2022年7月4日

 

(NOTE)

 

ウェイドとジャックがDFAとなった。事実上の戦力外。

 

球団も、手をこまねいているだけでなく、何かしら手を打つしか道は拓けないと思っているのだろう。

 

仕方無い事情も理解はするが、寂しいなと思う。

 

結果が全て。

 

どれだけチームワークが良かろうが、仲間意識が強かろうが、結果が伴わなければ、願いどおりの環境では居続けられない。

 

世の道理。

 

チームは、どうなっていくのか?

 

スポナビコラム常連の宇根氏は、今日の記事で、エンゼルス再建には、大谷とともにトラウトもリリースする必要があるのでは?と説いている。

 

何がなんでもワールドシリーズ制覇を第一義に目標にするなら、そういった方法も一つの手であろう。

 

しかし、オーナーのモレノ氏は、チャンピオンになることを絶対的目標に置いているのかな?と思うことが、度々ある。

 

チーム全体の再建よりも、優先して、強打の人気選手を配したチームを保持し、人気球団として、事業運営していけばいいと考えているのではないか?と思ったりする。

 

当たり前に知られている通り、トラウトの高額長期契約をはじめ、プホルス、アップトン、レンドーンと、人気野手とどんどん高額契約を結んでいく。野手より怪我のリスクが高いといわれる人気投手とは契約しない。若手有望株を複数獲得し、育成していくような王道プランは計画されない。ファームチームの評価は、常にメジャー最低ランクだ。

 

だから、再建のためにトラウトをリリースすることなんて、起こりえるはずが無いと思うのである。

 

リリースするとすれば、プホルスやアップトンと同様、契約晩年しかない。

 

人気球団経営を第一義に考えるなら、「メジャーの顔」となった大谷を、そう簡単にリリースすることも無いだろう。

 

ただ、大谷と市場価格で契約更新するなら、所謂贅沢税の対象にならざるをえず、球団経営を圧迫する。

 

どうするのかなあ。

 

圧迫しても稼げる位、大谷をマーケティング活用しようと考えているのかなあ。

 

さてさて!?

 

-----------------------------------------------------------------  ■ 試合データ -----------------------------------------------------------------

 

米国時間:2022年7月3日

日本時間:2022年7月4日(月曜日)

3時08分開始

ロサンゼルス・エンゼルス

対ヒューストン・アストロズ

@ミニッツメイド・パーク

 

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エンゼルスは、2回5番ルイス・レンフィフォのソロ本塁打で先制。3回には1死1、2塁から3番大谷翔平のタイムリーで2点リード。しかし4回、先発ホセ・スアレスは、アストロズ2番ジェレミー・ペーニャのソロ本塁打で1点差。5回には2死1塁で先発スアレスが降板し2番手オリバー・オルテガに継投するが、1番ホセ・アルトゥーべにタイムリーを打たれ同点に追いつかれる。同点のまま9回、6番手ライアン・テペラは2番ペーニャに痛恨のさよなら本塁打を浴びて敗戦。3連戦をスイープされる。

 

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 ■ 今日の大谷翔平 -----------------------------------------------------------------

 

スタメン3番DH

 

【出場成績/打者】

4打数 1安打 1打点 2三振

通算打率.262

 

◆第1打席:

(結果)ライトフライ

(状況)1回1死/走者1塁

(投手)フラムバー・バルデス/左

(コース/球種)カットボール

※カットボールを打ち上げて右飛。

 

◆第2打席:

(結果)3遊間ヒット

(状況)3回1死/走者1、2塁

(投手)フラムバー・バルデス/左

(コース/球種)ツーシーム

※低めのツーシーム2球で追い込まれた3球目、真ん中低めのツーシームを引っ張らずに反対方向へ。痛烈なゴロはシフトで大きく空いた三遊間を転がる左前適時打となり、リードを2点に広げた。続くウォードが四球で歩き、一死満塁。一気に大量点を奪って突き放すチャンスだったが、後続が2者連続三振を喫した。

 

 

◆第3打席:

(結果)空振り三振

(状況)5回1死/走者無し

(投手)フラムバー・バルデス/左

(コース/球種)カットボール

※外角低めのカットボールにバットは空を切った。

 

◆第4打席:

(結果)見逃し三振

(状況)8回無死/走者無し

(投手)ラファエル・モンテロ/右

(コース/球種)

 

【試合後コメント】

・なし

 

【その他情報】

・大谷翔平の次回登板が、6日午後6時40分(日本時間7日午前7時40分)開始予定の敵地でのマーリンズ戦に決まった。3日(日本時間4日)、球団が発表した。

 
 

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 ● 試合情報 -----------------------------------------------------------------

 

【試合コメント】

ビル・ハセルマン捕手コーチ:

(監督代行)

「相手投手が良かった。彼らが我々に対していい仕事をし、我々は何もできなかった」

 

 

ジェレミー・リード打撃コーチ:

「誰かが悪いとほかの誰かが助けるものだが、今はみんな同時に調子が悪い。少し力み過ぎているのかもしれない」

 

「(この日喫した20三振について)三振と言っても色んな意味がある。走者有り(ダブルプレーの可能性がある中)の三振や得点圏での三振だ。それぞれ違う。三振は見ていて辛いが、1つのアウトに過ぎない。ポジティブに考えて、一息入れてまた頑張りたい」

 

「(「あなたはクビになることを恐れていますか?」と直球質問に)私が失職するって? クビを恐れてここにいるわけじゃない。自分の仕事を遂行するためにここに来た」

 

マーティン・マルドナード捕手:

「(3日間で9三振のトラウトについて)トラウトと1年半ほど一緒にプレーしたが、彼があんなに何度も三振する姿を見るのは初めてだ。ショックを受けている(と正直な胸中を明かした)彼がスイングするたび、アウトになってくれるような気がして、僕らにとってはラッキーだった。彼はおそらく、このシリーズで悪い状態に陥っていて、我々はそれに付け入ることができたんだ」

 

【その他情報】

トゥーキー・トゥーサン投手:

・エンゼルスは3日、ブレーブスから金銭トレードで獲得したと発表した。傘下3Aソルトレークへ合流する。ジャック・メイフィールド内野手がDFAとなった。26歳のトゥーサンは2014年ドラフト1巡目(全体16位)でダイヤモンドバックス入り。2015年途中にブレーブスへ移り、2018年にメジャーデビュー。昨季は11試合登板(10先発)して3勝3敗、防御率4.50だった。今季のメジャー登板はない。通算は49試合登板して9勝6敗、2ホールド、防御率5.46。145回を投げて155三振と三振を多く奪うタイプだ。チームは先発、救援ともに底上げが急務となっている。

 

 

タイラー・ウェード内野手:

エンゼルスは、事実上の戦力外となるDFAにしたことを発表した。「残念なことだ。まだ私には沢山のやらなくてはいけないことがあるのに。この部屋にいるみんなを俺は大切に思っている。このチームが好きなんだ。それは加入初日から言っている。このチームは特別だ。今でもそう思っている。一番悲しいことだ」

 

 

【メディア】

マーク・グビザ氏:

(情報:フルカウント)

「6月のショウヘイはこれまで見てきた中で最も素晴らしい月の1つだ。特にパワーはね。堅実なパワーだ。21日のロイヤルズ戦では3ラン2本で自己最多8打点を挙げた日があった。その翌22日には13奪三振だ。今、球界最高の投手の1人だよ。エリートな投手であり、すでにエリートな打者でもある。

 

 ショウヘイがやっていること、特にかつて見たことがない“あの2試合”は……。打者としても投手としても6月の数字は本当にとてつもないね。月間MVPに選ばれなかったことには納得いってない。彼が選ばれるべきだったよ。

 

 落選したのは、プレイヤー・オブ・ザ・マンスは打者だけ、ピッチャー・オブ・ザ・マンスは投手だけ、というのが1つの理由だと思う。『ショウヘイのために新しいカテゴリーを用意すべきだ』と冗談のように言っているよ。投手がDHとして試合に残れるオオタニ・ルールのようにね。

 

 投打両方で信じられないほどの活躍をしていたんだから、何かしらの賞を得るべきだ。丸ひと月、こんな活躍をした選手は球史にいないからね。あの2日間はもちろん、1か月を通して素晴らしかった。

 

 月間MVPはアストロズのアルバレス、ホワイトソックスのシーズが受賞した。でも、ショウヘイがしていることをできる人は誰もいない。肉体的にも精神的にもね。夜遅くまで試合してから飛行機で移動し、翌日に圧倒的な活躍をした日もあった。打席に立てば最も脅威を感じさせる選手だ。そして最も支配的な投手でもある。ダグアウトに戻っていく打者の『どうしようもなかったね』という表情を見ることができるんだからね。

 

 ショウヘイは最高の選手だと言っているよ。やっていることを見れば、(MVPに)なるかどうかは分からないけど、間違いなくなるべきだと思う。そう信じている」

 

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 ● 気になる記事&コラム

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◆ アストロズがペーニャ弾で劇的サヨナラ勝ち エンゼルス20三振、大谷翔平は4打数1安打1打点

(情報:MLBジャパン)

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 アストロズは2対2の同点で迎えた9回裏二死からホセ・アルトゥーベがヒットで出塁し、ジェレミー・ペーニャがセンターへ11号2ラン。新人遊撃手の一発で劇的なサヨナラ勝ちを収め、エンゼルス3連戦をスイープして連勝を6に伸ばした。アストロズ投手陣は9イニング試合のメジャータイ記録となる20三振を奪い、4番手のライアン・プレスリーが2勝目(2敗)をマーク。エンゼルス6番手のライアン・テペラに2敗目(1勝)が記録された。

 

 アストロズ先発のフランバー・バルデスは5つの四球を与えながらも6回3安打2失点の好投。2回表にルイス・レンヒーフォに先制の5号ソロを浴び、3回表には大谷翔平にタイムリーを許したが、キャリアハイとなる13個の三振を奪い、13試合連続クオリティ・スタートを達成した。すると、打線は4回裏にペーニャの10号ソロで1点を返し、5回裏にはアルトゥーベが同点タイムリー。最後はペーニャが11号サヨナラ2ランを放ち、試合に終止符を打った。

 

 大谷は「3番・DH」でスタメン出場し、第1打席はライトフライに倒れたものの、3回表一死1・2塁で迎えた第2打席でガラ空きの三遊間を抜けるレフト前タイムリー。第3打席は空振り三振、第4打席は見逃し三振に終わり、4打数1安打1打点で今季の打率は.262、OPSは.847となった。エンゼルスはわずか3安打に封じられ、途中出場の選手も含めて全員三振。9イニング試合の20三振は球団ワースト記録を更新した。

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◆ 大谷翔平に味方捕手が受けた衝撃「彼には8つ、9つの球種がある」 本人が明かす好調の理由「まっすぐがいい感覚なら、いい変化球を投げられる」

笹田幸嗣氏/情報:NumberWEB)

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6月は投打ともに好成績を残した。

 

 投手:4勝1敗、防御率1.52、29回2/3、38三振

 

 打者:打率.298、6本塁打、17打点、OPS.973

 

 ともに6月の月間MVPには及ばなかったものの今季最高の月間成績。上り調子の理由を問われた大谷は極めてシンプルに答えた。

 

「シーズンの中で試合に一番慣れているのかなと思うので。体の動きも悪くないですし、いい集中力を保てているのなと思います」

 

6月の投手・大谷の無双ぶり

 ほぼ毎日試合がある過酷な日程でありながら、肉体的にも精神的にもペースをつかみ出す。それが大谷にとっての6月。特に投手としてマークした6月9日からの4連勝中の内容が素晴らしい。

 

 9日 レッドソックス 7回、4安打、2四球、6奪三振、1失点

 

 16日 マリナーズ 6回、3安打、2四球、6奪三振、無失点

 

 22日 ロイヤルズ 8回、2安打、1四球、13奪三振、無失点

 

 29日 ホワイトソックス 5回2/3、5安打、1四球、11奪三振、無失点

 

 上記4試合での防御率は0.34。26回2/3を投げ36奪三振は、率にして12.15にも及ぶ無双ぶりだ。直球は最速101マイル(約163キロ)を計測し、コンスタントに97、98マイル(約156~158キロ)を叩き出す。それでいて、最近の大谷は“曲がり系”の変化球の精度が素晴らしい。

 

「僕は簡単さ。座ってボールを受けるだけなんだ(笑)」

 スライダーは80マイル(約129キロ)から88マイル(約142キロ)を使い分け、カーブも71マイル(約114キロ)から81マイル(約130キロ)、カットボールも84マイル(約135キロ)から91マイル(約146キロ)を投げ分ける。その上で内外角へと制球し、バックドア、フロントドアも駆使する。曲がり系の球種は緩急を含めれば6つ。更にはスプリットも大きく落とす86マイル(約138キロ)と、速く鋭い変化の92マイル(約148キロ)の2つがある。直球と合わせ打者にとっては少なくとも9つの球種があることになる。捕手のスタッシは言う。

 

「翔平の能力で素晴らしいのは、すべての球種をいつでも投げられること。ゲームプランを確認し、ダグアウトで話し合いながら、マウンドでは相手打者のボールの張り方を見ながら狙いを外して投げることができる。直球は95マイルから101マイルまでなんでもOK。今年は何度もやっているけど、スライダー、カーブ、カットボールのすべての球種でスピードに変化をつけることができる。彼には8つ、9つの球種があると言っていい。だから僕は簡単さ。座ってボールを受けるだけなんだ(笑)」

 

大谷「まっすぐがいい感覚なら、いい変化球を投げられる」

 

 大谷は投球の基本は直球であるとした上で変化球への手応えを口にした。

 

「まっすぐを基本的にいい感覚で投げられていれば、あとはグリップだったりとか、軌道のイメージだったりとかで、それこそいい変化球を投げられると思っているので。まっすぐが良ければ、どの球種も問題なく投げられると思います」

 

 さらに“曲がり系”の変化球についても言及した。

 

「どういうふうに投げるかよりも、どういうカウントでどこに投げるか、プラス、甘く入っても打ち取れる、ファールになったりするクオリティで投げられているかどうかが大事なので、一番はスポットかなと思います」

 

 スライダー、カーブ、カットともにスピードに変化を持たせ、甘く入っても打ち取れるクオリティ、そしてスポットで投げる制球力。実に欲張りなところが大谷らしい。

 

 直球とスプリットで勝負できるパワー投手の顔を持ちながら、多彩な変化球を操る技巧派としてのそれもいつの間にか身につけている。これが今季の投手・大谷の大きな特徴だ。

 

まさにエース…大谷が語る「先発の仕事」とは

 

 6人ローテーションで回るエンゼルスの場合、先発投手として規定投球回数に達することはなかなか難しい。彼のWHIP(1イニングあたりの許走者数)1.01は規定回に満たないものの先発投手としてリーグ5位に相当する。(2日終了時点)まさにエースの数字だ。投手・大谷は先発投手として大事にしている部分も極めてシンプルに説明した。

 

「一番はもう先制点をあげないっていう、これに尽きるのかなと思うので。その中で長い回を投げるっていうのが先発の仕事」

 

 考え方はシンプルに。技術は奥深く、力の限りを尽くして追求する。今季はシーズン折り返し時点で7勝4敗、防御率2.68。74回を投げ101三振を奪っている。

 

 ということは、シーズントータルで、期待を込めて、アバウトに計算すれば、こんな数字になる。

 

 15勝7敗、防御率2点台。投球回数は150で200奪三振。

 

 サイ・ヤング賞候補にノミネートされる成績であることは間違いない。

 

 大谷への願いはひとつだ。残り3カ月もケガなく乗り切って欲しい。そうすれば、おのずと個人成績では楽しみな結果が待っている。目指せ、日本人初のサイ・ヤング賞。大谷の熱投を期待したい。

 

(「メジャーリーグPRESS」笹田幸嗣 = 文)

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◆ エンジェルスはトレードで大谷翔平を放出するのではなく、大谷とマイク・トラウトどちらも放出すべき!?

宇根夏樹氏/情報:スポナビ)

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ロサンゼルス・エンジェルスは、6月9日に連敗を14で止めてからも、浮上することができていない。以降の20試合(6月9日~29日)は10勝10敗。そして、7月1日~3日は、ヒューストン・アストロズにスウィープされた。

 

 レギュラーシーズンのちょうど半分を終え、借金は今シーズン最多の7に膨らみ、地区首位のアストロズには15.5ゲーム差をつけられている。ワイルドカード・レースでも、3位に位置するタンパベイ・レイズとの差は7ゲームだ。ミラクルとまでは言わないが、よほどのことがない限り、2014年以来のポストシーズン進出は、今秋も果たせそうにない。

 

 また、今オフに大谷翔平と延長契約を交わしても、エンジェルスが来年のポストシーズンにたどり着けるかどうかには、疑問が残る。

 

 まず、大谷は、今シーズンもエンジェルスでプレーしているので、今シーズンと来シーズンを比べた場合、チームのプラス要素にはならない(いなくなれば、大きなマイナス要素だ)。一方、大谷とともにローテーションを構成している先発投手のうち、ノア・シンダーガードとマイケル・ロレンゼンは、今オフにFAになる。エンジェルスは、ローテーションの再編が必要だ。彼らを呼び戻すこともできなくはないが、それでは、今シーズンと変わらない。ここまでの防御率は、シンダーガードが3.86、ロレンゼンは4.94だ(大谷は2.68)。大谷と二本柱、あるいは三本柱を形成するには至っていない。

 

 昨オフのFA市場に出て、エンジェルスを含む数球団が手に入れようとしている、と報じられた先発投手は、誰一人としてエンジェルスに入団しなかった。昨年12月に「エンジェルスが「エース級の投手」を手に入れられない理由は「大谷翔平」にあり!?」で書いたことが当たっているか外れているかはさておき、今オフも、同じことが繰り返される可能性はある。ちなみに、昨シーズンのシンダーガードは2登板しかしておらず、ロレンゼンはリリーフとして投げていたので、彼らも昨オフのFA市場に出ていたが、ここには該当しない。

 

 他球団よりも大枚を積めば、エース級もしくは2番手クラスの先発投手を入手できるかもしれないが、エンジェルスは、マイク・トラウトとアンソニー・レンドーンをはじめ、何人かの選手と複数年の契約を交わしている。そこに大谷が加わると、FAに高額の契約を提示する余裕は――チームの年俸総額が跳ね上がり、贅沢税を課されても構わない、というなら別だが――ほとんどなくなる。

 

 エンジェルスとしては、大谷をトレードで放出するのも一策だろう。交換に、大きな見返りを得られることは間違いない。大谷は、来シーズンの終了後にFAとなる。この夏のトレード市場は、売り時の一つだ。保有できる期間が長いほど、高く売ることができる。

 

 もっとも、こちらも、そう簡単な話ではない。数年を費やし、再建を図るつもりなら、大谷の交換に得るのは「原石」かそれに近い選手でもいい。けれども、エンジェルスにはトラウトがいる。12年4億2650万ドルの契約は2030年まで続くが、現在の年齢は30歳だ。来月には、31歳の誕生日を迎える。手に入れるのが「原石」では、彼らがメジャーリーグで活躍する頃、トラウトの全盛期は過ぎていることもあり得る。それに対し、才能に磨きがかかり、すでにメジャーリーグで活躍し始めていたり、メジャーデビューがそう遠くない選手は、大谷と交換であっても、他球団はなかなか手放したがらないはずだ。

 

 であれば、大谷だけでなくトラウトも放出し、今秋や来秋よりももっと先、数年後のポストシーズン進出をめざすというのはどうだろうか。例えば、2人と交換に得た選手のうちの数人――全員ということはまずない――が3~4年後に台頭した場合、現在のエンジェルスにいる、リード・デトマーズ、パトリック・サンドバル、ブランドン・マーシュ、ジョー・アデルらは、その時点でもまだ20代だ。

 

 大谷とトラウトをどちらも放出すれば、エンジェルスは、しばらく低迷するに違いない。だが、ここから起こり得る最悪のシナリオは、2人を擁しながら、ポストシーズンを逃し続けることだ。

 

 なお、トラウトの契約は、来シーズンから数えて、8年2億8360万ドルが残っている。エンジェルスがトレードを成立させるには、そのいくらかを負担しなければならないだろう。

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◆ 大乱闘の“発端”招いた右腕が逆ギレ「すごくムカつく」 周囲の戦犯扱いに大不満

(情報:フルカウント)

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6月26日(日本時間27日)のエンゼルス-マリナーズ戦で繰り広げられた大乱闘。大谷翔平投手も輪に加わりかけ、両チーム合わせて12人に処分が下された。この騒動の伏線となったのが前日にマイク・トラウト外野手に投じられた危険な一球。ただ投げたマリナーズ投手は故意を否定し「すごくムカつく状況だよ」と“逆ギレ”している。地元紙「シアトル・タイムズ」が伝えている。

 

 発端は、25日(同26日)の同カードの9回。マリナーズ右腕のスワンソンが投じた95マイル(約153キロ)がトラウトの顔面付近を襲った。間一髪で回避したものの、その直前にマリナーズ内野陣がマウンドに集まって何やら話していたことから、エンゼルスの主砲は故意を疑った。試合後には「内角に投げられないなら、内角に投げるな。もし私に当てるなら、肋骨に当てろ。頭には当てるな」とまくし立てた。

 

 そして翌日、初回1死からエンゼルス先発・ワンツの投球がロドリゲスの頭上付近にいき、いきなり警告試合に。さらに2回に先頭のウィンカーが初球に死球を受けると激高し、両チーム殴り合いの大乱闘に発展した。

 

“戦犯”のひとりとしてスワンソンの名前が挙がるが、当の本人は「制球力には自信を持っている。僕はかなりの頻度で投げたいところに投げられている」と強調。直前の話し合いについても、トラウトが得意な低めを避けようと意思確認しただけだといい「あの攻め方(内角高め)をしないといけない。彼が狙える範囲はすごく大きいから、甘いところに投げたらほぼ何でも打たれてしまう」と語った。

 

 あくまで、土壇場の9回で世界最高打者を抑えるには際どい攻めが欠かせなかった点を指摘。「あの場面では彼にぶつけたいとは全く思わないよ。アウトを奪って試合を終わらせようとするだけのこと。頭部付近への球が投げられるのは最悪なこと。誰もそんな球は求めていないからね」と言い切った。

 

 結果的に抜け球となって肝を冷やすことに。「ボールを責めるつもりはないよ。滑りやすかったと言うつもりはない。残念なことに、抜けてしまったんだ」と悔いた。確かに、「ベースボール・サーバント」のデータによると、今季トラウトの23本塁打のうち高めはゼロ。正当な勝負のはずが、よもやの事態を招き、いわれなき批判を浴びている右腕は不満を募らせていた。

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◆ 大谷を「トレード要員」にするのが最善の道か エンゼルスの“手詰まり感”漂う補強戦略〈dot.〉

(情報:AERA)

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大谷翔平が所属するエンゼルスは2014年を最後にプレーオフから遠ざかっている。今年は8年ぶりのポストシーズンへ向け、開幕当初は好調をキープしていたものの、5月後半から14連敗を喫するなど厳しい状況になってきた(現地7月3日終了時点で所属するア・リーグ西地区で首位アストロズから15.5ゲーム差の4位)。

 

 大谷、マイク・トラウト外野手というメジャーリーグのトッププレイヤーを抱えているが、今シーズンだけではなく、将来的な見通しも決して明るくない。大谷が入団したことでエンゼルスを応援する日本人ファンも多いが、勝つためには今後どのような補強戦略を敢行すればよいのだろうか……。

 

 まず、近年ワールドシリーズを制覇しているチームを見ると、昨年のブレーブスを含めほとんどのチームが有望な若手選手を多く集め、彼らが主力になったタイミングで優勝を果たしている点だ。昨シーズン世界一となったブレーブスも野手ではフレディ・フリーマン、ダンズビー・スワンソン、オジー・アルビーズ、ロナルド・アクーニャ(怪我で7月以降は出場なし)、投手ではマックス・フリード、イアン・アンダーソンなどドラフト上位で指名した選手や、トレードで獲得した期待の若手、そして中南米の有望株たちを上手く育て上げて形成したチームだった。

 

 ブレーブス以外を例にとっても、2015年にワールドシリーズを制したロイヤルズ、2016年のカブス、2017年のアストロズなどが、全て同様の方法でチーム強化に成功している。

 

 メジャーではひとたび選手がFAになると移籍するケースが多く、一方で年俸高騰が著しいFA選手を数多く獲得してチーム強化を図ることは金銭的にどうしても限りが出てくる。そんな中で現在は将来的にチームの主力となれそうな若手を一人でも多く集め、彼らがFAとなる前に世界一を狙える“勝負の年”を作るというのが、王道のチーム強化の方法と言えるだろう。

 

 そこで重要になってくるのが若手の充実度だが、エンゼルスはここ数年この分野で他チームと比べてずっと見劣りしている。メジャーリーグ公式ページ『MLB.com』が発表する全30球団の若手充実度ランキングを見てもエンゼルスは2020年が26位、2021年が25位。今年の開幕前も24位と低空飛行が続いている。

 

そう考えると、エンゼルスが仮に今のトレンドに則りチーム強化を目指すのであれば、一人でも多くの有望株を招き入れなければいけない時期にあるのは間違いない。その場合、複数の有望株を見返りとして獲得できる価値のある選手をトレードの俎上にのせる必要性があるが、現在のチームを見る限り、そこに該当するのはトラウト、そして大谷の2人以外に見当たらない。また、大谷は2023年オフにFAになるため来季までがタイムリミットだ。また、来年の今頃は大谷が現在のように活躍しているか保証されているわけではないため、もし将来へ向けて舵を切るのならば、今が“売り時”と言えるかもしれない。

 

 他のチーム強化としては、オフに実績のあるFA選手を獲るという方法もあるが、これも現実的ではない。エンゼルスの選手たちの今季の年俸総額はメジャー全体で8位(1億9029万6405ドル/約259億3000万円)と高い順位だ。最も高いトラウトが3710万ドル(約50億円)、続くアンソニー・レンドン内野手が3660万ドル(約49億4000万円)と2人だけで4分の1強を占め、トラウトは2030年、レンドンは2026年まで同規模の契約が残っている。また、大谷も先述の通りFAの時期が迫っており、引き留めるために大型契約を提示しなければいけないことを考えると、さらに実績あるFA選手と契約するのは難しくなってくる。

 

 そして、ネガティブにならざるを得ないのが高年俸のレンドンがFAからの加入以降、怪我の影響もあるとはいえ、ほぼ戦力にはなっていないことだ。今年のオフに大物FA選手を獲得したとして、そのプレイヤーが活躍しないとなると“不良債権”を複数抱え、身動きが取れない状況になる危険性もはらむ。かつてエンゼルスではアルバート・プホルス内野手がそうなってしまったように、大型契約で獲得した選手が“足かせ”になるケースは多い。そういった意味では、実績のある選手を獲得してチームを強化するというのも、現実的ではないかもしれない。

 

エンゼルスから話から逸れるが、現在メジャーリーグで最も長くポストシーズンから遠ざかっているマリナーズも、かつてケン・グリフィーJr.外野手、ランディ・ジョンソン投手とスーパースターを擁しながらも常勝チームとなることはなかった。しかし、彼らを放出して獲得した若手たちが成長し、イチローが加入した2001年には今でもメジャーのシーズン最多記録となる勝利数をマークした。残念ながらワールドシリーズを制することはできなかったが、あれだけ勝てるチームを作り上げられたのは、未来を見据え大物を放出する決断ができたからこそだ。

 

 球団経営については強いチームだけを作るのだけが目的ではないが、やはり選手、そしてファンにとってはワールドシリーズで勝つことが究極のゴールでもある。大谷の活躍を願っている現地のエンゼルスファンですら、今では「エンゼルスはトレードしてあげるべきだ」とう声も出ている。果たしてエンゼルスは大谷との“別れの道”を選ぶのか。将来的に勝てるチームを作るには、それが最善の方法である可能性は高い。

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 【鳥谷敬】なぜヤクルト村上宗隆は驚異的進化を続けられるのか「投手から見えない胸」に秘訣あり

佐井陽介氏/情報:日刊スポーツ)

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ヤクルト村上宗隆内野手(22)の勢いが止まらない。6月は月間打率4割1分、14本塁打、35打点。シーズン成績でも29本塁打、78打点でリーグトップを独走し、打率3割7厘で3冠王も狙える位置にいる。首位をひた走るツバメ軍団の4番はなぜここまで驚異的な進化を続けられるのか。日刊スポーツ評論家の鳥谷敬氏(41)が特別企画「鳥谷スペシャル」でポイントを分析した。【聞き手=佐井陽介】

 

      ◇     ◇     ◇

 

 村上選手の昨年と今年を映像で見比べてみました。全試合全打席をチェックできたわけではありませんが、今年は以前にも増して、逆方向である左中間への大飛球が多くなっている印象を受けます。

 

 もともと左中間に強い打球を飛ばせる特長の持ち主。今年はこの左中間への当たりにさらに角度がついている気がします。では、なぜ左中間への打球がより一層上がるようになっているのか? ポイントは「体の向き」にあるように感じます。

 

 投手目線で見れば、今年の村上選手はなかなか胸が見えてこない打者です。バットを構えてから振り抜くまでの間、胸が左打者の正面となる三塁ベンチに向き続ける時間が長いのです。振り出しが遅く、ギリギリまで右肩が開かないと表現したら分かりやすいでしょうか。そうなると、打球の方向にも変化が生まれてきます。

 

 インパクトを迎える瞬間の体の向きをイメージすれば、より理解してもらいやすいかもしれません。投手側に胸が見える時間が長い、つまり右肩の開きが少しでも早ければ、打球の方向はその分、右側に寄っていきます。逆に、胸が見える時間を短くできれば、打球方向を左方向に数メートルズラすことができます。

 

 村上選手の場合、これまでは広角に強い打球を打ち分けられる一方で、完璧にとらえた打球が右中間から右翼ファウルゾーンに飛ぶケースも少なくなかったように映ります。それが今季は傾向として、完璧にとらえた打球の方向が左中間から右翼フェアゾーンに少しズレているように感じます。強い打球がフェアゾーンに飛ぶ確率が高くなれば、打率や本塁打といった数字が向上するのは必然の流れですよね。

 

 あのイチローさんも意識されていたように記憶していますが、左打者にとって「投手に胸が見えないようにする」作業は重要なテーマの1つです。左打者は振り切った先に走りだす方向があり、右打者と比べてどうしても肩が開きやすくなりがちです。この肩の開きを我慢できるかどうかで、打球の質は大きく変わってきます。

 

 今年の村上選手は以前にも増して右肩の開きが遅くなり、常にボールに力を伝えられるポイントでスイングできています。体を回転させながらボールにバットを当てるのではなく、バットでボールを押し込みながら回転していくイメージ。だから今まで以上に強い大飛球を広角に飛ばせるようになっているのではないでしょうか。

 

 当然、肩の開きをギリギリまで我慢できれば、ボールを見極められる時間も長くなります。わずか0コンマ何秒の世界ですが、これも打つ確率を高める上で大きなアドバンテージの1つ。村上選手が打球の質と確率を同時に向上させているのは、決して偶然ではないということです。

 

 さらにいえば、今年の村上選手は最初から腕を張らせた状態でバットを構えています。昨年はバットを引いてから腕を張らせていたように思いますが、今年はその動きも省略したように映ります。早くも反動をあまり必要としなくなっているのかもしれません。

 

 エンゼルスの大谷選手もそうですが、スイングスピードが速く遠くに飛ばせる打者は、フォームを改良していく中で小さな無駄をどんどん省いていくことが可能となります。そうなると、突然のクイックモーションや動きの鋭い変化球にもより一層対応しやすくなります。

 

 まだ22歳。その驚異的な進化のスピードにはただただ「すごい」としか言いようがありません。体格にも恵まれ、精神力の強さも感じられるプレーヤー。どれほどのスーパースターになってくれるのか、楽しみでなりません。(日刊スポーツ評論家)

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