(メディア情報のみ)

 

ヤンキースからのドラ1指名蹴って大学進学 その裏に父と作ったエクセルシート※東スポ

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【元局アナ・青池奈津子のメジャーオフ通信=ゲリット・コール投手】

 

 本当に、純粋な興味だった。

 高校生で
ヤンキースのドラフト1位指名、推定契約金400万ドルを蹴って大学進学を選ぶような人ってどんな人だろう、と。

 結論から言うと、軽快な聡明性と明快な論理性、爽快なカリフォルニア気質を持ち合わせた、痛快なほどに話しやすい人だった。

 南カリフォルニアの海の近くで育ったゲリット・コールは、サーフィン、スケートボード、フラッグフットボールなどを趣味に、好きだった野球に本気になったのは12歳の時だという。

「大学のディビジョン1でプレーすること。それが僕のゴールだった。ESPNで大学野球の
ワールドシリーズを見て、とにかく憧れたんだ」

 なるほど、それで進学を。

「それもひとつ。大学進学を決めたのは、父と
エクセルシートを作っていろいろ比較した結果なんだ」

「エクセル?」。意表を突かれ丸くなった私の目はよくある反応なのだろう。笑いながら「実際に長い時間悩んで判断したから、その理由を挙げていくと1回のインタビューじゃ足りないよ」と言ったが、理由はいいので過程を教えてほしいと迫った。

「OK。僕自身は、それなりに頭はいい方だったけど、UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校、ディビジョン1)級ではなかったから、野球なしではいい大学には入れない。まず、エクセルでプロ野球選手になった場合の向こう30~40年どうなるかという表を作って、そこに4大卒の教育と学歴の価値と高卒プロの最悪パターンをぶつけたんだ」

「僕が巨額な契約ボーナスをもらえた可能性もあったけど、プロに入れる確証はなかったから、7年プレーして26歳で学位を持たずに引退、貯金は100万~200万ドルくらいと仮定してね。最終的にどこに差があるかをその2つの中で見つけたんだ。進学する方がはるかにメリットが大きいということが分かり、それで保険について調べ始めたんだ」

 ここで初めて知るのだが、全米大学体育協会(以下NCAA)で、一部の将来が有望視されている学生に対し、けがなどに対する保険が提供されているらしい。高校生ですでに球速90マイル(約144キロ)超えの球を投げ、スカウトや代理人が次々現れ、ヤンキースから1位指名されたゲリットには当然ながら資格が与えられた。

「NCAAで、かなり高額の保険を自分の腕にかけられることがわかって、父からお金を借りて故障した際の保険をかけたんだ。もし大リーガーになれなかったら、確か1ミリオン近くをもらえたんだったかな。(結局けがはせず)プロ球団と契約した時に父へお金を返し、結果的にいい自己投資になった」

 大学に3年通ってパイレーツから大リーグ全体でのドラフト1位指名をもらったゲリットは、実に800万ドルの契約ボーナスを手にしたのだった。本人は謙遜するが、これだけ論理的に考える彼が実力でUCLAに入れないとは思えなかった。

「いやいや、勉強はかなり大変で、大学では苦戦したよ。エクセルシートを作ろうと言ったのは父なんだ」

 すかさず聞いた父マークさんを始めとするゲリットの家族、生い立ち話はまた次回。

 ☆ゲリット・コール 1990年9月8日生まれ。29歳。米国カリフォルニア州出身。右投げ右打ちの投手。2008年のMLBドラフト1巡目(全体28位)でヤンキースから指名を受けるも拒否して大学へ。11年にドラフト1巡目(全体1位)でパイレーツから指名されプロ入りした。13年にメジャーデビュー。10勝7敗、防御率3.22で、チームのポストシーズン進出に貢献した。14年も11勝(5敗)を挙げると、15年は19勝(8敗)と大きく飛躍。オールスターにも出場した。16、17年は故障離脱などで振るわなかったが、アストロズに移籍した18年に15勝(5敗)、今季は20勝(5敗)をマーク。ワールドシリーズ第1戦で敗れるまで19連勝を記録した。現在はFA。去就が注目されている。
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大谷、打撃進化の2年目 シフト破り、豪腕攻略―米大リーグ・クローズアップ※時事通信

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左膝の手術に踏み切り、幕を閉じたエンゼルス大谷翔平の今季。打者としてメジャー2年目の成長を感じ取った豪腕投手がいた。アストロズからフリーエージェントとなったゲリット・コール。6打席で二塁打を含む2安打、1四球を許し、「フィールド全体を使って、何度かシフトを破られた。そこが昨年とは違った」と評した。

 アストロズは大谷に対し、内野手を右に寄せる守備陣形を積極的に採用。コールが述懐した通り、2安打はともにシフトの逆への打球だった。右腕の内角へ食い込むスライダーに対応して、がら空きの三塁線や遊撃定位置へ転がした。逆方向へはじき返すには難しい球にもかかわらずだ。

 同様のシフトを敷くチームは昨季から多くあった。大谷は「(空いた)左を狙うということはない」と話してきたが、コールの印象は違う。同僚もシフトの裏をかくような安打を2本打たれたそうで、「狙って打っているようにしか見えない。うちだけで4度もやられている。あれはただのラッキーではない」。確かな打撃技術に支えられたものだというのだ。

 大谷は昨季もコールと6打席対戦し、出塁は単打での1度だけだった。米大リーグが運営するデータサイトによると、相手チームがシフトを敷いた際の大谷の打撃の指標は、昨季から向上している。豪腕の言葉だけでなく、数字もまた進化を裏付けている。 
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