今朝、また一瞬激震が走った。起きてみたすぐの情報に、大谷選手が手術を必要とするという衝撃的なニュースが出ており一瞬慌てふためいたが、この報道はすぐさま、エプラーGMやソーシア監督が全面否定した。事の発端は、米ESPNの番組内で、レポーターのペドロ・ゴメス氏が、自身が収集した情報を総合すると、大谷選手にはトミージョン手術が必要というものだった。ただ、この発言には裏付けとなるような情報元や取材元が明かされていた訳ではなかったようだ。

 

 また二日続けて、在米ライターの丹波氏が、大谷選手のDL入りについてコラムをアップしてくれている。内容は、過去にDL経験のある田中投手やダルビッシュ投手と比較して、治療法の判断が短時間だったという事実から、大谷選手のケガの状態は深刻な状況ではないかもしれないというもの。ただ深刻な状況でなかった場合でも、復帰後の大谷選手は再発の恐怖心と戦わないのではないかというもの。最後にはケガを防ぐことの難しさとともに、長年ケガなくプレーしているイチローの凄さを特別だと伝えている。丹羽氏が最後に締めくくっているように、大谷選手には考える時間ができたことをプラスに、ケガの再発防止も含めて復帰プランをポジティブに考えてほしいものだ。

 

大谷翔平は「トミー・ジョン手術が必要」 米レポーター伝える「復帰は2020年に」

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 エンゼルスのビリー・エプラーGMは「医師からトミー・ジョン手術(TJ手術)を受けた方がいいという意見はもらっていない」としてトミー・ジョン手術、つまり右肘靭帯再建手術の可能性を否定していたが、ここにきて米ESPNでレポーターを務めるペドロ・ゴメス氏が「大谷にはトミー・ジョン手術が必要」と伝えた。

 ゴメス氏は11日(日本時間12日)に米ESPNの番組内で「エンゼルスはトミー・ジョン手術を必要としないケースへの望みをもっているが、私が耳にした話を総合すると、現実問題として彼にはトミー・ジョン手術が必要だろう。まだシーズン半ばであり、大谷が最高の投手であることもあり、チームは決断していないが、現時点で状況は明るくない」と伝えてる。

 さらにゴメス氏は大谷がトミー・ジョン手術を受けた場合には「彼を再び見ることができるのはトミー・ジョン手術を経て、2020年になるだろう」と言及。トミー・ジョン手術を受ければ復帰までは14か月程度かかるとされているが、今季はもちろん、2019年シーズンでの復帰も難しくなると伝えている。

 同氏のレポートを受けて米メディアも続々と速報。ただ、米メディア「ジ・アスレチック」の敏腕記者ケン・ローゼンタール氏はツイッターで「オオタニの診断結果に変更はない。また、我々の医師やメディカルスタッフは(手術を)勧めていないし、可能性があるとも言っていない」」というビリー・エプラーGMのコメントを紹介した。エンゼルスからは公式の発表はなされていないが、果たして大谷は本当に手術を受けることになるのか。

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エンゼルスGMが大谷の手術報道を否定

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 右肘靱帯損傷で10日間の故障者リスト入りしているエンゼルス大谷翔平投手(23)が、手術を受ける可能性が高いとの報道を11日(日本時間12日)、エンゼルスのエプラーGMが否定した。

 大谷は6日のロイヤルズ戦の登板後、右肘の張りを訴え、7日に「PRP注射」と呼ばれる治療を受け、3週間後の再検査で今後の方針を決める予定となっている。ところが、11日朝にケーブルテレビのESPNが11日朝、同局の番組内で「私が聞いている限り、大谷は手術することになるだろう」との発言が飛び出した。この発言をもとに、米主要メディアの多くが「大谷が手術する見込みになった」と伝えた。

 しかし、その報道を伝え聞いた同GMは「大谷の診断結果に関して変更はない。球団の医師団が手術を進言したり、する可能性があるなどとは言っていない」と現時点での手術の可能性について、全面否定した。

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ソーシア監督、大谷のTJ手術報道を否定「今季再び登板すると高く期待してる」

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 エンゼルスのマイク・ソーシア監督は11日(日本時間12日)、米スポーツ局「CBSスポーツ」のオンライン番組「ライターズ・ブロック」に電話出演し、大谷翔平投手が右肘靱帯再建手術(トミー・ジョン手術・TJ手術)を受けるという報道に対して「私は聞いていない」と否定した。

 大谷は右肘内側側副靱帯にグレード2の損傷を負い、7日(同8日)にロサンゼルスで多血小板血漿(PRP)注射と幹細胞注射を受け、3週間後に再検査を受けるまでノースロー調整を行っている。再検査を受けてから、その後の治療方針を決定する予定だが、11日(同12日)に米スポーツ局「ESPN」でレポーターを務めるペドロ・ゴメス氏が「私が耳にした話を総合すると、現実問題としてトミー・ジョン手術が必要だろう」と報道した。

 これを受けて、米スポーツ専門メディア「ジ・アスレチックス」のケン・ローゼンタール記者はツイッターで“反論”。「オオタニの診断結果に変更はない。また、我々の医師やメディカルスタッフは(手術を)勧めていないし、可能性があるとも言っていない」というビリー・エプラーGMの言葉を紹介した。

 その後、ソーシア監督は電話出演したオンライン番組で「医師たちは、彼(大谷)の復帰に大きな自信を持っていることは明らか。我々はショウヘイの件に関して非常に慎重な姿勢を取るだろう。何よりもまず、肘がバットをスイングする分には問題ない状態になったらどうなるか。マウンド上で投げるよりも先に、バットを振れるようになると思う。だが、今季再び登板すると高く期待している」と、手術をせずに戦列復帰できることに期待を寄せた。

 開幕以来、二刀流の活躍で全米を沸かせてきただけに、大谷が今後どのような道を歩むのかは誰もが注目するところ。トミー・ジョン手術を受けるとなれば、早くても復帰は2020年となるだけに、手術を受けるか受けないかは、大きな選択となりそうだ。

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その日、朝7時半にミネアポリスの空港に着くと、レンタカーでアイオワ州のデモインに向かった。車で約4時間の距離。大谷翔平(エンゼルス)が10日間の故障者リスト(DL)入りしたニュースは、その車の中で知った。

 もしも大谷が、ミネアポリスで会見を開くなら、そのまま引き返さなければならない。遠征には帯同していないと聞いて、予定通りデモインに向かったが、取材後、ミネアポリスにとんぼ返り。

 

 慌ただしい1日になった。1日の大半は車の中で過ごしたことになるが、運転しながら、田中将大(ヤンキース)とダルビッシュ有(カブス/当時レンジャーズ)の右ひじ側副靭帯損傷が発覚したときのことを思い出していた。

 

田中将大は復帰まで2カ月以上

 田中が前腕部に張りを訴えたのは、2014年7月8日(現地時間)の試合後。翌日、ヤンキースのクラブハウスへ行くと、そこに田中の姿はなかった。その頃彼は、遠征先のクリーブランドからニューヨークへ戻り、MRI検査(磁気共鳴画像装置)を受けていたのだ。

 

 翌10日、田中はスポーツ専門医の学会のためシアトルに滞在していたチームドクターの元へ飛ぶ。学会には、入団交渉前にロサンゼルスで身体検査を行ったドジャースのチームドクターも出席しており、彼らを含む3人の専門家に診断を仰いだところ、いずれも右ひじ側副靭帯の部分断裂という所見だった。

 

 ただ、当時の情報では、断裂の比率が全体の10%以下。手術が必要なほどではなく、ニューヨークから電話会見に応じたブライアン・キャッシュマンGM(ゼネラルマネージャー)も、「復帰まで、6週間程度」と軽症を強調している。

 

 実際は2カ月以上かかったわけだが、14日には自身の血液から採取した血小板を使って組織の修復や再生を図る「PRP注射」という治療を行い、早々に手術回避を決めている。

異変から11日後に手術したダル

 それからおよそ8カ月後の3月7日早朝、記者の前に現れたレンジャーズのジョン・ダニエルズGM(ゼネラルマネージャー)は、険しい表情だった。

 

「ダルビッシュのMRIの結果は、右ひじ側副靭帯の損傷だった」

 

 2日前、ダルビッシュはオープン戦に登板。2イニングを投げる予定だったが、右上腕に張りを感じ、1回で降板。翌6日の午後に検査を受けていた。そして7日朝に発表があった。

 

 3日後、ダルビッシュはセカンドオピニオンを求め、フェニックスからニューヨークへ。そこでメッツのチームドクターの診察を受けたが、意見は変わらなかった。

 

 ダルビッシュの場合、部分断裂ではなく、「すり減っている」というのが本人の表現。

 

 ただ、遅かれ早かれ、手術が必要になるとの見方もあり、それならばとダルビッシュは手術を決断し、異変から11日後にメスを入れた。

 

張りの訴えから翌日にPRP注射

 

さて、大谷は――?

 そうした田中やダルビッシュのときと比べると、短時間でいろんなことが決着している。

 

 張りを覚えたのが6日の試合後。ビリー・エプラーGMに伝えると、翌7日には、MRI検査を行い、損傷が確認されると、同じ日にPRP注射による治療を行った。よって8日にエンゼルスから状況が公表されたときには、すべてが終わっていたのである。

 

 この一連の経緯というのは実は、エプラーGMが8日の電話会見で、「治療でコントロールが可能」と楽観的に話したことの裏付けにもなりうる。

 

 というのも、もしも深刻な状況ならば、PRP注射をするにしても、判断に時間を要する。セカンドオピニオンを求めるべく、違う医師による診察を選択したかもしれない。

 

 ただ今回に関しては、そういう経過が一切、省略されていた。

 

 エプラーGMは、「チームドクターが早い段階で、PRPを勧めた」と明かしたが、部分断裂は否定出来ないものの、慎重な判断が必要というほどのレベルではなかったということか。

 

 かといって、安心できるわけではない。

 

 昨年10月にPRP注射を受けていたことを、12月の契約後に米ヤフー・スポーツが報じたが、あのときの程度はグレード1。今回はグレード2。悪化したことは否定できない。

問題は復帰してからの恐怖心

 では実際、どの程度断裂しているのか。グレード2の解釈は広いので絞り込むことは難しいが、次に痛めれば、おそらく手術を避けられない。PRP注射による再生治療を受けたとしても、靭帯そのものが再生するわけではなく、断裂が切り傷のように自然治癒するわけでもないのである。

 

 今後、一つの焦点となるのは、復帰の目処とされる8月の動きか。

 

 球団は、3週間後に再検査を行い、その後のリハビリ予定を考えるとしているが、問題は、復帰してからだろう。

 

 まずは、恐怖心を取り除けるかどうか。少しでも不安があれば、ひじをかばうような投げ方となる。そうなれば今度は、肩を痛める可能性もある。実際、そういう経緯をたどる選手は少なくない。また、腕を振ったときに、靭帯が耐えられるかどうか。リハビリ登板ではそこまで無理をすることはない。しかし、復帰すれば無意識のうちに力が入る。そこでひじがどう反応するのか。

 

 30日のタイガース戦では、徐々にひじが下がるという傾向が出ていた。その中で最後に101.1マイル(162.7キロ)という今季最速の球を投げた。あの球はリリースポイントが下がり、さらに三塁側にずれていたため、右ひじへの負荷は相当なもの。あれを続ければ、靭帯の悪化は避けられないのかもしれない。

ケガを防ぐことの難しさ

 それにしても今回、改めてケガを防ぐことの難しさを痛感させられた。エンゼルスもあれだけ気をつけていたのである。

 

 9日、大谷の離脱を受けて取材に応じたマイク・トラウトは、「野球選手にとって、健康でいることは簡単ではない」と話したが、自身も昨年、5月終わりから7月半ばまで、左の親指を痛めて戦列を離れている。

 

 やはり、イチローのような選手は特殊なのである。

 

 それでも今回のケガを前向きに捉えるなら、大谷には時間が出来た。リハビリが中心だが、考える時間も増える。有効に使えるかどうか。プラスに変えられるかは、大谷次第である。

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