■試合データ

米国時間:2021年8月15日

日本時間:2021年8月16日(月曜日)05時10分開始

ロサンゼルス・エンゼルス対ヒューストン・アストロズ

@エンゼルスタジアム

 

 

エンゼルスは、3回先発リード・デトマーズがアストロズ2番マイケル・ブラントリーにソロ本塁打を打たれ先制点を許す。5回、9番ジャック・メイフィールドと1番大谷翔平の連続安打で1死2、3塁の好機をつくり、2番デビッド・フレッチャーの内野ゴロの間に同点に成功。6回、4番フィル・ゴスリンの2塁打と1死後、6番ブランドン・マーシュのヒットで1、3塁の好機をつくり、7番ジョー・アデルの内野ゴロの間に逆転に成功。8回には3番ゴスリンがソロ本塁打を放ち2点リード。先発デトマーズは、6回を1失点に抑え好投。継投ブルペンも2番手オースティン・ウォーレン、3番手ホセ・キンタナ、守護神ライセル・イグレシアスと無失点で凌ぎ接戦に勝利。分の悪かったアストロズ相手に、連敗ストップし1勝2敗と一矢報いた。

 

■今日の大谷翔平

【打者】先発1番DH

4打数 2安打 2三振

通算打率.271

 

第1打席:一塁内野安打

(状況)1回無死/走者無し

(投手)ランス・マクラーズ/右

(カウント)1B2S

(コース)内角高め

※初回先頭、右腕マッカラーズJr.の内角高めシンカーを振り抜いた。一塁・グリエルへの強烈な打球。ベースカバーに入ったマッカラーズJr.と競争となった。マッカラーズJr.はグリエルの高く浮いた送球を捕球したが、一塁ベースを踏み切れず。記録は「一塁内野安打」となった。

 

 

第2打席:空振り三振

(状況)2回2死/走者満塁

(投手)ランス・マクラーズ/右

(カウント)2S

(コース)真ん中低め

※2回に2死満塁の大チャンスで第2打席に向かったが、惜しくも空振り三振に倒れた。ただ、この打席でアストロズの先発マクラーズが投じた1球目が、外角に外れたボールと見られたところを球審はストライクとコール。ファンからは「完全にボール」と不満が漏れることとなった。

 

第3打席:センター前ヒット(送球間2塁進塁)

(状況)5回1死/走者1塁

(投手)ランス・マクラーズ/右

(カウント)1S

(コース)内角真ん中

※第2打席は、先発マクラーズが得意とするナックルカーブを3球連続投げ込んだ。この球種にタイミングが合っていないと見てか、大谷に対して第3打席も初球、2球目とナックルカーブを連続選択したが、これに大谷は気合を込めてフルスイング。マクラーズの横を痛烈に抜けるセンター前ヒットで、送球間には俊足で二塁も陥れた。

 

 

第4打席:空振り三振

(状況)7回1死/走者無し

(投手)クリスチャン・ハビエル/右

(カウント)1B2S

(コース)外角高め

※ボール気味の直球

 

 

その他情報:

・大谷の次戦先発が18日(日本時間19日)の敵地でのタイガース戦に決まった。15日(同16日)、球団が発表した。7勝目を挙げた12日のブルージェイズ戦から中5日での先発になる。タイガースとは6月17日に本拠地で対戦し、6回を5安打1失点5三振に抑え3勝目を挙げている。

 

・アイディア溢れるマドン監督の采配が、今季は大谷にとってズバリとはまっている。8月上旬からスランプに陥った大谷だったが、これの特効薬となったのが1番での起用だ。両リーグトップの39本塁打を放つ強打者に対して、相手投手がボール先行になり、四球で歩くケースも多かったが、1番を打つようになってからストライク先行の投球になったことで、大谷のバットにも快音が戻ることに。この日の試合を含め、6試合で23打数8安打2本塁打、打率.348と完全にスランプから脱出し、さらには好調に転じることになった。

 

・この日の2三振で、大谷は両リーグで5位にランクインする140三振に。トップの154三振に少しずつ近づいており、39本塁打(1位)、86打点(3位タイ)のように、メジャートップの成績も見えてきたが、今季の打率.271は三振ランク10位まで見ても最高の数字。追い込まれても合わせにいかず、フルスイングに徹していることがメジャー屈指の打球速度と本塁打数を生んでいる。

 

 

■試合情報

ジョー・マドン監督:

(試合後)

「(新人デトマーズ投手はデビュー3戦目で待望の勝ち星)弱い打球に仕留めてアウトを奪えた。間違いなく自信につながる。試合が進むにつれて、良くなっていった。アジャストし、球威も増した。相手は本当に良い打線。常に感情をコントロールしていた。彼にとって素晴らしい1日だ。(前回までの登板との違いを問われ)自信に尽きる。過去2度の登板もそこまで酷いわけではなかった。良い面も悪い面もあった。過去の登板から学ぶことができた」

 

 

デビッド・フレッチャー内野手:

・“ミートの鬼”フレッチャーは、中継局BSウエストによれば、7回の右飛で「30打席連続で空振りなし」。さらにコンタクト率91・2%は、メジャートップを誇る。球団地元紙オレンジカウンティー・レジスターは、5月後半から四球が増えている大谷の直後を打つ理由について「ミート力だ。マドン監督は、相手投手が大谷にストライクを投げないのならば、フレッチャーが大谷を得点圏に進ませるか、走者2人の場面を作ることもできると考えている」と報じた。同監督は、フレッチャーについて「良いというレベルではなく、素晴らしいというレベルで他の選手とは全くメソッドが異なる選手。翔平と同様、私は常に彼の話に耳を傾けるようにしている」と評した。

 

アダム・イートン外野手:

・エンゼルスは15日(日本時間16日)、イートン外野手をメジャー出場の前提となるロースター40人枠から外すDFAの手続きを取ったと発表した。事実上の戦力外となる。代わって救援右腕ジェームズ・ホイトをメジャー昇格させた。32歳のイートンは今季開幕をホワイトソックスで迎えたが、7月7日に戦力外となった。同14日にエンゼルス入り。今季は2球団で83試合出場し、打率.201、6本塁打、30打点、3盗塁だった。メジャー通算914試合出場し、打率.276、66本塁打、319打点、87盗塁。エンゼルス外野手陣では若手有望株マーシュやアデルがメジャー昇格。アップトンも負傷者リストから復帰していた。

 

ダスティ・ベイカー監督:

「彼(大谷)は稀少なアスリート。彼にできないことはない。彼のプレーを見るのが本当に楽しいんだ。我々と対戦しているときは、楽しめないけどね。(大谷のような選手は見たことがあるか?)NO。NOだ。子供の時であれば彼のような選手はいるかもしれない。投打両方をやらせても、怪我をするのではないかと心配になるだろう。しかし、彼はどんなスポーツでもできただろう。やろうと思えば出来ないスポーツはおそらくないだろう」

 

ランス・マクラーズ投手:

「ストライク先攻のカウントも多かったし、悪くなかった。強い当たりもほとんどなかったが、ゴロが内野を抜けたりして、展開が我々に味方しなかった。(大谷とは3度対戦して2安打を許し、しかも9球中7球がナックルカーブだった。そのカーブについて問われると)とても良かった。シーズンを通じて左打者に投げているけれど、今日は右相手に投げても良かったのかも知れない。(5回の)大谷に打たれたボールが唯一の強い当たりだったと思う」

 

 

■関連情報

筒香嘉智内野手:

・米大リーグ、ドジャース傘下のマイナー、3Aオクラホマシティーから契約解除された筒香外野手がパイレーツに移籍することが分かった。身体検査などの手続きが完了次第、メジャー契約で正式にサインし、近日中に球団から発表される。16日(日本時間17日)から行われるロサンゼルスでのドジャース戦でベンチ入り26人枠に入り、メジャー復帰する見込み。レイズ、ドジャースに続き、今季3球団目となる。すでに筒香はロサンゼルス入りしている。パ軍は外野手のギャメルが今月6日に右太もも裏を痛めて負傷者リスト(IL)入りし、外野手が不足した。メジャー出場の前提となるメジャー40人枠を外れていたが、3Aで打撃の調子を上げていた筒香にメジャー契約のオファーを出したことで交渉は一気に進んだ。

 

 

ゲリット・コール投手:

・ヤンキースのアーロン・ブーン監督は15日、新型コロナウイルス検査で陽性反応を示したことにより戦列を離れていた先発右腕コール投手について、16日のエンゼルス戦で復帰すると発表した。先月29日のレイズ戦を最後に登板のないコール。症状自体は軽度だったものの、2週間を超える離脱中に体重が減ったという。同投手は「調子はいいし、準備はできている。登板がとても楽しみだ」とコメント。本人は感染経路は分からないというが、ヤンキースでは新型コロナウイルスの感染が相次ぎ、ジョーダン・モンゴメリー投手、ゲーリー・サンチェス捕手、アンソニー・リゾ一塁手、クレイ・ホームズ投手もいまだ負傷者リスト(IL)に入っている状況。コールは「不衛生なバーに行って、朝4時まで体を密着させて踊っているというわけではないし、みんな気をつけてはいる。私たちにできることは、祈ることと、免疫力の低い人たちのために追加のワクチン接種をすることだと思う」と語った。

 

 

■メディア

スポーツ専門サイト『the Score』:

「オオタニは別次元にいる」大谷翔平がア・リーグのMVPランキング1位に選出!スポーツ専門サイトが報道(THE DIGEST)

8月14日、「MLBのMVPランキング」と題した記事で、現時点での両リーグにおける最優秀選手トップ5をピックアップ。ア・リーグの1位にはロサンゼルス・エンジェルスの大谷翔平が選出。記事内では「ホームランダービー以降、やや調子を落としている」としながらも、「本塁打数、長打率、長打数でメジャートップだ」と圧倒的な打棒を示すスタッツを紹介。加えて、MVP投票で重要視されている勝利貢献度のfWARについて「ア・リーグの4位につけている」と言及。また、同サイトは「オオタニは打者としてあまりに優れているため、投手としての驚異的な数字を見落としがちだ」と指摘すると、「もし彼が十分なイニング数をこなしていれば、ERAでア・リーグ4位、K/9で3位、WHIPで6位にランクインしているだろう」と予測。「オオタニは選手として別次元にいるんだ」と絶賛の言葉を止めなかった。今回紹介された両リーグのMVPランキングは以下のとおり。1位 大谷翔平(エンジェルス)、2位 ブラディミール・ゲレーロJr.(ブルージェイズ)、3位 マーカス・セミエン(ブルージェイズ)

 

宇根夏樹氏:

オールスター後の1ヵ月に最もホームランを打っているのは…。大谷翔平はトップ10に入らず(スポナビ)

 

斎藤庸裕氏:

元祖二刀流ルースの命日に不思議な縁 大谷翔平が再びヤンキースタジアムへ(日刊スポーツ)

ヤンキース本拠地で目立つ大谷翔平「リアル二刀流」不敗神話続くか(日刊スポーツ)

 

久保田龍雄氏:

大谷翔平、ダルビッシュ有が負けた…「高校最後の夏」スター選手に黒星をつけた男たち(デイリー新潮)

 

 

豊浦彰太郎氏:

「フィールド・オブ・ドリームス・ゲーム」が問いかけるベースボールへの愛と郷愁(JSPORTS)

 

 

■NOTE

40号はお預けとなったが、今日もマルチ安打で勝利にも貢献できた。結果に勝る良薬無しで、今後も好調をキープできるんじゃないか。ただ、大谷本人が一番結果を残したかった打席は、2回2死満塁の絶好機だろう。結果はマクラーズのナックルカーブ3球で空振り三振となったシーン。この打席の大谷は、「不運」だったと自分は思う。

 

初球の完全に外角に外れたコースを、ストライク判定されてしまったことが不運の元凶。大谷も外側に外れたボールだと自覚したはずだが、初球だし表情にはみせなかった。しかし、これで大谷のストライクゾーンに対する視覚が狂ってしまった?縦に大きく曲がるナックルカーブは、ゾーンをかすめてストライクになってしまうと考えたのではなかろうか。その後2球続いた低めボールゾーンのナックルカーブに、2度空をきった。

 

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三振後、ベンチに戻る大谷は首を振り不満気な表情をみせた。初球はボールゾーンだったはずとの不満か?、ボールゾーンの悪球に手を出し空振り三振してしまった自身の見極めか?初球の判定で自身のストライクゾーンにズレが生じ2球続けてボールゾーンを空振りした、この打席トータルの後悔か?何れでもないかもしれないが、「ダメダメダメ…」的な表情はみてとれた。

 

ただ、次の3打席目には、しっかりリベンジしてみせた。あのナックルカーブをしっかりセンターへ弾き返した。このあたりは、大谷の強みとする修正力やリベンジしてやるという気迫が勝ったと思う。低調なときには易々と修正力も発揮できないだろうが、今はまた状態が上向きに進んでいるんだろう。いい兆候だと思う!

 

ちなみに、きょうの主審は外側のボール気味のコースをストライク判定するケースが度々みられた。少なくとも自分が目撃しただけで、9回イグレシアスが投げた3球はゾーンを外れているようにみえた。しかし、全部ストライク判定だった。エンゼルス番のフレッチャー記者は、少し前に大谷に対する厳しいゾーン判定について、不公平は無いと言っていた。シーズントータルでみれば、プラスとマイナス判定で帳消しされているはずだというのが根拠だった。

 

9回のアストロズ打線へのゾーン外のストライク判定をみて、とても納得した。

だから、2打席目を「不運」と結論付けることにした。

 

新星デトマーズの1勝目は嬉しい!ルーキーの頑張りは未来の可能性!

 

お預けの40号は、今季相性のいい次戦のヤンキースタジアムで成し遂げて貰おうか。ポストシーズン進出にむけて躍起になっているヤンキースに一泡吹かせてやろうぜ!

 

 

エンゼルスの新人左腕・デトマーズがメジャー初勝利 大谷翔平は2試合連続のマルチ安打※MLB.JP

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 エンゼルスは3度目の先発登板となった新人左腕リード・デトマーズが6回87球を投げて被安打3、奪三振6、与四球2、失点をソロ本塁打の1点のみに抑える好投を披露。リリーフ陣は走者を出しながらもアストロズ打線に得点を与えず、デトマーズには記念すべきメジャー初勝利(2敗)が記録された。エンゼルス4番手のライセル・イグレシアスは今季26セーブ目をマーク。アストロズ先発のランス・マカラーズJr.は6回途中6安打2失点で今季4敗目(9勝)を喫した。

 昨年のドラフト1巡目(全体10位)指名でエンゼルスに入団したデトマーズが記念すべきメジャー初勝利を手にした。デビュー戦は5回途中6安打6失点、前回登板も5回7安打5失点と打ち込まれたが、今日はアストロズの強力打線を相手に持ち味を発揮。カーブとスライダーを効果的に使い、6つの三振はすべて変化球で奪った。3回表二死からマイケル・ブラントリーに8号先制ソロを許したものの、失点はこの1点だけ。2回表と4回表のピンチは三振で切り抜け、残りの3イニングはいずれも三者凡退に抑えた。

 エンゼルスの大谷翔平は今日も「1番・DH」でスタメン出場し、4打数2安打を記録した。第1打席でファーストへの内野安打を放ったあと、第2打席は空振り三振に倒れたが、第3打席でセンターへのヒットを放って2試合連続のマルチ安打。第4打席は再び空振り三振に倒れ、シーズン40号到達は次戦以降に持ち越しとなった。今季の打率は.271、OPSは1.017となっている。
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オールスター後の1ヵ月に最もホームランを打っているのは…。大谷翔平はトップ10に入らず※宇根夏樹氏

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 後半戦が始まり、ちょうど1ヵ月が経った。このスパン(7月16日~8月15日)に最も多くのホームランを打ったのは、15本のジョーイ・ボトー(シンシナティ・レッズ)だ。通算本塁打は300本を超え、シーズン35本以上は2度あるものの、7月に11本のホームラン――7月20日~30日の10試合で10本――を打つまで、月間二桁はキャリアを通して一度もなかった。年齢は、来月で38歳。まさに驚異だ。

 ボトーより4本少ないものの、ア・リーグでは最多のジョージ・スプリンガー(トロント・ブルージェイズ)は、遅れを取り戻そうとするのかのように打ちまくった。1月に6年1億5000万ドルの大型契約で入団しながら、相次ぐ故障により、シーズン初出場は4月28日。さらに、そこから4試合に出場しただけで、再び1ヵ月半以上の離脱を余儀なくされた。ただ、8月14日にジャンプしてフライを捕ろうと試み、センターのフェンスにぶつかって左の足首を痛めた。まだ状況はわからないが、またしても故障者リストに入ることになるかもしれない。

 

 

どちらのリーグも、このスパンのトップ10は7本塁打以上を記録している。このなかに、それぞれのリーグでシーズン本塁打1位の2人、39本の大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)と33本のフェルナンド・タティースJr.(サンディエゴ・パドレス)は入っていない。とはいえ、大谷はこのスパンに6本。前半戦を終えた時点と比べ、2位のブラディミール・ゲレーロJr.(ブルージェイズ)との差は1本しか縮まっていない。5本差→4本差だ。タティースJr.はこのスパンに5本。7月末に故障者リストへ入ったが、8月15日に復帰し、本来の遊撃ではなくライトを守り、2打席目と3打席目に続けてホームランを打った。こちらは、ボトーとアダム・デュボール(アトランタ・ブレーブス)に7本差をつけている。

 また、エンジェルスでは、6月13日にシアトル・マリナーズから移籍したジャック・メイフィールドが、このスパンに大谷を1本上回るホームランを記録した。前半戦は、両チームの計18試合で0本(とAAAの計16試合で5本)だった。一方、前半戦に、エンジェルスで大谷に次ぐ22本塁打のジャレッド・ウォルシュは、後半戦に入ってから15試合に出場し(7月28日~8月10日は故障者リスト入り)、ホームランをまったく打っていない。

 なお、このスパンに7本塁打以上は、リストの計30人以外にもいる。違うリーグへ移籍した2人だ。ホルヘ・ソレーアは、カンザスシティ・ロイヤルズで6本とブレーブスで3本の計9本を記録している。アンソニー・リゾーは、シカゴ・カブスで4本とニューヨーク・ヤンキースで3本の計7本だ。

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元祖二刀流ルースの命日に不思議な縁 大谷翔平が再びヤンキースタジアムへ※日刊スポーツ

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二刀流・大谷がヤンキースタジアムに再び登場する。16日の1試合のみ、同球場で打者としてプレーする。悪天候で順延された代替試合が、偶然にもルースの命日に重なる不思議な縁。相手の先発はエース右腕コールで、100マイル(約161キロ)を超える直球が武器の剛腕とのパワー勝負となる。40号が出れば、左打者では球団史上最多。ルース以来、約100年ぶりの二刀流が、仕切り直しのヤンキース戦で偉業に挑む。

 

大台到達へ、状態は上向きだ。「1番DH」で出場したアストロズ戦では4打数2安打。1回の第1打席で内野安打を放ち、5回1死の第3打席は右腕マクラーズのナックルカーブを捉え、中前へのクリーンヒットで2本目の安打を放った。中堅手から三塁へ送球される間に大谷は二塁へ進塁し、1死二、三塁とチャンスメーク。2番フレッチャーの同点打につなげた。

 

これで、1番打者で起用された10日のブルージェイズ戦のダブルヘッダー第2試合から6戦連続安打をマーク。連続試合安打は今季最長タイで3度目となった。2試合連続のマルチ安打は7月25日のツインズ戦以来、今季4度目。タイトル争いを続ける本塁打と打点こそなかったが、打率は2割7分1厘に上がった。

 

チームは投手陣が粘り、連敗を2で止めた。本拠地での7連戦を3勝4敗で終え、ヤンキースタジアムから始まる敵地での戦いに臨む。大谷の次回登板は18日(同19日)タイガース戦に決定。投手では6連勝中で、8勝目をかけて先発マウンドに上がる。11日間の遠征を、二刀流で一気に駆け抜ける。

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【メモ】ヤンキース本拠地で目立つ大谷翔平「リアル二刀流」不敗神話続くか※日刊スポーツ

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【アナハイム(米カリフォルニア州)15日(日本時間16日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(27)が、大台の40号到達へ再び聖地ヤンキースタジアムの打席に立つ。

 

悪天候で中止となった7月1日の代替試合で16日にヤンキース戦が組み込まれ、エース右腕コールと対戦する。8月16日は元祖二刀流ベーブ・ルースの命日。「1番DH」で出場した15日のアストロズ戦では6戦連続安打&2試合連続マルチ安打をマークし、弾みをつけた。

 

  ◇  ◇  ◇

 

6月28日、エンゼルス大谷翔平は3年ぶりにヤンキースタジアムでプレーし、第1打席でいきなり本塁打を放った。

 

同球場での初安打が初本塁打。さらに翌日、3戦連発&2打席連続となる1試合2発をマークし、2試合で3本塁打。ブーイングを浴びていた1年目とは違い、歓迎ムードのヤンキースファンを大いに沸かせた。3戦目はDHを解除して「1番投手」のリアル二刀流で出場し、2/3回で7失点KO。それでも9回にチームが大逆転で大谷の負けが消え、リアル二刀流の不敗神話が続いた。

 

1年目は当時ヤンキースに在籍していた田中将大投手(32)と対戦し、2打数無安打2三振で完敗。守護神チャプマンとは全球直球勝負で力と力でぶつかりあい、結果は遊ゴロも見せ場を作った。打者で打っても打てなくても、投手では打たれても、ヤンキースタジアムで目立つ大谷。何かが起きそうな予感が漂う。【MLB担当=斎藤庸裕】

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大谷翔平、ダルビッシュ有が負けた…「高校最後の夏」スター選手に黒星をつけた男たち※デイリー新潮

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新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、2年ぶりの開催となる夏の甲子園。甲子園大会と地方予選を含めて、長い歴史を振り返ると、幾多の名勝負が繰り広げられてきた。そのなかでも、メジャーリーグやプロ野球で活躍するスター選手を倒した選手を覚えているだろうか。今回は、大谷翔平(エンゼルス)、ダルビッシュ有(パドレス)、そして涌井秀章(楽天)の「高校最後の夏」に黒星をつけた男たちを振り返ってみたい。

 

勝敗を分けた二橋の一発

 2012年、高校最後の夏に東北から初の日本一を目指した花巻東時代の大谷翔平は、岩手大会決勝で盛岡大付に3対5で敗れた。“未来のメジャーリーガー”の夢を打ち砕いたのは、盛岡大付の4番・二橋大地のバットだった。

 

 準決勝の一関学院戦では、当時、高校野球史上最速の「夢の160キロ」を実現した大谷だったが、この日は、低めの制球に苦しみ、2回に8番打者に先制タイムリーを許す。

 

 盛岡大付の各打者は「大谷を打ち込まないと甲子園はない」を合言葉に、バッティングマシンを150キロに設定。10メートルの至近距離から速球対策の特訓を積んでいた。主砲・二橋のバットが火を噴いたのは、1対0の3回だった。

 

 1死一、二塁のチャンスで、打席に立った二橋は、大谷の148キロ直球が外角やや高めに入るところを見逃さずにとらえ、左翼ポール際に運んだ。ポール付近にいた観客は「ファウル」のゼスチャーを見せたが、三塁塁審の判定は「ホームラン」だった。

 

 花巻東側は3度にわたって抗議するも、判定は覆らず、スリーランホームランとなった。花巻東は5回に1点を返し、9回にも大谷のタイムリーなどで2点を挙げたが、反撃もここまで。結果的に二橋の一発が勝敗を分けた。

 

 しかし、甲子園に乗り込んだ盛岡大付は、初戦で逆転負けを喫してしまう。さらに、閉会式では、高野連の奥島孝康会長が「とりわけ残念だったのは、花巻東の大谷投手をこの甲子園で見られなかったこと」と発言するなど、地元ファンに“疑惑のスリーラン”と非難されたことと併せて、悔しい思いを味わった。二橋はその後、東日本国際大の4番を経て、現在も三菱重工Eastでプレーを続けている。

 

「初球を狙っていけ」

 続いて紹介する選手は、04年に優勝候補だった東北高のダルビッシュ有から決勝打を放った千葉経大付の背番号14・河野祥康だ。

 

 ベスト8進出をかけた3回戦、雨が降りしきるなか、ダルビッシュは8回まで5安打無失点に抑え、1対0とリードした9回表も2死三塁と、勝利まであと一人となった。だが、次打者を三ゴロに打ち取り、ゲームセットと思われた直後、三塁手がまさかの一塁悪送球。1対1の同点となり、延長戦にもつれ込んだ。

 

 土壇場で息を吹き返した千葉経大付は、10回も2死二塁のチャンス。この場面で、9回から一塁守備に就いた河野に打順が回ってきた。本人は代打を出されると思っていたが、「控えの選手が順番をずっと待って耐えてきた」とその心中を理解していた松本吉啓監督は「初球を狙っていけ」とそのまま打席に送り出した。

 

 監督の指示どおり、ダルビッシュの初球、外角直球に無心でバットを出すと、ピッチャー返しの打球が二遊間を抜け、二塁走者が決勝のホームを踏んだ。河野にとって、これが公式戦初安打だった。

 

 その裏、エース・松本啓二朗(元DeNA)が最後の打者・ダルビッシュを見逃し三振に打ち取り、劇的な勝利を飾った。「技術より気持ちで打った。みんなの期待が伝わってきて、それで打てた」という守備要員の執念が、「雲の上の存在」だった大会ナンバーワン投手をマウンドに沈めた。

 

 高校最後の夏に「最高の思い出」を味わった河野は卒業後、父と同じ警察官の道を歩み、警視庁の野球チームでも4年間プレーしている。

 

“松坂2世”からサイクル安打

 最後に紹介するのは、“松坂2世”といわれた横浜高時代の涌井秀章を倒した男だ。涌井からサイクル安打を記録した駒大苫小牧の林裕也である。

 

 04年、初戦となった2回戦の佐世保実を7対3で下し、悲願の甲子園初勝利を挙げた駒大苫小牧は、3回戦でも日大三に7対6と打ち勝ち、ベスト8に駒を進めた。

 

 そして、準々決勝の横浜戦、2回に涌井からバックスクリーン右に特大弾を放ち、貴重な先制点をもたらしたのが、7番を打っていた2年生の林だった。

 

 林は続く3回にタイムリー二塁打、5回にはタイムリー三塁打、7回にもタイムリーを放ち、大会史上5人目のサイクル安打を達成した。涌井も「何を投げても、コースを突いても跳ね返された」と林の打撃センスに脱帽するしかなかった。

 

 林は、5試合で10安打8打点、打率.556と打ちまくり、北海道勢初の全国制覇に貢献する。主将になった翌年も、再び打率.556を記録して、エースの田中将大(楽天)とともに夏の甲子園連覇を達成した。その後、駒沢大を経て、東芝で主将を務めるなど、31歳まで現役を続け、19年に駒沢大のコーチに就任している。

 

久保田龍雄(くぼた・たつお)

1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2020」上・下巻(野球文明叢書)

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「フィールド・オブ・ドリームス・ゲーム」が問いかけるベースボールへの愛と郷愁※JSPORTS

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MLBの「フィールド・オブ・ドリームス・ゲーム」が終わった。ホワイトソックスとヤンキースが合見えたこの試合の内容は、やたらホームランと三振が多いというイマドキのMLBゲームの典型だったが、トウモロコシ畑に本塁打がポンポン飛び込むのは、現場に居合わせた約8000人の幸運なファンには堪らなかっただろう。もちろん、最終回に双方が逆転するという展開はスリル満点だった。

 

この試合で感心したのが、まずは演出だ。1989年の映画「フィールド・オブ・ドリームス」へのトリビュートが溢れていた。主人公のレイ・キンセラ役のケビン・コスナーが、トウモロコシ畑から映画の中での“シューレス”・ジョー・ジャクソンら選手の亡霊のように姿を現す。そして、両軍の選手もだ。もうこの場面だけで、胸に熱いものが込み上げてきた。試合開始後、陽が沈む頃の美しい夕闇も幻想的だった。ファウルエリアの芝生上や投手プレート後部のダート部分に、MLBが昨季から導入した広告がないのも良かった。手動スコアボードもノスタルジーに溢れていたと思う。

 

一方で、チト残念なこともあった。まずは、両軍の復刻ユニフォームだ。MLBは昨季からナイキと10年10億ドルのユニフォーム提供契約を結んでおり、右胸にナイキのロゴであるスウッシュが入るようになった。それは今回のようなスローバック(復刻)ユニフォーム企画においても同様なのだ。普段のレギュラージャージなら「まあ、これも時代の流れか」と受け入れてきたが、復刻企画の場合は興醒めを超えて、バチ当たりに思えてしまう。

 

また現場には、コスナーとともに、映画で親子のキャッチボールという感動的なエンディングシーンを演じたレイの父親ジョン・キンセラ役のドワイアー・ブラウンも居合わせながら、彼らを始球式に起用しなかったのは理解に苦しむところだった。

 

商魂逞しいMLBは、来年もフィールド・オブ・ドリームス・ゲームを開催するそうだ。惜しまれるうちにやめておいた方が賢明だと思うが、この映画というか、WP・キンセラによる原作の小説「シューレス・ジョー」において、家族愛と並ぶ重要なテーマのひとつがベースボールへの愛と郷愁なので、セイバーメトリクスと高性能電子デバイスによる解析だらけの現在のMLBにおいて、それはそれで意味があると思う。

 

原作では、隠遁状態の作家JD・サリンジャー(映画では架空の人物テレンス・マン)がこう語る。「長い年月、まったく変わらないもののひとつが野球だった」(永井淳訳・文藝春秋刊)。確かに野球は世代を超えて愛されるold ball gameだが、実は、必ずしも不変ではない。MLBはその1世紀半の歴史の中で、ルールも、戦術も、運営も著しく変化し、ビジネス規模は別次元の域までに拡大した。

 

だからこそ、ベースボール本来の魅力を見直したいと思う。原作の中でトウモロコシ畑から出てきたシューレス・ジョーがベースボールへの愛を語る場面がある。「あんたはバットかボールに顔を近づけたことがあるかい。ニスの匂い、革の匂い。(中略)そういうものについて話すだけで、生まれてはじめてダブル・ヘッダーを見に行く子供みたいに体じゅうが疼きだすんだ」。ぼくは映画での涙を誘うラストシーン(実は原作にはない)以上に、この場面が好きだ。

 

恐らく数年のうちに、MLBはストライク・ボール判定において球審がAI判定を参照する通称「ロボ審判」を導入するだろう。ベースボールは今までも、これからも変わり続けるだけに、この映画と原作が語りかけるその変わらぬ部分の魅力を再認識することはとても大切だと思う。

 

文:豊浦彰太郎

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