いつも書いている通り、現代の沖縄は戦後のアメリカ統治の影響がとても色濃く出ている。

 

例えば・・・

 

年配者は

歯磨き粉のことを「コルゲート」という。

コンデンスミルクは「ワシミルク」(イーグルコンデンスミルクは昔の広告にワシミルクとも記載していた)

ハンバーガーチェーンのA&Wは「エンダー」(英語発音をカタカナ読みしている感じ)

 

要するに、戦後ものが欠乏していた時に、米軍から流れてくる、当時の沖縄県民からしたら高級品であるアメリカのメジャーな商品の固有名詞が、一般名詞化している。

 

そんな土地柄なので、東京ならまず高齢の利用者が圧倒的に少ないファストフードチェーンにも、高齢者がよく利用している。

いや、むしろ夜のA&Wなんて、ほとんど高齢者たちだ。

マクドナルドだとまだ若造の比率があがるんだが、日本最初のハンバーガーチェーンであり、当然沖縄で最古のハンバーガーチェーンA&Wの場合は圧倒的に高齢者の率が高い。

 

コレは多分、高齢者にとってA&Wは、高級でおしゃれな場所という、辛い時代の経験が刷り込まれているからだと想像している。

一方のマクドナルドは、A&Wより価格帯も安めだし、なにしろA&Wよりずっと遅れて沖縄進出しているから、若い世代が多くなるんじゃないかな。

 

さて、そんなA&Wの、それもこれまた利用者の平均年齢が高い、沖縄市プラザハウス店にたまたま入った。

休日にもかかわらず、はやりの場所でもないことから、案の定空いていて、混雑が大嫌いな僕達夫婦にはうってつけのタイミングだったのだが、その店内でこんな光景を見かけた。

 

A&W老夫婦Jweb.jpg

 

まさに高齢者の夫婦が、まるでノーマン・ロックウェルのイラストそのままのように絵になってた!

 

まず、内地(本土)だったら、こういう高齢者が夫婦でファストフードのチェーン店にハンバーガーを食べになんてまずない。それだけでもこの光景は沖縄的なんだけど、僕が惹かれたのは、この老夫婦の佇まいというか、雰囲気。

 

まず、沖縄の中部に多い、オシャレもクソもない、そして酒やタバコだけは喰らい、品格もなにもない単なる高齢者じゃないこと。だからこそ、プラザハウスのような場所にも来るし、そのファッションもなかなか良い雰囲気を醸し出していると感じた。

夫婦揃って帽子を被り、シャツの感じもアメリカンというか、今の沖縄の中流以上というか・・・

僕ももっと歳をとったら、嫁さんとこんな感じで、どんな場所へもTPOをわきまえて出かけられるような夫婦でいたい、と思った次第。

まいりました!

 

さて、一方のマクドナルド。ここんとこ悲惨な状況のままだよね。

中国工場での非衛生というか、企業倫理上、ありえない悪行を見逃していたのは致命的な事件だった。まぁ中国なんか使っている時点でろくなことにならないってリスクを甘くみているのがそもそもダメなんだけどさ・・・

 

それは置いといても、その後も連続であれこれ不祥事が続いてた。

 

夜マックJweb.jpg

 

僕の世代からしばらくは、マクドナルドでバイト経験のある優秀な人材はむしろ多かった。マックのバイト経験を通じて、社会人としての基礎から、チームで動く場合のマニュアルの重要性など、様々な体験からその後のノウハウに活かせたスクールのような場でもあった。

 

それがまぁ、多分、職場のモラルもだいぶ低下したんでしょうね。また大型ロッカーに入りきらないとすら形容されていた膨大なマニュアルも、だんだん形骸化していたのかもしれない。

 

このマックの凋落って、いくつか根源的な要素があるような気がしてた。

 

一つは・・・

 

バイトも含めた従業員の、基本的品格の低下というか、社会のルールに対する意識の変化。

昔に比べて、今の時代は、若い子にとって辛く厳しい要件が増えている一方で、社会や家庭における上長(親・教師・社会道徳など)の権威が低下していて、悪いやつはそれなりに悪さが増長してもそのまま罰も与えられず、そういう品格低下が普通に流されている。

このことによる、いい加減さというか、真剣味というか、なんか仕事とは厳かで大切なものなんだという感覚水準が下がっていると思う。

 

もう一つは・・・

 

いろいろ経済ニュースでも言われているし、そういう理由もあるんだろうと思うけど・・・

24時間営業が悪いと僕は思う。

 

24時間営業だと、区切りがない。もちろん従業員にはシフトもあるから、人の区切りはあるんだけど、店の区切りがつけられない。

これがなぜよくないかというと、まずきちんとした掃除ができない。

 

今のマックで、比較的新しい店でも、なんか酸化した油と、少し臭くなった布巾の匂いが混ざったような匂いがいつもする。

その割に、床は油っぽくて、落ちたポテトが踏まれてそのまま残っていたり、テーブルも汚れたままだったり。

こないだたまたま入った店でも、ペーパータオルが切れたままだし、ハンドソープはポンプを押し上げると、付け根の下の部分が剥がれていて浮き上がり、まともに石鹸が出てこないまま放置されてた。

 

従業員の品格自体が下がってて、しかも24時間営業で、しっかりした掃除する時間もなく、店内は人心も物理的にも荒廃してるように感じる。だからさっさと餌をインプットしたら、即店を出たくなる。

 

店を早く出るだけなら、回転率もあげられるから良いとも言えるが、その理由が「この店に長くいたくない」というのだから話は別だ。

 

マックのメニューって、この手の店の中でももっとも工業的だと思う。なにしろ業界1位の規模だし、世界中で展開されているし、それでいて基本的にどこで食べてもほぼ同じ味が保証されている。

これって、実はかなり異常なことだよね。それを(品質考えたら高いという意見もわかるが)あの程度の安い価格帯で提供しなきゃならない・・・となれば、もともとの原価はどんだけ安い素材使うんだってことだよね。

 

かつてはファストフード1位のイメージ、24時間営業していない人間的にまともな営業サイクルなどを背景に、それなりのプライドももてたかもしれないけど、今はすべての要素が逆に働いている。

 

スターバックスのやり方を今更真似てもしようがないし、真似たとしてもそれは正解じゃない。

だけど24時間営業なんてムリしないで、今一度現代社会における最大公約数的な品質ってなんなのか、見直さないと立て直しは難しいと、人事ながら思う。