開幕戦のバトルをみて・・・

ちょっと前のネタですが・・・

2月の開幕戦、ずっと1位と2位で接近戦をしていた2台のハブコーナーでの比較です。それぞれ体重もマシンも異なるし、セッティングの好みもあるのですが・・・同じ場所で同じタイミングで1位2位のマシンの写真が撮れたので、ドライビングテクニックについて解説してみました。
 

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優勝した上のドライバーはエイペックス(クリップ)は通過点の一つとして捉えていて、コーナーの全体を通じて力みなくスムーズに流していきます。
マシンを強引に操作するよりも、ラップを通じた一連のライン上で、マシンの慣性をうまく利用している感じです。単位時間あたりのマシンの挙動量も安定していてムラがありません。そのため、ドライバーの姿勢もリラックスしていて力みもみられませんね。

下段の2位ドライバーは、同じポイントでリアのスライド量がやや多め(マシンが同じポイントでより内側を向いています)。どちらかというと、より新しくメカニカルグリップの高いマシンを、敢えて力でねじ伏せて振り回している感じで、ドライバー自身の操作量も多い印象です。ドライビング中の姿勢も(体格の違いもあるとはいえ)左右の動きが大きく、ステアリングの舵角や操舵スピードにもややムラがみられます。


ドライビングスタイルは人様々で、実際僕が以前走っていたチーム内でも、いつも僕とはまったくセッティングが逆なのに、走るとタイムがいつもほぼ同じ・・・というチームメイトがいます。
どちらが正解というものではありませんが、お互いに少しでもタイムを削り、バトル中の余力を持てるよう、こうした比較はお互いによくやっていました。

レースではほんとうにドライバーやマシンの各パーツが限界ギリギリで動き続けています。だからとても細かい部分を理解しながら、走り全体を大きく俯瞰すること。そしてその時々の状況に最適な技術を繰り出せるように、引き出しを多くもっておくことは大切です。

ライバルだって自分とほぼ同じくらいうまい。マシンだって同じクラスだから、ほとんど差はないわけで・・・そいつが最速を狙って走っているのだから、そう簡単に狭いコース上で抜けるわけがありません。

それだけに、走りの全体像を理解した上で、勝てる可能性のあるポイントを決め、そこから逆算して足し算引き算で各コーナーやつなぎのラインとペースを組み立てます。つまりあるコーナーで抜こう、と決めたら、そこでより自分のマシンが相手より速い状態を作れるように、そのコーナーより2つ3つ手前のコーナーからペースを変えるわけです。ラップ中、すべてのコーナーが限界100%で走っているわけでもありません。狙ったポイントで102%のスピードを作り出せるように、手前のコーナーで98%でわざと走る・・・そのために、ただただ相手の後ろにべったりくっついたまま走るのでなく、時にはやや間隔をあけて加速タイミングのためのスペースを敢えて作る・・・こういう組立が必要になるのです。
 

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それが相手に読まれないような心理戦(意図した作戦や強み・弱みがバレないようにわざとラインやペースをずらして相手を騙す演技走行)まで時には必要。

そしていざバトルが佳境に入ってサイドバイサイド、自分の読み以上に相手が手ごわく並ばれたら、こんどは強い精神力をもって、強いフィジカル(マシンもドライバーも)の勝負。その最中も先のコーナーでの勝ち逃げシナリオを想定して走らなければ、勝てる可能性は少なくなる・・・

こんなことを、限界いっぱいで走りながら考え、駆け引きもする・・・だからレースはやめられないんです。

・・・と現役引退した僕がつぶやいてみた(>_<)

因みに、優勝した25番のマシン・・・昨シーズンまで僕が乗っていたマシンなんです。引退後に自分のマシンがトップを走り真っ先にチェッカーを受けるところを見ることができるなんて、幸せです!