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2023年10月2日

 

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 ■ 今日の大谷翔平(関連NEWS)

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◯ 大谷が、前日に続き今季最終戦のアスレチックス戦が開催される本拠地エンゼルスタジアムに姿を現した。試合開始約1時間前の午前10時55分に水原通訳が運転する車で球場入り。カーキのTシャツ姿、黒い帽子を被り、右肘は前日同様、ギプスで固定され包帯の様なものが巻かれていた。

 

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◯ ア・リーグ15球団のレギュラーシーズン全日程が1日に終了し、44本塁打を放った大谷の日本人初となる本塁打王が確定した。大谷は球団を通じてコメント。

 

「MLBでこれまで活躍された偉大な日本人選手たちのことを考えると大変恐縮であり光栄なことです。この目標を達成するのに協力してくれたチームメイト、コーチングスタッフ、ファンに感謝します」

 

◯ 試合後のクラブハウスでは同僚とあいさつを交わして別れを惜しみながら、移動用のカートにトラウト、フィリップス、水原通訳とともに乗り込んで駐車場に向かい、帰宅した。報道陣には「お疲れさまでした!」とだけ言い残して取材に応じることはなかった。大谷は8月9日の本拠地・ジャイアンツ戦で今季10勝目を挙げてから一度も取材に応じず、シーズンが終了。これまでは通常、登板後に取材に応じてきたが、右肘靱帯損傷で緊急降板した8月23日には応じず、その後も右脇腹痛で欠場が続いても、9月19日に右肘手術を受けても取材機会が設定されることはなかった。

 

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◯ 大谷が44本塁打で初タイトルを獲得した。2二刀流の本塁打王に他球団の選手たちが、称賛の声を並べた。

 

コール・カルフーン外野手:

「とんでもない特別な才能がある。正直、これほどまでとは、想像できなかった。野球にとって、とてもいいこと。みんなが彼を見に足を運ぶ。とても特別なことだね。19年だったかな、チームバスの外にショウヘイと写真を撮りたいファンがいて、僕らは『ショウヘイ、行ってこい、行ってこい』と勧めたんだ。仕方なく彼はバスを降りて、そしたら3人の女の子のうち2人が気を失ったんだ。ロックスターみたいだったよ。みんなが、そう感じたと思う」

 

崔志萬内野手:

「アジア出身の選手が、あれだけの功績を残して、とてもうらやましく思う。僕はだいたい、70%くらいでバットを振っている。メジャーのピッチャーは、とてもボールが速いからね。本塁打を打つことは考えていない。だけど、大谷はフルスイングができる。そのあたりを学びたい」

 

アンドリュー・マカチェン外野手:

「21年にMVPを獲得した時よりも、打席で良くなっているように見える。今年(故障前まで)、彼とヤンキースのジャッジが比較されて、それは正しいことのように思う。彼がやっていることは、毎日見られるようなことではない。米国だけでなく、野球界にとって、すごく影響力がある選手。このまま素晴らしいキャリアを続けて、長い間プレーしてくれることを願っている」

 

ムーキー・ベッツ外野手:

「素晴らしい選手であり、かつて見たことがないような選手だ。本当に野球を楽しんでプレーしている。毎年、投打の全てにおいて良くなっている。全て優れているから、彼は野球でベストプレーヤーの1人なんだ。僕らは互いにリスペクトしている。彼のプレーを見ることができたのは、本当に素晴らしいこと」

 

ミゲル・カブレラ内野手:

「今年、ケガをしてしまったけど、数字も良くなって、とても素晴らしかった。もし、強く、健康で居続けることができれば、彼が3冠王になるチャンスはある。最も印象的なのは、素晴らしい打者でありながら、中5日でピッチングをしていたこと。打者でプレーして、その後、登板することはとても難しい。それを完璧にやって、投打でハイレベルなパフォーマンスをしていたのは、本当に素晴らしい」

 

リアム・ヘンドリックス投手:

「爪が割れていたのに本塁打を打った時、驚いた。ボールを打ち砕くのに、バットを握るのはきつかったはずだ。今年、彼がよりエリートレベルになっていることがよく分かった。(体の)後ろ側によく腕を残せているし、そこから全力で引っ張ることもできる。仮に、あるボールを振らされたとしても、そのボールに対してすぐにいいスイングが出来る」

 

マックス・シャーザー投手:

「メジャーリーグの選手は、常に良くなっていかないといけない。同じ状態(レベル)でいるということは、つまりは悪くなっているということ。彼は、間違いなく成長している。その1つが耐久力だろう。マウンド上での耐久力という点で、彼の本当の潜在能力は隠れていたが、彼が実際にできること、これまで見たことがなかったように投打の両方で試合を支配できること、我々はその潜在能力を目の当たりにした。見ていてとても魅力的だし、これからもずっと見ていたい。自分が出来ることと言えば、彼のベストと回復を祈ることだ」

 

アレックス・ブレグマン内野手:

「毎年、彼は良くなっているし、改善を続けている。ものすごい練習熱心のようだし、それが間違いなく、報われている。僕が今まで見てきた中でベスト選手の1人。塁に出れば、最も速い選手の1人。素晴らしいランナーでもあり、勘もいい。野球をよく知っているし、小さな細かなことも、正しくこなす。そして、マウンドでは7種類以上の球種を持っている。ただただ完璧なプレーヤーだ」

 

ボー・ビシェット内野手:

「今年の彼を見ていて、数字も含めて全体的に前よりも断然、良くなっているように感じた。毎回、力強いスイングができるのは驚くべきこと。打席での自信を見ても分かるが、ベスト選手と言って間違いない。彼は全てが出来る。フィールド上の誰よりもパワーがあり、スピードもある。信じられないほど危険なバッター。パワーヒッターであると同時に、いろんな球種をヒットに打てる。打ち取り方は、おそらくないように思う。それは、特別なことだ」

 

ウィル・スミス捕手:

「危険な打者。どんな球種でも捉えられる。投手としては、全球種をミックスしないといけない。(攻め方を)予想でき、とてもスマートな打者だ。より(打席で)感覚が良くなっているようにみえる。あるコースに固執してはいけない。いろいろなところを攻めなければいけないし、ギアを上げないといけない。投げきれない時には、彼は打ち砕く」

 

菊池雄星投手:

「体が大きい選手の中で、ホームラン王を取るのは凄いことだし、いろんなチームのBP(打撃練習)とか見ても、彼ほど飛ばす選手はみたことないので、いつか必ず取ると思っていましたから。パワーでも日本人がトップになれることを証明してくれたのは日本人としてもうれしいし、これからメジャーを目指す選手にとっても本当に励みになるんじゃないかなと、そう思いますね」

 

吉田正尚外野手:

「実際にプレーしてみて、野手一本で、もうこんだけきついですから、それを先発して、DHですけれども、毎日試合に臨むっていうのは多分、誰も経験したくてもできないですし、本当に準備の部分だったり、ケアの部分だったりというのは人よりも多く考えて、本当に野球に対して真摯に取り組んでいるんだと思いますね、その結果だと思います」

 

「最初からできたわけじゃないでしょうし、彼もこうしてこうキャリアを積んでいく中で、本当に証明していってるっていうところは本当すごいなと。同じ日本人としてプレーしてますけど、どこの球場に行っても歓声が凄いですし、そういうのは感じます、もうみんなから認められている」

 

◯ 高校時代の恩師の花巻東、佐々木洋監督がコメントを発表した。

「メジャーリーグで日本人が本塁打王を獲得する日が来るなんて想像もできなかった。

 

 日本は古くからランニング中心の練習で、米国はウエートトレーニング。食文化の違いもあり、その骨格や体格が日米で大きく異なると思っていたが、時代とともに”野球”が変わった。

 

 私が小さい頃は飛球を打ち上げると怒られ、ゴロを打つように指導される時代だった。しかし、米国では今”打率”から”OPS”へと選手評価の基準そのものが変わっている。

 

 そうした変化に柔軟に対応し、アップデートしていく大谷選手の能力には、いつも驚かされる。誰からも”できない””やれない”と言われることをやってのける大谷選手は、日本人の思考そのものを変えていくと期待する。

 

 子どもたちに高い目標を与え”非常識”を”常識”に変える生き方で、いつまでも夢を与える選手でいてほしい」

 

◯ 868本塁打の世界記録を持つソフトバンクの王貞治球団会長が2日、報道陣の取材に応じた。

 

「10年くらい前までは誰もそんなことは考えられなかった。だけどイチロー君が1年目からMVPになったり活躍した。やっぱりイチロー君がいなければ大谷君(の活躍)はないよ」

 

「大谷君がもっと大きなスケールのホームラン王をとった。首位打者も難しいけど、ホームランというのはある一部の人たちしかチャンスがない。ホームランはボールを遠くに飛ばせるという条件を備えてないと。その中で大谷くんはアメリカに行って、ウエートトレーニングもやって体も大きくした。我々の時代は(メジャーリーガーを)見上げてた。彼は逆に見下ろしてるんじゃないか。肉体的にも絶対負けないものを自分で作り上げた。アメリカでも完全に一目置かれるバッターになったよね」

 

「アメリカの方でも球史に残る立場になった。あと何年やってくれるか楽しみ。今までいろいろ精進して、コンディションもしっかり考えて、私生活の自己コントロールもすごくいいというし、あと15年ぐらいやるつもりで頑張ってほしいね。またホームラン王をとってほしいよね」

 

◯ 大谷がインスタグラムで今季の応援への感謝と来季の意気込みをつづった。英語と日本語で「レギュラーシーズン応援ありがとうございました また来年に向けてまずは打者としてリハビリから頑張っていきます 来シーズンまた皆さんにお会いできることを楽しみにしています!」と、力こぶやタッチの絵文字入りで投稿した。

 

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 ■ ロサンゼルス・エンゼルス情報

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◯ 大谷は、今季最終戦で2試合連続でベンチ入りした。大谷はベンチの最前列でサンドバル、キャニングらと談笑。初回のドルーリーの先制ソロの後には兜セレブレーションに加わった。前日に続いて右肘はギプスで固定された状態だったが、ウォーターボトルを右手で開けるなどした。三塁ベンチ付近に座るファンはイニング間にカメラを向けるなど、大喜びだった。

 

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◯ エンゼルスはブランドン・ドルーリーが2本塁打を含む3安打3打点の活躍を見せるなど、アスレチックスに7対3で快勝。今季最終戦を勝利で飾り、73勝89敗の地区4位でシーズンを終えた。エンゼルス先発のカーソン・フルマーは5回2安打無失点の好投で今季初勝利(1敗)をマーク。アスレチックス先発のJP・シアーズは14敗目(5勝)を喫し、アスレチックスの最終成績は50勝112敗となった。

 

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 ■ 球界情報

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ヒューストン・アストロズが3年連続、過去7年で6度目となるア・リーグ西地区優勝でレギュラーシーズンを終えた。アストロズはアレックス・ブレグマン三塁手の25号先制2ランなどで初回に4点を挙げると、2回にはカイル・タッカー右翼手の犠牲フライで追加点。タッカーは5回に適時三塁打も放ち、7回にはホセ・アブレイユ一塁手が18号2ランを決めた。

 

 地区優勝争いは最終戦までもつれ込み、2位アストロズが制すにはダイヤモンドバックスとの最終戦で勝つことに加え、首位レンジャーズが最終戦で敗れることが条件。そして、この日、レンジャーズはマリナーズに0-1で競り負けた。

 

 先制弾を放ち地区優勝に貢献したブレグマンは、シャンパンファイトの前に「アストロズが地区優勝しないのってどんな感じなんだろうと言う人が多くいたが、その答えは一生分からないだろうね」とコメント。ダナ・ブラウンGMは「最後まで優勝を競るポジションを維持し、最終的にはそれを達成することができた。だからこそ(この優勝は)本当に特別なんだ」と喜んだ。

 

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 ■ 注目記事&コラム

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◆ エンゼルス・大谷 日本選手初の本塁打王! イチローの野手初挑戦から23年「大変恐縮で光栄なこと」

柳原直之氏/情報:スポニチ)

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 大リーグは1日(日本時間2日)、レギュラーシーズンが終了し、エンゼルスの大谷翔平投手(29)がア・リーグ1位の44本塁打で、日本選手初の本塁打王に輝いた。日本選手の主要打撃タイトル獲得は、04年に2度目の首位打者となったイチロー以来19年ぶり2人目。投手の本塁打王は1919年のベーブ・ルース(レッドソックス)以来、104年ぶりとなった。日本野手のメジャー挑戦から23年。新たな歴史の扉を開いた。

 

 前日に続き今季最終・アスレチックス戦でベンチ入りした大谷は、勝利を見届けてグラウンドに飛び出した。ギプスで固定された右腕ではなく、左手でナインとグータッチ。自然と笑顔がはじけた。

 

 「これまで活躍された偉大な日本選手たちのことを考えると大変恐縮であり光栄なこと。チームメート、ファンに感謝します」。自身初の本塁打王のタイトルが確定し、球団を通じてコメントした。日本野手として初めて01年にイチロー(マリナーズ)と新庄剛志(メッツ)がメジャー挑戦してから23年目の快挙で、北中米以外の出身としても初めてだ。21年に大谷が46号を放つまで、日本野手は本塁打王争いに絡めなかったが、故障で9月3日を最後に欠場し135試合の出場にとどまりながら2位のレンジャーズ・ガルシアに5本差つけて逃げ切った。強打者の指標OPS1・066も両リーグトップで終えた。

 

 かねて「あまりホームランを狙って打つ感覚は持っていない」と話してきた。父・徹さんの教えを受け、少年時代から左中間にライナーで飛ばすことが原点スタイル。「(ボールにスライス軌道になるように)4分の1回転をかけると左中間へ飛ぶ」と独自の感覚を語ったこともあった。

 

 今季の量産の転機は6月12~15日の敵地レンジャーズ4連戦だった。計4本塁打は全て中堅から左方向だった。フィル・ネビン監督は「彼はあれで気付いた。目いっぱい振らなくても、捉えれば柵越えする」と解説。右方向への本塁打は21年が46本中26本で、今季が44本中18本に減少。強引に引っ張らず、広角に打ち分ける打棒はまるで少年時代の大谷だった。打率も初の3割台となるリーグ4位の・304と確実性も増した。

 

 怪力自慢がそろうメジャーでもパワーにこだわった。WBCで大谷が試合後に500ポンド(約227キロ)の重量でスクワットする姿を見たカージナルス・ヌートバーは「今まで見た中で一番凄かった」と仰天した。本塁打の平均飛距離は昨季より5メートル伸び422フィート(約129メートル)に達し、今季のメジャーでトップだった。スクリーンに投手の映像も流れて、相手の投球を再現できる打撃マシン「トラジェクトアーク」で連日打ち込むなど、準備と対応も欠かさなかった。

 

 9月19日に右肘手術を受け、24年に打者で、25年に投手での復帰を目指す。2度目のMVPが確実視されるが、FAとなる今オフは自身の去就が最大の注目となる。SNSには「打者としてリハビリから頑張ります。今までよりも強くなって戻ってこられるように、ベストを尽くしたい」と決意を記した。打者最高の名誉を手にし、次なるステージに向けて走り出す。(柳原 直之)

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◆ 大谷翔平、価値ある二刀流でのHR王 指揮官が確信した6月の“覚醒”「本当に怖かった」

小谷真弥氏/情報:Full-Count)

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 エンゼルスの大谷翔平投手は1日(日本時間2日)、日本選手初の本塁打王を獲得した。日本勢が打撃部門の主要タイトルを獲得したのは2004年に2度目の首位打者となったイチロー以来。フィル・ネビン監督は大谷の本塁打王を祝福すると同時に、凄さを語り尽くした。

 

「感心していることがたくさんあるけど、ピッチングもこなしている。シーズン終盤に多くの試合を欠場することになったが、リードが大きかったから追いつかれないと思った。これからも多くのことを成し遂げると思うけど、今シーズンの活躍の一員に加われて楽しかった。素晴らしい足跡を残したと思う」

 

 2021年はリーグ3位の46本塁打を放ち、昨季は34本塁打でリーグ4位だった。そして、今季は再びシーズン40発に到達。指揮官は甘い球を確実に本塁打にする技術が進化のポイントだと語った。

 

「打者として成長したと思う。ホームランにする球が増えた。強打をして、ボールが宙を舞えば、フェンスを超える。しかも、インパクトの瞬間を捉えられるから、ほとんどの選手ほど強打をしなくてもいい」

 

「テキサスでの4連戦(6月12日から15日)で逆方向のホームランを4本放った。逆方向にも打ち始めたあの時、本当に怖い打者になると感じた。好不調はあるけど、不調は他の選手と比べると、ずっと短い。逆方向にもたくさん打てる。本当に怖かった」

 

 チームリーダーとしても頼もしかったという。エンゼルス6年目でトラウトに次ぐ古株。29歳で、周囲を見渡せば、大谷より若い選手ばかりだ。

 

「選手たちはショウヘイのことを見ている。食べる姿だったり、試合への準備だったり、彼が練習の時にiPadを見ている姿も。全てを見ているんだ。だから、彼らはいい選手であり、いいチームメートでもある。クラブハウスでも(トラウトと大谷の)2人は価値のある選手だ。いいお手本を示してくれる」

 

 昨季途中に三塁ベースコーチから監督代行に昇格。今季は監督として大谷を見てきた。熱血漢でもある指揮官が、一番思い出に残っているのは何だったのか。

 

「もしかしたら、昨日かもしれない。ショウヘイが人々に与える影響力が見てとれた。オーラがあったし、(スタンディング)オーベーションを受けていた。チケットは売り切れていなかったけど、多くの人が駆けつけた。彼の周りには活気がある。私たちは常にいい会話をできたし、人柄もいい。偉大な男だ」

 

 ネビン監督は目を細めていた。

 

小谷真弥 / Masaya Kotani

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◆ 大谷翔平のチームメートが日本球界へ? エンゼルスのクラブハウス模様 今年は心にこたえる…

青池奈津子氏/情報:東スポ)

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【元局アナ青池奈津子のメジャー通信】エンゼルスのクラブハウスのスタッフの気の良いジムさんが、段ボールをカートに積んではいつも以上にせわしなく動いている。この数週間、選手たちの荷物の運び出しに忙しいが、最後の猛ダッシュ中だ。ケガをして試合に出られない面々の多くはもうロッカーから荷物を片付け、あいさつもできないまま、すでに球場を去ってしまった。

 

 例年、シーズンは慌ただしく終わるイメージだが、今年はロサンゼルスにめったに降らない秋雨とともに、やたらと寂しさが募る終わり方だなと感じる。見慣れない選手も増え、少し疎外感もある不思議な空間で、お世話になった選手らにあいさつと今季最後のインタビュー。

 

「今年は1年を通してかなり苦しかった。状態の波が激しく、継続性を保とうと精神的にも追い込んだが、自分にガッカリする結果だった。思い描いていたシーズンと全然違った」

 

 いつも快くインタビューに応えてくれたパトリック・サンドバル。今季の最後も包み隠さず「正直なところ、早く健康を取り戻して来年の準備をしたい。今年の結果は、自分のハングリー精神をとてもかき立てられた。昨年の自分がいたところに戻るんだって、炎がついている」と悔しさの入り交じった笑顔を向けてくれた。

 

 優しさたっぷりのチャド・ウォーラックは「今年を振り返って頭に浮かぶのは、チームメートたち。今年は本当に絆の深いメンバーがそろっていたと思う。クラブハウスでみんなでたわいもなく過ごした時間が一番好きだったし、一番思い出深い」

 

 オフシーズンは家族でハワイ旅行へ行ったら11月からまた週4日間のトレーニングだそうだ。チャドには人違いをして同じ質問を2度してしまったことがあるのだが「それ、きのう聞いたじゃん!」って笑って許してくれたのが私には思い出深い。

 

「来年は健康で、肉体だけでなく精神的にも強くなって戻ってきたい。このゲームは、精神的なチャレンジのほうが大きいと思うから。つらかった今年を振り返るよりも、来年できることに目を向けて頑張るよ」と言ったのは、ドミニカ共和国のアニメ兄弟(と勝手に呼んでいる)の弟分、ホセ・ソリアーノ。兄貴分であるカルロス・エステベスのフロリダ州にある自宅で数日過ごしてから母国に帰るのだそうだ。

 

 なかなか紹介できなかったが、ドラゴンボールの良さを熱弁するカルロスが「日本のアニメはネバーギブアップの精神を教えてくれた。ソリアーノにも聞いてみてよ」と言うので話しかけ「NARUTO」や「ワンピース」の話題で盛り上がってから、シャイなホセが笑顔を向けてくれるようになったのがうれしかった。

 

 最後は、気遣いとポジティブな言葉で必ず明るい気持ちにさせてくれたブレット・フィリップス。

 

「自分の忍耐力を試されたシーズンだった。5月にDFAされ、再びマイナーリーグで改めて気持ちを切り替え『少しでもポジティブに過ごそう』って、これまで何度もやってきたけど、年を取るたびに少しずつつらくなるんだよね。でも耐え抜いて、9月にまた戻ってきて本塁打を打ったり、好守を見せたり、自分はまだメジャーリーグのチームが勝つ手助けをできるんだって見せられたのは良かった。だから誇らしく思うかな」

 

 大きなため息とも、ねぎらいのひと息とも言える息をつき「シーズンお疲れさま」と締めくくった。

 

 来季は“日本でプレーすることも考えたい”と話していたので、日本球界の一員としてプレーする姿も見られるかもしれない。

 

 ロサンゼルスに来てから迎える8年目のオフシーズン。見慣れた光景のはずなのだが、今年はどこか心にこたえるものがある――。 

 

青池 奈津子

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◆ 「今年もフォローありがとう」エンジェルス番記者たちがフォロワーに感謝「とんでもないシーズンだったが楽しかった」「これからたくさんのことが起こりますよ」

(情報:THE DIGEST)

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 現地10月1日、ロサンゼルス・エンジェルスは本拠地でオークランド・アスレテイックスと今季レギュラーシーズンの最終戦を戦い、7対3で勝利した。今季のエンジェルスは162試合で73勝89敗。ア・リーグ西地区で4位に終わり、2014年以来となるプレーオフ進出はまたしても達成できなかった。

 

 ホームラン王に輝いた大谷翔平の投打にわたる活躍もあり、エンジェルスのニュースは日本でも連日のように報じられた。そうした情報を現場から報じていたのが各メディアのエンジェルス番記者たちだ。レギュラーシーズン終了後、番記者たちはそれぞれX(旧ツイッター)で思いのたけをつぶやいた。

 

 地元放送局『Bally Sports West』で専門リポーターを務めるエリカ・ウェストン氏は、「シーズンの終わりを迎えるのは、いつも悲しいです。今シーズン、エンジェルスの放送で私たちを応援してくださった皆さまに感謝します。私はこの仕事を愛しています」と記している。

 

 米スポーツメディア『The Athletic』のサム・ブルーム記者は、「皆さま、今年もフォローしていただき、ありがとうございました。心より感謝申し上げます。みんなにとってとんでもないシーズンでしたが、私はそれをカバーするのが楽しかった」と2023年シーズンを振り返った。

 

「今シーズンもエンジェルスの報道をフォローしていただき、ありがとうございます」と記したのは、MLB公式サイト『MLB.com』のレット・ボリンジャー記者だ。続けて「ペリー・ミナシアンGMとフィル・ネビン監督の将来に関する不確実性を考慮すると、今後、さらに多くのことが起こるでしょう」とオフのエンジェルスの動きにも注目するように呼び掛けた。

 

 地元紙『Orange County Register』のジェフ・フレッチャー記者も、「シーズンを通してフォローしてくださった皆さま、ありがとうございました。でもまだ、離れないでくださいね。これからたくさんのことが起こりますよ」と、今季終了した後もストーブリーグの情報を報じていく姿勢をみせた。

 

 地元紙『Los Angeles Times』のサラ・バレンズエラ記者は、「今シーズンのエンジェルスを取材できて、大変光栄でした。ファンからの応援、タイムズ紙からの励まし、そして友人、家族、恩師からの愛がなければできませんでした。エンジェルスのオフシーズンについては、また後日!」と記している。

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 ■ NOTE