朝から母親と一緒にA大病院の耳鼻科外来へ。
行ってみると、さすが大学病院。
朝から混雑していました。
診察の前に、聴力と鼓膜の検査。
検査が終わると、リハビリ室らしきところで顔の動きをビデオカメラで撮影されました。
経過をビデオで記録していくんだなぁ。
それから1時間半ほどひたすら待ち、ようやく診察室に呼ばれました。
先生はTシャツにズボンというラフな格好で、お医者さんというよりも教授って感じの人でした。
先生は紹介状を読みながら私にいくつか質問をしたあと、顔の動きを確認。
そして筋電図検査。
先生が手に取ったのは、前回の時よりかなり小さめの機械でした。
先生「ちょっと痛いよー」
と言いながら健側の耳の下や口元、目元に電極を当てる。
かなりビリビリ。
ひと通り当て終わると、次は患側。
同じように当てていきます。
先生は終始無言。
少しずつ電圧を上げていく先生の様子を見て、嫌な予感がしてきました。
電圧がどんどん上がっていき、結構痛いくらいになっています。。
それでも先生は「出た」とは言ってくれません。
本当に反応出てないの?
こんなにビクビクなってる感じするのに・・・
そして
先生「大丈夫?10まで上げたら終わりにするから」
(※数値はうろ覚えです)
と最終宣告。
お願い、出てくれ!!!
もう輪ゴムでバチンバチン弾かれてるような痛みでした。
・・・・・。
先生「はい、終わりです」
機械を片付け、私に向き直ると一言。
先生「かなりひどいです。」
また0%だった。。
言葉が出ないでいると、先生が話し始めました。
人それぞれ症状というのは違うのですが、同じ病気の人を10人並べたとしたら一番ひどいレベルです。
ここまでひどいと、麻痺は残ります。
後遺症も出てくると思います。
でも今よりは必ずよくなります。
見た目も他人からはそれほど分からなくなるとは思いますよ。
まぁ、動かすと分かってしまうかもしれませんが・・・
治療を開始したのは早かったんですけどね。。
なるべく早く手術を受けられた方がいいです。
ただ、手術をしても完全には治りません。
でも8割、、9割くらいまでは良くなるんじゃないかと思いますよ。
手術をしなくても良くはなっていきますが、5割ほどしか戻らないかもしれません。
頭が真っ白でした。
ただただ絶望感。
まだ20代なのに
まだ結婚もしていないのに
まだまだ人生これからで
笑って写真もたくさん撮りたいのに
もう元に戻れないのか。。
今までは、時間はかかったとしてもいつかきっと元に戻るだろうと楽観視していた部分もあったし、不安に襲われてもきっと大丈夫と自分に言い聞かせて保ってきました。
でも完全には治らない、、
抑えきれずに先生の前で大号泣。
先生は特に慰めるでもなく、これからすべき手術について淡々と説明してくれました。
(慰められるときっと余計に泣いて説明が入ってこなかったと思うので、逆によかったです。)
そして母は横で背中をさすってくれながら、先生の説明を黙って聞いていてくれました。
手術は、顔面神経周辺の骨を削り、神経の圧迫を解消して血流をよくし、神経の回復を手助けする手術だそうです。
手術のデメリットとして、 聴力低下や耳鳴りが後遺症で残る可能性があるとのこと。
というのが、神経周辺の骨を削るために耳小骨(音の振動を伝える骨)を一度外さないといけないそうで、きれいにくっつけて戻したとしても、何かの拍子でズレたりすると後遺症が現れてしまうそうです。
でも確率としてはそれほど高くないと先生は言っていました。
手術は受けた方がいいと思います。
いいですか?
と確認され、父親の顔がチラつきましたが、
…受けます。
受けるしかないと思いました。
難聴や耳鳴りの可能性は少し気になるけど、それ以上に顔がよくなる可能性に懸けたい。
これでもし手術の効果がなく、後遺症だけ残ったとしても後悔はないです。
やれることはやったと自分が思えるのが大事かなと思いました。
そこからは話が早かったです。
先生「緊急手術としてねじ込むので、来週入院して手術しましょう。今日、手術に必要な検査をひと通り済ませてもらえますか?」
と言われ、ひとまず検査を受けるため診察室を後にする。
診察室を出てまた号泣。
母も涙声で「大丈夫よ、手術したらリハビリがんばろう」と背中をずっとさすってくれていました。
とりあえず落ち着いてから、血液検査→レントゲン→脳CT→呼吸機能検査→心電図…ぐるぐると検査をして回り、また耳鼻科外来に戻ってきました。
父には母が電話で説明してくれたようで、父も「それは必要な手術やね」と言っていたようです。
再び診察室に呼ばれると、CTの画像を見せてくれました。
ここが左の顔面神経の断面です。
そしてこれが右の顔面神経の断面です。
もう素人でも明らかに分かるくらい腫れていました。ふた回りどころか三回り近くあるんじゃないかというくらい。。
先生「これだけ腫れてると神経鞘腫の疑いもありますね。」
神経鞘腫とは、神経にできる腫瘍だそうです。
この腫瘍は切除することもできるけど、そうすると完全麻痺が一生治らないらしい。
だから、もしそうだとしたら、経過観察をしながら切除しない方向で治療を進めるとのこと。
でも、それを判断するには切ってみないと分からないらしい。
先生「造影剤を入れてCTをとっても、これだけ腫れてると光って見えないかもしれないし…」
と独り言をいう先生。
とりあえず
今回の手術は、顔面神経麻痺の治療のためと神経鞘腫の検査のため、2つの目的の手術ということらしいです。
最後に、最初にかかった脳神経外科からMRIのデータをもらって来てくださいと言われて診察は終わり。
あとは入院の説明とかを聞き、脳神経外科宛の手紙を預かって帰りました。
失意のどん底の私は、帰ってとりあえず布団にもぐりこみ、寝ました。現実逃避。
入院は5/22。
ちょうど私の27歳の誕生日です。
これは何か意味があるのだろうか。
いい意味で、転機になるといいな。