とあるサイトに「ホリエモンは老後のためにお金を貯めるのはムダと発言していますが、彼の言葉を信じるべきですか?」というおそらく若い世代の方の疑問が呈されていました。


ホリエモンは、こういう思いっきりのいい、割り切っていて且つ、人目を引こうという魂胆がスケスケな発言がとても多いです。彼の言葉を信じてうまくいく人も稀にいるでしょうが、多くの場合はうまくいかないので、信じない。というより、そろそろ世間も無視していたら良いのになって感じます。

 

要するに、マスコミ・ネットで、「ホリエモンが・・・」「ひろゆきさんが・・・」というタイトルで閲覧回数を稼ぎやすいから担いでいるだけです。

あえて言うなら、ひろゆきさんは、ネット早生期に自ら「2チャンネル」というサイトを構築して運営して、サブカル的なネット文化を事業化したという点で、エンジニアでもありビジネスマンでもあった分、まだマシかなとは思います。

 

一方のホリエモンはITバブル期に、たまたま仲間と立ち上げた会社に財務目線の戦略家がいて、彼の進言に乗っているうちにライブドアという企業を買収して、ライブドア側の事業が大きくなって名前が世に出た人です。ですから、ホリエモン自身が、何か新しいビジネスモデルを生みだしたわけでもなければ、卓越した経営ビジョンをもち自身の行動力で財を成したわけでもない、ただの時の人でした。良い悪いではなく、ソフトバンク&Yahooの孫正義氏や、楽天市場からスタートして楽天ポイント経済圏を今もなんとか維持している三木谷氏とは根本的に違うわけです。

そんなホリエモンだったので、財務担当腹心からの提案にも「そんなに儲かっちゃうの?」なんて無邪気な反応をしてそれを容認、最終的に逮捕・実刑の判決をうけ服役しました。

人はミスを犯す生き物ですから、そのこと自体はホリエモンだけが悪いといいたいのではなく、その程度だったということなのに、出所後には当然、前職場は彼に残されていないわけです。ただ、事件を通して名前は売れている。だから、出所ということで禊ぎは済んだとはいえ、自分の名前で派手で人目をひく暴言・方言をネットで流し、それをもって収入にしているだけなんですが、なぜか過去の彼を知らない人々は「正論ですね」とか「そういう視点もあるのか」なんて、ついつい乗せられてしまう、まさにホリエモンの思うツボ、飯の種にされてる人が多い。それも個々人の勝手なので、そこについても僕はどうこういうつもりはないんです。ただ、そういう本質を知らないで、実業家と名乗っているけど今や実業なんてホリエモン自身のためにやっているであろう株式投資などのマネーゲームへの相乗りくらいしかやっていない人の発言をありがたがって読んでしまう人が多い状況って、国政についても、大企業の横暴についても、はたまた災害被災地への支援のあり方なんかについても、我々国民はよりよい判断を自らできるのか?その程度の知見を持てているのか?そうでないなら、この国の凋落はまだまだ続くんだけど、子どもたちとこの国の未来を考えたときに、そんな国民のままでよいのか?というところが一番不安にさせられるところです。


マスコミは儲かるのでホリエモンやひろゆきさんをスターに仕立てているだけです。

似たタイプでは村上ファンドの親子もそうですね。物言う株主はいても良いし、その権利はあるんですが、村上ファンドのやりかたなんて40年前にアメリカのブーン・ピケンズのファンドが小糸製作所に仕掛けた「社内にため込んだ金を株主によこせ」「長期的経営基盤の保全より、短期に利益を確定して配当をよこせ」「基礎研究などすぐに金にならない事業や従業員は売却して、売却益をよこせ」という、自分勝手な欲の塊以外のなにものでもない。そういう株主は、他の一般的株主にとっても邪魔なだけです。
本来株主とは、その企業の将来性を信じて、今は資金調達が難しいだろうから、出資します。しっかり長期安定的に成長して社会に利益を還元できる良い会社になってください。その時に株価が上がっていれば、買い手も増えていることでしょうし、売るかもしれません。または会社のファンとして配当だけもらえれば、自分の子孫に資産として相続します・・・みたいな関係が、もっとも倫理観のあるまともな株主だと僕は思っています。

 

デイトレードや、短期利益を無理矢理吐き出させて、一時的に利益が出ても、5年後には企業自体の基礎体力や新たな商材のもとすら枯れはててしまう・・・そんなことを求める株主なんてくそ食らえです。こういう短期利益鞘抜き型の株主には一律20%でなく、利益に応じて累進課税かけてもよい、むしろ増税はこういうところでやってくれって思いますね。

 

これもバブル崩壊後あちこちにあった実例ですが、長銀が倒産した際、三井が持っていた長銀株を安値で買い取り、不採算部門をリストラ(売却と解雇)し、しかも日本国政府から支援金(国税)拠出を約束させた外資ハゲタカファンド(GSだったかな・・)が、数年後に一時的な再建の体を成す状態にした長銀株を売って7000億円儲けてましたね。自分が事業を興し、人を雇用し、その商売を維持継続させるようなことは一切せず、他国の税金まで使って、しかも鞘抜きだけで何千億円という濡れ手に粟なことがまかり通っている。
これ、日本の企業が外資のかわりにやればいいじゃんって思う方、いるかもしれませんが、あの時の日本国内企業はみな、他の企業のリスクを取れる余裕なんてなかったんですよ。しかも小泉・竹中(極悪党)政権は、外資圧力を容認し、それによりバブル崩壊後の不良債権を一気に片付けるという荒療治の真っ最中。

長期不良債権を、痛みを伴ったとしてもどこかの時点で解消する。このこと自体は否定しません。いつか必要なことですし。しかし腹立たしいのは、その課程で竹中が優良な日本企業の資本を短期利益しか考えない外資に積極的に売り渡し、自らも正社員率を下げて非正規社員を増やして大企業に有利な状況をつくりだし、しかもその派遣会社のトップに収まり膨大な私腹を肥やしたりしていたことです。

 

世の中、状況をしらない側は徹底的に搾取されます。しかし、知ったところで、権力者側にならなければ、何も変えられず無力感に苛まされることにしかなりません。かといって、政治家を目指しても政党独裁政治になっている日本では自民党に所属し、かれら既得権者側に都合のよい法案に賛成票を投じ続け、老害化した諸先生の御機嫌をそこねないよう悪事にも手を染めて党内で生き残り、大臣への道を耐えていくしかない。こうして大臣の椅子に辿りついた時には、既にその人は汚職や非人道的なことで汚れまくった中年と老人だけになっています。


僕自身は、本心では少しホリエモンやひろゆきさんの発言内容に納得する部分もありました。今の政治・国状があまりに一部の既得権益者の食いものにされているから、その流れを変えるには、彼らのように目立つオピニオンリーダーがいた方が良いとは思うからです。

でもそれだけ。彼らのいうことを真に受けるのは違うと思います。

 

ホリエモンやひろゆきさんがいう事を、全ての人がやれる状況になったら、誰が欠損分を受け持つのでしょう。利益が出るということは、何か新たな価値を生み続けるか、あるいは他者の利益より自分の利益を優先する、つまり他者は損失を押しつけられている状況でもあるわけです。

そして、何か新たな価値を生み続けるというが、いろいろモノに溢れて物理的には飽和している現代の経済状況では、どれだけ難しいことなのかは、SONYや東芝やシャープなど、あれだけのノウハウと人材がいる大企業でも難しいんですから。ちょっと思いついた程度のことでは、大企業を維持できるほどの規模にならないか、すぐに真似されるか、非現実すぎて今の技術では実現できない夢物語か・・・

 

だからホリエモンが何を言おうが構わないんですが、それを彼の本質をよく知らない若い人達がネットで下手に信じてしまうと、不幸になる人が幸せになる人以上に増えることになります。天才または秀才で、商才もあって運も良い、そんな人って簡単にいるわけないじゃないですか。

ホリエモンが「自分の世界」で好きにするのはいいけど今の若い人を扇動するような形になると被害者が大量にでることになりかねないからです。

僕自身に話しを戻すと、貯金、ほぼしてきませんでした。貯金していた時期もあったけど、事業の関係で全部使ってしまったり、その後も、ホリエモンや今の勝ち組と言われる人達に比べりゃ微々たる額ですが、経済的なゆとりは趣味に回してそっちに没頭していて、おかげで貯金がありません。

 

年金受給年齢になり、当然年金だけで生活することはかなり難しい。だから今もフルタイムで非正規職員として働いてます。ほんとうは、さっさと隠居して、贅沢はできなくても細々と趣味を楽しみながら、年に1回程度は帰省か旅行ができたらいいな、なんて思いますが、そんな余裕まったくないです。この点では、貯金しておいた方が絶対いいですし、なるべく早い内に子どもも作り、持ち家を持った方が一般的にはより無難です。

 

しかし、貯金もせず(できず)、子どもも作らなかった自分の人生について、後悔もしていません。どっちを選んでもそれぞれ苦労はありますし、なにより自分で選んだ結果が今なので。

ホリエモンの欠点は、個々人の事情や社会の背景となっている実情や力学を無視していることです。彼のようなタイプの人間にありがちな欠点です。まぁ知ってても閲覧数稼げるから、恣意的に放言している可能性も高いでしょう。

ホリエモンのような人が「自分ができることなら他人もできるはず」なんて物言いをしていたら、それは正しい・間違っているとかではなく、それを真に受けた人が不幸になる可能性が非常に大きいということは、若い世代に考えておいてほしいポイントです。

 

ついでに加えておくと、クオドラという質問回答専門サイトで、ホリエモンの無責任な発言に振り回されないように。世の中は旧来の価値観で生きてきた人達も一定の割合で共存しているのだから、極端な理想を無責任に放ったところで、そう簡単に丸く収まらない・・・ということを書かれていた方がいたので、引用させていただきます。

 

【以下・引用】

彼(ホリエモン)は、彼の発言を聞いている社会やみんなの為に発言しているわけじゃなくてあくまでも彼が「自分の為に」(無責任に)生きるために、その根拠となる自分の考えや論理を発言(宣伝)して(儲けて)いるのであって、私や私の子供を含めた旧システム的なしがらみから抜けられない個々人の為の人生の処方箋を発信しているわけじゃないんですから。

社会は激変していくにしてもコロッとは変わらないんですね。人々は本能的に「既得権益」を大切にするからです。

経済システムが変わったとしても、旧システムで多くの人が老後に向けて貯金なりしていてそれが無駄になるような形の社会の移行にはなりません。社会の形が変わってもそれまで貯金してきた「既得権益」が引き継がれるからです。

それができなければ大暴動が起きるでしょう。そういうカタストロフィックな変化は今の人類の社会では起こしにくいのです。なぜなら老後資金を貯めてきている社会を動かしている層の人が反旗をひるがえしそれがネットを通じて人類全体に波及するからです。

旧システムで得た「既得権益」はやっぱり守られながら新システムに移行していくんです。社会システムの改革はスピードが抑えられるからです。もちろん一気に社会システムが変わって貯金が無駄になるという世界が訪れる可能性がゼロではありませんが、その時は人類が破滅の瀬戸際になっているでしょう。

政治の世界でも人間関係でも「既得権益」は守られるのは必要悪です。これって今現在、人類のほとんどが持っている「既得権益」だからです。老後のためにお金を貯めると言う行為は「生存に関する既得権益」に関係します。ほぼ本能に接触している「既得権益」です。ですからその「既得権益」の強大さをなめてかかってはいけません。「既得権益」を持つ群れの力を侮ると殺されます。

ホリエモンは一度「既得権益」を持つ群れの「逆鱗に触れた」のですね。その性で牢屋に入っていたのだけど、出てきてみると少し自分の時代になってきたなあと喜んでいるのですが調子に乗り過ぎです。(逮捕前の昔と同じ我田引水をやって儲けようとしている。本当に懲りない人だ。)

老後資金を貯めなくていいなんてそんな無責任なことを言って被害者が続出すれば、それらの怨念でホリエモンは今度は無期懲役か死刑になりかねません(笑)
まあ、ホリエモンには、彼のためにもいい加減にしておきなさいと忠告してあげます。

そして、彼の発言を聞いている若い人には、
「面白がってもいいけど、あまり彼の言うことを真に受けてはいけない。仮に彼の言うことがどんなに真理であったとしても、その彼の言う真理があなたを救うことにはならないのだから」
と言っておきましょう。
自己防衛のために、自分の人生のことは自分の頭で考えましょう。

 

【以上、引用終わり】

 

最後に・・・これは別項で書いた方がいい規模な話しだけれど、

資本主義・・・というのは元々存在しないイデオロギーなんですね。社会主義や共産主義勢力が、対立的に自由に経済活動を行い富を集約できる状況に対して、アンチの定義が必要だってことで使い始めた言葉が資本主義。

 

今の資本主義は、拝金志向の強い行きすぎた勝者独占自由主義みたいな状況です。かといって、共産主義も社会主義も富や権力が為政者に集中するだけで、さらに全体の生産性や効率が下がることがソ連や中国の変化を見ても明らかで、失敗だったことが実証されています。

 

だとすれば、やはり民主主義・自由主義・・・それに実態のあやふやな資本主義。こうした社会制度の次の時代の、ある程度統制された新しいイデオロギーが必要な時代になっていると強く危惧しています。

江戸時代より昔なら、まだ国際関係なんて考えず、日本国内の都合だけでもたいした問題にならなかったけど、今は資源も資本も国境がないに等しい。そしてこれだけ貧富の格差が広がり続けていて、戦争も絶えない。

 

今の国連なんて第二次世界大戦時の遺物は一旦解体して、例えば戦争に関しては、国際法が国内法を超越して適用され、その為に必要なら強制停戦させた上で、国際裁判で人道的な立ち位置で落としどころを提示する・・・みたいな世の中にしないとダメなのかもしれません。
となれば、あたらしい国際法や戦争裁判の裁判官が、中国やソ連やイスラエルじゃ困るわけです。そこでもう、ここはAI活用でいいなじゃいか・・・とすら思えてきました。

あまり複雑で、個々人の生活背景や人情まで考慮したり、たくさんある諸説の真偽まで考慮するような使い方ではAIはまだ信用しきれません。しかし、最低限の人道主義に基づく戦争裁判なんかだったら、かえって各国の利益なんて無視して公正な判断してくれたりしないかなぁ・・・