2023年10月10日

 

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 ■ 今日の大谷翔平(関連NEWS)

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◯ 大谷翔平の素顔が、ついに明かされる。ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社は、ディズニー公式動画配信サービス「Disney+(ディズニープラス)」にて『Shohei Ohtani – Beyond the Dream』を11月17日から独占配信することを発表。6時間以上のロングインタビューが実現した。『Shohei Ohtani – Beyond the Dream』は、ロングインタビューの中から、大谷の幼少期から二刀流として成功を収めた今に至るまでの、人生のさまざまなターニングポイントの裏側に焦点を当て、編集したおよそ100分のインタビュードキュメント映画。大谷本人はもちろん、縁のある選手や監督などが出演予定。

 

 大谷を知る上で欠かすことのできない「マンダラ表」、今だから聞けるメジャーに移籍した際の気持ちや、WBCでも強い絆を見せた日本選手に対する想いなどを、特別に許可を得て撮影された数々の練習や試合映像を交えながら伝える。大谷の紡ぎ出す貴重な一言一言を、繰り返し何度でも体験することができる。

 

大谷コメント

「本作では、これまで僕自身が経験してきたさまざまな出来事について、お話しする機会ができたこと、そしてお世話になった方々の本音を少し伺うことができて貴重な経験でした」

 

 

◯ ニューヨーク・デーリーニューズ紙等で長くMLB記者を務めるジョン・ハーパー記者が9日までにニューヨークの専門テレビ局SNYの番組に出演。ヤンキースとメッツの大谷争奪戦参戦の可能性について「ヤンキースは可能性が低い。オオタニは肘をケガして来季は登板できないとはいえ、契約金提示は4億ドル(約580億円)が最低ラインでそこからの競争になるだろう。オーナーのハル・スタインブレナーは、そこまでの金額は出せない。他の選手に目を向けることになると思う」と話した。一方メッツについては「オーナーのスティーブ・コーエンは全力で獲得に動くと思う。オオタニは来季投げられなくても、彼のあの左打ちの打撃力が加わることで、まったく違う打線になり優勝も狙える」と話した。

 

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 ■ 球界情報

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◯ 10日、花巻東は履正社に七回コールド負けを喫した。試合後に佐々木麟太郎内野手(3年)は、米国の大学への進学を目指すと明言した。具体的な大学名などは未定とし、「上を目指せるように一から練習を重ねたい」と決意表明した。父の佐々木監督は米大リーグで活躍する花巻東OBの大谷や、菊池らのアドバイスについて問われると、「向こうの話もいろいろ聞きましたし、今回の判断材料として卒業生(大谷や菊池雄星)から話を聞いたのは確かです」と明かした。麟太郎は決断の理由についても言及。今夏の公式戦けがの影響もあって、本塁打を打てず。「夏を通して結果が出ずに、最後の最後まで迷ったが自分の意志で決めた」とし、「野球だけじゃなく、人間的にも成長したい」と前を向いた。

 

◯ 花巻東OBの大谷の父で、金ケ崎リトルシニア監督の大谷徹氏は岩手県内の自宅で花巻東―履正社戦をネット中継で観戦した。中学時代に同チームでプレーした佐々木の米国留学決断に「僕もびっくりしているところです。自分が信じた道を進んでほしい」とエールを送った。佐々木はドラフト1位候補選手としては前例のない決断を下したが「翔平も向こう(メジャー)に行く時は大丈夫なのかなと思っていた。まさか、ここまでの成績を残すとは思わなかった。そこは同じといえば同じところと思う」と米国での躍動を期待した。

 

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 ■ 注目記事&コラム

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◆ 大谷翔平は「リアル少年漫画」? 日本社会との相関性を常見陽平准教授に聞く

前川卓也氏/情報:時事通信)

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 野球の米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平選手が、日本選手として初めて本塁打王に輝いた。終盤に右肘と右脇腹の故障に見舞われて欠場が続いたが、ア・リーグ最多の44本塁打をマーク。数々の偉業に加え、投打の二刀流を貫く姿勢やグラウンド内外で垣間見せる人間性に引き付けられるファンは多い。なぜこれほどまでに注目や人気を集めるのか。世代論に詳しい千葉商科大の常見陽平准教授(49)=労働社会学=に話を聞いた。(時事通信運動部 前川卓也)

 

◆「強さのインフレ」がある

 

 ヤンキースなどで活躍した松井秀喜ら多くの日本人打者がつかめなかったメジャー本塁打王の称号。史上初となる2年連続の「2桁勝利、2桁本塁打」も達成するなど、大谷の快挙は枚挙にいとまがない。ただ、常見さんはこうした実績だけで大谷の魅力は測れないという。

 

 「第1の前提として、大谷選手から野球が大好き、とにかくいちずという気持ちのいい思いが伝わってきます」

 

 さまざまな情報にあふれ、多様な価値観が入り交じる現代社会。興味、関心の対象が細分化される中、一つの物事に視線が集中することは少なくなった。一方でいわば「マニアック化」が進み、素人や玄人、一見(いちげん)さんやコア層に分かれることも多い。

 

 「今の時代は、いろんな分野がテクニカルな方向に行き過ぎています。例えば亀田誠治さんという音楽プロデューサーがいます。椎名林檎や東京事変、JUJUなどに関わっている人ですが、人気バンドだろうと素人だろうと、どんな曲でも流れている音楽全てが楽しく感じると言っています」

 

 「大谷選手の場合も、あれだけのスーパースターなのに、本当に野球がこんなに好きなんだなとか、こんなに大きな夢を持っているんだとかが伝わってきます。そもそも高校時代から、渡米してマイナーリーグでもいいからメジャーに挑戦したいと言っていました。スケールが大きく、とてもピュアな野球好き。誰よりも野球を愛しているんじゃないかと。そこに人は好感を抱くのです」

 

 投げては160キロ台の直球、打っては特大の本塁打。投打ともメジャーでトップクラスの実力を誇るのは、もはや「反則レベル」だ。

 

 「もう『リアル少年漫画』だと思っていますよ。そんなのないだろう、あり得ない、という痛快さがあるんです。大谷選手は『ドラゴンボール』でしょう。主人公の孫悟空のように、『強さのインフレ』があります。こんなに強いのに、まだまだ強くなるぞ、とか、こんなに強いのに、投打の二刀流というかめはめ波(必殺技)まで持っているぞ、みたいな。そういう痛快さや爽快感を持っているのが、すごくナイス。存在自体にわくわくしてしまいます。こうなると、野球ファンだけではなく一般の人々も『あの人はすごい』となります」

 

 スポーツに限らず小説や映画、アイドルなども同様だが、娯楽の楽しみ方の一つに「同一化」がある。子どもがヒーローに憧れてまねをしたり、スーパープレーをする自分を想像してみたりすることで、疑似体験に類した興奮や喜びが生まれる。大谷の場合は、野球の母国の米国でトップを極めていることが輪をかける。

 

 「言うなれば、少年漫画的同一化でしょうか。経済などで日本がいろいろ苦しい中で、海外から明るいニュースが届く。とりわけスポーツニュースって明るいものが多いですよね。スポーツは実際に人間が体を動かすもの。野球ならボールを投げて打ってというアクションがあり、その痛快さが響きます。グローバルビジネスの世界では、(米巨大IT企業4社の)GAFAに日本がやられている状況。日本の働く人にとって、一服の清涼剤になっていると思います」

 

◆「憧れをやめましょう」の力

 

 常見さんは、大谷の鮮烈な投打とともに、所作や立ち居振る舞いにも目を見張る。とりわけ着目したのは、日本代表「侍ジャパン」が世界一を奪還した今年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で発した言葉だ。決勝の米国戦を前にしたロッカールーム。大谷は円陣で「憧れるのはやめましょう。僕らはトップになるために来た。きょう一日だけは憧れを捨てて、勝つことだけ考えていきましょう」と仲間に語り掛けた。

 

 「すごくセンスがいいですよね。大谷選手は言葉の力を持っている、知っていると感じました。デジタルネーティブ世代を含めた人々に響く短いフレーズ。そこから共感が生まれます。『恐れるな』『怖がるな』などではなく、『憧れるな』という言葉のチョイスも粋でした。あれはメンバーの気持ちを高ぶらせるとともに、日本国民を鼓舞する言葉にもなったと感じています。ビジネスに置き換えるなら、外資系企業や大手企業に立ち向かおうとする企業人を応援する言葉です」

 

二刀流とZ世代の親和性

 

 夢を追い求め、やりたいと思うことを自ら制限せずにやり抜く。大谷は岩手・花巻東高在学時から、投打の二刀流にこだわってきた。そうした前向きでくじけない歩みは、日本社会にどう捉えられているか。常見さんは、大谷の二刀流と、1990年代半ば以降生まれの「Z世代」の親和性が高いとみている。

 

 この世代は2008年のリーマンショックや11年の東日本大震災など不況や不安定な情勢の中で育ったことが影響し、概して安定志向が強いとされる。また、小さな頃からインターネットを親しんできた「デジタルネーティブ」の世代で、合理的な考えに基づいた努力を好む。さらに仕事も趣味も生き方も、一つに縛られない自由な考え方を持っている。

 

 「実は二刀流って、今の若者の価値観と合っているんです。今は副業をやりたい、パラレルワーカーになりたいと言う人が多い。あれもこれも、興味のあるものはトライしてみたいという若者が増えました。会社員でありつつ、コンテンツ制作をやってみようとか、大学生ならサークルを掛け持ちしたいとか。どれかに絞る必要はない、両方いいならどっちもやっちゃえという感じなんです。そういう『自分の可能性を一つに絞りたくない』という何でもやりたい世代に合致していると言えます」

 

 夢の実現のために大谷が生活を律する姿も共感を呼ぶという。休日も筋力トレーニングなど心身の強化やメンテナンスに励み、夜の街を飲み歩いたり豪遊したりする話は皆無。食事は栄養の摂取を意識する。WBC期間中には、塩で味付けしただけのパスタを食べることが話題になった。

 

 「ストイックに貫く姿勢も非常に響いていると感じます。いい意味で、かつての『野球選手像』を更新しました。昔は外国車に乗り、銀座で飲み歩き、ブランドもののバッグや派手なアクセサリーをつけて、というのがありました。今の価値観では、そういうことはダサい、痛いという風潮がありますから」

 

◆リアルの重要性

 

 インターネットの発達で、現代社会には情報や娯楽が氾濫する。老若男女の関心が重なることは減り、特定の人物や題材に人気のうねりが起きることは珍しい。

 

 「面白いですよね。今は動画の時代で、大谷選手の試合やプレー映像が、さまざまなデバイスで見られます。また、野球のプレーは動画編集との相性も良く、娯楽のファスト化に適している面があります。ただ、これ自体は普通のことで、人気ユーチューバーやTikTok(ティックトック)などのインフルエンサー、テレビのバラエティー番組なども自分たちで企画を考えて映像をつくっています」

 

 「では、大谷選手は何が違うのでしょうか。それは『リアル』という点に尽きます。つくられた動画の場合、その内容が事実かどうか、本当かどうか分からない側面があります。一方で大谷選手は本当に体を鍛えて、投げて打って、信じられない活躍を実世界でしています。ネットの仮想空間にとどまるものではなく、加工されたものでも、つくりものでもありません。実際に起きていて、それがスーパー過ぎるということがナイスなんだと思います」

 

 近年はインターネット上で「炎上」や「過度の批判」が目立つ。少しでも「あら」があれば攻撃対象になることもある中、大谷は清廉なイメージを維持する。

 

 「稼いでいるはずなのに、お金のにおいがしないはすごく不思議。そこも非常に好かれるポイントでしょう。恐らくですけど、契約する際も重要視しているのは金額より環境でしょう。自分のやりたい二刀流を続けられるか、野球に集中できるかなど、そういったところに価値を求めていると容易に想像がつきます。これが今の20代と重なるんです。現代社会で彼らが転職する際にこだわるのは、働く環境と仲間です。メガバンクでも今は副業を認めています。自らITサービスを立ち上げたり、アプリをつくったり、コンサルタントをやってみたり。他にも転勤がないとか、リモートワークができるとか、全国どこでも働いてOKとか、働き方が大事なのです」

 

◆閉塞感破る逆襲物語

 

 日本社会は長く停滞感に覆われている。バブル崩壊後の90年代からデフレ経済が断続的に続き、企業は投資や賃上げを抑制。今は物価高が猛威を振るっている。その中で、海外で目覚ましい活躍を続ける姿はまぶしく映る。

 

 「明るい話でしょう。大谷選手に熱狂するのは、それを人々が模倣できないからでもあります。あんなに通信会社があったのに、なぜ日本はiPhone(アイフォーン)やフェイスブックをつくれなかったのか。ミクシィも一時は面白かったけれど、なぜグローバル化できなかったかなど、いろいろ突っ込みどころがあります。その中で野球の本場と言えるメジャーリーグで、彼しかできない方法で道を切り開いていることが痛快なんです。日本再興プランというか、そういうものと重なります。ある意味、大谷選手に『失われた10年の逆襲物語』を重ねている人は多いはず。夢と希望を感じられるのです」

 

 強大と思っていた世界に飛び出し、有言実行以上のことを成し遂げている大谷。それは劣勢の日本企業、ひいては日本社会を元気づけていると感じている。

 

 「実に気持ち良く国境を越えていますよね。最初からメジャーと言っていたのも痛快だし、楽しんでいる感じしかしない。インターナショナルじゃなくてグローバルなんです。これだけ極めると、日本人でも規格外の強さになれるということを証明していますから」

 

 最後に大谷と日本社会の相関性を説明してもらった。大谷はどんな存在で、彼から何を学ぶべきか。大谷を通して見る日本社会とはどんなものか。

 

 「なぜ日本から大谷選手が生まれたのに、日本は大谷選手みたいではないのか考える必要があります。日本に閉塞感があるため、地球規模で規格外という大谷選手に憧れるし、わくわくするのです。それは日本が沈んでいる状態だから、という見え方も影響しています。だからこそ、いいと感じたものはどんどん取り入れればいいんです」

 

 「日本経済ももう少しいけるんじゃないかとか、うちの会社ももっとできるのではとか、大谷選手のような活躍をするにはどうすればいいかを考えれば、世の中はちょっと明るくなると思うんですよ。投げて打ってを、ひたすら楽しんでいる姿を見て下さい。プレーが神懸かっている、基本を極めている、ではなく、夢中になれば社会は勝手に変わるものなのです。二刀流をするのではなく、二刀流のようなオリジナルは何かを考えるといいと思います。想像してみてください。米国でも中国でも欧州でも、自分の商品、自社の商品が死ぬほど売れている光景を。面白いでしょう。痛快でしょう。世の中が変わる瞬間、道を切り開いた瞬間、いわば熱狂する瞬間にわくわくしていきましょう」

 

 常見 陽平(つねみ・ようへい) 1974年4月4日生まれ。北海道出身。一橋大商学部、同大学院社会学研究科修士課程修了。民間企業勤務やフリーランスを経て2015年4月に千葉商科大の国際教養学部専任講師に就任し、現在は准教授(労働社会学)。労働問題や若者論などに詳しく、寄稿や講演なども精力的にこなす。参議院経済産業委員会や、厚生労働省の「多様な選考・採用機会の拡大に向けた検討会」で参考人を務めた。政策に関する提言なども行っている。

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◆ 大谷翔平の偉大な功績 エンゼルスの至宝ライアン超え奪三振率…契約もライアンの100倍超えへ

福島良一氏/情報:日刊スポーツ)

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 「カリフォルニア超特急」のレジェンドOBと同じルートを進むのでしょうか。エンゼルス大谷翔平投手(29)のメジャー6年目が終了しました。契約延長がまとまらなければ、ワールドシリーズ終了後にFAとなり、移籍が現実味を帯びてきます。

 エンゼルスでの6年間を振り返ると、投打の二刀流として大活躍し、数々の歴史的な大記録や偉業を成し遂げました。また、エンゼルスの球団史においても偉大な功績を残しました。特筆すべきは、球団を代表するスターの1人で、大リーグ史上最高の速球投手でもある、通算324勝の殿堂右腕ノーラン・ライアンを超えたことです。

 ライアンは大リーグ27年のキャリアで歴代1位の通算5714奪三振、史上最多7度のノーヒットノーランを達成。背番号はエンゼルス(30番)、アストロズ、レンジャーズ(ともに34番)と3つの球団で永久欠番になりました。

 特に、1972~79年のエンゼルス時代が絶頂期でした。メッツから移籍した72年から3年連続、計4度もノーヒッターを達成。73年にはメジャー史上最多の年間383三振を奪いました。74年には人類初の時速100マイル(約161キロ)の壁を突破するなど、自慢の剛速球から「ライアン・エクスプレス」として一世を風靡(ふうび)。日本では「カリフォルニア超特急」の愛称で親しまれました。

 ライアンはエンゼルス在籍8年間で7度も奪三振王のタイトルを獲得。メジャー史上最速の剛速球で驚異の奪三振率を誇り、73年の10・57を筆頭に、毎年のようにリーグトップの奪三振率をマークしました。当然のように、球団記録でも上位を独占しました。

 ところが、伝説の速球王を大谷が超えたのです。初めて規定投球回をクリアした昨年の奪三振率11・87は、73年のライアンの球団記録を49年ぶりに更新。21年ア・リーグMVPに輝いた同10・77、今季の同11・39も、ともに規定に約30イニング届かず参考記録ながら、73年のライアンを上回るものでした。エンゼルス在籍時の通算奪三振率でも、ライアンの9・97に対し、大谷は11・36。「ライアン超え」には驚きました。

 ライアンはまだスピードガンもなかった時代に、科学者が立ち合いのもと、レーザー光線で球速を計測しました。最速記録は100・9マイル(約162・3キロ)で当時、ギネスブックにも載りました。大谷は昨年9月、メジャー移籍後では自己最速の101・4マイル(約163・1キロ)を計測。自己最速でもライアンを超えたことになります。

 メジャーもライアンの時代と比べれば、2000年以降は奪三振率が一気に上がりました。歴代1位は短縮シーズンの2020年シェーン・ビーバー(インディアンス、現ガーディアンズ)が記録した14・20で、22年大谷の11・87でも32位です。シーズン歴代50傑のうち20世紀に記録されたのは、ライアンの1度を含めのべ7人だけです。

 100マイル以上の剛速球も珍しくない時代になりました。とは言っても、ライアンの全盛期をこの目で見てきた者にとって、同じ球団からライアンを超える投手が現れるとは、衝撃的でした。

 ライアンは79年オフにFAとなってチームを去り、出身地のテキサス州ヒューストンに本拠を置くアストロズに移籍。当時としては破格のメジャー史上最高となる4年総額450万ドル(約6億5300万円)で契約。メジャー史上初の年俸100万ドル(約1億4500万円)プレーヤー誕生でも話題になりました。

 このオフ、大谷は米4大プロスポーツ史上初となる総額5億ドル(約725億円)超えの大型契約になるとの予測もあります。大谷もライアンと同じ道を歩むのでしょうか。契約規模では、ライアンのサインから44年で100倍超という時代が到来しそうです。【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)

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◆ 【記者の目】佐々木麟太郎の米留学決断 「早熟化」も進むメジャー目指す新たな道となる可能性

四竈衛氏/情報:日刊スポーツ)

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<記者の目>

 

 <高校野球鹿児島国体:履正社9-1花巻東>◇10日◇1回戦◇平和リース球場

 

 高校通算140本塁打を誇る花巻東(岩手)の佐々木麟太郎内野手(3年)が10日、米国の大学留学を決断した。プロ志望届の提出期限が12日、ドラフト会議が26日に迫る中、高校最後の公式戦となった履正社(大阪)戦後に報道陣から進路について問われ「現段階ではプロ志望届を出さずにアメリカの大学に行くことを考えている」と海を渡る姿勢を示した。進学先は未定だという。

 

    ◇   ◇   ◇

 

 ◆記者の目 ドラフト上位候補の佐々木麟太郎が、米国の大学への進学を決意した真意は、現時点では定かではない。ただ、将来的にメジャーを目指すうえで、NPBを経ない新たなパターンとなる可能性も出てきた。

 

 日本でプロ入りした場合、現制度では1軍昇格後、海外FA権取得まで9年を要する。ポスティングでの挑戦にしても、周囲から認められる好成績を残す必要があり、挑戦時期として不透明な要素が多い。だが、米国の強豪大学で結果を残せば、MLBドラフトで指名される可能性は膨らむ。菊池、大谷の後輩でもある佐々木麟の場合、早い時期からメジャー各球団が注目してきたこともあり、順調にスケールアップすれば、上位指名すら夢ではない。

 

 無論、米ドラフトで指名されたとしても、メジャーへの道は簡単ではない。だが、かつては最低でも「大卒3年、高卒5年」と言われた関門も、近年はマイナーの育成システム改善もあり、トッププロスペクトへの期待値が格段にアップ。オリオールズの遊撃ヘンダーソン、レンジャーズの左翼カーターは、いずれも高卒後、21歳でデビュー。昨年ドラフト全体1位で指名されたオリオールズのホリデーは、来季、20歳でメジャーデビューすると見込まれており、球界全体で「早熟化」が進んでいる。

 

 米大学に進学すれば、言語や文化をはじめ、将来的な米国生活への適応にも障害が軽減されることも見逃せない。これが近道なのか遠回りなのかはわからない。佐々木麟が「誰も通ったことがない道」に足を踏み出すとすれば、「二刀流」を貫いてきた先輩大谷の心意気を受け継いでいるように思えてならない。【MLB担当=四竈衛】

 

 ◆米国の大学野球 全米大学体育協会(NCAA)のディビジョン1(1部)だけで約300チームが所属。うち8チームが6月にオマハで開かれる「カレッジワールドシリーズ」に出場する。米国では高校野球より人気があり、今年は過去最多の39万人(1試合平均2万4600人)の観客を集めた。MLBのドラフトには4年制大学では3年生を修了、または21歳になった時点で指名対象となり、4月生まれの佐々木麟は25年ドラフトで対象になる。

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 ■ NOTE