また夢を見た。

螺旋の建物。
半フロアごとに部屋がある。

一階のロビーでは、周囲が私の結婚相手を探すパーティーの準備に追われている。



「どうだって良い。誰だって同じ」



私は重い気持ちのまま、一人になるために階段を上る。



途中、偶然にTSちゃんに出会い、気の毒そうな表情をしながら私に鍵をくれた。

ピカピカの銀色の鍵が二本。

受け取った私は、手のひらの鍵を愛おしく口付ける。

「やっと…弔いに入れる」



夢の中では、屋根裏のような隠し部屋のような場所の鍵。

アナタの部屋だった事になっている場所。



私が足早に階段を上り始めた所で、目当ての部屋の裏口にあたる階下から誰かが出て来た。

何故か私は物陰に隠れた。





そこには、ドレスアップした愛しい人の姿があった…





どうしてなのか分からない。

だけど嬉しさと切なさが声にすらならず、涙してその姿を見つめた。



TSちゃんが
「どこに行くのか?」
そう聞くと、



「勝って、帰る為に行く」

不機嫌そうな顔で、アナタはそう言った。





きっと、結婚相手探しで勝ち残るため。

私には自分しかいないのだと、再認識させて安心して眠るため。

一瞬でそう悟った。



声もかけられず、颯爽と歩くアナタをただ見つめていた。





そこで目が覚めた。



お決まりのように、有り得ない人の姿を捜す。

本当はどこかに居るはずなのだと、

失った事の方が夢だったのだろうと。





何処に居るの…?





やがて覚醒が現実を突き付ける。


そして私は、更に苦しみ涙を流す。





ただ会いたいだけ。

幻でもいい。


笑った顔がみたい。

夢でもいいから。



せめて夢くらい、しあわせな物がみたいだけなのに。