デフレ・スパイラルをどうするのか・・・

失われた10年が20年になり、30年を目指しているんじゃないかとすら思えるほど、日本政府も日銀もデフレスパイラルを止められずにいる。止められないというか、止める気がないとしか思えないのだが・・・

まず円安をなぜ放置しているんだろう。一部の政治家の狭い見識のように「円高は国益」なんて馬鹿な信条に基づいているなんてことはないよね、まさか。

日銀の白川総裁は「強力に金融緩和しており、これ以上緩和しようもなく、効果も期待できない」なんて繰り返し言っているけど、その内実をみたら、ちっともマネタリーベースの増加が見られない。政策金利だけでものを言っているんだろうか。

日銀が言う金融緩和は、「資産買い入れ等基金」という特別枠によるもので、要するに増やそうとしているお金は金融システム市場にしか流れない。でもいま必要なのは実際の流通マネー、貨幣量なのでは。
オバマ政権はリーマン・ショック後、ドルを大量に発行してマネタリーベースを3倍ににしている。それだけやっても、いまだデフレ再燃の心配はあっても、ハイパーインフレの兆候すら無いのに、白川さんは「金融政策による脱デフレ効果には限界があり、リスクがある」そうだ・・・

株価についても、日本政府と日銀の基本的姿勢が低迷を長期化させていることがわかる。円安是認姿勢のままなので、円相場の影響をとても強く受ける日経平均も低迷したまま。

こんなタイミングで消費増税だ。野田首相は「消費税増税に政治生命をかける」そうだが、「日本経済の復調に政治生命をかけてほしい」。まったく、何いってんだ、この顔デカおっさんは・・・ある程度、経済状態が安定していて、出入り双方をきちんとした上での消費増税ならまだわかる。しかし行政側身内の歳出はお手盛り程度のカットだけ。しかも公務員賃金なんて期限付き!

景気対策はいつもの通り何の具体策もないまま、消費税だけあげようとする。こんな給料は下がるわ、仕事はなくなるわ、先行きは暗いわ、そんな時に消費税あげれば、一部の駆け込み需要を除けば、買い控えどころか、ますますモノを買わなく(買えなく)なるのは明白。さらに日本の景気は悪化するだろ。

そもそも、きちんとした景気対策をたてられるほどの、まともな頭脳をもった政治家はいなくなって久しいのだろうし、官僚はますます構造的な自己保身スパイラルが強固になって、ごく一部に志を持つ公務員がいても何ら機能しない組織になっていることは容易に想像がつく。

円安へ舵を切った方が、今の日本の経済構造では絶対に良いにもかかわらず、それをしないのは・・・まず、政治家を操る官僚、この場合は特に財務省ね。この連中が多分腹黒い動きになっていると思われる。
つまり・・・円安誘導して景気がよくなると、企業の法人税収もあがり、消費税増税の機会を逸する・・・と思ってるんじゃないか。だから、政治家どもにも、円安政策を取るようにさせないってこと。

今、日本の大手製造業は、すべてが良心によるところではないとはいえ、日本国内での生産を維持するべく努力している。トヨタ、ホンダなどの自動車産業や、シャープ、パナソニックなど家電業界も、中国の人件費が高くなってきたとか、法的に面倒だとか、そんな背景もあるとはいえ、一部生産拠点を日本に戻す動きすらある。でも今後も5年10年と円高を国が容認し、実際円高のまま経済が推移するなら、日本の製造業は非常に大きな、取り返しがつかない程のダメージを受けるだろう。そのダメージは、大手メーカーという法人だけでなく、日本の雇用市場を大幅に縮小し、若者の雇用機会を奪いつつ、同時に高齢者の負担をしていかなければならない・・・という、今以上の泥沼・蟻地獄につながる。
野田政権も自民党公明党も、消費税増税が先なんじゃない。だいたい、デフレが続く長い不況を増税から始めるバカがどこにいる!

もちろん、消費税絶対反対が是という単純なものでもない。社会保障の問題はきちんと道筋を立てなければいけない。そのための統合的手段として増税はいずれやむを得ないだろう。
ただその前に景気対策や、根源的な問題の改善からとりかかれよ!行政・官僚の無駄は今でもひどいもんだ。他人の金だと思って、適当な使い方ばかりしてきたから、こんな大赤字になる。給料だってそうだ。その公務員のサービス対象地域の、一般市民の平均所得にスライドさせるべきだ。不正や汚職が増えても困るが、それを考えても、対象地域の平均所得+10~20%で充分でしょ。国家公務員も地方公務員も、自分が仕える地元の経済レベルにスライドさせること。

早く、まともな改善の一歩が見られる、先に希望をもてる治世をしてもらいたい。

続・官民格差
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