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2023年10月3日

 

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 ■ 今日の大谷翔平(関連NEWS)

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◯ 大谷翔平投手は2日、米専門誌「ベースボール・アメリカ」の年間最優秀選手に選出された。同賞を受賞するのは2021年以来2年ぶり2度目。複数回受賞するのは史上4人目。同誌は「ショウヘイ・オオタニは今シーズン何が可能かを再び定義づけた。私たちは2023年のMLB年間最優秀選手に指名できることを誇りに思います」と賛辞の言葉を並べた。

 

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◯ BBWAA(全米野球記者協会)所属の記者投票によるMVPの発表日が2日(日本時間3日)、決まった。現地時間11月16日(日本時間11月17日)、東部時間夜(日本時間午前中)「MLBネットワーク」の番組内で発表される。

 

◯ エンゼルスのチームメートからのコメント(日刊スポーツ)

 

ミッキー・モニアク外野手:

「彼とプレーできたことは名誉なこと。世代で1人の才能の持ち主。いつか、自分の孫たちにも伝えると思う。彼には『戻ってきてくれることを望んでいる』と言ったよ。ただ最終的には彼が、自分のためにも家族のためにもベストな決断をすると思う。僕らは彼がずっとエンゼルスの選手でいてくれることを望んでいる。チームメートとしては、どんな決断だろうとサポートしたい」

 

カルロス・エステベス投手:

「彼のような選手を見られるのは、おそらく人生で一度きりしかないと思う。長く一緒にプレーできるなら、それに越したことはない。だけど、彼にとって何がベストなのか、残留か、移籍か、どんな決断をしようとリスペクトするし、応援したい。僕と対戦する時以外はね(笑い)。ここにいる仲間は、本当に家族のような感じ。みんなが共通意識を持っている。すごくいい感じで調和しているし、そこが僕はとても好きだ」

 

デービッド・フレッチャー内野手:

「楽しかったし、彼と一緒にプレーできて、チームメートになれて僕はラッキーだ。投手としても打者としても、毎年成長している。それは、どれほど彼が懸命に練習に取り組んでいるのかを示している。もちろん、彼には残留して欲しいけど、何が起きるかは誰にも分からない。何がベストなのか、彼が決めること」

 

ジョー・アデル外野手:

「あのレベルの才能の選手とオフシーズンを過ごせて、トレーニング法を見れて良かった。彼が成し遂げたこと、一部だけど、毎日、プレーを見られたことはすごく特別なことだった。できればもう少しここにいて欲しいと、みんなそう思っているだろうし、野球界で最高の選手に残留してもらいたいと思わない訳がない。ただ、彼が決断しないといけないこと。それがどこだろうと、どのチームも彼がいることは幸運なことだ」

 

ザック・ネト内野手:

「競争心があり、戦うことが好きで、かつ素晴らしい人。ロッカールームの他の選手と同じようにね。ここ(エンゼルス)にいて欲しいと、なんとか伝えたいけど、最終的には彼が決めること。彼は、いつもここにホーム(本拠地)があるんだと分かっている。将来性のある選手がいることも理解してくれていると思う」

 

リード・デトマーズ投手:

「とても紳士で、とても素晴らしい選手。たくさん、気にかけてくれた。楽しく接することができて本当に良かった。彼は必要な時にスイッチを入れ、そうでないときはスイッチを切る。からかうことも、からかわれることも、楽しむことが好きだからね。もちろん、皆が残って欲しいと思っているけど、どこだろうと、彼はベストな選択をすると思う。ここであって欲しいけど、彼のキャリアだから、やりたいことをやるのがいいと思う」

 

ローガン・オハピー捕手:

「とても高いレベルで仕事に向かう姿勢を学べて、素晴らしい経験だった。普通の人になれる力、例えば、みんなに同じように接することができるし、みんなに親切だった。10年くらいプレーしている選手のように接してくれて、本当に印象的だった」

 

グリフィン・キャニング投手:

※背番号17のレプリカユニホームを購入し、大谷からサインをもらい、クラブハウスのロッカーに飾っている。サインの横には「グリフ」と日本語のカタカナで書かれており、うれしそうだった。先発陣では左腕サンドバルと同じく最長の5年間、大谷とプレーをともにし、その思い出を語った。

 

「印象的なのは毎日しっかり準備して投打のバランスを保っていること、毎日、フィールドで笑顔を見せること、そして、いいチームメートでいられたこと、よき友達でいられたことかな。(最も印象に残っていることで)何か1つを選ぶのは難しい。(エンゼルスは)皆が仲良く、とてもいいグループ。みんな友達で、フィールド以外で一緒に行動することもある。仲間意識があって固い関係にある。もちろん、彼にここにいてもらいたい。素晴らしい選手であり、チームに大きく貢献してくれる」

 

アンドルー・ヒーニー投手:

(レンジャーズ ※元チームメイト)

「僕はいろんな場所で、いろんなチーム構成の中で、いろんな期待を経験してきた。おそらく、ほぼ全ての球団が欲しがると思うけど、彼がハッピーで、居心地がいい場所を見つけることを祈っているよ」

 

「ベターという言葉の選択が正しいとは思わないけど、クラブハウスには本当に素晴らしい人間がたくさんいる。チームの調子がいい時、悪い時も多かった。それでも結束力があって、崩壊しなかった。すごく、いい人たちがいるし、今でも友達で、スタジアムで会えば、会話して楽しんでいるよ」

 

「もし彼が何か道を見つけて、それがいい方向にいくなら、ここでずっとキャリアを過ごすべきだろう。ただ、外から見て、動かないといけない時もある。全てうまくいくことを願っている。来季の開幕に(打者で)間に合って欲しい。どこに行こうが、どこでプレーしようが、順調にいって欲しい。対戦した時は、三振に打ち取るよ(笑)」

 

アレックス・カッブ投手:

(ジャイアンツ ※元チームメイト)

「どの球団にも劣らないくらいの獲得チャンスがあると思う。おそらく彼の最優先は勝つこと。すぐに勝てる、かつ長く勝っていけるところ、僕の意見では、ドジャースとジャイアンツはとても僅差だと思う。市場も大きいし、ファンは勝つことを求めている。オーナーもフロントも、ポストシーズンで勝ち抜いていくために多くのことをやっていて、選手のことも気にかけてくれている。ここ数年は勝てていないけど、将来性があり、マイナー組織も優れている。チームにとって、ものすごいプラスになるし、機会があればもちろん、彼と話したい」

 

◯ 球団との契約延長がまとまらなければ、ワールドシリーズ終了後にFAとなる。残留か、移籍か。米4大プロスポーツ史上初となる総額5億ドル(約725億円)規模の大型契約になるとの予測もあり、FAなら争奪戦は必至。米重鎮記者が大谷の去就を予想した。(日刊スポーツ)

 

アンドリュー・バガリー記者:

(「ジ・アスレチック」ジャイアンツ番記者歴20年)

「ドジャースと同様にチャンスは大いにあると思う。ジャイアンツは、彼が求めることはどんなことでも、歓迎して受け入れたいと思っているだろう。チームはスーパースターを必要としている。ただ、彼が何をしたいか、どうしたいか、それは誰も分からない。二刀流として10年契約というのは難しいと思う。おそらく、先発回数やイニング数でインセンティブをつけるのではないか」

 

エバン・グラント記者:

(「ダラス・モーニングニュース紙」レンジャーズの番記者歴27年)

「チームはDHよりも、投手を必要としている。だから、少し状況は複雑だろう。17年オフにもレンジャーズはギリギリまで獲得に興味を持っていたことを考えれば、今回、名乗りを上げない理由は見当たらないが、彼らの優先になるかどうかは、現時点では分からない」

 

マイク・ディジオバンナ記者:

(「ロサンゼルス・タイムズ紙」ドジャースやエンゼルスの取材歴19年)

「エンゼルスは彼が加入してから6年間、勝てていないし、移籍すると思う。ドジャースは、完璧にフィットするだろう。プレーオフにいけるチームであり、投手が必要ではあるけど、来年、彼がピッチングをしなくても大丈夫。このチームには素晴らしい若い投手がたくさんいるからね。ファーム組織も充実している。毎日、出なくてはいけないわけでもなく、彼を休ませることもできる」

 

バスター・オルニー記者:

(「ESPN」メジャーリーグの取材歴32年)

「右肘の手術は、獲得を狙っているいくつかの球団に影響を与えるかもしれない。投手としては、リスクがある。それを背負ってでも、彼に賭けるという球団もあると思うが、個人的な直感では、それはドジャースではないだろう。(編成部長の)アンドリュー・フリードマンのやり方は、リスクをしっかり査定すること。つまり、リスクを好まない。肝心なことは、彼は勝ちたがっているということだ。もしそれが本当なら、残留はしないと思う。エンゼルスは勝てる球団にはほど遠い」

 

ジェフ・フレッチャー記者:

(「オレンジカウンティ・レジスター紙」エンゼルスの番記者歴11年)

「残留の可能性は30%くらいあると思う。彼は勝ちたいと思っていて、他球団で勝てるチャンスがあるかもしれない。だが、僕はエンゼルス残留を排除しない。ここで、居心地よくやってきた。このチームは、彼の求めていることをかなえてきた。それは、他の球団では保証されない。高くはないが、(残留の)可能性はまだ残されていると思う」

 

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 ■ ロサンゼルス・エンゼルス情報

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◯ エンゼルスは2日、フィル・ネビン監督が今季限りで退任することを発表した。球団は早急に後任人事に着手する予定。ペリー・ミナシアンGMは3日に会見を行う予定。4年契約最終年の来季も留任する見込み。

 

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 ■ 注目記事&コラム

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◆ 【とっておきメモ】大谷翔平、肩の荷下りた「お疲れさまでした」 シーズン中とは違った雰囲気

斎藤庸裕氏/情報:日刊スポーツ)

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 大谷翔平はクラブハウスを出る直前、「お疲れさまでした」と一部メディアに会釈した。気のせいかもしれないが、シーズン中とは違った雰囲気のように感じた。ふと、約2週間前のことを思い出した。9月16日に右脇腹の炎症で負傷者リスト(IL)入りしてから間もない頃、大谷は試合後にクラブハウスの出入り口付近に立っていた。駐車場へ向かうため、移動用カートを待っていたのだろう。そのタイミングで、複数の日本人メディアと対面した。

 

 その1人として、あいさつを交わした。愛用のサンダルを乗せた小さな箱を持ちながら、大谷は「お疲れさまでした」と応答した。後ろに続く記者1人1人に、目をしっかり合わせて答えていた。何げないひと言で、ごく普通の行動かもしれない。だが、明らかに雰囲気が違った。

 

 投打でフル出場を続けていたシーズン中、クラブハウスで同僚と楽しそうに過ごしていても、どこか隙がない。試合の準備へスイッチが入れば、途端に緊張感が漂う。ちゃめっけたっぷりでイタズラっ子な印象もあるが、現場ではピリピリ感も伝わってくる。逆に言えば、それだけ気持ちが入っている証拠だ。やはり、二刀流として背負っているものは大きい。たったひと言でも、表情やトーンに違いはある。シーズンを終え、少し肩の荷が下りていたように見えた。【MLB担当=斎藤庸裕】

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◆ 【記者の目】大谷翔平が示した可能性は人類のニューヒーロー誕生につながる

山田結軌氏/情報:サンスポ)

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日本選手初の本塁打王に輝くなど投打で活躍したエンゼルス・大谷翔平投手(29)の2023年シーズン。サンケイスポーツの大リーグ担当、山田結軌記者(40)は、大谷が切り開いた道に新たなスターが続くことを期待した。

 

未開を切り開く。不可能だと思われたことを可能にする。大谷が日本選手を含むアジア選手で初めてつかんだ本塁打王は、その〝生きざま〟が象徴されている。

 

確かに193センチの身長など体格や才能に恵まれている。しかし、才能だけでタイトルが獲得できる世界ではない。身体能力に優れた怪物が、世界中から集まってくるリーグだ。日々の地道な努力、好きな野球をとことん突き詰める姿勢が歴史的な活躍の根底にある。

 

二刀流なんて、できるわけない。日本人が本塁打王は無理だ。〝大谷時代〟の前は、それが常識だった。既成概念と固定観念を打破し、パワーとスピードで真っ向勝負した。そして、勝った。

 

大谷が刻んだ歴史の1ページは、アマチュア選手を含めた後進への希望だ。もちろん『大谷ができたから、自分にもできる』というほど単純でたやすいものではない。しかし、大谷が示した可能性は、野球やスポーツの枠組みを超えて、人類のニューヒーロー誕生をもたらすかもしれない。(大リーグ担当・山田結軌)

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◆ 本塁打王の大谷、速球への対応力増す ストライクゾーン「征服」―米アナリスト

(情報:時事通信)

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 米大リーグでア・リーグ最多の44本塁打を放ち、日本選手で初めて本塁打王に輝いたエンゼルスの大谷。

 

 メジャー6年目で初めて打率3割もマークした。圧倒的な長打力に確実性が加わり、進化を遂げた様子がうかがえる。

 

 大リーグ公式サイトでデータ分析を担当するデービッド・アドラー氏は「特に速球への対応が際立つ」と指摘する。今季はフォーシームに対してリーグトップの打率4割2厘をマーク。3割5厘だった昨季から大きく上昇した。「昨年との一番の違いは確実性が増したこと。微修正だが、よりコンパクトなスイングに変えたことで速球を安打にする確率が上がった」とみている。

 

 大谷に対する投球について、アドラー氏は「シーズン序盤は流行のスイーパー(通常のスライダーより横に大きく曲がる変化球)を投げてくる投手もいたが、早々に攻略したことで高めの速球を軸とする配球になった」と分析する。大谷はその変化に対応。フォーシームを捉えた本塁打は14本に達し、長打率8割1分8厘という極めて高い数字を残した。昨季の10本、5割5分4厘から大幅に向上した。

 

 また、昨季は外角高めの球を本塁打にしたケースがなかったが、今季は9分割されたストライクゾーンのどの部分でもアーチを放った。「全てのコースの全ての球種をハードヒットしている。ストライクゾーンを完全に征服した」とアドラー氏は目を見張る。実際、今季は全球種に対して90マイル(約145キロ)以上の平均打球速度を記録。「これは彼のキャリアで初めて。これまで以上に(どの球種も)バットの芯でボールを捉えているということ」。数多くの選手のデータと向き合ってきた同氏は、今季の大谷に感嘆の声を上げた。 

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◆ 「ショウヘイと焼肉を食べた日が忘れられないな」大谷翔平と仲良しマーシュが語る“少年のように笑いあった日”「今はまだメッセージはしないよ」

杉浦大介氏/情報:NumberWEB)

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 ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平がメジャー6年目のシーズンを戦い終えた。打者としては打率.304、44本塁打、95打点、20盗塁、投手としては10勝5敗、防御率3.14。日本人初のMLBホームラン王に輝くなど、投打の両方で文句のない成績を残し、2度目のリーグMVPも確実視されている。

 

 ただ、9月16日に右脇腹痛で負傷者リスト入りし、残りのゲームには出場できなかった。19日には右肘の手術を受け、以降は安静を余儀なくされた。今季を通じて多くのハイライトシーンを生み出し、ケガをしても最後まで戦う意志を見せ続けた大谷を、多くの球界関係者がねぎらい、感謝の言葉を送っている。

 

 フィラデルフィア・フィリーズのブランドン・マーシュ外野手(25歳)もその1人。2022年8月にフィリーズに移籍するまで、エンゼルスでプレーしたマーシュは、特に大谷と仲が良かった。長髪と笑顔がトレードマークの好漢は、大谷との絡みもあって日本のファンの間でもお馴染みになった。

 

 大谷の手術が終わった後の22日、マーシュをフィラデルフィアに訪ねた。礼儀正しく思慮深い25歳はいつもながら丁寧に言葉をつなぎ、その口ぶりからは大谷への想いとリスペクトが溢れ出てくるかのようだった。

 

 以下、ブランドン・マーシュの1人語り

 

「僕は楽観的に考えているよ!」

 翔平がシーズン最後までプレーできず、2度目の手術を受けねばならなかったのは本当に残念だった。僕も彼のファンだし、彼はベースボールというスポーツにとって重要な存在だからね。あれほどプレーが好きな選手が、プレーできないのは悲しいことだ。

 

 ただ、僕は楽観的に考えているよ。翔平はブライス・ハーパー、マイク・トラウトなどと同じように、“比類なき存在”なんだ。元気に戻ってこられると思うし、これまで以上の姿になってくれるんじゃないかとすら感じる。

 

 もちろん僕にとってまずはこのチーム(=フィリーズ)の仲間たちが第一だけど、その一方で、彼のような選手の最善を願わずにはいられない。早く戻ってきて欲しいし、来シーズンも打者としては出場できることにエキサイトしている。2025年にはきっと投手としても復帰してくれると信じているよ。

 

 エンゼルスがフィラデルフィアに遠征して来た8月下旬、翔平と久々に顔を合わせることができた。フィラデルフィアで会った時、翔平はもうスタジアムを離れるバスに乗るところで、それほど長い話ができたわけではない。彼の状況を考え、長く引き止めたくなかった。それでも数分間、どうしているかとか、オフはどうだったとか、会うのは久々だったから、お互いの近況について話した。会えて本当に嬉しかったな。

 

 その時の彼は気丈に振る舞っていたね。元気そうで、まだ戦う気持ちに満ち溢れていた。まだ確定はしていなかったのだろうけれど、その時点でおそらく自分が手術を受けなければいけないことはわかっていたと思う。だからその話はしなかったし、もちろんそれで構わなかった。たとえ腕が傷ついて投げれなくても、可能な限りDHで打者として出場し、得点を叩き出し、最後までチームを助けたいと考えていたのだろう。そのスピリットをリスペクトするしかないよ。

 

「サンドバル、一平、翔平と焼肉を食べた」

 エンゼルスでチームメイトだったときは、翔平ととても親しくなれた。去年のシーズン中、コスタメサの焼肉屋に翔平と一緒に行った時のことは忘れられないな。僕、サンドバル、一平(水原一平通訳)、翔平の4人で焼肉を食べに行ったんだ。食事は美味しかったし、落ち着ける環境だった。その瞬間はベースボールのことは忘れ、友人同士として時間をシェアした。クールな1日だったな。4人がその時だけは少年のようになって、他愛もない話をして、笑いあったんだ。

 

 なぜこうやって翔平と心を通わせられたのか? その理由がどこにあったのか確かなことは言えないけど、彼に会った初日から、僕は彼の言葉に耳を傾け、知恵を借りてきた。もちろん僕たちがよく似たプレイヤーだというわけじゃなく、レベルの違いが存在するのはわかっている(笑)。それでも同じ右投げ左打ちの選手として、彼が打席でどんな動きをするかをしっかりと観察したんだ。

 

 僕は投手ではないから、その面は参考にはしなかったけど、打席の中での彼のユニークなスタンス、スイングを間近で見ようと努めた。彼がメジャーリーグという最高級の世界においてやり遂げていることは本当に印象的で、あれだけのことができる選手はほとんどいない。だから出会った直後から、一平を通じて彼に多くの質問を投げかけ、その言葉を参考にしてきた。

 

 翔平を心からリスペクトしたから、きっと彼も同じように僕をリスペクトし返してくれたのだろう。チームメイトとして、一緒に戦い、応援し合ったんだ。

 

 翔平から得た最大のアドバイスを1つ選ぶなら、打席に立った際の足の使い方かな。下半身がぶれているから、重心を下げて、どっしり構えて打つようにというふうにアドバイスされたことでよく覚えている。それをすることで、足が力強く動き、よりスムーズにスイングできるようになる。

 

 足の動きがスローだとスイングする腕もスローになってしまう。翔平を見れば、打つときの身体の動きがクイックかつパワフルなことがわかるはずだ。そう言われた通りに打撃ケージやBPで打ち込み、身につけようとした。翔平に言われた通りに打てれば、僕のキャリアも悪いようにはならないだろうから(笑)

 

 今季打撃が好調だったのは、翔平から受けたアドバイスが効いているのかもしれない? はっきりとはわからないけど、そうかもしれないね。フィリーズに移籍後、多くの選手たちが翔平が言っていたのと同じことを言っていた。間違いなく僕には必要なアドバイスだったのだろう。

 

「彼が現役にいる間を楽しんだ方がいい」

 僕はこれまで翔平の凄さを間近で見ることができたわけだけど、投手としても、打者としても、両方でメジャーのトップ3に入るような選手なんて本当にクレイジーだよ。翔平みたいな選手はもう二度と出てこないかもしれない。

 

 みんな彼が現役でいる間を楽しんだ方がいいと思う。翔平がフィールドにいる時は、フィリーズ、エンゼルスのどちらが勝ったとか、そんなことだけを考えるべきではないんじゃないかとすら思う。彼はベースボールを超えた存在なんだから。

 

 今オフ、翔平はFAになるわけだけど、彼がどのような気持ちで向かうのかはもちろん僕にもはっきりとわからない。エンゼルスに残留することになろうと、他のチームに移籍することになろうと、彼は適切な判断をするのだろう。それ以上に言うことはないし、彼がどう考えているかがわかっているわけではないからね。ここで言えるのは、彼がどんな選択をしようと僕はリスペクトするということだけだ。

 

 翔平が手術を受けたと伝えられた後、実はまだメッセージはしていないんだ。彼の元には多くのメッセージが押し寄せているだろうし、僕が彼の立場だったら、しばらくはそっとしておいて欲しいと思うだろうから。シーズンが終わり、オフになったらゆっくりと連絡を取り合いたい。今はとにかくいつでも応援していて、迅速かつ適切な回復を願っている。もうこのようなケガを経験しないでいいことも祈っているよ。

 

 さっきも言った通り、僕も翔平のファンだから、これからもずっと彼のことをサポートし続ける。“同じ選手として、友人として、君がフィールドに戻ってくるのを楽しみにしている”と翔平には伝えたいね。

 

(「メジャーリーグPRESS」杉浦大介 = 文)

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◆ 「ショウヘイは今年も信じられなかった」「彼の才能に感謝」チームメイト、対戦監督が絶賛した本塁打王・大谷翔平「最高のホームラン」

笹田幸嗣氏/NumberWEB)

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 輝かしい日本人打者初の本塁打王。数ある投打個人タイトルの中で、日本人選手には最も縁遠いと思われていたパワーヒッターの称号をついに大谷翔平が手にした。

 

 2021年に46本塁打を放ちながら、わずか2本差でゲレロ(ブルージェイズ)、ペレス(ロイヤルズ)の後塵を拝した。この時点で、いつかこの日はやって来ると信じていた。日本人打者として01年にイチロー(マリナーズ)、新庄剛志(メッツ)が初めて海を渡ってから23年目、戦いを挑んだ野手は総勢19人。44本塁打で大谷翔平が初めてパワーの象徴である本塁打の世界で頂点に立ったことは感慨深い。

 

あのジャッジも羨んだ大谷の技術

 球場で大谷の本塁打を見たファンは、誰もが他の打者とはまったく違う打球音に驚かされる。一際大きく、甲高いボールを砕くクラッシュ音は特大の飛距離とともに大谷が放つ本塁打の大きな魅力だ。

 

 また、ユニフォーム姿を目にすれば、腰の位置が米国人や中南米選手よりも高いことにも気づかされる。女性ファンはその格好良さにうっとりとなるが、その長い足を支える股関節の使い方が抜群に上手い。その大谷の打撃技術に感嘆したのが昨季MVP、ア・リーグ最多の62本塁打を放ったアーロン・ジャッジ(ヤンキース)だった。

 

「僕は彼の下半身の使い方が好きだ。彼のようにトゥ・タップ(右足のつま先でタイミングをとる)を僕も試したいんだ。彼は両足を地面につけた状態で股関節をとても上手に使う。彼のようなトゥ・タップが理想。僕には(習得に)あと2、3年かかりそうだ」

 

 股関節は投打においてパワーを生む源となる。ジャッジまでも羨むその卓越した大谷の強度と技術。日本人打者でありながら、メジャーで本塁打王に輝いたことは必然だったのかもしれない。

 

敵将も絶賛…打者・大谷翔平の「今季ベスト」

 さて、本塁打王・大谷の今季を語る上で忘れられないベスト・シリーズがある。6月12日から15日、敵地テキサスでのレンジャーズ4連戦で大谷のバットは「4戦4本塁打」含む12打数7安打8打点と火を吹いた。強烈な印象を残したその打撃に歴代10位、通算2093勝を誇る敵将ブルース・ボウチーでさえ舌を巻いた。9月25日、68歳の老将は今季印象に残る試合として口にしたほどだった。

 

「メジャーリーグで彼がやっていることは本当にクレージーだ。ベーブ・ルースまで遡る。マウンドでの素晴らしい投球も驚くべきことだが、特に我々の球場で(6月に)見せた打撃は信じられないほどだった。すごいパワーだった。私は少し年をとったが、まさかこんなことが見られるようになるとは思ってもみなかった。高校時代にフットボールでこういうことをやる選手がいたが、まさかメジャーリーグのレベルで同じことが見られるとは思ってもみなかった。彼の運動能力と才能にどれほど感謝していることか。言葉では言い表せない」

 

 この日、奇遇にもボウチー監督と同じことを口にしたのはMVP3度の同僚、マイク・トラウトだった。彼はワールドシリーズ終了後にフリーエージェントとなる大谷について、「チームメイトとしてプライバシーを守ってあげればいい。彼が決めることだ」と慮った上で、「4戦4発」の離れ業を思い起こすかのように称えた。

 

「6月のテキサスシリーズは本当に凄かったな。見ていて楽しかったよ。翔平は今年も信じられないシーズンを送った」

 

ボウチー監督とトラウトが絶賛した理由

 4連戦で残した打率.583、4本塁打。数字が突出していることを表している。だが、それだけではない。『百戦錬磨の名将』と尊ばれた老将と『21世紀最高の打者』の称号を贈られた打者が称賛したのには理由がある。

 

 6月12日、大谷は4-5の7回に右腕アンダーソンが投じた内角低めの難しいシンカーを中堅左の2階席へ運んだ。飛距離459フィート(約140メートル)は『逆方向弾としては自身最長飛距離』の長距離弾に加え価値ある19号同点本塁打となった。

 

 そして、5-5の延長12回には左腕ラガンズの高めのカットボールを上から被せるように左翼へ技ありの20号決勝2点本塁打。同点本塁打あり決勝本塁打ありのショータイム。大谷はその内容を喜んだ。

 

「打っているシチュエーションも良かったので尚更に嬉しいかなと思います。ボールの見え方も良かったですし、結果も良かったかなと思います」

 

あの日、大谷本人も満足げだった

 6月13日は2打数2安打に1敬遠を含む3四球で勝利に貢献。その翌日は敗色濃厚の9回に21号本塁打を放ったがこれがまた驚愕弾。再び左中間2階席へ運んだが、15年にスタットキャストが導入されて以降最速の打球速度116.1マイル(約186.8キロ)の超速弾。今度は『左打者が逆方向に放った史上最速弾』の称号が与えられた。

 

 そして、6月15日に放った22号2点本塁打もまた逆方向弾。左腕バークのスライダーを思い切り引きつけ体に巻き付くような究極のインサイドアウトのスイングで振り抜いた打球はまたしても左翼2階席付近へ飛んで行った。4戦4発、しかもそのすべてが逆方向弾。自身最長ありメジャー最速ありの離れ業に大谷も満足げだった。

 

「逆方向には勝手にいっている感じなので、一番それがいいんじゃないかなと思う。見え方がいいので、やっぱり、構えの段階で。結果云々ではなく、なるべくしてなっている感じがいいんじゃないかなと思います」

 

大谷が広報を通じて語ったこと

 6月12日に放った20号本塁打以降、大谷が本塁打王の座を他に譲ることはなく、ぶっちぎりでのタイトル獲得。全日程終了の現地10月1日、日本人として初の本塁打王に輝いた大谷は広報を通じこんなコメントを残した。

 

「MLBでこれまで活躍された偉大な日本人選手たちのことを考えると大変恐縮であり光栄なことです。この目標を達成するのに協力してくれたチームメイト、コーチングスタッフ、ファンに感謝します」

 

 本塁打王も大谷にとっては目標のひとつ。日本人打者には縁遠いと決め込んでいた先入観を恥じるとともに、己の力と可能性を信じ邁進することのできる大谷翔平には『不可能の文字はない』とあらためて感じた。

 

(「メジャーリーグPRESS」笹田幸嗣 = 文)

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◆ THANK YOU SHOHEI!米記者が解説者がリポーターが大谷のエンゼルス6年間を振り返る

柳原直之氏/情報:スポニチ)

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 エンゼルスの大谷翔平投手(29)は16日に右脇腹痛で負傷者リスト(IL)入りし、残り試合の欠場が決まった。19日に右肘の手術を受け、その後は自宅で安静。今季終了後にはFAとなり、去就は全米でも注目の的だ。今季最後の「Monthly Shohei」9月編は、ルーキーイヤーの18年からの6シーズンを間近で見てきた地元メディアが大谷との交流を振り返り、感謝の言葉を並べた。 (取材・柳原 直之)

 

 エンゼルスの今季も残り3試合。右脇腹痛と右肘手術で一足早く今季終了した大谷の6年間の奮闘をねぎらう声が絶えない。1年目の18年から取材する地元紙オレンジカウンティー・レジスターのジェフ・フレッチャー記者は「この6年は素晴らしかった。ここまで二刀流ができるとは誰も信じていなかった」と改めて賛辞を贈った。

 

 フレッチャー記者は昨夏に大谷に関する本を日米で出版し、11月に初来日。今春キャンプでは大谷から「日本滞在はどうだった?」と英語で声を掛けられた。「日本での写真を見せて、どこに食事に行ったかなどを話した。数分間の会話だったが全て英語で楽しかった」。英語版、日本語版の本をそれぞれ渡し「喜んでくれた」という。真摯(しんし)に取材を続ける姿に、大谷も一目置いている。

 

 大谷からの信頼度の高さでは、地元中継局「バリースポーツ・ウエスト」の解説者のマーク・グビザ氏も負けていない。現役時代にメジャー通算132勝、球宴選出2度を誇るグビザ氏も18年から何度もインタビューを重ね、大谷からは愛称の「グビー」と呼ばれる仲になった。昨年は大谷が好きな米ドラマ「ストレンジャー・シングス」の話で盛り上がり「彼の好きなキャラクターはダスティン(主人公の友人)だ」とうれしそうに明かす。

 

 19日の手術後には水原一平通訳を通じて携帯電話で「状態はどう?」とメッセージを送信。「良い感じだよ。連絡ありがとう」と返信があったという。

 

 大谷は今季終了後にエ軍の保有期間の6年が終了し、FAとなる。エ軍残留の可能性だけでなく、高校時代から獲得に熱心なドジャース移籍の可能性など、さまざまな情報が米メディアをにぎわせている。フレッチャー記者は「彼は勝つチャンスがより高い別の場所で試したいのでは。でももしここに戻ってきても驚かない。エンゼルス30%、ドジャース40%、残りはその他。私は彼のプレーを見るのが大好きなんだ」と話せば、グビザ氏も「野球界はもちろん、スポーツ界全体でもこれ以上の選手はいない」と太鼓判を押す。

 

 ありがとう、翔平――。激動の6年間が終わり、大谷が信頼を置く彼らからの感謝の念は尽きない。

 

 ▼ジ・アスレチック サム・ブラム記者(21年6月からエンゼルス担当)彼は心が読みづらく謎めいた人物だ。自分自身のことに集中しているからだと思う。何より野球を愛していることが一番の魅力だと思う。通訳を通して質問しているけど、明らかに僕の英語は理解しているね。エンゼルスはキャリアを通してずっと過ごしてきた場所。恐らくここにとどまってくれるんじゃないか。

 

 ▼バリースポーツ・ウエスト エリカ・ウエストン(22年からリポーター)今季の残り試合欠場が決まった後にベンチに姿を現した時の翔平はクールだった。若い選手に積極的に話しかけ、映像を見せて打撃指導していた。これまでは試合への準備や徹底した栄養管理などで模範を示す沈黙のリーダーだったが、プレーできなくなると声を使うリーダーになっていた。これから何が起こるか全く分からないが、エンゼルスのユニホームを着てまた会えることを望んでいます。

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 ■ NOTE

 

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