King Gnu の「逆夢」

今回は、前に、Official髭男dismの「Cry Baby」をリクエストしてくれた女性エグゼクティブの友達から、再度、高音男子系の高難度アニソンをと、高いハードルをいただきました。

 

King Gnuの「逆夢」やってみました。

このバンド名を、「キングヌー」と読むこともしらなかったし、この曲がテーマソングとなっているアニメ及び実写版の映画「呪術廻戦ゼロ」も知りませんでした。

 

でも、King Gnuというバンド名だけは見たことがありました。そして今回もめっちゃ難しかったです。


 


 

まずなにがムズいって・・・

ヴォーカルの声域が低音から高音までとても広い。10年単位で思い返すと、大昔の演歌や歌謡曲以降、藤山一郎あたりまではまだしも・・・
オフコース、特に小田和正が一気にキーを高くしましたね!同時代では山下達郎氏も3オクターブ歌えるという理由でシュガーベイブのヴォーカル担当されたそうですが、彼も僕よりキーが高い。
 

B'zとかBow Wowなんかはハードロックに括られると思うので、高いキーを使うのはまぁ仕方ないとしても・・・

EXILEとか、普通のJ-POPがなぜかやたらファルセット・裏声多用するのが流行りになり・・・

そして今や、髭男の藤原くんや、キリンジ、King Gnuの常田くん・・・もともと声帯・地声がとんでもなく高い「高音男子」が王!な時代になっちゃった・・・

 

誤解のないように書いとくけど、この高音男子、ただ声が高いだけじゃないってことは、最近立て続けにカバーしてみてすごくよくわかりました。歌詞のセンスも見事だし、メロディはキレイ。しかしそのウラで動いてるコード進行は、もはや僕の世代が馴染んだドミナントコード、3コードなんてシンプルなものはまったくなくなり、クラッシックでいうところの、後期印象派やロマン派のころのように、過去の形式を踏み台にして、壊さないけど、従わない。ジョン・ケージのように反対のための反対でなく、ただただ、美しさや気持ちよさを追求するあまりに、すごく込み入ったテンションコードがめまぐるしく進行していく。

それでいて聞こえてくるメロディの印象は、消して複雑すぎず、むしろ美しい・・・

今時の音楽って、なんかインパクトないなとか、大物的・根源的な新しさを感じないなとか、えらそうに構えてて、バカにしていたわけではないけど興味も持てなかったんだけど、それが自分の器の小ささ、狭い世界に閉じこもっていただけなんだって、よくわかった。
 

このあたり・・・一聴しただけだと地味な進化だけど、K-POPなんかよりもかなり先行していると実感・・・日本の若者のセンスってすごい!!

 

 

それで今回のオケですが・・・

これがまた嫌らしい。

 

常田くんはもともとがクラッシック畑の人で、自身、チェリスト?らしい。だからこのオーケストレーションも、レコーディング時の演奏も兄弟でストリングス全般、自分で演奏しているみたい。

そんなバックグラウンドを持つ人だけに、オケの耳コピ、すごい難しかった。

 

ピアノ、オルガン、ストリングスセクションがそれぞれ、特に目立つ音量出していないのに、常にどれかの旋律が聴く側に強く印象付けるようにフレージングされている。

例えば、出だしのストリングスだって一聴すると同じ音階のロングトーンかと思いきや・・・音程を変えないトレモロ?弓を細かく往復させるタッチだし。弓の使い方もすごく多種多様な上、和声の構成もすごく丁寧に作り込まれていて複雑・・・ピアノもオルガンも、そこにいるのはわかってるんだけど、時々波間に立つ白波やしぶきのように、聴き取りやすい旋律はところどころ・・・でもって、そこが確実に印象に残る旋律になってるわ。

結局、その瞬間になっている音自体はほぼ聴き取れたと思うんだけど、例えば第2ヴァイオリンのあそこの旋律は違うよ、実はヴィオラが弾いてるんだよ・・・みたいな間違いはたくさん残ってる筈。

 

で、ギター。

最初は自分で演奏しようと思ってオケ作り始めたんだけど、結局この雰囲気を再構築できるスキルがなくて断念・・・
何度もイカしたギターでコラボしてくださってるJoeさんに、途中で「このギター僕にはムリでした・・・弾いていただけませんか?」って急遽SOS!

快く引き受けていただけて、ギター音源が届いたら8トラックも。アコギ3本、リードギター2本、サイドギター2本、ガットギター1本・・・自分で弾かなくて(弾けなくて(^_^;)正解でした。

 

歌は、もう最初っから持ってる声帯が彼ら高音男子とは比べられても迷惑なくらい圧倒的な差がある。だからもう開き直って、普通の声帯の持ち主が、とにかく裏声やミックスボイスを駆使してやりくりして、どこまで自分なりに歌えるか・・・その1点に焦点しぼってやってみました。
なので、髭男の曲もそうだったけど、本家と比べたら迫力不足です。本家・ほんもののファンの皆様すみません・・・

ほんと、昔と違って、「シロートがカラオケで簡単に歌えるような歌は作らない」って髭男の藤原くんが言ってたそうですが・・・この風潮、どこまで行きすぎるんでしょう。

実際、Youtubeの歌ってみたでも「Cry Baby」なんて圧倒的に女性が歌ってますよね。普通の男は相手にされてない。