元旦の産経新聞に続き、2日はスポニチが、大谷翔平の新春インタビューをもってきた。スポニチは、通訳の水原一平氏の手記?と、取材担当者の後記付き。
印象に残ったのは、やはり大谷のインタビューよりも、水原氏の手記。今でも、毎日会っているそうだ。トレーニング・パートナーや移動の送迎役も兼ねているだろうから、もはや完全なお付きのマネージャー役か。
水原氏の最後の件がいい。
「もし、開幕からフルで出られれば、何らかのタイトルを獲れる可能性もあると思います。物凄い数字を残すのではないでしょうか。」
全くその通りの期待感だ。開幕から打者でフル出場できる機会は、2020年以降は当分無さそうだから、ぜひ全快打者の大谷をフルシーズン見てみたい。大谷も、もちろんそのつもりでリハビリ計画を進めている。
次のプランが見えてくるのは、米国に戻り、定期診断の結果次第か。逸る気持ちが、今から抑えられない。
新年を迎えたエンゼルスの大谷翔平投手(24)がスポニチ本紙の単独インタビューに応じ、打者に専念するメジャー2年目への決意を語った。昨年10月に右肘のじん帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)を受けたが、クリーンアップとして米国時間3月28日(日本時間29日)開幕のアスレチックス戦への出場に意欲。タイトル、世界一への思いなど、本音に迫った。(聞き手・大林 幹雄、柳原 直之)
――あけましておめでとうございます。右肘手術を受け3カ月が経過。現在の1日の練習スケジュールは。
「練習は午前10時くらいから始めて、終わるのが午後2時くらいです」
――みっちりトレーニングをしている。
「やることがありますからね。今までは技術練習が入ってきていたので、そんなにフィジカルに時間を割けませんでした。今も上半身のトレーニングはないので、元々できなかったところを重点的にやっています」
――例えば、股関節を鍛えるとか。
「インナーとかもできます。一日の時間は限られている。リカバリーもしなければいけません。睡眠も必要ですし、食事も必要です。そういう時間を全部、うまくコントロールしていく中で、技術練習、フィジカル、そして、ケアの部分に配分をしていました。今は技術練習がない分、より増やせるところが多くなってきた感じです。全体的な練習量はあまり(ケガする前と)変わりません」
――順調に進めば、2月のキャンプから打撃練習もできるか。
「ティー(打撃)だったら、もう年明け(に再開)とかじゃないですか。年明けとか1月中旬には、軽くバットを振ったりとかではないですかね。1月後半くらいまでが“一番、慎重に”という感じはします。あとは本当に検査にも行かないと分かりません。実際に手術をした人に経過を見てもらわないと、分からないことが多いということだったので」
――開幕戦に出場するつもりで準備する。
「もちろん目指すつもりではいます。そこを目指してちょっとずつ遅れるのはOKだとは思います」
――今季の目標について具体的な数字は。
「数字を答えられればいいんですけど、量(打席数)が分からないですし、いつ復帰できるかも分からないので。今年、後半くらいから3、4、5(番)辺りを打っていましたけど、その辺りを常に打っていければということじゃないですかね。そこの地位を確立することが、絶対的な量を確保するということにつながる。量が確保できれば、目標が立てられると思います」
――マリナーズのイチローは将来的にサイ・ヤング賞と本塁打王を期待する。
「光栄です。ただ、まだ(自分は)その立場ではないのかなというのはあるので、まずは(タイトルの)争いに入っていける実力にならないといけない。そこに入った上で本塁打王になりたい、サイ・ヤング賞を獲りたいということなので、そこに絡んでいけるレベルに上がっていくことだと思います」
――帰国後、日本の「大谷フィーバー」を実感しているか。
「外には出歩いていなくて、ご飯食べに行く時も歩いて行っているわけではないので…。人にそんなに会うところはありませんし(笑い)」
――リラックスする時間はあったのか。
「(手術直後の)10月はギプスをはめて何もしていなかったので、(リラックスするのは)その期間で終わりという感じ。正直、休んでいる暇はないと思っています」
――帰国後に「寿司」は食べた?
「お寿司は食べました。(元日本ハムで現巨人の)陽岱鋼(ヨウダイカン)さんと。帰国(11月21日)の翌日ですかね。ダイさん(陽岱鋼)がちょうどその日に契約更改をしていて、“どう?”って言われて。ちょうど何もなかったので(通訳の水原)一平さんと、一平さんの奥さんと4人で食べました」
――米国で食べる寿司との違い。
「お寿司自体もそうですし、カウンターだけの感じとか、お寿司だけじゃなくていろいろな料理が出てきたりとか。なかなか久しぶりでしたね」
――英語の上達法は?
「ないですね(笑い)。1年目ですし、まずは野球が一番だったので。一平さんもいますし。自分で話せるようになるのが一番だとは思いますけど。やらなければいけないみたいなのはあまりないです」
――それでも確実に上達しているのでは。
「(オンラインの)ゲームをしながら、遊びながらというのはありました。僕とシモンズ選手と一平さんと、あと誰か一人。会話をしながら(のゲーム)なので、勉強になりました。特に聞き取る方ですね。対面していたら、ある程度分からなくても、身ぶり手ぶりで“あー、何言っているのかな”と分かるんですけど。無線(オンライン)だと本当に言葉自体を探さないと分からないので。唯一、それだけですかね」
――どんなオンラインゲームか。
「チーム組んで、常に話してみたいな感じですね。“次、どこ行こう”“ああしよう”と。勉強になりましたね。聞いていて、何言っているのか分からないものは、一平さんが“次こうね”って教えてくれて“こうだったんだ”という感じでした」
――今年さらに英語力を伸ばすには。
「野球に余裕があればいいと思いますけど、まず大前提として、野球。話せなかったからといって(エンゼルスの選手、スタッフなどは)ああだこうだ言うような人たちではないので。そこも一つやりやすいと思います」
――昨季開幕直前にすり足気味の打法に変えた理由。
「打席の中であまり動きたくないなというのが一番ですね」
――それ以外にも変えた部分は。
「基本的に小さい頃から培ってきた軌道とか、自分の捉え方とかっていうのはあんまり変わらないのかなとは思います。ただ(打撃フォーム自体は)毎年変わっていますからね、今に始まったことではないので。本当に野球を始めてから今日までいろいろと変えているので。たまたま取り上げられているだけで、そんな特別なこととは思ってはいません」
――レギュラー争いも激しい。
「毎年毎年、入れ替えも日本よりも激しいですし、その中で自分のポジションを1年間、キープしなければならない。今年1年、残した成績は来年生きてくるんじゃないかなと思うので、そこをより確立できるように、復帰したときにしっかり最初から結果を出していけるように頑張りたいなと思います」
――スローイングの再開時期は。
「開幕して少したってから軽く投げ始めるんじゃないかなと思います。それに関しては臨機応変にというか、リハビリの進行具合にもよってくるので、変化はしてくると思うんですけど、そのくらいをメドに軽く投げ始められればいいかなと」
――帰国会見ではポストシーズンへの意欲を語った。
「手術明けでテレビで見ていましたけど、盛り上がりも凄いし、そこで活躍したいというのが野球選手の目標だと思います」
――レッドソックスのワールドシリーズ制覇はテレビ観戦?
「見ていました。ワールドシリーズも見ていましたし、地区シリーズも見ていました」
――ワールドシリーズに行きたい気持ちが強まった。
「まずはポストシーズンだと思います。昨季は出られなかったので(今季は)ぜひ、出たいと思います」
――04年に松井秀喜が記録した日本選手最多31本塁打超えにも期待がかかる。
「連続して(試合に)出る難しさもあるのかなと思うので、それは経験してみないとちょっと分からないのかなと思います」
――今季はどんな活躍を。
「バッターの出場になると思うので、より数多くホームランを打ちたいなと思っていますし、試合を決められるような一本、自分の思い出に残る一本が数多く打てればと思っています」
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プライベートでは昨年、結婚しましたが、シーズンが終わった後の食事の席で、翔平から新婚旅行のプレゼントをもらいました。封筒で旅行券のようなパックになっているものです。今回のオフの期間は短くて、行けるか分かりませんが、本当にうれしかったです。1年前の出発の時にも機内でサプライズで結婚を祝ってもらいました。結婚式は今年のシーズン後を予定しています。
翔平に今季に向けて“何か変えた方がいいところはある?”と聞きましたが、“特にない”とか“こんな感じでいいんじゃないですか?”とか。ただ、今後、僕が出る場面は自然と少なくなってくると思います。周りから“大変でしょ?”とかよく言われますけど、自分の感覚では昨季も大変だという感覚はありません。今季はあまり(テレビに)映らないよう、離れて歩きます(笑い)。
翔平本人は(目標の)数字の話はしないと思いますが、もし、開幕からフルで出られれば、何らかのタイトルを獲れる可能性もあると思います。物凄い数字を残すのではないでしょうか。(エンゼルス通訳)
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【インタビュー後記】大谷に6度目のインタビュー 返答に感じた心境の変化
◇大谷翔平 新春インタビュー
【インタビュー後記】毎年、エンゼルス・大谷に必ず聞く「来季の目標」。具体的な数字こそ挙げてもらえなかったが「数字を答えられればいいんですけど」という返答に心境の変化を感じた。
根拠のない答えは口にしたくない、野球に真摯(しんし)に向き合う大谷らしさでもあるが、いつもは「数字、好きですね」と笑ってはぐらかされていたからだ。
打撃フォームの連続写真を食い入るように見つめる姿は野球小僧そのものだった。絵馬にサインを書く前には2度も下書きし「もっと大きくですか?」としっかり確認。エンゼルスのチームフラッグの前に立つと「これ作ったんですか?」と無邪気な笑顔を見せた。
記者にとって大谷の単独インタビューは対談形式を含め、これで6度目。どこか警戒しながら話すかつての姿は消え、今までで一番、等身大で語ってくれた。(大リーグ担当・柳原 直之)
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