■試合データ

米国時間:2021年8月13日

日本時間:2021年8月14日(土曜日)10時38分開始

ロサンゼルス・エンゼルス対ヒューストン・アストロズ

@エンゼルスタジアム

 

 

エンゼルスは、4回先発パトリック・サンドバルがアストロズ打線に四球2つとヒットで無死満塁のピンチを招き、6番カイル・カッターに痛恨の満塁本塁打を浴びて4点を失う。打線は相手先発ザック・グリンキーに7回まで無失点に抑えられたが、8回に継投2番手のケンドール・グレーブマンから2死1、2塁の好機をつくり1番大谷翔平のタイムリーで1点を返す。しかし、反撃はここまで。先発サンドバルは5回途中で降板後、ブルペン陣は無失点に抑えたが、打線は1点しか奪えなかった。

 

■今日の大谷翔平

【打者】先発1番DH

4打数 1安打 1打点 1三振

通算打率.267

 

第1打席:ショートライナー

(状況)1回無死/走者無し

(投手)ザック・グリンキー/右

(カウント)2B2S

(コース)外角真ん中

※カウント2-2からの5球目だった。変化球をうまく拾って快音を残したが、二塁ベース右に位置していた遊撃のコレアの真正面。シフトにひっかかる遊直に倒れた。

 

 

第2打席:ライトフライ

(状況)3回1死/走者1塁

(投手)ザック・グリンキー/右

(カウント)初球

(コース)外角低め

※0ー0で迎えた3回1死一塁。ここでは積極的に仕掛けた。初球。グリンキーの外角に沈む球を拾うと、右翼へ大きな打球が飛ぶ。ただフェンスから約2メートル手前での右飛。スタンドのファンからもため息が漏れた。

 

 

第3打席:空振り三振

(状況)6回1死/走者無し

(投手)ザック・グリンキー/右

(カウント)2B2S

(コース)外角低め

※2ストライクと追い込まれてから3球ファウルで粘ったが、最後は外角のチェンジアップに空振り三振を喫した。

 

 

第4打席:三遊間内野安打

(状況)8回2死/走者1、2塁

(投手)ケンドール・グレーブマン/右

(カウント)1S

(コース)内角真ん中

※3打数無安打で迎えた、4点を追う八回の第4打席。2死一、二塁の場面で2番手のグレーブマンと対戦した。内角の直球にバットを折られながら放った一打は、速度90キロのボテボテの打球。だが、三遊間が大きく空いたシフトをあざ笑うかのようにしぶとく三遊間を抜ける左前適時打となった。外野手がもたつく間に好走塁で二塁も陥れた。2試合ぶりの打点をマーク。今季85打点とし、ホワイトソックス・アブレイユ、レッドソックス・デバースに並んでリーグ2位タイに浮上した。

 

 

 

その他情報:

・大谷翔平が13日、本拠地アナハイムのエンゼルスタジアムで行われたアストロズ戦前に、7月の月間MVPの表彰式に臨んだ。6月に続き、2カ月連続の受賞は日本選手初。マウンド付近でマドン監督からトロフィーを受け取り、写真に納まった。

 

 

・英国の大手ブックメーカー「ウィリアムヒル」が、大谷のア・リーグMVPに対して「今シーズン最安オッズ」を付けた。大谷のオッズは6月までブルージェイズのウラジーミル・ゲレロ内野手と接戦だったが、7月に入って以降、大谷が徐々にリードを広げていた。11日(日本時間12日)の時点では1.12倍だったが、12日(同13日)のブルージェイズ戦で「1番・投手」で出場。6回3安打2失点で今季7勝目を挙げたことはもちろん、本塁打ランキング2位のゲレロとの直接対決で一発を許さなかったことで、今シーズンで“最も安い”1.08倍へと下降した。

 

・現地時間8月12日に今季7勝目を飾った大谷は、ここまで17試合に登板し、防御率2.93、112奪三振と好成績を収めるなか、米スポーツ専門メディア『Bleacher Report』が発表した「過去3か月のMLBのえげつない球種ランキング」に選出された。同ランキングが理想とするピッチングは「速さや動き、他球種の質が際立っているというだけでなく、『打てない!』と打者が叫ぶ統計が高いもの」と定められており、結果のみならず美学的観点からも評価。大谷のスプリットは堂々の2位に選ばれた。同メディアは、「メジャー最高のホームランバッターとして働いているが、ショウヘイ・オオタニは偉大な投手の一人としても脚光を浴びている」と紹介し、スプリットについて以下のように評した。「平均球速87.6マイルのスプリットは、今日の野球界で最速の1つ。下向きのアクションは他のスプリットに比べてさほど印象的でないが、プレートから数インチ離れたところでボールに動きが起こっているようだ。打者が打てないのも無理はない」同ランキングの1位には、フレディ・ペラルタ(ブルワーズ)の4シームが選出。

 

■試合情報

ジョー・マドン監督:

(試合前)

「(前日ゲームの大谷)もう少し投げたかったのだろう。6~7回投げて、非常に効率的な投球をしていた。それが私としては嬉しい限りだ。(試合後に『自分の中でのマックスに良い状態ではない。もっともっと思い切りよく、体全体を使って、まだまだいけるんじゃないかなと思っています』との発言に触れ)彼が昨日言っていたのは、打者として貢献し、投手としてさらに長いイニングを投げたいということだと思う。現状においてはこれまでの活躍を上回るのは難しいことだと思う」

 

ザック・グリンキー投手:

「全ての球が非常に効果的だった。制球も非常に良かった。相手もいくつかの球をうまく打っていたが、良い投球ができた。(大谷は)対戦する度にバッティングが良くなっている。今年2回目に対戦したときは全部の打席で集中していると感じたが、今日も同様に自分のするべきことをしっかりやっていたと思う。(2打席目の)打球は僕たちのホームだったら入っていたかもね」

 

 

■関連情報

ブラディミール・ゲレーロJr.内野手:

・マリナーズのミッチ・ハニガー外野手が13日(日本時間14日)、本拠地でのブルージェイズ戦で、本塁打王争いの行方を左右しかねない“美技”を披露。35本塁打でリーグ2位のゲレーロJr.が放った本塁打性の大飛球を、フェンス際でジャンピングキャッチ。初回2死走者なしの場面で、ゲレーロJr.が放った打球は右翼方向に高々と飛んだ。スタンドインすれば36号。リーグトップを快走するエンゼルス・大谷翔平投手とは2本差に迫るはずだったが、アーチは“幻”となった。右翼のハニガーはタイミングをはかりながら助走をつけ、フェンス側でジャンプ一番。打球をグラブにおさめ、“本塁打強奪”に成功した。

 

 

 

■メディア

益野智行氏:

FNNロサンゼルス支局長

数えてみたら大谷翔平選手が131人!! 「顔だらけTシャツ」の仕掛け人に聞いた(FNNプライムオンライン)

 

宇根夏樹氏:

エンジェルスのトラウトは、今シーズン中に復帰できるのか。あるいは、できるとしても復帰させるべきなのか(スポナビ)

 

笹田幸嗣通信員:

大谷 “世紀の対決”ゲレロ斬り7勝目 15発以上の本塁打トップと2位の投打対決はメジャー初(スポニチ)

 

 

スポニチ:

「フィールド・オブ・ドリームス」の世界を忠実に再現 5.5億円を投入したMLBの戦略

 

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■NOTE

やっぱり、NHK BSの中継ゲームは見応えが違うなあ。番組内で今月の放送は、たったの2試合しか放送されないことが明らかになった。パラリンピックが終わるまではレギュラー放送に戻らないようだ。「ワースポMLB」だけでも再開してくれたことはありがたいが。

 

大谷の打撃は復調傾向にみえた。1打席目はシフトに阻まれたが、しっかり捉えていた。2打席目も、打った瞬間ホームランかなと思った飛球。3打席目の空振り三振は、2−2からグレインキーの変幻自在のピッチングに3球ファールで粘ったが、最後は外角低めに逃げるチェンジアップに仕留められた。三振に討ち取られたが、見応えある勝負だった。試合後の談話で、グレインキーも大谷の打撃を讃えるコメントがあったのも頷ける。グレインキー自身の調子がいい中で、大谷だけは必死に食らいついていた感じにみえた。今日のグレインキーの投球術をみていて、最近の大谷のピッチングにダブってみえた。ゾーン内へストライク先行で変化球の緩急と直球をうまく操っていた。大谷自身も3度打席に立って、自身のピッチングにすごい参考になった対決だったんじゃなかろうか。そんな風にみえた見応えある対戦だった。

 

最終打席は、もちろんホームランを期待してみていたが、内側のボールを意地で反対方向へ運んでみせた。そして、一瞬の隙をついて2塁まで進塁したところも大谷らしさ。

 

今日の先発サンドバルは、調子が良くない?なりに奮闘していたが、あの4回だけ残念だった。後続がアストロズ打線相手に無失点で抑えたところはブルペンも進化している。1試合も無駄にしない残りのシーズンを過ごそう!

 

エンゼルスが苦手アストロズに敗れて再び借金生活突入 大谷翔平のタイムリーによる1点だけ※MLB.JP

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 ブルージェイズ4連戦の最終戦に勝利して勝率5割復帰を果たしたエンゼルスは、今日から本拠地でのアストロズ3連戦がスタート。その初戦はアストロズ先発のザック・グレインキーを攻略できず、1対4で敗れた。今季のエンゼルスは同地区の上位3チームを苦手としており、対アスレチックス4勝12敗、対マリナーズ5勝8敗、そして対アストロズは今日の試合を含めて3勝7敗。苦手のアストロズに敗れ、またしても借金生活に投入した。

 

 エンゼルス先発のパトリック・サンドバルは3回までアストロズ打線をわずか1安打に抑えていたが、4回表先頭から二者連続四球を与え、アレドミス・ディアスにはヒットを許して無死満塁の大ピンチ。ここでカイル・タッカーに22号グランドスラムを浴び、4点を先制された。5回途中から継投に入り、6回以降はアストロズの打者12人をパーフェクトに抑えるなど、リリーフ陣が好投を見せたものの、打線はグレインキーの前に7回まで無得点。8回裏に大谷翔平のタイムリーで1点を返すのが精一杯だった。

 

「1番・DH」でスタメン出場した大谷は、グレインキーと対戦した3打席はショートライナー、ライトフライ、空振り三振でいずれも凡退。8回裏の第4打席は二死1・2塁のチャンスで2番手ケンドール・グレイブマンと対戦し、詰まった打球がシフトの逆を突く形でレフト前に抜けるタイムリーとなり、大谷は守備がもたつく間に二塁を陥れた(記録はサードへの内野安打)。4打数1安打1打点で今季の打率は.267、OPSは1.012となっている。

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数えてみたら大谷翔平選手が131人!! 「顔だらけTシャツ」の仕掛け人に聞いた※FNN

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大谷選手の顔・顔・顔!!!

 

その日、観客席は大谷翔平選手の「顔」だらけだった。アメリカ・メジャーリーグ、エンゼルスの本拠地で8月11日、先着1万4000人に配られたのは大谷選手の「顔だらけTシャツ」。一度見たら忘れない、いや、忘れられない奇抜なデザインはインパクト大だ。

 

このグッズは2019年にも一度配られていたが、今シーズン大谷選手の快進撃とともに、球場でこれを着たファンの姿が注目され「あれはどこで買えるんだ!?」とSNSなどで話題になっていた。二回目の配布となった11日は、このお宝Tシャツを求めるファンが開場前から詰めかけた。

 

Tシャツをもらったファン:

「すてき、宝物にします!」

 

Tシャツをもらったファン:

「最高だね、これ以上のものはないよ!これが欲しかったんだ」

 

Tシャツ一枚で大谷選手が何人?数えてみた

一枚のTシャツに大谷選手の顔は幾つプリントされているのか。気になったので、数えてみた。

「大谷選手が1人、大谷選手が2人、大谷選手が3人・・」

 

しかし、すぐに目がチカチカしてどこまで数えたか分からなくなる。何度も一から数え直すはめになった。XLの広々とした生地一杯に広がる大谷選手たちが、四苦八苦する記者を全員同じ笑顔で見つめてくる。最終的には大小併せて131人の大谷選手を見つけることができた。

 

仕掛け人は「パズドラ」でおなじみのあの日本企業だった

実は、球団とともにこのグッズの企画を手がけたのは「パズドラ」などの人気作で知られる日本のゲーム会社「ガンホー・オンライン・エンターテイメント」だ。

担当したアメリカ法人の代表に話を聞いた。

 

ガンホー・オンライン・エンターテイメント・アメリカ 岩崎順CEO:

2018年にエンゼルス球団から「スポンサードしませんか」と打診されたのがきっかけです。ガンホーのアメリカ法人もロサンゼルスにオフィスがありまして、大谷選手が地元の球団に来て、しかも前人未到の二刀流にチャレンジするということで、我々もなんとか微力ながら応援したいと思ったんです。スポンサーと言っても、球場の広告とかやり方はいろいろありますが、中でもグッズの協賛はぜひやらせて欲しいと言いました。

 

「本当にこんなもの作るの!?」

元々このデザインは、球団側から提案したという。球団広報によると「いつも面白いことを考えている担当チームが、ファンの人たちに楽しんでもらいたいという思いから発案した」とのこと。しかしガンホー側は当初かなり戸惑ったという。

 

ガンホー・オンライン・エンターテイメント・アメリカ 岩崎順CEO:

球団からこのデザインが出てきた時は正直言って驚きました。念のため、日本の本社CEOにも「こんなデザインで作るんだけど・・」ってお伺いを立てたら案の定「本当にこんなもの作るの!?」って言われて(笑)。でも最終的には「逆に突き抜けてていいかもね」という結論になりました。

最初はファンの方の間でも「こんなもん誰が着るんだよ」ってリアクションもあったけど、逆に「絶対欲しい」という賛同もあったので、どちらの強い意見もあって、よりバズっていったのかなと思います。マーケティング的にはラッキーでしたね(笑)。

 

次なる「顔グッズ」は一体!?

大谷選手の“バズった”顔グッズと言えば、7月に配られたド派手な「大谷枕」も、実はガンホーが手がけたもの。大谷選手は名実ともにメジャーリーグの顔となってきたわけだが、そうなると、次なる「顔グッズ」第三弾にも期待が高まる。

 

ガンホー・オンライン・エンターテイメント・アメリカ 岩崎順CEO:

次もぜひ顔シリーズでやりたいですね。今回のTシャツは全て同じ顔なので、今度は“喜怒哀楽”の表情が集まった何かを作れれば面白いんじゃないかと思っています。

それにはまず、大谷選手自身がとにかくケガなくシーズンを乗り切って、ホームラン王と、年間MVPを獲得してほしいですね。

 

【執筆:FNNロサンゼルス支局長 益野智行】

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エンジェルスのトラウトは、今シーズン中に復帰できるのか。あるいは、できるとしても復帰させるべきなのか※宇根夏樹氏

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マイク・トラウト(ロサンゼルス・エンジェルス)が離脱してから、3ヵ月が経とうとしている。

 最後にプレーしたのは、シーズン40試合目の5月17日だ。走塁中に右のふくらはぎを痛め、途中で交代。翌日、故障者リストへ入った。その当初は、復帰まで6週間から8週間と報じられていた。すでに12週間が過ぎている。6月28日に「60日間の故障者リスト」へ移った経緯については、「エンジェルスがトラウトを「10日間の故障者リスト」から「60日間の故障者リスト」へ移した理由」に書いた。

 MLB.comのダニエル・ゲレーロらによると、ペリー・ミナシアンGMは8月11日に、トラウトの残りシーズンをシャットダウンする話は出ていない、と語ったという。今シーズン中の復帰をあきらめてはいないということだ。

 ただ、ミナシアンGMのコメントは、シーズンが終わるまでに復帰できないかもしれない、と読み取ることもできる。むしろ、可能性はこちらのほうが高いのではないだろうか。どの記事にも、復帰がいつ頃になりそうなのか、あるいは、いつ頃までに復帰できそうなのかについてのコメントは出ていない。

 ミナシアンGMは「(復帰を)急がせるつもりはない」とも語ったという。

 トラウトが戻ってくれば、チームにはプラスになる。今シーズン、トラウトは36試合で8本のホームランを打ち、打率.333と出塁率.466、OPS1.090を記録した。5月17日時点のホームランはリーグ18位タイ――チームメイトの大谷翔平が13本で1位――ながら、100打席以上の113人中、打率は6位、出塁率とOPSはトップに位置していた。他の選手であれば一時的な好調ということもあり得るが、トラウトは違う。2015~20年の6シーズンとも、トラウトのOPSは.990を上回っている。

 だが、トラウトが戻ってきても、エンジェルスはポストシーズンにはたどり着けそうにない。8月12日時点の順位は、ア・リーグ西地区の4位とワイルドカード・レースの6位。地区首位との差は11ゲームあり、ワイルカード・レースの2位とは7.5ゲーム離れている。

 現時点では58勝58敗(勝率.500)なので、ここからの46試合で30勝16敗(勝率.652)を記録しても、シーズン全体では88勝にとどまる。一方、地区首位のヒューストン・アストロズは、21勝27敗(勝率.438)で89勝だ。ポストシーズン進出圏内、ワイルドカード・レースの1位と2位にいるオークランド・アスレティックスとボストン・レッドソックスは、それぞれ、22勝25敗(勝率.468)と23勝22敗(勝率.511)で89勝となる。他にも、レッドソックスとエンジェルスの間には、3チームがいる。

 トラウト自身の気持ちを別にすれば、ポストシーズン進出の望みが薄い試合でトラウトに外野を守らせるよりも、若手のジョー・アデルとブランドン・マーシュに経験を積ませるほうが、エンジェルスの将来にとってはプラスになるはずだ。

 エンジェルスがトラウトを擁し、2014年を最後に遠ざかるポストシーズン進出をめざす時間は、まだ残っている。エンジェルスがトラウトと交わしている12年4億2650万ドルの契約は、2030年まで続く。契約の最後まで、これまでと同じようなプレーができるとは思えないが、トラウトは今月7日に30歳を迎えたばかりだ。

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大谷 “世紀の対決”ゲレロ斬り7勝目 15発以上の本塁打トップと2位の投打対決はメジャー初※スポニチ

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◇ア・リーグ エンゼルス6-3ブルージェイズ(2021年8月12日 アナハイム)

 

 投げる本塁打キングの勝ちだ。メジャートップの38本塁打をマークしているエンゼルスの大谷翔平投手(27)が12日(日本時間13日)、ブルージェイズ戦に「1番・投手」で出場。6回3安打2失点で今季7勝目を挙げた。大谷に3本差の同2位35本塁打で、MVP争いのライバルでもあるウラジーミル・ゲレロ内野手(22)との直接対決は2打数1安打、1四球。注目の初対決で二刀流が、一発を許すことはなかった。

 

 大いに意識した。「球数的に僕の最後のイニングになる感じだった」。6回、ゲレロとこの日3度目の対決は力が入った。カウント2―2からの5球目。踏み込んでからグッと引き寄せた左足が空回りして、マウンドに倒れ込んだ。外角スライダーをファウルしたゲレロも、思わず苦笑いを浮かべた。

 

 「おそらく一番、いい打者。最終的に1個、四球を出してしまったけど、いい球は多かったのかなと個人的には思っている。凄い楽しかったというのが印象的かなと思います」。6球目。この日最速の98.7マイル(約159キロ)直球は、引っかけて外角低めへのボール。最後は98マイル(約158キロ)が外角高めに抜けて四球となった。それでも、本塁打王のみならずMVPを争う2人の歴史的初対決に、大谷自身どこかうれしそうだった。

 

 15本塁打以上の本塁打トップと2位の選手が、投打で直接対決するのはメジャー史上初だった。初回2死からはカットボールを捉えられ左前打も、4回無死二塁はスライダーで空振り三振。ブ軍のチャーリー・モントーヨ監督も「ゲレロは今、ちょっと苦しんでいるから本来の彼ではない。でもMVP争いしている2人が戦うのは見ていて楽しかった」と3打席、13球の対決を振り返った。

 

 「メカニック含めてあまりいい動きでなかった」という大谷は、結局6回3安打2失点。5試合連続クオリティースタート(6回以上で自責点3以下)、自身6連勝の7勝目だ。1回持たずKOされた6月30日のヤンキース戦以来の「1番・投手」。1番で先発した選手が白星を挙げるのは、1918年8月19日のチャーリー・ジェイミーソン(フィラデルフィア・アスレチックス)以来103年ぶり。だが、このときは「1番・右翼」で救援登板での勝利だった。

 

 打っては初回に左中間二塁打し、3戦連続安打。ブ軍4連戦は大谷が13打数3安打(1本塁打)2打点&1勝、ゲレロは15打数2安打1打点だった。「翔平は自分がしていることを本当に楽しんでいる。我々も見習わないといけない」とジョー・マドン監督。世紀のマッチアップの第一章は、二刀流が存在感を示した。(笹田 幸嗣通信員)

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「フィールド・オブ・ドリームス」の世界を忠実に再現 5.5億円を投入したMLBの戦略※スポニチ

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 ◇ア・リーグ ホワイトソックス9―8ヤンキース(2021年8月12日 ダイアーズビル)

 

 大リーグは12日(日本時間13日)、野球映画の名作「フィールド・オブ・ドリームス」(1989年)のロケ地で、史上初めて試合を開催した。主人公を演じた俳優ケビン・コスナーも登場し、映画の世界を忠実に再現。計8本塁打がトウモロコシ畑に飛び込んだ熱戦は、ホワイトソックスがヤンキースに9―8で逆転サヨナラ勝ちした。現地で取材した杉浦大介通信員がMLBの戦略をリポートする。

 

 人口わずか4000人のアイオワ州ダイアーズビル。最寄りの空港から果てしなく広がるトウモロコシ畑の一本道を車で1時間15分走ると、映画「フィールド・オブ・ドリームス」のロケ地に到着する。道中、ほとんど人は見かけない。見かけるのは牛だけ。その田舎感に圧倒された。

 

 映画で使われた球場のすぐ隣に収容人員7911人の球場が特設され、2つはトウモロコシ畑でつながれている。観客もその道を通って球場入り。まるで映画の世界にいるように感じられたはずだ。

 

 試合開始前にはコスナーが登場。「ここは天国なのかな?」と有名なセリフで幻想的に呼び掛けた。20世紀初頭のデザインを模したユニホームを着用したホワイトソックス、ヤンキースの選手たちが映画のワンシーンのようにトウモロコシ畑から登場すると、大歓声が上がった。映画の音楽も流れ「フィールド・オブ・ドリームス」の世界観を見事に再現してみせた。

 

 アイオワ州で大リーグの試合が行われるのは初めて。当初は昨年8月に予定されていたが、コロナ禍で1年延期となった。報道によると、MLBが球場建設に投じた金額は約500万ドル(約5億5000万円)。中継には、4台のスローモーションカメラを含む40台のテレビカメラが投入された。その背景にはMLBとFOX局との25年に及ぶ巨額契約の中でも「レギュラーシーズンでは最高額」と伝えられたばく大な広告収入の恩恵が存在する。美しくはあっても、アイオワらしい素朴さは薄れた球場内で「お金のにおいが凄いな」と思わず漏らしていたファンもいた。

 

 それでもヤンキースのアーロン・ブーン監督が「これまでで最高の舞台だった」と話すなど、両軍のスター選手たちはスマホで記念撮影。関わった全ての人が感動し、楽しめるステージをつくり上げたMLBの努力は評価されるべきだろう。プレミア化したチケットは、転売サイトで平均1400~1500ドル(約15万4000~約16万5000円)の値が付くほどの人気だった。

 

 ロブ・マンフレッド・コミッショナーは「来年も開催する」と明言した。MLB関係者によると、すでに多くの球団が参加を希望し、伝統と人気があるカブスは内定しているという。ファンを喜ばせ、興行的にも大成功が確実のイベントは1試合限りでは終わらない。米国の国民的娯楽であるベースボールと映画が融合された夢の一戦は、新たな伝統になっていきそうだ。

 

 ▽フィールド・オブ・ドリームス 1989年公開の米国映画。ケビン・コスナー演じるアイオワ州の農民レイ・キンセラは「それをつくれば、彼が来る」という不思議な声を聞く。周囲の反対を押し切り野球場をつくると、シューレス・ジョー・ジャクソンら伝説の選手たちがトウモロコシ畑から現れる。その中に若き日の父親を見つけてキャッチボールをするという、野球を題材に夢や希望、親子の絆を描いた幻想的な作品。アカデミー賞3部門ノミネート。

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