■試合データ

米国時間:2021年9月22日

日本時間:2021年9月23日(木曜日)10時38分開始

ロサンゼルス・エンゼルス対ヒューストン・アストロズ

@エンゼルスタジアム

 

 

エンゼルスは、初回先発ジェーソン・ジャンクが1死2塁からアストロズ4番ヨルダン・アルバレスに2ラン本塁打を浴びて先制を許す。5回には7番ジャイソン・カストロにもソロ本塁打を浴びて3点ビハインド。打線は7回1死満塁からルイス・レンフィフォのタイムリーで1点を返す。続く9番キーン・ウォンは四球を選び、押し出しでさらに1点追加。2死満塁となり2番ジャック・メイフィールドが走者一掃のタイムリー2塁打を放ち逆転に成功。しかし8回、5番手スティーブ・シーシェクが2死から3番アルバレスと4番ユリ・グリエルに連続タイムリーを打たれ同点。延長に入り12回、8番手サム・セルマンが4点を失い力尽き敗戦。

 

■今日の大谷翔平

【打者】先発3番DH

2打数0安打4四球

通算打率.256

 

第1打席:四球

(状況)1回2死/走者無し

(投手)ルイス・ガルシア/右

(カウント)3B

(コース)内角低め

※先発右腕ガルシアに対し、大谷は今季2本塁打を放つなど好相性。初球から制球が定まらず、カウント3-0になった段階で早くもブーイング。4球目も低めに外れ、さらに大きいブーイングの中、大谷は一塁に歩くと、ベース上でDeNAでもプレーしたグリエルと笑顔で言葉を交わした。

 

第2打席:四球

(状況)4回無死/走者無し

(投手)ルイス・ガルシア/右

(カウント)3B1S

(コース)内角低め

※先頭でこの日の第2打席を迎えた。初球ボールのあと、2球目の外角チェンジアップに反応したがファウル。3球目からボールが続き、カウント3-1。ブーイングが響く中投じた5球目も外れ、2打席連続四球に、さらに大きなブーイングが響いた。大谷は次打者ゴスリンの打席の際に盗塁を敢行。いったんはセーフの判定だったが、スライディング後に勢い余ってベースから離れてしまい、タッチアウトとなり、二塁ベース付近で大の字になって苦笑いを浮かべた。24個目の盗塁とはならなかった。

 

 

第3打席:ファーストゴロ

(状況)6回2死/走者無し

(投手)ルイス・ガルシア/右

(カウント)2B1S

(コース)内角低め

※カウント2-1から内角低めの直球を引っ張り、一ゴロで凡退。

 

第4打席:四球

(状況)7回2死/走者2塁

(投手)ケンドール・グレーブマン/右

(カウント)申告敬遠

(コース)

※5-3と逆転してなお2死二塁で迎えたこの日の第4打席。打席に立った瞬間に主審が一塁方向を指差し、申告敬遠を示すと、この日3度目のブーイングがため息交じりに場内に響いた。

 

第5打席:四球

(状況)10回無死/走者2塁

(投手)ブレイク・テイラー/左

(カウント)申告敬遠

(コース)

※5-5で同点の延長十回は無死二塁からスタートする。先頭打者で打席に立った大谷。相手の左腕投手テイラーは最初は勝負したが、2球続けてボールとなったところでベンチは申告敬遠を指示。この日4度目の大ブーイングが場内にこだました。2死満塁で三塁走者に立つ大谷。フレッチャーの浅い右飛で本塁突入を敢行したが、タッチアウトとなった。

 

 

第6打席:空振り三振

(状況)12回2死/走者2塁→3塁(盗塁)

(投手)ジョシュ・ジェームズ/右

(カウント)2S

(コース)真ん中

※甘い球を仕留めきれず空振り三振に倒れた。

 

 

その他情報:

・エンゼルスは22日(日本時間23日)、大谷翔平の次回登板は26日(同27日、試合開始5時7分)の本拠地・マリナーズ戦に決まったと発表した。26日は今季の本拠地最終戦となる。勝てばメジャー4年目で初の2桁10勝目に到達する。

 

ESPN電子版は22日、今季スーパースターとスターに上り詰めた選手を特集し、スーパースターにエンゼルス大谷翔平投手(27)らを挙げた。特集は同メディアを代表する記者2人が選んだもの。大谷については「今季開幕前は、投打でベーブ・ルースを超えていると思われてはいなかった。しかし、何というシーズンだ。45本塁打、9勝2敗、防御率3・28、23盗塁はもはや神話の域に達している。歴史的なシーズンを送り、MVPに選ばれるだろう」と解説。「もしオオタニがスーパースターでないとしたら、スーパースターなど1人も存在しない」と結論づけた。

 

 

■試合情報

ジョー・マドン監督:

(試合前)

「(大谷の今季残り登板が2試合になる可能性はあるか?)私はそのことを彼と話していない。まずは日曜の試合(22日=同23日)をプレーして、それがどういうものになるかを見て、最終判断する。(中6日での登板に)前回登板の日曜日、彼は良い状態だと言っていたので、我々は彼を(日曜に)入れたんだよ、土曜ではなく。彼が慣れている同じ道の方がいいだろうと思ったので」

 

「(大谷は今季22試合登板し、9勝2敗、防御率3.28。投手3冠に輝いたNPB時代の2015年に160回2/3を投げたことはあるが、今季の123回1/3はメジャー4年目で最多投球回となっている)昨年は見ていて辛かった。制球がなく、地面に叩きつけるようなボールが多かった。良い感覚を持っていなかった。今年はこれ以上ないほどに違う。今年は、数年前にここ(メジャー)に来た時にみんなが話していた姿だ。今は(日本時代も含めて)彼の中でも最高級にいい状態だと思う」

 

「(26日の試合で勝てば、両リーグでは1918年ベーブ・ルース以来103年ぶり2桁勝利&2桁本塁打の偉業達成となる。ニグロリーグを含めると、1922年にブレット・ローガンが14勝&15本塁打をマークして以来99年ぶりのMLB記録となる。23日から残り10試合。本塁打王のタイトルがかかる)彼がそのつもりならプレーするよ。それを止めようとはしない」

 

(試合後)

「(15敬遠はリーグトップ)複数の選手が怪我をしたことで、これといったプロテクションを得られない状態だ。だからこそ彼がしていることはより感銘を与えるものなんだ」

 

「(初回2死と4回先頭では右腕ガルシアから2打席連続四球)敬遠じゃない本当の四球に関しては気に入っている。ストライクゾーンを広げていないことを示しているからだ。今のスイングは良くなっていると思っている」

 

「(延長10回1死満塁で、三塁走者・大谷は代打・フレッチャーの右翼線付近への浅い飛球で三塁からタッチアップ。しかし、右翼マコーミックが厳しい態勢から本塁へストライク送球し、サヨナラ生還とはいかなかった)スタートしたのは素晴らしい判断だったと思う。あのチャンスにかけたのは賛成だ。あれもまた(相手の)素晴らしいプレーだった。(マコーミックは)走りながら、フェンスに向かっていた。送球は大きく跳ねたが、ジェイソン(カストロ捕手)がいいプレーをした。ただ相手が素晴らしいプレーをしたということだ」

 

 

ダスティ・ベイカー監督:

「マコーミックの返球はビッグプレーだった。若い選手たちは、本当に守備にしっかり取り組んでいる。選手全員の努力で得た勝利だ」

 

チャズ・マコーミック外野手:

「浅いフライだったし、いい送球ができた。あれが勝敗を決める鍵になるプレーだったと思う」

 

■関連情報

沢村拓一投手:

・レッドソックスの沢村拓一投手が22日(日本時間23日)、本拠でのメッツ戦前に、インタビューに応じ、レギュラーシーズン残り10試合となった心境を語った。

 「もうね、体は思い通りに動かないですよ。143試合のNPBと162試合のMLBとのシーズンの違いを実感している。この時期までくると、技術的にも、体力的にも余裕がなくなってくる。ずっと思ってはいたけど、150試合を超えて、さらに。日本ならとっくにシーズンが終わっている。そのことを自分の体で実感している。何勝とか、ホールド数とか、防御率とか、全く興味ない。数字に追われたくないので。(登板数が)50試合を超えたことは唯一、良かったことかな」

 

「(60試合登板を達成すれば、出来高は満額となる契約だった)狙っていました。コロナがなければ、行けたと思うけど、しようがない。シーズンの流れもあるから。大事な試合で投げさせてもらっているし、3点ビハインドでも勝てるチームだし。負けている展開でも監督が起用すれば、それがチームがベストのピッチャーと判断したということ。誰もがこのユニフォームを着て、野球をやれるわけではない」

 

「(8月28日に残り31試合を残して50試合登板を達成したが、2日後に新型コロナウイルスに感染し、17日間、戦列を離れた。味覚と嗅覚を2日半ほど、失ったが、大事には至らず、シーズンの佳境に戻ってきた。メジャーに対応し、幾多の苦境を乗り越えてきたレギュラーシーズンも残り10試合。あらためて抱負をたずねると、少し考えた後で)何も変わらないですね。開幕の時と同じ。任されたところで投げて、チームに貢献することだけです」

 

 

■メディア

今中慎二氏:

底は脱した印象の大谷、残り11試合は同地区対戦、本塁打量産へ追い風に(中日スポーツ)

「大谷の打撃は、一時の底は脱した印象だ。本塁打を量産した前半戦の打撃フォームは、軸足の左に体重が乗り反り返って打つようなシルエット。それが後半戦の不振時は泳がされて打つシーンが目立った。ただ前半戦は泳がされてもオーバーフェンスするパワーを見せつけたが、初めて二刀流でフルシーズン戦った疲れからくるものなのか。ここ最近は打球が伸びなかった。

 

 この日は第1打席は中飛に倒れたが、泳がされることなくいいアプローチに見えた。やはり左足に体重が乗り、少し詰まるぐらいの状態で捉えた方がいい。8回の10試合ぶりの45号は、出るべくして出たという印象だ。この10試合ぶりの一発は、いいきっかけになったのではないか。この復調気配を無駄にしないためにも、22日(日本時間23日)のアストロズ戦は本塁打争いの行方を占う意味でも大事な一戦だ。

 

 本塁打王を争うゲレロは三冠王の可能性も残すだけに打率も意識しなければならず、大谷やペレスの方がやや有利ではないか。しかも大谷にとって残り11試合は同地区との対戦。強力なスターターや強力ブルペンがいるチームはなく、最後に量産態勢に入っても不思議ではない。大谷が残り登板で2桁勝利&2桁本塁打を達成しても、ゲレロが三冠王ならMVPは微妙な状況。ゲレロが2冠止まりなら、大谷のMVPは当確とみている」

 

柳原直之記者:

エンゼルス・大谷 45号予兆は前日中飛にあった!今季45本中43本が「バレルゾーン」(スポニチ)

 

エンゼルス・大谷 残り11戦、キング争い“三つ巴”最終決戦見逃すな!10戦ぶり45号で1本差に迫る(スポニチ)

 

斎藤庸裕氏:

大谷45号 引きつけて重心低く保ち土を蹴る回転でドカ~ン!監督復調予感(日刊スポーツ)

 

衝撃二刀流見せた大谷翔平の今季結末は?大事なのは「最終的にどうなるか」(日刊スポーツ)

 

 

新井裕貴氏:

大谷翔平と本塁打王を争う大型捕手ペレスの“弱点”。投手泣かせの「球界最低級のフレーミング」(SLUGGER)

 

宇根夏樹氏:

エンジェルスでタイトル獲得の可能性があるのは大谷だけじゃない。イグレシアスはトップと2セーブ差(スポナビ)

 

大谷翔平がホームランを打ち、エンジェルスが4点差以上で黒星は13試合。あと1試合で新記録(スポナビ)

 

■NOTE

勝負されない四球攻めの中でも、どうやってチャンスを活かすか、これも成長機会?!というのが大谷志向なんだろう。

 

アストロズ延長戦制して地区優勝へマジック3 大谷翔平は2度の敬遠を含む自己最多の4四球※MLB.JP

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アストロズは5対5の同点で迎えた12回表に一挙4点を勝ち越し、エンゼルスに9対5で勝利。地区優勝へのマジックナンバーを3に減らした。10回裏に無死満塁の大ピンチを迎えたが、ジャレッド・ウォルシュをショートゴロ、デービッド・フレッチャーをライトライナーのダブルプレーに抑えて無失点。結局、タイブレークに突入してからの3イニングでエンゼルス打線に得点を許さなかった。

 

 3点リードの7回裏にジャック・メイフィールドの3点タイムリー二塁打などで一挙5点を奪われ、逆転を許したアストロズだったが、8回表にヨーダン・アルバレスのタイムリー二塁打とユリ・グリエルのタイムリーで同点。10回裏無死満塁のピンチでは堅いディフェンスでエンゼルスのサヨナラ勝ちを阻止し、12回表に一挙4点を勝ち越して試合を決めた。アストロズ7番手イミー・ガルシアが今季4勝目(9敗)をマーク。エンゼルス8番手サム・セルマンに今季初黒星(0勝)が記録された。

 

 エンゼルスの大谷翔平は「3番・DH」でスタメン出場し、四球、四球、ファーストゴロ、敬遠、敬遠、空振り三振で2打数0安打。1試合4四球は自身初だった。4回裏は四球のあとに二盗を狙い、タイミングはセーフだったが、勢い余って二塁ベースから足が離れてタッチアウト。10回裏はフレッチャーの浅いライトライナーでタッチアップを狙うもアウトになり、12回裏は試合の最後の打者となった。今季の打率は.256、OPSは.952となっている。

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エンゼルス・大谷 45号予兆は前日中飛にあった!今季45本中43本が「バレルゾーン」※スポニチ

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◇ア・リーグ エンゼルス5-10アストロズ(2021年9月21日 アナハイム)

 

 エンゼルス・大谷の復調の兆しは前日の最終打席にあった。20日のアストロズ戦の8回。大谷が左腕レイリーのスライダーをすくい上げた。打球速度105・2マイル(約169キロ)で打球角度は38度。フェンス手前で失速して中堅手に捕球された大飛球だ。

 

 この中飛は、長打になりやすい打球速度と角度を組み合わせた「バレルゾーン」に入っていた。大谷が「バレル」と認定される打球を放ったのは、10日のア軍戦で44号をマークして以来、41打席ぶりだった。

 

 45号も速度116・1マイル(約187キロ)、角度26度とバレルゾーン内。9月の全69打席のうち「バレル」の打球は4度しかなく、うち3本は本塁打となった。41打席ぶりの好感触を翌日、10戦ぶりのアーチにつなげた。

 

 自身もかねて「良い打ち方をしていたらフライが打てる。その感覚を打席の中で出していければ、角度のついた打球がどんどん打ててくる」と話していた。45本塁打中、実に43本が「バレル」。今季のバレル打球数73、規定打席到達者のバレル率(全打球に占めるバレル打球の割合)22・2%は、いずれも両リーグトップだ。

 

 角度こそつかなかったが、第1打席の中飛は103・5マイル(約167キロ)、第3打席の右前打は109・1マイル(約176キロ)と、打球の速さは十分。マドン監督は大谷について「打席内容も良くなっているし、ストライクの見極めも良くなっている」と分析する。この日のように好球必打を徹底できれば、「ビッグフライ」の量産態勢が整う。(柳原 直之)

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エンゼルス・大谷 残り11戦、キング争い“三つ巴”最終決戦見逃すな!10戦ぶり45号で1本差に迫る※スポニチ

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◇ア・リーグ エンゼルス5-10アストロズ(2021年9月21日 エンゼルスタジアム)

 

 豪快弾で再加速だ。エンゼルスの大谷翔平投手(27)が21日(日本時間22日)、アストロズ戦で10試合、46打席ぶりのアーチとなる45号ソロを放った。本塁打王争いは46本でリーグトップのウラジーミル・ゲレロ内野手(22=ブルージェイズ)、サルバドール・ペレス捕手(31=ロイヤルズ)に1本差に迫った。逆転キングへ。残り11試合、最後のデッドヒートから目が離せない。

 

 大谷は打った瞬間、下を向いて走りだした。10試合、46打席ぶりの一発。ゆっくりと顔を上げ、表情を変えずにダイヤモンドを回った。うれしさより安堵(あんど)が上回っているようだった。

 

 4―10の8回無死。敗色濃厚な展開でも集中力を失わなかった。右腕ハビエルの内角93・8マイル(約151キロ)直球を振り抜くと、打球は一直線に伸びて右翼席中段に着弾。ジョー・マドン監督が「It was crushed(ボールを粉砕したね)」と驚いた一撃だった。日米通算140本塁打に到達した今季45号。19年に主砲トラウトがマークした球団歴代2位に並んだ。注目の本塁打王争いはリーグトップのゲレロ、ペレスが足踏みし、1本差に肉薄した。

 

 10日に44号を放った後、ここまで長打すら出なかった。地区上位との対戦が続き、トラウトやレンドン不在の迫力不足の打線では大谷にマークが集中し、13敬遠もリーグ最多。「甘い球の絶対数も少ない。いい打撃ができる機会もなかなか難しい。打撃自体も強引になっているところもある」と苦悩を深めていた。それでも、試合前の打撃練習は屋内で最小限にとどめた。今季は二刀流調整の負担軽減のため、開幕戦以外は屋外でバットを振っていない。ぶれずに信念を貫き、445フィート(約136メートル)の特大弾を叩き込んだ。

 

 直前の3打席目には、右前打を放っており、3試合ぶりのマルチ安打。マドン監督は「右前打は良かったし、逆方向への飛球(記録は中飛)もあった。良い兆候だった」と分析。さらに「打つことも投げることも、力強くフィニッシュすることができる状態にある」と打撃復調に太鼓判を押した。

 

 3冠王を狙うゲレロらとのMVP争いの行方も問われた指揮官は「他選手は2、3、4位だ」と、改めて大谷の「当確」を訴えた。1918年のベーブ・ルース以来、103年ぶりの「2桁勝利&2桁本塁打」達成とともに、本塁打王獲得へ期待が高まる。大激戦のタイトル争いは、大谷の豪快アーチとともに最終章に入った。(柳原 直之)

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大谷45号 引きつけて重心低く保ち土を蹴る回転でドカ~ン!監督復調予感※日刊スポーツ

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<エンゼルス5-10アストロズ>◇21日(日本時間22日)◇エンゼルスタジアム

 

【アナハイム(米カリフォルニア州)21日(日本時間22日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(27)が、待望の45号アーチを放った。「2番DH」で出場したアストロズ戦の8回に右翼席へ飛距離約137メートルの特大弾をたたき込んだ。10試合ぶりの1発で、シーズン45本塁打はトラウトに並ぶ球団2位タイ。本塁打数トップのブルージェイズ・ゲレロ、ロイヤルズ・ペレスと1本差とした。残り11試合。日本人初の本塁打王へ、タイトル争いがますます激化してきた。

 

タイトル獲得へ意欲的な大谷にとっても、待望だったのかもしれない。大敗ムードの8回先頭。スタンドには静けさが残る中、「オオタニ~」と女性ファンの声援が響く。4球目、93・7マイル(約151キロ)の内角直球を完璧に捉えた。甲高い打球音を残し、右翼席へ一直線。大谷は打球の行方を少しだけ見て、息をつくように下を向いた。46打席ぶりに出た久々の1発。マドン監督は「(球を)粉砕したようだった。(最近は)よりいい打席になっている」とうなずいた。

 

崩れかけていた状態から段階を踏み、本来の姿に近づいてきた。第1打席は内角のカーブを捉え、中飛で凡退。打球に角度がつかなかったが、ボールをギリギリまで引きつけるようにスイングし、センター方向へ打ち返した。第3打席、同じく内角カーブを右前へライナーではじき返し、安打とした。そして、第4打席で本塁打。指揮官は「前打席のライナーの安打も良かったし、(ここ数試合の)逆方向への飛球もいい兆候だと思っていた」と復調を予感していた。

 

飛距離と角度を出すために欠かせない下半身の動きも、本来の形に戻りつつある。第3打席はインパクト後に軸足の左足が伸び上がって力が抜けたが、第4打席では重心を低く保ったまま、土を蹴るように回転。下半身との連動で最大限の力をボールに伝えた。1球前にはアストロズの捕手マルドナドに何やら話しかけ、ニンマリ。前日は外角攻めで無安打に抑えられ、この日は内角との出し入れで攻められた。その中で、外要求から内へ入ってきた逆球の1球を逃さず仕留め、特大弾で豪快にリベンジした。

 

シーズン45本塁打は、メジャー屈指の強打者で同僚のトラウトに並んで球団歴代2位。現在リーグトップの46本まで1本差に迫った。残り11試合。「ストライクゾーンをしっかりつかんでいけば、非常にいい打撃が見られるだろう」とマドン監督は言った。ゲレロ、ペレスらと繰り広げる、三つどもえのタイトル争い。主役はやはり、大谷だ。

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衝撃二刀流見せた大谷翔平の今季結末は?大事なのは「最終的にどうなるか」※日刊スポーツ

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最近、エンゼルス大谷翔平投手(27)の今シーズンの活躍で最も驚いた、印象に残ったシーンについて問われることがある。投打で同時出場するリアル二刀流で臨んだ4月4日のホワイトソックス戦。レギュラーシーズンではメジャー4年目で初めてだった。「さぁ、どうなるか」。そんな感覚で見ていた記憶がある。

 

すると1回の第1打席、初球の高め直球を完璧に捉え、右中間へ特大弾をたたきこんだ。この1発の衝撃は今でも忘れられない。ボールが破裂するような打球音、一斉に上がった歓声、ダイヤモンドを回っていた時の大谷の気迫…。何か震えるような感覚だった。

 

今思えば、二刀流の伝説幕開けのゴングだったのだろう。その後、何十年ぶり、約100年ぶりの記録が何度も生まれた。打って、投げて、さらに走る。記録がついて回った。驚かされたことは、シーズンを通じて続いた。

 

3戦連発をマークしたのはメジャー1年目の2度を上回る3度。6月は日本人の月間最多本塁打タイとなる13本のアーチを放った。日本人で初めて出場した球宴のホームランダービーは、優勝の筆頭候補ながら1回戦で敗退。翌日のオールスター戦では史上初となる投打で出場した。6月、7月と2カ月連続で月間MVPに選ばれ、球団史上初めての快挙も達成した。

 

驚異的な活躍の連続だった一方で、本塁打王争いでは9月にペースダウン。8月までは独走状態だったが、ブルージェイズ・ゲレロとロイヤルズのペレスに抜かれた。9月21日のアストロズ戦で45号アーチを放ち、トップまで1本差。三つどもえのタイトル争いから目が離せない状況だ。

 

シーズン前、大谷は言っていた。「スタートがどうかっていうよりは、どういう感じで終わるか、最終的にどうなるかが大事」。開幕後に絶好のスタートを切り、シーズンを通して二刀流でファンを沸かせ、球界を盛り上げてきた。残り11試合。再び予想を超えるパフォーマンスを見せられるか。最後まで注目したい。(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「ノブ斎藤のfrom U.S.A」)

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大谷翔平と本塁打王を争う大型捕手ペレスの“弱点”。投手泣かせの「球界最低級のフレーミング」※THE DIGEST

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現地時間9月21日、大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)が10試合ぶりとなる今季45号を放ち、メジャー1位の2人に一本差まで迫った。6月末から本塁打王争いのトップをひた走ってきた大谷だったが8月以降に失速。その間に二人の選手が猛追し、現在はリードを許す展開になっている。

 

 大谷の前を行く一人は、シーズン序盤からライバルとして熾烈な争いを見せていたブラディミール・ゲレーロJr.(トロント・ブルージェイズ)。現在、打率.321はリーグ1位、46本塁打は1位タイ、105打点はリーグ4位タイ。22歳の若さにして三冠王も視野に入る勢いを見せている。

 

 そして、もう一人がサルバドール・ペレス(カンザスシティ・ロイヤルズ)だ。8月に球団タイ記録の5試合連続を含む12発と爆発すると、9月20日にはゲレーロJr.に並ぶ46号を放ち、捕手シーズン歴代最多本塁打記録も更新。115打点はメジャートップであり、捕手という重労働ポジションながら二冠王も射程圏に捉えている。

 

“大谷のライバル”として、日本でもにわかに知名度が上がりつつある両名。今回はペレスの気になるデータについて紹介してみたいと思う。

 

 以前も打撃面の弱点=出塁率の低さについて言及したが、ペレスはこれだけ本塁打を打っているにもかかわらず、出塁率はメジャー平均と同じ.317。短縮シーズンだった昨季を除き、正捕手となった2013年以降は出塁率3割を一度も超えないなど、総合的な打力については大谷とゲレーロJr.の域にはいない。

 

 そして、打撃の課題以上に、ある意味で看過できないのが捕手としての「能力」だ。過去にゴールドグラブを5回受賞し、今季も盗塁阻止率.450で3度目のリーグ1位が狙える男の守備に何の問題があるのかと思うかもしれない。しかし、ここ数年に重要度が増している“ある指標”において、ペレスは球界ワーストクラスにとどまっているのである。

 

「フレーミング」。日本球界でも徐々に浸透しつつある捕球技術は、ミットをずらすような行為ではなく、“フレーミングの王様”として絶対的な地位を得たタイラー・フラワーズの言葉を借りれば「ストライクを、ストライクと正確に判定してもらう技術」のことを指す。データ分析の結果、ストライクを1球多く勝ち取ると0.125点の価値があるとされ、つまり100球多くコールされれば、12点以上も阻止した計算となる。

 

では、“名捕手”ペレスがどれだけフレーミングで利得をもたらしたのかを見てみよう。

 

<ペレスの年度別RES>

2015位:-16(ワースト1位/55位)

2016年:-16(ワースト1位/63位)

2017年:-13(ワースト1位/62位)

2018年:-11(ワースト3位/58位)

2019年:シーズン全休

2020年:0(―/36位)

2021年:-18(ワースト1位/60位)

 

 RESとはRuns Extra Strikeの略で、簡単に言えばフレーミングによってストライクをしっかり稼ぎ、どれだけ失点阻止につなげたのかを示す指標だ。スタットキャストによる計測が始まった以降、ペレスは今季も含めて4回も球界ワーストという壊滅的な結果。特にストライクゾーン低めのフレーミングに苦労していて、今季はリーグワースト2位の選手と実に8点も離される“独走”ぶりである。

 

 果たして、先に述べたように強肩を武器とした盗塁阻止でのプラスはあるものの、フレーミングのマイナス分が大きく、今季の守備指標DRS(Defensive Runs Saved)は500イニング以上の捕手32人中28位と低迷しているのだ(ちなみに、大谷がバッテリーを組むマックス・スタッシは+10に対し、カート・スズキはワーストの-10)。

 

 大谷の勢いが落ちたこともあり、MVP獲得を不安視する声もちらほら聞こえている。しかし、アウォード選考で最も重要視されている勝利貢献度WAR(Wins Above Replacement)において、大谷は2大データサイト『FanGraphs』、『Baseball-Reference』でいまだにメジャー1位(7.2/8.2)に君臨している。一方で、ペレスは『FanGraphs』のWARが3.2にとどまり、メジャー50位圏外という意外な位置にいる。

 

 これも結局は、フレーミングによる守備成績の低調が原因にある。“打てる捕手”というのはかなり希少性はあるものの、同時にキャッチャーとしての基盤にある守備能力が、悲しいかなペレスのMVP投票で足枷になる可能性もあるだろう。

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エンジェルスでタイトル獲得の可能性があるのは大谷だけじゃない。イグレシアスはトップと2セーブ差​​​​​​​※宇根夏樹氏

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大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)は、9月21日にシーズン45本目のホームランを打ち、トップのブラディミール・ゲレーロJr.(トロント・ブルージェイズ)とサルバドール・ペレス(カンザスシティ・ロイヤルズ)との差を1本とした。9月22日のエンジェルスの試合は、これを書いている時点では、まだ始まっていない。ブルージェイズは試合を終え、ゲレーロJr.のホームランはなし。ロイヤルズの試合は、雨天順延となった。

 今シーズン、タイトルを獲得する可能性があるエンジェルスの選手は、大谷だけではない。ライセル・イグレシアスは、ここまで32セーブを挙げている。トップのリーアム・ヘンドリクス(シカゴ・ホワイトソックス)とは2セーブ差。彼らに次ぐ3位は、28セーブのアロルディス・チャップマン(ニューヨーク・ヤンキース)だ。

 ヘンドリクスとイグレシアスの成績は、よく似ている。ヘンドリクスは、63登板で65.0イニングを投げ、奪三振103と与四球7、防御率2.77。イグレシアスは、60登板の65.0イニングで、奪三振96と与四球12、防御率2.63だ。セーブ成功率も85.0%(34/40)と86.5%(32/37)なので、ほとんど変わらない。

 変化球は同じではなく、ヘンドリクスはスライダーとカーブ、イグレシアスはスライダーとチェンジアップを投げる。また、年俸は1100万ドルと912万5000ドル。大きくは違わないものの、ヘンドリクスが3年5400万ドルの1年目であるのに対し、イグレシアスは3年2412万5000ドルの3年目。今シーズンが終わると、イグレシアスはFAになる。年齢は32歳と31歳だ。

 2人とも、これまでにタイトルを獲得したことはない(ゲレーロJr.とペレスに、大谷もメジャーリーグではそうだ)。ホワイトソックスとエンジェルスは、ともに151試合を終えている。

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大谷翔平がホームランを打ち、エンジェルスが4点差以上で黒星は13試合。あと1試合で新記録​​​​​​​※宇根夏樹氏

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9月21日、大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)は、シーズン45本目のホームランを打ち、エンジェルスは5対10で敗れた。大谷のホームランは、エンジェルスの5点目。その時点で、投手陣はすでに10点を取られていた。

 スタッツ社のツイートによると、大谷がホームランを打ち、エンジェルスが4点差以上をつけられて負けたのは13試合目。これは、1999年のサミー・ソーサとシカゴ・カブスに並び、1シーズンの最多記録だという。

 この年、ソーサは63本のホームランを打ち、カブスは67勝95敗を記録した。地区優勝のヒューストン・アストロズとは30ゲームの差があり、5位のミルウォーキー・ブルワーズとも7.5ゲーム離れていた。

 現時点のエンジェルスは72勝79敗。地区4位に位置する。あと11試合を行う予定なので、大谷とエンジェルスは、新記録を樹立するかもしれない。エンジェルスがポストシーズンへ進出する可能性は、地区優勝だけでなくワイルドカードも、完全になくなっている。

 なお、ソーサの63本塁打は、シーズン本塁打の歴代6位ながら、本塁打王は獲得していない。マーク・マグワイアと2本差の2位に終わった。

 この年にソーサがホームランを打った試合のカブスは、30勝27敗だった。今シーズン、大谷がホームランを打った試合のエンジェルスは、ここまで20勝22敗だ。

 ちなみに、大谷より1本多いブラディミール・ゲレーロJr.(トロント・ブルージェイズ)とサルバドール・ペレス(カンザスシティ・ロイヤルズ)の場合、ホームランを打った試合のチームは、それぞれ、26勝14敗と24勝16敗となっている。ブルージェイズは85勝67敗だが、ロイヤルズは69勝83敗なので、エンジェルスよりも大きく負け越している。

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