2023年9月24日

 

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 ■ 今日の大谷翔平(関連NEWS)

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◯ 大谷について、フィル・ネビン監督が23日の敵地ツインズ戦前に報道陣に言及した。水原一平通訳を通じて連絡を取っていると明かし、「元気だよ。回復しているところだ」と語った。大谷は19日に右肘手術を受けてからは自宅で過ごしているという。2018年10月にもトミー・ジョン手術を受けており、ネビン監督は「前にも経験しているから、(リハビリの)過程を理解している。順調に回復しているし、今のところ全ては予定通りだ。来週には会えるだろう」と語った。大谷は25日の本拠地・レンジャーズ戦からチームに合流する予定だ。

 

◯ 落合博満氏中畑清氏が24日、TBS系テレビ「サンデーモーニング」に出演。大谷についてコメント。落合氏は「右肘の手術をして、バッターとして、振れるっていうのが不思議でしょうがない。振りづらくなると思うんですけど、野手として復帰できるっていうのが、自分が経験してないからいまいち分からない。肘にどこまで負担がかかるのかっていうね。(大谷が)右投げ左打ちだからなのか。これが右投げ右打ちだったら負担がかかるのか。だから僕、分かんないです」と話した。

 

関口宏MCから「だけど、こんだけ手術しなきゃなんなくなるような野球に、なんだかちょっと行きすぎてないですか」と振られると「野球が趣味ですから。野球が生き甲斐ですから。そりゃあ体がどうなろうと、もう本人の中では納得ずみだと思います」と落合氏。中畑氏も「ブレーキかけられないもん彼は。我々だったら絶対、休みなさいよって言いますよ。メジャーリーガーの組織の中でもみんなが休ませたくてしょうがない。でも本人が休まないって言ってるから。どうしようもないやつ…、あっ、やつじゃないか。すごい選手なんですよ。野球大好き人間ですよ」とコメント。

 

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 ■ ロサンゼルス・エンゼルス情報

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◯ エンゼルスは4回表にジョー・アデルの3号ソロで先制すると、先発のケニー・ローゼンバーグをはじめとする5人の投手による完封リレーで1点のリードを死守。前日の試合で地区優勝を決めたツインズを相手に1対0の完封勝利を収めた。ローゼンバーグは5回5安打無失点で2勝目(2敗)をマークし、エンゼルス5番手のカルロス・エステベスは31セーブ目。ツインズ先発のソニー・グレイは6回4安打1失点で8敗目(8勝)を喫した。

 

◯ マイナー落ちから這い上がったチーム屈指の人気選手が、好プレーでファンを沸かせた。大谷の仲良し同僚デビッド・フレッチャーが内野ゴロを横っ飛びでキャッチ、さらに回転座り投げのファインプレーを披露。これに敵地ターゲット・フィールドの観客からも大きな拍手が起こった。

 

 

 

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 ■ 球界情報

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◯ ホワイトソックスのルイス・ロバートJr.外野手が23日、敵地で行われたレッドソックス戦に「3番・中堅」でスタメン出場し、9回に3試合ぶりとなる38号ソロを放った。0-0で迎えた9回の第4打席で、「ペスキーズ・ポール」と呼ばれる右翼ポールギリギリへ低弾道で運んだ。飛距離はわずか311フィート(約94.8メートル)。角度は21度だった。この一発が決勝点となり、チームは1-0で勝利した。これで直近5戦で3発目とし、トップを走る大谷(44本塁打)に6本差に迫った。ロバートJr.は残り7試合。

 

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 ■ 注目記事&コラム

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◆ 今季終了の大谷翔平だが…米のベストセラー作家や世界各国の記者をも唸らせる“日本では報じられていない”大谷の「本当の魅力」

谷口耀世子氏/情報:現代ビジネス)

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 米ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラーリストで1位を飾った「パターノ(Paterno)」などを世に出した、ジョー・ポズナンスキーによる「Why We Love Baseball:A History in 50 Moments」が2023年9月5日に発売された。

 

 レジェンドを生んだ偉大な瞬間や、忘れ去られようとしている瞬間が綴られており、ウィリー・メイズのザ・キャッチ、ベーブ・ルースの予告本塁打など、多くの人が知っているエピソードから無名の話までユニークな視点で語られている。50の話のひとつひとつは野球へのラブレターである。

 

 ここに大谷翔平についての話も収められている。ポズナンスキーが大谷について取り上げた想いと、日本では知られていない大谷の各国での評価や存在感を述べていく。

 

“50の瞬間でつづる歴史”

 

 9月5日に米国のベストセラー作家のひとり、ジョー・ポズナンスキーによる「Why We Love Baseball:A History in 50 Moments」が発売された。タイトルを日本語訳にするならば、“なぜ、われらは野球を愛するのか 50の瞬間でつづる歴史”。となるだろうか。

 

 本が発売される前の8月15日に、ポズナンスキー自身がワシントンポスト紙にコラムを書いた。ここで大谷翔平を取り上げた章にふれており、「最も書くのが難しかった章は、多くの意味で極めて重要な章にもなった」とした。筆者は発売日を待ちかねて本を手にとった。“50”のエピソードは野球へのラブレターのようであり、その文はユーモアと軽快なリズム感にあふれ、ポズナンスキーの手腕を堪能できる。

 

 さきほどエピソードの数を50としたが、正確にはさらに細分化され、野球のボールの縫い目と同じ数の“108の話”が収められている。したがって、大谷翔平だけに焦点を当てた本ではなく、割かれているページ文字数はそれほど多くない。

 

日本の野球ファンも必読の1冊

 

 だからといって、大谷ファンは読まなくてよいかというと、そうではない。この本にはメジャーリーグだけでなく、他の野球リーグやアマチュアの話も入っている。“令和の怪物”と呼ばれている千葉ロッテの佐々木朗希が取り上げられていることには驚かなかったが、江夏豊さんについての話(そこには王貞治さんが登場)、まだ阪急ブレーブスだった時代の山森雅文さんのあのプレーについても触れている。

 

 米国人ジャーナリストのポズナンスキーは、あの日をどう見ていたかを綴っている。つまり、この本は、時と場所を超えた野球というゲームの豊かな広がりのなかで、大谷翔平の存在も感じられる構成となっているのだ。

 

著者の“ショーヘイ・オオタニ”への想い

 

 もう一度、話をポズナンスキーのワシントンポスト紙のコラムに戻す。あのコラムでポズナンスキーは、

 

 「ショーヘイの章は、2022年6月のカンザスシティ・ロイヤルズの2連戦について書いていた。火曜日に2本塁打、8打点の活躍、翌日の水曜日には8回無失点、13奪三振の好投で、それは彼の唯一無二の輝きを表しているように見えた。しかし2023年3月、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で大谷がこの10年間で最高の選手でチームメートでもあるマイク・トラウトを三振で仕留め、日本が米国を下した。それがショーヘイの章になった」

 

 と明かしている。

 

 9月7日にセントルイスの書店が主催した新刊記念トークショーにオンラインで参加したところ、さらなる裏話が披露されていた。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が行われていたとき、すでに執筆は終わっていて、原稿は出版社の手元にあった。

 

 しかし大谷とトラウトとの対戦を見たあと、出版社に電話をして急遽、大谷の章を書き替えたのだという。そして、2023年の印象的なシーンを聞かれると、大谷がデトロイト・タイガースとのダブルヘッダー第1試合で先発投手として完封勝利をし、第2試合で2本塁打した試合をあげた。

 

 ポズナンスキーは、大谷が自分自身を上回っていくことに驚嘆しながら、あの日も取り上げたかったというちょっとした悔いが、にじみ出ているようだった。

 

 このトークショーでは、野球の発展など、野球の国際化についても少しふれており、しかも書籍では、大谷の章の冒頭はWBCで始まっている。実際にアメリカ以外の各国では大谷への注目度は高いのか、どのような評価をしているのだろうか。本来ならば、筆者自身がその国へ出かけていき、ファンの声を聞くのが最もよいのだけれど、それはできなかった。

 

 しかし、幸いにもメジャーリーグ取材で筆者が座る記者席には、いろいろな国からの記者がいる。彼らは大谷のファンではないけれど、その国の野球を愛する人たちへ向けて記事を書いているので、大谷の人気はある程度の把握している。カナダ、韓国、ベネズエラの記者の声をご紹介しよう。

 

 ベネズエラのテレビ局で働くエドガルド・マルケスさんは、タイガースのミゲル・カブレラの引退シーズンを取材するため、7月にベネズエラからデトロイト入りした。

 

 -大谷はベネズエラでも人気があるのか。

 

 「大谷はベネズエラで最も注目されている選手です。多くのスポーツ番組が大谷について、そして彼の二刀流という特別な状況について話題にしています。大谷はあと何年間、投手でいられるのか、あと、何シーズン、投手と打者の両方を維持できるのか、など。この日本人選手に対する尊敬の念は、その規律正しさとプロ意識の高さから、非常に強い。日本に行ったベネズエラ選手は、日本の野球を絶賛して帰ってきますしね」(エドガルド・マルケスさん)

 

 -例えば、デトロイト・ライガースのミゲル・カブレラと比較して大谷はどのくらいの人気といえるか。

 

 「ミゲル・カブレラは、わが国の何百万人もの人々のアイドルです。ミギーはこのスポーツが生んだ最も重要なスター。ミゲル・カブレラがヒットを打てば、ほぼ、SNSでトレンド入りし、彼のキャリアと功績に対する評価は計り知れません。そして、興味深いことに、大谷も投げるたび、打つたびにソーシャルメディアのトレンド入りします。もしも、今、大谷がベネズエラに行けば、彼を間近でみようと、スタジアムは満員になると思いますよ」(エドガルド・マルケスさん)

 

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ケガにより今季は出場できなくなってしまったが、日本では大谷翔平の人気は凄まじく、毎日のように大谷のニュースが流れる。野球ファンでない人でも「大谷は好き」という人も多いくらいだ。そして大谷人気は日本・アメリカだけでなく、各国でも浸透している。代表戦でいつもしのぎを削っている韓国は、プレミア12で大谷のすごさを知ったという。ただ、アメリカでは“ある事情”から大谷の存在を知らない人たちもいるようだ。

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後編記事『「世界の常識をも覆した」大谷翔平…宿命のライバル「韓国」や現地「アメリカ」での“意外な評価”と大谷がWBC終了後に語っていた「野球ファンへの想い」』では、そのほか各国での大谷の評価や、アメリカで大谷を知らない人がいる理由、そしてWBC後に語っていた大谷の野球への想いを紹介する。

 

谷口 輝世子(スポーツライター)

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◆ 「世界の常識をも覆した」大谷翔平…宿命のライバル「韓国」や現地「アメリカ」での“意外な評価”と大谷がWBC終了後に語っていた「野球ファンへの想い」

谷口輝世子氏/情報:現代ビジネス)

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日本では、普段野球を見ない人でも大谷翔平を知っている人は多いだろう。そのくらい毎日のようにテレビやインターネットなどのメディアでは大谷の活躍や怪我の情報などのニュースが流れてくる。ただ、アメリカやそれ以外の各国での大谷の評価はどのようなものなのだろうか。

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前編記事『今季終了の大谷翔平だが…米のベストセラー作家や世界各国の記者をも唸らせる“日本では報じられていない”大谷の「本当の魅力」』に引き続き、各国での大谷翔平の評価と大谷が語っていた野球への想いを綴る。

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2015年のプレミア12で知った大谷のすごさ

 

 ―韓国の野球ファンはどのようにして大谷を知ったのか。

 

 「2015年のプレミア12で日本と韓国が対戦したときから、大谷は知られるようになったと思います。札幌での試合、大谷が先発し、そのときに“なんというプレーヤーだ”と思いました。準決勝でも対戦し、今度は7回を無失点です。韓国は大谷に抑えられ、そこで大谷がどのような選手かを知ったのです。

 

 大谷は今、韓国のメジャーリーグファンが最も好きな選手といえるかもしれません。彼は他のスーパースターと比べて完壁なのです。野球のプレーはすばらしく、ハンサムで、どのような問題やスキャンダルもありません」(韓国MKスポーツのキム・ジェ・フォさん)

 

 ―韓国で最も人気のあるメジャーリーガーは大谷の他には誰ですか。

 

 「難しい質問ですが、今、一番人気があるのはパドレスのキム・ハソン(全河成)でしょうか。とてもいいプレーをしていますから。ナンバー2は大谷です。ブルージェイズの柳賢振(リュ・ヒョンジン)はナンバー3かもしれませんね。韓国のファンにとってアメリカの東部での試合は時差的に観戦するのは難しいのです。

 

 たとえば、柳はこの前、東時間の午後3時開始のゲームに登板しましたが、韓国では朝4時開始になりますので、ほとんどの人は見ることができませんね。西海岸の夜の試合は、韓国の朝11時ごろから始まりますので、たとえ仕事をしていても、少し見たりすることはできます」(韓国MKスポーツのキム・ジェ・フォさん)

 

 ―韓国のユースの選手たちにも大谷の二刀流の影響はありますか

 

 「韓国の高校生選手も、以前から何人かの選手は二刀流でやっています。柳も高校時代は主軸を打っていました。それでも、若い選手たちが大谷からインスピレーションを受けている可能性はありますね」(韓国MKスポーツのキム・ジェ・フォさん)

 

大谷の人気はカナダでも健在

 

 ―カナダのファンは大谷をどのように見ているのか

 

 「カナダの野球ファンは、大谷翔平が大好きだと思います。彼はフィールドでのプレーも素晴らしいし、彼の態度や性格、振る舞い方が好きなのだと思います。彼は本当に好感の持てる人だと思いますね」(カナダ スポーツネット局 ベン・ニコルソン・スミスさん、以下同)

 

 -カナダのファンは大谷のどこに感心しているのか、二刀流に注目しているのか

 

 「それはイエスですね。そしてパワーだと私は思います。彼のパワーは確かなもので、スピード、ピッチングですね。チームにとって必要なことをすべてやり遂げようとする彼の姿勢に感銘を受けているのだと思います」

 

 ―カナダにはアジア系の人も多いが、同じアジア人ということで大谷ファンもいるのではないか

 

 「大谷が7月末にトロントに来た時には、多くの応援がありました。どのビジターの選手よりも大歓声と拍手を受けていたと思います。彼はとても印象的な選手で、どのようなバックグラウンドを持つ人の心にも響く。もちろん、日本人のファンには特にそうでしょう」

 

世界各国で人気のある大谷翔平だが…

 

 大谷は、ベネズエラ、韓国、そしてカナダの野球ファンにも、愛されているようだ。しかし、一方で、アメリカだからといって誰もが大谷を知っているわけでないという意外な事実もある。

 

 8月22日、ボルチモア・オリオールズが支援をする子どもの野球チームを本拠地球場に招いていた。中学生くらいの女子野球チームがいたので、コーチの許可を得て、「好きな選手は誰ですか」と声をかけてみた。

 

 現在は右肘のケガで負傷者入りしたがオリオールズのクローザーであるフェリックス・バティスタや、遊撃手のホルヘ・マテオの名前があがり、さらに1947年に人種の壁を破ってメジャーリーグデビューを果たしたジャッキー・ロビンソンだという少女もいた。

 

 子どもたちが好きな選手に地元チームの選手を挙げるのは自然なことで、それだけ見聞きし、実際のプレーも見ているからだろう。「ショーヘイ・オオタニは知っていますか」と投げかけると、十数人の子どもたちのなかで、1人の子どもが周囲をうかがいながら手を挙げただけだった。

 

 メジャーリーグのスーパースターである大谷を彼女たちが知らなかったのは、ある意味で健全な子どもの姿ともいえるのではないか。韓国の記者のキムさんが言ったように、まず時差の問題がある。

 

 西海岸にあるエンゼルスの本拠地ナイター試合は、オリオールズの地元ボルチモアでは午後10時開始となり、その時間から試合を見るのは難しい。ライブ観戦できなくても、スポーツニュースを見ればわかるだろうと思うかもしれないが、アメリカの地元テレビ局は地元のニュースとスポーツを中心に報道するので、日本のようにどこかの局のニュース番組を視聴すれば、その日の大谷の様子がわかるわけではない。

 

 子どもたちはインターネットやスマートフォンに慣れ親しんでいるだろうが、自分からスポーツニュースを見に行く習慣がなければ情報を入手できない。恐らく、野球以外のことに関心を向けているのだろう。

 

大谷翔平は世界に野球の魅力を伝えたひとり

 

 大谷はWBC終了後に「日本だけじゃなくて韓国も台湾も中国もその他の国も、もっともっと野球を大好きになってもらえるように、その一歩として優勝できたことがよかったなと思いますし、そうなってくれることを願っています」とコメントした。

 

 そして、大谷について執筆したポズナンスキーさんは、新刊イベントの参加者から質問を受け付けるとき、質問者に「なぜ、野球が好きかという理由をひとつしてから、質問してください」というルールをつけた。

 

 大谷翔平が試合ごとに自分自身の記録を上回っていく姿に何度も彼の章を書き換えた作家は、ひとりひとりに物語があることをよく知っている。だから、大谷を知らない少女たちが野球を知り、大谷が望んだように、野球を楽しむこともまた、清々しく素晴らしいことだと筆者は思う。

 

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 さらに関連記事『大谷翔平が高校時代から熟読していた本とは? …「物事を悲観的に考えない」「つねに前向きでいる」ための教え』では、大谷翔平の強靭な精神力の源となった書籍を紹介しています。

 

谷口 輝世子(スポーツライター)

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