるだけ尊重したいという面もあっただろう。

 

“憶測による記事”が頻発するのは良くない傾向

 

 一方、本人が発信する頻度が少なくなったゆえに“憶測による記事”が頻発しているのは良くない傾向と言える。

 

 例えば、21年シーズン終盤に大谷が「ヒリヒリする9月を過ごしたい」「このままでは勝てない」「勝ちたい」と発言したことで、波紋が広がったことは記憶に新しい。それ以降、プレーオフ常連の強豪球団への移籍可能性がずっと取り沙汰される契機となったからだ。

 

 FAとなるこのオフの移籍予想も、本人が発信しない限りはそうなってしまうだろう。とはいえ、強豪球団移籍の可能性の根拠はこの発言だけ。あれから2年。自身が今、どう思っているかは大谷しか分からず、発言の真意も伏せられたままだ。

 

 その他にも17年オフに27球団が参加したとみられる、大谷争奪戦の時の報道も象徴的だった。大谷はエンゼルス入団を決断した理由について「縁みたいなものがあると感じた」「感覚的なもの」と説明しているが、それ以上、具体的な説明はなかった。

 

 当時、よく報道されていた「西海岸の温暖な気候」や「日本選手の有無」などには触れず、その後も具体的な説明はない。大谷とエンゼルスの交渉中に、主砲トラウトが電話でラブコールを送ったことが有名なエピソードだ。しかし、ドジャースはエース左腕カーショーが、ジャイアンツは当時の正捕手ポージーが交渉に同席した。なぜエンゼルスなのか。筆者を含めて説明できるメディアはいないのではないだろうか。

 

大谷の次の「肉声」はいつになるのか

 

 エンゼルス広報部によれば、次の大谷の「肉声」はアメリカン・リーグMVPを受賞した場合のカンファレンス・コール(電話会見)か、チームとの再契約時、もしくは移籍先の入団会見ではないかという。

 

 大谷はどういった経緯で手術を決断したのか。打者に専念する来季、そして二刀流復活を目指す25年に向けて、どう歩みを進めているのか。今はただ大谷の思いを聞きたい。一メディアとして、一野球ファンとして、その時を待ちたい。

 

<第1回から続く>

 

(「メジャーリーグPRESS」柳原直之(スポーツニッポン) = 文)

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 ■ NOTE