昨年、大谷選手が愛読書として公表して以来、改めてブームとなっていた、「チーズはどこへ消えた?」の著書スペンサー・ジョンソン氏がお亡くなりになられたそうだ。自分も先日、浜松町の書店で平積みされていた大谷選手の表紙につられて同書に興味を持ち、読んだばかりだった。安住に立ちどまることなく、常に新たなチャレンジを説く同書は、とても読みやすいストーリーと短編構成に、自分も凄く共感した。ご冥福をお祈りいたします。

 
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 ベストセラー「チーズはどこへ消えた?」で知られる作家のスペンサー・ジョンソン氏が3日、すい臓がんによる合併症のためサンディエゴで死去した。78歳。米メディアが報じた。

 同書は1998年に出版され、売上は全世界累計2800万部。日本においては2000年に発売され、累計400万部のロングセラーになった。

 
 チーズを失う2匹のネズミと2人の小人を描く童話。状況の変化への対応を説き、ビジネス書や自己啓発本として読まれた。

 中西部サウスダコタ州生まれ。南カリフォルニア大などで心理学を学び、病院勤務などを経験した後に作家に転身した。他の著書に「1分間意思決定」「頂きはどこにある?」など。
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皆さんは『チーズはどこへ消えた?』という本をご存知でしょうか?

『チーズはどこへ消えた?』は、スペンサー・ジョンソン氏によるビジネス書です。IBMやアップル、メルセデス・ベンツといった世界的トップ企業の社員教育に相次いで採用されたことで話題となり、1999年度の「全米ビジネス書ベストセラー」で第1位に輝きました。

2000年には日本語版が発売されて大ヒットし、累計400万部を突破。翌2001年は映画「ハリー・ポッターと賢者の石」の公開や『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』の発売などがあり、“ハリポタ旋風”が吹き荒れましたが、そんな中でも年間ベストセラーで総合第1位を獲得しています(日販調べ「2001年 年間ベストセラー」より)。

日本以外にも世界各国でさまざまな言語に翻訳されており、『チーズはどこへ消えた?』は全世界で1800万人が読んだ“超ベストセラー”となっています。

これが今、再びブームを起こしているのです。

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上のグラフは、『チーズはどこへ消えた?』の月別売上冊数の推移を示したものです(2012年以前のデータがとれなかったため、2013年1月からのグラフとなっています)。

超ロングセラー本なので常にある程度は売れていますが、グラフを見ると2016年10月、11月、12月と急激に売上が伸び、そのまま3か月連続で売上水準をキープしています。

2016年9月と12月の売上を比較してみると、なんと10倍以上。一体何があったのでしょうか?

調べてみると、2016年10月2日放送の「Mr.サンデー×HERO’S合体SP」にて、北海道日本ハムファイターズの大谷翔平選手がインタビューに対し「野球関連書のほかに『チーズはどこへ消えた?』を愛読している」と答えていたことがわかりました。

これを受けて新聞各紙には、「あの大谷翔平選手も読んでいたビジネス書!」と大谷選手の写真付きで広告が掲載。このことがきっかけで、『チーズはどこへ消えた?』が再び世間に広く知られることとなったようです。

当初は不可能といわれた「二刀流スタイル」を確実なものとし、2016年にはパ・リーグにおいてプロ野球史上初となる「投手」「指名打者」の2部門でベストナインに選出、最優秀選手となった大谷選手。

球界を代表するスター選手の愛読書ということで再び脚光を浴びている『チーズはどこへ消えた?』ですが、どんな方が読んでいるのでしょうか? 読者層を調べてみました。

上の横棒グラフは、男女それぞれについて「2016年10月以降に、各世代でどれくらい読者が増えたか」を示しています(日販WIN+調べ)。

グラフを見てみると、全体として2016年10月以降、20代~50代を中心に読者が爆発的に増えていることがわかります。男女別に見ると、男性では若い世代、女性では中高年世代で読者が増えているようです。

大谷選手は1994年生まれですので、現在22歳。恐らく同世代からの反響があったこと、ブーム当時を知る世代がテレビ番組や新聞広告で再び『チーズはどこへ消えた?』に注目したことが、今回のブームの理由ではないかと思われます。

ここで『チーズはどこへ消えた?』を読んだことがない方のために、本の内容を少しご紹介します。

著者のスペンサー・ジョンソン氏は、医学博士、心理学者。『チーズはどこへ消えた?』は2匹のネズミと2人の小人が、ある日突然消えてしまったチーズを求めて、迷路をさまようお話です。

彼らは「チーズ=大切なもの」という点では共通していますが、性格がそれぞれ異なっており、チーズを見つけるために異なる行動を選択します。読者は本書を通して、何が起きるかわからない環境の中で「自分ならどんな行動をとりそうか」「本来はどんな行動をとるべきか」を考えていくのです。

『チーズはどこへ消えた?』はビジネス書ながら非常にシンプルな内容で、読むのに1時間もかかりません。しかしその代わり、読んだ後に「自分はどうすべきか」と考え、会社の同僚や家族といった身近な人たちと話し合うことで、はじめて「きちんと理解した」ことになる本だと思います。

『チーズはどこへ消えた?』は時代を問わず、繰り返し読まれるべき価値ある一冊だと思います。今回初めて『チーズはどこへ消えた?』を知った方はもちろん、過去に一度読んだ方も、この機会にぜひ読んでみてください。

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