2023年9月10日

 

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 ■ 試合データ

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米国時間:2023年9月9日

日本時間:2023年9月10日(日曜日)

10時07分開始

ロサンゼルス・エンゼルス

対クリーブランド・ガーディアンズ

@エンゼルスタジアム

 

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【MLB.JP 戦評】

 大谷翔平が6試合連続で欠場し、ルイス・レンヒーフォの故障者リスト入りも発表されたエンゼルスは、ガーディアンズ先発のルーカス・ジオリトに3本のアーチを浴びせるなど6得点。先発のタイラー・アンダーソンの好投もあり、6対2で勝利した。アンダーソンは8回4安打2失点で6勝目(6敗)をマーク。ジオリトは7回4安打4失点で13敗目(7勝)を喫した。

 

 1回表にホセ・ラミレスの22号ソロで先制されたエンゼルスは、1回裏二死3塁からローガン・オホッピーの8号2ランで逆転に成功。3回表にジョシュ・ネイラーの16号ソロで同点に追いつかれたものの、3回裏にブレット・フィリップスの1号ソロで勝ち越すと、4回裏にはマット・サイスに9号ソロが飛び出し、リードを2点に広げた。

 

 3回までに2本のアーチを浴びたアンダーソンは、4回以降はガーディアンズ打線を1安打に封じ、8回4安打2失点の好投。すると、8回裏にガーディアンズ2番手のイグザビオン・カリーからランドール・グリチックがダメ押しの14号2ランを放ち、6対2で勝利した。

 

 なお、右脇腹を痛めている大谷は今日も出場せず、6試合連続の欠場。フィル・ネビン監督は「もう1日(休みを)与えるのがいいということ。(復帰は)明日かもしれないし、明後日かもしれない」と語るにとどめた。エンゼルスは明日でホーム7連戦が終了するが、大谷が地元ファンの前で打席に立つことはあるのだろうか。

 

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--------------------------ちゅ-----------------------------------

 ■ 今日の大谷翔平

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【スタメン】

ベンチスタート(6試合連続)

 

【出場成績/打者】

試合出場なし

 

【コメント】

なし

 

【その他情報】

◯ 右脇腹を痛めている大谷が、6試合連続で欠場した。チームは投打がかみ合い、快勝。大谷に出番はなく、代打の機会もなかった。試合前にネビン監督は「まだもう1日。彼は今日、いい状態で良くなっていると感じていたが、もう1日与える方がいいだろう。日ごとに様子を見る」と話していた。試合前、クラブハウスのロッカーが隣の先発左腕サンドバルと楽しそうに会話を交わす大谷の姿もあったが、今後も引き続き状態を見極めた上で出場を判断していくこととなりそうだ。

 

◯ 上原浩治氏と掛布雅之氏が10日、TBS系テレビ「サンデーモーニング」にご意見番として出演。掛布氏は大谷について「スイングを止めるような形で、バランスを崩して、痛めたみたいなんですが、多分、右の肘をかばってたんじゃないかなと思う。バッティングというのは、右サイドの肘は閉めていくことはない。脇があいたまま振りに行く。でも右の脇腹が痛いと、かばうので、肘が上がらなくて、閉めたままいこうとする。すると左腕が先に返ってきますから、バットのヘッドが外回りする。外回りするとボールは上がらない。脇腹が痛いのであれば、時間をかけて、完璧になってから出た方が、ホームラン王にとっても…。完璧になるまで休んだ方がいいと思う」と、コメントした。

 

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 ■ 試合情報

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【コメント】

フィル・ネビン監督:

(試合前)

ーー今日の大谷翔平のステータス

「1日1日様子を見る。彼は今日状態がいいと感じている。多分もう1日あればいいだろう。もしそうでなければ月曜日のシアトルかもしれない。日々様子を見る状態だ。今日彼ができることをもう少ししてみる。ただ、試合には出ない」

 

ーー欠場は大谷翔平の決断か

「両方だ。我々は話し合った。両者の決断だが、彼は別の日がベストだと言った」

 

【メディア他情報】

ブレット・フィリップス外野手:

◯ 元気印フィリップスが3回、8月までエンゼルスにいたガーディアンズのジオリトからうれしい今季1号ソロ本塁打を放った。メジャーにいた5月まで本塁打を放った選手に兜をかぶせる「兜担当」だったフィリップス。この日はダイヤモンドを一周すると、今季初めて自身が兜を被って選手と喜びのハイタッチをかわした。開幕はメジャーだったが、5月にメジャーの40人枠を外れて、DFAに。そこから3Aでプレーしていたが、9月6日に再び昇格。その後は持ち前の明るさに加え、課題の打撃でも存在感を示してきた。今回は体重を増やしてパワーをつけてきた。本人は「いっぱいアメリカンフードを食べたよ」と冗談を飛ばしていた。「僕はもう時間がある若手じゃない。毎日、いつ出番が来てもいいように準備しないといけない」。1年契約で、来季再びメジャーの舞台に上がるために必死のアピールが続く。

 

 

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 ■ 球界情報

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藤浪晋太郎投手:

◯ オリオールズ藤浪が敵地レッドソックス戦に登板し、1回2/3を無失点と好投し、7勝目(8敗)を挙げた。1点リードの5回1死一、二塁のピンチに3番手として救援。重盗で二、三塁となったものの、後続を仕留め、無失点に抑えた。続投した6回は2死後、カサスをこの日の最速100・5マイル(約161・7キロ)の速球で三振に抑え、5番で待機していた吉田との初対決は実現しなかった。「中継ぎの勝ちは転がってくるもの。(7勝目は)運がいいなくらいにしか思っていない。ストライクゾーンをアタックすること、(調子が)良くても悪くてもそれに集中するのが今の自分の仕事」と振り返った。

 

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 ■ 注目記事&コラム

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◆ 大谷翔平、読めぬ復帰時期 症状改善を示唆も…指揮官繰り返す“同じ回答”

川村虎大氏/情報:Full-Count)

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 エンゼルスの大谷翔平投手は9日(日本時間10日)、本拠地・ガーディアンズ戦で6戦連続でスタメンを外れた。フィル・ネビン監督は前日8日(同9日)の試合前には翌日の復帰を示唆していたが、再びベンチスタート。4日(同5日)に右脇腹を負傷して以降、同じような問答を繰り返している。

 

 9日(同10日)の試合前、指揮官は「体調は良く、昨日よりいいと彼は言っていた。もう1日様子を見られればいいと話していた」と双方の判断でスタメンを外したことを明かした。前日には「彼にあと1日与えるだけ。体調が良ければ明日が最適」。一方で、試合後に代打出場が可能かと聞かれると「今日はできなかった」と否定。ベンチにいる以上、試合前に出場不可能とは発言できないだろうが、復帰が近づいているようには思えなかった。

 

 大谷は負傷翌日の試合中に水原一平通訳を通じて代打出場を志願。7日(同8日)にはグラウンドに現れダッシュをするなど、出場の意思を示しているのは伝わってくる。一方で、指揮官の説明を読み取ると、ケージでのスイングを毎日確認できているわけではない。

 

 エンゼルスは9日(同10日)時点で借金は今季ワーストタイの12でプレーオフ争いからは完全に外れている。指揮官はこの日、翌日、もしくは11日(同12日)の敵地・マリナーズ戦での先発復帰を示唆していたが、その言葉は実現するのか。いずれにせよ、早期復帰で負傷部位が悪化したら元も子もない。万全を期してから、特大の一発が見たい。

 

川村虎大 / Kodai Kawamura

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◆ 大谷翔平がエンジェルスでプレーするのは、明日の試合が最後になるのか

宇根夏樹氏/情報:スポナビ)

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 ロサンゼルス・エンジェルスの選手として、大谷翔平がプレーするのは、9月10日(日本時間11日)の試合が最後になるかもしれない。

 

 右肘の靱帯損傷により、投手としてのシーズンは、すでに終了している。さらに、9月4日の試合前に、大谷は右脇腹を痛めた。この日から9日まで、6試合続けてスターティング・ラインナップから外れ、代打や代走としても出場していない。

 

 エンジェルスのレギュラーシーズンは、あと19試合。スケジュールは、9月10日の1試合がホーム、11日~13日の3試合がアウェー(ワシントン州シアトル)、15日~17日の3試合がホーム、19日~24日の6試合がアウェー(フロリダ州セントピーターズバーグとミネソタ州ミネアポリス)、25日~27日と29日~10月1日の6試合がホームだ。

 

 エンジェルスが今年のポストシーズンに進出する可能性は、限りなくゼロに近い。地区首位のヒューストン・アストロズとは、15ゲーム差。ワイルドカードの3番手に位置するトロント・ブルージェイズとも、13.5ゲーム離れている。

 

 また、44本塁打のままシーズンを終えても、大谷は本塁打王となりそうだ。リーグ2位~4位のいずれも、大谷の欠場中にホームランを打っていない。ルイス・ロバートJr.(シカゴ・ホワイトソックス)は9本差の35本塁打、アドリス・ガルシア(テキサス・レンジャーズ)は10本差の34本塁打、アーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)は13本差の31本塁打だ。ガルシアは、9月8日に故障者リスト入りした。ア・リーグで30本塁打に達している選手は、大谷と、この3人だけだ。

 

 2年ぶり2度目のMVPは、初の本塁打王以上に間違いないだろう。

 

 トミー・ジョン手術に限らず、右肘にメスを入れるなら、早いほうがいい。

 

 5年前、大谷はエンジェルスの162試合目に出場し、その翌日の10月1日にトミー・ジョン手術を受けた。DHとして試合に復帰したのは、翌年の5月7日だ。その前に、エンジェルスは34試合を終えていた。手術が9月上旬なら、開幕から1ヵ月以上出遅れることはなかった、という計算になる。

 

 この点を踏まえた上で、もう一度、地元ファンの前でプレーすることを望んだ場合、エンジェルスがシアトルへ向かう直前の9月10日が――右脇腹の状態次第ではあるものの――手術前の出場として浮かび上がる。

 

 今オフ、大谷はFAになる。メジャーリーグではまだ出場したことのないポストシーズンをめざすのであれば、エンジェルスと再契約を交わすとは考えにくい。

 

 なお、現時点において、大谷が最後にホームでプレーしたのは、8月23日だ。ダブルヘッダーの両試合に、それぞれ、「2番・DH&投手」と「2番・DH」として出場した。

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◆ 大谷翔平の“番記者”にエンゼルス広報が近づいて…回収された「打順用紙」、大谷“欠場の日”に何が? TV中継には映らなかった“現場のリアル”

斎藤庸裕氏/情報:NumberWEB)

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右肘の靭帯損傷が発覚し、トミー・ジョン手術の有無など今後についての情報が待たれる大谷翔平。現在、アナハイムにはこれまでにない“異様な雰囲気”が漂っている。現地で取材を続ける斎藤庸裕氏が、大谷が急遽欠場した日の取材の裏側を明かす。

 

 9月4日のオリオールズ戦に向けて、記者席で仕事をしているとエンゼルスの球団広報がやってきた。試合開始の1時間半ほど前だっただろうか。各記者の机に配布されていたラインアップ(打順)用紙を回収する――。実際にそう言われた訳ではなく、無言ではあったが、アイコンタクトとジェスチャーで分かった。「大谷がスクラッチ(先発メンバーから外れる)?」と、その広報に尋ねてみたが「分からない」との返答だった。

 

現場には既に“外れるかも”との見立てがあった

 毎試合、記者席にはラインアップ用紙が配布される。メンバー変更がない限り、回収はされない。球団広報がやってきてから約20~30分後、「2番DH」で出場予定だった大谷翔平投手(29)は先発メンバーから外れた。

 

 午後5時27分、球団から「右脇腹の張り」と発表された。各メディアが、X(旧ツイッター)や記事で速報を打った。突然で驚いた、というよりは、どちらかと言えば“やはり”といった印象だった。というのも現場には既に“外れるかも”との見立てがあったからだ。

 

 当日の試合前、大谷は珍しく、屋外フリー打撃で調整を行っていた。スイングを止めた際に体勢を崩し、アクシデントは起きた。くしくも、ほぼ同時刻に大谷の代理人でCAAスポーツのネズ・バレロ氏が大谷の右肘の現状と今後の見通しについて、メディアに向けて熱弁を振るっていた。フィールド近くのVIP席に隣接する室内で前向きな展望を示していた最中、大谷は脇腹を痛めてしまった。

 

現場はソワソワとピリピリ感が交わったような雰囲気

 そもそも、この日はソワソワとピリピリ感が交わったような雰囲気が続いていた。前日3日の日曜日、USAトゥデー紙のボブ・ナイチンゲール記者が「大谷は10日以内に決断し、手術を行う可能性がある」と伝えた。この報道を受けてなのか、代理人が週明けにメディア取材に応じるとの噂が流れた。当然、公式に発表はない。そして4日、月曜日の午後4時ごろ、バレロ氏がいるVIPルームへ、米メディアを先頭に大勢が駆け込んでいった。

 

 慌ただしさが絶えなかった試合前。同日のオリオールズ戦、チームは逆転負けで4連敗となった。消化試合が続く中、試合後の焦点は大谷の状態。ネビン監督の会見では、右脇腹を痛めた経緯と症状や、今後を問う質問が相次いだ。

 

 そんな中、翌日には影武者が現れる“ハプニング”も起きた。チーム集合写真を撮影する時間までに、大谷は現れなかった。だが、現場に背番号17を着た人物がいる……。高身長ではあったが、顔と体格が全く違う別人。撮影を終えると、現地メディアから「あれは、誰?」と問い詰められた球団広報は、「ショウヘイ・オオタニだよ」と真顔で答えた。明らかに違うが、真剣な回答にその場で笑いが起こった。どうやら大谷は脇腹の検査で撮影時間に間に合わなかったようだ。

 

故障から数日間のリアル

 そして、約20分後、大谷は水原一平通訳とともにリラックスした表情で球場入りした。ネビン監督によれば「前日よりだいぶいい」と状態は改善され、検査で「軽い炎症」だったことが判明。ベンチには姿を現していないが、5日の試合終盤、水原一平通訳と同監督が話し合う場面もあった。大谷にプレー意欲があることを伝えられたという。

 

 一方で、脇腹は悪化すれば、長期離脱にもつながりかねない。試合前も、試合後も、毎日のように大谷の状態が確認される。故障から数日間は予断を許さない、一進一退の状況が続いた。

 

(「メジャーリーグPRESS」斎藤庸裕 = 文)

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◆ 大谷翔平を見てファンが「気絶しちゃった」 兄貴分が実感…想像を超えた“スター性”

川村虎大氏/情報:Full-Count)

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 少し強面の見た目とは裏腹に穏やかな語り口で取材に応じてくれた。ガーディアンズのコール・カルフーン内野手は2019年までエンゼルスでプレー。頼もしい“兄貴分”として、新人時代から大谷翔平投手を支えた。「謙虚で親切だったし、質問もして。礼儀正しいやつだね」。懐かしそうに振り返った。

 

 7日(同8日)からエンゼルスタジアムで行われているガーディアンズ4連戦。かつての本拠地で打席に立つと両軍のファンが拍手で出迎えた。「最高だね。多くの時間をここで過ごした。顔馴染みの選手たちもいるからね。家族も(週末には)ここにいるからね」。感慨深そうだった。

 

 カルフーンは2012年にメジャーデビューし、2019年までエンゼルスでプレーした。大谷とは2年間チームメート。入団当時は「メジャーでどういう風に通用するかわからなかった」と振り返る。投手としての実力は周知だったが、打者としては未知数だったという。「投打両方での実力は、驚異的だよ。皆が動きを止めて彼のプレーを見る。スペシャルだね」。想像を超える活躍だった。

 

 こんなエピソードも教えてくれた。カブス戦でシカゴに行った時のこと。大谷、カルフーンらが乗ったバスの外に出待ちをしていた女性ファンが3人いたという。

 

「彼はあまり乗り気ではなかったんだけど、僕らが無理やりバスから下ろしてね(笑)。そうしたら、3人のうち2人が、ショウヘイがバスから降りてきた瞬間に気絶しちゃったんだ。その時、『ワォ、彼はロックスターなんだ』って感じたよ。その光景を見て、彼は大物だとみんなが気が付いたと僕は思っているよ」

 

 今でも大谷のことを“ビッグブラザー”と可愛がるカルフーン。この日、記者が英語の質問に詰まった際も、最後まで耳を傾け、質問に答えてくれた。1年目でまだ環境に慣れていなかったであろう大谷を親身になってサポートする姿が、容易に想像できた。

 

川村虎大 / Kodai Kawamura

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◆ 大谷翔平が見せた「勝利への執念」 プロ意識を欠くチームメイトのグータッチを完全無視したことも

(情報:NEWポストセブン)

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 右肘故障が判明して約2週間。大谷翔平(29才)は「二刀流」を捨てて打席に立ち続けた。すべては勝利のためだったが、優勝が遠のいたチームはシーズン途中で戦うことをやめた。そのとき、大谷は何を思ったのか。温厚な男が見せた意外な一面──。

 

 胸元に大きく「BOSS」のロゴが入った黒のパーカに同色のパンツを合わせ、後ろ向きにかぶったキャップも黒で統一。シンプルなコーディネートで球場入りするロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平の様子が球団公式のインスタグラムに投稿されたのは、9月1日(日本時間2日)のことだ。

 

 ファンからは「かわいすぎる」「カッコイイ」などの声が上がったが、笑みを浮かべながらも大谷はうつむき加減。もしかしたら、溢れそうな怒りの感情をその笑顔で隠していたのかもしれない。

 

 約1週間前の8月23日(同24日)、投手として先発した大谷は2回途中で異変を訴え緊急降板。試合後の検査で、右肘の靱帯損傷が判明した。

 

「大谷選手はけがの判明後も打者に専念して試合に出場し続けています。エンゼルスのプレーオフ進出を目指して、少しでもチームに貢献したいという思いがあったのでしょう」(スポーツ紙記者)

 

 メジャーリーグは、シーズンを通して各球団が所属するリーグを勝ち抜くと「プレーオフ」に進出でき、勝ち進むことで優勝を決める「ワールドシリーズ」に出場できる。過去8年間プレーオフに進出できていないエンゼルスは、長年“弱小チーム”と位置付けられてきた。だが今季は例年とは違い、シーズン後半に入ってからも好調を維持していた。

 

「毎年7月頃になると、敗戦が重なってプレーオフ進出を諦めたチームは“売り手”に回り、高額年俸の主力選手をトレードに出します。ですが、今年のエンゼルスは“買い手”に回り、6月終盤以降、ほかのチームから即戦力の選手を次々と獲得しました。7月末にトレードに出す可能性があった大谷選手を手放さずに、9年ぶりのプレーオフ進出に向けて球団も勝負に出たのです」(前出・スポーツ紙記者)

 

 7月27日、球団の選択に大谷は次のように語った。

 

「買い手側に回ることによって戦力的に強化されるし、やる気、士気も高くなる。エンゼルスで最後までプレーするつもりでいままでやってきた。まわりの声も含めて、気持ちもすっきり臨めたので、これからプレーオフを目指して頑張りたい」

 

 だが勝負とは非情なもの。盤石な体制を築いたはずのエンゼルスだったが、8月に入り大失速。大きく負け越してライバルチームに水をあけられてしまった。結果、エンゼルスはあっさり白旗をあげた。冒頭、大谷が“笑顔”で球場入りした前日、球団は大きな決断を下していた。

 

「主力選手5人を他球団に放出したんです。これは事実上の“勝利放棄”を意味します。満身創痍で出場を続ける大谷選手からしたら“なんで諦めてしまうんだ”という憤怒の感情を抱いたとしても不思議ではありません。プレーオフ進出はかなり厳しくなっていたけれど、可能性はゼロではなかった。シーズン終了まで諦めずに戦う姿勢を、貫いてほしかったのではないでしょうか」(前出・スポーツ紙記者)

 

プロ意識を欠いた態度にブチッ

 大谷はこれまで、「勝利への執念」を体現してきた。侍ジャパンが世界一に輝いた今年3月のWBCでは、人一倍、闘志をむき出しにしてプレーした。そんな大谷にとって、勝利を放棄することは絶対に許せない行為なのだ。今年7月14日(同15日)の試合では、そのことを象徴するような出来事があった。

 

「投手として先発した大谷選手でしたが、爪の状態が悪く、相手チームに打ち込まれて6回途中で降板。ベンチに下がった大谷選手に、隣に座っていたチームメートのアンソニー・レンドン選手(33才)がねぎらいのグータッチを求めました。でも大谷選手はレンドンを完全無視。顔を向けることもなく、苛立った様子で首を振っていました」(在米ジャーナリスト)

 

 レンドンはエンゼルスと2026年まで7年総額2億4500万ドル(約340億円)という超大型契約を結んでおり、今季の年俸も3800万ドル(約52億円)とチームトップ。だが成績は低迷しており、そればかりか「打撲」や「足の付け根の張り」などの“軽傷”ですぐに欠場してしまう。プロ意識を欠いた態度を問題視する関係者もいる選手だ。

 

「温和で人当たりのよい大谷選手が、あんな態度をとるなんて珍しいことです。不甲斐ないピッチングをした自分自身に腹を立ててもいたのでしょうが、本気の勝負を続ける大谷選手はレンドン選手の姿勢も許せなかったのでしょう。そんな選手がいたら、当然ですがチームの士気も下がりますからね」(前出・在米ジャーナリスト)

 

 チームが勝利を“放棄”した後も、大谷はけがをおして出場を続けていた。今回大谷を襲った右肘の靱帯損傷は投手生命にかかわる大けがで、復帰に向けて靱帯の再建手術(トミー・ジョン手術)が検討されている。

 

「大谷選手は2018年にも同手術を受けています。一般的に2度目の手術の方がリハビリ期間が長くなるといわれています。復帰まで丸2年かかる可能性もある。少しでも早く“二刀流復帰”を目指すのであれば、もう今季の残り試合は欠場して、すぐにでも手術を受けた方がいいでしょう」(前出・在米ジャーナリスト)

 

 実際、「9月10日(同11日)の本拠地での試合の後に、大谷は手術を受けるだろう」と報じた地元メディアもある。だが大谷は根っからの野球小僧。10月1日(同2日)のシーズン最終戦まで戦うことも充分に考えられるし、そう選択する理由もある。

 

 大谷は今季44本の本塁打を放ち、現在メジャーリーグ全体1位(9月4日現在)。20個の盗塁も決めており、このままのペースで最終戦まで出場すればホームラン王に加えて、メジャー初の「50本塁打・25盗塁」という偉業達成の可能性もある。

 

 大谷は今季終了後、全球団との交渉が可能となるFA(フリーエージェント)権を取得する。他チームへの移籍が有力視されてきたが、ここに来て「エンゼルス残留」の可能性も報じられている。

 

「真剣に野球に取り組む大谷選手は、チームの若手選手から慕われています。大谷選手も向上心を持って真剣にプレーする彼らのことを買っているようで、最後まで諦めない姿勢を見せたいという考えもあって、打者としての出場を続けているようです。もしかしたら彼らと一緒にプレーオフに出ることを目指して、エンゼルス残留を選ぶ可能性も考えられています」(前出・スポーツ紙記者)

 

 9月4日(同5日)、強行出場を続けていた大谷だったが、試合直前の練習中に右脇腹の張りを訴えて108試合ぶりに欠場した。2本の刀を失った大谷は怒りの感情を野球へのエネルギーに変え、また強くなって帰ってくるはずだ。

 

※女性セブン2023年9月21日号

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 ■ NOTE