2023年9月19日

 

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 ■ 今日の大谷翔平(関連NEWS)

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◯ 大谷の争奪戦にメッツが参戦する可能性があると18日、ニューヨークのテレビ局「SNY」(電子版)が伝えた。同記事を執筆したジョン・ハーパー記者によると「打線の中心となる選手を補強する必要がある。オフにFAとなるこのような打者は、大谷翔平とベリンジャーの2人だけだ。大谷がトミー・ジョン手術をしたとしても、ハーパーは昨年11月23日に同手術を受けて、5月2日にDHで出場した」と、来季の打者としての出場に問題がないことを強調した。

 

◯ 松井秀喜氏が18日、コネティカット州で行われたチャリティーイベントで取材に応じ、故障で今季が終了した大谷について「また元気な姿を見たい。けがはしょうがないし、受け入れて次に向かってほしい。(二刀流の継続について)思うようにやってほしい。彼が望む道を応援する」とエールを送った。

 

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 ■ ロサンゼルス・エンゼルス情報

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◯ エンゼルスは18日、ジョー・アデル外野手をILから復帰させた。また、マイケル・ステファニック内野手もマイナー3Aから再昇格。21歳のカイレン・パリス内野手は左手親指の靱帯断裂により、60日間のILで今季終了となる。2018年ドラフト1巡目のジョーディン・アダムス外野手は、17日に行われたタイガース戦の終了後にマイナー3Aに降格となっている。

 

◯ レッズは18日、元エンゼルスのハンター・レンフロー外野手をメジャー出場前提の40人枠から外し、事実上の戦力外(DFA)としたと発表した。昨季までパドレス、レイズ、レッドソックス、ブルワーズと渡り歩き、今季は8年目。今季年俸は1190万ドル(約17億6000万円)で、今オフにFAとなる。

 

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 ■ 球界情報

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◯ ホワイトソックスのルイス・ロベルト外野手が18日、敵地ナショナルズ戦で9月初、13試合ぶりとなる36号3ランを放った。本塁打数リーグトップの大谷は44本を放つも負傷者リスト入り。2位につけていたロベルトのペースも一向に上がらず、8月30日オリオールズ戦で35号を打った後、12試合も本塁打から遠ざかっていた。残り試合はこの日を含めて12試合。どこまで大谷に迫るのか注目される。

 

◯ オリオールズ藤浪晋太郎が18日、敵地のアストロズ戦で失点した。2点リードの6回に2番手でマウンドへ。先頭の4番アブレイユを左飛に打ち取ったが、次のタッカーにセンター越え三塁打を許し、マコーミックに中前適時打を浴びて1失点。さらにワイルドピッチで走者を二塁に進め、次のペーニャに同点左前適時打を浴びた。ここで交代したが、継投したウェブが走者をかえしたため、藤浪は1/3回を3安打3失点で、4度目のセーブ失敗が記録された。チームは9回にムリンスが逆転15号3ランを放ち、3連勝した。

 

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 ■ 注目記事&コラム

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◆ 大谷翔平、メッツが最高額オファーの可能性 「大富豪オーナーが提示する」関係者が予想と米報道

(情報:日刊スポーツ)

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 今季終了後にフリーエージェント(FA)となるエンゼルス大谷翔平投手(29)にメッツが最高額オファーをする可能性を、18日付のニューヨーク専門テレビ局SNYの電子版が伝えた。ジョン・ハーパー記者によると「もしオオタニが東海岸の移籍に前向きなら、メッツの大富豪オーナーであるスティーブ・コーエン氏は最高額を提示するだろうと、話を聞いた複数の球界関係者全員が口をそろえた」という。

 今季大補強したにもかかわらず低迷したメッツは、8月のトレード期限でベテラン先発投手のバーランダー、シャーザーらを放出。同オーナーは、来季は再建期にすることを示唆していた。だが同記者によると、ある他球団の幹部は「もしオオタニがニューヨークに来ると言えば、彼らは考えを変えて来季優勝を狙いにいくはずだ。総年俸がどれくらいになるか分からないが、コーエンは彼を獲得できるならお金は気にしないだろう」と指摘したという。

 大谷は右脇腹のケガで負傷者リスト入りし、今季終了。だが44本塁打で本塁打王と2度目のMVP選出が確実視されており、右肘靱帯(じんたい)の損傷があってもMLB史上最高額の5億ドル(約725億円)の契約になることが予想されている。

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◆ 大谷翔平が欠場しても、多くの日本人ファンが球場を訪れる。「感謝を伝えたい」と8試合通うファンも

三尾圭氏/情報:スポナビ)

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9月4日(日本時間5日)の試合前練習中に右脇腹を痛めて、欠場を続けていたエンゼルスの大谷翔平。

 

 11試合連続で欠場した後、16日(日本時間17日)に球団から大谷の故障者リスト入りが発表され、今季は復帰しないことが明らかになった。

 

 大谷が試合が出ないことが確定した16日と17日のホームゲームにも、多くの日本人ファンが本拠地のエンゼル・スタジアムに詰めかけた。

 

 とくにエンゼルスのベンチ付近ーー三塁側の1階内野席ーーは、半分以上が日本人ファンで占められ、大谷人気の高さを再認識させられた。

 

 そんなファンの一人が、神奈川県からアナハイムへ応援に来た小川藍さんだ。

 

5月に渡米を計画。観戦初日に大谷が故障

 大谷が花巻東高校で「みちのくのダルビッシュ」と呼ばれていた頃からのファンだと言う小川さんは、2018年に大谷がエンゼルスへ移籍してから、アメリカへ応援に来るタイミングを伺っていた。仕事や家庭の事情が落ち着いて、アメリカ行きを計画したタイミングで、パンデミックで旅行が困難になり、ようやく今年、念願の大谷応援の機会が巡ってきた。

 

 5月に航空券や観戦チケットを手配してからは、念願のメジャーリーガー・大谷のプレーを目の前で見れることを楽しみにしながら、旅行までの日々を過ごしていた。

 

 そして、何度も夢に見たエンゼル・スタジアムに初めて足を踏み入れたのが、9月4日。開門前と同時に球場に入り、席に座ったときに、周りの日本人ファンから「練習中に大谷がケガしたらしい」と聞かされた。

 

 「詳しい状況はまったく分からず、ネットを見たら、ケガをしたことと、先発メンバーから外れたニュースが入ってきました」

 

 その時点では、すぐに大谷は復帰すると思われており、事実、フィル・ネビン監督も早期復帰を何度も口にした。

 

 しかし、大谷は欠場を続けたまま試合はおろか、ベンチにも姿を現さない。

 

大谷選手に感謝の気持ちを伝えたい

 実は小川さんには、エンゼル・スタジアムで実現したいことがあった。

 

 それは、大谷に感謝の気持ちを伝えることだ。

 

 仕事で辛いことがあったときも、日常生活で疲れを感じたときも、いつも元気を与えてくれたのは、テレビを通して観た大谷が活躍する姿だった。

 

 日本を出発する前に、大谷が右肘の靭帯を痛めたことが発覚して、今季はもう投げないとの発表があった。

 

 これまでに何度も大谷から勇気と力を与えられてきた小川さんは、今度は少しでも大谷を励ますことができればとの思いで応援ボードを作成。

 

 書道で初段の腕前を持つ小川さんは、大谷への感謝の気持ちを筆で書き、多くの応援ボードを作り、日本から持って来た。球場の客席で応援ボードを掲げ、大谷に感謝の気持ちを伝えるために。

 

小川さんが作成した応援ボード(本人提供)

大谷欠場で伝えられない感謝の気持ち

 「今日こそは大谷さんが出場してくれるように……」

 

 そんな祈りとともにエンゼル・スタジアムに通ったが、大谷は欠場を続けたまま。ベンチにも姿を現さずに、アメリカまで来たのに大谷の姿を見ることもできない。

 

 「一番辛いのは本人なので、もっと応援頑張らなきゃと思いました」

 

 なんとかして大谷に感謝の気持ちを伝えたいと願った小川さんが出した答えは、『入り待ち』だった。

 

 「日本を出発する時点では、入り待ちをするつもりはなく、ただ球場で大谷さんを応援するつもりでした。でも、球場で大谷さんを見れないので……。少しでも、お返しをできれば良いなとの気持ちで、入り待ちをしてみました」

 

球場内で大谷翔平を応援できなかった小川さん(右)が向かったのは…(写真:本人提供)

初めての入り待ち

 夜6時半開始のナイターの場合、選手は2時前後に球場入りする。しかし、大谷が球場に入る姿を確実に捉えるために、小川さんは午前中に球場へ行き、大谷が来るのをひたすら待った。

 

 そこには、小川さんと同じように、大谷を応援したいとの純粋な思いを持ったファンが何名か集まり、「部活のように皆で仲良く応援していました」とファンの間で連帯感が生まれた。

 

 『ファンは推しに似る』と言われるように、大谷ファンには人格者が多く、周りにも気を配る。

 

 「大谷さんの迷惑になる行為はしたくはなかったし、彼をマイナスな気持ちにさせたくはなかった」

 

 球場係員の指示に従いながら、ときには暴走するファンを注意して、選手が球場入りする姿を暖かく見守った。

 

選手出入り口で入り待ちをするファン(写真:三尾圭)

ついに球場内で見れた大谷の姿

 当初の予定では、小川さんは9月4日から10日までのホーム6連戦だけを見る予定だった。しかし、その6試合では大谷は試合中一度もベンチに出て来なかった。

 

 小川さんは、9月16日と17日の試合に行くことを急遽、決意。

 

 そんな彼女の気持ちが通じたのか、故障者リストに入った大谷は16日と17日の試合をベンチから観戦。「笑顔でベンチにいる姿を見て安心しました」と語った小川さんは、18日に日本へ帰国した。

 

エンゼルスの選手たちを応援する小川さん(写真:三尾圭)

プレーだけでなく、存在自体でファンを魅了する大谷

 大谷がプレーできないと分かっていても多くの日本人ファンが球場に来ていた。

 

 野球選手の仕事は野球をプレーすることであり、ファンは選手がプレーする姿を見に、球場へ応援にやって来る。

 

 大谷翔平が野球選手の規格を超えたスーパースターだと言われる所以は、プレーできなくても、存在自体でファンを魅了できる人物だからだろう。

 

 大谷がベンチに姿を現したときには、試合中にも関わらず、多くのファンが笑顔になって、大谷にカメラを向けていた。

 

 誰よりもハードにプレーして、満身創痍の大谷には、このオフは身体を休めてもらい、来季には打者として、そして再来年には投手として、これまで以上に活躍してもらいたい。それは世界中の野球ファンの共通する願いのはずだ。

 

 「いつも大谷選手のプレーやお人柄に励まされてきました。私だけでなく、世の中の多くの方が大谷選手から元気をもらっていたのではと思います!一日でも早く大谷選手の怪我が良くなり、笑顔溢れる大谷選手のご活躍が見られることを心から願っています。そして、大谷選手が復帰したときには、またアメリカへ応援に来て、今度こそ大谷選手がプレーする姿を応援したいです」

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◆ 水原一平氏はなぜ大谷翔平に安心感を与えられるのか 選手40人以上担当の元NPB通訳が語る「親しみやすさ」の源泉

(情報:JCASTニュース)

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 大リーグ・エンジェルス大谷翔平投手(29)の6年目のシーズンが終わった。エンゼルスは2023年9月17日、右脇腹を痛めていた大谷を負傷者リストに入れ、今季の出場を断念することを発表した。ここまで投手として10勝5敗、防御率3.14、打者として打率.304、44本塁打を記録し、ア・リーグ本塁打王の可能性を残している。二刀流として大リーグの歴史を塗り替えてきた大谷を陰で支えてきたのが専属通訳を務める水原一平氏(38)だ。水原氏はシーズンだけでなく3月に開催されたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本代表に帯同するなど活躍の場を広げている。

 

 大谷の活躍と比例するように存在感を増している水原氏。スポーツメディアなどに取り上げられることも多く、その仕事ぶりは高く評価され野球ファンから大きな支持を受けている。J-CASTニュースは、西武ライオンズと横浜ベイスターズで通訳を務め、現在外国人選手の代理人として日米球界に関わる篠田哲次氏(53)に日米通訳の違いを解説してもらい、水原氏の魅力に迫った。

 

■「水原さんにはとことん付き合うという姿勢がある」

 

 篠田氏によると、大谷の専属である水原氏とひとりで数人を担当する日本の通訳とは、選手に向き合うスタンスなどが根本的に異なるという。

 

 ひとつの例として選手の「通勤」を挙げた。大谷が渡米した直後は水原氏が球場まで車の運転を務めていた時期があったが、日本では通訳が車を運転して選手を送迎することはまずないという。タクシーやハイヤーを使用することが多く、電車で通う選手には1人で球場まで行けるよう通訳が指導する。

 

 球団によって通訳に求められるものは異なるというが、当時の篠田氏の1日のスケジュールはホームゲームの場合、選手よりも先に球場入りをし、選手が到着すると体調をチェックしてから練習に帯同する。投手を担当することが多く、練習中は常に選手の傍を離れず打球が選手に当たらないよう体を張って守っていたという。試合中はベンチまたはブルペンで待機し監督やコーチの指示を待つ。外国人選手がヒーローインタビューに登場する際、通訳が傍らで訳す姿はお馴染みの光景だ。

 

 通訳の仕事は基本的にグラウンド内で完結するが、日本の場合プライベートでも付き合いを持つ通訳もおり、仕事時間は選手との距離感によるという。篠田氏は選手と積極的に関わりを持ち、休みの日に子供をプールに連れて行ったり、子供が熱を出した時などは病院に同伴していたという。米国の場合は、仕事は球場の中だけと考えるタイプが多いらしく、球場の外での付き合いが全くない場合もあるという。

 

「遠征などで外食する時は、1対1で相性が良ければ一緒にいても問題はありませんし自然なことだと思います。大谷選手と水原さんの間柄はそのように見えます。何時間一緒にいても苦にならないという信頼関係ができており、水原さんにはとことん付き合うという姿勢がみられます。私の場合は複数の選手を担当していたこともあり、遠征先でその中の1人と一緒に食事に行くと他の選手との関係性に影響を及ぼすこともあるのでできるだけ他の選手も誘ってグループで会食していました」(篠田氏、以下同)

 

「アメリカ人が聞くとすごくクールに聞こえる」

 

 篠田氏からみると水原氏は自然にチームに溶け込んでおり、それはアメリカで育ったことが大きな要因だと指摘する。

 

「日本育ちでアメリカの大学を出て日本人選手の通訳をしている人は、日本から来ているお客さんのように見えます。その点でいえば水原さんは振る舞いがネイティブに見えるので自然なんです。そこが大谷選手に安心感を与えるところだと思います。監督やコーチとのやりとりを見ていると『私通訳しています』という感じはなく、ごく普通に話している。ちょっとぶっきらぼうに聞こえますが、そこが格好良い。大谷選手は丁寧に答えますが、それをネイティブのアメリカ人が答えているような感じで訳す。アメリカ人が聞くとすごくクールに聞こえると思います」

 

 さらに「水原さんが大谷選手から信頼される仕事をしているから水原さんにもリスペクトがいく」とし、「周囲は水原さんのおかげで大谷選手が何の不安もなく野球に集中できていると感じている。一昨年のオールスターのホームランダービーでキャッチャーをやっていましたが、そのぎこちない姿に愛嬌がある。頑張っているなと。不器用な感じでキャッチャーを務めるところに親しみがわくのだと思います」と、水原氏の人柄に言及した。

 

 篠田氏は大リーグにおける通訳の重要性について次のように話している。

 

「メジャーリーグではスペイン語圏出身の選手が増え、スペイン語の通訳も採用されるようになりました。選手の良いところを引き出すには通訳が必要だという考えになってきたと思います。これは日本人選手の影響で、コミュニケーションが大事だという考え方が広まったからだと思います。野茂英雄さん(95年ドジャース入団)がメジャーリーグに行った時は『メジャーリーグに挑戦』と言われていましたが、今は助っ人として行く時代になりました。そうすると、『アメリカに来たからアメリカに倣って英語を勉強しろ』とは言わない。『活躍してくれれば良い。そのための環境は整えるから』と。お互いに分かり合えて選手の良いところを少しでも引き出したいという考えです」

 

 西武ライオンズで7年、横浜ベイスターズで7年、計14年で40人以上の選手を担当してきた篠田氏は「通訳はアンパイヤの仕事と似ている。どちらも仕事ができて当然という見られ方をして失敗は許されません」とし、「通訳がグラウンドでやれることは限られているので、選手の日々の生活をいかに安定させて野球に専念できる環境を作れるかが大事だと思います」と語った。

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◆ 「オオタニがいれば“5880億円”で売れる可能性も」 大谷翔平“エンゼルスとの再契約”は実際あり得る?「選手のお手本」「資産価値」2つのホンネ

笹田幸嗣氏/情報:NumberWEB)

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 エンゼルスが『大谷・愛』を貫いている。

 

 9月16日、ペリー・ミナシアンGMは、右脇腹の炎症が癒えなかった大谷翔平の今季終了を発表した。報道陣は未発表の右肘靱帯損傷の手術法、時期についても迫ったが、球団編成最高責任者は「情報を持ち合わせていない」と答えるのみ。釈然としない“エンゼルス・スタイル”が続いた。

 

GMからの“公開ラブコール”

 

 だが、その一方でオフにフリーエージェント(FA)となる大谷への公開ラブコールには余念がなかった。

 

“我々はショウヘイのことを最大限に理解している。リスペクトしている”。GM発言はそんなところに終始した。

 

「彼はプレーすることが大好きなんだ。一喜一憂せず毎日そこにいる。チームメートと一緒にいたいと思い、ファンのために、そして組織のために、プレーしたいと思っている。彼はラインアップに戻ってプレーするために可能な限りのことを尽くした」

 

「この仕事(編成責任者)で大事なことのひとつは、若い選手を育てることだ。そのためには模範となる選手が欲しい。(投打)両方の能力を発揮するためには多くの準備が必要だ。多くの選手たちが翔平の準備を毎日見ている。すべての選手にとって、これほど素晴らしいお手本はない」

 

新人選手に先輩・大谷がハイタッチ

 

 フィル・ネビン監督も同じように熱く語った。

 

「彼は良いチームメートだ。治療を受けたり、試合でプレーするための準備をしたりしていて、最近は彼の姿を見ることができなかった。彼は今季残り試合に出場しないが、常にチームメートとプレーしたいと思っている。それが彼という男なんだ。我々のチームには若い選手がたくさんいる。今日は新人のシャニュエルがメジャー初本塁打を放ち、ベンチで翔平からハイタッチをしてもらった。僕や他の誰かが握手するのとは訳が違う。全員でシャニュエルに『サイレント・トリートメント』もしたが、若い選手にとってはコーチや監督よりも翔平から得られるものに意味があるんだ。翔平はみんなを引っ張っている。これは重要なことなんだ」

 

 GMと監督が揃って『翔平こそがチームリーダー』と力説した真意は、『今後のエンゼルスは翔平を中心にチーム作りを進めていく』というメッセージだ。再契約へ向け、彼らは自分らが出来る限りの努力に努めた。

 

 さて、右肘の靱帯に2度目の損傷が発覚しても、大谷の新たな契約は史上最高額になるだろうと予測される。大谷がFA市場に出るのは、ワールドシリーズ終了翌日から5日目になる。今年の日程で同シリーズが第7戦まで続いた場合、11月9日となる。それでまではエンゼルスのみが大谷との独占交渉が許されている。

 

大谷のリハビリは誰が管理する?

 

 ここでひとつの疑問が生まれる。大谷がFA市場に出回り、エンゼルスを含めた30球団との交渉を開始すれば、新たな契約締結はクリスマス前後となるのが一般的だ。となると、11月9日からそれまでは大谷は無所属となる。

 

 ミナシアンGMは16日の会見で右肘の手術を「出来るだけ早く行いたいと考えている」と語った。予想される「インターナル・プレース」、「トミー・ジョン手術」、「ハイブリッド手術」のいずれを選択しても、そのリハビリは医療スタッフの厳正な管轄下のもとに行われる必要がある。経験と知識、設備もしっかりした球団医療スタッフの管理なくして、復帰の道は生まれない。

 

 だが、大谷がFA市場に出た場合、所属先が決まらない『空白期間』が生まれる。この期間のリハビリは誰が管理するのか。これは大きなポイントとなる。この問題を先の記者会見で追及したのはESPNのアルデン・ゴンザレス記者だった。

 

「大谷はFAになる。このようなケースで彼ら(大谷と代理人)に治療の選択を委ねるのか」

 

 ミナシアンGMは毅然として答えた。

 

「それは翔平と彼のグループが決めることだが、私はそれを尊重する。間違いなく彼の決断を尊重する」

 

再契約への“エンゼルスの本気度”

 

 契約に詳しいメジャー関係者がこの質問と答えの意味を解説してくれた。

 

「トミー・ジョンなどの手術を契約期間内に行うか、もしくは契約期間内にコミットすれば、エンゼルスが費用、リハビリのすべてを負担することになります。仮に契約期間内に契約せず、手術をしないと決断し、再契約をしないと決まった場合、双方がリリースにサインをした上でエンゼルスはその債務から外れることになります」

 

 エンゼルスの保有期間である11月8日までに手術もしくは手術の決断をし、両者がコミットすれば、手術の費用、リハビリの管轄は新球団との契約締結まではエンゼルスが負担するということになる。

 

 GM発言の「間違いなく彼の決断を尊重する」の意味は、エンゼルスはこの債務を引き受ける意思があることを表している。再契約に向け『出来ることはなんでもする』。エンゼルスはその覚悟を表した。

 

「大谷がいれば5880億円で売れる可能性も」

 

 大谷との新たな契約には5億ドル(約735億円)が必要という声がある。エンゼルスはすでにトラウト、レンドンの大型契約を抱えている。アート・モレノオーナーはこれまで贅沢税の支払いには否定的であったため、大谷への資金を残していないと指摘する関係者は多い。だが、米日で著名なある代理人は「そんなことはない」と声高に語った。

 

「再契約に単年計算で5000万ドル(約73億5000万円)が必要となってもエンゼルスは必ずお金を出すでしょう。贅沢税の支払いなどは関係ないはずです。大谷なくしてエンゼルスに価値は生まれませんから。だからどの球団よりもお金も出すと思いますよ。そもそも、彼らは球団を売却しようとしている。大谷のいないエンゼルスの価値は半減です。大谷がいれば4ビリオン(約5880億円)で売れる可能性もある。彼らは絶対にお金を出すでしょう」

 

 説得力のある仮説だった。思いおこせば、マイアミ・マーリンズの元オーナーだったジェフリー・ローリア氏は球団売却前にジアンカルロ・スタントン(現ヤンキース)、クリスチャン・イエリチ(現ブルワーズ)らと高額複数年契約を交わした後、17年に1.3ビリオン(現在のレート約1911億円)で球団を売却した。02年に買収した際は1億5800万ドル。資産価値は8倍以上に上昇した。アート・モレノオーナーも同じことを目指すのは不思議ではない。

 

 先の話になるが、果たして大谷はどのような決断を下すのだろうか。その前にまずは右肘手術法の判断と時期の決断を待ちたい。

 

(「メジャーリーグPRESS」笹田幸嗣 = 文)

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◆ 大谷翔平との日々は「毎日が特別」 美人レポーターも虜…伝説の「7.27」と“珍事件”

小谷真弥氏/情報:フルカウント)

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 エンゼルスの大谷翔平投手は16日(日本時間17日)に15日間の負傷者リスト入りし、今季の残り試合を欠場する決断を下した。6年目の今季はリーグ最多の44本塁打を放ち、日本人初となる本塁打王と2年ぶりのMVP受賞が有力視される大活躍。地元放送局「バリースポーツ・ウエスト」のレポーター、エリカ・ウエストンさんが異次元のプレーを連発した二刀流へ感謝の言葉を贈った。

 昨季からエンゼルスのリポーターを務めるウエストンさん。今季の二刀流を語る上で、「一番の思い出」として語ったのが7月27日(同28日)に敵地で行われたタイガースとのダブルヘッダー、敵軍選手による”実在確認事件”だ。

「一番の思い出に残る試合として簡単に思い浮かぶのは、デトロイトでのダブルヘッダーですね。初戦でメジャー初完封して、第2試合で2本の本塁打。私からすると、あれでMVP確定です」

「レッズ戦では相手の選手たちが彼のことを本物かどうかを確かめたりしていましたね。ビックリしました。ネビン監督はショウヘイが打った全ての本塁打の内容を説明できるようですが、素晴らしい瞬間がすごく多い。全部を把握するのは難しいですね」

 チームの遠征にも帯同し、選手の素顔を精力的に取材し、テレビ中継にレポートする。今季序盤に、大谷はウルシェラのバットに「ヒット!!!」と書いて“願掛け”。好打者の好調を引き出したというエピソードを最初に伝えたのもウエストンさんだった。大谷について「フィールド上で野球をする時は真剣そのもの」というが、その素顔をどう見ているのか。

「チームメートといる時は本当に冗談が好きな人ですね。野球では負けず嫌いですが、チームメートと過ごす楽しい時間が好きな“ジョークスター”なんです」

「血のにじむような努力をすれば…ショウヘイの努力に感謝すべきです」
 2018年にスポーツレポーターとなり、2019年からカージナルスでヤディアー・モリーナら数々の名選手を取材してきた。それでも、今季の大谷から学ぶことはたくさんあるという。

「まずは毎日を当たり前だと思わないことです。彼の活躍を毎日見ることができましたが、その毎日が特別なことです。いつまで(二刀流を)見られるか分からないので、目の前の毎日を感謝しないといけません」

「そして、血のにじむような努力をすれば、色々なことを達成できるということです。ショウヘイが成功をつかむまでに費やした努力を、多くの選手は真似できません。彼の努力に感謝すべきです」

 大谷は4日(同5日)の本拠地・オリオールズ戦前の打撃練習で右脇腹を痛め、その後はグラウンドから姿を消した。15日(同16日)の本拠地・タイガース戦では最後の最後まで出場の可能性を探ったが、復帰はならなかった。それでも、今季残り試合の欠場を決めた翌16日(同17日)にはベンチ入り。ウエストンさんは「すごく大事なことだった」と振り返る。

「ショウヘイが姿を見せた時、ファンは毎回、一目見ようとしていました。今まで見たことがない光景でした。その場面をビデオで撮ったんですが、すごい再生回数でした。彼が笑顔を見せて、チームメートと一緒にいる。何より大事なことだと私は思います。今年の残りの本拠地での試合で、もっと多く見られるといいですね」

 大谷が見せてくれた“非日常”。日々密着マークしてきた美人レポーターも感謝しきりだった。

小谷真弥 / Masaya Kotani

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 ■ NOTE