■試合データ

米国時間:2021年8月12日

日本時間:2021年8月13日(金曜日)10時38分開始

ロサンゼルス・エンゼルス対トロント・ブルージェイズ

@エンゼルスタジアム

 

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エンゼルスは、2回9番カート・スズキの犠牲フライで先制、1死満塁で3番ジャレッド・ウォルシュの2点タイムリーと4番フィル・ゴスリンの連続タイムリーで4点を先行。3回には、2死2塁から9番スズキのタイムリーで1点追加。4回、先発大谷翔平は、ブルージェイズ4番テオスカー・ヘルナンデスと6番ランドル・グリチェクにタイムリーを打たれ2点を失う。5回、1死2塁から7番ジョー・アデルのタイムリーで1点追加。先発大谷は、6回2失点で降板。以降後続ブルペンは、1失点で抑え逃げ切り勝利。大谷に7勝目の勝ち星がついた。チームは勝率5割復帰。

 

 

■今日の大谷翔平

先発1番投手

【投手】

6回 99球(内ストライク62/63%)

被安打3 奪三振6 四球3 死球0 失点2 自責点2 被本塁打0

今季7勝1敗 防御率2.93

 

【打者】

3打数 1安打 1得点 1四球 1三振

通算打率.268

 

【投手】

◆1回

1番ジョージ・スプリンガー/右

空振り三振

(カウント)2S

(コース)外角低め

※スプリット

 

 

2番マーカス・セミエン/右

サードライナー

(カウント)1B1S

(コース)外角高め

 

3番ウラジーミル・ゲレロJr/右

レフト前ヒット

(カウント)初球

(コース)真ん中

※初回2死から「3番・一塁」のゲレロとの“ライバル対決”が実現、初球の外角スライダーを左前打したゲレロに軍配が上がった。攻守交代の際、三塁ベンチに向かって歩く大谷とゲレロJr.が接近する場面があり、大谷が笑顔で声をかけると、ゲレロJr.も笑顔で言葉を交わす一幕が。そんな二人のライバルが見せた何気ない光景にファンからは「良いライバル」「対決を楽しんでる」「認め合ってるなぁ」など反響が多数あった。

 

 

4番テオスカー・ヘルナンデス/右

走者1塁/レフトフライ

(カウント)フルカウント

(コース)外角高め

 

◆2回

5番コリー・ディカーソン/左

ショートゴロ

(カウント)1B2S

(コース)外角高め

 

6番ランドル・グリチェク/右

センターフライ

(カウント)1S

(コース)外角低め

 

7番ブレイビック・バレーラ/右

ライトライナー

(カウント)3B1S

(コース)内角真ん中

 

◆3回

8番サンティアゴ・エスピナル/右

四球

(カウント)フルカウント

(コース)外角低め

 

9番リース・マグワイア/左

走者1塁/セカンドゴロ

(カウント)1B1S

(コース)真ん中低め

 

1番ジョージ・スプリンガー/右

走者1塁/サードゴロ(併殺)

(カウント)2B2S

(コース)真ん中

 

◆4回

2番マーカス・セミエン/右

四球

(カウント)フルカウント

(コース)外角低め

 

3番ウラジーミル・ゲレロJr/右

走者1塁→2塁(暴投)/空振り三振

(カウント)2B2S

(コース)外角低め

※ゲレーロJr.との対決、第2ラウンドは大谷に軍配だ。4回1死二塁でこの日2度目の対戦。カウント2-2と追い込むと、決め球に選んだのはスライダー。手元で曲げ、外角ギリギリに制球。ライバルのバットに空を切らせた。この対決に「ロサンゼルス・タイムズ」のジャック・ハリス記者が脚光。自身のツイッターで「MLBの本塁打王が2位の打者を三振に打ち取った」と記して

 

 

4番テオスカー・ヘルナンデス/右

走者2塁/レフト前ヒット(失点1)

(カウント)3B1S

(コース)真ん中低め

 

5番コリー・ディカーソン/左

走者1塁→2塁(暴投)/空振り三振

(カウント)2S

(コース)真ん中低め

 

6番ランドル・グリチェク/右

走者2塁/右中間2塁打(失点1)

(カウント)1S

(コース)外角真ん中

 

7番ブレイビック・バレーラ/右

レフトライナー

(カウント)1S

(コース)外角高め

 

◆5回

8番サンティアゴ・エスピナル/右

空振り三振

(カウント)2B2S

(コース)真ん中

 

9番リース・マグワイア/左

センターライナー

(カウント)フルカウント

(コース)外角低め

 

1番ジョージ・スプリンガー/右

見逃し三振

(カウント)フルカウント

(コース)内角真ん中

 

 

◆6回

2番マーカス・セミエン/右

センターフライ

(カウント)初球

(コース)真ん中高め

 

3番ウラジーミル・ゲレロJr/右

四球

(カウント)フルカウント

(コース)外角高め

※直接対決3度目。2ボール2ストライクから5球目、高めに外れる直球を投げ込んだ後にバランスを崩し、マウンドに倒れ込んだ。しばらく立ち上がれず周囲が静まり返ったが、その後に立ち上がり何ともない様子で再び投球。93球目には最速の99マイル(159キロ)をマーク。最後は直球が高めに外れ歩かせた。

 

 

4番テオスカー・ヘルナンデス/右

走者1塁/サードライナー

(カウント)初球

(コース)真ん中

 

5番コリー・ディカーソン/左

走者1塁/空振り三振

(カウント)1B2S

(コース)外角真ん中

 

 

【打者】

第1打席:左中間2塁打

(状況)1回無死/走者無し

(投手)ホセ・ベリオス/右

(カウント)1B2S

(コース)内角低め

※1ボール2ストライクからブ軍の先発右腕ベリオスの内角直球に差し込まれながらも、力で左中間に運ぶ二塁打。打球速度は112マイル(約180キロ)で、10日(同11日)の同カードダブルヘッダー2試合目から続く連続安打を「3」に伸ばした。

 

 

 

第2打席:四球

(状況)2回1死/走者2塁

(投手)ホセ・ベリオス/右

(カウント)フルカウント

(コース)内角低め

※1死二塁のチャンスで迎えた第2打席もブルージェイズの先発・ベリオスのボールをしっかりと見極めていく。3-1とバッター有利のカウントになると、連日のホームランを期待する地元ファンのボルテージは一気に上昇。そんな期待に応えるように、大谷は高めの96マイル(約154.5)の直球に対してフルパワーのスイングを披露した。結果は空振りだったものの、画面の向こうまで風を切る音が聞こえてきそうなアッパースイングにスタジアムは騒然。フルカウントからは四球だった。その後、ウォルシュのヒットで3点目のホームを踏んだ。

 

 

第3打席:センターフライ

(状況)3回2死/走者2塁

(投手)ホセ・ベリオス/右

(カウント)1B1S

(コース)外角低め

 

第4打席:見逃し三振

(状況)6回無死/走者無し

(投手)カービー・スニード/左

(カウント)2B2S

(コース)真ん中

 

試合後コメント:

――先月から素晴らしい投球が続いている。何が変わったか。

「全体的にコマンドはいいかなと思います。今日は四球を出しましたけど、全体的に、そこが抑えられているのがいいかなと思います」

 

――日本時代を含めて、ここ1か月は一番調子いいと感触はあるか。

「すごい調子がいいなというのはあまりないですかね。悪い時にしっかり作れているのが一番いいところかなと思うので。自分の中でのマックスにいい状態ではないかなと感じています」

 

――絶好調ではないのはフィジカル的な問題か。

「フィジカル的には状態はいいかなと思うんですけど、まだ上がってきている状況なのかなという印象なので。もっともっと思い切りよく、体全体を使って、まだまだいけるんじゃないかなと思っています」

 

――1番打者で出場している。見え方など変わるか。

「基本的にやることは変わらないかなと思っているんですけど、後ろにフレッチャーとかウォルシュがいることによって、ゾーン内に来たりすることが、その時よりも多くなるんじゃないかと思うので。よりアグレッシブにいけるのかなと思っています」

 

――投手としてゲレーロJr.と初対決。左前打、空振り三振、四球だった。

「楽しかったですね。ブルージェイズ打線の全体的に言えることですけど、いい打者が多いですし、粘り強い打者が多いので。その中でも中軸を打っている選手はトップクラスにいい選手ばかりじゃないかと思うので。すごい楽しかったなというのが印象的かなと思います」

 

――早い段階で点を取ってくれた。自信につながったか。

「そうですね、ないよりもあった方が。今日も結果的に2点は取られていますけど、やっぱり点差があることによって、1点2点はOKというシチュエーションが増えてくるので。よりアグレッシブにゾーン内で勝負できるかなと思っています」

 

――4回に真っすぐで四球を与えたが、スライダーをうまく使っていた。悪いなりに抑えられているとは。

「全体的に、ですかね。メカニックも含めて。今日はあまりいい動きではないと思っていたので。悪いなりに、という感じかなと思います」

 

――ゲレーロJr.との対決。周囲は本塁打王やMVP争いに注目している。意識することは。

「おそらく一番いい打者だと思うので。そういう意味ではケアもしますし、ただ、どんどんどんどんゾーンで勝負していくのが自分のスタイルなので。今日も最終的に1個、四球を出してしまったんですけど、しっかりと。いい球は多かったのかなと個人的には思っています」

 

――ゲレーロJr.との3打席目に最速98.7マイルが出た。自然と力が入ったか。

「球数的に僕の最後のイニングになるっていう感じだったので、上位打線ですし。1人も出すつもりなく抑えにいったんですけど、結果的に外れてしまったなという感じですね」

 

――力んだか。

「結果的に力みに捉えられるかなと思うんですけど、序盤に比べて力を入れた真っすぐが終盤増えていたかなと思います」

 

――5試合連続QS。調子が悪い時でも試合を作れている。フォームの再現性が上がっていることが安定の要因か。

「今日はそんなにメカニック的には良くなかったのかなとは思ってはいたので。ただ、点差がちょっと開き気味でしたし、点を挙げられないように投げるというイメージよりは、ランナーがたまらないように投げていくっていうイメージだったのかなと思う。そこがうまくハマってくれたかなと思います」

 

――「1番・投手」と「2番・投手」の準備の違い。

「そこまで違いはないかなと思います。もちろん2番に慣れているので、自分が2番に入っているもんだと思って考えてたりはするので。そういう意味ではちょっと違ったりしますけど、そこまで大きな違いはないかなと思います」

 

――打者・大谷として、100マイルの直球を投げ、スプリットが鋭く落ちて、相手の出方を見てスライダー、カットボールが投げられる投手へのアプローチは。

「基本的には自分が良いスイングがするというところが一番、基本的なところではある思うので。それができた上で相手の配球のパターンだったりとか、打つ球、打たない球を決めていくところがあるので。一番大事なのは自分のベストなスイングをするっていう。その待ち方ができているかできていないかが一番が大事かなと思います」

 

――10試合投打同時出場で自身6連勝。チームは8勝2敗。

「チームとしては5割付近を行ったり来たりしている状態なので、やっぱり貯金作れるようにみんな頑張ろうと思っていると思いますし。その中で任された試合は勝つ、勝たないというよりは、勝つ可能性を残してマウンドを下りることができるかが一番だと思うので、今日は勝っている状態で下りることができましたし、ある程度、長いイニングを投げることができて良かったですけど。味方が点を取れない時とか、そういう時に後半にまだ勝つ可能性を残せるようにゲームを作れるかどうかが一番大事かなと思います」

 

――前夜の一発は今季最長14試合ぶりだった。アプローチは。

「1打席目はやっぱり凄い良かったので、角度も出ていましたし。打ちにいっている感じも良かったので。結果的に右飛になってアウトにはなったんですけど。良い時っていうのは打つべくして良い結果が生まれることが多いかなと改めて感じたので。良い状態はなかなか難しいですけど、よりキープしていく時間が長ければ良い結果が出るかなと思います」

 

――始動やタイミングが良かったか。

「メカニック的に長いこと良い軌道に乗っていれば、それだけ良い弾道で上がる可能性が高いので。今日の中飛なんかも感じ的にも凄い良かったので。継続していけたらなと思います」

 

 

その他情報:

・大谷は防御率2・93。中継局BSウエストによれば「シーズン15先発以上で、9イニング相当の奪三振率10以上(10・96)、防御率3・00未満」は、大谷が60年の球団史でも2人目だった。もう一人は通算5714奪三振のメジャー記録を保持する“カリフォルニア特急”ことノーラン・ライアンで、1972、73、76、77年と4度達成している。同局のグビザ解説者は「ちなみに、大谷はそれに加えて打者で38本塁打、16盗塁です。ライアンはメジャー通算(27年間)で2本塁打ですね」と付け加えた。夏場に入り、投手では絶好調だ。大リーグ公式サイトのラングス記者ツイートによれば、7月1日以降(30イニング以上)の防御率1・69は、メジャー全体で3位。また、これで「(7月以降の)先発5試合連続6イニング以上」は、2018年のフェリックス・ペーニャ以来、エンゼルス投手で3年ぶりとなった。

 

 

・エンゼルスは、同日終了時点で116試合(58勝58敗)を消化。MLBは162試合制であるため、残すところ46試合となっている。大谷は今季、アクシデントなどを除いて中6日でローテーションを回ることが多く、次回登板は19日(日本時間20日)のデトロイト・タイガース戦あたりが有力だ。移動日を含めた試合日程を踏まえると、残る登板は7試合となる。次回以降の登板予想(ベースボールチャンネル)

 

8月19日(同20日)デトロイト・タイガース戦

8月26日(同27日)ボルティモア・オリオールズ戦

9月1日(同2日)ニューヨーク・ヤンキース戦

9月8日(同9日)サンディエゴ・パドレス戦

9月15日(同16日)シカゴ・ホワイトソックス戦

9月22日(同23日)ヒューストン・アストロズ戦

9月29日(同30日)テキサス・レンジャーズ戦

 

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■試合情報

ジョー・マドン監督:

(試合前)

「全米がチャンネルを合わせるだろう。野球界にとっても良いことだし、私自身も見られて嬉しいよ。(今季7勝目をかけて先発マウンドに上がる。リーグトップ38本塁打を放っている投手が同2位の35本塁打を放っているゲレーロJr.に投げる。そんな一戦が本拠地エンゼル・スタジアムで行われることについて)とても良いことだね! 楽しみだ! ショウヘイも少しウキウキするだろう。ゲレーロJr.のことはよく知らないが、彼はこういう瞬間に非常に上手く対応する選手だ。興味深いものになるだろうね。投打同時出場したときのほうが調子が良い。1番でも2番でも投球にはそれほど影響はない」

 

(試合後)

「恐れ知らずだ。正々堂々と勝負している。なによりも多様な変化球を非常に素晴らしい制球で投げていた。いくつか素晴らしいスプリットも投げていた。彼は恐れ知らずだ。正々堂々と勝負している。(どんな相手でも真っ向勝負で挑み、冷静に自身を分析しながらプレーする大谷の姿に)カル・リプケンを思い出す。ショウヘイもそれと同じようにプレーしている。ネガティブなことがあっても振り切って次の球や打席に臨める。なぜなら自分がしていることを本当に楽しんでいるからだ」

 

「(この試合では本塁打王を争うゲレーロJr.との対決も注目を浴びていた。初回に左前打を浴びた場面を振り返り)オオタニは笑顔でゲレーロのほうを見ていた。次の打席で彼からアウトを取った後にもなにかやりとりをしていた。いつも陽気で野球を楽しんでいる。その側面を失わせるわけにはいかない。私たちも彼のようにもう少し楽しまないと」

 

「(大谷が今季のア・リーグMVPであることは)私にとって明白だ。それに対する議論はない。(同じくMVP候補として挙げられるゲレーロJr.について)ブラディは素晴らしい年を過ごしているし、私も彼のことが大好きだ。ただ、うちの選手(大谷)がやっていることは、これまでになかったことであり、前例のないことなんだ。他の人も同じように感じていると思うよ」

 

 

カート・スズキ捕手:

「(試合後インタビューに呼ばれ、大谷とゲレーロJr.の“世紀の一戦”について訊かれると)いやぁ本当にすごいことだよね。球界最高の選手が対峙して、ファンも最高に楽しみな対戦だったんじゃないかな。僕たちはゲレーロJr.の打席でのバランスを崩そうと思って、ショウヘイもうまくピッチングできた。(この日の“投手・大谷”については)本当に偉大な選手だよ。彼はとても賢い。ゲームプランをいかに遂行したらよいのか、十分に理解しているんだ。また、試合の中でアジャストすることもできる。若い投手でできる選手はほとんどいない。改めて、ショウヘイは特別な才能の持ち主だよ」

 

アンソニー・レンドン内野手:

・右股関節の手術を受けることになり、今季中の復帰が絶望となったエンゼルスのアンソニー・レンドン内野手が、長引く痛みに悩み「気がおかしくなりそう」なところまで追い詰められていたことを告白。今季のレンドンは故障続きで、4月に左足の付け根を負傷し、5月には左膝痛で離脱。計4度の負傷者リスト(IL)入りで58試合の出場にとどまり、打率2割4分、6本塁打、34打点だった。レンドンは来週の手術を前に、負傷の兆候に最初に気づいたのは2020年で、原因不明の痛みに耐えながらプレーを続けてきたと告白。「刺すような痛み」があり、「股関節周りを器具で固定されているように」両脚に力が入らず、動かすこともままならなかったと話した。レンドンは「気がおかしくなりそうだと思うところまで追い詰められた」と当時の心境を明かし「でも、MRIを撮ったり、専門医の診察を受けたり、同じ症状を経験した選手たちに相談したりして、答えが見つかった。それで少し気分が楽になった」とコメント。精密検査などを経て右股関節にすべての原因があると分かり、気持ちが落ち着いたと語っていた。

 

 

チャーリー・モントーヨ監督:

(試合前)

「(大谷の対戦は楽しみか?)No(笑)(2015年からレイズコーチ、2019年からブルージェイズを率いている)実は彼が投げるのを見たことがないんだよね。もしかしたらレイズにいた頃見た事があったかな……。我々のチームはリーグの中でもトップのラインナップだし、楽しいゲームになると思う」

 

(試合後)

「MVPを争う2人がマッチアップ。見るのが楽しかった。(ゲレロについて)今は少し不調に陥っており、万全な状態での対決ではなかった。長いシーズンなので、そんな時もある」

 

■関連情報

チアゴ・ビエイラ投手(巨人):

・九回から登板した巨人・ビエイラがNPB最速となる166キロをマークした。2点リードの最終回にマウンドへ。1死走者なし、打者A・マルティネスへの7球目だ。ファウルとなったストレートは166キロをマーク。日本記録の大谷翔平の165キロを上回り、剛腕ぶりを見せつけた。「粘られていたし、勝負のカウントだったので力を入れたのは事実。まさかそこまで速いとは思わなかったし、最高にうれしいよ」と振り返った右腕。アメリカ時代には最速167キロをマーク。今年のキャンプでは「人間ですけど、限界はないと思っている」と自己記録の更新に意欲をみせていた。

 

 

■メディア

佐々木主浩氏:

大谷翔平テークバック小ささに驚き 想像超えた理由あるかも(日刊スポーツ)

「大谷翔平投手の投球を見て、フォームの変化に目が留まった。じっくりと見るのは、7月6日(日本時間7日)のレッドソックス戦以来。力が抜け、バランスが良かったと評したが、テークバックの小ささに驚いた。「あれ?」と思って、春ごろの映像も見返したが、違いは明らかだった。以前の投球フォームは後ろをしっかり取って、トップまで上がってきていたが、この日のブルージェイズ戦では右手を下まで落とさず、肘を曲げた状態から上がってきている。イメージ的には『1、2~の3』から、『1、2、3』のような感じに変化した。

 

なぜ、変えたのだろうか。私が想像したのは、体への負担がかからない投げ方にしたか、コントロールを重視したかの2点。先発投手が中4日以上の間隔を空けるのは体への負担が大きいからで、二刀流の大谷が省エネを考え、見つけた投法なのだろうか。フォームを見て、頭によぎったのはパドレスのダルビッシュだった。小さいテークバックで、体をうまく使いながらボールを投げる。大谷が参考にしたかどうかはわからないが、腕の長さなど体も違うので、ダルビッシュと同じように投げるのは難しいだろう。細かい部分を見れば、ストライクを取りに行くボールは制球できたが、力を入れた時はタイミングが合わず、150キロ後半の真っすぐは引っかけるシーンが目についた。大谷本来の豪快な投球ではなくても、変化球でうまくかわしながら6回2失点。1番で出場しながら、7勝目を挙げた。

 

やること全てが規格外で、かけ離れた選手。未知の領域を進み続ける彼にしかわからない世界があるだろう。フォームの変化にも、我々の想像を超えた理由があるかもしれない。次回以降の登板に注目する」

 

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高橋尚成氏:

大谷翔平の投球を現地で高橋尚成氏が見た 「疲れにも対応、アジャスト能力高い」(スポーツ報知)

「大谷は変化球が多く、フォームのバランスを考えた投球だった。自分でも疲れが分かっているのだろう。出力を抑えながら、追い込んだら97~98マイル(約156~158キロ)の球で決めにいっていた。1打席目の二塁打も、調子がいい時ならスタンドに放り込んでいた。振りも少し鈍くなっている印象だ。私も経験があるが、メジャーの長いシーズンでは5月と8月ごろに疲れが出てくるもの。特に二刀流は疲れも倍になるはずだが、気持ちを切らさずに抑えるのはさすがだ。

 

 シーズン序盤は常に100マイル(約161キロ)を求めてコントロールがバラついていたが、1か月ほどした後はバランスを重視した投球になった。95~96マイル(約153~155キロ)でカウントを取って、スプリットで抑えるスタイルに変え安定感が増した。本塁打王を争うゲレロに対しては、スライダーでタイミングを外していた。自分の体と対話できて、アジャスト能力が高いと感じる。この日はスタジアムで観戦したが、開幕当初よりも大谷のユニホームを着ているファンが増え、トラウトよりも多かった。打席に立つたびに『MVP』コールが起こるなど、期待の大きさを感じた。10勝&本塁打王の可能性も出てきたし、やってくれると信じている」

 

米放送局『ESPN』:

「少なくとも5年で275億円!」大谷翔平の“未来”を米放送局が分析!トラウト級の大型契約の場合、予算超過の可能性も(THE DIGEST)

 

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■NOTE

今日も安定感のあるピッチングをみせてくれた。これまでの試合と違い序盤に大量得点が入ったから楽にピッチングできたことも良かった。来季以降を思い描いた。トラウトとレンドンが打線にいれば、序盤戦での得点がかなりの確率で期待できる。そうすれば、今日のような楽なピッチングで、勝利数を稼げる気がする。今季は、打者大谷のホームランや打点が飛び抜けて、打者評価が高いが、来季は、投手大谷が安定してバンバン勝ち星をあげるんじゃなかろうか。そんな未来を思い描いてみていた試合だった。

 

緩急おり混ぜて抑えるピッチングはいいが、見応えがあったのは、対ゲレーロ最終打席。2−2からの2球続けてボールにはなったが、直球勝負に大谷らしさがみえた。かわすピッチングも勝つために必要だが、ここぞの対決は豪速球で仕留めるシーンを期待してしまう。制球が安定してきたからこそ、ここぞで勝負ができる。今後もみたい配球や勝負に挑むピッチングだ。

 

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 エンゼルスは序盤からブルージェイズ先発のホゼ・ベリオスを攻略し、3回までに5点を先行。「1番・投手」でスタメン出場した大谷翔平は6回99球を投げて被安打3、奪三振6、与四球3、失点2の好投を見せ、今季7勝目(1敗、防御率2.93)をマークした。エンゼルスは6対3でブルージェイズを破り、再び勝率5割復帰。ワイルドカード2位のレッドソックスがレイズに敗れたため、ワイルドカード圏内とのゲーム差は7.5に縮まっている。

 

 過去4先発で与四球1と安定したピッチングを見せていた大谷は、ブルージェイズ打線に3つの四球を与え、暴投も2つ記録したが、失点は4回表の2点だけ。5試合連続でクオリティ・スタートを達成し、6月4日(現地時間)のマリナーズ戦から自身6連勝となる今季7勝目をマークした。注目されたブラディミール・ゲレーロJr.との直接対決は、レフト前ヒット、空振り三振、四球で2打数1安打1四球。ゲレーロJr.は8回表の第4打席でも空振り三振に倒れ、今日は3打数1安打1四球だった。

 

 打者・大谷は1回裏の第1打席で左中間への二塁打を放ってチャンスメイク。2回裏の第2打席は四球を選んで出塁し、ジャレッド・ウォルシュの2点タイムリーで生還した。3回裏の第3打席はセンターフライ、6回裏の第4打席は見逃し三振に倒れ、降板とともに途中交代。3打数1安打1四球で今季の打率は.268、OPSは1.017となった。

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野球史を塗り替え続けるサムライの価値は、天井知らずで高まり続けている。ロサンゼルス・エンジェルスの大谷翔平である。

 

 今季の大谷は出色のパフォーマンスを続けている。打っては、現地時間8月12日時点で両リーグトップの38本塁打をマーク。投げても12度の“リアル二刀流”をこなし、渡米後自身最多となる6勝を挙げた。投打で現在の調子を維持すれば、あの“野球の神様”ベーブ・ルースが1918年に記録した、シーズン二桁勝利&二桁本塁打を達成しそうな勢いだ。

 

 先月のオールスターでも史上初となる二刀流が認められるなど、球界のルールにまで影響を及ぼす存在となっている。そんな偉才とエンジェルスは、22年シーズン終了までの2年総額850万ドル(約9億3500万円)の契約を締結しているが、メディアやファンの間では、早くも延長をするのか否かという話が囁かれている。

 

「少なくとも、5年2億5000万ドル(約275億円)はくだらない」

 

 大谷の今後の契約に関して、そう分析したのは、米放送局『ESPN』だ。契約満了時には29歳となる日本人の今季のパフォーマンスについて「誰に対しても証明した。いまや彼を過小評価することは不可能だ」とした同メディアは、マイク・トラウトとアンソニー・レンドーンといった高給取りたちを引き合いに、大谷の年俸も高騰すると強調している。

 

「エンジェルスはトラウトと1年あたり3712万ドル(約40億8320万円)を支払う9年契約を結んだ。彼との契約は史上最高の選手のキャリアを球団で終えられるように狙ったものだ。そして同じようにレンドーンとも、1年目に3660万ドル(40億2600万円)、その後の4年に年3860万ドル(42億4600万円)を支払う高額契約(※こちらはエンジェルス側が途中で破棄できる内容に)を結んでいる。

 

 つまり、エンジェルスは、2026年シーズンまで2人のプレーヤーに最低でも約7500万ドル以上を毎年支払う義務があるのだ。仮にオオタニが同様の年俸を得る複数年契約を締結した場合には、エンジェルスはたった3人の選手に1億2000万ドル(約132億円)から1億3000万ドル(約143億円)の年俸を支払う必要がでてくる」

 

 さらに「オオタニがフリーエージェントとなれば、引く手あまただろうが、エンジェルスはオオタニを手放すことなんてできない」と匿名のナショナル・リーグ球団GMが発した言葉を紹介した同メディアは、「長期契約を結ぶとなれば、チームの現予算を超える可能性は十分にある」と分析した。

 

「レンドーン、トラウト、そしてオオタニを残しつつ、ぜいたく税の基準額を超えないようにするためには、ピッチングスタッフの名簿を見直す必要がある。彼らに支払われている金額は、たった3人だけだが、チームの総給与額の50パーセント近い値に膨れ上がっている」

 

 もはやチームになくてはならない存在と化した大谷は、この先も赤いユニホームに袖を通し続けるのか。それとも契約満了前後に新天地を目指すのか。今後は去就の行方からも目が離せなくなりそうだ。

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