渡米前に大谷翔平が戦線を離脱し、目的を見失いかけた今回の旅だったが、「地区優勝決定ツアー」と題し気分を盛り返しニューヨーク入りした。ヤンキースのマジック3とアストロズのマジック5は、ちょうど自分が観戦するエンゼルス5連戦にモロ当たりする可能性が高い。そんな貴重な瞬間に立ち会える機会も、なかなか無い。

 

 しかし、この貴重な瞬間に立ち会うためには、ここまでずっと大谷とともに応援してきた、エンゼルスが負ける試合を観ないといけない。エンゼルスにとっては、大谷、マイク・トラウトやジャスティン・アップトン等、主力選手が離脱した消化試合。頭ではわかっていたが、きょうのヤンキース初戦を観戦し、そんなに簡単に割り切れないエンゼルスへの感情があることがわかった。

 

 そんな一日の備忘記を記録しておく。

 

 

 

 

高額な観戦チケット

 

 ニューヨークの本格始動の初日。午前中は時差ボケの疲れもあり、ホテルの部屋でゆっくりしながら、昨日一日のインスタ投稿とこのブログをしたためた。

 

 そして、初戦のみ未だ観戦チケットを予約していなかったので、StubHubを通して時間をかけて座席を選んだ。ヤンキース戦のチケットは、エンゼルスのホームゲームチケットと比べて、本当に高い。総じて、各グレードは2倍の価格はする感覚。

 

 6月にエンゼルスのホームゲームを観戦した際、幸運にもバックネット裏1列目を公式サイト上でGETできたが、価格は$250弱だった。別日では、1塁側のエキサイトシート後ろの1列目を$91でGETできた。ヤンキースの同席あたりは、倍から3倍以上する。そもそも直前に空きもない。強くて大都市圏で市場価値の高いチームならではの価格設定か。

 

 自分は、どうしてもカッコいい写真を撮影し残したいので、出来るだけ前寄りのチケットを確保したくなる。大谷が不在でも、アーロン・ジャッジ選手等、撮影したいヤンキースのスター選手は何人かいる。リセールサイトのStubHubには、過去にも良席が直前に安価で購入できた経験もあったが、今回も2階席前方の良席が確保できた。これで安心して、スタジアム開門の夕方までの時間、市内観光に当てられた。

  

 

 

 

Hudson YardsとHighline

 

 午後2時には北米駐在の会社仲間とランチを計画していたので、その前に市内散策に出た。朝から何も食べていなかったせいで、街中にやたらと99Cや$1とかかれたPIZZA屋の看板に目を奪われ、ランチを前にして、そのうちの1軒に入ってしまった。本当に$1で大型スライスの焼きたてビザを食べることができた。高価と安価の入り混じる街、ニューヨークを感じた。

 

 ブロードウェイ通りをタイムズ・スクエア方面に歩きながら、前に来たときに撮影したお気に入りドラマの看板と街並みを合わせた風景を探していたら、無事見つけることができた。このドラマ『LOST』は相当ハマっていたドラマだったので、その広告画と街並みが合わさっている風景が、ずっと個人的なニューヨークをイメージする風景になっていた。10年以上たった今でもその場所は、ドラマの広告看板だった。

 

 14時前には仲間と待ち合わせ。当初、ソーホーのハラミバーガーを食べるという触れ込みで誘いにのったが、変更されていた。どうも仲間が直前にビジネス顧客から、観光トレンドならHudson Yardsに行くべきだと指南を受け、そこに行くことになった。

 

 金物色のアーティスティックな鉄塔?があり、傍には高級ブランドショップとモール街があり、結局その中のフードコート『FUKU』でチキンを食べた。このサイドに付属していたフライドポテトに濃厚な味付けがされており、チキンよりも旨い印象が残った。

 

 それから、こちらも新たな観光名所といわれるHighlineを散策しながら、マンハッタンを南下し、チェルシーマーケット付近まで歩いた。昔の高架鉄道跡を散策道にリノベーションするあたり、アーキテクトなニューヨークを感じた。

 

 初めて入ったチェルシー・マーケットには、お腹が空いていれば食べたくなる、シーフードエリアからホームメイドホットドッグにハンバーガーと、ここでランチすれば良かったと少し悔やむ素敵なショップがたくさん入っていた。食べるのは諦めて、近郊にあるテラス付きのBARで赤のシャングリアを楽しんで、仲間とは別れた。

 

 

 

 

ヤンキースタジアム

 

 ホテルに戻り急いで準備し、ヤンキースタジアムに向かった。マジソンスクエアガーデン前のホテルから徒歩で34st駅の青色A&Cラインに乗り、125stでオレンジ色のBラインに乗り換えて、ヤンキースタジアムのある161stで降りた。所用時間30分強。

 

 試合開始時刻をてっきり19時05分と30分遅く勘違いしていて、17時45分頃スタジアムに着き、あっという間に18時35分にプレイボール。

 

 毎年、ビジターゲームを計画に入れるのは、いろんなボールパークを経験してみたいこともあるが、最大の目的は大谷のフリーバッティングを観ること。ホームゲームだと、開門2時間前の段階で、ほとんどホームチームの練習は終えているから。今回は大谷のフリーバッティングも無く、試合前に選手のサインを貰うモチベーションも少し下がっていたので、ゆっくりスタジアム入りした。

 

 

 

 

復活のセベリーノ

 

 きょうの試合、ヤンキースの先発はルイス・セベリーノ投手が予告されていた。セベリーノ投手は、昨季19勝をあげた、田中将大投手と並ぶ若きエース格。ただ、シーズン開幕前より右肩を故障し、今季の初登板となっていた。セベリーノ投手といえば、大谷ファンからすると、昨季4月に放った第4号ホームランを討たれた投手として印象が強い。大谷が、あのインコースをライトスタンドへ弾丸ライナーで放った一打である。そんな縁もある、大物投手の復帰戦を見れるのは、ラッキーだった。

 

 試合開始前には、田中投手がセンター方向から笑顔でリラックスして歩いてくるのが見えた。本来、ローテーション通りにいくと、明日先発予定のCCサバシア投手が先発予定で、田中投手は3戦目に投げる予定だった。それが急遽、このセベリーノ投手の復活登板が割り込む形に入ることになり、田中投手が投げる姿を見れなくなってしまった。セベリーノ投手を観れるのは、ラッキーだったが、引き換えの代償は大きかった。

 

 

 

 

ジャッジのファンサービス

 

 きょうの試合は、1塁側2階席の9列目からの観戦。試合前に最後のストレチを終えたアーロン・ジャッジ選手が、ライト側のネットが無い客席エリアに走り、サインをする模様が見えた。メジャーのこういう風景を見るにつけ、いつも日本のプロ野球との違いを大きく感じる。エンゼルスでいえば、マイク・トラウト選手も、ホームゲームでは毎試合のように試合直前にサインを行なっている。超スーパースターが率先してファンサービスを行う姿勢には、本当に感嘆する。日本も見習ってほしいものだ。

 

 

 

 

ワンサイドゲーム

 

 大谷とトラウト選手不在の試合がスタート。率直に感じたのは、やはりチームとしての迫力やアイデンティティに欠ける印象。ビジターゲームという環境から、ファンの声援が皆無なことも、この印象に拍車をかけた。はじめは、そんな思いをもって試合を観ていた。

 

 ヤンキースに2回に2点を先制されて、続く4回には、一時大谷と新人王を争っていたグレイバー・トーレス選手の第38号ホームランがとびだし、一挙6点が追加されて、この試合の勝負は決まった。

 

 

 

 

 今回の旅は、ヤンキースの貴重な地区優勝の瞬間をライブで観ることを目的に変更してきたが、エンゼルスが一方的に倒される様を観ているのは、なぜか複雑な気持ちだった。到着2日目で時差ボケや疲れも重なり、余計に切ない気持ちになっていた。

 

 デビット・フレッチャー選手、アンドレルトン・シモンズ選手、コール・カルフーン選やアルバート・プホルス選手等、大谷を通して応援してきたエンゼルスには、充分思いれるのある役者はまだまだ揃っている。それに、若手有望株のマット・サイス選手や大谷に続く二刀流のジャレット・ウォルシュ選手は、将来に可能性のある選手達だ。

 

 

 これまで応援してきた贔屓チームが負ける姿をみることは、やはり気持ちのいいものではなかった。

 

 チームエンゼルスへの愛着が、自然に培われていたことを改めて自覚した。

 

 試合後半からは席を立ち、ゲームの行方よりもスタジアム内のあらゆる観戦エリアを散策。印象的だったのは、様々な形式のスタンディングBARの多さ。お客さんもずっと座ったままゲーム観戦ではなく、気軽に飲み語らいながら楽しめる空間作りはとてもいいと思った。上手にビジネスを展開しているなと思った。通常よりも高額設定で飛ぶように売れていたので、飲食の売り上げは、相当なものだろうなあ。

 

 そして、そういえば、昨季大谷と新人王を争った、ミゲル・アンドゥハー選手がいないことに気づいた。調べてみたら今季は序盤戦に右肩故障で戦線を離脱していた。スポーツ選手に怪我はつきものと言われるが、それを思うと大きな故障なく、長年いいコンディショニングを維持していたイチロー選手の偉大さを改めて実感。

 

 

 

 

記念品

 

 今回のヤンキースタジアム来訪記念の購入グッズは、印象に残った選手の背番号入りTシャツと決めていた。大谷関連で考えてしまうので、先発したセベリーノ投手か、この日ホームランを打ったトーレス選手か迷ったが、大谷と新人王を争ったトーレス選手のものにした。

 

 試合はそのままヤンキースが勝利したので、試合後には『ニューヨーク・ニューヨーク』も聞くことができた。この頃には複雑な気持ちは和らいでいた。

 

 帰りに悲惨なオチがついた。スタジアムを出て、地下鉄に乗ろうとしたところ、メトロカードのチャージが切れていた。券売機周辺には、当然の事ながら長蛇の列ができていて、完全失敗した。4台ある券売機は、1台が故障、1台がコインのみで実質2台のみ稼働。店頭窓口もあったが、係の女性スタッフは取り扱いを受けつけず、すべて券売機へ並べと悪態をつく状態。事前準備の反省。

 

地区優勝の進捗

 

 この日、ヤンキースが勝って、2位のレイズがドジャースに負けた為、ヤンキースのマジックは、1になった。明日も両チーム同カードがあるので、明日には優勝が決まりそうだ。きょうのエンゼルスの状態をみていると、勢いのあるヤンキースに勝つのは、ちょっと難しいか。

 

 一方、次の旅先となるヒューストン・アストロズは、レンジャーズに勝って、2位のアスレチックスも、ロイヤルズに勝った為、アストロズのマジックは、1つ減って3になった。自分がヒューストンに辿り着くまで残り2戦で、マジック3つを消化するのは簡単ではないと思う。やはり、こちらも計画通り、エンゼルス相手の地区優勝決定試合になりそうだ。

 

 貴重な優勝の瞬間に立ち会えれば嬉しいが、ちょっと複雑な切ない気持ちをもって見届けることになりそう。

 

 それはそれで、良き思い出になるか!!