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大谷翔平、二刀流継続へ“引退覚悟”「どっちも結果が出ないならやめる」※サンスポ

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 米大リーグ、エンゼルスでメジャー3年目を終えた大谷翔平投手(26)が本紙の単独インタビューに応じ、来季以降の二刀流継続へ“引退覚悟”の強い決意を抱いていることを明かした。右肘の故障から投手復帰を果たした今季は2試合(計1回2/3)の登板に終わり、打撃でも打率・190と低迷。悔しさをにじませながら「打ったり投げたりもできなくなったら、やめるだけ。引退すればいい」と言い切った。 (取材構成・山田結軌)  

 

--昨季は右肘の手術から復帰したものの2試合の登板に終わった。まず現状は  

「(練習の時間は)大体一日4、5時間ぐらいですね。投げて、打って。週1、日曜日がオフですね」  

 

--投手としてのリハビリの進み具合は  

「1月中にバッターに投げると思います。(2月中旬の)キャンプインまでにそれを継続していく感じです」  

 

--100マイル(161キロ)以上の球を投げられる自分に戻るイメージは  

「今年で97マイル(156キロ)は出ていた。僕の投げ心地的には、そこまで投げられる感覚ではなかったので、100マイルは普通に出るんじゃないかな。体の状態もそうですけど、技術的にも、もっと効率的に動ければ、簡単に出せるようになると思います」  

 

--球速アップへの取り組みについて  

「マックス値を伸ばしていくよりも、効率よく投げられれば、そこ(最速)も伸びるかなっていう感じですね。楽に100マイル投げられるんだったら、力を入れたら102、3マイル出るのは普通のこと。より簡単に、シンプルにピッチングをできるようにしたい」  

 

--2021年のテーマに掲げていること  

「ベストな状態で1年間やりたい。ある程度、自分が納得した上で失敗できるかどうか。それが、かなり大事。打たれるにしても自分が気持ちよく思い切り向かっていって、打たれるのかどうか。そこが一番。自分がしっかりプレーできてるかどうかによって、反省するところが変わってくるので」  

 

--コロナ禍でレギュラーシーズンが162試合から60試合に短縮されるなど制限が多いシーズンだったが、良かったことは  

「うーん、どうでしょう…。登板できたことは、もちろんよかった。2試合で終わったのは、もちろん良くないと思うんですけど、一応リハビリを経て投げられるところまで問題なく来た。結果的に(メジャーの試合に復帰登板する)時期が早かったなと思う部分はありました」  

 

--プレーすることの楽しさは  

「根本的に自分が出し切れない状態では、うまくいかなかったときも、次につながる課題が見つからないので、楽しみになることは少ないですね」  

 

--右肘の故障後は打者に専念したが、打率2割に届かなかった  

「残った数字は、その通り。その数字になるべくしてなるバッティングだった。打席に立ってピッチャーと向かい合ったときに打てる雰囲気があるのかないのか。シンプルに、その一点だけ。今年は相手が5番手のピッチャーであろうが、エース級であろうが、(打席でボールの)見え方がよくない。その一点でした」  

 

--来季に向けて二刀流継続へのこだわりは  

「それしかやってきていないので、本当に例年通り、普通にやりたいなと思っています。今まで通りキャンプに入って、試合をして公式戦には入りたい」  

 

--二刀流を貫くことへの賛否など周囲の声に対しての向き合い方、思うところがあれば  

「特には、ないですかね。球団の人に言われたら考えることはあると思いますけど、それは誰が決めるのか分からない話。自分と球団で納得して、何がベストなのか。もちろん打ったり投げたりもできなくなったら、やめるだけなのでね。引退すればいい。打てなくなったら引退だし、投げられなくなったら引退するしかないので、シンプルにどちらもできるならやればいい」  

 

--2度の先発後、今後は二刀流を断念することは頭をよぎらなかった  

「うーん、どうでしょうね。僕もあまりガシっとしてる性格ではないので、最初に2つやるってなったときも、結果が出なかったらやめるしかないと思っていた。どっちもできるなら、どっちもやればいい。どっちもできないならクビを切られる。もう、それだけ。(投打の)どっちも結果が出ないのであれば、やめるしかないのがこの世界ですから」

 

★結婚は?  大谷はプライベートも大いに語った。気になる(?)結婚については「それ、聞かない人、いないですね。もう本当に、特にないです。タイミングとしか言えないのかな、ハイ」と笑みを浮かべた。インスタグラム(@shoheiohtani)を始めたことについては「気分、です(笑)。特に何も考えていないですね。自由気ままに」とし、ダルビッシュ(カブス)や前田(ツインズ)に続くYouTubeチャンネルの開設を期待されると「僕が? しないと思います。運用できない」と笑った。

 

★大谷の今季と近況  一昨年の右肘手術から投手として復帰した7月26日のアスレチックス戦は1死も取れず5失点KO。1週間後の登板でも二回途中2失点。降板後に右肘付近の故障が判明し2試合で0勝1敗、防御率37.80に終わった。その後は打者に専念したが、自身ワーストの21打席連続無安打を記録するなどメジャー3年目は投打で精彩を欠いた。シーズン終了後は本拠地エンゼルスタジアムでキャッチボールと打撃練習を継続し、現在は一時帰国中。今月6日には契約するアシックス社のインスタライブに登場した。

 

★取材後記  2年連続の個別インタビューは、新型コロナウイルス感染予防もあり、オンライン会議システムで行った。しかし、スタートから通信トラブルで途切れ途切れに…。苦戦した30分間となった。  ただ、二刀流の継続について聞くと、回線状況など関係ないほど、語られた言葉はいたってシンプル。「どっちも結果が出ないのであれば、やめるしかない」というものだった。投手でも打者でもプレーするのが、彼のアイデンティティー。チームの勝利に貢献するベストな選択肢が、二刀流の継続だと大谷もエンゼルスも信じている。  3年前に話を聞いたとき、大谷はメジャーでの野球が「楽しい」と目を輝かせていた。だが、ここ2年間はけがに苦しみ「根本的に自分が(力を)出し切れない状態だと、なかなか楽しいこともない」と今季を振り返った。純粋に勝負を楽しむ二刀流のカムバックを心待ちにしている。

 

(大リーグ担当・山田結軌)
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MLBと選手会の確執が再燃?! FA市場が滞っている最大のワケとは?※スポナビコラム菊地剛慶氏

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【MLBは来シーズンも短縮シーズンを希望】

 

 『USAトゥデイ紙』のボブ・ナイチンゲール記者が現地時間の12月15日に配信した記事によると、MLBのオーナーや経営陣は、2021年シーズンの開幕を5月にずらし、140試合以下の短縮シーズンで実施したい方針で選手会と交渉を続けているようだ。

 

 MLB側としてはスプリングトレーニング開始にあたり、選手、コーチを含めた全チーム関係者が新型コロナウイルスのワクチン接種を済ませた上でキャンプ地入りすることを希望している。そのためにはスプリングトレーニングの開始を遅らせる必要があり、シーズン開幕も自動的にずれ込むことになる。

 

 それに伴い、過密日程のMLBでは162試合を消化するのは困難になることから、140試合もしくはそれ以下の短縮シーズンで実施することを模索しているという。

 

【是が非でも162試合実施を主張する選手会】

 

 もちろん選手会は、MLB側の考えに真っ向から反対し、来シーズンこそ162試合を実施し、選手が年俸全額を受け取れることを切望している。

 

 同記事によれば、選手会は、仮にスプリングトレーニング、シーズン開幕が遅れたとしても、短縮シーズンではなく終了時期をずらしても162試合実施を目指しているようだ。

 

 だがMLB側は、ワールドシリーズを11月下旬や12月上旬に実施することに否定的で、両者の間に深い溝がある中で交渉が続いているわけだ。

 

 今回のMLBと選手会の食い違いは、2020年シーズン実施にあたり交渉決裂した構図とまったく変わっておらず、合意するのは困難な様相を呈している。ただ両者が合意しなければ、来シーズンの実施要項は不透明な状況が続き、結局シーズン開幕が遅れることになってしまう。

 

【交渉難航の影響を受けるFA市場】

 

 このMLBと選手会の交渉が難航していることで、もろに影響を受けているのが今オフのFA市場だ。もう停滞という言葉で片づけられない状態にある。

 

 米国時間の12月15日時点で、FA選手とメジャー契約を結んだ数は全30チームでたった24件に留まっている(データ元は『the Score』)。

 

 この状況を説明する上で、クリーブランド(本欄では今後同チームの新ニックネームが決まるまで本拠地名を使用する)のクリス・アントネッティ球団社長がメディア向けオンライン会見で発言した内容を引用しておきたい。

 

 「(今オフのチーム編成予算は)具体的な額が決まっているわけではない。現時点では情報が少な過ぎる。我々は様々な状況に対応するため、いろいろなオプションについて検討しているところだ。状況を見極めるためにも、もうしばらくは情報を収集していくことになるだろう」

 

 アントネッティ球団社長の発言は、今回のUSAトゥデイ紙の報道が出る前のことだ。つまり多くのチームが来シーズンの実施要項が決まらない中で予算も組めず、本格的にチーム編成に着手できないでいるのだ。

 

【サンタナ選手は58%減でロイヤルズ入り】

 

 そこで、ここまでメジャー契約に至った24件の契約内容をチェックしてみたい。

 

 年俸総額が1000万ドルを超えているのは、24人中7選手しかいない。逆に100万ドル未満の契約(年俸調停権を得る前の年俸並み)で合意した選手が、8人もいるのだ。

 

 さらに平均年俸が1000万ドルを超えた契約を得ているのは、ブレーブスと契約したチャーリー・モートン投手(1500万ドル)、ドリュー・スマイリー投手(1100万ドル)、メッツと契約したジェームス・マッキャン捕手(4年4060万ドル)の3選手しかいない。

 

 言うまでもなく、ここまで平均年俸2000万ドルを超える大型契約を結べたFA選手は誰もいない。逆に大幅減額を受け入れた選手は、ロイヤルズと契約合意したカルロス・サンタナ選手だ。

 

 サンタナ選手の2020年シーズンの年俸は、2083万3334ドル(実際の支払額は60試合分の37%)だったが、今回ロイヤルズと2年1750万ドルで合意しており、平均年俸は875万ドルと約58%の減額を受け入れている。

 

【MLB入り目指す日本人4選手にも影響】

 

 米メディアが報じたところでは、選手会はこうした状況を受け、FA選手に対し希望金額を下回るオファーで契約しないよう通知しているようだ。これもFA市場を停滞させる要因になっていると考えられる。

 

 今オフにMLB入りを目指している、菅野智之投手、有原航平投手、西川遥輝選手、澤村拓一投手の4人も、現状を考えると例年の評価通りの契約オファーを受けられそうになさそうだ。

 

 しかもこのままではシーズン開幕が遅れ、再び短縮シーズンになれば額面通りの年俸を受け取ることもできなくなる。

 

 残念ながら今オフにMLB挑戦を目指すことになった不運を呪うしかない。

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