■試合データ

米国時間:2021年8月22日

日本時間:2021年8月23日(月曜日)8時10分開始

ロサンゼルス・エンゼルス対クリーブランド・インディアンス

@BB&Tボールパーク・アット・ヒストリック・ボーマン・フィールド

ペンシルベニア州ウィリアムズポート「リトルリーグ・クラシック」

※リトルリーグ発祥の地

 

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エンゼルスは、初回先発ホセ・スアレスがインディアンス1番マイルズ・ストローに2塁打を打たれ続く2番アメド・ロサリオに2ラン本塁打を許し先制点を失う。4回には1死1、3塁から内野ゴロの間に1点を失い3点ビハインド。打線は相手先発キャル・クワントリルに7回2安打9三振と1点も取れず、継投完封を許しこのカード3連敗。

 

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■今日の大谷翔平

【打者】先発1番DH

2打数 1安打 2四球 1三振 1盗塁(19個目)

通算打率.270

 

 

第1打席:ライト前ヒット

(状況)1回無死/走者1塁

(投手)キャル・クワントリル/右

(カウント)2B2S

(コース)真ん中低め

※右腕クアントリルに対し、ファーストストライクから振っていった。2ボール2ストライクからの7球目に反応。速い打球は二塁・ジメネスのグラブをはじき、右前へ抜けた。1死後、アップトンの打席で二盗を試みて今季19個目の盗塁をマークした。

 

 

第2打席:四球

(状況)3回1死/走者無し

(投手)キャル・クワントリル/右

(カウント)フルカウント

(コース)真ん中低め

※フルカウントから高めのカットボールを見極め、四球を選んで出塁した。

 

 

第3打席:空振り三振

(状況)6回無死/走者無し

(投手)キャル・クワントリル/右

(カウント)1B2S

(コース)真ん中低め

※カウント1-2から外角低めのチェンジアップに空振り三振を喫した。

 

第4打席:四球

(状況)8回1死/走者1、3塁

(投手)ジェームズ・カリンチャク/右

(カウント)フルカウント

(コース)真ん中低め

※3点を追う8回裏、1死一、三塁という場面。一発出れば同点という状況で、球場に集まった子供たちからは自然と「ショーヘイ! ショーヘイ!」とホームランを期待するコールが出た。しかしフルカウントからインディアンスの2番手・カリンチャクが投じた7球目は明らかに外角高めに外れたボール球。これを見送って四球を選んだ大谷は、バックネット裏の少年たちの残念そうなため息が漏れる中、渋々といった様子で一塁へ歩いていく。すると何を思ったか、ベース付近を足で掃いていた一塁ベースコーチの肩を走塁用の手袋で「ペチッ」と軽くひと叩きして苦笑い。自身はしっかりとチャンスを広げた一方、チャンスで勝負を避けられた悔しさが滲み出たワンシーンとなった。結局、インディアンスの強力リリーバー、ジェームズ・カリンチャックから四球を選んでチャンスを広げたが、次のデビッド・フレッチャーが併殺に倒れてエンジェルスは得点できなかった。

 

 

試合途中インタビュー:

・3回裏のインディアンス攻撃中に中継局の「ESPNキッズキャスト」のインタビューに応じた。

--リトルリーグ・クラシックで子供たちがたくさん集まっている。この経験はどんな感じ

「午前中は残念ながら雨の中止で(リトルリーグの試合を)見られなかったんですけど、たくさんの子どもの前でプレーできて楽しいですね」

 

--ここ(ウィリアムズポート)に来て、自身がやっていたリトル・リーグとの違いは感じるか

「僕も目指してはいたので、ただ、まだまだここに来るようなレベルではなかったので、少年時代に見ていた球場を見られて、いい経験になったと思います」

 

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--今季、オールスター明けから投手として素晴らしいピッチングを続けているが、要因は何か

「ヤンキース戦(6月30日)は調子が悪くて、いっぱい点をとられてしまったんですけど、そこから何が悪かったのかを考えて、工夫できたことが良かったかなと思います」

 

--携帯ゲームで好きなゲームは

「クラッシュロワイヤルですね(笑い)」

 

--現在2-0で負けているが、監督、コーチからどんな言葉をかけられている

「自分たちの野球、形を作れているので、初回も、さっきの回(3回表)も積極的にエンドランをかけたりとか、自分たちの形を作れているので、そこで点をとれるか、とれないか。そこ次第かなと思います」

 

 

その他情報:

・大谷が22日(日本時間23日)、リトルリーグの聖地、ペンシルベニア州ウイリアムズポートを訪れた。「リトルリーグ・クラッシック」として開催されるインディアンス戦前にリトルリーグ・ワールドシリーズに参加している選手たちと交流。サイン会を行い、少年たちの試合を観戦するなどして過ごした。

 

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・球界最大のスターが球場入りするや、その周りにはサインがほしいファンが集まった。しかし、“子供たちの祭典”のため、ではあるものの、少なくない大人も近くに寄ってきたのだ。こうした光景は日米問わずある。サインが欲しいのは確かに年齢は関係ない。だが、大谷は大人がサインを求めても一瞥することなく、子供だけにサインをし続けていったのだ。この姿を見た現地メディア『BARSTOOL SPORTS』は「ショウヘイ・オオタニは子供たちのためだけにサインをしている。追いかけてくる大人は無視しているのだ」とし、「それこそが彼が最高の選手である理由なのだ」と称賛した。

 

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・エンゼルスは16日(同17日)から5都市を巡る11日間の遠征中。総移動距離はおよそ1万812キロにも及ぶ。15日にアナハイム→ニューヨーク、16日にニューヨーク→デトロイト、19日にデトロイト→クリーブランド、22日にクリーブランド→ウイリアムズポート、22日にウイリアムズポート→ボルチモア、26日にボルチモア→アナハイム、という行程だ。

 

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・この試合の解説を務めたアレックス・ロドリゲス氏が大谷を分析。MLB通算696本塁打の大打者は、パワー、ピッチング、スピードの三部門でメジャー屈指の実力者3人の融合と大谷を大絶賛。「今年のメジャー、いやスポーツ界のメインアトラクションはショウヘイ・オオタニですよね」と実況から話を振られたAロッドは「疑いの余地はありませんね」と即答。そして、「彼は全てのユニークな才能を1人の人間に繋ぎ合わせた存在なんです」「パワーはブライス・ハーパーです。ピッチング能力はマックス・シャーザー。スピードはトレイ・ターナーです。これが完璧に一体化しているのです」と大谷を評した。

 

また氏は、松井秀喜元外野手、イチロー元外野手の両方とヤンキースで同僚だったため、2人を取材していた日本報道陣に大谷との違いを尋ねたという。「イチローはどちらかと言えば自分自身に集中するタイプで、松井はチーム寄りのタイプ。(日本メディアによると)大谷はその2人のコンビネーションだと…。すごく興味深いのは、大谷は両選手の“ハイブリッド”だという話だった」取材陣への対応についても、Aーロッドは言及。「松井は毎日話をし、イチローは週に一度くらい。大谷はこの点でも2人をブレンドしたような感じで、登板後は毎試合、取材に応じ、それ以外にも週に一、二度。投打に準備し、米報道陣にも対応しなければならないことを考えると、すごいことだ」と感心していた。

 

 

■試合情報

ジョー・マドン監督:

(試合前)

「携帯電話で翔平のハイライトをチェックしている人々には、できればこれを当然のことだと思ってほしくない。彼らが見ているのは『一世代に一人の才能』ではなく『何世代かに一人の才能』だ。ベーブ・ルースから100年が経ち、再びルースや翔平のような選手を見られるのは今から100年後かもしれない」

 

(試合中)

「(大谷がいつ登板し、打席に立つかは、全て直接の対話で決めているとあらためて公言)リラックスしたオープンな会話で、彼もすごくフランクに話してくれる。いい関係を築いている。(また最終的な決定権を持っているのは、あくまでも指揮官ではなく大谷だと“掌中の珠”ぶりを語った)」

 

(試合後)

「(大谷について)2打数1安打2四球、1盗塁を決め、エンゼルス史上初のシーズン40本塁打&20盗塁まであと1盗塁となった」

 

「(大谷は)本当に良い打席がいくつかあった。相手は彼に対して厳しい投球をしていた。私たちはヒットエンドランを1つ決めた。彼は盗塁もした。私たちはそのようにチャンスを作っていたが、相手投手にうまく乗り切られた」と試合を振り返った。

 

「(さらに大谷ら選手が子どもたちから受けた歓迎ぶりに)素晴らしいことだ。子どもたちは熱中している。彼らはチアスティックを持っていた。あれが始まったのは2002年のことだったかな。試合前にも楽しんでいた。サインをもらったり、写真を撮ってもらったりしていた。そういったことは大好きだよ。子どもたちの熱心さや、ここで楽しんでいる様子を見るのはとても特別なことだ」

 

マイク・トラウト外野手:

・試合前のESPNの番組で、今年の球宴ホームランダービーの秘話を明かした。

「(同僚の大谷が初出場した7月のホームランダービー中、複数の相手から電話がかかってくる場面があった。1人は元同僚のドジャースのアルバート・プホルス、もう1人はトラウトだったと伝えられていた。トラウトは番組内でそれについて問われると)あの電話は自分だよ。逆方向に打て。引っ張る必要はないよと伝えたんだ。左中間方向へボールを飛ばせば、彼は簡単にホームランダービーで優勝できる」と話した。

 

 

・ESPNで全米中継された。4回にベンチ内でマイクをつけたトラウトが登場。

「(実況から今季の大谷ついて問われると)アメージングだ。打者としての大変さは分かるけど、40本打って、かつ防御率3点以下。正直、リトルリーグを見ているようだよ。そして素晴らしいチームメートだ。(今季の印象的なシーンは)ホームランを2本打った試合があったんだけど、1打席目で凡退した後に『基本的に内角の速球はライト、真ん中の緩い変化球はセンター、外のシンカーはレフトに』って言ったんだ。そしたら、次の打席で内角高めの速球をライトに、8回には外角シンカーをレフトにホームランにした。伝えたことを実際にやってのけたんだ。本当に特別だよ。彼のスイングとパワーは信じられない(と、大谷が今季20、21号本塁打を放った6月18日タイガース戦でのエピソードを紹介)」

 

 

ジョー・アデル外野手:

・「リトルリーグ・クラシック」インディアンス戦の番組企画で取材に応じた。

「(大谷について)私が今まで会った人の中で文字通り、最もナイスな人かもしれないね。野球に対する真摯な態度も(素晴らしい)。頑張り屋なんだ。彼が今年していることは全てがアメージングだ。なんて言えばいいか分からないけど、彼は人間じゃないよ。マウンドであんな数字を積み上げながら打つなんて」

 

■関連情報

ミゲール・カブレラ内野手:

・タイガースのカブレラ内野手が22日(日本時間23日)、敵地のブルージェイズ戦に「4番・DH」で出場し、6回に右中間に史上28人目の通算500号アーチを放った。8月11日オリオールズ戦で王手をかけてから8試合足踏みしていた。先日のデトロイト遠征でエンゼルスの大谷翔平もカブレラを「明らかに彼は偉大な打者であり、史上最高の選手の一人。そして、私が彼と接したとき、彼は素晴らしい人。通算500号を私も早く見たい」と話していた。カブレラは2003年マーリンズでデビュー。2012年にはタイガースで45年ぶりに三冠王に輝いたのを含め、首位打者4度、本塁打王と打点王を各2度獲得している。なお、通算3000安打まであと45本に迫っている。

 

 

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■メディア

ナガオ勝司氏:

NumberWEB「メジャーリーグPRESS」

大谷翔平と“同期のスター”たちがMLBを席巻中!「10者連続三振」「HRダービー連覇」など、“大谷世代”はツワモノ揃い

 

MLB公式サイト:

MLB公式がエンジェルスの“上位荒らし”に注目!「ペナントレースに影響を与えるチャンス」(THE DIGEST)

 

 

■NOTE

野球の裾野を広げる素晴らしい企画。日本のNPBでもやるべきだろう!日本でもオフシーズンに各球団単位で少年野球向けのイベント等には取り組んでいると思うが、MLBはスケールが違うよなあ。少し前の映画「フィールド・オブ・ドリームス」の企画試合もそうだが、夢のある話題性の強力なイベントを推進することで、もっと野球を広めて行けばいいのになと思う。オールスターゲームやホームランダービーひとつとっても、大谷自身もコメントしていたが、スケールが違う。市場規模など大きく異なる点もあるのだろうが、成功事例はうまくアレンジしてでも見習うべきだよな。

 

エンゼルスがインディアンスに3連敗 大谷翔平は1安打2四球1盗塁で球団初の「40-20」に王手※MLB.JP

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ペンシルベニア州ウィリアムズポートのヒストリック・ボウマン・フィールドにあるマンシー・バンク・ボールパークで「リトルリーグ・クラシック」として行われた一戦は、インディアンス先発のカル・クアントリルが7回2安打無失点の好投。3対0で勝利したインディアンスが勝率5割復帰を果たした。エンゼルスはインディアンス3連戦で被スイープを喫して借金2。なお、来年の「リトルリーグ・クラシック」ではレッドソックスとオリオールズが対戦することが発表された。

 

 多くのリトルリーガーたちがスタンドで見守るなか、インディアンスは初回にアメッド・ロサリオの8号2ランで先制。4回裏には一死1・3塁から遊撃ホゼ・イグレシアスのファインプレーの間に三塁走者が生還し、3点目を奪った。8回表に2番手ジェームス・カリンチャックが一死満塁のピンチを招いたが、3番手ブライアン・ショウが2球でデービッド・フレッチャーをサードゴロ併殺打に打ち取り、ピンチを脱出。9回表はクローザーのエマニュエル・クラセイが抑えた。

 

 エンゼルスの大谷翔平は「1番・DH」でスタメン出場し、ライトへのヒット、四球、空振り三振、四球で2打数1安打2四球。合計3度出塁してリードオフマンの役割を果たしたが、チームの得点にはつながらなかった。初回にヒットを打ったあとは今季19個目の盗塁に成功。メジャーでは2019年のロナルド・アクーニャJr.(ブレーブス)とクリスチャン・イェリッチ(ブリュワーズ)以来2年ぶり、エンゼルスでは球団史上初となる「40-20(40本塁打と20盗塁)」の達成に王手をかけた。今季の打率は.270、OPSは1.003となっている。

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大谷翔平と“同期のスター”たちがMLBを席巻中!「10者連続三振」「HRダービー連覇」など、“大谷世代”はツワモノ揃い※NumberWEB

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ナ・リーグ中地区の首位を快走するブルワーズのコービン・バーンズという投手が、アメリカ合衆国時間の8月11日水曜日、敵地シカゴでのカブス戦で殿堂入りの名投手トム・シーバー(メッツ時代 1970年4月22日パドレス戦)、アーロン・ノラ(フィリーズ 今年6月25日メッツ戦)に続く、メジャーリーグ(MLB)記録の10者連続奪三振をマークした。

 

 一昨年の途中から先発に固定されたバーンズは、ダルビッシュ有投手(パドレス)のように、第一球種がカット・ファストボール(全体の52.5%)で、速球を投げる比率は全体の11.3%(2シーム9.5%・4シーム1.8%)に留まる「今どきの投手(ダルビッシュ有も「唯一、取られて困る」…メジャーで“カッター”急増中?  “投手の基本は真っ直ぐ”に縛られない投球術 参照)」だ。

 

 バーンズは去年からブルワーズの「四球が少なく奪三振の多い」先発の柱として活躍していたので、快記録の達成にもそれほど驚きはなかったが、彼のことを日本のスポーツ紙が「大谷世代」と表現したことには驚き、少し考えた後で「なるほどなぁ」と感心させられた。

 

1994生「大谷世代」メジャーリーガーの注目は?

 

「○○世代」という表現は日本独特のものだが、MLBにも「Class of 2021」などという言い方をすることがある。これはClass=学年の言葉通り、卒業年次や入学年次を示す表現で、MLBでは選手のデビュー年や殿堂入り選出の年次に使うことがある。

 

 大谷翔平とバーンズはともに1994年生まれ(大谷は7月5日、バーンズは10月22日)で、確かに大谷を中心に考えれば「大谷世代」だ。アメリカ風なら「Class of 1994」。同年生まれのメジャーリーガーはどれぐらい存在するのだろう? 

 

 投手では前出のバーンズを筆頭に、前田健太投手(ツインズ)の元同僚でMLB通算56勝のホゼ・ベリオス(ブルージェイズ)と同36勝のウォーカー・ビューラー(ドジャース)、ヤンキース時代の田中将大投手の同僚で同42勝のルイス・セベリーノ、同40勝で2020年にノーヒッターを達成したルーカス・ジオリート(ホワイトソックス)、同36勝の左腕マックス・フリード(ブレーブス)、通算86セーブの左腕ジョシュ・ヘイダー、同166セーブのエドウィン・ディアス(メッツ)ら、各球団で主力となっている投手が多い。

 

 野手では、大谷も参加した今年のホームラン・ダービーを連覇した2019年のナ・リーグ新人王ピート・アロンゾ一塁手(メッツ)、やはり同ダービーに出場した133本塁打のマット・オルソン一塁手(アスレチックス)、青木宣親外野手(ヤクルト)の元同僚で通算112本塁打のアレックス・ブレグマン三塁手と、同125本塁打のカルロス・コレア遊撃手(ともにアストロズ)、ダルビッシュ有投手のレンジャーズ時代の同僚で通算160本塁打のルーグネド・オドア内二塁手(ヤンキース)、昨年のワールドシリーズ最優秀選手コリー・シーガー遊撃手(ドジャース)ら錚々たる面々が揃っている。

 

アクーナ・Jr.、フアン・ソトは大谷のメジャー・デビュー同期

 

 では、少し目先を変えて、大谷が「メジャー・デビュー」した2018年に同じくデビューした「メジャー同期」にはどんな選手がいるのだろう? 

 

 大谷は同年、ア・リーグ最優秀新人賞に輝いており、ナ・リーグの同賞に輝いたのがロナルド・アクーニャ・Jr.外野手(ブレーブス 1997年生まれ)だ。彼に次いで2位だったフアン・ソト外野手(ナショナルズ 1998年生まれ)は「次世代のスーパースター」と呼ばれ、「未来のMVP候補」とも目されているが、大谷は今年、彼らに先駆けてMVPに選出される可能性が高い。

 

 ちなみにアクーニャ・Jr.とソトに続く同賞3位には前出の通り、1994年生まれの「大谷世代」のビューラーも名を連ねているが、それは彼が前年の2017年のデビューにも関わらず、「メジャー登録45日以内、50イニング以下の登板(打者は130打席以下)」という新人王の資格を持ち越していたからだ。若手No.1のジャック・フラハーティ投手(カージナルス)なども同じで、彼らもまた、それぞれの所属チームで主力選手に成長している。

 

2013年デビュー組には、日本勢もスター選手が多数

 

 1994年生まれの「大谷世代」と2018年にメジャー・デビューした「Class of 2018」は、年齢的にも全盛期にあり、現在のMLBの顔となっている選手ばかり。では大谷が花巻東高を卒業し、日本プロ野球で活躍し始めた2013年にプロ野球で活躍し始めた選手たちを「Class of 2013」とするなら、どんな選手がいるのだろう? 

 

 日本プロ野球では「大谷世代」の藤浪晋太郎(阪神)や鈴木誠也(広島)が有名だが、同年は大学出身の則本昂大(三重中京大から楽天 1990年生まれ)や、小川泰弘(創価大からヤクルト 1990年生まれ)、菅野智之(東海大から巨人 1989年生まれ)ら数多くの選手がプロ野球でデビューし、現在も活躍している。

 

 彼らはすべて2012年のドラフト会議で指名された選手で、4月に始まり、3月で終業する日本の教育システムにより、デビューは翌2013年になったわけだが、8月や9月に始まり、6月に終業するアメリカの教育システムに合わせているMLBでは事情が異なる。

 

 アメリカでは6月(現在は7月)のドラフト会議で指名されてすぐ、マイナーリーグでプロ野球デビューする選手が多いので、ここでは大谷が日本プロ野球でデビューした2013年に、アメリカ本土のマイナーリーグでデビューした選手に限定してみる。

 

「大谷世代」が今後のMLBを背負っていく

 

 出世頭はアリゾナのキャンプ施設でのルーキーリーグで調整後、フロリダ州のローA級デイトナ・カブスでプロ野球デビューしたクリス・ブライアント選手(ジャイアンツ)だろう。ブライアントはマイナー生活を2年で卒業し、2015年にメジャー・デビューして大谷と同じくナ・リーグ新人王を獲得。その翌年に打率.292、39本塁打、102打点でカブスの108年ぶりのワールドシリーズ優勝に貢献し、ナ・リーグ最優秀選手に選出された。チームが再建モードになった今夏、ナ・リーグ西地区で優勝目指して邁進しているジャイアンツにトレードされたが、内野も外野も守れるスラッガーだ。

 

 2013年にマイナー・デビューした選手は他にも、2019年のア・リーグ首位打者ティム・アンダーソン遊撃手や、2020年のナ・リーグ新人王デビン・ウイリアムス投手(ブルワーズ)など、今では現役バリバリのメジャーリーガーが多く、1994年生まれの「大谷世代」や、2018年にメジャー・デビューした「Class of 2018」の選手たち同様、各チームの中心選手として活躍している。

 

 彼らはほぼ全員が二十代後半で、選手としては今が全盛期。すでにメジャーリーグを代表する選手たちであり、これから何年間もMLBを背負っていくべき存在となっている。その中心に大谷翔平という日本人がいるという事実に、驚かされる日々である。

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「オオタニは一人で大暴れできる」MLB公式がエンジェルスの“上位荒らし”に注目!「ペナントレースに影響を与えるチャンス」※THE DIGEST

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現在62勝63敗で地区4位につけているエンジェルス。徐々にプレーオフ進出の望みが薄くなってゆく中、もう一波乱起こせるのか、その戦いぶりに注目が集まっている。

 

 MLB公式サイトは8月21日、自チームがプレーオフに進出できないフラストレーションを晴らそうと、対戦相手の進出を阻もうとする「スポイラー(台無しにするものという意味)チーム」を特集。特に戦力と機会に恵まれた5球団の一つに、大谷翔平の所属するエンジェルスを選出した。

 

 選出理由として、同記事は「メジャーで唯一、試合全体に影響を与えることができる選手を抱えている点」と表現。投打で躍動し、前代未聞の活躍を続ける大谷の存在を挙げた。

 

 さらに、「オオタニは一人で大暴れすることができるが、それ以上の魅力もある」とも。ジャレド・ウォルシュなどの中軸や、ブランドン・マーシュという若手の名を挙げ、リーグ5位のチーム打率を誇る打線の力強さにも言及した。

 

 最後の24試合のうち21試合が、対戦成績5割以上のチームとの対戦というエンジェルス。進出圏内のマリナーズ、アストロズとの対戦も多く残しており、同記事は「ペナントレースに影響を与えるチャンスは十分にある」と、“上位荒らし“を期待した。

 

 大谷の本塁打数、勝利数に大きな注目が集まるであろうシーズン終盤。チームとしても、強豪に一泡吹かせる熱い試合を繰り広げられるだろうか。

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