■今日の大谷翔平【NEWS】

・大谷翔平が29日(日本時間30日)、最優秀指名打者(DH)に贈られる「エドガー・マルティネス賞」に輝いた。1973年にスタートした同賞で、エ軍選手、日本選手でも初の受賞者となった。イチロー外野手ともプレーし、マリナーズが誇るレジェンドの名前が入るエドガー・マルティネス賞とは?同賞は、ア・リーグがDH制を導入した1973年にスタート。DHで年間100打数以上の選手が対象で、担当記者、放送関係者、球団広報担当者の投票で決まる。「年間最優秀指名打者」のタイトル名だったが、2004年9月、同賞に当時最多の5度輝き、同年限りで引退する名DHに敬意を表し、バド・セリグ・コミッショナーが「エドガー・マルティネス賞」と名称を変更した。エドガー・マルティネスはマリナーズ一筋で18年プレー。公式戦2055試合出場で1403試合がDH出場だった。通算2247安打で打率3割1分2厘、309本塁打、1261打点。首位打者2回、打点王1回、オールスター出場7回。人格者として奉仕活動にも熱心で、2004年にはロベルト・クレメンテ賞にも輝いた。2019年にはケン・グリフィー・ジュニア外野手以来、マ軍では2人目の殿堂入りを果たした。

 

同賞の歴代最多受賞は、デービッド・オルティス(レッドソックス)の8回。5回のマルティネスが2位で続く。昨年はコロナ禍の特例ルールにより、ナ・リーグもDH制で行われため、打点と本塁打でリーグ2冠にも輝いたマルセロ・オスナ(ブレーブス)がナ・リーグ勢で初受賞した。

 

 

・大谷翔平が、最優秀DH打者賞の「エドガー・マルチネス賞」を受賞。これで今オフのタイトル獲得、表彰は合計で〝11冠〟となった。

 

<1>「ベースボール・ダイジェスト」野手部門最優秀選手

<2>「ベースボール・アメリカ」年間最優秀選手

<3>コミッショナー特別表彰

<4>選手間投票・年間最優秀選手

<5>選手間投票・アリーグ最優秀野手

<6>「スポーティング・ニューズ」年間最優秀選手

<7>シルバースラッガー賞・アリーグDH部門

<8>アリーグ最優秀選手(MVP)

<9>オールMLBチーム・DHファーストチーム

<10>オールMLBチーム・先発投手セカンドチーム

<11>エドガー・マルティネス賞

 

 

■関連情報

マックス・シャーザー投手:

・メッツはドジャースからFAとなった先発右腕マックス・シャーザーと3年1億3000万ドルで契約合意に達した。年平均4333万ドルは史上最高額となり、全球団に対するトレード拒否権と2023年シーズン終了後にオプトアウト(契約破棄)できる権利が盛り込まれているという。最終的には再契約を目指すドジャースやエンゼルスとの争いになったとみられるが、「ニューヨーク・ポスト」のジョエル・シャーマン記者によると、メッツが3年契約を提示したことがシャーザー獲得の決め手となったようだ。シャーザー獲得に成功したことで、メッツは絶対的エースのジェイコブ・デグロムとシャーザーによる「最強二本柱」が完成。穴のない万全の戦力とは言い難いものの、3選手の加入によって強化された打線、そしてデグロムとシャーザーのダブルエースは他球団にとって大きな脅威となりそうだ。

 

 

ルイス・カスティーヨ投手:

・来季のポストシーズン進出へ向けて、投手陣の強化を進めているロサンゼルス・エンジェルス。さらなる先発ローテーション候補の獲得にも乗り出しているようだ。MLB公式のジョン・モロシ記者は現地時間11月28日、「エンジェルスと(シンシナティ・)レッズは、ルイス・カスティーヨに関するトレード交渉の予備段階に入っている」と公式Twitterで報告。「ただその対価はとても高く、現時点で両者は大きく離れている」という。メジャー5年目を終えた27歳のカスティーヨは今季、33登板(187回2/3)で8勝16敗、防御率3.98という戦績で終了した。この1年間でローテーションを守り切ってるだけに、もし獲得となればエンジェルスにとって大きな補強となるのは間違いないだろう。このニュースには、MLBの移籍情報を日夜発信している『MLB Trade Rumors』も反応を示しており、「ロサンゼルスがFA市場で投手を探していることを考えれば、トレードの可能性を探っていても不思議ではない」と言及。カスティーヨがエンジェルスに適している理由を分析している。エンジェルスのメリットとしては「ローテーションの中心として能力が明らかなこと」、「年俸調停のシステムを利用して、あと2年は手頃な価格で支配下に置けること」などを列挙し、「ロビー・レイやマックス・シャーザーといった一流選手と契約するよりもはるかに安いコストで済む」とも指摘した。

 

 

コーリー・シーガー遊撃手:

・レンジャーズがドジャースからFAになったコーリー・シーガー遊撃手(27)と10年3億2500万ドル(約369億2000万円)で合意した、と29日(日本時間30日)、大リーグ公式サイトなど、複数の米メディアが伝えた。今季がメジャー7年目のシーガーは5月に死球を受けて右手を骨折し、92試合の出場にとどまったが、打率・306、出塁率・394、16本塁打、57打点と結果を残した。OPSは2年連続で・900を超えた。通算成績は636試合、打率・297、104本塁打、364打点。15年の新人王を獲得し、昨季はワールドチャンピオンに貢献し、自身はシリーズMVPに選ばれている。昨季はア・リーグ西地区最下位に沈んだレンジャーズはここまでシーガーのほか、ブルージェイズからFAになった二塁手セミエンと7年1億7500万ドル(約198億8000万円)で、ロッキーズからFAになった先発右腕グレイと4年5600万ドル(約63億6000万円)、ダイヤモンドバックスからFAになった外野手カルフーンと1年520万ドル(約6億円)で合意したと伝えられている。4選手だけで5億6120万ドル(約637億6000万円)を費やす大補強を展開している。

 

 

ロビー・レイ投手:

・MLB公式サイトが関係者から得た情報によると、マリナーズはブルージェイズからFAとなった先発左腕ロビー・レイと5年1億1500万ドルで契約合意。全球団に対するトレード拒否権のほか、3年目のシーズン終了後にオプトアウト(契約破棄)できる権利も盛り込まれているようだ。パドレスからトレードで獲得したアダム・フレイジャーに加えて今季サイ・ヤング賞に輝いたレイの獲得にも成功し、マリナーズは着実に戦力をアップさせている。現在30歳のレイは、今季ブルージェイズで32試合に先発してリーグ最多の193回1/3を投げ、13勝7敗、防御率2.84、248奪三振の好成績をマーク。最優秀防御率と最多奪三振の二冠を獲得し、サイ・ヤング賞も受賞した。ダイヤモンドバックスとブルージェイズでプレーした2020年は防御率6.62という大乱調だったが、サイ・ヤング賞を受賞した投手の前年の防御率としては歴代ワーストの数字である。マリナーズの先発ローテーションからは年俸1300万ドルの選手オプションを破棄してFAとなった菊池雄星が抜けたが、菊池がサイ・ヤング賞左腕のレイに代わったと考えれば大幅な戦力アップと言えるだろう。現時点ではレイ、マルコ・ゴンザレス、クリス・フレクセン、ローガン・ギルバート、ジャスタス・シェフィールド、ジャスティン・ダンといった顔ぶれの先発ローテーションとなるが、マリナーズがさらなる先発投手補強に動く可能性も残されている。

 

 

■注目記事

出村義和氏:

大谷翔平にも影響!?メガ契約の新潮流がメジャーを変える(スポーツ報知)

 

奥田秀樹氏:

エンゼルスのギャンブルは成功するか、シンダーガードと1年契約(週刊ベースボール)

 

■NOTE

エドガー・マルチネスといえば、1996年に野茂英雄の登板試合をロサンゼルスへ観戦に行った帰りに、シアトルにも足を伸ばし、初めて観て知った選手だった。当時のマリナーズは、グリフィー・ジュニア、アレックス・ロドリゲスに、ランディ・ジョンソンと、スーパースター勢揃いの中に、燻銀のマルチネスが居た。バットをねかす独特なかまえは、とても印象に残っている。賞の冠になるほど偉大な選手になっていたとは思わなかったが。そんな思い出を呼び覚ましてくれた、大谷の11冠だった。

 

ほぼMLB関連の表彰は終わったようだが、もう1つ期待している賞がある。スポーツ雑誌『スポーツ・イラストレイテッド』誌が、毎年「その年に最もスポーツマンシップの精神を体現し、業績を残した選手やチーム」に対する賞として発表する、スポーツパーソン・オブ・ザ・イヤー(Sportsman of the Year)というものがある。野球界の枠を越えた評価にも期待が広がる!

 

 

大谷翔平にも影響!?メガ契約の新潮流がメジャーを変える(スポーツ報知)

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ホリデイシーズンに相応しい景気のいいニュースではないか。11年契約1億8200万ドル。12年目の球団オプションを含めると、12年総額2億2330万ドルになるという。ゲットしたのは今季デビューしたばかりのワンダー・フランコ遊撃手(レイズ)だ。

 

 まだ、20歳。メジャー出場は70試合。それでも、このメガ契約。まさに、その名の通りのワンダー(驚異)だ。メジャー1年未満での契約最高額、ローランド・アクーニャ外野手(ブレーブス)の8年1億ドルを軽く超えたことになる。

 

 レイズは極端な守備シフトを導入以来、投手起用など様々な新戦術でメジャーのトレンドセッターになると同時に、近年強豪チームとしてのし上がってきたのは広く知られたことだ。しかし、これより早く“契約の青田買い”を始めた球団のひとつでもある。

 

 その先駆けになったのが2008年のエバン・ロンゴリア三塁手(現ジャイアンツ)だ。レイズはメジャーデビューわずか6日後に6年1750万ドル、球団オプション3年を含めると9年4400万ドルの超大型契約を交わして球界を驚かせている。

 

 ロンゴリアは大きな期待に応え、新人王に輝く大活躍をみせ、その後もジャイアンツに移籍するまでの10年間で3回のオールスターに出場、3度のゴールドグラブ賞などを受賞、フランチャイズプレーヤーとして成長、その存在感をみせつけた。

 

 フランコは契約のスケールからいってもロンゴリアをはるかに超えるとの評価なのだろう。今季はシーズン途中のデビューで打率2割8分8厘、7ホーマー、39打点を残したが、最後の30試合だけをみると、打率は3割5分5厘だ。

 

 ポストシーズンでも4試合で打率3割6分6厘、2ホーマー、4打点。レギュラーシーズンでは21歳以下では1956年のレッズのフランク・ロビンソン以来の43試合連続出塁を記録している。20歳にして柔軟性、忍耐力を持ち合わせた天才的なスイッチヒッターの遊撃手。いずれ30本から40本のホームランを打つパワーをつけ、狭いと指摘される守備範囲もその身体能力でトップレベルまで到達するだろうとみられている。

 

 レイズのスカウティング力、育成力には定評があり、ウォールストリート出身の球団オーナー以下、ビジネスに精通するスタッフがいることで知られている。このメガ契約はそこから出た結論だ。

 

 この発表が報じられてから複数の現地メディアが具体的な数字を挙げてそのリスクを伝えている。これはあくまでロンゴリア的に成功したケースだが、最低保証に限りなく近い3年目まで、年俸調停権を得てからの3年の合計額を試算した場合、現在の相場から想定して、この11年契約で最低でも1億ドルの節約ができるだろうと予測している。

 

 誰にでも起こりえるケガのリスクでの失敗はともかく、期待外れというリスクに関しては、レイズはしっかり「トレード拒否権なし」を盛り込んでいるといわれている。もちろん、逆の場合の「オプトアウト」も禁止事項に入っているようだ。

 

 11年契約の総額は過去4年間のレイズの選手総年俸に匹敵する。ヤンキースやレッドソックスを蹴散らす強豪にはなったものの、典型的な中小球団であることに変わりはない。

 

 限りないローリスク・ハイリターンを求めた先がこのメガ契約といえる。そして、レイズはこのフランコをフランチャイズプレーヤーに据え、30球団随一と評される強力なマイナー組織から昇格する若手中心のチームへとさらに鮮度をアップしていく。

 

 リスクはあっても若手スター、有望選手のメガ契約は続いていくだろう。ファン・ソト(ナショナルズ)、ブラジミール・ゲレロ(ブルージェイズ)などはフランコを超えることになるだろう。そして、大谷翔平の今後にも影響を与えるかもしれない。この動きをしっかり追っていきたい。

 

 出村 義和(スポーツジャーナリスト)

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エンゼルスのギャンブルは成功するか、シンダーガードと1年契約(週刊ベースボール)​​​​​​​

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今年9月にトミー・ジョン手術を受けた前田健太の復帰のタイミングについて、ツインズのロコ・バルデリ監督は「人工じん帯の手術によって、これまでよりも復帰が早まる可能性がある」と語り、2022年シーズン中の復帰に期待した。

 

 一方で前田のジョエル・ウルフ代理人は「来シーズンはリハビリにあて、復帰は契約最終年の23年になる」と明言した。前田も「投げられるのがベストですが、無理をして戻ろうとすると失敗する」と説明した。球団と選手は常に一枚岩でいたいが、ケガからの復帰についてはそうはいかないことがある。前田の契約はあと2年で23年の4月には35歳になる。契約期間中になるべくたくさん投げて欲しい球団と、その先の選手生活をにらみ慎重にリハビリを進めたい選手。考え方に差が出るのは仕方がない。

 

 そんな中エンゼルスがノア・シンダーガードと1年2100万ドルで契約した。シンダーガードは20年3月にトミー・ジョン手術を受け、18カ月で復帰、9月28日と10月3日に1イニングずつ投げた。彼は今29歳、来季は何よりもヒジが悪くならないように気を配り、100イニングと少しを目標に投げるのだろう。

 

 公式戦とはいえ、リハビリの延長のようなものだ。にもかかわらずエンゼルスは2100万ドルの大金を投じ、加えてこれまでの在籍球団メッツがクォリファイングオファーを出していたため、次のドラフト2巡指名権と、国際選手との契約金枠50万ドルも差し出さねばならない。

 

 ペリー・ミナシアンGMは「現在のリハビリの状況に好感触を得ている。ギャンブルだけど、良いギャンブルだと思う」と言う。さらに「彼は負けるために来るのではなく、誰よりも勝ちたい気持ちを持っている。そういう選手が欲しかった」と付け加えた。

 

 明らかなのは、同GMがいかに切羽詰まっているかだ。エンゼルスには現在メジャーでも最高のプレーヤーであるマイク・トラウトと大谷翔平がいる。トラウトには契約があと9年あるが、大谷はFAまであと2年。そのトラウトも30歳で、少しずつ力が落ちていくことを考えれば、今すぐに勝ちたい。

 

 そこで昨季チーム防御率4.69(22位)、WHIP1.38(23位)の投手陣の補強に本腰を入れているのだが、それは簡単ではない。このオフのFA市場にはマックス・シャーザー、ロビー・レイのような好投手がいるが、エンゼルスはトラウト、アンソニー・レンドン、ジャスティン・アップトンの3人だけで来季年俸が1億ドルを超え、残る資金は決してぜい沢ではない。

 

 トレード市場も、アスレチックスが好投手たちを放出する気配だが、交換できる良いマイナーのプロスペクトが少ない。とはいえ、ぼやぼやしているとあっという間に目ぼしい選手がいなくなるので来季どれだけ投げられるか分からないシンダーガードに賭けたのである。

 

 41歳のミナシアンGMは前のドラフトで20人全員投手を指名したり、かなり思い切ったことをする人。この先もギャンブルを続けるのだろう。トラウトと大谷が同じユニフォームでワールド・シリーズに出られるよう祈るだけである。

 

文=奥田秀樹

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